本発明を更に詳しく説明するが、参考発明についても併せ説明する。まず、本発明又は参考発明に用いられる化合物について詳細に説明する。
一般式(I)において、R1、R2、R3は水素原子または置換基を表すが、R1の置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、およびアダマンチル基等)、およびアルケニル基(例えば2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えばフェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、アラルキル基(ベンジル基、o−ブロモベンジル基など)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、複素環基(例えば2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、および2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、および2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えばN,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基)、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基)、ウレイド基(例えばN,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、およびp−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、および複素環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。これらの置換基は、置換し得る部分に更に置換基を有していても良く、置換基の例としては上記置換基の例が挙げられる。
R2の置換基の例としては上記R1における記載と同義である。
R3の置換基の例としては上記R1における記載と同義である。
A1、A2、A3およびA4はそれぞれ独立にC−R15または窒素原子を表し、R15は水素原子又は置換基を表し、置換基の例としては上記R1における記載と同義である。
複数のR15が存在する場合、それぞれのR15は同一であっても良く、また異なっていてもよく、Jはアルキレン基を表すが、アルキレン基は置換されていてもよく、また、されていなくてもよい。置換基の例は上記R1における記載と同義である。
R4はアミノ基またはイミノ基を表すが、アミノ基がより好ましい。R4がアミノ基の場合、1級、2級、3級アミノ基のいずれであってもよく、その場合R4は
(A)−NH2、(B)−NHR41、(C)−NR41R42
で表される。この場合R41、R42はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または複素環基を表す。R41、R42はそれぞれ同じであってもよく、また異なっていてもよい。R41、R42はさらに置換基を有していてもよい。置換基の例は上記R1における記載と同義である。
R4がイミノ基の場合R4は
(D)−N=CR43R44
で表される。この場合R43、R44は水素原子または置換基を表す。R43、R44はそれぞれ同じであってもよく、また異なっていてもよい。R43、R44はさらに置換基を有していてもよい。置換基の例は上記R1における記載と同義である。
一般式(III)において、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基の例としては上記R1における記載と同義である。
A1、A2、A3、A4は一般式(I)と同義である。
一般式(I)または(III)の色素において、該色素を熱によって転写し像を得る、所謂熱転写方式の画像形成方法に用いるためには、色素の転写性が良好である必要がある。一般的には、色素の転写性はその分子量が低いほど良好であるとされているが、分子量が低すぎても経時でにじみがでるなどの故障が生じていた。本発明において、発明者らは鋭意検討の結果、色素の分子量に最適値があることを見いだした。色素の分子量は、好ましくは250〜600であり、さらに好ましくは300〜500である。
以下に前記一般式(I)または(III)で表される色素の具体例を示すが、本発明に係
る色素の具体例は、3、21、22及び410であり、その他の色素は本発明から除外される。
本発明又は参考発明に使用される一般式(I)または(III)の色素は、主にカプラー
と発色現像主薬との酸化カップリングより合成することができる。例えば例示化合物66の場合、以下のスキームに従って合成することができる。
一般式(IV)において、R12は置換基を表し、置換基の例としては一般式(I)と同義である。R12の好ましい例としてはアルキル基、アリール基が挙げられるが、更に好ましくはアルキル基であり、最も好ましいのはメチル基である。R13は炭素数2以上のアルキル基(エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、エトキシエチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(エテニル基、アリル基、ブテニル基など)、アルキニル基(エチニル基、プロピニル基、ブチニル基など)、アリール基(フェニル基、トリル基、クロルフェニル基、ビフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基、o−ブロモベンジル基など)、ヘテロ環基(ピロリル基、チエニル基、イミダゾリル基、フラニル基、ピリジニル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基など)を表す。これらの置換基はさらに置換基を有していても良く、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基など)、ヘテロ環基(ピロリル基、チエニル基、イミダゾリル基、フラニル基、ピリジニル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基など)等の置換基で置換されていても良い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
R14は水素原子または置換基を表し、置換基の例としては上述したR13の置換基を挙げることができる。
さらに一般式(IV)で表される化合物は、下記一般式(V)で表される化合物が好ましい。
一般式(V)において、R12、R13は前記一般式(IV)と同義の基を表し、R16は前記一般式(I)と同義の基を表す。lは1から5の整数を表し、lが複数の場合、各々のR16は同一でも、異なっていても良い。XはO、S、SOまたはSO2を表す。
一般式(IV)または(V)の化合物が金属含有化合物を形成して好ましい性能を示すためには、一般式(IV)で示される化合物の親水性/疎水性パラメータ値(LogP値)が4.0以上12.0以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5.0以上11.0以下の範囲である。
疎水性/親水性を表すパラメータであるlogPは、通常n−オクタノールと水への2つの溶媒系における物質の分配係数より求めることが出来るが、これらは化学領域増刊122号「薬物の構造活性相関」(南江堂)73〜103頁に詳しく記載されている。近年logPを計算により求める方法が提案されており、特に有用な方法として米国モレキュラーデザイン社(Molecular Design Limited)のソフトウェア「CHEMLAB−II Revision10.02」を挙げることが出来る。本発明でいうところのlogPとはこのソフトウェア「CHEMLAB−II Revision10.02」を用いて計算された値である。
以下に、一般式(II)または(IV)に示される化合物の具体例を示すが、本発明の具体例はIV−1〜IV−49であり、その他は本発明から除外される。
次に、本発明に用いられる金属イオン含有化合物について述べる。本発明に用いられる金属イオン含有化合物は下記一般式(A)で表される。
一般式(A) Mn+(X−)n
Mn+はn価の金属イオンを表すが、これらの中でも金属イオン含有化合物の色および
キレート化した色素の色調から2価の金属イオンが好ましいが、本発明においてはニッケルが好ましく、これに限定される。X−はn価の金属イオンと錯体を形成することができる前記一般式(II)または(IV)がアニオン化した形態を表す。また、本発明に用いられる金属イオン含有化合物は中心金属に応じて中性の配位子を有してもよく、代表的な配位子としてはH2O或はNH3が挙げられる。
本発明における金属イオン含有化合物は、一般式(IV)の化合物を合成した後にn価の金属化合物と反応させ得られるものであることが好ましい。これらの金属イオン含有化合物の合成方法は、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」などに記載の方法に準じて合成することが出来る。使用される金属化合物としては、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物、塩化カルシウムに代表されるカルシウム化合物、塩化バリウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化チタン(II)、塩化鉄(II)、酢酸銅、塩化銅(II)、塩化コバルト、塩化マンガン(II)、塩化鉛、酢酸鉛、塩化水銀、酢酸水銀等が挙げられるが、前述のとおり、金属イオン含有化合物の色およびキレート化した色素の色調の点から、好ましくは塩化ニッケル、酢酸ニッケルであり、最も好ましいのは酢酸ニッケルである。
次に金属イオン含有化合物の合成例を示す。
合成例1(化合物IV−8の合成)
アセトニトリル45ml中に、3−オキソ−酪酸−n−ヘキシルエステルを7.9g(0.04299モル)と塩化カルシウム9.4g(0.08458モル)の9ml水溶液およびトリエチルアミン12.8g(0.1269モル)を加え1時間攪拌した後、4−(4−tert−ブチルフェノキシ)酪酸クロリド11.3g(0.04440モル)を内温30−35℃に保ちながらおよそ20分かけ滴下した。滴下後さらに2時間攪拌した後、反応液を水洗、濃縮したのち。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製を行い、化合物IV−8を13.3g(収率78.3%)得た。なお、構造の同定は、1H−NMRとマススペクトルを用いて行った。
合成例2(化合物IV−19の合成)
合成例1の3−オキソ−酪酸−n−ヘキシルエステルの代わりに3−オキソ−酪酸−n−ブチルエステルを6.8g(0.04299モル)用いた以外は同様の処方で反応、後処理、精製を行い、化合物IV−19を16.0g(収率85.9%)を得た。
合成例3(化合物IV−22の合成)
合成例1の3−オキソ−酪酸−n−ヘキシルエステルの代わりに3−オキソ−酪酸−4−tert−ブチルフェニルエステルを9.3g(0.03953g)用いた以外は同様の処方で反応、後処理、精製を行い、化合物IV−22を14.6g(収率81.6%)を得た。
合成例4(化合物IV−47の合成)
合成例1の3−オキソ−酪酸−n−ヘキシルエステルの代わりに3−オキソ−酪酸−iso−ヘキサデシルエステルを14.0g、4−(4−tert−ブチルフェノキシ)酪酸クロリドの代わりに4−(4−シアノフェノキシ)酪酸クロリドを9.9g用いた以外は同様の処方で反応、後処理、精製を行い、化合物IV−47を18.3g(収率83.0%)得た。
合成例5(金属イオン含有化合物VI−8の合成)
30mlのメタノール中に酢酸ニッケル4水和物3.2g(0.01305モル)を溶解させた後、化合物IV−8の10.6g(0.02611モル)を5分かけ滴下した。室温で1時間反応させた後、約二時間氷冷し、析出した結晶を濾取した。結晶をヘプタンで洗浄後、約120mlのメタノールで再結晶し、金属イオン含有化合物VI−8を8.6g(収率76.2%)得た。融点は67−62℃であった。
合成例6(金属イオン含有化合物VII−8の合成)
合成例5の酢酸ニッケル4水和物の代わりに酢酸銅1水和物を用いた以外は合成例5と同様に反応、後処理、精製を行い、金属イオン含有化合物VII−8を7.6g(収率68.3%)得た。融点は71−73℃であった。
合成例7(金属イオン含有化合物VI−19の合成)
合成例5の化合物IV−8の代わりに化合物IV−19を11.3g(0.02611モル)用いた以外は合成例5と同様に反応、後処理、精製を行い、金属イオン含有化合物VI−19を11.3g(収率94.0%)得た。融点は65−67℃であった。
合成例8(金属イオン含有化合物VI−47の合成)
合成例5の化合物IV−8の代わりに化合物IV−47を18.3g(0.03562モル)用いた以外は合成例5と同様に反応、後処理、精製を行い、金属イオン含有化合物VI−19を18.1g(収率93.8%)得た。融点は64−69℃であった。
同様にして作製した金属イオン含有化合物の一覧表を下記表1に示す。
本発明の感熱転写記録材料において、一般式(I)または(III)で表される色素以外に使用する色素は得に制限はないが、好ましくは下記一般式(1)、(2)および一般式(4)で表される色素が挙げられる。
式中、R111及びR112は各々、水素原子又は置換基を表し、R113は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基を表し、Zは2個の炭素原子と共に5〜6員の芳香族環を構成するに必要な原子群を表す。
一般式(1)においてR111及びR112で表される置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、又はアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル、シクロヘキシル等)、アリール基(例えばフェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
R113で表されるアルキル基及びアリール基としては、R111及びR112で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
Zで表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的にはベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1で表される置換基と同じものを挙げることができる。
本発明に用いられる一般式(1)で表される色素は、例えば下記一般式(B)で表される化合物をChemical Reviews,Vol.75,241(1975)に記載の方法に準じてジアゾ化し、下記一般式(C)で表される化合物との公知のカップリング反応に従って製造することができる。
式中、R111、R112、R113及びZは、それぞれ前記一般式(1)のR111、R112、R113及びZと同義である。
一般式(1)で表される色素の具体例としては、特開2004−74617号の段落番号0065〜0067に記載されている、化合物No.(1)−1〜(1)−32、及び特開平5−177958号の段落番号0023〜0025に記載されている、色素Y−1〜Y23を挙げることができる。
式中、R121は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、R122は、それぞれ置換されてもよい芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表す。Xはメチン基又は窒素原子を表す。R123は下記一般式(3)を表し、Yは含窒素芳香族複素環を形成する原子群を表し、X1は炭素原子又は窒素原子を表す。
一般式(2)においてR121は水素原子、ハロゲン原子(弗素、塩素等)又は1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、それぞれ更に置換されてもよいアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
R122は置換されてもよい芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表すが、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ナフタレン環等の残基が挙げられる。これらの環残基は更に他の炭素環(例えばベンゼン環)や複素環(例えばピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されてもよい。Xはメチン基または窒素原子を表す。
R123は一般式(3)を表す。この一般式(3)は置換基を有してもよい含窒素芳香族複素環残基を表し、該複素環としては、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、キノリン、イソキノリン等が好ましい。これらの環は更に他の炭素環(例えばベンゼン環)や複素環(例えばピリジン環)と縮合環を形成してもよい。
環上の置換基としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられ、それらの置換基は更に置換されてもよい。X1は炭素原子又は窒素原子を表す。
Yは窒素芳香族複素環を形成する原子群を表すが、好ましくは5〜6員の複窒素芳香族複素環を形成する原子団であり、該環上には更に置換基を有してもよい。
環上の置換基の例としてはR122の好ましい例を挙げることが出来る。
本発明に用いられる一般式(2)で表される色素は、従来公知の方法に準じて合成することが出来る。例えば、一般式(2)中のアゾメチン色素は特開昭63−113077号、特開平3−275767号、同4−89287号の各明細書に記載の酸化カップリング方法に準じて合成することが出来る。
一般式(2)で表される色素の具体例としては、特開2004−74617号の段落番号0074〜0078に記載されている、色素(2)−1〜(2)−38及び特開平9−226259号段落番号0026〜0028に記載されている、色素III−1〜III−38を挙げることができる。
式中、R131及びR132はそれぞれ、置換又は無置換の脂肪族基を表し、R133は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の時、複数のR133は同じでも異なってもよい。R134、R135およびR136はいずれもアルキル基を表す。この時、R134、R135およびR136は同一でも異なっていてもよい。但し、R135、R136は炭素数3から8のアルキル基である。
一般式(4)においてR131およびR132は置換または無置換の脂肪族基を表し、R131およびR132は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、およびアダマンチル基等)、およびアルケニル基(例えば2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えばフェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、および2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、および2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えばN,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基)、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基)、ウレイド基(例えばN,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、およびp−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、および複素環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
R131、R132で非芳香族性の環状構造(例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成するのも好ましい。
R133は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR133は同じでも異なっていてもよい。
R134はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R134は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R134として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R134のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
R135はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、および1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R135は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R135として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R135のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
R136はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R136として特に好ましい置換基は炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R136のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
本発明に用いられる一般式(4)で表される色素は、従来公知の方法に準じて合成することが出来る。例えば特開2001−334755号、特開2002−234266号等の各明細書に記載の酸化カップリング方法に準じて合成することが出来る。
一般式(4)で表される色素の具体例としては、特開2004−74617号の段落番号0088〜0093に記載されている、色素(4)−1〜(4)−36、及び特開2002−234266号に記載されている、色素1〜36を挙げることができる。
次に、本発明の感熱転写記録材料、熱転写シート、感熱転写記録方法について説明する。
(熱転写シート:リボン支持体)
支持体は、従来の熱転写シートに使用されている物と同じ支持体をそのまま用いることが出来、特に限定される物ではない。好ましい支持体の具体例としては、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸或いは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものなどが挙げられる。
この支持体の厚さは、強度、熱伝導性、耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することが出来るが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。上記のごとき支持体は、この表面に形成する色素供与層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
(熱転写シート:リボン色素供与層)
本発明において、支持体の一方の面に設ける色素供与層に含有させる熱拡散性染料としては、良好な画像保存性を得られる観点から、反応型の染料を用いることができる。
本発明において、反応型の染料とは、前述のごとく、色素供与層側に含有させた染料前駆体と受像層側に含有させた染料定着体を熱転写により反応させることによって画像を形成させるような染料を示す。具体的には、前述のものも含め公知の反応型の染料を用いることが可能であるが、本発明においては画像保存性に特に優れるという観点から、ポストキレート染料(キレート化可能な染料)と、メタルソースの組み合わせを用いることが好ましい。
ポストキレート染料としては、熱転写が可能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜に選定して使用することができる。具体的には、例えば特開昭59−78893号公報、同59−109349号公報、特開平4−94974号、同4−97894号、同4−89292号、同10−258580号、特開2000−1057号、特開2002−234266号に記載されているシアン染料、マゼンタ染料、イエロー染料などを使用することができる。
本発明で使用される染料は一般式(I)、(III)、(IV)または(V)で表される化合物以外に前述の一般式(1)、(2)または(4)が好ましく、詳細は前述に記載のとおりである。
本発明に用いられるポストキレート染料の添加量は、通常、染料固形分1m2に対し、0.1g〜20gが好ましく、更に0.2g〜5gがより好ましい。
色素供与層に用いられるバインダー樹脂は、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系等の水溶性ポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、ニトロセルロース等の有機溶媒に可溶のポリマーが有る。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。有機溶剤に可溶のポリマーを用いる場合、1種又は2種以上を有機溶媒に溶解して用いるだけでなく、ラテックス分散の形で使用してもよい。バインダー樹脂の使用量としては、支持体1m2あたり0.1g〜50gが好ましい。
又、受像層との離型性を向上させるために、離型剤を添加、あるいは離型層を設けてもよい。離型剤としては、反応硬化型シリコーン、燐酸エステル系界面活性剤、フッ素化合物等を用いることが出来る。離型剤の使用量は、含有させる層の固形分に対し、0.5〜40質量%が好ましい。又、離型層を設ける場合、バインダーは上記色素供与層に用いられるものと同様のものが使用可能である。
(熱転写シート:リボンBC層)
支持体の、色素供与層を設けた面とは反対側の面に、耐熱性を付与するための背面層を設けることも好ましい。
(熱転写シート:リボン保護層)
本発明の熱転写記録では、記録媒体において染料転写後の表面に、熱転写によって形成される透明性層を設けることができる。
本発明に用いられる保護層は、前記色素供与層と同一面上に、いわゆる面順次で設けることも出来る。保護層を単独で、保護層転写シートとして用いる場合は、支持体や背面層は上述したものと同様のものを用いることが出来る。
本発明において、熱転写性の保護層は、支持体上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
非転写性離型層は上記プライマー層等を介して設けても、また介すことなく設けても良い。
非転写性離型層は、支持体と非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と熱転写性保護層との間に接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と熱転写性保護層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、
(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、
(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは
(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することが出来る。無機微粒子の粒子径は、40nm以下とすることが好ましい。40nmを越えると、離型層表面の凹凸に起因して熱転写性保護層の表面の凹凸も大きくなり、その結果保護層の透明性が低下してしまい好ましくない。
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることが出来る。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、質量比で30:70以上、80:20以下の範囲とすることが好ましい。配合比が30:70未満になると、無機微粒子の効果が不十分となり、一方80:20を越えると離型層が完全な膜とならず、支持体と保護層が直接触れる部分が生じてしまう。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体又はその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的に又は完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
離型層は、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂又は微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。含有量が20質量%未満になると、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体又はその誘導体の効果が十分に得られなくなる。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体又はその誘導体に配合される樹脂又は微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることが出来る。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることが出来る。
非転写性離型層を形成するには、上記(1)乃至(3)いずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を作製し、かかる塗布液を、グラビアコート法、グラビアリバースコート法のような公知の技術で支持体上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。
非転写性離型層を介して、あるいは介さずに支持体上に積層される熱転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層の他、熱転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために、熱転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本来の機能以外の機能を付加するための層(例えば偽造防止層、ホログラム層等)が設けられてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
多層構造の熱転写性保護層の一層をなす主保護層、又は単層構造の熱転写性保護層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
上記のごとき単層構造の熱転写性保護層又は多層構造の熱転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さに形成する。
熱転写性保護層の最表面には接着層が形成されていても良い。接着層は、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
非転写性離型層上あるいは支持体上に熱転写性保護層を形成するには、例えば、保護層形成用樹脂を含有する保護層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ作製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは支持体上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。
さらに、前述の熱転写性保護層には染料前駆体としてポストキレート染料を用いた場合、染料転写後のキレート性を高める用途で、後述の染料定着体(金属イオン含有化合物:メタルソースとも呼ぶ)を含有させることも出来る。
メタルソースの添加量は、樹脂層全固形分に対し0.01〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5質量%であるが、用途に応じて添加量は変えることが可能であるため、特に制限はない。
(熱転写シート:リボンMS層)
本発明の熱転写記録では、記録媒体において染料転写後の転写された表面と、非転写性の樹脂層の樹脂層表面を対面させ、非転写性樹脂層とは反対の側より熱を与えることで再加熱処理をすることができる。
本発明に用いられる非転写性の樹脂層は、前記色素供与層と同一面上に、いわゆる面順次で設けることも出来る。非転写性樹脂層を単独でシートとして用いる場合は、支持体や背面層は上述したものと同様のものを用いることが出来る。
非転写性樹脂層に用いられるバインダー樹脂は、色素供与層に用いたバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。
非転写性樹脂層を、色素供与層と面順次に設ける場合には、樹脂層に微粒子を含有することが好ましい。これは塗布後ロール状態で保存した際に、背面層に染料がわずかながら移行し、製品形態で小巻にした時に、この背面層に移行した染料が、非転写性樹脂層へ再転写するという、いわゆるキックバックという現象が生じるのを防止する目的で行われる。キックバックが生じると、樹脂層へ再転写した染料が、印画時受像面を着色することになり、画質を著しく損なう。微粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機体質願用の他に、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂微粒子、あるいはワックス粒子等が使用できる。これら微粒子の粒径は、好ましくは0.1〜50μmとする。0.1μm以下では樹脂層表面の凹凸が少なすぎて、キックバックに対する効果がなく、また50μm以上では印画後の画像表面を荒らしてしまい、画質を損なう。上記微粒子の好ましい添加量としては、樹脂層全固形分に対し1〜50質量%であり、特に好ましくは5〜30質量%である。1%以下では樹脂層表面の凹凸が少なすぎてキックバックに対する効果が少なく、また50%以上では印画後の画像表面を荒らしてしまい、画質を損なう。
本発明の感熱転写記録材料、もしくは熱転写シートにおいて、再加熱処理時に反応型染料の反応を完結させるための目的として、樹脂層中に染料定着体を含有させるか、あるいは染料定着体を含有させた層を設ける。染料定着体を含有させた層を設ける場合のバインダーは色素供与層に用いたバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。染料前駆体としてポストキレート染料を用いた場合、染料定着体としてメタルソースを含有させることが好ましい。
本発明に用いられる金属イオン含有化合物(メタルソース)としては、前述の化合物が好ましく、詳細は前述のとおりである。
(熱転写受像シート中間層)
受像層と支持体との間には、少なくとも1層以上の中間層を設けても良い。中間層は、接着層(プライマー層)、バリアー層、紫外線吸収層、発泡層、帯電防止層等、受像層と支持体の間に設ける層すべてを意味し、公知のものは、必要に応じていずれも使用できる。さらに、支持体のギラツキ感やムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタン等の白色顔料を添加すると、支持体の選択の自由度が広がるので好ましい。中間層樹脂と白色顔料との含有量は、樹脂固形分100質量部に対し、白色顔料固形分30〜300質量部が好ましいが、隠蔽性を高めるには100〜300質量部の範囲で用いることがさらに好ましい。
中間層としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは官能基を有する熱可塑性樹脂を、各種の添加剤その他の手法を用いて硬化させた層を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト、アイオノマー、単官能及び/又は多官能水酸基含有のプレポリマーをイソシアネート等で硬化させた樹脂等を使用することが出来る。
(熱転写受像シート受像層)
受像層は支持体の一方の面に、染料定着体とバインダー樹脂と、必要に応じて離型剤等の各種添加剤から構成されている。染料前駆体としてポストキレート染料を用いた場合、染料定着体としてメタルソースを含有させる。前述の様に、キレート色素を染料として用いる場合、メタルソースは添加しなくても良いし、適宜添加されていても良い。メタルソースは、上述した非転写性樹脂層で使用するものが同様に使用できる。メタルソースの添加量は、通常、受像層固形分に対し10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
バインダー樹脂は公知のものを用いることができ、染料が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的にはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、又は混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、及びビニル系樹脂が好ましい。
上記受像層は、色素供与層との熱融着を防止するために、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンを始め各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種もしくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は、受像層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写シートと熱転写受像シートの受像層との融着もしくは印画感度低下などの問題が生じる場合がある。尚、これらの離型剤は受像層に添加せず、受像層上に別途離型層として設けても良い。
(熱転写受像シートBC層その他)
更に熱転写受像シートの機械搬送性向上、帯電防止、筆記性付与、切手貼着性などを目的とした化合物を含有されても良い。帯電防止機能を得るためには、アクリル樹脂のような導電性樹脂や導電性フィラーからなる層を、さらには脂肪酸エステル、硫酸エステル、燐酸エステル、アミド類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、アミノ酸類、エチレンオキサイド付加類などの、帯電防止剤を添加した層を形成しても良い。
帯電防止剤の使用量は、帯電防止剤を添加する層、及び、帯電防止剤の種類によって異なるが、いずれの場合にも熱転写受像シートの表面電気抵抗値が1013オーム/cm2以下が好ましい。1013オーム/cm2より大きい場合には、静電密着により、熱転写受像シート同志が貼りつき、給紙トラブルの原因となる。量的には0.01〜3.0g/m2の使用量が好ましい。帯電防止剤の使用量が0.01g/m2以下では、帯電防止効果が不十分であり、一方、3.0g/m2以上では多すぎて不経済であり、またべたつきなどの問題が発生する場合がある。
筆記層は、熱転写受像シートの全面に設けても良いし、部分的に形成しても良い。また、搬送性を向上させる目的として、ナイロン樹脂粒子や、更に高級脂肪酸塩の添加も効果的である。ナイロン樹脂粒子としては、例えばナイロン12、ナイロン6等の粒子が挙げられる。これらのナイロン樹脂粒子は単独で使用されても、また2種類以上を併用していも良い。
高級脂肪酸塩としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステア燐酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステア燐酸亜鉛などが使用できる。
筆記層の形成手段は従来公知の印刷塗工手段でよい。筆記層の厚さは、乾燥時で0.5〜20g/m2程度である。
(熱転写受像シート支持体)
支持体は、受像層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
このような支持体の材料は特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
また、上記支持体の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの支持体の厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることが出来る。また、各種支持体の上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルム又は合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/又はポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルム又は合成紙が好ましい。これらがポリエステル等を主体としたものの場合には、その粘弾性的あるいは熱的性質から、クッション性、及び断熱性が、ポリプロピレンを主体としたものに比較して劣るため、印字感度に劣り、かる濃度ムラなども生じやすい。
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×108Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。又、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
微細空隙を有する層としては、支持体の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。支持体は、上述した各種紙、合成紙、不織布、プラスチックフィルム等を用いることができる。
又、必要に応じて、支持体の、受像層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることが出来る。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることが出来る。
上記支持体と熱転写受像層との接着強度を大きくする等の目的で、支持体の表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(層構成、塗布方法等)
以上の熱転写受像層は、支持体上に、水又は有機溶剤などの溶媒に溶解又は分散させた塗布液を、バーコーター、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、エクストルージョンコート法などの通常の方法で塗布し、乾燥して形成することができる。バリアー層、中間層、裏面層の形成手段も、上記の受像層の場合と同様の方法で行われる。又、受像層は、上記のように支持体上に直接塗布液を塗布し、乾燥して形成するだけでなく、別の支持体に受像層を予め形成してあるものから、支持体上に受像層を転写形成してもよい。また、各層を2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての層を一回の塗布で済ます同時塗布を行うこともできる。
受像層の厚さは、塗布乾燥後の膜厚で、0.1〜10μm程度が好ましい。
(熱転写受像シート形状)
本発明で用いられる熱転写受像シートは、プリンターに枚葉で供給されてもロール形態で供給されても良い。枚葉供給とは、例えば、熱転写受像シートを一定サイズにカットし、50枚程度を1セットとしてカセットに入れ、プリンターに装着して使用される形態を指す。又、ロール形態とは、その形でプリンタに熱転写受像シートを供給し、印画後所望のサイズに切断して使用する形態のことである。特に後者は、2枚差し等の給紙不良や排出不良等の搬送系のトラブルが解消される他、印画可能枚数の大容量化にも対応することが出来るため好ましい。
ロール形態で熱転写受像シートを供給する場合、特に、上述したようなハガキ仕様にした場合や、ラベルやシールタイプの熱転写受像シートを用いる場合は、裏面側に形成された郵便番号枠等のデザインマークや、シールのハーフカットの位置に対して切断位置を合わせるために、検知マークを裏面側に設けることが出来る。
(熱転写記録方法)
次に、本発明の熱転写記録方法の一例を示す。
透明保護層、或いは非転写性樹脂層が熱転写シートの色素供与層と面順次に供給される場合の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の1実施例である熱転写シートを示す図である。図1のaでは、支持体3の同一平面上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)色素供与層2が、また場合によっては透明保護層、或いは非転写性樹脂層が、面順次に設けられている。
尚、図1では、各々の層の間に隙間を取っていないが、熱転写記録装置の制御方法に併せて適宜隙間を設けても良い。又、各層の頭出しを制度良く行なうために、検知マークを熱転写シートに設けることが好ましく、設け方については特に限定されることはない。aは、支持体の同一平面上に色素供与層と透明保護層、或いは非転写性樹脂層を設けたが、もちろん、別個の支持体にそれぞれを設けても良いことは言うまでもない。尚、色素供与層の定義であるが、反応型の染料を用いた場合、色素供与層に含有されている染料自身は反応前の化合物であり厳密にいえばY、M、C染料とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成する為の層という意味で、便宜上同様に表現する。
(熱転写記録装置)
本発明に用いられる熱転写記録装置として、例えば、図2に示すような装置を用いることができる。図2において、10は熱転写シート供給ロール、15は熱転写シート、11は使用された熱転写シート15を巻き取る巻取ロール、12はサーマルヘッド、13はプラテンローラ、14はサーマルヘッド12とプラテンローラ13との間に挿入された熱転写受像シートである。
本発明の熱転写プリンターにおいて、光沢調とマット調の制御を同一プリンタ内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、プリンタにパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データをプリンタに送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、たとえば光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受像層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
(後加熱方法)
本発明において、熱転写記録により得られた記録体は、画像形成後に加熱する工程が施されてもよい。
画像形成後の加熱は、熱転写記録にとっては転写された染料を受像層内に定着させる目的として行われるものである。
加熱方法としては、熱転写記録に使用されるサーマルヘッドを用いる方法、熱ローラーを用いる方法、加熱ヒーターや熱風ヒーターによる方法、電子線放射や赤外線放射による方法が挙げられる。
記録体の加熱は、記録体の表裏両面からでも一方の面からでも行うことができ、一方の面ずつあるいは両方の面を同時に行われ、片方ずるあるいは同時に行われる。
本発明において、好ましい加熱方法としてはサーマルヘッドを用いる方法、あるいは熱ローラーを用いる方法である。
以下に、具体例を挙げて説明する。尚、文中で部又は%とあるのはは特に断りのない限り質量基準である。
[熱転写シート1の作製]
(バックコート層付の支持体Aの作製)
厚さ4.5μmの易接層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製ルミラー)の一方の面に、下記の組成かならるバックコート層塗布液1を、グラビア塗布方式で塗布、乾燥した後、加熱硬化処理を行い、乾燥膜厚1.0μmのバックコート層を有する支持体Aを作製した。
〈バックコート層塗布液1の調製〉
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製 エスレックBX−1) 3.5部
リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬社製 プライサーフA208S)
3.0部
リン酸エステル系界面活性剤(東邦化学社製 フォスファノールRD720)
0.3部
ポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックD750−45)
19.0部
タルク(日本タルク社製 Y/X=0.03) 0.2部
メチルエチルケトン 35.0部
トルエン 35.0部
〔色素供与層、保護転写層の形成〕
バックコート層付の支持体Aのバックコート面とは反対側の面に、下記組成からなるイエロー染料塗布液1、マゼンタ染料塗布液1、シアン染料塗布液1を用いて形成した各色素供与層(乾燥膜厚が1μm)と、多層構成保護転写層(非転写性離型層/保護層/接着層の3層構成)とをグラビア法により、図1に記載の様に面順次に設けて、熱転写シート1を作製した。
〔各色素供与層〕
〈イエロー染料塗布液1〉
ポストキレート色素:Y−1 4.5質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)
5.0質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〈マゼンタ染料塗布液1〉
ポストキレート色素:例示化合物3 4.0質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)
5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〈シアン染料塗布液〉
ポストキレート色素:C−1 4.0質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)
5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〔多層構成保護転写層〕
(非転写性離型層)
下記の組成からなる非転写性離型層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後固形分量が0.5g/m2となるように塗布、乾燥して、非転写性離型層を形成した。
〈非転写性離型層塗布液1〉
コロイダルシリカ(日産化学(株)製スノーテックス50) 1.5質量部
ポリビニルアルコール 4.0質量部
イオン交換水 3.0質量部
変性エタノール 10質量部
(保護転写層)
上記形成した非転写性離型層上に、下記の組成からなる保護転写層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後固形分量が2.0g/m2となるように塗布、乾燥して、保護転写層を形成した。
〈保護転写層塗布液1〉
アクリル樹脂 15質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5質量部
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(BASFジャパン社製UVA−635L) 40質量部
ポリエチレンワックス _ 0.3質量部
ポリエステル樹脂 0.1質量部
メチルエチルケトン 40質量部
トルエン 40質量部
アンチモン酸亜鉛(日産化学(株)製セルナックス) 20質量部
(接着層)
上記形成した保護転写層上に、下記の組成からなる接着層塗布液1を、グラビアコート法により、乾燥後固形分量が2.0g/m2となるように塗布、乾燥して、接着層層を形成した。
〈接着層塗布液1〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
以上により、非転写性の離型層上に、保護転写層と接着層の積層体である保護転写層を剥離可能に備えた多層構成保護転写層を作製し熱転写シート1を得た。
〔熱転写シート2〜16、比較1〜6の作製〕
熱転写シート1のマゼンタ色素を例示化合物3を表2のように変えた熱転写シート2〜16、比較1〜6を作製した。
〔熱転写受像シート1の作製〕
下記の内容に従って、熱転写受像シート1を作製した。
(支持体の作製)
熱転写受像シートの支持体として、コート紙(米坪量157g/m2 OKトップコートS 王子製紙社製)を用い、その一方の面にコロナ放電処理を施した後、その面に裏面樹脂層として、エチレン−αオレフィン共重合体(タフマーA−4085 三井石油化学工業社製)を15質量%ブレンドした高密度ポリエチレン(ジェイレックスLZ0139−2、密度0.952、日本ポリオレフィン(株)製 以下、これをHDPEと略す)と、ポリプロピレン(ジェイアロマーLR711−5、密度0.905、日本ポリオレフィン社製 以下、これをPPと略す)とを公知の多層Tダイによる共押し出しコート法でHDPE側がコート紙に接するように2層共押し出しして積層した。また、外側になるPP面には、コロナ放電処理を施した後、下記の組成からなる裏面層塗布液1を、乾燥固形分量が1.5g/m2となるように塗布、乾燥して、支持体Bを作製した。なお、裏面樹脂層の厚さは、エチレン−αオレフィン共重合体ブレンドのHDPE層が14μm、PP層が19μm、合計33μmとなるように加工した。
〈裏面層塗布液1の調製〉
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製 BR−85) 19.8質量部
ナイロンフィラー(神東塗料(株)製MW−330) 0.6質量部
メチルエチルケトン 39.8質量部
トルエン 39.8質量部
(熱転写受像シートの作製)
一方、微細空隙を有する樹脂層として、厚さ35μmの発泡ポリプロピレンシート(35MW846 Mobil Plastics Europe社製)を用い、その一方の面に、下記の組成からなる中間層用塗布液と染料受像層用塗布液とを、グラビアリバースコート法により、各々乾燥時の塗布膜厚が1μmと3μmとになるように、順次塗布、乾燥して、中間層と染料受容層とが積層された発泡ポリプロピレンシートを作製した。
次に、上記発泡ポリプロピレンシートの中間層及び染料受容層を設けていない側の面(発泡ポリプロピレンシート面)と、前記支持体Bの裏面樹脂層を設けていない側の面(コート紙面)とを下記組成の接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて、熱転写受像シート1を作製した。
〈中間層塗布液の調製〉
ウレタン系樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製) 5.7質量部
酸化チタン(TCA888、トーケム・プロダクツ社製) 11.4質量部
蛍光増白剤(ユビテックスOB、日本チバガイギー社製) 0.2質量部
イソシアネート(タケネートA−14、武田薬品工業社製) 2.0質量部
メチルエチルケトン 15.5質量部
トルエン 15.5質量部
イソプロピルアルコール 7.7質量部
〈染料受像層塗布液の調製〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(デンカビニル#1000A 電気化学工業社製)
7.2質量部
塩化ビニル−スチレン−アクリル共重合体(デンカラック#400 電気化学工業社製) 1.6質量部
ポリエステル(バイロン600 東洋紡績社製) 11.2質量部
メタルソース(MS−1) 8.0質量部
ビニル変性シリコーン(X−62−1212 信越化学工業社製) 2.0質量部
触媒:CAT PLR−5(信越化学工業社製) 1.0質量部
触媒:CAT PL−50T(信越化学工業社製) 1.2質量部
溶剤:メチルエチルケトン 39.0質量部
溶剤:トルエン 39.0質量部
〔熱転写受像シート2〜10の作製〕
熱転写受像シート1において、受像層塗工液中のメタルソースを表2のように変えた受像シート2〜9を作製した。メタルソースの添加量は分子量に応じ金属イオン含量が等しくなる様に添加した。さらに、熱転写受像シート1において、受像層塗工液中のメタルソースを除いた熱転写受像シート10を作製した。
実施例
抵抗体形状がスクエア(主走査方向長80μm×副走査方向長120μm)、300dpi(dpiとは、2.54cm当りのドット数を表す)ラインヘッドのサーマルヘッドを搭載した熱転写記録装置に、熱転写受像シート1の受像層部と熱転写シート1を重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、5〜80mJ/mm2の印加エネルギー範囲で順次増加させるイエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラル(
イエロー、マゼンタ、シアンの3色重ね)の各ステップパターンを、送り速度10msec/line、1ライン当たりの送り長さを85μmで、色素供与層の背面側から加熱して、熱転写受像シートの受像層上に各色素を転写させて、画像を形成した。
次いで、画像形成に使用したのと同じ熱転写記録装置を用いて、画像を形成した熱転写受像シートと、前記作製した多層構成保護転写層を重ね合わせて、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、80mJ/mm2の印加エネルギー、送り速度10msec/lineで保護層転写シートの背面側から加熱して熱転写受像シートの画像上全面に保護層を転写して、印画試料1−1を作製した。
同様にして、表2に示す熱転写シートと受像シートの組み合わせを用い、印画試料1−2〜1−23を作製した。
(最大濃度、感度、耐光性、耐湿、耐熱性、黄変、画像滲み)
作製した試料について、転写後の濃度CiをX−rite 310にて測定したのち、アトラス製ウェザーメーターを用いて85000ルクスのキセノン光を14日間照射した後、再び濃度Cfを測定し色素残存率(Cf/Ci)×100を求めた。
マゼンタ、ニュートラルの最大濃度(Dmax)値を示した。
さらに、マゼンタ濃度、およびニュートラル濃度1.0を与えるエネルギーを相対値で示した。この場合、印画試料1−18を基準とした。値が低いほど感度が高いことを示す。
また、マゼンタ、ニュートラルの全ての濃度について色素残存率が90%以上の場合を耐光性A、80%以上の場合を耐光性B、80%未満の場合を耐光性Cとした。
また、作製した試料について60℃、90%RHの高温高湿条件下で14日間静置した場合と、77℃、10%RHの高温条件で7日間静置した場合の白地の変化と色の滲みを目視で評価した。
白地変化
○ 黄変なし
△ 若干黄変が認められる
× 明らかにが認められる。
色滲み
○ なし
△ 若干滲みが認められる
× 明らかに滲みが認められる。
(生保存性)
印画試料1−1〜1−23を
A:40℃80%RH 100h
B:55℃10% 48h保存後の印画試料を目視し、色素の析出等の変化がないか評価した。
○ A、B条件とも何ら変化がない
△ A、Bどちらかの条件で若干にごりが見られる
× A、Bとも明らかに析出が見られる。
以上の結果を表2に示す。
参考例
〔熱転写シート17〜23、比較7〜10の作製〕
表3に示すように、実施例の熱転写シート5、7、9、10、12、15、比較1、比較3、比較4、比較6(表3の元の熱転写シート)について、マゼンタ色素の密度が1.4倍になるようにバインダー量を変更した熱転写シート17〜23、比較7〜10を作製した。
熱転写シート17〜23、比較7〜10および、熱転写受像シートについて、表3の組み合わせで、実施例と同様にサーマルヘッドを用いて染料を転写させた印画試料2−1〜2−11を作製した。
これらの試料について、実施例と同様の評価方法により最大転写濃度、感度、耐光性、白地変化、色滲み及び生保存性について評価し、結果を表3に示す。尚、感度の評価は、実施例の印画試料1−18を基準とした相対値である。
表2及び表3の結果から、本発明の感熱転写記録材料は、熱転写シートの保存性が良く、感度が高く、保存性の良い、高温高湿、または高温条件下での白地の黄変が全くない安定した画像が得られることがわかる。