JP4138457B2 - 机における配線装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、机の天板の後部下面に配線ダクトを設け、この配線ダクトに挿通したコード類を天板上へ導く挿通部、またはコード類と接続するコード差込口を、天板の後部に設けた配線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
机の天板の後部下面に配線ダクトを設けたものとしては、例えば特開2002−34698号公報に、天板上面前寄り部位に、パーソナルコンピュータ等を使用するための電源線や、インターネットを利用するときの通信回線等の情報線に接続するための複数のコンセントを設け、かつ前記コンセントを取り付けた情報ボックスを天板上に固定し、配線孔を、天板に上下に貫通するように穿設した机が記載されている。
【0003】
この机の天板の後部下面における配線孔が穿設されている部位において、左右の脚支柱の上端同士を繋ぐ連結杆には、左右に長い断面上向きコ字状の配線ダクトがビス止めされている。さらに、配線ダクトの前部と下部を覆う左右に長いカバーが設けられており、このカバーの上端の係止部を、天板の下面に設けたボルトに対して、着脱自在に係止するようになっている。このカバーは、配線ダクトの後片と天板下面との間にコード類を挿通する隙間を形成するために、配線ダクトの後片が前片に対して低く設定されていることに伴う、見栄えの低下を防止し、かつコード類へのいたずら防止を目的として設けられているものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−34698号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような机の配線装置においては、配線ダクトにカバーを設けてあるので、見栄えやいたずら防止に関しては一定の効果は見込めるものの、カバーは着脱自在に係止されるようになっているため、容易に外すことができ、いたずら防止に対して不十分であった。また、配線ダクトの前方と下方とにわたって覆うカバー部材を、別部品として設けなければならないため、部品点数が増加するという問題もある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、容易にカバーを外すことができないようにして、いたずら防止に効果的な机の配線装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 机の天板の後部下面に配線ダクトを設け、該配線ダクトに挿通したコード類を、天板上へ挿通する挿通部またはコード類と接続するコード差込口を天板後部に設けた机の配線装置であって、前記配線ダクトを、上端縁が天板下面に当接または近接する断面上向コ字形とするとともに、配線ダクトの後片の上部を、該後片の上下方向の中間部で後方側に弾性屈曲可能とし、かつ、天板の後部下方に後面板を着脱可能に設けるとともに、後面板の前面上部を、前記配線ダクトの後片上部と当接させて、後片上部を後方に屈曲不能とする。
【0008】
(2) 上記(1)項において、配線ダクトの前片の後面における上下方向の中間部に、補助配線受部を突設する。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)項において、左右の脚支柱間に、天板下面を支持する連結杆を設け、この連結杆に配線ダクトを取り付ける。
【0010】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、左右の脚支柱間の後部と後面板とを着脱可能に連結する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明を適用した机を示すもので、机(1)は、前向き(以下、図1の右方を前として説明する)コ字状をなす左右1対の脚支柱(2)(2)間の上面にわたって、天板(3)を載設して構成されている。左右の脚支柱(2)(2)間の後端上部には、後面板(4)が取付けられている。また、左右の脚支柱(2)(2)間において、天板(3)の下面には吊支棚(5)が取付けられている。
【0012】
左右1対の脚支柱(2)(2)の上端同士は、天板(3)の下面を支持する断面前向きコ字状の連結杆(6)によって連結されている。連結杆(6)は、ボルト(7)により脚支柱(2)に固定され、かつ天板(3)は、ボルト(8)により連結杆(6)に取り付けられている。
【0013】
連結杆(6)の後面には、上端縁が天板(3)の下面に当接または近接する断面上向コ字状の配線ダクト(9)の後片(9a)が、リベット(10)により取り付けられている。
【0014】
配線ダクト(9)の前片(9b)の後面における上下方向の中間部には、断面後向L字状の補助配線受部(9c)が、長手方向に沿って突設されている。この補助配線受部(9c)は、配線ダクト(9)内でコード類(C)の電源線(D)と信号線(S)が接近して配線された場合、信号線(S)に電源線(D)で発生するノイズが悪影響を及ぼすのを防止するために、両者を隔離するものである。
【0015】
補助配線受部(9c)は、上面が開口する断面コ字状の配線ダクト(9)内を上下に仕切るように位置させてあるため、配線ダクト(9)の幅を増大させることはなく、狭いスペースへの取り付けが容易である。
【0016】
配線ダクト(9)は、硬質の合成樹脂を押出成形してなり、その後片(9a)の上下方向の中間部に、軟質の合成樹脂で成形された蝶番部(9d)が、長手方向に沿って配設されている。この蝶番部(9d)は、配線ダクト(9)を押出成形するにあたって、性質の異なる樹脂材料を同時に成形型から押出す同時押出により成形される。
【0017】
この蝶番部(9d)が軟質樹脂からなっているため、配線ダクト(9)の後片(9a)の上部は、後片(9a)の上下方向の中間部で後方側に弾性屈曲可能となっている。それにより、配線ダクト(9)を天板(3)の下面に取り付けられたままで、配線ダクト(9)内にコード類(C)を後方から挿通することができ、作業性はきわめて向上する。
【0018】
脚支柱(2)は、金属製の角筒で形成され、その下端には、床面への固定部であるベース(2a)が、溶接等にて固着されている。脚支柱(2)の内側面には、脚ダクト(11)が取り付けられている。
【0019】
脚ダクト(11)は、脚支柱(2)に固定される基板(12)と、該基板(12)と脱着可能に係合するカバー体(13)とから構成されている。基板(12)は、弾性を有する合成樹脂で成形されており、断面内向E字状で、その両側片は係合片(12a)となっており、かつ中央部には、長手方向に沿って内方を向く仕切壁(12b)が突設されている。
【0020】
カバー体(13)は、弾性を有する合成樹脂で成形されており、断面外向コ字状で、その両側片の内面には、係合爪(13a)が形成されている。
【0021】
後面板(4)は、溶接等で左右の脚支柱(2)の後部に固着されたブラケット(2b)に、ボルト(14)でもって着脱可能に連結されている。後面板(4)の前面上部は、脚支柱(2)の後部に固着された状態で、配線ダクト(9)の後片(9a)上部と当接するようになっており、その状態で、後片(9a)の上部を後方に屈曲不能に保持している。
【0022】
後面板(4)が脚支柱(2)の後部に固着された状態で、配線ダクト(9)は、後片(9a)の上部が直立した状態、すなわち閉じた状態にあり、見栄えは極めて良好である。
【0023】
天板(3)の後部の左右中央部であって、配線ダクト(9)の直上には、挿通部である左右方向に長い貫通孔(3a)が穿設されている。この貫通孔(3a)は、配線ダクト(9)中のコード類(C)を天板(3)上に案内するためのものである。
【0024】
また、貫通孔(3a)の近傍において、天板(3)の上面には、コード差込口であるコンセント(15)が取り付けられている。
【0025】
次に、この実施形態の机(1)において、コード類(C)を装着する要領について説明する。
まず、床に配線されているコード類(C)を、カバー体(13)を外した脚ダクト(11)の基板(12)に挿通する。このとき、コード類(C)のうち電源線(D)と信号線(S)を、仕切壁(12b)で隔離された基板(12)に別々に挿通する。これは、電源線(D)から発生するノイズから信号線(S)を隔離し保護するためである。
【0026】
次にコード類(C)を挿通した基板(12)の係合爪(12a)に、カバー体(13)の被係合爪(13a)を組み合わせ、強く押し付けて係合させ、基板(12)にカバー体(13)を組み付ける。
【0027】
ついで、脚ダクト(11)の上端から延出するコード類(C)を配線ダクト(9)に挿通する。このとき、後面板(4)はまだ取り付けられておらず、配線ダクト(9)の後片(9a)の上部は、後方に屈曲して開口を形成しているので、コード類(C)の挿通は容易である。また、この際、配線ダクト(9)内で電源線(D)と信号線(S)とが別々になるように、補助配線受部(9c)で隔離して挿通する。
【0028】
コード類(C)を配線ダクト(9)に挿通し終ったら、天板(3)に穿設されている貫通孔にコード類(C)を貫通させ、天板(3)上に設けられているコンセント(15)に接続して、机における配線作業は完了する。
【0029】
配線ダクト(9)内の作業が必要となったときには、スパナ等の工具で、後面板(4)を連結しているボルト(14)を外して、後面板(4)を脚支柱(2)から外し、配線ダクト(9)の後片(9a)の上部を屈曲させて開き、配線ダクト(9)内の作業を行うことできる。しかし、工具を持たない作業員以外の者は、容易に後面板(4)を外すことはできないので、配線ダクト(9)内に対するいたずらを、ある程度、防止することができる。
【0030】
以上説明したように、上記実施形態の机(1)の配線装置においては、配線ダクト(9)の後片(9a)の上部を、該後片(9a)の上下方向の中間部で後方側に弾性屈曲可能としてあるので、見栄えは向上し、かつ部品点数は減少する。
【0031】
また、天板(3)の後部下方に後面板(4)を着脱可能に設けるとともに、後面板(4)の前面上部を、前記配線ダクト(9)の後片(9a)の上部と当接させて、後片(9a)の上部を後方に屈曲不能としてあるので、配線ダクト(9)を開こうとするときは、まず後面板(4)を外す必要があるため、いたずら防止に十分効果をあげることができる。
【0032】
なお、上記の例では、コンセント(15)を、天板(3)の上面における貫通孔(3a)の近傍に取り付けたものとしてあるが、貫通孔(3a)内に装着して実施してもよい。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、配線ダクトの後片の上部を、該後片の上下方向の中間部で、後方側に弾性屈曲可能としてあるため、見栄えは向上し、かつ部品点数は減少する。
また、天板の後部下方に後面板を着脱可能に設けるとともに、後面板の前面上部を、前記配線ダクトの後片上部と当接させて、後片上部を後方に屈曲不能としてあるので、配線ダクトを開こうとするときは、まず後面板を外す必要があり、容易にカバーを外すことはできず、いたずら防止に効果的である。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、補助配線受部は、断面上向きコ字状の配線ダクト内を上下に仕切るように形成されているため、配線ダクトの幅を増大させることはなく、狭いスペースへの取り付けが容易となり、また広いスペースを確保する必要はない。
【0035】
請求項3記載の発明によれば、配線ダクトは、連結杆と後面板に狭持された状態となり、後方だけでなく前方に対しても、いたずら防止が図れる。
【0036】
請求項4記載の発明によれば、左右の脚支柱の後部と後面板とを着脱可能に連結してあるので、必要なときには、作業員は後面板を外すことが可能であり、配線ダクト内の作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した机の側面図である。
【図2】机の分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線の拡大横断平面図である。
【図4】図3のIV−IV線の拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
(1)机
(2)脚支柱
(2a)ベース
(2b)ブラケット
(3)天板
(3a)貫通孔
(4)後面板
(5)吊支棚
(6)連結杆
(7)ボルト
(8)ボルト
(9)配線ダクト
(9a)後片
(9b)前片
(9c)補助配線受部
(9d)蝶番部
(10)リベット
(11)脚ダクト
(12)基板
(12a)係合片
(12b)仕切壁
(13)カバー体
(13a)係合爪
(14)ボルト
(15)コンセント
(C)コード類
(D)電源線
(S)信号線
Claims (4)
- 机の天板の後部下面に配線ダクトを設け、この配線ダクトに挿通したコード類を、天板上へ挿通する挿通部またはコード類と接続するコード差込口を天板後部に設けた机の配線装置であって、前記配線ダクトを、上端縁が天板下面に当接または近接する断面上向コ字形とするとともに、配線ダクトの後片の上部を、該後片の上下方向の中間部で後方側に弾性屈曲可能とし、かつ、天板の後部下方に後面板を着脱可能に設けるとともに、後面板の前面上部を、前記配線ダクトの後片上部と当接させて、後片上部を後方に屈曲不能としたことを特徴とする机における配線装置。
- 配線ダクトの前片の後面における上下方向の中間部に、補助配線受部を突設した請求項1記載の机における配線装置。
- 左右の脚支柱間に、天板下面を支持する連結杆を設け、この連結杆に配線ダクトを取り付けた請求項1又は2記載の机における配線装置。
- 左右の脚支柱間の後部と後面板とを着脱可能に連結した請求項1〜3のいずれかに記載の机における配線装置。
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