JP4139138B2 - 部材間のねじ止め構造及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の部材に第2の部材の一部を重ね、この重なりの部位をおねじで締結することにより、両部材を一体化し、必要に応じて該おねじを緩めることにより両部材の一体化を解除することが可能な部材間のねじ止め構造に関し、また、かかるねじ止め構造を適用した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
保守点検及び修理時に、装置を熟知したサービス担当者や修理担当者だけが本体フレーム或いは本体フレームに設けられた被取付部材(以下、第1の部材という。)から取り外すことを意図した保護カバーなどの取り外し部材(以下、第2の部材という。)がある。通常は、ねじ止め等でかかる第2の部材を第1の部材に締結し、工具なしでは分解できないようにすることで、ユーザーがこの第2の部材の奥の部位に触れられないようようにしている。
【0003】
ここで、おねじが入り込む第1の部材の材質が合成樹脂(以下、単に樹脂という。)の場合は、図24に示すように樹脂からなる第1の部材10aにインサートナットもしくはインサート・ナットスタッド(ネジ穴を切った金属)11を圧入し、おねじ12aを螺入できるようにするのが一般的である。
【0004】
かかるインサートナット・スタッド11の圧入は、第1の部材10aのボス13にインサートナット・スタッド11を高温のコテ(鏝)冶具または超音波振動コテ冶具で押し当てて樹脂を溶融かしながら挿入することにより行われる。インサートナット・スタッド11の外周にはローレット状の刻みがあり、このローレット部に第1の部材10aの樹脂がしっかりと結合することになる。
【0005】
しかし、インサートナット・スタッド11を使用する場合、第1の部材10aを構成している樹脂材のリサイクルを想定すると、樹脂と一体化している異種材料からなるインサートナット・スタッド11を簡単には取り除くことができないため、この異種材料を取り除く為の余分な工程が必要となる。
【0006】
例えば、異種材料がなければ、単純に第1の部材10aを構成している樹脂材料を粉砕するだけでよいが、異種材料が混入していることにより、粉砕後、磁力や比重を利用しての分別工程が必要になる。さらに、圧入のための作業や圧入のための治工具を必要とし、製造工程及びリサイクルのための諸工程が繁雑であり、かつ、コスト嵩むという問題がある。
【0007】
上記の例において、インサートナット・スタッド11を使用しない方法として、樹脂からなる第2の部材に予めおねじ螺入用の下穴をあけておき、おねじが回る時に自らがねじ溝を切って締結する所謂タッピンねじ(self tapping screw)を使用する方法がある。
【0008】
ただし、このタッピンねじは、何回もおねじを外しては止める作業を続けると、既に切られたねじの溝を更に切ってしまうため、ねじ溝が次第に大きくなり、締結強度が低下したり、最悪の場合には所謂ネジバカ(ねじ溝が破断してねじ溝が無くなること)という問題を生じてしまう。このため、取り外す事を前提とした保護カバーなど第1の部材をタッピンねじで締結することは、第1の部材の取り外しの頻度が大きい場合には無理であるのでかかる頻度を考慮して限定されてきた。
【0009】
実開平5−44849号公報には、ねじを抜き取ることなくカバーの着脱ができるカバー着脱装置が開示されているが、フレームとこのフレームに着脱可能なカバーの両方にそれぞれU字状の切欠きとおねじを設けた構成であり、位置合わせ作業が繁雑である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の全体を通じた課題は、取り外すことを想定した保護カバーなどの第2部材を第1の部材に締結する構造において、構成簡易にしてリサイクル性が良好な部材間のねじ止め構造、及びかかるねじ止め構造を適用した画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を達成するため以下の構成とした。
(1). 樹脂からなる第1の部材に取り外し可能な樹脂からなる第2の部材の一部を重ね、この重なりの部位をおねじで締結することにより、両部材を一体化し、必要に応じて該おねじを緩めることにより両部材の一体化を解除することが可能な部材間のねじ止め構造において、前記第1の部材又は前記第2の部材の一方の部材にのみ、おねじが貫通する開放穴を設けると共に、前記おねじのねじ頭よりも高い位置で、前記開放穴の開放端部を架橋状に連結する連結部材を設けた(請求項1)。
(2).(1)記載の部材間のねじ止め構造において、前記第1の部材または前記第2の部材の前記おねじ貫通部の裏側に、前記おねじと螺合するめねじが形成されたナットを保持するナット保持部を設けた構成とした(請求項2)。
(3).(1)又は(2)の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、前記開放穴又は前記複合穴を、前記おねじ締結時に該おねじのねじ頭から露出する大きさで形成した(請求項3)。
(4).(1)乃至(3)の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、前記第1の部材または前記第2の部材の一方に凸部を設け、他方に前記凸部に嵌合する凹部もしくは壁を形成した(請求項4)。
(5).(4)に記載の部材間のねじ止め構造において、前記凸部及び前記凸部に嵌合する凹部に前記おねじによる締結方向に進むに連れて径寸法が小さくなる傾向のテーパを付けた(請求項5)。
(6).(1)乃至(5)の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、前記第1の部材又は前記第2の部材の何れかについて、前記おねじのねじ頭が当たる面に前記ねじ頭と概略等しい径の凹状部を形成した(請求項6)。
(7).(6)記載の部材間のねじ止め構造において、前記凹状部の底面部の径を前記おねじのねじ頭の径と概略等しくし、該凹状部の上部の径を前記底面部の径よりも大きくして前記凹部の側面を傾斜面とした(請求項7)。
(8).(1)乃至(5)の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、
前記第1の部材又は前記第2の部材の一方に前記開放穴又は前記複合穴を設けたとき、これら開放穴又は複合穴の位置決めをするために突き当てる部位を前記他方の部材に設けていることを特徴とする部材間のねじ止め構造。前記第1の部材又は前記第2の部材の一方に前記開放穴又は前記複合穴を設けたとき、これら開放穴又は複合穴の位置決めをするための突き当て部を両部材に設けた(請求項8)。
(9).(1)乃至(8)の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、
前記おねじの先端部に当該おねじの外れ防止部材を設けた(請求項9)。
(10).メンテナンスが必要とされるメンテナンス部材を有する光書き込みユニットを内包し、該光書き込みユニットが前記メンテナンス部材の出し入れ部材で覆われ、前記保護カバーが開閉可能な構成の画像形成装置において、(1)乃至(9)記載の第1の部材と第2の部材との組み合わせを前記保護カバーと該保護カバーを保持する部材との組み合わせとした(請求項10)。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1]本発明が適用される画像形成装置(請求項10)
本発明が適用される画像形成装置1の例を図1に示す。図1において、記録紙などのシート状媒体100は、転写時において給積載部101や大量給紙部124または手差しトレイ123に積載されていて、図中に小さい円で示した多数のローラ103を介し、最後にレジストローラ対104でタイミングを調整されて像担持体としての感光体105まで搬送される。なお、ローラ103は図が繁雑になるので、多数設けられたローラの中、一部のみ符号を付している。
【0013】
このシート状媒体100の搬送前に、感光体105には予め静電潜像が形成される。この静電潜像は、ドキュメントフィーダー113で読み込まれた画像に対応して、光書き込みユニット106からのレーザー光がシート状媒体100の用紙幅に照射されることにより形成されたものである。
【0014】
感光体105は図示省略の帯電装置により暗中にて一様に帯電されており、この帯電電荷がレーザー光の照射により減衰し、光が照射された部分と照射されない部分で電荷差が生じる。
【0015】
感光体105はシート状媒体100の搬送方向に回転するようになっていて、現像装置107の現像ローラと近接対向している。上記電荷差が生じた感光体105に、この現像装置107で帯電させられた現像剤(トナー)が付着して可視像化される。
【0016】
こうして可視像化された感光体105は、感光体105のまわりに設けられた転写部108においてシート状媒体100に接した時、可視像を構成している現像剤(トナー)が帯電している電荷と逆の電荷でシート状媒体100に転写される。
【0017】
こうしてシート状媒体100に転写された現像剤(トナー)は、シート状媒体100に載ったまま搬送されて定着装置109でシート状媒体100に定着される。定着装置109における定着方法は、熱で現像剤(トナー)を溶解することにより行うのであり、図示の例では、熱せられた定着ローラーと対をなす弾性体のローラー間を通すことにより定着しているが、この他にも多種な方法が考案されている。定着されたシート状媒体100は定着装置109以降の各種のローラー対を介して外排紙部114a、114b、114c或いは内排紙部であるインナービントレイ111a、111bの何れかに排紙される。
【0018】
排紙に先立ち、必要に応じて自動両面ユニット122を経て反転させられて両面画像が形成されたり、ステープル装置126を経由して搬送される。
【0019】
ここで、当該画像形成装置1の本体フレームの内側には、感光体105、現像装置107、現像装置にトナーを補給するための現像剤ボトルを保持する現像剤ボトル設置部102、光書き込みユニット106などが収容されている。
【0020】
光書き込みユニット106は密閉状の容器内に光学手段を配置した構成となっており、この密閉状の容器内には光学手段として、走査用レーザー光の発光源、走査用の回転多面鏡、回転多面鏡からの光を偏向させるミラーやfθレンズ、トロイダルレンズなどが配置されている。
【0021】
光書き込みユニット106を密閉状の容器内と共に構成したのは、仮に密閉状としないときには、同一の本体フレーム内に現像装置107や感光体105が併存することから、これらの光学手段にゴミ、埃、現像剤(トナー)の微紛が付着するおそれがあるからである。
【0022】
光学手段にゴミ、埃、現像剤(トナー)の微紛が付着すると、感光体105に正確に露光走査用のレーザー光を照射することができなくなる。そのため、光書き込みユニット106を構成する容器の一部に形成したレーザー光の出射口を開口として形成し、この開口部を細長い板状の防塵ガラス112で密閉している。
【0023】
図2、図3は光書き込みユニット106が配置された本体フレームの窓部及び内側を示している。図2は写真画像であり、画像の中央部に横並びに2つの矩形部が見える。左側の矩形部の下側に白抜きで示したのが図1に示した防塵ガラス112に相当する防塵ガラス112である。
【0024】
図2の写真画像では鮮明でない部分があるので、要部を図3に線画により描き起こした。図3において、図示しない光書き込みユニット106の前面を覆うようにして本体フレームにインナーカバー20が設けられていて、インナーカバー20の内側に光書き込みユニット106、感光体105、現像装置107、現像剤ボトル設置部102などが設けられている。
【0025】
インナーカバー20には開口部21が形成されていて、この開口部21は図示省略の前ドアで通常は閉ざされているが、開口部21内の防塵ガラス112をはじめ、他の画像形成用諸部材のメンテナンスの必要に応じて図2、図3に示すように前ドアがあけられた状態となる。これらの図では、この開口部21から防塵ガラス112が露出した状態を図示している。
【0026】
図1を参照することにより理解されるように防塵ガラス112は、現像装置107や現像剤ボトル設置部102に近接しているため、光書き込みユニット106は、走査用のレーザー光の光路以外は内壁により完全に分離されており、防塵ガラス112上に現像剤(トナー)が付着することを防いでいる。
【0027】
しかしながら、極くまれに、浮遊する現像剤(トナー)が防塵ガラスに112に付着することがある。そのため、この防塵ガラス112は図3中、紙面の奥側から矢印で示す手前側に引き出して脱着可能となっていて、引き出した状態で清掃ができるようになっている。
【0028】
防塵ガラス112の各辺、角は、全て面取りがなされていて、防塵ガラス112に触っても怪我をしないように処置されている。従って、ユーザーが触っても問題はないが、ユーザーが防塵ガラス112を誤って抜いたままの状態に、若しくは、完全に差し込んでない状態にしてしまった時には、光書き込みユニット107内へ浮遊現像剤(トナー)が進入してしまうことも考えられる。
【0029】
従って、防塵ガラス112の着脱方向を遮る位置に後述する保護カバー2を設ければ、保護カバー2があけられたときには、ユーザーが防塵ガラス112を誤って抜いたままの状態に、若しくは、完全に差し込んでない状態にあることとなるから、この状態つまり、保護カバー2が完全に閉じられた状態から少しでもあけられた状態がセンサにより検知されれば、警告を出すことができる。
【0030】
そこで、保護カバー2が閉じ状態でないこと(あけられた状態であること)を検知するインタロック用のセンサを保護カバー2の閉じ位置を検知できる位置に配置しておき、保護カバー2が取り外されたり、スライドしたりしてあけられた状態をセンサが検知したときには、ユーザーが防塵ガラス112を誤って抜いたままの状態に、若しくは、完全に差し込んでない状態であることをランプや警報音などの警告手段により知らせるようにすれば、光書き込みユニット107内への浮遊現像剤(トナー)の進入を防止することができる。
【0031】
本発明の開放穴や複合穴によりおねじを緩めるだけで保護カバー2をスライドさせ、また、外すことができるので防塵ガラスのメンテナンスが容易となる。また、保護カバー2の移動や取り外しにより上記インタロックセンサが検知されるように構成することで、上記のように光書き込みユニット107内への浮遊現像剤(トナー)の進入を防止することができる。
【0032】
インナーカバー20は保護カバー2を保持する部材として機能しており、インナーカバー20が本発明の第1の部材、保護カバー2が第2の部材に相当し、これら部材間に、以下に説明する本発明が適用されることにより、防塵ガラスなどのメンテナンス部材の保守点検、修理などが簡単な画像形成装置を提供できる。
【0033】
[2]請求項1乃至9に対応する例
図4、図5は、防塵ガラス112の手前、つまり、防塵ガラス112の着脱方向を遮る位置に樹脂製の保護カバー2を設置した例を示している。図4は図2と同じ部位を撮影した写真画像であり、図5は、図4の要部を線画により描き起こした図である。保護カバー2は樹脂からなる第2の部材であり、保護カバー2が固定されているインナーカバー20は樹脂からなる第1の部材である。
【0034】
例1.
本例は、インナーカバー20に対し、取り外し可能な樹脂からなる第2の部材としての保護カバー2の一部を重ね、この重なりの部位をおねじ30で締結することにより、両部材を一体化し、必要に応じて該おねじ30を緩めることにより両部材の一体化を解除することが可能な部材間のねじ止め構造において、保護カバー2についてのみ、おねじ30が貫通する貫通穴を該部材の外部と連通するU字状の開放穴40にしたものである。なお、後述するようにインナーカバー20側にのみ開放穴を設けた構成とすることもできる。(請求項1)。
【0035】
保護カバー2は樹脂製のインナーカバー20におねじ30で締結されている。ここで、おねじ30として以下ではタッピンねじを用いたものとして説明する。おねじ30としてタッピンねじを用いれば前側板20に樹脂材と異なる金属などの異種材料であるインサートナット・スタッドを圧入する必要はなく、リサイクルに適する。
【0036】
前側板20にはおねじ30として使用されるタッピンねじ用の下穴が形成されたボス20−1(図10参照)が形成されている。図6は保護カバー2を単独で示した図であり、おねじ30が貫通する貫通穴を該部材の外部と連通するU字状の開放穴40にしている。符号2gは溝状の座部であり、開放穴40に沿っておねじのねじ頭と接し得る大きさで一段低く形成した座部であり、おねじ30を少し緩めた状態でねじ頭をガイドする。
【0037】
保護カバー2は縦長の長方形状をしており、図4、図5に示されるように該保護カバー2の下片2aを前側板20に形成した下枠部20aに、該保護カバー2の右片2bを前側板20に形成した右枠部20bにそれぞれ突き当て、該保護カバー2の位置が決まるようにしていて、こうして位置決めされた位置で、おねじ30で締結されている。
【0038】
このように、保護カバー2又はインナーカバー20の一方、例えば、保護カバー2に開放穴40を設けたとき、該開放穴40の位置決めをするための突き当て部たる下片2a、右辺2bを保護カバー2に、下枠部20aと右枠部20bとをインナーカバー20に設けた(請求項8)。これにより、保護カバーの位置決めが容易になされる。これら突き当て部はその延長が交わる2つの面同士の組み合わせからなる。
【0039】
図4、図5に示した状態のもとで、おねじ30を僅かに緩めるだけで、保護カバー2のスライドが可能となり、保護カバー2を下枠部20aに沿わせて矢印A方向(図中の左方)にずらすことにより、該保護カバー2に形成したU字状の開放穴40をおねじ30から完全にずらすことができる。この状態を図7、図8に示す。
【0040】
図7は図4と同じ部位を撮影した写真画像であり、図8は、図7の要部を線画により描き起こした図である。図示される通り、保護カバー2の開放穴40は完全におねじ30から外れているので、おねじ30を完全に外さなくても、弛めて保護カバー2をずらすだけで保護カバー2の脱着をすることができ、保護カバー2を外した状態或いはずらした状態のもとで、防塵ガラスを脱着することができる。なお、図8では、防塵ガラスの図示を省略している。
【0041】
本例では、おねじ30をインナーカバー20から完全に外す必要がないので、インナーカバー20に形成したボス20−1に形成されたタッピンねじのねじ切り部を切り直さないでよく、繰り返しに耐えることができる。保護カバー2に形成した開放穴40の径をおねじ30のねじ頭の大きさよりは小さく(但し、ねじ径よりは大)にすれば、開放穴40の存在が外部から目立たない。
【0042】
本例では、保護カバー2には、開放穴40だけがあけられており従来技術に掲げた公報の開示技術のようにカバー側にU字状の切欠きとねじが同時に設けられる構成ではなく、構成が簡易で取りつけも容易となっている。
【0043】
また、仮にインナーカバー20にインサート・ナットスタッドを圧入した場合は、前述したように部材コスト面とリサイクル性に難があるが、本例のようにおねじ30としてタッピンねじを使用した場合はおねじの完全な取り外しを必要としないので繰り返し締結によりねじ溝の破壊の難を免れる。また、インサート・ナットスタッドを使用しないので、リサイクル性も優れる。
【0044】
このように、取り外すことを想定した保護カバーを樹脂部材からなるインナーカバーに締結する場合、従来は、インサートナット・スタッドを用いると、リサイクル性が損なわれ、また、セルフタッピンなじを使用すると、繰り返しの締結で樹脂部材のネジ溝の強度がなくなるなどという問題があったが、本例ではこれを解決することができる。
【0045】
例2.開放穴(又は後述する複合穴)が、おねじ締結時に該おねじのねじ頭から露出する大きさで形成した(請求項3)。これにより、開放穴又は複合穴が、おねじ締結時に該おねじのねじ頭から露出する。本例では、図5に示したように、締結状態のもとでも敢えて開放穴40の一部を切り欠き部が見えるように形成している。開放穴40が外部から見えることにより、おねじ30を少し緩めるだけで、保護カバー2を矢印A方向にずらすという操作を行うことが判り易くなる。その為、誤っておねじ30を完全に外してしまうという操作ミスを防止することができる。両部材の一体化を解除する際、作業者が、目視で取り外し方法が判る。
【0046】
例3.前記例では、保護カバー2の位置決め方法として、下辺2aと右辺2bを利用したが、これ以外の方法もある。以下に説明する。本例では、インナーカバー20に凸部(以下に述べるリブ20−2)を設け、他方の保護カバー2に前記凸部に嵌合する凹部(以下に述べる凹溝2−2)を形成している。逆にインナーカバー20に凹部を設け、他方の保護カバー2に前記凹部に嵌合する凸部を形成することもできる。或いは、凸部に代えて壁を形成することもできる(請求項4)。
【0047】
保護カバー2の位置決め方法として、この例では、図7、図8に示すように、保護カバー2をずらした状態のもとで見えるように、インナーカバー20に形成したおねじ30用のねじ穴(おねじ30が螺入された状態のもとでは雄ねじ30)の周辺にU字状の形状で凸条のリブ20−2を設けている。
【0048】
保護カバー2にも、図6、図7、図8に示すように該保護カバー2の裏側にこのリブ20−2と合致する位置及び形状で嵌合可能にU字状の凹溝2−2を形成している。これにより、リブ20−2と凹溝2−2とを嵌合させることで保護カバー2の位置を定めることができる。
【0049】
おねじ30を締める時、保護カバー2の開放穴40は、おねじ30のねじ頭との接触抵抗により、おねじ30の回転方向に拡がろうとする。上記したリブ20−2と凹溝2−2との嵌合による例では、ねじ穴に沿ったリブ20−2と凹溝2−2の形状としているため、開放穴40が拡がろうとした時に、リブ20−2に凹溝2−2が突き当たることで、開放穴40の拡がりを防止できる。また、おねじ30で締結作業中に、保護カバー2の位置出しができる。
【0050】
保護カバー2の裏側に凹溝2−2を設けずに位置決めできる例を以下に説明する。
図9は本例の保護カバー2Aを裏側から見た状態を示した図である。保護カバー2Aには前記保護カバー2と同じように開放穴40が形成されている。図10はこの保護カバー2Aをおねじ30でインナーカバー20Aを締結したときの断面図である。
【0051】
本例では、図9、図10に示すように、保護カバー2Aの裏側にインナーカバー20Aのねじ穴のまわりに形成したU字状のリブ20−2の内側に嵌合可能にU字状の外形の輪郭を有する凸部2A−2を設け、この凸部2A−2をリブ20−2に嵌合させている。この場合には、該嵌合によりインナーカバー20A上で保護カバー2Aの位置決めがなされるので、下枠部20aと下辺2aとの間は隙間Δがあくようにしている。保護カバー2Aの肉厚が小さい場合には、前記例のように保護カバーに凹溝2−2を形成すると強度不足になるのでこの方法が有効である。
【0052】
以上は、インナーカバー20に凸部(リブ20−2)を設けた例であったが、これに限らず、インナーカバー20に凹溝を設けて、この凹部に嵌合する形状の凸部を保護カバー2、2Aに設けても同様な位置決めが可能である。さらに、凹部、凸部の形状はU字状に限らず任意であることはいうまでもない。
【0053】
例4.
さらに他の位置決め方法を説明する。本例は、前記凸部及び前記凸部と嵌合する凹部(円或いは多角形の凹部を含む)若しくは面(矩形凹部の対向部を含む)におねじ30による締結方向に進むに連れて径寸法が小さくなる傾向のテーパを付けた(請求項5)。
【0054】
図11の例では、インナーカバー20Aに、保護カバー2Bの裏側に形成したボス状の凸部2B−2に嵌合する凹部20A−2を設けたものである。図10の例ではインナーカバー20に凸状のリブ20−2を設けたが、この例では、凹部20A−2を設けた。この凹部20A−2はねじ穴の部位を局部的に低くした凹部とし、ねじ穴から離れた平坦部よりも低く段差を付けた凹状の部位として、凸部2B−2を嵌合するように形成し、おねじ30で締結作業中に保護カバー30の位置出しができるようにしている。この場合には、該嵌合部により位置決めがなされるので、下枠部20aと下辺2aとの間は隙間Δがあくようにしている。
【0055】
さらに、図11に示す例では、凸部2B−2の立ち面2B−2aと凹部20A−2の立ち面20A−2aをそれぞれ斜面にし、これら斜面の傾向をおねじ30による締結方向に進むに連れて径寸法が小さくなる傾向のテーパとしている。
【0056】
かかるテーパを付することにより、保護カバー2を保持したままでなくても、おねじ30を締めるに従って、保護カバー2の裏側の凸部2B−2が立ち面2B−2a、20A−2a同士で滑りながら凸部2B−2の座2B−3の部分が凹部20A−2の底面20A−2bに突き当たり位置決めされる。
【0057】
底面20A−2bの形状は円形であり、これと嵌合し得る大きさの円形をした保護カバー2Bの裏側の座2B−3と密着して嵌合するようにしているので、インナーカバー20Aに対して保護カバー2Bをしっかりと位置決めすることができる。
【0058】
ここで、保護カバー2Bのテーパとインナーカバー20Aのテーパの度合いとを概略同じすれば、より嵌合度は良好となる。底面20A−2bの形状及び、保護カバー2Bの裏面の座2B−3の形状は円形に限らず、多角形でもよい。底面20A−2bの形状及び、保護カバー2Bの裏面の座2B−3の形状が矩形の場合には、矩形凹部の任意の対向部がおねじ30による締結方向に進むに連れて径寸法が小さくなる傾向のテーパとし、残る対向部はテーパが付されていなくてもよい。
【0059】
望ましくは、テーパが付された立ち面2B−2aと立ち面20A−2aの斜面角度は一致するのがよいが、樹脂成形上の公差によるでき上がり誤差を考慮して、立ち面20A−2aの傾斜を立ち面2B−2aの傾斜に対して拡がる方向(テーパの度合いが大きい)傾斜とし、斜面同士が干渉しないようにすることもできる。なお、凹部をインナーカバー20Aに設けるのではなく、保護カバー2Bの裏側に設け、凸部を保護カバー2Bではなくインナーカバー20Aに設けてもおねじ30で締結作業中に、保護カバー2Bの位置出しができる。
【0060】
例5.
本例は、開放穴を有する保護カバー2について、おねじ30のねじ頭が当たる面にねじ頭と概略等しい径の凹状部を形成した。なお、インナーカバーに開放穴を形成し、インナーカバー側からおねじを螺入する構成では凹状部をインナーカバーに形成する(請求項6)。
【0061】
おねじ30のねじ頭は保護カバー2から飛び出さない構成とすれば外観も良好であるし、ユーザーがねじ頭に直接触れにくくなるため、操作性も良好となる。そこで本例では、図12に示すように開放穴40を有する保護カバー2について、おねじ30のねじ頭が当たる面にねじ頭と概略等しい径の凹状部41を形成した。
【0062】
このおねじ凹状部41は、保護カバー2の面上で、おねじ30のねじ頭の高さ以上、局部的に低く下げた円形の座面41aを有し、この座面41aがおねじ30のねじ頭に接して締結される。凹状部41の底面41aの径をおねじ30のねじ頭の径と概略等しくすることで、おねじ30を締めていくに従って保護カバー2を定位置に定めることができる。
【0063】
さらに、この凹状部41の立ち面41bを斜面とし、凹状部41の上部の径を底面部41aの径よりも大きくして凹状部41の側面をテーパの付された傾斜面とする(請求項7)。ここで、座面41aの形状をねじ頭の大きさと等しくするか若干大きくすれば、おねじ30を締めていくに従って、ねじ頭の外形に立ち面41bが当たり、保護カバー2が滑って保護カバー2を定位置、つまり、おねじ30の位置に倣う定まった位置に定めることができる。
【0064】
例6.
保護カバー2の開放穴40がおねじ30の締結により拡がるのを防止する例を前記例3(図6乃至図8)で説明したが、本例も同様の効果を狙い、図12に示すように、おねじ30のねじ頭よりも高い位置で、保護カバー2の開放穴40の開放端部を架橋状に連結する連結部材41cを設けた構成としている(請求項2)。
【0065】
おねじ30の締結を妨げないようにするため、補強部材41cを設ける位置は、おねじ30が差し込まれる位置からずらした位置としている。
【0066】
補強部材41cを、おねじ30のねじ頭よりも高い位置としたのは、保護カバー2をずらすことができる状態となるまでおねじ30を緩めたとき、保護カバー2をずらすのに伴なって補強部材41cが該補強部材41cに干渉するのを避けるためである。
連結部材は、その機能上、開放穴40の開放端部で対向する部位がおねじ30の締結に伴ない拡がらないような強度を有していることは勿論である。
【0067】
例7.
保護カバー2をインナーカバー20に重ね、保護カバー2に設けた開放穴40を貫通させておねじ30をインナーカバー20に螺入してインナーカバー20に保護カバー2を固定する例では、おねじ30を緩める際に、緩め傾向に回し過ぎておねじ30がインナーカバー20から抜けて出してしまうおそれがある。インナーカバー20に開放穴をあけ、保護カバーにおねじを螺入する構成でも同様のことがいえる。
【0068】
本例は、おねじを以って保護カバー2及びインナーカバーを貫通した構成とした上で、おねじ30の先端部におねじの外れ防止部材を設けた(請求項9)。図13に示した例では、概略の構成は前記した図10に示したものと共通し、おねじ30がインナーカバー20のボス20−1を貫通している点が異なる。その上で、おねじ30の先端部に、おねじ30が完全に外れて落下しないように、ピン状をした外れ防止部材31を該おねじ30の径部を貫通挿入している。
【0069】
例えば図13では、リブ20−2の高さdの長さ分、おねじ30を緩めれば、図9に斜線で示した凸状の縁部がリブ20−2の上に位置してのり越えることができ保護カバー2を外すことができる。よって、ボス20−1の端部から外れ防止材31までの距離を符号eで示せば、d<eとなる位置に外れ防止部材31を設ければよいことになる。この外れ防止材31に代えて、Eリング、Cリング等の汎用リングを外れ防止部材として代用することができる。
【0070】
さらに、図14、図15、図16に示すような各種の外れ防止部材をおねじ30の先端側から挿入しておねじ30を回し過ぎることによる抜け止めを防止する抜け止め防止手段とすることも考えられる。Eリング、Cリング等の汎用リングは、インサート・ナットスタッドと異なり、取り外しが可能である。
【0071】
なお、図13の例において、リブ20−2と保護カバー2Aとの嵌合部により位置決めがなされるので、下枠部20aと下辺2aとの間は隙間Δがあくようにしている。
【0072】
図14に示すように中心部に弾性変形可能でおねじ30に螺入可能な開口を形成したリングからなる外れ防止部材31aを使用することもできる。図15に示すように中心部に外部と連通して弾性変形可能ででおねじ30に螺入可能な開口を形成したリングからなる外れ防止部材31bを使用することもできる。この外れ防止部材31bはつまみ32がついているので、一層分解性が向上する。
【0073】
図16に示した外れ防止部材31cは中心部にねじ穴33を形成したキャップ状のもので、該ねじ穴33におねじ30を回し込んでおねじ30に固定する。分解時は、逆方向に回せば簡単に取り外せる。回し易くするため、キャップの外周に溝34を設けると作業性が良好になる。
【0074】
これらの例により、おねじが保護カバーやインナーカバーから飛び出して、はずれるのを防止することができる。
【0075】
例8.
これまでの例では、保護カバーに形成した開放穴40は該保護カバーの外部に連通した開放穴であった。また、インナーカバーに形成する開放穴についても同様に外部に連通した開放穴であった。かかる開放穴を形成することなく、保護カバーをインナーカバーに対してずらし、或いは取り外すようにしたのが、本例である。
【0076】
図17に示すように、本例では、おねじのねじ頭が当接する側の部材である保護カバー2について、おねじ30の締結位置におねじ30のねじ頭より小さくおねじ30のねじ部が貫通できる径の長穴50を形成し、さらにおねじ30による締結位置から外れた位置にてこの長穴50におねじ30のねじ頭より大きい円形の穴51を連通し、外部とは連通していない複合穴52を形成している。
【0077】
前述の開放穴の場合は、該開放穴の開放端部の拡がりを防止する手段、例えば、前記凹溝2−2や、連結部材41cなどが必要になることがある。しかし、何らかの事情により、前述した拡がり防止の手段を実施できない場合には、複合穴52を用いればよい。複合穴52を使用する場合には、おねじ30を緩めた後、矢印A方向に保護カバー2をずらして、おねじ30が長穴50の端部から移動して穴51の部位に位置するようにする。穴51はおねじ30のねじ頭よりも大きいため、次に保護カバー2を穴51の軸線方向上、手前側の矢印B方向に引くことでおねじ30のねじ頭を通過させて、保護カバー2をインナーカバーから取り外すことができる。
【0078】
例9.
以上の例では、おねじ30がタッピンねじであるものとして説明したが、タッピンねじでないねじを使用することも可能である。その場合の例を以下に説明する。本例は、保護カバー2についておねじ30が貫通する貫通部の裏側に、おねじ30と螺合するめねじが形成されたナットを保持するナット保持部を設けた(請求項2)。
【0079】
図18、図19は、インナーカバー20の裏面にねじ切りされたナット60を保持するナット保持部61を固定した例である。ナット保持部61はナット60の外形である六角形状に嵌合し得る六角形の内側形状をした凹形をしていて、六角の各辺に対応した板状の壁部を有している。
【0080】
この板状の壁部の任意の一つについて、間隔をおいて2つのスリット61a、61bや開口61dが形成されることにより、弾性変形を容易にしてナット60の着脱を容易にしている。これらスリット61a、61bに挟まれた壁部の内側にはナットの飛びだしを防止する抜け止め用の凸部61cが形成されている。
【0081】
図18に示したナット保持部61は六角形の筒形をしていて、その底部に相当する部位にはおねじ30を貫通するための穴61eが形成されている。このナット保持部61内にナット60を嵌合挿入しておき、図19に示すように保護カバー2側からおねじ30を挿入してナット保持部61内のナット60に螺入することにより保護カバー2をインナーカバー20に固定することができる。
【0082】
この例では、六角ナット60として汎用のナットを用いたが、これに限ったものではない。従来用いられていたインサートナット・スタッドは一度埋め込まれると分解不可能であったが、本例のようにナット60を保持するナット保持部61を用いたときには、スナップフィットの為、容易に分解が可能である。
【0083】
図20、図21において、矢印Cは上下方向を示す。この例では、ナット保持部71がナット60をスライド可能に保持する部材として構成されている。このナット保持部71は上から見た形状がコの字状をしたナットのガイド兼保持の部材である。つまり、ナットの六角形状をした部分の対向する2つの辺部をガイドする対向片部71a、71bと、締結時に六角ナットの軸直角方向での片側面に接する押圧面71cを有する。
【0084】
このナット保持部71の下端部はナット60の一つの角部を保持できる120度の角度に形成されている。かつ、このナット保持部71の中心部にはおねじ30の貫通用開口71dが形成されている。このナット保持部71は図21に示すように、予めインナーカバー20の裏側に固定しておく。
【0085】
その上で、重力方向に対し、上方(矢印C方向の上側)から、ナット60を対向片部71a、71b、押圧面71c及びインナーカバーの裏面で囲まれた溝状開口にナット60を落とし込むのである。
【0086】
すると、ナット60はナット保持部71に回転不能に保持される。その上でおねじ30を螺入する。ナット保持部71は下方向が袋状になっているので、おねじ30を外しきってもナット60は下に落下せずナット保持部71に保持されたたままとなり、再度おねじ30を回転すればねじ止め可能である。
【0087】
ナット60は汎用ナットを使用できるが、汎用でなく専用のものを使用することもできる。ナット保持部71を樹脂材で形成し、厚さと対向片部71a、71bの高さを工夫することにより、樹脂材の弾性を利用してナット60を若干圧入気味にすることも可能である。
【0088】
本例では、ナット保持部71とインナーカバー20とで形成される上記溝状開口に、ナット60や、ナット60相当のねじ穴を設けた部材を挿入しただけで保護カバー2の締結を行うことができ、分解時も上記溝状開口から簡単にナット60等を取り外すことができる。ナットは六角形の例で説明したが、六角に限らない。矩形でもよい。
【0089】
取り外すことを想定した保護カバーを樹脂部材のインナーカバーに締結する場合、インサートナット・スタッドを用いると、リサイクル性が損なわれ、セルフタッピンねじを使用すると繰り返しの締結によって、樹脂部材のねじ溝が破損なそして締結時の一体化の強度が減少するという問題があったが、本例によりそれを解決することができた。
【0090】
例10.
ここまでの説明は、開放穴40や複合穴52を保護カバー2に設けた例であったが、おねじ30の締結方向によっては、インナーカバー20にこれら開放穴40や複合穴52に相当する開放穴40'や複合穴52'を設けることも可能である。
【0091】
図22に示した例では、保護カバー2にはねじ穴があけられ、インナーカバー20には上下方向に矢印Cで示すように上下方向に長い開放穴40'が形成されている。保護カバー2はインナーカバー2の裏側に重ねられて、おねじ30は手前側より、インナーカバー20に形成された開放穴40'を貫通して保護カバー2に螺入されている。
【0092】
おねじ30を締めることにより、保護カバー2はインナーカバー20と一体化される。保護カバー2をインナーカバー20から取り外す際にも、おねじ30を少し緩めるだけでよく、おねじ30は保護カバー2に螺入されたままであり、おねじ30を緩めた後に開放穴40'の方向である矢印Cに沿う上向きに保護カバー2をずらせば、保護カバー2をインナーカバー20から外すことができる。
【0093】
図22に示した例では、保護カバー2にはねじ穴があけられ、その一部がインナーカバー20の裏側に重ねられていて、おねじ30は手前側より、インナーカバー20に形成された前記複合穴52に準じて形成された複合穴52'を貫通して保護カバー2に螺入されている。
【0094】
長穴50'の位置でおねじ30を締めるすることにより保護カバー2はインナーカバー20と一体化される。保護カバー2をインナーカバー20から取り外す際にも、おねじ30は保護カバー2に螺入されたままであり、おねじ30を緩めた後に矢印Aの向きに保護カバー2をずらすことにより、該保護カバー2と共におねじ30を大きい穴51'の位置に移動させることができ、おねじ30を螺入したままで保護カバー2を矢印B'の奥側に向けて移動すれば、おねじ30を穴51'から抜いて保護カバー2を外すことができる。
【0095】
なお、これらの例で、開放穴40'や、複合穴52'の形成方向は任意に設定することができる。また、保護カバー2を完全にインナーカバー20から取り外すことなく、防塵ガラス112の着脱可能な範囲で単に保護カバー2の位置をずらすだけの構成とすることもできる。このように、インナーカバー20に開放穴40'や複合穴52'を設けた例においても、適宜前記した各例における構成を適用することができる。
【0096】
最後に、以上では第1の部材、第2の部材として、インナーカバーと保護カバーで説明したが、この例に限定したものではなく、ユーザーに開放していない取り外しが必要な樹脂部材に応用できる。
【0097】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、開放穴の拡がりを防止できる。請求項2記載の発明では、ナット保持部でナットを保持するので、インサートナット・スタッドを圧入する必要がなくなり、製造工程の短縮を図ることができる。ナット保持部の材質が合成樹脂の場合、リサイクル性が向上する。請求項3記載の発明では、両部材の一体化を解除する際、作業者が、目視で取り外し方法が判る。請求項4記載の発明では、第1の部材と第2の部材の両部材の一体化に際して両部材間の位置出しを容易かつ、しっかりできる。請求項5記載の発明では、両部材間のテーパ同士の噛み合い作用によりおねじで締結作業中に、第1の部材と第2の部材との位置出しがしっかりできる。請求項6、7記載の発明では、第1の部材又は第2の部材を定位置に定めることができる。請求項8記載の発明では、突き当てにより両部材の位置出しが容易にできる。請求項9記載の発明では、おねじが第1の部材や第2の部材から飛び出して、外れるのを防止することができる。請求項10記載の発明では、メンテナンス部材の保守点検、修理などが簡単な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】画像形成装置の前面開口部を撮影した写真である。
【図3】図2の要部を描き起こした説明図である。
【図4】画像形成装置の前面開口部において保護カバーを閉じた状態を撮影した写真である。
【図5】図4の要部を描き起こした説明図である。
【図6】保護カバーを拡大して示した図である。
【図7】画像形成装置の前面開口部において保護カバーを開けた状態を撮影した写真である。
【図8】図7の要部を描き起こした説明図である。
【図9】保護カバーを裏側から見たときの正面図である。
【図10】保護カバーをインナーカバーに取り付けた状態を示した断面図である。
【図11】保護カバーをインナーカバーに取り付けた状態を示した断面図である。
【図12】保護カバーの一部を示した斜視図である。
【図13】保護カバーをインナーカバーに取り付けた状態を示した断面図である。
【図14】おねじの外れ防止部材の一例を示した斜視図である。
【図15】おねじの外れ防止部材の一例を示した斜視図である。
【図16】おねじの外れ防止部材の一例を示した斜視図である。
【図17】保護カバー2に形成した複合穴を例示した斜視図である。
【図18】ナット及びナット保持部を説明した分解斜視図である。
【図19】保護カバーをインナーカバーに取り付けた状態を示した断面図である。
【図20】ナット及びナット保持部を説明した分解斜視図である。
【図21】保護カバーをインナーカバーに取り付けた状態を示した図20におけるk―k断面図である。
【図22】インナーカバーに開放穴を設けて保護カバーを固定する場合の分解斜視図である。
【図23】インナーカバーに複合穴を設けて保護カバーを固定する場合の分解斜視図である。
【図24】第1の部材にインサートナット・スタッドを植えておねじを螺入する例を説明した断面図である。
【符号の説明】
1 保護カバー
20 インナーカバー
30 おねじ
Claims (10)
- 樹脂からなる第1の部材に取り外し可能な樹脂からなる第2の部材の一部を重ね、この重なりの部位をおねじで締結することにより、両部材を一体化し、必要に応じて該おねじを緩めることにより両部材の一体化を解除することが可能な部材間のねじ止め構造において、
前記第1の部材又は前記第2の部材の一方の部材にのみ、おねじが貫通する開放穴を設けると共に、前記おねじのねじ頭よりも高い位置で、前記開放穴の開放端部を架橋状に連結する連結部材を設けたことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項1に記載の部材間のねじ止め構造において、
前記第1の部材または前記第2の部材の前記おねじ貫通部の裏側に、前記おねじと螺合するめねじが形成されたナットを保持するナット保持部を設けた構成としたことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項1又は2に記載の部材間のねじ止め構造において、前記開放穴又は前記複合穴が、前記おねじ締結時に該おねじのねじ頭から露出する大きさで形成されていることを特徴とする部材間のねじ止め構造。
- 請求項1乃至3の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、
前記第1の部材または前記第2の部材の一方に凸部を設け、他方に前記凸部に嵌合する凹部もしくは壁が形成されていることを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項4に記載の部材間のねじ止め構造において、
前記凸部及び前記凸部に嵌合する凹部に前記おねじによる締結方向に進むに連れて径寸法が小さくなる傾向のテーパを付けたことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項1乃至5の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、
前記第1の部材又は前記第2の部材の何れかについて、前記おねじのねじ頭が当たる面に前記ねじ頭と概略等しい径の凹状部を形成したことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項6記載の部材間のねじ止め構造において、
前記凹状部の底面部の径を前記おねじのねじ頭の径と概略等しくし、該凹状部上部の径を前記底面部の径よりも大きくして前記凹状部の側面を傾斜面としたことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項1乃至5の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、
前記第1の部材又は前記第2の部材の一方に前記開放穴又は前記複合穴を設けたとき、これら開放穴又は複合穴の位置決めをするための突き当て部を両部材に設けたことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - 請求項1乃至8の何れか一つに記載の部材間のねじ止め構造において、
前記おねじの先端部に当該おねじの外れ防止部材を設けたことを特徴とする部材間のねじ止め構造。 - メンテナンスが必要とされるメンテナンス部材を有する光書き込みユニットを内包し、該光書き込みユニットが前記メンテナンス部材の出し入れ部材で覆われ、前記保護カバーが開閉可能な構成の画像形成装置において、
請求項1乃至9記載の第1の部材と第2の部材との組み合わせを前記保護カバーと該保 護カバーを保持する部材との組み合わせとしたことを特徴とする画像形成装置。
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