JP4138460B2 - エレベータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ、特に、エレベータを保守・修理等を行う際、乗降口の手前に配置する安全柵等の保守備品を保管することが可能なエレベータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エレベータにあっては、安全管理の観点から、定期的な点検や消耗部品の交換作業を行うなどの保守・修理等が行われるのが一般的である。
【0003】
この際、エレベータの乗降口を開閉するエレベータ扉を開放する時には、保守・修理作業中でエレベータの使用ができないことを認識させると同時に、一般の人が乗降口に近寄らないようにするため、乗降口の周囲に安全柵を設置している。
【0004】
この際、安全柵を保守・修理業者が携帯するには、その他必要な交換部品等を余分に搬送しなければならない等を考慮すると、必ず必要とし且つ大型な安全柵は、エレベータ設置の建物に常備品として保管しておくほうが便利である。
【0005】
図8は、このようなエレベータ設置の建物に常備する一例を示し(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図8において、1はエレベーターの乗降口、2は乗降口1の乗り場枠、3は乗降口1を開閉する乗り場扉、4は必要時には乗降口1の周囲に乗降口1を囲むように設置可能な一対の安全柵である。
【0007】
また、5は乗降口1の両脇の乗り場枠2にそれぞれ構成されて一対の安全柵4を独立して保管するための保管庫、6は各保管庫5の内壁に取り付けられて安全柵4の各一端を倒れないようにそれぞれ固定する固定金具、7,8は安全柵4の各他端に取り付けられて安全柵4の他端同士を連結するように係合可能な雌雄の異なるフック、9は各保管庫5に開閉自在に取り付けられた扉、10は扉9に取り付けられた扉ロックである。
【0008】
安全柵4は、複数本の竪桟と横桟とから格子枠状に構成された複数枚の遮蔽パネル4aと、この遮蔽パネル4aを回転自在に連結する複数個の蝶番4bと、各遮蔽パネル4aの竪桟の下端部に取り付けられ、床面を自由に走行する複数個のキャスター4cとを備え、保管庫5の中に保管できる大きさに自由に折り畳めるように構成されている。尚、安全柵4は、必ずしもこのような構成に限られるものではなく、伸縮自在に構成されていてもよい。
【0009】
このような構成において、常時は、安全柵4は保管庫5の中にそれぞれ保管され、扉9を閉めた状態で扉ロック10で施錠されている。
【0010】
そして、エレベータの保守・修理等で乗降口1を開けっ放しにするときは、扉ロック10を開錠し、扉9を開放し且つ保管庫5の中から安全柵4を引き出して乗降口1を取り囲むように展開する。
【0011】
また、安全柵4の各一端を保管庫5の開口付近で固定金具6に引っかけて倒れないように支持し且つフック7,8を係合させる。
【0012】
保守・点検等が終了したら、フック7,8の係合を解除し、安全柵4の一端を固定金具6より外し、そして、安全柵4をもとの状態に折り畳みつつ保管庫5の中にそれぞれ保管した後、扉9を閉めて扉ロック10を施錠する。
【0013】
このような構成によれば、安全柵4がエレベータの乗り場枠2に設けられた保管庫5にそれぞれ保管されているので、安全柵4を必要に応じて乗降口1の前に速やかに立設することができる。
【0014】
【特許文献1】
特開平7−267558号公報(段落番号0009−0015、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如く構成されたエレベータにあっては、乗り場枠2の左右両側に2箇所に扉9で開閉される保管庫5をそれぞれ形成しなければならず、乗り場枠2が大型化(奥行き方向)するばかりでなく、製造コストが高騰するうえ、既存のエレベータ設備に設置するにはエレベータ乗り場枠2を交換する必要があるといった大掛かりな設置工事が必要となるといった問題が生じていた。
【0016】
また、外部(エレベータ乗り場)に扉9並びに扉ロック10が露出しているため、見栄えを損なうばかりでなく、悪戯され易いといった問題が生じていた。
【0017】
さらに、安全柵4を使用している際には、この安全柵4よりも外側に位置する扉9の開放状態がそのままであることから、扉9がふらつき易いばかりでなく、扉9の回動可能範囲を作業スペースとして余分に使用してしまい、例えば、隣接してエレベータが設置されている建物では、乗客の待機スペースが侵略されてしまうといった問題も生じていた。
【0018】
本発明は、上記問題を解決するため、既存の乗り場枠はそのままとして乗り場枠の大型化並びに製造コストの高騰を無くすことができ、しかも、既存のエレベータ設備に設置するといった追加工事を容易に行うことができるうえ、外観上の見栄えを損なうことなく悪戯を防止することができ、さらに、作業スペースを安全柵そのものの設置スペースよりも大きく使用することが無いエレベータを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するため、本発明のエレベータは、エレベータかご本体が昇降する昇降路と連通し、且つエレベータ乗り場枠で形成される最下階の乗降口よりも下方に位置するエレベータピットが形成されたエレベータにおいて、前記乗降口と前記エレベータかご本体との間隙に設置され、前記エレベータピットの壁に固定された受け棒に係止され、外方に開放する断面略コ字形状の爪部材と、前記エレベータピットの壁に固定された受け台に保持された固定用アングルと、前記固定用アングルに設けられ、回動操作により前記受け台に設けられた係合穴に係合する、L字形状のフック部材と、前記フック部材を回転させる鍵部材と、前記固定アングルを上面から覆う上蓋とを有する蓋体ユニットと、前記エレベータピット内の該蓋体ユニットの下方に設置され、上方に開口部を有する安全柵収納箱と、前記間隙を通過可能な幅に折り畳まれて前記安全柵収納箱内に収納され、前記安全柵収納箱の前記開口部からエレベータ乗り場に取り出され、構成する複数の安全枠が展開されて使用される安全柵と、を備え、前記蓋体ユニットは、常時は前記乗降口と前記エレベータかご本体との間隙を閉鎖し、前記安全柵を前記安全柵収納箱の前記開口部から前記エレベータ乗り場に取り出す際には、前記鍵部材を回転させ、前記フック部材と前記受け台との係合を解除させ、前記固定用アングルを取り外すことで前記安全柵を通過させることを特徴とする。
【0020】
このような構成においては、エレベータかご本体が昇降する昇降路と連通するエレベータピットがエレベータ乗り場枠で形成される最下階の乗降口よりも下方に形成され、乗降口とエレベータかご本体との間が蓋体ユニットにより開閉可能とされ、この蓋体ユニットの下方に安全柵収納箱が設置され、蓋体ユニットが乗降口とエレベータかご本体との間を開放しているときに取り出し可能な安全柵が安全柵収納箱内に収納されている。
【0021】
また、本発明のエレベータは、前記安全柵は、コの字形状の第1の側方用安全枠と、前記第1の側方用安全枠に第1の軸を介して側方用安全枠の内部に回転可能に保持されるコの字形状の正面用安全枠と、前記正面用安全枠に第2の軸を介して正面用安全枠の内部に回転可能に保持されるコの字形状の第2の側方用安全枠と、から構成されることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明のエレベータは、前記上蓋は、弾性体からなり、前記鍵部材が前記上蓋により常時は覆われていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のエレベータは、前記上蓋は、その先端側が他の構成部材よりも先端側に突出していることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のエレベータの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明のエレベータの最下階の縦断面図、図2は本発明のエレベータの平断面図、図3は固定用アングルの一方の側面図、図4は固定用アングルの他方の側面図、図5は固定用アングルの正面図、図6は折り畳み状態の安全柵の外観斜視図、図7は使用状態の安全柵の平面図である。
【0026】
図1及び図2において、11は建物(全体図省略)の上下延在して形成された昇降路、12は図示を略するエレベータ駆動機器により昇降するエレベータかご本体、13はエレベータかご本体12が最下階に停止しているときにこのエレベータかご本体12よりも下方に位置するように昇降路11と連通されたエレベータピット、14は建物最下階のエレベータ乗り場、15はエレベータ乗り場14に形成された乗降口、16は乗降口15を開閉する乗り場扉である。
【0027】
エレベータかご本体12の正面(乗降口15と対向する面)の下方には、かご前垂れ17が垂設されている。
【0028】
エレベータ乗り場14には、乗り場扉16の下方に位置して乗降口15の下縁部分を形成する乗場敷居18と、乗場敷居18と連続するように昇降路11に向けて突出された上蓋19と、乗場敷居18と上蓋19との間から垂設された乗場前垂れ20とを備えている。
【0029】
上蓋19は、ゴム等の弾性材料から形成されており、エレベータピット13の一部を形成する正面壁13aに固定された受け棒21と受け台22に保持された固定用アングル23の上面に張り付けられている。
【0030】
この固定用アングル23には、図3乃至図5に示すように、その一方の側面に固定されて外方に開放する断面略コ字形状の爪部材24と、その他方の側面に水平面内で回動可能とされ且つ常時は上蓋19に覆われた鍵部材25によりその回動操作が行われる平面視略L字形状のフック部材26と、下方に向けて突出されたストッパ27とが設けられている。
【0031】
爪部材24は、図5に示すように、受け棒21と係合し、これにより固定用アングル23の上下方向並びに幅方向の一方の動きを規制する。また、受け棒21の先端には係止頭部21aが一体に形成されている。
【0032】
フック部材26は、鍵部材25の操作により固定用アングル23から突出している状態のときに受け台22の上面に当接すると共に、この受け台22の先端に形成された爪部22aに形成された係合穴22bに先端が係合する。
【0033】
これにより、フック部材26は、固定用アングル23の上下方向並びに乗場敷居18から離反する方向の動きを規制する。
【0034】
ストッパ27は、受け台22の側面と当接し、これにより固定用アングル23の幅方向の他方の動きを規制する。
【0035】
一方、乗場前垂れ20には、図1に示すように、上方に開口した安全柵収納箱28が設けられている。尚、この安全柵収納箱28は、図2に示すように、正面壁13aに固定しても良いが、何れの場合においても、安全柵収納箱28の開口は固定用アングル23の下方に位置すると共に、この固定用アングル23よりも小さいものが用いられる。
【0036】
他方、この安全柵収納箱28内には、図6,図7に示すような安全柵29が収納可能となっている。
【0037】
この安全柵29は、下向きの正面視略コ字形状の側方用安全枠30と、この側方用安全枠30の一端寄りに軸31を介して回動可能に保持された正面用安全枠32と、この正面用安全枠32の軸31とは反対の端部寄りに軸33を介して回動可能に保持された側方用安全枠34とを備え、常時は図6に示すような収納状態で安全柵収納箱28内に収納され、使用時には図7に示すような展開状態で乗降口15を囲むことが可能となっている。
【0038】
尚、安全柵29は公知のものを使用することができることは勿論である。また、各枠30,32,34には、注意書き等を記載した布製の幕35(側方用安全枠34にのみ図示)を設けることができる。
【0039】
この際、幕35をある程度の強度を備えた薄い布体とすることにより、安全柵29を収納状態とするときのストッパとすることができる。
【0040】
上記の構成においては、まず受け棒21と受け台22とを正面壁13aに固定する。
【0041】
次に、安全柵収納箱28を乗場前垂れ20(若しくは正面壁13a)に設置すると共に、安全柵29を安全柵収納箱28内に収納する。
【0042】
この状態から、上蓋19、爪部材24、鍵部材25、フック部材26、ストッパ27を固定用アングル23に装着して蓋体ユニットを構成して受け棒21と受け台22とに支持させる。
【0043】
この際の固定用アングル23の保持操作としては、受け棒21に爪部材24を係合させた後、ストッパ27を受け台22の側面に当接させた状態でフック部材26を鍵部材25の操作により回動させ、フック部材26の先端を係合穴22bに係合させる。
【0044】
尚、上蓋19は、図5に示すように、少なくとも鍵部材25の上方付近はこの鍵部材25の操作を可能とするためにめくることができるようになっている(矢印A参照)。
【0045】
これに対し、安全柵29を使用する場合には、鍵部材25の操作によりフック部材26と係合穴22bとの係合状態を解除させ、受け棒21と爪部材24との係合状態を解除させつつ固定用アングル23を取り外す。
【0046】
これにより、安全柵29の開口が乗降口15から露出するため、安全柵29を取り出すことができる。
【0047】
尚、固定用アングル23(及び上蓋19)は、既存のエレベータにおける乗場敷居18とエレベータかご本体12との間にできる隙間に位置しているため、既設のエレベータへの追加も容易である。
【0048】
また、この隙間を閉成する機能を具備することから、固定用アングル23の先端よりも上蓋19の方がエレベータピット13側に突出するようにすることが望ましい。
【0049】
即ち、乗場敷居18とエレベータかご本体12との間にできる隙間は、エレベータかご本体12が揺れた際に乗場敷居18にエレベータかご本体12がぶつかることを防止するためのものであることから、この揺れを許容するためにゴム等の弾性のある上蓋19を固定用アングル23よりも突出させている。
【0050】
【発明の効果】
本発明のエレベータにあっては、以上説明したように構成したことにより、既存の乗り場枠はそのままとして乗り場枠の大型化並びに製造コストの高騰を無くすことができ、しかも、既存のエレベータ設備に設置するといった追加工事を容易に行うことができるうえ、外観上の見栄えを損なうことなく悪戯を防止することができ、さらに、作業スペースを安全柵そのものの設置スペースよりも大きく使用することが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わるエレベータの最下階の縦断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係わるエレベータの平断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係わる固定用アングルの一方の側面図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係わる固定用アングルの他方の側面図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係わる固定用アングルの正面図である。
【図6】 折り畳み状態の安全柵の外観斜視図である。
【図7】 使用状態の安全柵の平面図である。
【図8】 従来のエレベータを示し、要部の斜視図である。
【符号の説明】
12 エレベータかご本体、11 昇降路、13 エレベータピット、15 乗降口、19 上蓋(蓋体ユニット)、23 固定用アングル(蓋体ユニット)、24 爪部材(蓋体ユニット)、25 鍵部材(蓋体ユニット)、26 フック部材(蓋体ユニット)、27 ストッパ(蓋体ユニット)、28 安全柵収納箱、29 安全柵。
Claims (4)
- エレベータかご本体が昇降する昇降路と連通し、且つエレベータ乗り場枠で形成される最下階の乗降口よりも下方に位置するエレベータピットが形成されたエレベータにおいて、
前記乗降口と前記エレベータかご本体との間隙に設置され、前記エレベータピットの壁に固定された受け棒に係止され、外方に開放する断面略コ字形状の爪部材と、前記エレベータピットの壁に固定された受け台に保持された固定用アングルと、前記固定用アングルに設けられ、回動操作により前記受け台に設けられた係合穴に係合する、L字形状のフック部材と、前記フック部材を回転させる鍵部材と、前記固定アングルを上面から覆う上蓋とを有する蓋体ユニットと、
前記エレベータピット内の該蓋体ユニットの下方に設置され、上方に開口部を有する安全柵収納箱と、
前記間隙を通過可能な幅に折り畳まれて前記安全柵収納箱内に収納され、前記安全柵収納箱の前記開口部からエレベータ乗り場に取り出され、構成する複数の安全枠が展開されて使用される安全柵と、を備え、
前記蓋体ユニットは、常時は前記乗降口と前記エレベータかご本体との間隙を閉鎖し、前記安全柵を前記安全柵収納箱の前記開口部から前記エレベータ乗り場に取り出す際には、前記鍵部材を回転させ、前記フック部材と前記受け台との係合を解除させ、前記固定用アングルを取り外すことで前記安全柵を通過させることを特徴とするエレベータ。 - 前記安全柵は、コの字形状の第1の側方用安全枠と、前記第1の側方用安全枠に第1の軸を介して側方用安全枠の内部に回転可能に保持されるコの字形状の正面用安全枠と、前記正面用安全枠に第2の軸を介して正面用安全枠の内部に回転可能に保持されるコの字形状の第2の側方用安全枠と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
- 前記上蓋は、弾性体からなり、前記鍵部材が前記上蓋により常時は覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ。
- 前記上蓋は、その先端側が他の構成部材よりも先端側に突出していることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ。
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