JP4136754B2 - 回転角速度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転角速度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば特許文献1には、音叉型の振動子を用いた振動型ジャイロスコープが記載されている。こうしたタイプの振動型ジャイロスコープにおいては、音叉型振動子の一対の屈曲振動片を平面内で共振させて駆動振動とし、振動子を回転させる。これによって各屈曲振動片が、平面に対して垂直な方向に向かって共振する(検出振動モード)。この検出振動に応じて検出電極に生じた起電力を検出し、回転角速度を算出する。
【特許文献1】
特開2001−235331号公報
【0003】
このような音叉型振動子の信号/雑音比率を一層向上させるための振動子が、例えば特許文献2、特許文献3に記載されている。
【特許文献2】
特開平11−248465号公報
【特許文献3】
特開平11−248459号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述のような振動子においては、振動子の屈曲振動片に平面内での駆動振動を励振すると、平面に垂直な方向(つまり検出振動モードにおける振動方向)に向かって不要な振動が発生しやすく、これが検出振動のノイズの原因になっていた。
【0005】
本発明の課題は、振動子に駆動振動を励振したときに検出振動部に発生する不要な振動を抑制し、これによって検出信号中のノイズを低減することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転角速度測定装置は、基部、基部2の周縁から突出する一対の支持部、各支持部から突出する駆動振動片、および少なくとも屈曲振動片に設けられた検出振動部を備えており、駆動振動片に振動子の表面に対して平行な方向に駆動振動を励振した状態で、振動子の表面に対して平行な回転軸の周りの回転角速度に応じて前記振動子の表面に対して垂直な方向に屈曲振動片に励振される検出振動に基づいて回転角速度を測定するための振動子、
振動子に駆動振動を励振する駆動電極、および
検出振動を検出する検出電極を備えている。
【0007】
検出振動が回転軸に垂直な方向の屈曲振動であり、屈曲振動片が相対向する一対の表面と一対の側面とを備えており、一対の表面の各中央部に、それぞれ屈曲振動片の長手方向に延びる突起が一つごと設けられており、各突起の屈曲振動片の表面に対する付け根にそれぞれテーパ面が設けられており、屈曲振動片の横断面が十字形状をなしており、一対の表面にそれぞれ検出電極が設けられており、一対の側面に検出電極が設けられておらず、突起の両側における検出電極の極性が反対である。
【0008】
本発明によれば、屈曲振動片の一対の表面に、それぞれ屈曲振動片の長手方向に延びる突起を設けることによって、振動子に駆動振動を励振したときに検出振動部に発生する不要な振動を抑制でき、これによる検出信号中のノイズを著しく低減できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明外の参考形態に係る振動子1を概略的に示す斜視図である。図2(a)は、他の参考形態に係る振動子1Aを概略的に示す斜視図であり、図2(b)は振動子1Aの正面図である。振動子1と1Aとはほぼ同じ形態を有するので、まとめて説明する。
【0010】
振動子1、1Aは、基部2と、基部2から突出する一対の音叉型振動片3A、3Bとを備えている。振動片3A、3Bには、それぞれ検出振動部5A、5Bと、先端側の駆動振動部4A、4Bが設けられている。駆動振動部4A、4Bにおいては、図3(a)に示すように、一対の表面3a、3bからへこんだ凹部6が形成されている。そして凹部6の壁面に駆動電極9Aが形成されており、振動片の側面3c、3d上に電極9Bが形成されている。検出振動部5A、5Bにおいては、屈曲振動片の各表面3a、3bから一対の細長い突起7A、7Bが突出しており、全体として十字形状の断面を有している。この屈曲振動に基づく電圧を検出部15において検出する。
【0011】
駆動時には、交流電源10から駆動電極9Aと9Bとの間に交流電圧を印加し、各屈曲振動片3A、3BをX軸方向に矢印Aのように屈曲振動させる。この状態で振動子1、1AをZ軸の周りに回転させると、各振動片3A、3Bが矢印BのようにY方向に屈曲振動する。この矢印B方向の屈曲振動を検出電極16によって電圧、電流変化に変え、検出部15において検出する。
【0012】
このような振動子1、1Aにおいては、振動子の屈曲振動片3A、3BにX−Z平面内での駆動振動Aを励振したとき、X−Z平面に垂直な方向(検出振動モードにおける振動方向B)に向かう不要な振動成分が抑制され、検出振動のノイズの原因が著しく低減されることを見いだした。
【0013】
図4(a)は、他の参考形態に係る振動子1Bを示す斜視図であり、(b)はそのIVb−IVb線断面図である。振動子1Bは、基部2、基部2から突出する一対の音叉型振動片11A、11B、中央に設けられた第二の基部31、および基部31から上方に突出する一対の音叉型振動片10A、10Bを備えている。本例では、屈曲振動片10A、10Bに駆動振動部4A、4Bが設けられている。各屈曲振動片10A、10Bには一対の細長い溝6が形成されている。また、屈曲振動片11A、11Bの各表面には、それぞれ細長い突起7A、7Bが設けられており、図3(b)に示すような横断面形状を有している。
【0014】
また、図5に示す振動子1Cは、図4の振動子1Bと同様のものであるが、基部2は設けられていない。
【0015】
振動子1Cの動作について、図5〜図7を参照しつつ説明する。これらの動作は、振動子1Bについても同様である。駆動モードにおいては、図5、図6に示すように、矢印A方向に屈曲振動片10A、10BをX軸方向に向かって屈曲振動させる。この状態で振動子1C(1B)をZ軸の周りに回転させると、図5に矢印Bで示すようにY軸方向に各屈曲振動片11A、11Bが振動する。図7にこの検出モードの振動を示す。
【0016】
好適形態においては、検出振動部が設けられた屈曲振動片の横断面の縦横比が2.0倍以上である。例えば図8(a)に示すように、屈曲振動片11A、11Bの厚さTに対する幅Wの比率(W/T)を1.5以上とすることが好ましく、2.0以上とすることが更に好ましい。これによって一層検出信号中のノイズ成分を低減できる。
【0017】
本発明においては、図8(b)に示すように、突起7A、7Bの表面11a、11bからの付け根にテーパ部ないしテーパ面12A、12B、12C、12Dを設けることができる。これによって検出信号中のノイズ成分を一層低減できる。
【0018】
本発明においては、検出振動モードにおいて、屈曲振動片がその表面に対して略垂直方向に振動し、また、駆動振動モードにおいて、屈曲振動片が前記表面に対して略平行な方向に振動する。
【0019】
図9は、本発明の一実施形態に係る圧電単結晶製の振動子1Dを概略的に示す斜視図である。図10(a)は、駆動振動片の断面形状を示し、図10(b)は、検出振動片の断面形状を示す。
【0020】
本振動子1DはX−Y平面内に形成されている。振動子1Dの基部2は長方形をしている。基部2の周縁部から一対の支持部12が突出しており、各支持部12の先端側から屈曲振動片10A、10B、10C、10Dが突出し、支持部12に直交する方向に延びている。また、基部2から例えば4つ(2対)の検出用の屈曲振動片11A、11B、11C、11DがY軸方向に延びている。
【0021】
各屈曲振動片10A、10B、10C、10Dには、それぞれ、図10(a)に示すように、一対の溝6が形成されている。屈曲振動片の横断面は略H字形状である。各屈曲振動片の溝6の壁面にはそれぞれ駆動電極9Aが形成されており、各側面上にはそれぞれ駆動電極9Bが形成されている。交流電源10から各駆動電極9A、9Bに交流電圧を印加し、各屈曲振動片10A〜10Dに交流電圧を印加し、矢印A方向に駆動振動を励振する。この状態で、振動子1DをY軸を中心として回転させると、各屈曲振動片10A〜10Dに、Z軸方向の振動が励起される。これに対応して、各屈曲振動片11A、11B、11C、11Dには、Z軸方向の検出振動が矢印Bのように励振される。各屈曲振動片11A〜11Dには、それぞれ、図10(b)に示すように、一対の突起7A、7Bが形成されている。各屈曲振動片における歪みを検出電極16によって検出する。
【0022】
図11は、本発明に係る振動子1Eを概略的に示す斜視図であり、図12は、振動子1Eの平面図であり、図13(a)は、駆動用の屈曲振動片の横断面形状を模式的に示す図であり、図13(b)は、検出用の屈曲振動片の横断面形状を模式的に示す図である。
【0023】
本例の振動子は、例えば水晶のように、X−Y平面内に3つのa軸を有する圧電性単結晶によって振動子を形成した場合のパターンを示す。本振動子1EはX−Y平面内に形成されている。振動子1Eの基部2は長方形をしている。基部2の周縁部から一対の支持部12が突出しており、各支持部12の先端側から屈曲振動片10A、10B、10C、10Dが突出し、支持部12に直交する方向に延びている。また、基部2から例えば4つ(2対)の検出用の屈曲振動片11A、11B、11C、11Dがa軸の方向に延びている。
【0024】
各屈曲振動片10A、10B、10C、10Dには、それぞれ、図12(a)に示すように、一対の溝6が形成されている。屈曲振動片の横断面は略H字形状である。各屈曲振動片の溝6の壁面にはそれぞれ駆動電極9Aが形成されており、各側面上にはそれぞれ駆動電極9Bが形成されている。交流電源10から各駆動電極9A、9Bに交流電圧を印加し、各屈曲振動片10A〜10Dに交流電圧を印加し、矢印A方向に駆動振動を励振する。この状態で、振動子1EをY軸を中心として回転させると、各屈曲振動片10A〜10Dに、Z軸方向の振動が励起される。これに対応して、各屈曲振動片11A、11B、11C、11Dには、Z軸方向の検出振動が矢印Bのように励振される。各屈曲振動片11A〜11Dには、それぞれ、図12(b)に示すように、一対の突起7A、7Bが形成されている。各屈曲振動片における歪みを検出電極16によって検出する。
【0025】
図14は、本発明外の参考形態に係る振動子1Fを示す斜視図であり、図15(a)は、駆動用の屈曲振動片10A、10Bの横断面形状を模式的に示す図であり、図15(b)は、検出用の屈曲振動片11A、11Bの横断面形状を模式的に示す図である。
【0026】
本例の振動子1Fは、所定面(X−Y面)に平行に延びている。振動子1Fにおいては、平板状の枠部22の中に中空部が設けられている。枠部22の中には、細長い真直な基部20が設けられており、基部20の両方の端部が枠部22の内周縁で連結されている。
【0027】
基部20からは一対の支持部21が突出しており、各支持部21の先端から、一対の屈曲振動片10A、10Bが上方へと向かって延びている。また、基部20からは一対の支持部21Aが突出しており、各支持部21Aの先端から、一対の屈曲振動片11A、11Bが下方へと向かって延びている。屈曲振動片10A、10Bと11A、11Bとは、互いに反対方向に向かって延びてきる。検出側の屈曲振動片11Aと11Bとの間隔は、駆動側の振動片10Aと10Bとの間隔よりも小さい。検出側の屈曲振動片11A、11Bの各先端側は、駆動側の振動片10Aと10Bとの間に挟まれるように延びている。
【0028】
各屈曲振動片10A、10Bには、それぞれ、図15(a)に示すように、一対の溝6が形成されている。屈曲振動片の横断面は略H字形状である。各屈曲振動片の溝6の壁面にはそれぞれ駆動電極9Aが形成されており、各側面上にはそれぞれ駆動電極9Bが形成されている。交流電源10から各駆動電極9A、9Bに交流電圧を印加し、各屈曲振動片10A、10Bに交流電圧を印加し、矢印A方向に駆動振動を励振する。この状態で、振動子1FをY軸を中心として回転させると、各屈曲振動片10A、10Bに、Z軸方向の振動が励起される。これに対応して、各屈曲振動片11A、11Bには、Z軸方向の検出振動が矢印Bのように励振される。各屈曲振動片11A、11Bには、それぞれ、図15(b)に示すように、一対の突起7A、7Bが形成されている。各屈曲振動片における歪みを検出電極16によって検出する。
【0029】
振動子の材質は特に限定するものでないが、水晶、LiNbO3、LiTaO3、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3)単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶を使用することが好ましい。
【0030】
本発明の振動子を圧電性材料によって形成した場合には、この振動子に駆動電極および検出電極を設ける。圧電性材料としては、圧電単結晶の他に、PZT等の圧電セラミックスがある。また、本発明の振動子を、エリンバー等の恒弾性金属によって形成することもできる。この場合には、振動子の所定箇所に圧電体を取り付ける必要がある。
【0031】
(参考例1)
図2、図3に示すような形態を有する振動子1Aを製造した。
具体的には、縦2インチ、横2インチ、厚さ0.1mmの水晶基板を希フッ酸にてエッチング洗浄した後、スピンドライヤーにて乾燥し、水晶基板の両方の表面を清浄化した。水晶基板の各表面にスパッタ装置を用いて、Crを下地層として成膜し、Au膜を成膜した。
【0032】
次にAu膜の成膜面上にフォトレジストを塗布し、レジスト膜を形成し、レジストの溶剤成分を除去するため、オーブンを用いてプリベークした。
次に、一対の表面の高精度アライメントが可能な露光装置と、外形エッチング加工パターンおよび振動アーム上に形成する十字断面パターンを描画したフォトマスクを用い、水晶基板の表面に、フォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、レジストパターンを形成した。
【0033】
このレジストパターンをマスクとして、硝酸セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸の混合液にて、水晶基板上に成膜したAuとCrの多層膜をエッチング除去して、AuとCrの多層膜からなるエッチングマスクパターンを形成した。
次に、AuとCrの多層膜パターン上に残留したフォトレジストをアセトンにて溶解除去し、このパターン上に再びフォトレジストをスピンコーターによって塗布して厚さ10μmのレジスト膜を形成した。
次に、各表面の高精度アライメントが可能な露光装置と、外形エッチング加工パターンのみを描画したフォトマスクを用い、水晶基板の表裏両面に前記フォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、レジストパターンを形成した。
次に、本基板を70℃に加熱した40%フッ化水素アンモニウム溶液に10時間浸漬し、水晶をエッチング加工して振動子の外形形状を得た。
次に、硝酸セリウムとアンモニウムと塩酸と過塩素酸との混合液にて、水晶振動子上に残ったAuとCrのエッチングマスクを剥離し、除去し、所望の外形を有する振動子を得た。
次に、スパッタ装置を用いて加工した水晶基板に、Crを下地層としてAu膜を基板上に形成した。次に、Au膜の成膜面上にスピンコーターによりフォトレジストを塗布し、厚さ1μmのレジスト膜を形成し、レジストの溶剤成分を除去するためにオーブンを用いてプリベークした。
次に、各表面の高精度アライメントが可能な露光装置と、溝および十字形断面パターンを描画したフォトマスクを用い、水晶振動子の表裏面に前記のフォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、フォトレジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとして、硝酸セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸との混合液にて、水晶基板上に成膜したAuとCrとの多層膜をエッチングにより除去し、AuとCrとの多層膜からなるエッチングマスクパターンを形成した。
次に、残留したフォトレジストをアセトンによって溶解し、除去し、振動片上のAuとCrとのエッチングパターンを露出させた。
その後、70℃に加熱した40%フッ化水素アンモニウム溶液に浸漬し、振動片の溝の深さおよび突起7A、7Bの高さが30μmとなるようにエッチング加工した。
【0034】
次に、硝酸セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸との混合液にて、水晶振動子上に残ったAuとCrとのエッチングマスクを剥離し、除去し、所望の形状を有する水晶基板を得た。次に、スパッタ装置を用いて、加工した水晶基板に厚さ0.03μmのCrと下地層として厚さ0.2μmの電極用Au膜を、振動子の各表面および各側面上に成膜した。
次に、スプレー式レジストコーターを用いて水晶基板の各表面、各側面および各エッジ部にフォトレジストを塗布した。次に、各表面の高精度アラインメントが可能な露光装置と、電極配線パターンを描画したフォトマスクとを用い、振動子の各表面に電極配線パターンをフォトリソグラフィーによって転写し、振動子に、フォトレジストからなる電極パターンを形成した。次に、フォトレジスト電極パターンをマスクとして、電極金属であるAuとCrとを硝酸第二セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸との混合液に浸漬し、エッチングによって除去し、所望の電極パターンを形成した。
【0035】
得られた振動子に共振周波数45kHzの駆動振動を励振した。振動子を回転させることなく、検出信号を計測したところ、2mVのノイズ成分が得られた。
【0036】
(比較例1)
実施例1の振動子1Aにおいて、突起7A、7Bを形成しない設計とした。この振動子においては、30mVのノイズ成分が検出された。
【0037】
(参考例2)
参考例1とほぼ同様のプロセスに従って、図5、6、7に示す振動子1Cを製造した。検出用の屈曲振動片11A、11Bの幅W/厚さT(図8(a))を1.0にした。得られた振動子に共振周波数 45kHzの駆動振動を励振した。振動子を回転させることなく、検出信号を計測したところ、0.4mVのノイズ成分が得られた。
【0038】
(比較例2)
参考例2と同様にして振動子1Cを製造した。ただし、突起7A、7Bは形成しない設計とした。得られた振動子に共振周波数 45kHzの駆動振動を励振した。振動子を回転させることなく、検出信号を計測したところ、3mVのノイズ成分が得られた。
【0039】
(参考例3)
参考例2と同様にして振動子1Cを製造した。ただし、図8(a)に示すように、検出用の屈曲振動片11A、11Bの幅W/厚さTを2.0にした。この結果、ノイズ成分は0.2mVに低下した。
【0040】
(参考例4)
参考例2と同様にして振動子1Cを製造した。ただし、図8(a)に示すように、検出用の屈曲振動片11A、11Bの幅W/厚さTを3.0にした。この結果、ノイズ成分は0.1mVに低下した。
【0041】
(参考例5)
参考例2と同様にして振動子1Cを製造した。ただし、図8(b)に示すように、検出用の屈曲振動片11A、11Bの幅W/厚さTを1.0にし、かつテーパ部12A、12B、12C、12Dを形成した。この結果、ノイズ成分は0.2mVに低下した。
【0042】
(参考例6)
図5〜図7に示す形態の振動子1Cを製造した。ただし、製造時には、図16〜図18に示すような製造プロセスを採用した。
【0043】
具体的には、縦2インチ、横2インチ、厚さ0.1mmの水晶基板26(図16(a)参照)を希フッ酸にてエッチング洗浄し、スピンドライヤーにて乾燥し、清浄化した。水晶基板26の各表面26a、26bに、それぞれ、スパッタ装置を用いて、Crを下地層としてAu膜26a,26bを成膜した(図16(a))。
【0044】
次に、Au膜27の成膜面上にスピンコーターによりフォトレジストを塗布し、厚さ1μmのレジスト膜28を形成し、レジストの溶剤成分を除去するためオーブンを用いてプリベークした(図16(b))。
【0045】
次に、各表面26a、26bの高精度アライメントが可能な露光装置と、外形エッチング加工パターンおよび振動アーム上に形成する十字断面パターンを描画したフォトマスクを用い、水晶基板の表面26a、26bにフォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、レジストパターン29を形成した(図16(c))。このレジストパターン29は、図18(d)に示す十字断面パターンおよび振動子外形パターンに対応するように設計する。
【0046】
このレジストパターン29をマスクとして、硝酸セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸の混合液にて多層膜27をエッチング除去し、AuとCrの多層膜からなるエッチングマスクパターン30を形成した(図17(a))。
【0047】
次に、多層膜パターン30上に残留したフォトレジスト29をアセトンにて溶解除去した(図17(b))。このパターン上に再びフォトレジストをスピンコーターによって塗布し、厚さ10μmのレジスト膜31を形成した(図17(c))。ここで塗布するレジスト膜31は、次工程の水晶エッチング工程でエッチングマスクとして機能させるため、通常のレジスト膜より十分厚くしておく必要がある。
【0048】
次に、各表面26a、26bの高精度アライメントが可能な露光装置と、外形エッチング加工パターンのみを描画したフォトマスクを用い、水晶基板の各表面にフォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、レジストパターン32を形成した(図18(a))。ここで得られたレジストパターンは、振動子の外形エッチング部分はレジストが除去されており、十字断面パターンに対応するレジスト30は残留し、保護されている。
【0049】
次に、本基板26を、70℃に加熱した40%フッ化水素アンモニウム溶液に10時間浸漬し、水晶をエッチング加工して振動子の外形形状33を得た(図18(b))。34は外形エッチング部分である。
【0050】
次に、残留したフォトレジスト32をアセトンによって溶解除去し、振動アーム上のAuとCrとのパターン30を露出させた(図18(c))。その後、70℃に加熱した40%フッ化水素アンモニウム溶液に振動子33を0.5時間浸漬し、溝深さが30μmとなるようエッチング加工した。この結果、所望の十字断面形状35が得られた(図18(d))。次に、硝酸セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸の混合液にて、振動子上に残ったAuとCrのエッチングマスクを剥離除去した。なお、36A、36Bは突起である。
【0051】
次に、スパッタ装置を用い、振動子にCrを下地層として成膜し、電極用Au膜を成膜した。次に、スプレー式レジストコーターを用いて振動子の表面、側面、エッジ部に、フォトレジストを塗布した。次に、各表面26a、26bの高精度アライメントが可能な露光装置と、電極配線パターンを描画したフォトマスクを用い、振動子の各表面に前記電極配線パターンをフォトリソグラフィによって転写し、振動子上にフォトレジストからなる電極パターンを形成した。次に、フォトレジスト電極パターンをマスクとして、電極金属であるAuとCrを硝酸第二セリウムアンモニウムと塩酸と過塩素酸の混合液に浸漬してエッチング除去し、所望の電極パターンが形成された水晶振動子を得た。
【0052】
得られた振動子に共振周波数45kHzの駆動振動を励振した。振動子を回転させることなく、検出信号を計測したところ、0.3mVのノイズ成分が得られた。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、振動子に駆動振動を励振したときに検出振動部に発生する不要な振動を抑制し、これによって検出信号中のノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考形態に係る振動子1を概略的に示す斜視図である。
【図2】 (a)は、他の参考形態に係る振動子1Aを概略的に示す斜視図であり、(b)は、振動子1Aの正面図である。
【図3】 (a)は、振動子1Aの駆動振動部を模式的に示す図であり、(b)は、振動子1Aの検出振動部を模式的に示す図である。
【図4】 (a)は、参考形態に係る振動子1Bを概略的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のIVb−IVb線断面図である。
【図5】 参考形態に係る振動子1Cを概略的に示す斜視図である。
【図6】 振動子1Cの駆動モードの振動形態を示す斜視図である。
【図7】 振動子1Cの検出モードの振動形態を示す斜視図である。
【図8】 (a)、(b)は、検出用の屈曲振動片11A、11Bの横断面形状を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施形態に係る振動子1Dを概略的に示す斜視図である。
【図10】 (a)は、振動子1Dの駆動用の屈曲振動片10A〜10Dの横断面を模式的に示す図であり、(b)は、振動子1Dの検出用の屈曲振動片11A〜11Dの横断面を模式的に示す図である。
【図11】 他の実施形態に係る振動子1Eを概略的に示す斜視図である。
【図12】 他の実施形態に係る振動子1Eを概略的に示す平面図である。
【図13】 (a)は、振動子1Eの駆動用の屈曲振動片10A〜10Dの横断面を模式的に示す図であり、(b)は、振動子1Eの検出用の屈曲振動片11A〜11Dの横断面を模式的に示す図である。
【図14】 参考形態に係る振動子1Fを概略的に示す斜視図である。
【図15】 (a)は、振動子1Fの駆動用の屈曲振動片10A、10Bを模式的に示す図であり、(b)は、振動子1Fの検出用の屈曲振動片11A、11Bを模式的に示す図である。
【図16】 (a)、(b)、(c)は、振動子への突起形成プロセスの各工程を示す断面図である。
【図17】 (a)、(b)、(c)は、振動子への突起形成プロセスの各工程を示す断面図である。
【図18】 (a)、(b)、(c)、(d)は、振動子への突起形成プロセスの各工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 振動子 2
基部 3A、3B 屈曲振動片 4A、4B 駆動振動部 5A、5B 検出振動部 6 溝 7A、7B 突起 9A、9B 駆動電極 10A、10B、10C、10D 駆動用の屈曲振動片 11A、11B、11C、11D 検出用の屈曲振動片 11a、11b 屈曲振動片の表面 11c、11d 屈曲振動片の側面 16 検出電極 A 駆動モードの振動 B 検出モードの振動
Claims (1)
- 基部、基部の周縁から突出する一対の支持部、各支持部から突出する駆動振動片、および少なくとも屈曲振動片に設けられた検出振動部を備えており、前記駆動振動片に振動子の表面に対して平行な方向に駆動振動を励振した状態で、前記振動子の表面に対して平行な回転軸の周りの回転角速度に応じて前記振動子の表面に対して垂直な方向に前記屈曲振動片に励振される検出振動に基づいて回転角速度を測定するための振動子、
前記振動子に前記駆動振動を励振する駆動電極、および
前記検出振動を検出する検出電極を備えている物理量測定装置であって、
前記検出振動が前記回転軸に垂直な方向の屈曲振動であり、前記屈曲振動片が相対向する一対の表面と一対の側面とを備えており、前記一対の表面の各中央部に、それぞれ前記屈曲振動片の長手方向に延びる突起が一つごと設けられており、前記各突起の前記屈曲振動片の表面に対する付け根にそれぞれテーパ面が設けられており、前記屈曲振動片の横断面が十字形状をなしており、前記一対の表面にそれぞれ前記検出電極が設けられており、前記一対の側面に前記検出電極が設けられておらず、前記突起の両側における前記検出電極の極性が反対であることを特徴とする、回転角速度測定装置。
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