JP4134632B2 - 感熱転写記録材料、感熱転写受像シート、インクシートおよび感熱転写記録方法 - Google Patents

感熱転写記録材料、感熱転写受像シート、インクシートおよび感熱転写記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱転写記録材料、感熱転写受像シート、インクシートおよび感熱転写記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー又はモノクロの画像の形成技術として、加熱により拡散移行する性質を有する昇華性色素を利用した昇華熱転写が知られており、高画質でハロゲン化銀写真に匹敵するデジタルドライフルカラー画像を出力することができる。この転写方法は昇華性色素を含有するインクシートを、受像シートの受像層と対面させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱手段を用いて受像層に昇華性色素を画像様に転写して画像を形成するものである。このような感熱転写記録においては、インクシートに用いられる昇華性色素が重要な役割を有するが、従来の昇華性色素は熱で拡散転写させるため、熱には非常に敏感であり、受像層に転写した後でも熱による拡散を継続し画像滲みが問題となり、又得られた画像の暗退色、光退色等の画像保存性が十分でないという欠点も有している。
【0003】
そこで、その点を改良するために、色素前駆体と色素定着体を反応させることにより画像を形成する、いわゆる反応型の色素を用いた画像形成方法(反応性昇華熱転写法)が提案されている。例えば、特開昭59−78893号、同59−109394号、同60−2398号等に、色素前駆体としてキレート化可能な熱拡散性の化合物(以下、ポストキレート色素ともいう)を用い、色素定着体である金属イオン含有化合物(以下、メタルソースともいう)と反応させて金属キレートを形成させて、画像を形成する方法が開示されている。この方法によれば一般昇華熱転写画像に比べると、画像滲みは改善されたが、高温、高湿条件下にさらすと滲み、さらには非画像転写部分(白地)の黄変が発生するなど通常の印刷画像と比較するとまだ不十分である。
【0004】
暗退色、光退色等の画像保存性については、形成された色素そのものを光や酸素、水分等の影響に対し強くすることが考えられるが限界がある。反応性昇華熱転写法ではポストキレート色素が受像層表面側から転写・拡散されるため、形成された色素は受像層の表面近傍に偏りがちになり、受像層中に均一に分布されるのは困難であった。そのため表面近傍の色素は直接光、酸素、水分等の影響を受けることになり退色が加速されるという問題が生じる。一方、前記反応性昇華熱転写法と共に加熱手段を用いて受像層表面上に保護層を設ける技術について報告されている。これによって機械的磨耗に対しては改善が見られたが、受像層表面に色素が局在すると保護層中へ色素が拡散し画像耐久性が劣化するという問題があった。同様に、ポストキレート色素をインクシートから面順次に受像層へ転写する際、受像層表面に前記理由から色素が局在化し、次のインク層が転写される際に、前の色素をある程度吸着するいわゆる「逆転写」の問題も生じている。このため、色素は効率的には転写されない。従って高感度、高濃度な記録を行うことは困難であった。
【0005】
また、染料や顔料として知られている色素は、繊維の染色材、樹脂や塗料の着色材、写真、印刷、複写機、プリンターにおける画像形成材、カラーフィルターの光吸収材などの様々な用途で広範に利用されている。近年ではインクジェット、電子写真、銀塩写真、感熱転写等を用いたカラーハードコピー用画像形成色素が種々提案され、またエレクトロニックイメージングの進展に伴い、固体撮像管やカラー液晶テレビ用フィルター用色素や半導体レーザーを利用した光記録媒体用色素等の需要が増大しており、色素の利用分野が拡大している。前記の色素には共通して次のような性質を具備していることが望まれている。即ち、色再現上好ましい色相を有すること、最適な分光吸収特性を有すること、耐光性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの画像堅牢性が良好であること、モル吸光係数が大きいこと等が挙げられる。アゾ色素は以前から、イエロー、マゼンタ、シアンの感熱、感光感熱、または熱転写記録材料として、アゾメチン色素はイエロー、マゼンタ、シアンの三色混合による減色法を用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成用色素として、またメチン色素はハロゲン化銀写真感光材料のフィルター染料、ハレーション防止染料として従来から用いられている。これらの色素としては特開昭59−184339号、同60−130735号、特開平2−3450号、同4−78583号、同4−89287号、同4−359968号などに開示されており、カラーハードコピー用画像形成色素としても提案されている。しかしながら、これらの色素は、いまだ十分な画像堅牢性を得るには至っていない。また、特開昭64−44786号、特開平2−76884号、同5−17701号、同9−143382号には耐光性に優れた金属錯体色素が記載されているが、モル吸光係数が小さく、特定の吸収波長のため画像形成用色素等の用途に用いるには不利であり、前記の性質を具備した色素の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高感度であり、耐光性に優れ、高温高湿下で画像滲みが殆どなく、白地の黄変が見られない等の優れた画像保存性を有する感熱転写記録材料および受像シートと、高感度、かつ優れた画像保存性を有する画像が得られる熱転写画像形成方法を提供することにある。もう一つの目的は、高感度であり、光、熱、湿堅牢性に優れたキレート色素を用いた感熱転写記録シート及び感熱転写方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、以下の構成によって達成された。
【0008】
1.前記一般式(I)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
【0009】
2.前記一般式(I)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
【0010】
3.前記一般式(II)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
【0011】
4.前記一般式(II)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
【0012】
5.前記一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
【0013】
6.前記一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
【0014】
7.一般式(I)、(II)または一般式(III)で表される化合物の疎水性/親水性パラメーター値(logP値)が3.0以上10.0以下の範囲であることを特徴とする前記1、3又は5に記載の感熱転写記録材料。
【0015】
8.一般式(I)、(II)または一般式(III)で表される化合物の疎水性/親水性パラメーター値(logP値)が3.0以上10.0以下の範囲であることを特徴とする前記2、4又は6に記載の感熱転写受像シート。
【0016】
9.キレート化可能な色素を有するインクシートのインク層と、前記2、4、6又は8のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの受像層を重ね合わせ、加熱手段にて像様に加熱し、前記色素と前記一般式(I)、(II)及び一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物から選ばれる少なくとも1種の金属含有化合物との反応により金属キレート色素画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
【0017】
10.前記一般式(I)、(II)及び一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物から選ばれる少なくとも1種の金属含有化合物と、前記一般式(1)、(2)及び一般式(4)に示される色素から選ばれる少なくとも1種を反応させて得られる金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするインクシート。
【0018】
11.前記10記載のインクシートを用いることを特徴とする感熱転写記録方法。
【0019】
本発明を更に詳しく説明する。前記一般式(I)において、R1で表される置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、エトキシエチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルケニル基(エテニル基、アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等)、アラルキル基(ベンジル基、o−ブロモベンジル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、クロルフェニル基、ビフェニル基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基等)、ヘテロ環基(ピロリル基、チエニル基、イミダゾリル基、フラニル基、ピリジニル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等)を表す。これらの置換基はさらに置換基を有していても良く、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基等)、ヘテロ環基(ピロリル基、チエニル基、イミダゾリル基、フラニル基、ピリジニル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等)などの置換基で置換されていても良い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
【0020】
2で表される置換基としては炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基であり、詳細な記載はR1と同様である。R1、R2はそれぞれ同じでも良いし異なっても良い。
【0021】
3は水素原子又は置換基を表し、置換基としてはアルキル基(例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、およびアダマンチル基等)、およびアルケニル基(例えば2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えばフェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、および2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、および2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えばN,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基)、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基)、ウレイド基(例えばN,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、およびp−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、および複素環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
【0022】
4は水素原子又は置換基を表し、詳細な記載はR3と同様である。但し、R4の置換基が複数存在する場合、各々のR4は同じでも、異なっていても良い。
【0023】
一般式(I)において、mは1から5の整数を表し、nは2から8の整数を表す。
【0024】
一般式(II)において、R5は炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基を表し、詳細な記載は一般式(I)におけるR2と同様である。
【0025】
6は水素原子又は置換基を表し、詳細な記載は一般式(I)におけるR3と同様である。但し、R6の置換基が複数存在する場合、各々のR6は同じでも、異なっていても良い。
【0026】
一般式(III)において、R7で表される置換基としては炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基であり、詳細な記載は一般式(I)のR1と同様である。
【0027】
8で表される置換基としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基であり、詳細な記載は一般式(I)のR1と同様である。
【0028】
9は水素原子又は置換基を表し、詳細な記載は一般式(I)におけるR3と同様である。但し、R9の置換基が複数存在する場合、各々のR9は同じでも、異なっていても良い。
【0029】
10は水素原子又は置換基を表し、詳細な記載は一般式(I)のR3と同様である。但し、R10の置換基が複数存在する場合、各々のR10は同じでも、異なっていても良い。
【0030】
以下に、一般式(I)、(II)および一般式(III)に示される化合物の具体例を示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0031】
【化8】
Figure 0004134632
【0032】
【化9】
Figure 0004134632
【0033】
【化10】
Figure 0004134632
【0034】
【化11】
Figure 0004134632
【0035】
【化12】
Figure 0004134632
【0036】
【化13】
Figure 0004134632
【0037】
【化14】
Figure 0004134632
【0038】
【化15】
Figure 0004134632
【0039】
【化16】
Figure 0004134632
【0040】
【化17】
Figure 0004134632
【0041】
【化18】
Figure 0004134632
【0042】
一般式(I)、(II)または一般式(III)の化合物が金属含有化合物を形成して好ましい性能を示すためには、一般式(I)、(II)または一般式(III)で示される化合物の親水性/疎水性パラメータ値(LogP値)が3.0以上10.0以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは4.0以上8.0以下の範囲である。
【0043】
疎水性/親水性を表すパラメータであるlogPは、通常n−オクタノールと水への2つの溶媒系における物質の分配係数より求めることが出来るが、これらは化学領域増刊122号「薬物の構造活性相関」(南江堂)73〜103頁に詳しく記載されている。近年logPを計算により求める方法が提案されており、特に有用な方法として米国モレキュラーデザイン社(Molecular Design Limited)のソフトウェア「CHEMLAB−II Revision10.02」を挙げることが出来る。本発明でいうところのlogPとはこのソフトウェア「CHEMLAB−II Revision10.02」を用いて計算された値である。
【0044】
次に、本発明に用いられる金属含有化合物について述べる。本発明に用いられる金属含有化合物は下記一般式(A)で表される。
【0045】
一般式(A) M2+(X0 -2
式中、M2+は2価の金属イオンを表すが、これらの中でも金属含有化合物自身の色およびキレート化した色素の色調からニッケルおよび亜鉛が好ましい。X0は2価の金属イオンと錯体を形成することができる前記一般式(I)、(II)または一般式(III)で表された化合物を表す。また、本発明に用いられる金属含有化合物は中心金属に応じて中性の配位子を有してもよく、代表的な配位子としてはH2O或はNH3が挙げられる。
【0046】
本発明における金属含有化合物は、一般式(I)、(II)または一般式(III)の化合物を合成した後に2価の金属化合物と反応させ得られるものであることが好ましい。これらの金属含有化合物の合成方法は、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」などに記載の方法に準じて合成することが出来る。使用される2価の金属化合物としては、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物、塩化カルシウムに代表されるカルシウム化合物、塩化バリウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化チタン(II)、塩化鉄(II)、塩化銅(II)、塩化コバルト、塩化マンガン(II)、塩化鉛、酢酸鉛、塩化水銀、酢酸水銀等が挙げられるが、前述のとおり、金属含有化合物自身の色およびキレート化した色素の色調の点から、好ましくは塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化ニッケル、酢酸ニッケルであり、最も好ましいのは酢酸ニッケルである。
【0047】
次に金属含有化合物の合成例を示す。
合成例1(化合物I−9の合成)
アセトニトリル45ml中に、3−オキソ−ヘプタン酸ブチルエステル8.5g(0.04229モル)と塩化カルシウム9.4g(0.08458モル)の9ml水溶液およびトリエチルアミン12.8g(0.1269モル)を加え1時間攪拌した後、4−(4−tert−ブチルフェノキシ)酪酸クロリド11.3g(0.04440モル)を内温30〜35℃に保ちながらおよそ20分かけ滴下した。滴下後さらに2時間攪拌した後、反応液を水洗、濃縮したのち。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製を行い、化合物I−9を15.4g(収率87%)得た。なお、構造の同定は、1H−NMRとマススペクトルを用いて行った。
【0048】
合成例2(化合物II−8の合成)
合成例1の3−オキソ−ヘプタン酸−ブチルエステルの代わりに3−オキソ−酪酸n−ヘキシルエステルを7.8g(0.04199モル)用いた以外は同様の処方で反応、後処理、精製を行い、化合物II−8を13.3g(収率78.3%)得た。
【0049】
合成例3(化合物II−22の合成)
合成例1の3−オキソ−ヘプタン酸−ブチルエステルの代わりに3−オキソ−酪酸4−tert−ブチルフェニルエステルを9.3g(0.03953g)用いた以外は同様の処方で反応、後処理、精製を行い、化合物II−22を14.6g(収率81.6%)を得た。
【0050】
合成例4(金属錯体IV−9の合成)
30mlのメタノール中に酢酸ニッケル4水和物3.1g(0.01248モル)を溶解させた後、化合物I−9の10.4g(0.02496モル)を5分かけ滴下した。室温で1時間反応させた後、約二時間氷冷し、析出した結晶を濾取した。結晶をヘプタンで洗浄後、約120mlのメタノールで再結晶し、金属錯体IV−9を8.5g(収率76.2%)得た。
【0051】
合成例5(金属錯体V−9の合成)
合成例4の酢酸ニッケル4水和物の代わりに酢酸銅1水和物を用いた以外は実施例4と同様に反応、後処理、精製を行い、化合物V−9を7.6g(収率68.3%)得た。
【0052】
合成例6(金属錯体VI−8の合成)
合成例4の化合物I−9の代わりに化合物II−8を10.6g(0.02611モル)用いた以外は実施例4と同様に反応、後処理、精製を行い、化合物VI−8を9.2g(収率87.1%)得た。
【0053】
このように合成した一般式(I)、(II)および一般式(III)の化合物とそのlogP値、対応する金属含有化合物(便宜的に化合物IVからIXとした)を表に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004134632
【0055】
【表2】
Figure 0004134632
【0056】
【表3】
Figure 0004134632
【0057】
次に、一般式(I)、(II)または一般式(III)で示される化合物と2価の金属化合物を反応させて得られる金属含有化合物と一般式(1)、(2)および一般式(4)に示される色素からなる金属キレート色素について述べる。
【0058】
一般式(1)においてR11及びR12で表される置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、又はアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル、シクロヘキシル等)、アリール基(例えばフェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
【0059】
13で表されるアルキル基及びアリール基としては、R11及びR12で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
【0060】
Zで表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的にはベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1およびR2で表される置換基と同じものを挙げることができる。
【0061】
本発明に用いられる一般式(1)で表される色素は、例えば下記一般式(B)で表される化合物をChemical Reviews,Vol.75,241(1975)に記載の方法に準じてジアゾ化し、下記一般式(C)で表される化合物との公知のカップリング反応に従って製造することができる。
【0062】
【化19】
Figure 0004134632
【0063】
式中、R11、R12、R13及びZは、それぞれ前記一般式(1)のR11、R12、R13及びZと同義である。
【0064】
次に、本発明に用いられる一般式(1)で表される色素の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
【化20】
Figure 0004134632
【0066】
【化21】
Figure 0004134632
【0067】
【化22】
Figure 0004134632
【0068】
一般式(2)においてR21は水素原子、ハロゲン原子(弗素、塩素等)又は1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、それぞれ更に置換されてもよいアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0069】
22は置換されてもよい芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表すが、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ナフタレン環等の残基が挙げられる。これらの環残基は更に他の炭素環(例えばベンゼン環)や複素環(例えばピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されてもよい。Xはメチン基または窒素原子を表す。
【0070】
23は一般式(3)を表す。この一般式(3)は置換基を有してもよい含窒素芳香族複素環残基を表し、該複素環としては、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、キノリン、イソキノリン等が好ましい。これらの環は更に他の炭素環(例えばベンゼン環)や複素環(例えばピリジン環)と縮合環を形成してもよい。
【0071】
環上の置換基としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられ、それらの置換基は更に置換されてもよい。X1は炭素原子又は窒素原子を表す。
【0072】
Yは窒素芳香族複素環を形成する原子群を表すが、好ましくは5〜6員の複窒素芳香族複素環を形成する原子団であり、該環上には更に置換基を有してもよい。
【0073】
環上の置換基の例としてはR22の好ましい例を挙げることが出来る。
本発明に用いられる一般式(2)で表される色素は、従来公知の方法に準じて合成することが出来る。例えば、一般式(2)中のアゾメチン色素は特開昭63−113077号、特開平3−275767号、同4−89287号の各明細書に記載の酸化カップリング方法に準じて合成することが出来る。
【0074】
以下に一般式(2)で表される色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
【化23】
Figure 0004134632
【0076】
【化24】
Figure 0004134632
【0077】
【化25】
Figure 0004134632
【0078】
【化26】
Figure 0004134632
【0079】
一般式(4)においてR31およびR32は置換または無置換の脂肪族基を表し、R31およびR32は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、およびアダマンチル基等)、およびアルケニル基(例えば2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えばフェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、および2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、および2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えばN,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基)、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基)、ウレイド基(例えばN,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、およびp−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、および複素環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
【0080】
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
【0081】
31、R32で非芳香族性の環状構造(例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成するのも好ましい。
【0082】
33は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR33は同じでも異なっていてもよい。
【0083】
34はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R34は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R34として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R34のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
【0084】
35はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R35は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R35として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R35のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
【0085】
36はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R36として特に好ましい置換基は炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R36のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
【0086】
本発明に用いられる一般式(4)で表される色素は、従来公知の方法に準じて合成することが出来る。例えば特開2001−334755、特願2001−032618号等の各明細書に記載の酸化カップリング方法に準じて合成することが出来る。
【0087】
以下に一般式(4)で表される色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
【化27】
Figure 0004134632
【0089】
【化28】
Figure 0004134632
【0090】
【化29】
Figure 0004134632
【0091】
【化30】
Figure 0004134632
【0092】
【化31】
Figure 0004134632
【0093】
【化32】
Figure 0004134632
【0094】
一般式(I)、(II)または一般式(III)で表される化合物と2価の金属化合物を反応させて得られる金属含有化合物と一般式(1)、(2)又は一般式(4)に示される色素からなる金属キレート色素は下記一般式(5)、(6)、(7)で表される。
【0095】
【化33】
Figure 0004134632
【0096】
一般式(5)から(7)において置換基R11、R12、R13、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R34、R35、R36及びX、Z、nは前述の一般式(1)、(2)および一般式(4)の記載と同義である。
【0097】
また、M2+は2価の金属イオンを表すが、これらの中でも金属含有化合物自身の色およびキレート化した色素の色調からニッケルおよび亜鉛が好ましい。X0は2価の金属イオンと錯体を形成することができる前記一般式(I)、(II)または一般式(III)で表された化合物を表す。
【0098】
以下に一般式(5)から一般式(7)のキレート色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
【表4】
Figure 0004134632
【0100】
【表5】
Figure 0004134632
【0101】
【表6】
Figure 0004134632
【0102】
本発明に用いられるキレート色素は感熱転写用、インクジェット用、トナー用等さまざまな用途で用いることが出来る。感熱転写用色素としては、特開平9−143382号、同10−265690号、等の方法に準じて用いることが出来る。また、インクジェット用としては特開2000−160130、同2000−315813、同2000−315814等の方法に準じて用いることが出来る。さらにトナー用としては特開平10−265690号、特開2000−345059等の方法に準じて用いることが出来るが、本発明の色素の使用用途、方法はこれらに限定されるものではない。
【0103】
次に本発明のキレート色素の合成例について示す。
合成例7(キレート色素(5)−13の合成)
メタノール100ml中に化合物(1)−32の20g(0.06402)と金属錯体IV−9の28.6g(0.03201モル)を加え攪拌しながら二時間還流する。反応液を冷却後、減圧濃縮によって溶媒を留去する。得られた反応混合物にジイソプロピルエーテルを加え析出した結晶を濾別しキレート色素(5)−13を37.0g(収率76.2%)得た。この色素のアセトン中でのλmaxは456nmであった。
【0104】
合成例8(キレート色素(5)−15の合成)
合成例7の金属錯体IV−9のかわりにV−9を28.8g(0.03201モル)用いた以外は合成例7と同様の処方で反応、精製を行い、キレート色素(5)−15を35.3g(収率72.4%)得た。この色素のアセトン中でのλmaxは445nmであった。
【0105】
合成例9(キレート色素(6)−13の合成)
メタノール100ml中に化合物(2)−38の20g(0.04499モル)と金属錯体IV−9の20.1g(0.02249モル)を加え攪拌しながら二時間還流する。反応液を冷却し、析出した固体を濾別し粗結晶を43g得た。この粗結晶をメタノールで再結晶し、キレート色素(6)−13を35.3g(収率76.2%)得た。この色素のアセトン中でのλmaxは546nmであった。
【0106】
合成例10(キレート色素(6)−16の合成)
合成例7の金属錯体IV−9のかわりにVI−8を19.5g(0.02249モル)用いた以外は合成例7と同様の処方で反応、精製を行い、キレート色素(6)−16を32.4g(収率81.9%)得た。この色素のアセトン中でのλmaxは547nmであった。
【0107】
合成例11(キレート色素(7)−13の合成)
メタノール100ml中に化合物(4)−27の20g(0.04448モル)と金属錯体IV−9の19.9g(0.02224モル)を加え攪拌しながら二時間還流する。反応液を冷却後、減圧濃縮によって溶媒を留去する。得られた反応混合物に酢酸エチルを加え、析出した結晶を濾別し、キレート色素(7)−13を31.5g(収率79.1%)得た。この色素のアセトン中でのλmaxは626nmであった。
【0108】
合成例12(キレート色素(7)−16の合成)
合成例11の金属錯体IV−9のかわりにVI−8を19.3g(0.02249モル)用いた以外は合成例11と同様の処方で反応、精製を行い、キレート色素(7)−16を34.0g(収率86.6%)得た。この色素のアセトン中でのλmaxは627nmであった。
【0109】
次に、本発明の感熱転写材料、感熱転写シート、感熱転写記録方法について説明する。
【0110】
(キレート材料:リボン支持体)
支持体は、従来の熱転写シートに使用されている物と同じ支持体をそのまま用いることが出来、特に限定される物ではない。好ましい支持体の具体例としては、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸或いは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものなどが挙げられる。
【0111】
この支持体の厚さは、強度、熱伝導性、耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することが出来るが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。上記のごとき支持体は、この表面に形成する染料層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
【0112】
(キレート材料:リボン染料層)
本発明において、支持体の一方の面に設ける染料層に含有させる熱拡散性染料としては、良好な画像保存性を得られる観点から、ポストキレート染料(キレート化可能な染料)と、メタルソースの組み合わせを用いることが好ましい。
【0113】
ポストキレート染料としては、本発明の一般式(1)、(2)及び(4)で表される化合物を挙げることができるが、熱転写が可能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜に選定して併用することもできる。具体的には、例えば特開昭59−78893号公報、同59−109349号公報、特願平2−213303号、同2−214719号、同2−203742号、特開平10−258580号、特開2000−1057、特願2001−032618号に記載されているシアン染料、マゼンタ染料、イエロー染料などを使用することができる。
【0114】
本発明に用いられるポストキレート染料の添加量は、通常、染料固形分1m2に対し、0.1g〜20gが好ましく、更に0.2g〜5gがより好ましい。
【0115】
さらに、本発明においては、キレート色素を染料層に添加して用いることも出来る。キレート色素の詳細な説明は前述の通りである。この場合、本発明に用いられるポストキレート染料の添加量には特に制限はないが、通常、染料固形分1m2に対し、0.1g〜20gが好ましく、更に0.2g〜5gがより好ましい。
【0116】
染料層に用いられるバインダー樹脂は、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系等の水溶性ポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、ニトロセルロース等の有機溶媒に可溶のポリマーが有る。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。有機溶剤に可溶のポリマーを用いる場合、1種又は2種以上を有機溶媒に溶解して用いるだけでなく、ラテックス分散の形で使用してもよい。バインダー樹脂の使用量としては、支持体1m2あたり0.1g〜50gが好ましい。
【0117】
又、受像層との離型性を向上させるために、離型剤を添加、あるいは離型層を設けてもよい。離型剤としては、反応硬化型シリコーン、燐酸エステル系界面活性剤、フッ素化合物等を用いることが出来る。離型剤の使用量は、含有させる層の固形分に対し、0.5〜40質量%が好ましい。又、離型層を設ける場合、バインダーは上記染料層に用いられるものと同様のものが使用可能である。
【0118】
(キレート材料:リボンBC層)
支持体の、染料層を設けた面とは反対側の面に、耐熱性を付与するための背面層を設けることも好ましい。
【0119】
(キレート材料:リボン保護層)
本発明の熱転写記録では、記録媒体において染料転写後の表面に、熱転写によって形成される透明性層を設けることができる。
【0120】
本発明に用いられる保護層は、前記染料層と同一面上に、いわゆる面順次で設けることも出来る。保護層を単独で、保護層転写シートとして用いる場合は、支持体や背面層は上述したものと同様のものを用いることが出来る。
【0121】
本発明において、熱転写性の保護層は、支持体上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
【0122】
非転写性離型層は上記プライマー層等を介して設けても、また介すことなく設けても良い。
【0123】
非転写性離型層は、支持体と非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と熱転写性保護層との間に接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と熱転写性保護層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
【0124】
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することが出来る。無機微粒子の粒子径は、40nm以下とすることが好ましい。40nmを越えると、離型層表面の凹凸に起因して熱転写性保護層の表面の凹凸も大きくなり、その結果保護層の透明性が低下してしまい好ましくない。
【0125】
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることが出来る。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
【0126】
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、質量比で30:70以上、80:20以下の範囲とすることが好ましい。配合比が30:70未満になると、無機微粒子の効果が不十分となり、一方80:20を越えると離型層が完全な膜とならず、支持体と保護層が直接触れる部分が生じてしまう。
【0127】
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体又はその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的に又は完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
【0128】
離型層は、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂又は微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。含有量が20質量%未満になると、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体又はその誘導体の効果が十分に得られなくなる。
【0129】
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体又はその誘導体に配合される樹脂又は微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることが出来る。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
【0130】
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることが出来る。
【0131】
非転写性離型層を形成するには、上記(1)乃至(3)いずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を調製し、かかる塗布液を、グラビアコート法、グラビアリバースコート法のような公知の技術で支持体上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。
【0132】
非転写性離型層を介して、あるいは介さずに支持体上に積層される熱転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層の他、熱転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために、熱転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本来の機能以外の機能を付加するための層(例えば偽造防止層、ホログラム層等)が設けられてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
【0133】
多層構造の熱転写性保護層の一層をなす主保護層、又は単層構造の熱転写性保護層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
【0134】
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
【0135】
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
【0136】
上記のごとき単層構造の熱転写性保護層又は多層構造の熱転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さに形成する。
【0137】
熱転写性保護層の最表面には接着層が形成されていても良い。接着層は、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
【0138】
非転写性離型層上あるいは支持体上に熱転写性保護層を形成するには、例えば、保護層形成用樹脂を含有する保護層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ調製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは支持体上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。
【0139】
さらに、前述の熱転写性保護層には染料前駆体としてポストキレート染料を用いた場合、染料転写後のキレート性を高める用途で、後述の染料定着体(メタルソース)を含有させることも出来る。
【0140】
メタルソースの添加量は、樹脂層全固形分に対し0.01〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5質量%であるが、用途に応じて添加量は変えることが可能であるため、特に制限はない。
【0141】
(キレート材料:リボンメタルソース層)
本発明の熱転写記録では、記録媒体において染料転写後の転写された表面と、非転写性の樹脂層の樹脂層表面を対面させ、非転写性樹脂層とは反対の側より熱を与えることで再加熱処理をすることができる。
【0142】
本発明に用いられる非転写性の樹脂層は、前記染料層と同一面上に、いわゆる面順次で設けることも出来る。非転写性樹脂層を単独でシートとして用いる場合は、支持体や背面層は上述したものと同様のものを用いることが出来る。
【0143】
非転写性樹脂層に用いられるバインダー樹脂は、染料層に用いたバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。
【0144】
非転写性樹脂層を、染料層と面順次に設ける場合には、樹脂層に微粒子を含有することが好ましい。これは塗布後ロール状態で保存した際に、背面層に染料がわずかながら移行し、製品形態で小巻にした時に、この背面層に移行した染料が、非転写性樹脂層へ再転写するという、いわゆるキックバックという現象が生じるのを防止する目的で行われる。キックバックが生じると、樹脂層へ再転写した染料が、印画時受像面を着色することになり、画質を著しく損なう。微粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機微粒子の他に、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂微粒子、あるいはワックス粒子等が使用できる。これら微粒子の粒径は、好ましくは0.1〜50μmである。0.1μm未満では樹脂層表面の凹凸が少なすぎて、キックバックに対する効果がなく、また50μmを超えると印画後の画像表面を荒らしてしまい、画質を損なう。上記微粒子の好ましい添加量としては、樹脂層全固形分に対し1〜50質量%であり、特に好ましくは5〜30質量%である。1質量%未満では樹脂層表面の凹凸が少なすぎてキックバックに対する効果が少なく、また50質量%を超えると印画後の画像表面を荒らしてしまい、画質を損なう。
【0145】
本発明の感熱記録材料、もしくは感熱転写シートにおいて、再加熱処理時に反応型染料の反応を完結させるための目的として、樹脂層中に染料定着体を含有させるか、あるいは染料定着体を含有させた層を設ける。染料定着体を含有させた層を設ける場合のバインダーは染料層に用いたバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。染料前駆体としてポストキレート染料を用いた場合、染料定着体としてメタルソースを含有させることが好ましい。
【0146】
本発明に用いられるメタルソースとしては、一般式(I)、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物が挙げられる。詳細は前述のとおりである。
【0147】
メタルソースの添加量は、樹脂層全固形分(染料定着体含有層として設けた場合はそれを含める)に対し0.01〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。0.01質量%より少ないと、添加する効果が少なく、また1質量%より多いと、上述したキックバックの発生がより顕著になる。
【0148】
又、受像層と非熱転写性樹脂層との離型性を向上させるために、離型剤を添加、あるいは離型層を設けてもよい。離型剤としては、反応硬化型シリコーン、燐酸エステル系界面活性剤、フッ素化合物等を用いることが出来る。離型剤の使用量は、含有させる層の固形分に対し、0.5〜40質量%が好ましい。又、離型層を設ける場合、バインダーは上記染料層に用いられるものと同様のものが使用可能である。
【0149】
(キレート材料:受像シート中間層)
受像層と支持体との間には、少なくとも1層以上の中間層を設けても良い。中間層は、接着層(プライマー層)、バリアー層、紫外線吸収層、発泡層、帯電防止層等、受像層と支持体の間に設ける層すべてを意味し、公知のものは、必要に応じていずれも使用できる。さらに、支持体のギラツキ感やムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタン等の白色顔料を添加すると、支持体の選択の自由度が広がるので好ましい。中間層樹脂と白色顔料との含有量は、樹脂固形分100質量部に対し、白色顔料固形分30〜300質量部が好ましいが、隠蔽性を高めるには100〜300質量部の範囲で用いることがさらに好ましい。
【0150】
中間層としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは官能基を有する熱可塑性樹脂を、各種の添加剤その他の手法を用いて硬化させた層を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト、アイオノマー、単官能及び/又は多官能水酸基含有のプレポリマーをイソシアネート等で硬化させた樹脂等を使用することが出来る。
【0151】
(キレート材料:受像層)
受像層は支持体の一方の面に、染料定着体とバインダー樹脂と、必要に応じて離型剤等の各種添加剤から構成されている。染料前駆体としてポストキレート染料を用いた場合、染料定着体としてメタルソースを含有させる。前述の様に、キレート色素を染料として用いる場合、メタルソースは添加しなくても良いし、適宜添加されていても良い。メタルソースは、上述した非転写性樹脂層で使用するものが同様に使用できる。メタルソースの添加量は、通常、受像層固形分に対し10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
【0152】
バインダー樹脂は公知のものを用いることができ、染料が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的にはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、又は混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、及びビニル系樹脂が好ましい。
【0153】
上記受像層は、染料層との熱融着を防止するために、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンを始め各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種もしくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は、受像層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写シートと受像シートの受像層との融着もしくは印画感度低下などの問題が生じる場合がある。尚、これらの離型剤は受像層に添加せず、受像層上に別途離型層として設けても良い。
【0154】
(受像シートBC層その他)
更に受像シートの機械搬送性向上、帯電防止、筆記性付与、切手貼着性などを目的とした化合物を含有されても良い。帯電防止機能を得るためには、アクリル樹脂のような導電性樹脂や導電性フィラーからなる層を、さらには脂肪酸エステル、硫酸エステル、燐酸エステル、アミド類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、アミノ酸類、エチレンオキサイド付加類などの、帯電防止剤を添加した層を形成しても良い。
【0155】
帯電防止剤の使用量は、帯電防止剤を添加する層、及び、帯電防止剤の種類によって異なるが、いずれの場合にも受像シートの表面電気抵抗値が1013オーム/cm2以下が好ましい。1013オーム/cm2より大きい場合には、静電密着により、受像シート同志が貼りつき、給紙トラブルの原因となる。量的には0.01〜3.0g/m2の使用量が好ましい。帯電防止剤の使用量が0.01g/m2未満では、帯電防止効果が不十分であり、一方、3.0g/m2を超えると多すぎて不経済であり、またべたつきなどの問題が発生する場合がある。筆記層は、受像シートの全面に設けても良いし、部分的に形成しても良い。
【0156】
また、搬送性を向上させる目的として、ナイロン樹脂粒子や、更に高級脂肪酸塩の添加も効果的である。ナイロン樹脂粒子としては、例えばナイロン12、ナイロン6等の粒子が挙げられる。これらのナイロン樹脂粒子は単独で使用されても、また2種類以上を併用していも良い。
【0157】
高級脂肪酸塩としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などが使用できる。筆記層の形成手段は従来公知の印刷塗工手段でよい。筆記層の厚さは、乾燥時で0.5〜20g/m2程度である。
【0158】
(受像シート支持体)
支持体は、受像層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
【0159】
このような支持体の材料は特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
【0160】
また、上記支持体の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの支持体の厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
【0161】
より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることが出来る。また、各種支持体の上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルム又は合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/又はポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルム又は合成紙が好ましい。これらがポリエステル等を主体としたものの場合には、その粘弾性的あるいは熱的性質から、クッション性、及び断熱性が、ポリプロピレンを主体としたものに比較して劣るため、印字感度に劣り、かつ濃度ムラなども生じやすい。
【0162】
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×108Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層であっても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、一部微細空隙が存在しない層が存在しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。又、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
【0163】
微細空隙を有する層としては、支持体の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。支持体は、上述した各種紙、合成紙、不織布、プラスチックフィルム等を用いることができる。
【0164】
又、必要に応じて、支持体の、受像層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることが出来る。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
【0165】
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることが出来る。
【0166】
上記支持体と熱転写受像層との接着強度を大きくする等の目的で、支持体の表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
【0167】
(層構成、塗布方法等)
以上の熱転写受像層は、支持体上に、水又は有機溶剤などの溶媒に溶解又は分散させた塗布液を、バーコーター、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、エクストルージョンコート法などの通常の方法で塗布し、乾燥して形成することができる。バリアー層、中間層、裏面層の形成手段も、上記の受像層の場合と同様の方法で行われる。又、受像層は、上記のように支持体上に直接塗布液を塗布し、乾燥して形成するだけでなく、別の支持体に受像層を予め形成してあるものから、支持体上に受像層を転写形成してもよい。また、各層を2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての層を一回の塗布で済ます同時塗布を行うこともできる。
【0168】
受像層の厚さは、塗布乾燥後の膜厚で、0.1〜10μm程度が好ましい。
(受像シート形状)
本発明で用いられる受像シートは、プリンターに枚葉で供給されてもロール形態で供給されても良い。枚葉供給とは、例えば、受像シートを一定サイズにカットし、50枚程度を1セットとしてカセットに入れ、プリンターに装着して使用される形態を指す。又、ロール形態とは、その形でプリンタに受像シートを供給し、印画後所望のサイズに切断して使用する形態のことである。特に後者は、2枚差し等の給紙不良や排出不良等の搬送系のトラブルが解消される他、印画可能枚数の大容量化にも対応することが出来るため好ましい。
【0169】
ロール形態で受像シートを供給する場合、特に、ハガキ仕様にした場合や、ラベルやシールタイプの受像シートを用いる場合は、裏面側に形成された郵便番号枠等のデザインマークや、シールのハーフカットの位置に対して切断位置を合わせるために、検知マークを裏面側に設けることが出来る。
【0170】
(キレート記録方法)
次に、本発明の熱転写記録方法の一例を示す。
【0171】
保護層領域がインクシートのインク層と面順次に供給される場合の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0172】
図1は本発明の1実施例であるインクシートを示す図である。図1のaでは、インクシート支持体3の同一平面上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)インク層2が面順次に設けられ、CとYとの間に保護層領域が設けられている。尚、図1では、各層の間に隙間を取っていないが、熱転写記録装置の制御方法に合わせて適宜隙間を設けてもよい。又、各層の頭出しを精度良く行うために、検知マークをインクシートに設けることが好ましいが、設け方については特に限定されない。
【0173】
図1のaでは、基材の同一平面上にインク層と保護層領域を設けたが、勿論、図1のbに示すように、別個の支持体に、それぞれを設けてもよい。
【0174】
尚、インク層の定義であるが、反応型の染料を用いた場合、インク層に含有される染料自身は反応前の化合物であり、厳密に言えばY、M、C染料とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成するための層という意味で、便宜上同様に表現する。
【0175】
(キレート記録装置)
本発明に用いられる熱転写記録装置として、例えば図2に示すような装置を用いることができる。図2において、10はインクシート供給ロール、15はインクシート、11は使用されたインクシート15を巻き取る巻取ロール、12はサーマルヘッド、13はプラテンローラ、14はサーマルヘッド12とプラテンローラ13との間に挿入された受像シートである。
【0176】
図2のaに示す熱転写記録装置を用い、インクシートとして例えば図1のaに示すインクシートを用いて画像を形成するには、まず、インクシートのイエロー染料を含有する領域2Yと受像シートの受像層とを重ね合わせ、サーマルヘッドの熱印加により該領域のインク層中のイエロー染料を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いで、このイエロー画像の上にマゼンタ染料を含有する領域2Mのインク層から同様にしてマゼンタ染料を画像様に移行させ、次いで、この転写画像の上にシアン染料を含有する領域2Cのインク層から同様にしてシアン染料を画像様に移行させ、最後に、この画像の全面に保護層領域1により保護層転写を行い、画像の形成を完了する。
【0177】
図2のbは、インクシートを図1のbの態様にした場合である。この場合、まず染料転写用の装置において、インクシートのイエロー染料を含有する領域2Yと受像シートの受像層とを重ね合わせ、サーマルヘッドの熱印加により該領域のインク層中のイエロー染料を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いでこのイエロー画像の上にマゼンタ染料を含有する領域2Mのインク層から同様にしてマゼンタ染料を画像様に移行させ、次いでこの転写画像の上にシアン染料を含有する領域2Cのインク層から同様にしてシアン染料を画像様に移行させ、染料転写画像を形成し、最後に保護層転写用装置を用い、画像の全面に保護層領域1により保護層転写を行い、画像の形成を完了する。
【0178】
図2のcは、インクシートを各色別個にし、各々、対応する装置で記録する場合である。この場合、まず、Y転写用装置で、イエローインクシート上の染料を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次に、M転写用装置で、上記イエロー画像の上にマゼンタインクシート上の染料を同様にして画像様に移行させ、次に、C転写用装置で、上記(Y+M)画像上にシアンインクシート上の染料を画像データに従って受像シートに移行させ、最後に図2のbの場合と同様、保護層転写用装置でこの画像の全面に保護層領域1により保護層転写を行い、画像形成を完了する。
【0179】
本発明に係る熱転写プリンターにおいて、光沢調とマット調の制御を同一プリンタ内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、プリンタにパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データをプリンタに送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、たとえば光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受像層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
【0180】
(後加熱方法)
本発明において、熱転写記録により得られた記録体は、画像形成後に加熱する工程が施されてもよい。
【0181】
画像形成後の加熱は、熱転写記録にとっては転写された染料を受像層内に定着させる目的として行われるものである。
【0182】
加熱方法としては、熱転写記録に使用されるサーマルヘッドを用いる方法、熱ローラーを用いる方法、加熱ヒーターや熱風ヒーターによる方法、電子線放射や赤外線放射による方法が挙げられる。
【0183】
記録体の加熱は、記録体の表裏両面からでも一方の面からでも行うことができ、一方の面ずつあるいは両方の面を同時に行われる。
【0184】
本発明において、好ましい加熱方法としてはサーマルヘッドを用いる方法、あるいは熱ローラーを用いる方法である。
【0185】
【実施例】
以下に、具体例を挙げて説明する。尚、文中で部又は%とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0186】
<熱転写シートの作製>
厚さ6μmのPETフィルム(ダイアホイルヘキスト(株)製、K−203E−6F)の片面側に、ウレタン系樹脂からなる厚さ0.5μmのプライマー層を設け、他面(背面)に、耐熱滑性層として、厚さ1μmのシリコーン樹脂層を設け、熱転写シート用支持体とした。
【0187】
<熱転写シート1の作製>
熱転写シート用支持体上に、下記組成の、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各染料層、及び、支持体から順に、離型層、転写性透明保護層、接着層の3層積層からなる透明保護層を、面順次に形成した熱転写シート1を作製した。離型層はグラビアコート法で、乾燥後の塗布量が0.4g/m2になるように、転写性透明保護層はグラビアコート法で、乾燥後の塗布量が2.0g/m2になるように、接着層はグラビアコート法で、乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように形成した。
【0188】
(Y染料層塗工液)
ポストキレート色素 例示化合物((1)−31) 1.0部
ポリビニールブチラール(電気化学工業(株)製、KY−24) 5.5部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化(株)製、ダイアロマーSP−2105) 1.5部
メチルエチルケトン 80.0部
酢酸ブチル 10.0部
(M染料層塗工液)
ポストキレート色素 例示化合物((2)−38) 1.0部
ポリビニールブチラール(電気化学工業(株)製、KY−24) 5.5部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化(株)製、ダイアロマーSP−2105) 1.5部
メチルエチルケトン 80.0部
酢酸ブチル 10.0部
(C染料層塗工液)
ポストキレート色素 例示化合物((4)−27) 1.0部
ポリビニールブチラール(電気化学工業(株)製、KY−24) 5.5部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化(株)製、ダイアロマーSP−2105) 1.5部
メチルエチルケトン 80.0部
酢酸ブチル 10.0部
(離型層用塗工液)
無機微粒子(日産化学(株)製、コロイダルシリカ) 10.0部
ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製) 8.0部
水 50.0部
エタノール 40.0部
(転写性透明保護層用塗工液)
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(電気化学工業(株)製、#1000A)15.0部
反応性紫外線吸収剤を反応結合させた共重合樹脂
(BASFジャパン(株)製、UVA635L) 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
トルエン 50.0部
(接着層用塗工液)
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(電気化学工業(株)製、#1000A)20.0部
マイクロシリカ 1.0部
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
<受像シートの作製>
(支持体)
多孔質PETシートAとして、下記の1層目、2層目及び3層目を300℃で同時に押出し機より押し出し、ステンレスベルト上に3層からなるシートを形成したのち、冷却固化させた。このフィルムを115℃に加熱されたロールで搬送しながら搬送方向に3倍延伸した。続いてフィルムの両端をクリップで持ちながら搬送方向と直角の方向に3倍延伸した。その後200℃で熱固定を行い、室温まで除冷して1層目が8μm、2層目が35μm、3層目が8μmで比重が0.7のフィルム状の多孔質PETシートAを作製した。
【0189】
(多孔質PETシートAの組成)
1層目及び3層目の組成
PET
2層目の組成
PET 90部
PET−PTMG(PETの重合時にPETとPTMG(分子量4000のポリテトラメチレングリコール)の質量比1:1になるようにPTMGが添加されて製造されたもの) 1部
シンジオクタチックスチレン(出光石油化学(株)製 ザレックS10)6部
上記のように作製されたPETシートの両面をコロナ放電処理した。次に、坪量130g/m2、厚み110μmの上質紙の片面に多孔質PETシートAをポリゾールPSA SE−1400(昭和高分子(株)製)を接着剤として140℃のラミネーターを通して貼合し、また他方の面には押し出し塗布法により、アナターゼ型酸化チタン9.5質量%含有する密度0.92の低密度ポリエチレンを40μmの厚さに溶融押し出し塗布法で塗布し、受像シート用支持体1を作製した。
【0190】
<受像シート1の作製(比較)>
受像シート用支持体1の多孔質PETシート面に、下記組成の下引層を塗布し、120℃で1分間乾燥させた。
【0191】
次に、その上に、下記組成の受像層を、乾燥時の塗布量が2.5g/m2になるように塗布し、130℃で2分間乾燥させた後、152mm幅にスリットしてロール状受像シート1を得た。
【0192】
(下引形成用塗工液)
アクリル系エマルジョン
(日本カーバイド(株)製、ニカゾールA−08)35%水溶液 5.7部
純水 94.0部
(受像層塗工液組成)
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂(電気化学(株)製、#1000GK)42.0部
メタルソース(MS−1) 18.0部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF−393) 0.7部
アミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KS−343) 0.3部
メチルエチルケトン 20.0部
トルエン 20.0部
MS−1:Ni2+[C715COC(COOCH3)=C(CH3)O−]3
分子量:541.30
<受像シート2〜8の作製(本発明)>
受像シート1において、受像層塗工液中のメタルソースをMS−1からIV−9、V−9、VI−1、VI−8、VI−22、VII−22、VIII−5に変えた受像シートを作製した。メタルソース(MSと略すこともある)の付量は分子量各々のメタルソースの分子量に応じ金属イオン含量が等しくなる様に添加した。
【0193】
<受像シート9〜11の作製(比較)>
受像シート1において、受像層塗工液中のメタルソースをMS−1からMS−2、MS−3、MS−4に変えた受像シート9〜11を作製した。
【0194】
【化34】
Figure 0004134632
【0195】
実施例1
抵抗体形状がスクエア(主走査方向長80μm×副走査方向長120μm)、300dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)ラインヘッドのサーマルヘッドを搭載した装置に、受像シート1〜11の受像層部と熱転写シート1の染料層部を重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、5〜80mJ/mm2の印加エネルギー範囲で順次増加させるイエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラル(前記3色重ね)ステップパターンを、次いで透明保護層を、送り速度10msec/line、1ライン当たりの送り長さを85μmで、染料層の背面側から加熱して受像層上に染料を転写させた試料1−(1)から1−(11)を作製した。
【0196】
(評価方法)
試料1−(1)〜1−(11)について、転写後の濃度CiをX−rite 310にて測定したのち、アトラス製ウェザーメーターを用いて85000ルクスのキセノン光を14日間照射した後、再び濃度Cfを測定し色素残存率(Cf/Ci)×100を求めた。
【0197】
イエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラルの最大濃度(Dmax)値を示した。
【0198】
また、イエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラルの全ての濃度について色素残存率が90%以上の場合を耐光性A、80%以上の場合を耐光性B、70%以上の場合を耐光性Cとした。
【0199】
また、試料1−(1)〜1−(11)について60℃、90%RHの高温高湿条件下で14日間静置した場合と、77℃、10%RHの高温条件で14日間静置した場合の白地の変化と色の滲みを目視で評価した。
【0200】
白地変化
○ 黄変なし
× 黄変あり
色滲み
○ なし
× あり
以上の結果を表7に示す。
【0201】
【表7】
Figure 0004134632
【0202】
以上の結果から、本発明の受像シートを用いた場合、保存性の良い、高温高湿、または高温条件下での白地の黄変が全くない安定した画像が得られることがわかる。
【0203】
実施例2(添加量)
受像シート1において、受像層中のMS−1の添加量を表8のように種々変化させた受像シート1−1〜1−6を作製した。ここで、添加量は実施例1の相対値である。また、受像シート2、5、6、8も同様にして受像層中のメタルソース量を変化させた受像シート2−1〜8−6を作製した。この場合、添加量はMS−1と同じである。これらの受像シートに実施例1と同様にサーマルヘッドを用いて染料を転写させた試料2−(1)−1から2−(8)−6を作製した。
【0204】
【表8】
Figure 0004134632
【0205】
これらの試料について、実施例1と同様に最大濃度、耐光性、白地変化、色滲みについて評価し、結果を表9に示す。
【0206】
【表9】
Figure 0004134632
【0207】
以上の結果から、本発明の受像シートを用いた場合、メタルソースの添加量を少なくしても高感度であり、比較例のように添加量変化で滲みが起こることなく、保存性の良い画像が得られることがわかる。
【0208】
実施例3(保護層にMS添加)
実施例2における受像シート1−1、2−1、5−1、6−1、8−1を用いた場合、MSの添加量が保護層転写後に合計して1.0(実施例1、受像シート1と同量)となるように、転写性透明保護層に各メタルソースを添加したインクシートを作製した。
【0209】
これらのインクシートを用いて、受像シート1−1、2−1、5−1、6−1、8−1に実施例1と同様にサーマルヘッドを用いて染料を転写させた試料3−(1)−1から3−(8)−1を作製した。
【0210】
さらに、実施例2と同様の方法を用いて作製した受像シート9−1、10−1、11−1にも転写性透明保護層に各メタルソースを添加したインクシートを用いて染料を転写させた試料3−(9)−1、3−(10)−1、(11)−1を作製した。
【0211】
これらの試料について、実施例1と同様に最大濃度、耐光性、白地変化、色滲みについて評価し、結果を表10に示す。
【0212】
【表10】
Figure 0004134632
【0213】
本発明の受像シート、およびメタルソースを添加したインクシートを用いた場合、色素転写後にメタルソースが色素を挟むことによって、キレート化が促進され、メタルソースの添加量を増やすことなくより高感度で、画像保存性の優れた画像を提供することが出来る。
【0214】
実施例4(キレート色素)
実施例1で作製した熱転写シートのポストキレート色素の代わりに、キレート色素を用い熱転写シートを作製した。キレート色素の種類は表11に示すとおりである。
【0215】
また、受像シートは、実施例1の受像シートの組成からメタルソースを除いたこと以外は、実施例1と同様にして作製した。
【0216】
これらの作製した熱転写シート、および受像シートを用い、実施例1と同様にサーマルヘッドを用いてイエロー、マゼンタ、シアン染料を転写させた試料10−1から10−9を作製した。下記の方法で評価し、結果を表11に示す。
【0217】
評価方法
(耐光性)
得られたキレート色素転写画像に85000ルクスのキセノン光を14日間光照射し、光照射前の濃度をD0、光照射後の濃度をD1として、(D1/D0)×100で表す色素残存率(%)で耐光性を評価した。
【0218】
(耐熱性)
得られたキレート色素転写画像を77℃、10%RH以下の条件下14日間保存し、保存開始前の濃度をD0、保存後の濃度をD2として、(D2/D0)×100で表す色素残存率(%)で耐熱性を評価した。
【0219】
(耐湿性)
得られたキレート色素転写画像を60℃、90%RHの条件下14日間保存し、保存開始前の濃度をD0、保存後の濃度をD3として、(D3/D0)×100で表す色素残存率(%)で耐湿性を評価した。
【0220】
【表11】
Figure 0004134632
【0221】
【化35】
Figure 0004134632
【0222】
表10から明らかな様に、本発明のキレート色素は、従来知られている金属錯体色素に比べ、耐光性、耐熱性、耐湿性の画像堅牢性に優れた色素であることがわかる。
【0223】
【発明の効果】
本発明によって高画質(画像滲みが改善)で、高感度、しかも優れた保存性および画像保存性(耐光性)を有する感熱転写記録材料および受像シートと、高画質、かつ優れた画像保存性を有する画像が得られる熱転写画像形成方法が提供できた。驚くべきことに、本発明の感熱転写受像材料は、含有するメタルソースの分子量が大きいにもかかわらず、従来知られているメタルソースと同量、もしくは付量を低下させても感度が損なわれず、優れた画像保存性を得ることが出来、コストダウンに大きく貢献できることがわかる。さらに、本発明の感熱転写材料は、メタルソースを受像層と、保護層に添加することで、感度を上げることも出来る。また、本発明によって、光、熱、湿堅牢性に優れたキレート色素画像を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いられるインクシートに設けるインク層と再加熱処理層の態様の例を示す平面図である。
【図2】本発明の方法に用いられる熱転写記録装置の一例の概念図である。
【符号の説明】
1 保護層領域
2Y イエロー染料を含有する領域
2M マゼンタ染料を含有する領域
2C シアン染料を含有する領域
3、3′ インクシート支持体
10 インクシート供給ロール
11 巻取ロール
12 サーマルヘッド
13 プラテンローラ
14 受像シート
15 インクシート

Claims (11)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
    Figure 0004134632
    (式中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、又はヘテロ環基を表し、R2は炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R3は水素原子または置換基を表すが、R3の置換基が複数存在する場合、各々のR3は同じでも、異なっていても良い。R4は水素原子又は置換基を表すが、各々のR4は同じでも、異なっていても良い。mは1から5の整数を表し、nは2から8の整数を表す。)
  2. 前記一般式(I)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
  3. 下記一般式(II)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
    Figure 0004134632
    (式中、R5は炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロ環基を表し、R6は水素原子又は置換基を表す。但し、R6の置換基が複数存在する場合、各々のR6は同一でも、異なっていても良い。mは一般式(I)と同義である。)
  4. 前記一般式(II)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
  5. 下記一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
    Figure 0004134632
    (式中、R7は炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、又はヘテロ環基を表し、R8はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R9は水素原子または置換基を表すが、R9の置換基が複数存在する場合、各々のR9は同じでも、異なっていても良い。R10は水素原子又は置換基を表すが、各々のR10は同じでも、異なっていても良い。m及びnは一般式(I)と同義である。)
  6. 前記一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする感熱転写受像シート。
  7. 一般式(I)、(II)または一般式(III)で表される化合物の疎水性/親水性パラメーター値(logP値)が3.0以上10.0以下の範囲であることを特徴とする請求項1、3又は5に記載の感熱転写記録材料。
  8. 一般式(I)、(II)または一般式(III)で表される化合物の疎水性/親水性パラメーター値(logP値)が3.0以上10.0以下の範囲であることを特徴とする請求項2、4又は6に記載の感熱転写受像シート。
  9. キレート化可能な色素を有するインクシートのインク層と、前記請求項2、4、6又は8のいずれか1項に記載の感熱転写受像シートの受像層を重ね合わせ、加熱手段にて像様に加熱し、前記色素と前記一般式(I)、(II)及び一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物から選ばれる少なくとも1種の金属含有化合物との反応により金属キレート色素画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
  10. 前記一般式(I)、(II)及び一般式(III)で表される化合物に2価の金属塩を反応させて得られる金属含有化合物から選ばれる少なくとも1種の金属含有化合物と、下記一般式(1)、(2)及び一般式(4)に示される色素から選ばれる少なくとも1種を反応させて得られる金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするインクシート。
    Figure 0004134632
    (式中、R11及びR12は各々、水素原子又は置換基を表し、R13は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基を表し、Zは2個の炭素原子と共に5〜6員の芳香族環を構成するに必要な原子群を表す。)
    Figure 0004134632
    (式中、R21は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、R22は、それぞれ置換されてもよい芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表す。Xはメチン基又は窒素原子を表す。R23は下記一般式(3)を表し、Yは含窒素芳香族複素環を形成する原子群を表し、X1は炭素原子又は窒素原子を表す。)
    Figure 0004134632
    Figure 0004134632
    (式中、R31及びR32はそれぞれ、置換又は無置換の脂肪族基を表し、R33は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の時、複数のR33は同じでも異なってもよい。R34、R35およびR36はいずれもアルキル基を表す。この時、R34、R35およびR36は同一でも異なっていてもよい。但し、R35、R36は炭素数3から8のアルキル基である。)
  11. 請求項10記載のインクシートを用いることを特徴とする感熱転写記録方法。
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