JP4138343B2 - 減速体付き回転電機及びこの回転電機を用いた駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の回転を減速して出力する減速体付き回転電機と、この回転電機を利用した駆動装置、特に、電子カメラを利用した監視カメラ装置等に適した駆動装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
監視カメラ装置は、電子カメラ(TVカメラ)と、この電子カメラを水平方向回転(パン)、垂直方向回転(チルト)に回転駆動する駆動装置とを備えている。
駆動装置は、それぞれの方向の回転に利用される2つの駆動モータ(回転電機)と駆動モータの回転を伝達する伝達機構とを備える。
また、電子カメラの方向が風力や人力等の外部から作用する力により変化しないように保持するブレーキ効果も持つ必要がある。
ブレーキ効果を得るためには、減速比の大きな減速機構が必要であるため、従来の監視カメラ装置の駆動装置は、各方向の回転軸に大きな径のギヤやタイミングプーリーを取り付け、回転軸から偏心した位置に各駆動モータを配置し、その出力をギヤやタイミングベルトにより伝達していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の駆動装置では、各駆動モータが大きな径のギヤやタイミングプーリの横に取り付けられるため、駆動機構の占有スペースが大きく、駆動装置の小型化が困難である。
一方、小型化のため、可動部を直接モータの回転軸に取り付けるダイレクトドライブ方式も試みられたが、この方式ではブレーキ効果が無いために外力により電子カメラの方向が変化したり、トルクが弱いために急速な起動・停止ができないといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、特に監視カメラ装置に適用した場合に、駆動機構の占有スペースを小さくして装置全体を小型化することができ、かつ、ブレーキ効果を持ちトルクが強い回転電機、及びこの回転電機を利用した駆動装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る減速体付き回転電機は、上記の目的を達成させるため、回転子軸を含む内部を中空にしてその出力を減速して取り出すようにしたインナーロータ型又はアウターロータ型回転電機において、前記回転電機に対して軸方向の一方側に配置され、前記回転子軸の出力を減速し、前記回転子軸と同軸で中空の出力軸により出力する中空の減速体を有することを特徴とする。また、前記回転子軸を含む中空穴内に、固定フレームに前記減速体の反対側で接続された中空円筒状のスリップリング支持体を前記減速体に同心に設け、該スリップリング支持体の内側に、前記出力軸に結合された中空円筒状のスリップリング軸を回転自在に設け、前記スリップリング支持体と前記スリップリング軸との一方にスリップリングを設けると共に、他方に該スリップリング上を摺動するブラシを設け、前記スリップリングとブラシ間の導通により、前記出力軸と一体に回転する回路と前記固定フレーム側の回路とを電気的に接続したことを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、同軸タイプの減速体を用いることにより、駆動機構の占有スペースを小さくすることができる。また、回転電機、減速体がいずれも中空構造であるため、この部分にスリップリングとブラシとを設けて固定側の回路と回転側の回路とを電気的に接続することもできる。さらに、出力軸の回転を制限する必要がなくなり、かつ、スリップリング軸を軸受を介して支持体に対して回転自在に設けることにより、スリップリング軸と出力軸とが結合して構成される出力軸部を軸方向に離れた複数箇所で回転自在に保持し、出力軸の回転を安定させることができる。また、前記スリップリングはそのスリップリング軸内にリード線を通して片側のスリップリングの軸受の内部を通し、一方の入、出力端子とし又前記スリップリング支持体からリード線を引き出して他方の入、出力端子として接続することができる。
【0007】
減速体としては、調和型減速体、遊星歯車減速体、複数の二段歯車を用いた減速体等を用いることができる。
調和型減速体の場合、一段減速で30〜50の減速比を得ることができるため、回転電機への通電を遮断しても十分なブレーキ効果が得られ、外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。
また、回転電機の回転子軸にかかるトルクは、減速比の自乗に反比例するため、減速比が大きいと、負荷が大きい場合にも、急速な起動・停止が可能となる。遊星歯車減速体を用いた場合、やはり一段減速で減速比は10程度であるが、調和型減速体を利用するより軸方向の厚さを抑えることができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る減速体付き回転電機は、上記と同様の回転電機と減速体とを有し、減速体が、回転子軸側に連動しアウターナルギヤが形成された駆動側ギヤと、このアウターナルギヤに噛合するインターナルギヤが形成され、駆動側ギヤの回転を出力軸側に伝達する従動側ギヤとを備え、駆動側ギヤと従動側ギヤとの少なくともいずれか一方が、樹脂製であることを特徴とする。
【0009】
上記のように減速体の一方のギヤを樹脂製にすることにより、金属製のギヤを利用する場合と比較して安価、軽量となり、回転電機のコストを低減し、軽量化することができる。
また、調和型減速体、あるいは遊星歯車減速体を利用する場合には、駆動側ギヤと従動側ギヤとが常時複数の位置で噛み合うことになるため、1箇所の噛み合いによる場合よりもバックラッシュを低減することができ、かつ、伝達トルクが分散されるために1つの歯にかかるトルクが小さくなり、強度の低い樹脂製のギヤを用いても強度上の問題が生じない。
特に、減速体として調和型減速体を用いる場合には、弾性体で構成されて回転時に変形するウェーブギヤを樹脂製にすると、その変形によりバックラッシュを吸収させることができ、高精度の位置決めが可能となる。
【0010】
また、固定フレーム側と出力軸側との一方にスリップリングを設けると共に、他方にこのスリップリング上を摺動するブラシを設け、スリップリングとブラシ間の導通により、出力軸と一体に回転する回路と固定フレーム側の回路とを電気的に接続することができる。
スリップリングを利用することにより、出力軸と一体に回転する回路に対する電気的な配線が出力軸の回転によってねじれることがなく、出力軸の回転を制限する必要がなくなる。
【0013】
上記の本発明の減速体付き回転電機は、多関節ロボットアームの各関節駆動用のモータとして利用することができる。この場合、スリップリングとブラシとの組み合わせを用いることにより、固定側から末端側の関節駆動用のモータへの給電のためのリード線のねじれを生じさせず、各関節の回転の自由度を確保することができる。
【0014】
一方、本発明に係る駆動装置は、固定部に設けられた第1の回転電機により固定部に対して第1の可動部を第1の回転軸回りに回転駆動し、第1の可動部に設けられた第2の回転電機により第1の可動部に対して第2の可動部を第1の回転軸に対して垂直な第2の回転軸回りに回転駆動させる2軸の自由度を持つ駆動装置において、第1、第2の回転電機の少なくとも一方が、上記のいずれかの減速体付き回転電機であり、この回転電機が、出力軸を対応する回転軸と同軸にして取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、第1、第2の回転電機の一方、若しくは両方を上述した本発明の減速体付き回転電機とすることにより、従来よりも装置の小型、軽量化が可能となり、かつ、少なくともいずれかの可動部については、大きな減速比により外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。
【0016】
上記の駆動装置は、監視カメラ装置内で電子カメラの撮影方向を変化させるために用いることができる他、アンテナや照明装置、マイクロフォンの方位を3次元で変化させるための駆動装置として利用することもできる。
【0017】
また、第1の回転電機を上述した本発明の減速体付き回転電機とした場合、この回転電機の固定フレーム側と出力軸側との一方にスリップリングを設けると共に、他方に該スリップリング上を摺動するブラシを設け、スリップリングとブラシ間の導通により、固定部側の電源回路と第2の回転電機とを電気的に接続することができる。
これにより、第2の回転電機、あるいは第2の可動部に搭載される回路に対する配線のねじれを防ぐことができ、第1の可動部の回転を制限する必要がなくなる。
【0018】
第2の回転電機としては、固定子コイルがスター結線又はデルタ結線された3相永久磁石式の3端子給電のステッピングモータを用いることが望ましい。
このように、第2の回転電機に対してスリップリングとブラシとを用いて電源を供給する場合、必要な端子は少ない方がスリップリングの数を減らすことができて望ましい。
直流モータを利用すれば、2端子で足りるが、ノイズが大きく、寿命が短く、しかも正確な位置、速度制御が難しいため、ステッピングモータを利用するのが望ましい。ここで2相永久磁石式のステッピングモータを用いると、少なくとも4端子が必要となる。
これに対し、上記のようなスター結線又はデルタ結線の3相永久磁石式を用いると、3端子で駆動することができる。しかも、3相式とすることで、2相式の場合より振動や騒音を低減させ、高精度での制御が可能となる。
【0019】
監視カメラ装置として利用する場合には、第2の可動部に電子カメラを固定し、第1の回転軸を水平軸、第2の回転軸を垂直軸とする。
この場合、第1、第2の回転電機をいずれも上述した本発明の減速体付き回転電機とし、これらの第1、第2の回転電機のそれぞれについて、固定フレーム側と出力軸側との一方にスリップリングを設けると共に、他方に該スリップリング上を摺動するブラシを設けることにより、第1の回転電機のスリップリングとブラシ間の導通、及び第2の回転電機のスリップリングとブラシの導通により、固定部側のカメラ制御回路と電子カメラとを電気的に接続することができる。このように構成すると、電子カメラに対する配線のねじれを防ぐことができ、第1、第2の可動部の回転を制限する必要がなくなる。
【0020】
さらに、電子カメラが捉えている被写体の移動速度を水平方向成分と垂直方向成分とに分離し、その速度成分に比例した速度で第1、第2の回転電機をそれぞれ駆動することにより被写体を追従するようにしたり、電子カメラが捉えている被写体の遠近方向の移動速度、あるいは被写体の位置情報を求め、求めた情報により電子カメラのフォーカス機能、ズーム機能を制御することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る減速体付き回転電機の実施の形態を5例、これを用いた駆動装置の実施の形態を1例、図面に基づいて説明する。
【0022】
第1の実施の形態:
図1は、第1の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示し、(A)が回転軸に平行な断面図、(B)が減速体部分を示す回転軸に垂直な断面図である。第1の実施の形態にかかる減速体付き回転電機は、中空の回転子軸7を備える回転子5、及び、この回転子5の外側に位置して出力側ブラケット2、後側ブラケット3により固定された固定子1から成る内転型のモータ(回転電機)15と、モータ15に対して軸方向の一方側に配置され、回転子軸7の出力を減速し、回転子軸7と同軸で中空の出力軸8により出力する中空の減速体16とを有する。
【0023】
モータ15は、例えば永久磁石式のステッピングモータで構成され、固定子1には複数の磁極(例えば、6極)が形成されてそれぞれにコイル4が巻回され、各磁極の内周側には極歯1aが形成されている。
回転子5は、その外周部に設けられる永久磁石5aを含み、回転子軸7は左右の2箇所に配置された軸受6を介して出力側ブラケット2、後側ブラケット3により回転自在に支持されている。これらの出力側ブラケット2、後側ブラケット3と、減速体16を覆う減速体カバー20とが固定フレームを構成している。
【0024】
出力軸8は、回転子軸7の中空穴内を貫通する小径筒状部8aと、この小径筒状部8aの一方側に形成されたフランジ及びこのフランジの外周に形成された大径の円筒部から構成される出力ギヤ8bとを有する一体構造品である。
出力軸8は、一方側において出力軸受17を介して減速体カバー20により回転自在に支持されると共に、回転子軸7の中空穴内を貫通し、モータ15に対して減速体16が設けられた側とは反対側においても出力軸受17aを介して後側ブラケット3により回転自在に支持されている。
【0025】
減速体16は、回転子軸7の一端に形成された直径方向に延びるアーム7aの先端に回転自在に取り付けられた一対の内転ローラー10と、アウターナルギヤ9aが形成されたリング状の弾性体であるウェーブギヤ9と、このウェーブギヤ9の外周に配置され、内周に内転ローラー10の位置でウェーブギヤ9に噛み合うインターナルギヤ8cが形成された出力ギヤ8bとを含む調和型減速体である。出力ギヤ8bは、上記のように出力軸8の一部として一体に形成されている。
【0026】
モータ15を駆動して回転子軸7が回転すると、アーム7aに取り付けられた内転ローラー10がウェーブギヤ9の内側を摺動して自転しつつ公転する。
ウェーブギヤ9は、弾性体により形成されるため、内転ローラー10が内側を摺動することにより楕円の長軸方向を回転させるように変形する。ウェーブギヤ9は、ピン状のストッパーPにより出力側ブラケット2に固定され、回転が阻止されている。ウェーブギヤ9に形成されたアウターナルギヤ9aの歯数は出力ギヤ8bに形成されたインターナルギヤ8cの歯数より僅かに少なく、これによりウェーブギヤ9を変形させ、かつ、その回転を阻止することにより、反作用で出力ギヤ8bが回転する。
なお、ストッパPは出力ギヤ8bと出力側ブラケット2間に亙って設けるようにしてもよいし、ピン状に代え、係合用の突起と嵌合用の凹部の組み合わせとしてもよい。
ウェーブギヤ9に形成されたアウターナルギヤ9aの歯数をn、出力ギヤ8bに形成されたインターナルギヤ8cの歯数をn+2とすると、減速比はn/2となり、例えばn=100の場合には減速比は50となり、大きな減速比を得ることができる。なお、上記の例とは逆に、インターナルギヤを固定し、ウェーブギヤから出力を得ることもできる。この場合の減速比も上記と同様である。
【0027】
図1の構成によれば、出力軸8を軸方向に離れた複数箇所で出力軸受17、17aを介して支持しているために回転が安定し、片持ちの構造と比較して、簡単な構造のボールベアリング等の軸受を用いた場合にも回転時の振動を抑えることができる。
片持ちの場合には、ボールベアリングを用いると振動が大きくなるため、スラスト方向、ラジアル方向の遊びがないクロスローラーベアリングを用いる必要があるが、クロスローラーベアリングは構造が複雑でサイズが大きく、しかも高価である。
出力軸8を両端で支持することにより、小型で安価なボールベアリングを採用することができ、回転電機の小型化、コストダウンを図ることができる。
【0028】
また、出力軸8の小径筒状部8aが装置全体を貫通しているため、この内部にリード線等を通すことができる。
回転子軸7は高速で回転するために接触するとリード線等の劣化を招く可能性があるが、出力軸8の回転は低速であるため、短時間であればリード線等が接触したとしても問題はない。
【0029】
さらに、調和型減速体を用いているため、大きな減速比を得ることができ、モータ15への通電を遮断しても十分なブレーキ効果が得られ、外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。
また、モータ15の回転子軸7にかかるトルクを軽減することができ、負荷が大きい場合にも、急速な起動・停止が可能となる。
【0030】
第2の実施の形態:
図2は、第2の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示す回転軸に平行な断面図である。第2の実施の形態にかかる減速体付き回転電機は、概略の構成は図1に示す第1の実施の形態と同一であり、回転子5及び固定子1から成る内転型のモータ15と、モータ15に対して軸方向の一方側に配置された中空の調和型の減速体16とを有する。
図2において、第1の実施の形態におけるものと同一及び等価な部材には、図1と同一の符号を付している。
【0031】
第1の実施の形態と異なるのは、出力軸8が一方側に配置された出力軸受17のみを介して減速体カバー20により回転自在に支持されている点と、ウェーブギヤ9が樹脂により形成されている点とである。
ウェーブギヤ9は、回転子軸7側に連動しアウターナルギヤ9aが形成された駆動側ギヤであり、出力ギヤ8bは、このアウターナルギヤ9aに噛合するインターナルギヤ8cが形成され、駆動側ギヤの回転を出力軸8側に伝達する従動側ギヤである。これらのウェーブギヤ9(駆動側ギヤ)と出力ギヤ8b(従動側ギヤ)との少なくともいずれか一方、この例ではウェーブギヤ9が樹脂製である。
【0032】
上記のように減速体16の一方のギヤを樹脂製にすることにより、金属製のギヤを利用する場合と比較して安価、軽量となり、回転電機のコストを低減し、軽量化することができる。
また、樹脂製のウェーブギヤ9を用いることにより、回転時に樹脂の変形によりバックラッシュを吸収させることができ、高精度の位置決めが可能となる。さらに、調和型の減速体16を利用しているため、ウェーブギヤ9と出力ギヤ8bとが常時2箇所で噛み合うことになるため、1箇所の噛み合いによるより伝達トルクが分散され、1つの歯にかかるトルクが小さくなり、強度の低い樹脂製のギヤを用いても強度上の問題が生じない。特に、後述する監視カメラ装置に適用する場合には、回転は断続的であるため、さほど大きな強度は要求されず、金属製のギヤを用いたのではオーバースペックとなる。
【0033】
第3の実施の形態:
図3は、第3の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示す回転軸に平行な断面図である。第3の実施の形態にかかる減速体付き回転電機は、概略の構成は図2に示す第2の実施の形態と同一であり、回転子5及び固定子1から成る内転型のモータ15と、モータ15に対して軸方向の一方側に配置された中空の調和型の減速体16とを有する。
図3において、第2の実施の形態におけるものと同一及び等価な部材には、図2と同一の符号を付している。
【0034】
第2の実施形態との違いは以下の構造である。すなわち、回転子軸7の中空穴内に、固定フレームである後側ブラケット3に接続された中空円筒状のスリップリング支持体12が設けられ、このスリップリング支持体12の内側に、出力軸8に結合された中空円筒状のスリップリング軸21が設けられている。スリップリング支持体12の一端側には、リング状のカバー18が内周に嵌合しており、このカバー18内周にさらに出力軸受17bが嵌合している。スリップリング支持体12の他端側は、上記のカバー18と同一形状の突起が内周に向けて形成されており、ねじ19を後側ブラケット3を通して突起に係合させることにより、スリップリング支持体12を後側ブラケット3に対して固定している。また、この突起の内周には出力軸受17bが嵌合している。
【0035】
スリップリング軸21は、左右の2箇所に設けられた出力軸受17bを介してスリップリング支持体12に対して回転自在に設けられている。
この構造により、スリップリング軸21と出力軸8とが結合して構成される出力軸部を軸方向に離れて配置される出力軸受17、17b、17bの3箇所で回転自在に保持し、出力軸8の回転を安定させることができる。
【0036】
また、スリップリング支持体12の内周壁には、薄い金属板等の導電体から成るスリップリング14が円周方向に沿って設けられており、スリップリング軸21には、スリップリング14上を摺動するブラシ13がスリップリング軸21から外周側に突出して設けられている。スリップリング14は、スリップリング支持体12とスリップリング軸21との間から引き出されたリード線14aにより固定フレーム側の回路に接続され、ブラシ13は、スリップリング軸21内を通されたリード線13aにより出力軸8と一体に回転する回路に接続される。
【0037】
上記の構成によれば、スリップリング14とブラシ13間の導通により、出力軸8と一体に回転する回路と固定フレーム側の回路とを電気的に接続することができ、しかも、このような接続によればリード線のねじれが生じないため、出力軸8の回転を制限する必要がなくなり、電気的な接続を保ったまま、出力軸8を自由に回転させることができる。
【0038】
第4の実施の形態:
図4は、第4の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示し、(A)は回転軸に平行な断面図、(B)はギヤの噛み合いを示す説明図である。
第4の実施の形態にかかる減速体付き回転電機は、中空の回転子軸27を備える回転子25及びこの回転子25の外側に位置して出力側ブラケット22、後側ブラケット23、ケーシング35により固定された固定子37から成る内転型のモータ(回転電機)40と、モータ40に対して軸方向の一方側に配置され、回転子軸27の出力を減速し、回転子軸27と同軸で中空の出力軸42により出力する中空の減速体41とを有する。
【0039】
モータ40は、例えば永久磁石式のステッピングモータで構成され、固定子37には複数の磁極が形成されてそれぞれにコイル24が巻回され、各磁極の内周側には極歯37aが形成されている。回転子25は、その外周部に永久磁石25aを含み、回転子軸27は左右の2箇所に配置された軸受26aを介して出力側ブラケット22、後側ブラケット23により回転自在に支持されている。これらの出力側ブラケット22、後側ブラケット23、ケーシング35と、減速体41を覆うギヤカバー31とが固定フレームを構成している。なお、47は減速体41とモータ40間を連結するための固定用のねじである。
【0040】
減速体41は、回転子軸27にブッシュ32を介して固定されたアウターナルギヤを備える中空のピニオン30と、このピニオン30と同軸で間隔をおいて対向するインターナルギヤが形成され出力側ブラケット22に固定された固定ギヤ28と、ピニオン30と固定ギヤ28との双方に噛み合ってピニオン30の回転と共に自転しつつ公転する3つの遊星ギヤ29と、これらの遊星ギヤ29の回転軸33を回転自在に支持して遊星ギヤの公転と共にピニオン30と同軸で回転する回転プレート42aとを備え、この回転プレート42aが出力軸42の一部として形成されている。
【0041】
出力軸42は、軸受26を介してギヤカバー31に回転自在に支持されている。また、回転子軸27の中空穴内には、後側ブラケット23に固定されたスリップリング内蔵の円筒状のスリップリング支持体36が配置されている。
このスリップリング支持体36は、図4では詳細を省略しているが、図3に示すスリップリング支持体12と同様の構造であり、その内部にスリップリングが内蔵されると共にスリップリング軸36aを回転自在に支持している。スリップリング軸36aは、出力軸42の中空穴に嵌合しており、出力軸42と一体に回転する。
【0042】
モータ40を駆動して回転子軸27が回転すると、回転子軸27と一体に固定されたブッシュ32と、このブッシュ32に固定されたピニオン30とが同時に回転する。このピニオン30の回転により遊星ギヤ29が回転するが、遊星ギヤ29は外周で固定ギヤ28に噛み合っているため、図4(B)に矢印で示すように、ピニオン30が反時計回りに回転すると、遊星ギヤ29は時計回りに自転しつつ反時計回りに公転する。
この遊星ギヤ29の公転により、遊星ギヤ29を支持している回転プレート42aが反時計回りに回転し、これが出力軸42の回転となる。
なお、図4の構成において、回転プレート42aを固定し、インターナルギヤを有する外側の部材から出力を取り出すようにしてもよい。
【0043】
図4の構成によれば、遊星歯車減速体を用いることにより、一段減速でギヤ部分の厚さを調和型減速体より抑えることができ、かつ、回転子軸と同軸で出力軸を回転させることができるため、これを用いる駆動装置の小型化を図ることができる。
また、遊星歯車減速体を用いているため、減速比は調和型減速体より小さいとはいえ、十分な減速比を得ることができ、モータ40への通電を遮断しても十分なブレーキ効果が得られ、外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。さらに、モータ40の回転子軸27にかかるトルクを軽減することができ、負荷が大きい場合にも、急速な起動・停止が可能となる。
なお、図4の示す第4の実施の形態の構成では、回転子軸27の中空部分の内径を出力軸42の内径よりも大となるように形成しているため、減速体の減速比を大とできる特徴があるので、これを請求項8に記載した。
この構成は、図4に示すように減速体が遊星歯車減速体の場合には、特に、有効であり、一段ギヤの減速体でも減速比を大とできるという技術的意義を有している。
即ち、本実施の形態のものでは、図4に示すように、図示のスリップリングの構成とも関連して、回転子軸27の中空部分の内径を出力軸42の内径よりも大となるように形成すると、自ずから、減速体41を構成するピニオン30の径は遊星ギヤ29の径よりも大幅に小さくなるので、減速比は大きくなり、一段ギヤであっても十分の減速比が得られる。
なお、この請求項8に記載の構成は、図4に示す第4の実施の形態のほか、図3に示す第3の実施の形態、及び次に述べる図5に示す第5の実施の形態の場合も、減速体と結合されるスリップリングの構成との関連で、第4の実施の形態の場合と同様に、減速体の減速比を大とできる機能を発揮できる。
【0044】
第5の実施の形態:
図5は、第5の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示し、(A)は回転軸に平行な断面図、(B)はギヤの噛み合いを示す説明図である。第5の実施の形態にかかる減速体付き回転電機は、第4の実施形態と同様に構成されたモータ40と、モータ40に対して軸方向の一方側に配置され、回転子軸27の出力を減速し、回転子軸27と同軸で中空の出力軸56により出力する中空の二段ギヤを用いた減速体43とを有する。
図5において、第4の実施の形態におけるものと同一及び等価な部材には、図4と同一の符号を付している。
【0045】
減速体43は、回転子軸27に固定されたアウターナルギヤを備える中空のピニオン50と、このピニオン50より大径で同軸で出力軸56に固定された中空の出力ギヤ55と、ピニオン50に噛み合う大径ギヤ51及び出力ギヤ55に噛み合う小径ギヤ52を有して固定フレームに回転自在に取り付けられた複数の二段ギヤ45とを備える。
【0046】
二段ギヤ45の回転軸53は、軸受54を介して出力側ブラケット22とギヤカバー31とに回転自在に支持されている。
また、出力軸56及び出力ギヤ55は、1個の軸受26を介してギヤカバー31に回転自在に支持されている。
さらに、出力軸56の中空穴内には、スリップリングが内蔵された円筒状のスリップリング支持体36が格納されている。このスリップリング支持体36は、図5では詳細を省略しているが、図3に示すスリップリング支持体12と同様の構造であり、その内部にスリップリング軸36aを回転自在に支持している。ただし、図5の例では、スリップリング支持体36が出力軸56と一体に回転し、スリップリング軸36aが後側ブラケット23により固定されている。
【0047】
モータ40を駆動して回転子軸27が回転すると、回転子軸27と一体に固定されたピニオン50が同時に回転する。このピニオン50の回転により二段ギヤ45の大径ギヤ51が回転し、これに固定された小径ギヤ52が回転して出力ギヤ55を回転させる。図5(B)に矢印で示すように、ピニオン50が反時計回りに回転すると、二段ギヤ45は時計回りに回転し、これにより出力ギヤ55が反時計回りに回転し、これが出力軸56の回転となる。
なお、図5の構成において、ピニオン50を小径ギヤ51の外周を囲む円周より大きなギヤとしてインターナルギヤを形成し、噛み合わせてもよい。
【0048】
図5の構成によれば、二段ギヤの減速体を用いることにより、二段減速で減速比を遊星歯車減速体より大きくとることができ、モータ40への通電を遮断しても十分なブレーキ効果が得られ、外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。
また、ギヤ部分の厚さは遊星歯車減速体よりは大きくなるが、調和型減速体より抑えることができ、かつ、回転子軸と同軸で出力軸を回転させることができるため、これを用いる駆動装置の小型化を図ることができる。
なお、図5に示すように、中空穴を有する出力ギヤ55を、1個の軸受26で支持し、出力ギヤ55の歯部を3個以上の小径のギヤ52で噛み合い支持するようにした二段ギヤを備えた減速体43を構成するようにすると、所定間隔(3個のギヤの場合は120°間隔)で出力ギヤ55が安定に支持されるから、出力軸は回転振れを生じない。
【0049】
第6の実施の形態:
図6は、第6の実施の形態にかかる監視カメラ装置の一部を切り欠いて示す斜視図である。第6の実施の形態にかかる監視カメラ装置は、上記の第3の実施の形態の減速体付き回転電機を利用した駆動装置に電子カメラを搭載して構成されている。
図6に示すように、監視カメラ装置101は、既知のドーム状カメラエンクロージャー103の透明、あるいは半透明のドーム103A内に配置される。
【0050】
駆動装置は、第1、第2の回転電機(モータ)102、110を備える。固定部である基板104に設けられた第1の回転電機102は、基板104に対して第1の可動部であるカメラ保持ブラケット107を第1の回転軸(水平軸H)回りに回転駆動する。
カメラ保持ブラケット107に設けられた第2の回転電機110は、カメラ保持ブラケット107に対して第2の可動部である電子カメラ112を水平軸Hに対して垂直な第2の回転軸(垂直軸V)回りに回転駆動させる。
このような2軸の自由度を持つ駆動装置である。なお、垂直軸Vと水平軸Hと電子カメラ112の光軸(レンズ軸)Lとは、互いに1点で交差するよう構成される。第1、第2の回転電機102、110は、いずれも上記の第3の実施の形態に開示されるスリップリング付の減速体付き回転電機であり、この回転電機が、出力軸を対応する回転軸(水平軸Hあるいは垂直軸V)と同軸となるよう取り付けられている。
【0051】
カメラ保持ブラケット107は、第1の回転電機102の減速体を介した出力軸114に固定され、第1の回転電機102の回転により電子カメラ112の撮影方向を水平方向に変化させることができる(パンニング)。
また、電子カメラ112は、第2の回転電機110の減速体を介した出力軸109に固定され、これと反対側では垂直軸Vに沿って延びる周知の回転ジョイント115を介してカメラ保持ブラケット107に回動可能に支持されている。
第2の回転電機110を回転させると、電子カメラ112の撮影方向を垂直方向に変化させることができる(チルティング)。
【0052】
第1の回転電機102は、その中空の出力軸114内にスリップリング軸106を備えている。同様に、第2の回転電機110は、その中空の出力軸109内にスリップリング軸116を備えている。
スリップリング軸は、図3において説明したように、スリップリングとブラシとの接触により、固定部側の回路と、出力軸と一体に回転する回路との間を電気的に接続する。
【0053】
図6の構成では、第1の回転電機102を駆動するためのリード線113が、基板に形成された穴113Aを通して第1の回転電機102に接続されている。また、基板104に形成された穴から電子カメラ112に電力と制御信号とを送るリード線、カメラから映像信号を受けるリード線、第2の回転電機110を駆動する電力供給用のリード線を含むリード線群105が、第1の回転電機102のスリップリング軸106内に導入され、スリップリングに接触するブラシに接続されたリード線群108が出力軸114から取り出されている。
このうち、第2の回転電機110を駆動するためのリード線は第2の回転電機110に接続されている。カメラ関係のリード線群は、第2の回転電機110のスリップリング軸116内に導入され、スリップリングに接触するブラシに接続されたリード線群111が出力軸109から取り出されて電子カメラ112に接続されている。
【0054】
上述した図6の構成によれば、第1、第2の回転電機102、110を第3の実施の形態の減速体付き回転電機とすることにより、大径のギヤやプーリーを用いなくとも減速した出力を得ることができ、かつ、回転電機を水平軸、垂直軸と同軸に取り付けることができるため、従来よりも装置の小型、軽量化が可能となる。
また、従来のダイレクトドライブ方式とは異なり、減速体を介しているため、各減速体付き回転電機がブレーキ効果を持ち、垂直方向、水平方向いずれの外力が加えられた場合にも、停止位置を保つことができる。
【0055】
さらに、上記のようにスリップリングとブラシとを用いて電気的な接続を行うことにより、カメラ保持ブラケット107の水平方向の回転、あるいは電子カメラの垂直方向の回転によってリード線がねじれることがなく、各可動部の回転を制限する必要がなくなる。
【0056】
なお、第1、第2の回転電機102、110としては、固定子コイルがスター結線又はデルタ結線された3相永久磁石式の3端子給電のステッピングモータが用いられている。監視カメラ装置のモータとしては、一般に正確な制御が可能なステッピングモータが用いられる。
ただし、2相式のステッピングモータでは、第3次高調波が発生するために振動や騒音が大きく、かつ、4端子が必要で駆動回路には8トランジスタが必要となる。また、低速域で乱調帯があり、連続的な変速には適さないという問題がある。
そこで、3相式のステッピングモータを用いている。3相式では、第3次高調波が常にキャンセルされるため、低騒音、低振動であり、かつ、デルタ結線やスター結線とすれば3端子で駆動でき、駆動回路は6トランジスタで足りる。また、乱調帯もないために連続的な変速にも適している。
特に、第2の回転電機110に対してスリップリングとブラシとを用いて電源を供給する場合、必要な端子は少ない方がスリップリングの数を減らすことができて望ましい。
【0057】
さらに、電子カメラ112が捉えている被写体の移動速度を水平方向成分と垂直方向成分とに分離し、その速度成分に比例した速度で第1、第2の回転電機102、110をそれぞれ駆動することにより被写体を追従することができる。
追従制御をする場合、速度成分に比例した速度のパルス列を送ることにより、上記の3相式ステッピングモータの特性を生かし、スムースに被写体を追従することができる。
また、電子カメラ112が捉えている被写体の遠近方向(光軸L方向)の移動速度、あるいは被写体の位置情報を求め、求めた情報により電子カメラ112のフォーカス機能、ズーム機能を制御することができる。この場合には適切なサイズでピントの合った被写体像を捉えることができる。
【0058】
本発明は上記の各実施の形態のものに限定されるものではなく、上記の実施の形態に示した技術思想の中で各種の変形が可能である。
例えば、第1乃至第5の各実施の形態に示した回転電機は、全て内転型のモータ(インナーロータ型モータ)の場合で示したが、これらのモータは外転型のモータ(アウターロータ型モータ)の場合であっても良いことは勿論である。
また、回転電機としても実施の形態に示した3相永久磁石式ステッピングモータの場合のほか、3端子で駆動できるものであれば、固定子の相を軸方向に分布したボビン巻コイルの3相ステッピングモータ(カスケード型3相PM型ステッピングモータ)或いはブラシュレスモータであっても良い。
また、作図の都合上、図4及び図5ではステッピングモータに対する給電用のリード線を省略したが、図3の場合と同様、それらのモータのスリップリングに対してリード線が接続されているものとする。
【0059】
【発明の効果】
本発明に基づく減速体付き回転電機は、上述のように構成し作動するようにしたので、次のような優れた効果を有する。
(1)請求項1乃至11の構成によれば、同軸タイプの減速体を用いることにより、駆動機構の占有スペースを小さくすることができる。
(2)請求項1乃至11の構成によれば、回転電機、減速体がいずれも中空構造であるため、この部分にスリップリングとブラシとを設けて固定側の回路と回転側の回路とを電気的に接続することもできる。
(3)請求項1、8、9のように、スリップリングとブラシとの間の導通により、出力軸と一体に回転する回路と固定フレーム側の回路とを電気的に接続した場合、出力軸と一体に回転する回路に対する電気的な配線が出力軸の回転によってねじれることがなく、出力軸の回転を制限する必要がなくなる。
【0060】
(4)請求項2又は4のように減速体として調和型減速体を用いた場合、一段減速で30〜50の減速比を得ることができるため、回転電機への通電を遮断しても十分なブレーキ効果が得られ、外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。
(5)請求項3のように減速体の一方のギヤを樹脂製にすることにより、金属製のギヤを利用する場合と比較して安価、軽量となり、回転電機のコストを低減し、軽量化することができる。
(6)請求項5のように減速体として遊星歯車減速体を用いた場合、一段減速で減速比は10程度であるが、調和型減速体を利用するより軸方向の厚さを抑えることができる。
【0061】
(7)請求項2又は4のように調和型減速体を用いる場合、請求項5のように遊星歯車減速体を利用する場合、あるいは請求項6のように複数の二段歯車を用いた減速体を利用する場合には、駆動側ギヤと従動側ギヤとが常時複数の位置で噛み合うことになるため、1箇所の噛み合いによるよりバックラッシュを低減することができ、かつ、伝達トルクが分散されるために1つの歯にかかるトルクが小さくなり、強度の低い樹脂製のギヤを用いても強度上の問題が生じない。
【0062】
また、本発明に基づく駆動装置は、上述のように構成し作動するようにしたので、次のような優れた効果を有する。
(1)請求項10又は13の構成によれば、2軸の駆動のうち少なくとも一方の回転電機に本発明の減速体付き回転電機を用いることにより、従来よりも装置の小型、軽量化が可能となり、かつ、少なくともいずれかの可動部については、大きな減速比により外力が加えられた場合にも停止位置を保つことができる。
(2)請求項11のように、第1の回転電機を上述した本発明の減速体付き回転電機とし、この回転電機にスリップリングとブラシとを設けることにより、第2の回転電機、あるいは第2の可動部に搭載される回路に対する配線のねじれを防ぐことができ、第1の可動部の回転を制限する必要がなくなる。
(3)請求項12のように、回転電機にスター結線又はデルタ結線された3相永久磁石式の3端子給電のステッピングモータを用いた場合には、2相式の場合より振動や騒音を低減し、高精度での制御が可能となり、かつ、3端子で駆動することができるため、スリップリングとブラシとを用いて給電する場合にも、4端子が必要な2相式より構成を簡単にすることができる。
【0063】
(4)請求項14の構成によれば、電子カメラが捉えている被写体の移動速度を水平方向成分と垂直方向成分とに分離し、その速度成分に比例した速度で第1、第2の回転電機をそれぞれ駆動することにより、被写体を追従することができる。
(5)請求項15の構成によれば、電子カメラが捉えている被写体の遠近方向の移動速度、あるいは被写体の位置情報を求め、求めた情報により電子カメラのフォーカス機能、ズーム機能を制御することにより、適切なサイズでピントの合った被写体像を捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示し、(A)が回転軸に平行な断面図、(B)が減速体部分を示す回転軸に垂直な断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示す回転軸に平行な断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示す回転軸に平行な断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示し、(A)は回転軸に平行な断面図、(B)はギヤの噛み合いを示す説明図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態にかかる減速体付き回転電機を示し、(A)は回転軸に平行な断面図、(B)はギヤの噛み合いを示す説明図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態にかかる監視カメラ装置の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【符号の説明】
1:固定子
2:出力側ブラケット
3:後側ブラケット
4:コイル
5:回転子
6:軸受
7:回転子軸
8:出力軸
8a:小径筒状部
9:ウェーブギヤ
10:内転ローラー
15:モータ
16:減速体
17、17a:出力軸受
Claims (15)
- 回転子軸を含む内部を中空にしてその出力を減速して取り出すようにしたインナーロータ型又はアウターロータ型回転電機において、
前記回転電機に対して軸方向の一方側に配置され、前記回転子軸の出力を減速し、前記回転子軸と同軸で中空の出力軸により出力する中空の減速体を有し、
前記回転子軸を含む中空穴内に、固定フレームに前記減速体の反対側で接続された中空円筒状のスリップリング支持体を前記減速体に同心に設け、該スリップリング支持体の内側に、前記出力軸に結合された中空円筒状のスリップリング軸を回転自在に設け、前記スリップリング支持体と前記スリップリング軸との一方にスリップリングを設けると共に、他方に該スリップリング上を摺動するブラシを設け、前記スリップリングとブラシ間の導通により、前記出力軸と一体に回転する回路と前記固定フレーム側の回路とを電気的に接続したことを特徴とする減速体付き回転電機。 - 前記減速体は、前記回転子軸の一端に形成された直径方向に延びるアームの先端に回転自在に取り付けられた一対の内転ローラーと、アウターナルギヤが形成されたリング状の弾性体であって前記一対の内転ローラーが内側を摺動することにより楕円の長軸方向を回転させるように変形するウェーブギヤと、該ウェーブギヤの外周に配置され、内周に前記内転ローラーの位置で前記ウェーブギヤに噛み合うインターナルギヤが形成された出力ギヤとを含む調和型減速体であり、該出力ギヤが前記出力軸に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の減速体付き回転電機。
- 前記減速体は、前記回転子軸側に連動しアウターナルギヤが形成された駆動側ギヤと、該アウターナルギヤに噛合するインターナルギヤが形成され、前記駆動側ギヤの回転を前記出力軸側に伝達する従動側ギヤとを備え、前記駆動側ギヤと前記従動側ギヤとの少なくともいずれか一方が、樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の減速体付き回転電機。
- 前記減速体は、前記回転子軸の一端に形成された直径方向に延びるアームの先端に回転自在に取り付けられた一対の内転ローラーを更に備え、前記駆動側ギヤは、リング状の弾性体であって前記一対の内転ローラーが内側を摺動することにより楕円の長軸方向を回転させるように変形するウェーブギヤであり、前記従動側ギヤは、前記ウェーブギヤの外周に配置され、前記内転ローラーの位置で前記ウェーブギヤに噛み合う出力ギヤであり、全体として調和型減速体を構成し、前記出力ギヤが前記出力軸に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の減速体付き回転電機。
- 前記減速体は、前記回転子軸に固定されたアウターナルギヤを備える中空のピニオンと、該ピニオンと同軸で間隔をおいて対向するインターナルギヤが形成され前記ピニオンと前記インターナルギヤとの双方に噛み合って前記ピニオンの回転と共に自転しつつ公転する複数の遊星ギヤと、前記複数の遊星ギヤの回転軸を回転自在に支持して該遊星ギヤの公転と共に前記ピニオンと同軸で回転する回転プレートとを備え、該回転プレートが前記出力軸に結合していることを特徴とする請求項1に記載の減速体付き回転電機。
- 前記減速体は、前記回転子軸に固定されたアウターナルギヤを備える中空のピニオンと、該ピニオンと同軸で前記出力軸に固定された中空の出力ギヤと、前記ピニオンに噛み合う大径ギヤに前記出力ギヤに噛み合う小径ギヤを同心に固定して構成される複数の二段ギヤとを備えることを特徴とする請求項1に記載の減速体付き回転電機。
- 上記減速体は、出力軸に固定される中空の出力ギヤの歯部を3個の小径のギヤで噛み合い支持するようにした二段ギヤを備えて構成するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の減速体付き回転電機。
- 前記スリップリング軸は、軸受を介して前記スリップリング支持体に対して回転自在に設けられ、出力軸部が軸方向に離れた複数箇所で回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の減速体付き回転電機。
- 前記スリップリングはそのスリップリング軸内にリード線を通して片側のスリップリングの軸受の内部を通し一方の入、出力端子とし、又前記スリップリング支持 体からリード線を引き出して他方の入、出力端子として接続するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の減速体付き回転電機。
- 固定部に設けられた第1の回転電機により前記固定部に対して第1の可動部を第1の回転軸回りに回転駆動し、前記第1の可動部に設けられた第2の回転電機により前記第1の可動部に対して第2の可動部を前記第1の回転軸に対して垂直な第2の回転軸回りに回転駆動させる2軸の自由度を持つ駆動装置において、前記第1、第2の回転電機の少なくとも一方が、請求項1乃至9のいずれかに記載の減速体付き回転電機であり、該回転電機は、出力軸が対応する回転軸と同軸となるよう取り付けられていることを特徴とする駆動装置。
- 前記第1の回転電機が、請求項1乃至6のいずれかに記載の減速体付き回転電機であり、該回転電機の前記固定フレーム側と前記出力軸側との一方にスリップリングを設けると共に、他方に該スリップリング上を摺動するブラシを設け、前記スリップリングとブラシ間の導通により、前記固定部側の電源回路と前記第2の回転電機とを電気的に接続したことを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
- 水平駆動又は垂直駆動する前記第1の回転電機又は第2の回転電機の内、少なくとも水平駆動する第1の回転電機の回転軸中心部を中空とし、その出力を同心的に減速する減速体もその回転軸中心部を中空とし、少なくとも第1又は第2の回転電機のどちらか一方の回転電機は、3相永久磁石式のスター又はデルタ結線の3端子給電のステッピングモータであることを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
- 前記第2の可動部に電子カメラが固定され、前記第1の回転軸が水平軸、前記第2の回転軸が垂直軸であり、前記第1、第2の回転電機が共に請求項1乃至6のいずれかに記載の減速体付き回転電機であり、該第1、第2の回転電機のそれぞれについて、前記固定フレーム側と前記出力軸側との一方にスリップリングを設けると共に、他方に該スリップリング上を摺動するブラシを設け、前記第1の回転電機の前記スリップリングとブラシ間の導通、及び前記第2の回転電機の前記スリップリングと前記ブラシの導通により、前記固定部側のカメラ制御回路と前記電子カメラとを電気的に接続したことを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
- 前記電子カメラが捉えている被写体の移動速度を水平方向成分と垂直方向成分とに分離し、その速度成分に比例した速度で前記第1、第2の回転電機をそれぞれ駆動することにより被写体を追従するようにしたことを特徴とする請求項13に記載の駆動装置。
- 前記電子カメラが捉えている被写体の遠近方向の移動速度、あるいは前記被写体の位置情報を求め、求めた情報により前記電子カメラのフォーカス機能、ズーム機能を制御することを特徴とする請求項13又は14に記載の駆動装置。
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