JP4134914B2 - 転炉排ガス集塵水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉で発生した排ガスを湿式集塵処理して得られるダストを含む集塵水の処理方法に係り、特に、この集塵水中に含まれるダストの回収率を高め、ダストのリサイクルコストの低減及びリサイクル効率の向上を図る方法に関する。
転炉(LD転炉:純酸素上吹転炉)では、溶鋼に純酸素を吹き付けることにより(吹錬)、溶鋼中の炭素を取り除いて鋼を製造する。この吹錬中に、高温(約1,600℃)でダストを含む一酸化炭素を主体とする大量の排ガスが発生するため、この排ガスは湿式集塵器で集塵処理した後、LDガスとして回収される。一方、集塵器でダストを集塵した集塵水は、まず粗粒分離器で粗粒ダストが除去された後、シックナーで凝集沈殿処理され、分離水は集塵器に循環され、排ガスの集塵処理に繰り返し使用される。
転炉から発生する排ガス中のダストの量は非常に多く、通常粗鋼1トン当たり数kgといわれている。そして、このダストの70〜80%は鉄分であるため、従来、このダストを回収して再利用することが行われている。例えば、特開平9−78115号公報には、集塵水から分離回収した湿潤ダストを乾燥した後、転炉に装入して吹錬することにより、回収ダストを直接転炉に再利用する方法が記載されている。
特開平9−78115号公報
転炉排ガス集塵水からは、粗粒分離器とシックナーとでダストが分離回収される。このうち、粗粒分離器で回収される粗粒ダストは純分(鉄含有量)が高く、リサイクルに有効であるが、シックナーで回収されるスラリーは純分が低いため、粗粒分離器で回収される粗粒ダストとはリサイクル方法が異なり、また、そのリサイクルのためのコストも高い。
従って、リサイクルコスト及びリサイクル効率の面からは、粗粒分離器においてなるべく多くの粗粒ダストを回収することが望まれるが、従来において、シックナーにおいては高分子凝集剤の添加で凝集沈殿処理が行われているが、粗粒分離器では、集塵器からの集塵水がそのまま導入されているため、粗粒分離器での粗粒ダストの回収率にも限界があった。
本発明は、転炉排ガス集塵水の処理に当たり、粗粒分離器での粗粒ダストの回収率を高め、転炉排ガスダストのリサイクルコストの低減、リサイクル効率の向上を図る転炉排ガス集塵水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明の転炉排ガス集塵水の処理方法は、転炉排ガスを湿式集塵器にて湿式集塵処理して得られるダストを含む集塵水を粗粒分離器に導入して粗粒ダストを分離した後、シックナーで凝集沈殿処理する転炉排ガス集塵水の処理方法において、該湿式集塵器の出口から該粗粒分離器の間の集塵水及び/又は粗粒分離器に高分子凝集剤を添加することを特徴とする。
高分子凝集剤を添加して、粗粒分離器において凝集分離を行うことにより粗粒分離器での粗粒ダストの分離回収効率を高めることができる。
本発明において、この高分子凝集剤の添加量は集塵水に対して1〜10mg/L、好ましくは1.5〜4mg/Lであることが好ましく、高分子凝集剤としては、カチオン系高分子凝集剤が好適である。なお、粗粒分離器で分離する粗粒ダストは、その取り扱い性の面から含水率が10〜50量%であることが好ましい。
本発明によると、転炉排ガス集塵水の処理に当たり、粗粒分離器での粗粒ダストの回収率を高め、転炉排ガスダストのリサイクルコストの低減、リサイクル効率の向上を図ることができる。
以下に図面を参照して本発明の転炉排ガス集塵水の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の転炉排ガス集塵水の処理方法の実施の形態の形態を示す系統図である。
集塵器1で転炉排ガスを集塵処理して得られるダストを含む集塵水は、粗粒分離器2に導入されて粗粒ダストが分離された後、シックナー3で凝集沈澱処理され、分離水は集塵水槽4を経て集塵器1の集塵処理に循環使用される。
本発明においては、このような循環集塵水系において、粗粒分離器2に導入される集塵水及び/又は粗粒分離器2に高分子凝集剤を添加する。この高分子凝集剤としては、カチオン系高分子凝集剤が好ましく、例えば、ポリジアリル4級アンモニウム塩、ポリ(メタ)アクリル酸アミノエステル、ポリ(メタ)アクリル酸アミノエステル共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、ジハロアルカンポリアルキレンポリアミン重縮合体、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、ポリ(メタ)アクリレートポリアルキレンポリアミン、カチオン化澱粉、キトサン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
このような高分子凝集剤の添加量が少な過ぎると高分子凝集剤を添加することによる粗粒ダストの回収率の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると、分離された粗粒ダストの含水率が高くなりその取り扱い性が悪くなるため、高分子凝集剤の添加量は粗粒分離器2に導入される集塵水に対して1〜10mg/L、好ましくは1.5〜4mg/L、特に好ましくは2〜3mg/Lとする。本発明では、上記範囲で高分子凝集剤の添加量を調整することにより、含水率10〜50量%程度の粗粒ダストを回収することが、その取り扱い上好ましい。
高分子凝集剤は集塵器1の出口から粗粒分離器2の間であれば、どの箇所に添加しても良い。また、高分子凝集剤は粗粒分離器2に添加しても良く、粗粒分離器2の入口側と粗粒分離器2との両方で添加しても良い。
なお、粗粒分離器2の種類には特に制限はなく、通常、粒径60μm以上の粗粒ダストが分離回収される。
粗粒分離器2で粗粒ダストが分離された集塵水は、次いで、常法に従って高分子凝集剤が添加された後、シックナー3で凝集沈殿処理され、分離水が集塵水槽4に送給される。この高分子凝集剤としては、粗粒ダストの分離回収の際に用いる高分子凝集剤と同様のものを用いることができる。
本発明は、集塵器1と粗粒分離器2との間の集塵水、或いは粗粒分離器2に高分子凝集剤を添加すること以外は、特別な設計変更を要することなく、既存の転炉集塵水系にて実施することができ、高分子凝集剤の添加で粗粒分離器で回収される粗粒ダストの回収率を高めることにより、転炉ダストのリサイクルコストの低減、リサイクル効率の向上を図ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
鉄鋼の転炉集塵水系において、粗粒分離器の入口で、ダストを含む集塵水に対してカチオン系高分子凝集剤としてジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級化物ポリマーを3mg/L添加し、その後、粗粒分離器(スクリュータイプ)で粗粒ダストの分離回収を行った。このとき回収された粗粒ダストの回収量は、集塵水にカチオン系高分子凝集剤を添加せずに粗粒分離器で粗粒ダストを分離回収した場合の回収量の1.1〜1.3倍となり、回収率が向上した。この回収ダストの含水率は30量%であった。
なお、このカチオン系高分子凝集剤の添加量を、集塵水に対して5mg/Lとしたこと以外は上記と同様にして粗粒分離器で粗粒ダストの分離回収を行ったところ、回収率は高いものの、回収ダストの含水率が60%に上昇したことにより、トラック輸送の際、水が荷台より流れ出るなどの不具合がでた。
本発明の転炉排ガス集塵水の処理方法の実施の形態の形態を示す系統図である。
符号の説明
1 集塵器
2 粗粒分離器
3 シックナー
4 集塵水槽

Claims (4)

  1. 転炉排ガスを湿式集塵器にて湿式集塵処理して得られるダストを含む集塵水を粗粒分離器に導入して粗粒ダストを分離した後、シックナーで凝集沈殿処理する転炉排ガス集塵水の処理方法において、該湿式集塵器の出口から該粗粒分離器の間の集塵水及び/又は粗粒分離器に高分子凝集剤を添加することを特徴とする転炉排ガス集塵水の処理方法。
  2. 請求項1において、該高分子凝集剤の添加量が該集塵水に対して1〜10mg/Lであることを特徴とする転炉排ガス集塵水の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、該高分子凝集剤がカチオン系高分子凝集剤であることを特徴とする転炉排ガス集塵水の処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該粗粒分離器で分離される粗粒ダストの含水率が10〜50量%であることを特徴とする転炉排ガス集塵水の処理方法。
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