JP4137977B2 - ペットフード製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ペット毎に個別にオーダーメードされた添加物を加えないウェットタイプのレトルトフードと、ドライフードとからなるペットフードをそれぞれ一食分ごとに包材にて個別に梱包し、この梱包体を複数食分まとめて宅配サービス用のデリバリー容器に納めたことを特徴とするペットフードが提案されている。
特許文献1ではペット毎にオーダーメードされた添加物を加えないペットフードであるから個々のペットの状態に応じたペットフードを提供できる利点はあるものの、ペットフード製品そのものをレトルト食品として製造しなければならず、かつデリバリー容器に収めて宅配することを想定しているためコストのかかる方法となっている。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)防腐剤、保存料の入っていない新鮮かつ安全なドライ型のペットフードをペットの飼い主に提供できるペットフード製造方法を提供する。
(b)個々のペットの状態に対応した新鮮かつ安全なドライ型のペットフードをペットの飼い主に提供でき、ペットの健康を増進させることができるペットフード製造方法を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題及びその解決手段は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
第1発明のペットフード製造方法は、ペットフード基材を攪拌混練できる攪拌混練機と、攪拌混練機によって得た混練物を線状に押し出す押出機と、押し出された線状物を乾燥する乾燥機と、制御装置とを備えた小型ペットフード製造装置を使用し、
小型ペットフード製造装置をペット関連ショップに設置し、
ペットフード基材が穀物粉を主とする組成で構成され、
小型ペットフード製造装置の攪拌混練機がペットフード基材とミンチ肉とを良好に混合できる大きさ、形状のものでペットフード基材を構成し、
そのペット関連ショップにおいてペットフード基材と、少なくとも加熱調理済みのミンチ肉とを攪拌混練機に投入した後に、制御装置が攪拌混練機、押出機、乾燥機を制御駆動して、ミンチ肉を含んだドライ型のペットフードを製造することを特徴とする。
炭水化物が30重量%〜70重量%、タンパク質が20重量%〜32重量%、脂肪が5重量%〜25重量%の組成で、投入されたミンチ肉を含んだドライ型のペットフードを製造することを特徴とする。
穀物粉100重量部に対してミンチ肉を3重量部〜100重量部含んだドライ型のペットフードを製造することを特徴とする。
第5発明は、第1発明ないし第4発明のいずれか一つに記載の発明において、ペットフード基材がアレルギーを引き起こす虞のある材料を除いたもので構成されていることを特徴とする。
第7発明は、第1発明ないし第6発明のいずれか一つに記載の発明において、押出機から押し出される線状物の水分量を15重量%〜40重量%の範囲に設定したことを特徴とする。
第9発明は、第1発明ないし第8発明のいずれか一つに記載の発明において、乾燥機によって乾燥される線状物の温度を120℃〜200℃で少なくとも5分間〜10分間加熱することを特徴とする。
第11発明は、第1発明ないし第10発明のいずれか一つに記載の発明において、ミンチ肉を加熱調理済みにする加熱調理器を前記攪拌混練機の近くに設置し、攪拌混練機に投入するミンチ肉を加熱調理済みにするとともに制御装置が攪拌混練機などの運転に合わせて加熱調理時間を制御することを特徴とする。
第13発明は、第1発明ないし第12発明のいずれか一つに記載の発明において、乾燥機が多孔支持部材上に線状物を載置し、多孔支持部材に熱風を吹き付けて線状物を乾燥させる構成であることを特徴とする。
第1発明において、「ペットフード基材とミンチ肉とを良好に混合できる大きさ、形状のもの」とは、具体的には粉状,顆粒状や、簡単に粉砕される状態の塊状などにしたペットフード基材が例示できる。通常は、粉状、顆粒状のものが採用される。
第1発明〜第3発明において、防腐剤、保存料などはペットフード基材には入れないことが好ましい。仮にペットフード基材に防腐剤、保存料などを入れる場合でも安全性において人間に対する基準と同等レベルのものを入れるようにする。
第1発明の加熱調理済みのミンチ肉を使用する構成は第2発明、第3発明にもそれぞれ適用できるものである。
ペットフード基材にペットの健康を増進させる食材を入れることができる。そのような食材としてはカルシウムを多く含む魚粉や、ミンチ肉と一緒に入れる野菜などが例示できる。例えば、魚粉を配合比率で2重量%〜7重量%だけ入れる構成や、野菜類を配合比率で2重量%〜5重量%だけ入れる構成が例示できる。
第7発明において、さらに押出機から押し出される線状物の水分量を22重量%〜32重量%の範囲に設定することが好ましい。
第10発明において、「線状物長さ調整手段」としては、押出機の押出口に設けられた回転羽根や、切断刃・切断歯を持つカッタ機構、重力の作用によって自然に線状物が切れるようにした段差などが例示できる。
ペットフード基材に追加されるミンチ肉はペットフードの製造直前に混合されるので、作られたペットフードは肉の香りがしてペットが喜ぶ新鮮なものとなる。特に、ミンチ肉を加熱調理済みのものを使用して、ペットフード基材と攪拌混練することによって特に肉の香りが良好となって好ましいものとなる。また、ペットフード基材とミンチ肉は人間が食べられる材料を使用することで長期間継続してそのペットフードを食した場合にペットの健康に好ましい影響を与えることができる。
第1発明であれば、下記(イ)〜(ハ)(ホ)の特有の効果を有する。
(イ)前記のように穀物粉を主成分とするペットフード基材を使用するので、品質が劣化しやすい脂肪分を少なくでき、ペットフード基材を長期保存することができる。また、ペットフード基材だけでなく、攪拌混練機によってミンチ肉も加えて最終的なペットフードを製造するので味、臭いも良好になり、新鮮で美味しいペットフードを製造できる。
(ロ)長期保存可能なペットフード基材とミンチ肉などの新鮮な食材をペット関連ショップで製造する直前に必要なだけ混合してペットフードを製造するので、例えば、あるペットの飼い主において自宅のペットが1週間食べるだけの少量のペットフードであっても個々に製造することができ、常に安全かつ新鮮で良好な品質のペットフードをペットに与えることができる。
(ハ)小型ペットフード製造装置をペット関連ショップに設置することでペットの健康状態を考慮して、ペットフード基材の配合、混入するミンチ肉の種類及び量などを調整することができ多種多様なペットフードを製造することが可能になる。したがって個々のペットの症状に対応したペットフードを安全かつ簡単に生産することができる。
(ホ)後から加えられるミンチ肉が加熱調理済みとすることにより、特に味、香りにおいてペットが非常に喜ぶペットフードを提供できる。
(ニ)前記のように炭水化物とタンパク質を主成分とするペットフード基材を使用するので、品質が劣化しやすい脂肪分を少なくでき、ペットフード基材を長期保存することができる。また、炭水化物、タンパク質、脂肪を上記範囲内に設定することにより、基本栄養素を満足する栄養価の高いペットフードを製造することができる。
第5発明であれば、ミンチ肉などに誤ってアレルギーを引き起こす虞のある材料を入れない限り、アレルギーを起こす虞をなくすことができる。また、仮にミンチ肉などにアレルギーを引き起こす材料が混入したとしてもアレルギー物質の量を減らすことができる。
第7発明であれば、上記水分量に設定することにより、線状物の形状を良好に維持でき、乾燥後に良好なペットフードを製造することができる。
第8発明であれば、上記回転速度に設定することにより、乾燥後に形状保持機能の高い良好なペットフードを製造することができる。
第10発明であれば、線状物長さ調整手段によって線状物を所定長さに設定するので、後に行う乾燥機による乾燥が行いやすいとともに、ペットフードとしても食べやすくなる。
第12発明であれば、ペット関連ショップにおいて、レトルト包装したミンチ肉を加熱後、攪拌混練装置内に投入してペットフードを製造するように構成したので、ペット関連ショップにおいてミンチ肉を入手する手間を軽減することができる。また、レトルト包装する工場において、ミンチ肉の種類、品質を一定に維持することにより、ペット関連ショップで製造するペットフードの品質を一定レベルに維持できる。さらにペットフード基材とレトルト包装したミンチ肉はともに長期保存が可能となるので、ペット関連ショップの設備的なコストを低減して安価に高品質なペットフードを提供できる。
図1は本発明の第1実施形態に係る小型ペットフード製造装置の要部の斜視図、図2はその小型ペットフード製造装置の正面図、図3はその小型ペットフード製造装置の平面図である。
図2に示すように、この実施形態に示す乾燥機5は乾燥容器17に金網、パンチングメタル等で構成された多孔支持部材19を設け、熱風発生装置14(図3参照)で発生した熱風を多孔支持部材19上の線状物に吹き付けることにより、線状物を乾燥させるように構成してある。
本実施形態ではペットフード基材は、炭水化物が80重量%〜98重量%、タンパク質が20重量%〜2重量%を含んだ粉状のもので構成してある。炭水化物は、穀物の粉、特に米粉が好ましい。麦粉も混ぜても良いが、アレルギーのあるペットに与えるペットフードを製造する場合は、麦粉は一切入れずにペットフード基材を製造する。
ペットフード基材に入れるタンパク質としては、牛、鳥、羊、魚などの動物性タンパク質粉や大豆などから精製した植物性タンパク質粉を混入させることもできる。タンパク質粉を入れる場合は20重量%〜1重量%、さらに好ましくは10重量%〜1重量%程度にする。
図1〜図3に示すような小型ペットフード製造装置を例えば、ペット関連商品、ペット関連食品を販売したり、又はペット関連サービスを行うペット関連ショップに設置する。このようなペット関連ショップにはペットの飼い主が良く訪れるものである。
一方、ペットフード基材供給会社は、ペットフード基材を製造して、各ペット関連ショップに設置された小型ペットフード製造装置にペットフード基材を提供する。なお、ペットフード基材供給会社は同時にミンチ肉を供給することもできる。
(タイプ1)最も応用範囲の広い、防腐剤、保存料が一切入らない前記炭水化物を主体とするペットフード基材。これは標準的ペットフード基材と言えるものである。
(タイプ2)アレルギーの虞のある材料、例えば、小麦、卵、青魚等から作られた成分などのアレルギー可能性材料を除いたアレルギー防止用ペットフード基材。
(タイプ3)特定の病気、特定の生活習慣病に対応して、薬効成分を含ませたペットフード基材。
などが例示できる。
ペットフード基材としては、さらに、犬用ペットフード基材、ネコ用ペットフード基材、老齢用ペットフード基材、若年用ペットフード基材などが例示できる。
製造されたペットフードはペット関連ショップにおいてパッケージに入れて直接手渡されるか又は宅配にて配送される。このようにして、防腐剤、保存料を一切入れない安全で新鮮かつ味の良い作りたてのペットフードを提供することができる。
なお、当然のことながら、客の要望を聞くことなく、標準ペットフード基材を使用し、加熱調理済みのミンチ肉を攪拌混練して、標準的な製造方法による犬用ペットフード、ネコ用ペットフードを製造しておき、販売する方法も採用できる。
表1は標準ペットフード基材と牛肉ミンチ肉を使用した場合の配合割合の一例を示す表である。乾燥後の比率ではミンチ肉を5%として他の材料を計算してある。ミンチ肉を増やした場合(例えば20%まで増量)は、ミンチ肉を増やした分だけ米粉、小麦粉などの穀類の重量%を増すようにする。なお、ペットフード基材とミンチ肉、キャベツ等は人間が食べられる安価なものを使用し、防腐剤、保存料は一切使用しなかった。
(実験の内容)
上記実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3を犬1〜犬8(犬1:柴犬3歳、犬2:柴犬4歳、犬3:ゴールデンレトリバー2歳、犬4:ゴールデンレバトリー3歳、犬5:シベリアンハスキー2歳、犬6:雑種4歳、犬7:雑種5歳、犬8:雑種4歳)に6つ同時に与え、どのペットフードを最も喜んで食べるかを観察した。ペットフードの与え方は、犬の鼻先を円の中心として、同心円形に上記6個のペットフードを同じ皿に同量(150g)入れた状態にして犬に与え、その実験を3回繰り返してその平均を取った。3回の実験のうち、ペットフードを配置する位置はその毎に変更した。
各犬において最も好むと判断できるペットフードから順に1,2,3,…,5,6というように順番を付けたのが表2である。なお、どのペットフードを最も喜んで食べるかという順序を付ける判断として、最初に全部食べた皿のペットフード、食べるのに夢中になった様子などを判断して決定した。
(1)加熱調理済みのミンチ肉を使用した実施例1、実施例2は加熱しないもの(実施例3)に比べてると犬は喜んで食べるようである。
(2)電子レンジの加熱よりもアルミニウム製、鉄板製など鍋でのバーナ加熱の方が犬は喜んで食べるようである。これは鍋での加熱の方が電子レンジの加熱よりも肉の芳香がより強くなるからと考えられる。実際、製造直後の状態では実施例2のペットフードよりも実施例1のペットフードの方が人間の鼻でも肉の臭いが強いと感じられるものである。犬の嗅覚は人間より遙かに強いので、5日経過した後でもその臭いの差を敏感に感じて上記結果になったのではないかと思われる。
(4)実施例3(生ミンチ肉を使用した場合)でも犬は市販ペットフードである比較例2,比較例3に比べて明らかに喜んで食べることが分かった。
Claims (14)
- ペットフード基材を攪拌混練できる攪拌混練機と、攪拌混練機によって得た混練物を線状に押し出す押出機と、押し出された線状物を乾燥する乾燥機と、制御装置とを備えた小型ペットフード製造装置を使用し、
小型ペットフード製造装置をペット関連ショップに設置し、
ペットフード基材が穀物粉を主とする組成で構成され、
小型ペットフード製造装置の攪拌混練機がペットフード基材とミンチ肉とを良好に混合できる大きさ、形状のものでペットフード基材を構成し、
そのペット関連ショップにおいてペットフード基材と、少なくとも加熱調理済みのミンチ肉とを攪拌混練機に投入した後に、制御装置が攪拌混練機、押出機、乾燥機を制御駆動して、ミンチ肉を含んだドライ型のペットフードを製造することを特徴とする、ペットフード製造方法。 - 請求項1に記載のペットフード製造方法において、
ペットフード基材を炭水化物とタンパク質を主とする組成とし、
炭水化物が30重量%〜70重量%、タンパク質が20重量%〜32重量%、脂肪が5重量%〜25重量%の組成で、投入されたミンチ肉を含んだドライ型のペットフードを製造する、ペットフード製造方法。 - 請求項1に記載のペットフード製造方法において、
穀物粉100重量部に対してミンチ肉を3重量部〜100重量部含んだドライ型のペットフードを製造する、ペットフード製造方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、長期間の保存を対象とした防腐剤、保存剤を一切入れずにペットフード基材を構成した、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、ペットフード基材がアレルギーを引き起こす虞のある材料を除いたもので構成されている、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、ペットフード基材及びミンチ肉をそれぞれ人間が食することが可能な安全性の高い食材で構成した、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、押出機から押し出される線状物の水分量を15重量%〜40重量%の範囲に設定した、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、押出機を回転型押出機で構成し、その回転速度を20rpm〜40rpmの範囲に設定した、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、乾燥機によって乾燥される線状物の温度を120℃〜200℃で少なくとも5分間〜10分間加熱する、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、押出機によって押し出された線状物を所定長さにする線状物長さ調整手段を備えている、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、ミンチ肉を加熱調理済みにする加熱調理器を前記攪拌混練機の近くに設置し、攪拌混練機に投入するミンチ肉を加熱調理済みにするとともに制御装置が攪拌混練機などの運転に合わせて加熱調理時間を制御する、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、ペット関連ショップにおいて、レトルト包装したミンチ肉を加熱後、攪拌混練装置内に投入してペットフードを製造するように構成した、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、乾燥機が多孔支持部材上に線状物を載置し、多孔支持部材に熱風を吹き付けて線状物を乾燥させる構成である、ペットフード製造方法。
- 請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のペットフード製造方法において、乾燥機が、水平又は傾斜して配設された回転軸を有する乾燥容器内に線状物を収容する構成となっており、乾燥容器を回転軸の回りに回転させて線状物を容器内で移動させながら乾燥させる、ペットフード製造方法。
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