JP4134309B2 - 物品搬送タイミング同期装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前工程からの物品を搬入して、後工程にその搬入した物品を搬出する技術に属し、詳しくは、前工程と後工程とに処理タイミングの差が生じてもその差を吸収するバッファー機能を有した物品搬送タイミング同期装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばロール状の原材料から、切断,打抜き等で形成したシート状の物品を、所定枚数づつセットにする工程と、前記セットにした物品を梱包する工程を1つのラインにより行う場合、従来は、前工程での処理タイミングが一定であっても、シート不良の発生等でシートセットの形成完了タイミングがその都度変化する。そのため、後工程である梱包工程を前記前工程に連動させることが容易ではなく、シートセットの形成タイミングをみながら一時停止する等マニュアル操作で対応させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、前工程で不良等が発生しなければ、一定タイミングで所定枚数のシートセットが形成されるため、後工程の処理タイミングをそのタイミングに同期させれば、途中で製品が停滞したり、後工程の稼動率が低下したりすることはない。
しかし、そういうことは稀であり、不良が発生したり、何れかの工程で問題が発生することで、前工程と後工程の生産速度に差が生じ、その調整のために全体の稼動率を低下せざるおえなかった。
【0004】
そこで本発明の目的は、前工程と後工程との生産或いは処理速度に一時的な差が生じても、それに合わせて前工程あるいは後工程をその都度停止等することがなく、双方の稼動率を低下させることのない物品搬送タイミング同期装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、搬送ラインの途中に、その搬送ラインの搬送方向に対して直交方向に移動可能で、少なくとも搬送方向に直交する両側縁が所定のピッチを移動しても搬送ライン上から外れない長さを有した移動体をベース内に設け、その移動体に、前記搬送方向に直交する両側縁を含み、1ピッチ毎にホルダを設けたエンドレス搬送路を形成し、前記移動体の一方の側縁における搬送ライン上に位置するホルダに搬送ラインの物品を搬入すると共に、他方の側縁における搬送ライン上に位置するホルダからそのホルダ内の物品を搬送ラインへ搬出可能に構成し、前記ベースは、少なくとも前記移動体が移動する中間位置の移動距離をカバーする範囲を囲んで移動体を支持し、前記移動体に固定された回転軸に取り付けられている2重のスプロケットに対して、互いに巻き掛け方向が逆向きの関係になるように2重に連装した駆動チェーン及び、この2重の駆動チェーンの夫々を駆動する専用の駆動源を備え、前記回転軸の回転を前記エンドレス搬送路の駆動軸に伝達可能とし、前記移動体の移動と前記エンドレス搬送路の駆動とを前記専用の駆動源を制御することにより、搬入タイミングと搬出タイミングとを搬送ラインの搬送タイミングに同期可能として構成される。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、駆動チェーンの動作速度とエンドレス搬送路の動作速度とが同一であるよう構成される。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、エンドレス搬送路と同形状のリング体を、エンドレス搬送路の背部において移動体の移動方向に僅かにずらした位置に設け、夫々のホルダをこのリング体にも支持させることで、エンドレス搬送路の回転に追従して前記リング体も回転し、ホルダの反転を防止するよう構成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態の1例を、図面を基に詳細に説明する。図1は物品搬送タイミング同期装置の正面図、図2,図3はその内部構成を説明する正面説明図、側面説明図であり、図4は単純化したモデル化図である。
図示する物品搬送タイミング同期装置は、塔状に立設したベース1とベース内で昇降動する移動体2とからなり、その移動体2の前面に複数のホルダ3を設けている。
【0010】
移動体2は前面の上部、下部に夫々2連のスプロケット4(4a,4b)を有し、夫々上下のスプロケット同士が2本のチェーン6により連結され、2本のチェーン6はエンドレス搬送路7を形成している。そして、そのエンドレス搬送路7には所定間隔を置いて複数の支持バー8が正面に先端を突出させて軸支され、その先端に箱状のホルダ3が固着されている。
【0011】
また、エンドレス搬送路7の背部には、そのエンドレス搬送路7と同一形状となるように上部,下部が2連スプロケット4と同一径のスプロケット9により支持されたリング体であるチェーン10が、エンドレス搬送路7とは上方に僅かにずれた位置に設けられ、支持バー8の後端から垂直上方に伸ばした連結バー11の先端が軸支され、チェーン10はエンドレス搬送路7の回転動作に連動するようになっている。
また、移動体2は、上部,下部の左右計4箇所に支持管12を有し、対応するベース1内の左右に立設した2本の支持軸13を挿通して、安定して上下動可能となっている。
【0012】
ベース1は、上部にエンドレス搬送路7を回転駆動させる為の2台のモータ14(L軸モータ14aとR軸モータ14b)有し、そのモータの下部に夫々減速機15(15a,15b)が設置され、モータ14とはタイミングベルト等で連結されている。
移動体2の後部中央には、同一径のL軸スプロケット16aとR軸スプロケット16bとからなる2重スプロケット16が連結して設けられ、移動体2の上側の2連スプロケット4aとチェーン17を介して連結されている。
L軸スプロケット16aはL軸モータ14aにより駆動されるように、またR軸スプロケット16bはR軸モータ14bにより駆動されるように夫々L軸チェーン18a、R軸チェーン18bからなる駆動チェーン18により夫々の減速機出力に連結されている。
【0013】
L軸チェーン18a、R軸チェーン18bは、図4に示すように夫々の減速機15a,15bの出力軸上に設けた4個のスプロケット19とベース下部に設けた4個のスプロケット20との間に張られ、互いに左右から巻き掛け方向が逆向きの関係になるように2重スプロケット16に独立して掛けられている。
尚、4個の上部スプロケット19のうち、19Lは減速機15aの出力軸に固着されたL軸チェーンの駆動スプロケットであり、19Rは減速機15bの出力軸に固着されたR軸チェーンの駆動スプロケットとなっている。また、21は駆動チェーン18を支持するために移動体2側に設けられた4個のスプロケットで、移動体2と共に昇降動する移動スプロケットである。
【0014】
また、駆動チェーン18の動作タイミングとエンドレス搬送路7の動作タイミングとが同一となるように、上下に設けた2連スプロケット4a,4bと2重スプロケット16とは同一径となっている。そして、図1に示す22はホルダ3から物品を搬出する為の払い出し装置で、搬出部のホルダ3の後方に位置する払い出し板23を前後動させる。この場合、ホルダ3は払い出し板23がホルダ内を移動可能なように、背板から底板の前方にかけて中央部が開放されている。
【0015】
続いて上記構成による作用を図4のモデル化図を基に説明する。図4は上記実施の形態の物品搬送タイミング同期装置を右後方の角度から見たモデル化図であり、まずR軸モータ14bが回転し、L軸モータ14aが停止している場合、R軸モータ14bに連結された減速機15bが矢印の方向に回転し、R軸チェーン18bを介してR軸スプロケット16bが矢印の方向へ回転する。この時、L軸チェーン18aは静止しているため、R軸スプロケット16bの回転により、L軸スプロケット16aも同方向に回転して、L軸チェーン18aに係合したまま、エンドレス搬送路7が回転すると同時に移動体2は上昇してゆく。
そして、駆動チェーン18とエンドレス搬送路7との動作速度を同一にしてあるこの実施の形態では、エンドレス搬送路7の回転速度と移動体2の上昇速度とが同一となる。その結果、エンドレス搬送路7の図面右側辺はベース1に対して相対的な移動を生じない状態で移動体2の上昇動作とエンドレス搬送路7の回転移動が達成される。
【0016】
同様に、R軸モータ14bが停止し、L軸モータ14aが回転した場合、エンドレス搬送路7は矢印で示す同一方向へ回転するが、R軸スプロケット16bの回転によりR軸チェーン18b上を下がって行くため、移動体2は下降する。そして、移動体2の下降速度とエンドレス搬送路7の回転速度が同一である本実施の形態では、エンドレス搬送路7の図面左側辺はベース1に対して相対的な移動を生じないで、移動体2の下降動作とエンドレス搬送路7の回転移動が達成される。
また、L軸モータ14a,R軸モータ14bが同時に回転した場合は、エンドレス搬送路7が回転するのみで、移動体2のベース1に対する相対移動はなく、昇降動はない。
このように、2重スプロケット16を回転させるだけでエンドレス搬送路7の回転と移動体2の昇降動とを機械的に連動させることができるため、エンドレス搬送路の回転と移動体の昇降動との同期をとるための複雑な制御機構を別に設ける必要がなく、安定した簡素な制御系とすることができる。
【0017】
次に、物品の搬入,搬出操作ならびに本実施例装置の作動態様について図5を基に説明する。図5(a)は移動体2の原点位置を示し、移動体2がベース1の高さ方向ほぼ中央に位置している。この実施の形態では、所定枚数のシート状物品24の搬入を、ベース左側(図面右側)の図示INの位置にあるホルダー3に対して行い、また搬出は右側のOUTの位置にあるホルダー3に対して行う。従って、図示INの位置からOUTの位置に至る上側の約半数のホルダー3には、それぞれ所定の物品が収納されている。
そして、IN位置での物品搬入タイミングとOUT位置での搬出タイミングとが同一で同期している場合、前記IN位置での搬入後に移動体2を上昇動作させるのと同時にOUT位置での搬出後に移動体2を下降動作させるため、結果的に移動体2のべース1に対する上下方向位置は変化せず、単にエンドレス搬送路7に設けた次位のホルダー3が所定位置に至るまで回転するだけの動作となる。
【0018】
一方、搬出タイミングが正常なるも搬入タイミングが通常より遅くなった場合、あるいは一時的に停止した場合、移動体2は順次(b)乃至(c)の位置に下降していくように動作する。即ち、後工程である搬出側はタイミング通りにOUT位置にあるホルダー3から搬出操作を行った後、エンドレス搬送路7を回転させつつ移動体2を順次下降動作させることは前記した通りであるが、IN位置にあるホルダー3への搬入が遅れまたは停止することで、移動体2の上昇作動が遅れまたは停止し、その結果として移動体2が下降方向に向うのである。
【0019】
逆に、後工程に何らかの異常状態が生じて搬出タイミングを遅らせる又は搬出することを一時的に中断する必要が生じた場合、移動体2は順次(d)乃至(e)の位置に上昇していくように作動する。即ち、前工程である搬入側は正常タイミングの通りにIN位置にあるホルダー3に対して物品の搬入操作を行った後、移動体2を上昇動作させるが、OUT位置にあるホルダー3からの搬出が遅れまたは停止することで、移動体2の下降作動が遅れまたは停止し、その結果として移動体2が上昇方向に向うのである。
【0020】
このように、前工程あるいは後工程に異常が生じて前後のラインで搬送タイミングが同期しない状態となっても、本願装置は一方の工程異常を他方に即時に連鎖させる事無く異常状態の復旧時間を確保することができ、生産効率低下を最小に抑えることができる。尚、上記バッファーとしての機能はホルダー3の数に依存するもので、ライン特性に応じて設計する。
また、移動体2の上下方向位置は、必要に応じて前工程並びに後工程の生産速度バランスを意味する検出情報として利用されることもある。例えば、ベース1に移動体2の位置検出センサー(図示せず)を設け、移動体2が(b)乃至(c)位置にある場合は前工程の生産速度を増加させるか、後工程の生産速度を低下させる。逆に(d),(e)位置にある場合は前工程の生産速度を低下させるか、後工程の生産速度を増加させる。要は、前記センサー信号に関連して移動体2が原点位置である(a)位置に向うように前または後、あるいは両工程に対して、本装置から制御指令することも可能であって、それにより突発するライン異常に対して前後工程の緩慢な速度変化で継続的に均衡状態を維持させることが可能になる。
【0021】
尚、ホルダに搬入するシートの所定枚数までのカウントは光センサ等を用いた公知のカウント手段を用いれば良いし、2個のモータの回転速度の同期はロータリーエンコーダ等の回転角度検出装置を双方の回転部に設けて回転数あるいは回転角を合せれば良い。
また、上記実施の形態は左側から搬入し、右側から搬出しているが、左右が逆であっても良いし、搬入した物品がエンドレス搬送路下方を経由するようにしても良い。更にはエンドレス搬送路は上下方向以外の方向、例えば左右向に長く形成してもよく、この場合移動体も左右動するよう構成すれば良い。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2の発明によれば、搬送ラインの前後で処理タイミングに差が生じても、夫々のタイミングにあわせて物品を搬入,搬出することができるため、その都度一時停止等する必要がなく、稼働率の低下や生産効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0023】
また、2重スプロケットを回転させる操作のみで、エンドレス搬送路の駆動と移動体の移動とを可能とするため、簡素な制御系とすることができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、エンドレス搬送路を回転駆動しても、搬入と搬出の位置でホルダが反転することがないので、搬入した物品が裏返しになることがなく、搬入した状態のままで搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の1例を示す物品搬送タイミング同期装置の概略正面図である。
【図2】図1の内部構成を示す正面視説明図である。
【図3】図1の側面視説明図である。
【図4】図1の内部構成のモデル化図である。
【図5】図1に示す物品搬送タイミング同期装置の動作説明図である。
【符号の説明】
1・・ベース、2・・移動体、3・・ホルダ、4・・2連スプロケット、6・・チェーン、7・・エンドレス搬送路、8・・支持バー、9・・スプロケット、10・・チェーン、11・・連結バー、12・・支持管、13・・支持軸、14・・モータ、15・・減速機、16・・2重スプロケット、17・・チェーン、18・・駆動チェーン、19,20・・スプロケット、21・・移動スプロケット。
Claims (3)
- 搬送ラインの途中に、その搬送ラインの搬送方向に対して直交方向に移動可能で、少なくとも搬送方向に直交する両側縁が所定のピッチを移動しても搬送ライン上から外れない長さを有した移動体をベース内に設け、
その移動体に、前記搬送方向に直交する両側縁を含み、1ピッチ毎にホルダを設けたエンドレス搬送路を形成し、
前記移動体の一方の側縁における搬送ライン上に位置するホルダに搬送ラインの物品を搬入すると共に、他方の側縁における搬送ライン上に位置するホルダからそのホルダ内の物品を搬送ラインへ搬出可能に構成し、
前記ベースは、少なくとも前記移動体が移動する中間位置の移動距離をカバーする範囲を囲んで移動体を支持し、前記移動体に固定された回転軸に取り付けられている2重のスプロケットに対して、互いに巻き掛け方向が逆向きの関係になるように2重に連装した駆動チェーン及び、この2重の駆動チェーンの夫々を駆動する専用の駆動源を備え、
前記回転軸の回転を前記エンドレス搬送路の駆動軸に伝達可能とし、前記移動体の移動と前記エンドレス搬送路の駆動とを前記専用の駆動源を制御することにより、搬入タイミングと搬出タイミングとを搬送ラインの搬送タイミングに同期可能としたことを特徴とする物品搬送タイミング同期装置。 - 駆動チェーンの動作速度とエンドレス搬送路の動作速度とが同一である請求項1記載の物品搬送タイミング同期装置。
- エンドレス搬送路と同形状のリング体を、エンドレス搬送路の背部において移動体の移動方向に僅かにずらした位置に設け、夫々のホルダをこのリング体にも支持させることで、エンドレス搬送路の回転に追従して前記リング体も回転し、ホルダの反転を防止した請求項1又は2記載の物品搬送タイミング同期装置。
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JP30898697A JP4134309B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 物品搬送タイミング同期装置 |
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JP30898697A Expired - Lifetime JP4134309B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 物品搬送タイミング同期装置 |
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Families Citing this family (1)
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JP2001137507A (ja) * | 1999-11-15 | 2001-05-22 | Fuji Shoji:Kk | 遊技機用コネクタ及び遊技機 |
-
1997
- 1997-11-11 JP JP30898697A patent/JP4134309B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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