JP4133044B2 - ポーラスコンクリートの打設装置およびその打設方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポーラスコンクリートの打設装置およびその打設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポーラスコンクリートを打設する際には、運搬車両などで運搬されてきたポーラスコンクリート材料としてのセメントミルクをまぶした砕石をポーラスコンクリートの打設位置に撒き出していたのであり、そのため、例えば、前記ポーラスコンクリート材料を前記打設位置付近にまで運搬車両などで運搬することが困難である場合、打設位置から離れた場所において、ポーラスコンクリート材料を一度運搬車両から下ろし、そこから人力によって打設位置にまでポーラスコンクリート材料を運搬しなくてはならず、作業が大変となる。
【0003】
そこで、本発明者らは、前記ポーラスコンクリート材料に使用される粗骨材よりも粒径の小さい細骨材をエアーとともにホース内に通して所定の位置に搬送するためのモルタル吹付機を、前記粗骨材の搬送に利用することに想到した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記モルタル吹付機による前記粗骨材の搬送を試みたところ、前記ポーラスコンクリート材料を搬送するには高圧のエアーが必要となるのであるが、この高圧エアーにより搬送されたポーラスコンクリート材料は放出される勢いが強過ぎ、これによってポーラスコンクリート材料が飛散するという問題があった。そこで、エアー圧を落とすと、今度は搬送力が不足して、ポーラスコンクリート材料の搬送が不能に陥る結果となった。
【0005】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、ポーラスコンクリート材料の搬送力を維持しながら、ポーラスコンクリート材料の飛散を防止し、容易にポーラスコンクリートの打設を行うことができるポーラスコンクリートの打設装置およびその打設方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ポーラスコンクリートを吹付打設する方法としては、(1)ポーラスコンクリート材料である粗骨材(砕石),セメント,水を予め混合したものを高圧エアーで搬送して吹きつける。(2)ポーラスコンクリート材料として粗骨材のみを高圧エアーで搬送し、別途ポンプで圧送したセメントミルク(セメント,水からなる)と混合して吹きつける別圧送タイプという主に2通りがある。
【0007】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のポーラスコンクリートの打設装置は、ポーラスコンクリート材料をエアーとともに供給管内に通して打設位置へと搬送するポーラスコンクリートの打設装置であって、前記供給管の下流部に、供給管内を通るエアーの一部と不要物を前記ポーラスコンクリート材料から分離するために、筒状の本体と、この本体に分岐口を介して接続された分岐筒体とからなる分離部を形成してあり、
前記分離部は、前記本体の上流部の軸線と下流部の軸線とのなす角度よりも、前記本体の上流部の軸線と前記分岐筒体の軸線とのなす角度が小さくなるように構成されてあるとともに、前記ポーラスコンクリート材料が当たるように配置された邪魔手段として、前記本体の内側へ突出する邪魔体を備える、および/または、前記分岐口を覆う多孔板を備えることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
また、本発明は別の観点から、請求項1に記載のポーラスコンクリートの打設装置を用いることを特徴とするポーラスコンクリートの打設方法を提供する(請求項2)。
【0010】
前記邪魔手段として、前記邪魔体および多孔板を備える一方、前記本体は、その中央部に湾曲部分を有しており、この湾曲部分よりも上流側および下流側にある上流部および下流部はともにほぼ直線的に形成され、また、前記分岐口は、前記湾曲部分の外湾曲面部に設けられ、さらに、前記分岐口よりも上流側で、前記上流部の前記分岐口に近い位置であって、その分岐口と同じ面側に、前記邪魔体をガイド保持する筒体が前記本体から連設され、しかも、前記邪魔体は、前記筒体を挿通するとともに、その先端側が前記本体の内側に突出し、その突出角度が、前記本体の上流部内を流れるポーラスコンクリート材料の進行方向と鋭角をなすように構成され、また、前記邪魔体の後端部をその軸芯まわりに回動操作することにより、前記邪魔体の筒体内への突出長を調整できるように構成されており、また、前記多孔板は、前記分岐筒体によって保持されており、かつ、前記ポーラスコンクリート材料を構成する粗骨材を通さない程度の孔を複数有するのが好ましい(請求項3)。
【0011】
また、前記邪魔手段が前記多孔板のみからなる一方、前記多孔板を保持する状態で前記分岐筒体を前記本体に対して着脱自在に構成してもよい(請求項4)。
【0012】
上記の構成からなる本発明によれば、ポーラスコンクリート材料の搬送力を維持しながら、ポーラスコンクリート材料の飛散を防止し、容易にポーラスコンクリートの打設を行うことができるポーラスコンクリートの打設装置およびその打設方法を提供することが可能となる。
【0013】
すなわち、ポーラスコンクリート材料をエアーとともに供給管内に通してポーラスコンクリートの打設位置へと搬送するに際して、前記供給管の下流部において、前記エアーの一部を前記ポーラスコンクリート材料から分離するようにしてあるため、前記エアーの一部が抜けてポーラスコンクリート材料の搬送が減勢されるとともに、前記エアーが、搬送された後のポーラスコンクリート材料に対して吹き付けられ、これによってポーラスコンクリート材料が飛散するということがなく、容易にポーラスコンクリートの打設を行うことができる。
【0014】
また、前記供給管の下流側において、前記ポーラスコンクリート材料を邪魔手段に当てるようにしてあることから、エアーとともに高速で送られてきたポーラスコンクリート材料の勢いをさらに殺ぐことができ、前記供給管から吐出された勢いのあるポーラスコンクリート材料が、既に吐出され、積層した状態のポーラスコンクリート材料を飛散させるということも防止できる。
【0015】
さらに、外面に泥が混ざったセメントミルクなどの不要物が付着した状態の前記ポーラスコンクリート材料を積層状態とした場合には、ポーラスコンクリート材料間を前記不要物が埋めてしまい、十分な大きさのポーラス(空隙)が形成されなくなるおそれがあるが、上記の構成からなる打設装置および打設方法では、前記ポーラスコンクリート材料が邪魔体および/または多孔板に当たった(衝突した)ときに、ポーラスコンクリート材料の外面に付着していた不要物がポーラスコンクリート材料から分離されるため、不要物の存在によってポーラスコンクリート材料間に十分な大きさのポーラス(空隙)が形成されなくなるということを防止でき、ひいては高品質のポーラスコンクリートを形成することが可能となる。
【0016】
また、例えば、前記ポーラスコンクリート材料をポーラスコンクリートの打設位置付近にまで運搬車両などで運搬することが困難である場合であっても、打設位置から離れた場所において、ポーラスコンクリート材料を一度運搬車両から下ろし、そこから打設位置にまで前記供給管等によって容易にポーラスコンクリート材料を搬送できることから、作業に要する労力が軽減されるとともに、作業が効率化し、ひいてはコストの縮減を図ることが可能となる。それに加えて、ため池を挟んだ向こう岸(対岸)等のような施工しにくい、ひいては施工がほとんど不可能なところでも、ポーラスコンクリートの打設を容易に行うことが可能となるのであり、つまり、ポーラスコンクリートの打設を容易に行える場所を広げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るポーラスコンクリートの打設装置(以下、打設装置という)Dの構成を概略的に示す説明図である。
前記打設装置Dは、ポーラスコンクリート材料Mを構成する粗骨材1を供給する骨材供給手段としての骨材圧送機2と、この骨材圧送機2に接続されたエアコンプレッサー3と、セメント4および水5を混合してなるセメントミルク6を送出するセメントミルク送出手段としての圧送用ポンプ(例えば、ピストン式ポンプ,スクイズ式ポンプ)7と、前記骨材圧送機2の下流側に接続された供給管8と、前記圧送用ポンプ7の下流側にその上流端が接続され、前記供給管8の下流部にその下流端が接続されたセメントミルク送出管9と、前記供給管8の下流部をポーラスコンクリートの打設位置における適宜の場所へと移動させるための移動手段としてのパワーシャベル10とを備えている。
【0018】
そして、前記ポーラスコンクリート材料Mは、前記粗骨材1と、セメント4および水5(セメントミルク6)とから構成されており、前記打設装置Dは、前記ポーラスコンクリート材料Mを構成する前記粗骨材1とセメントミルク6とを別圧送し、前記供給管8の下流部からの吹き付けを行う寸前にて両者1,6を混合する別圧送タイプのものである。
【0019】
前記粗骨材1は、例えば、粒径が13〜20mmの5号砕石と呼ばれる砕石である。なお、ポーラスコンクリートの打設に際しては、上記の粒径を有する砕石を粗骨材1として用いることが適しているが、前記粒径よりも大きい粒径または小さい粒径を有する砕石を粗骨材1として用いてもよい。
【0020】
前記骨材圧送機2は、前記粗骨材1を、前記エアコンプレッサー3から供給される高圧エアー(圧縮エアー)とともに下流側へと吐出するものであり、吐出された粗骨材1は、前記供給管8内に導出され、前記高圧エアーにより供給管8の下流側へと送られることとなる。
【0021】
前記供給管8は、例えば、20m程度の複数の可撓性を有するホースを連結してなる連結ホース部11と、この連結ホース部11の下流側に設けられた分離部12とを備えている。
【0022】
前記連結ホース部11は、例えば、最大で200m程度の長さとなるように構成されている。
【0023】
図2は、前記分離部12の構成を概略的に示す説明図である。
前記分離部12は、筒状(ほぼ円筒状)の本体13と、この本体13に分岐口14を介して接続(連設)された分岐筒体15と、本体13内を通る前記粗骨材1が当たるように配置され、かつ粗骨材1とともに送られてくる高圧エアーを遮断しないように構成された邪魔手段16とを備えている。
【0024】
前記本体13は、その中央部13aに湾曲部分を有しており、この中央部13a(湾曲部分)よりも上流側および下流側にある上流部13bおよび下流部13cはともにほぼ直線的に形成されている。
【0025】
前記分岐口14は、前記本体13における湾曲部分13aの外湾曲面部(図面上では湾曲部分の上面側の部分)付近に対して設けられている。
【0026】
前記分岐筒体15は、円筒状に形成されており、その上流部は、後述する多孔板17によって覆われた状態となっている。
【0027】
ここで、前記本体13の上流部13bの軸線Pと下流部13cの軸線Qとのなす角度αよりも、前記軸線Pと前記分岐筒体15の軸線Rとのなす角度βが小さくなるように構成されている。
【0028】
前記邪魔手段16は、前記分岐筒体15の上流部を覆う状態で配置され、前記粗骨材1を通さない程度(例えば、径が約8mm程度)の孔17aを複数(多数)有する多孔板17と、前記本体13における前記分岐口14よりも上流側に設けられた筒体18にガイド保持される棒状の邪魔体19とを備えている。
【0029】
前記筒体18および邪魔体19は、例えば、千鳥状に複数(本実施例では3つ)配置されている。
【0030】
前記筒体18は、前記本体13における上流部13bの前記分岐口14に近い位置であって、分岐口14と同じ面側(図面上では上流部13bの上面側)に設けられ(連設され)ている。
【0031】
また、前記筒体18は、前記本体13の外面側に突出する状態で形成されている。なお、筒体18を、本体13の内面側に突出する状態で形成してもよく、本体13の内外両方に突出する状態で形成してもよい。
【0032】
そして、前記筒体18に形成された雌ねじ部18aと螺合する雄ねじ部19aが前記邪魔体19に設けられている。
【0033】
前記邪魔体19は、前記筒体18を挿通するとともに、その先端側が本体13の内側に突出し、その突出角度が、本体13の上流部13b内を流れる粗骨材1の進行方向(前記軸線P)と鋭角をなすように構成されている。また、図3に示すように、前記邪魔体19の後端部をその軸芯まわりに回動操作することにより、邪魔体19の筒体18内への突出長を調整できるように構成されている。
【0034】
また、前記邪魔体19は、前記回動操作を行うことにより、前記筒体18から取り外せるようにも構成されており、これにより、邪魔体19を容易に交換することが可能となっている。なお、前記邪魔体19としては、例えば、ボルトを用いることができる。
【0035】
そして、上記の構成からなる邪魔体19を設けたことにより、前記分離部12の本体13を通る粗骨材1は、前記邪魔体19に当たって減勢され、本体13(中央部13a)の下側を通るようにガイドされた後、下流部13cへと送られる。
【0036】
従って、前記多孔板17の上部に前記粗骨材1が衝突することがほとんど(あるいは全く)ないことから、前記多孔板17を、分岐筒体15の上流部を完全に覆うように構成するのではなく、例えば、分岐筒体15の上流部の上部を除いた部分(例えば、下部および中央部のみあるいは下半分のみ)を覆うように構成してもよい。この場合、多孔板17は、無孔板としてもよい。
【0037】
なお、前記筒体18および邪魔体19の数および前記邪魔体19の筒体18内への突出長は、前記粗骨材1の大きさや流速などを考慮して、適宜に設定すればよい。
【0038】
また、前記供給管8は、前記分離部12の下流側に、前記分離部12の本体13の下流部13cおよび前記セメントミルク送出管9の下流端が接続され、内部において、前記分離部12からの粗骨材1と、前記セメントミルク送出管9からのセメントミルクを適宜に混合する混合部20を有しており、さらに、この混合部20の下流側には、前記混合部20において混合したセメントミルクおよび粗骨材1を吐出する吐出部21が形成されている。
【0039】
なお、前記混合部20において、セメントミルクおよび粗骨材1を混合することによって、ポーラスコンクリート材料を形成するのであり、このポーラスコンクリート材料としては、セメント4,粗骨材(砕石)1,水5と、適宜混和剤を用い、例えば、水セメント比25%、目標ペーストフロー175mm、目標空隙率20%に設定する。なお、前記混合部20は、分離部12の上流側直前付近に設けてもよい。
【0040】
前記パワーシャベル10は、例えば、前記供給管8における分離部12の上流側の部分を把持した状態で移動し、これにより、供給管8の下流部(吐出部21)をポーラスコンクリートの打設位置における適宜の場所へと移動させるように構成してある。なお、前記供給管8の下流部をポーラスコンクリートの打設位置における適宜の場所へと移動させるための移動手段は、前記パワーシャベル10に限るものではなく、例えば、人力でもよく、クレーンなどの重機でもよい。
【0041】
次に、上記の構成からなる打設装置Dを用いて実施される前記打設方法について説明する。
前記打設方法は、前記パワーシャベル10により前記供給管8の下流部(吐出部21)を適宜の位置に移動させた状態で、前記骨材圧送機2およびエアコンプレッサー3と、圧送用ポンプ7とを駆動することにより、実施できる。
【0042】
すなわち、前記骨材圧送機2およびエアコンプレッサー3を駆動すると、まず、前記粗骨材1は、高圧エアーとともに供給管8内に送られ、前記分離部12へと至る。
【0043】
前記分離部12に至った高圧エアーの大部分は、前記分岐口14および多孔板17の孔を通過した後に、分岐筒体15から外部へと導出される。
【0044】
そして、前記分離部12に至った粗骨材1は、前記邪魔手段16の前記邪魔体19に当たり、これによって勢いが殺がれた後、前記本体13の下流部13cからその下流側へと導出され、前記混合部20に至ることとなる。また、前記粗骨材1が邪魔手段16に当たった(衝突した)ときに、粗骨材1の外面に付着していた泥などの不要物1aが分離し、前記多孔板17の孔17aを通って、前記高圧エアーと同じく前記分岐筒体15から外部へと導出されることとなる。
【0045】
なお、前記多孔板17の孔17aは、前記粗骨材1が通らない程度の大きさに形成されていることから、粗骨材1が多孔板17の孔17aを通過して、分岐筒体15から外部へと導出されるということはない。
【0046】
一方、前記圧送用ポンプ7を駆動すると、前記セメントミルク6は、セメントミルク送出管9内に送られ、前記混合部20へと至る。
【0047】
そして、前記混合部20において、セメントミルクおよび粗骨材1が適宜の割合で混合され、これによって、前記ポーラスコンクリート材料が形成される。
【0048】
その後、前記ポーラスコンクリート材料は、前記吐出部21からポーラスコンクリートの打設位置に吐出されるのである。
【0049】
上記の構成からなる打設装置Dおよび打設方法によれば、粗骨材1を高圧エアーとともに供給管8内に通してポーラスコンクリートの打設位置へと搬送するに際して、前記供給管8の下流部に設けた分離部12において、前記高圧エアーの一部(大部分)を前記粗骨材1から分離するようにしてあるため、この高圧エアーが搬送された後の(前記吐出部21から吐出された後の)粗骨材1に対して吹き付けられ、これによって粗骨材1が飛散するということがなく、容易にポーラスコンクリートの打設を行うことができる。
【0050】
また、前記供給管8の下流側において、前記粗骨材1を邪魔手段16に当てるようにしてあることから、高圧エアーとともに高速で送られてきた粗骨材1の勢いを殺ぐことができ、前記吐出部21から吐出された勢いのある粗骨材1が、既に吐出され、積層した状態の粗骨材1を飛散させるということも防止できる。
【0051】
さらに、外面に前記不要物1aが付着した状態の前記粗骨材1を積層状態とした場合には、粗骨材1,1間を不要物1aが埋めてしまい、十分な大きさのポーラス(空隙)が形成されなくなるおそれがあるが、上記の構成からなる打設装置Dおよび打設方法では、前記粗骨材1が邪魔手段16および多孔板17に当たった(衝突した)ときに、粗骨材1の外面に付着していた不要物1aが粗骨材1から分離し、前記多孔板17の孔17aを通って、前記分岐筒体15から外部へと導出されるため、不要物1aの存在によって粗骨材1,1間に十分な大きさのポーラス(空隙)が形成されなくなるということを防止でき、ひいては高品質のポーラスコンクリートを形成することが可能となる。
【0052】
また、例えば、前記粗骨材1を前記打設位置付近にまで運搬車両などで運搬することが困難である場合であっても、打設位置から離れた場所において、粗骨材を一度運搬車両から下ろし、そこから打設位置にまで前記供給管8等によって容易に粗骨材1を搬送できることから、作業に要する労力が軽減されるとともに、作業が効率化し、ひいてはコストの縮減を図ることが可能となる。それに加えて、ため池を挟んだ向こう岸(対岸)等のような施工しにくい、ひいては施工がほとんど不可能なところでも、ポーラスコンクリートの打設を容易に行うことが可能となるのであり、つまり、ポーラスコンクリートの打設を容易に行える場所を広げることができる。
【0053】
図4は、前記分離部12の変形例としての分離部22の構成を概略的に示す説明図である。
上記分離部22は、前記分離部12と比して、前記筒体18および邪魔体19が設けられてなく、前記邪魔手段16が多孔板17のみからなり、また、前記分岐筒体15が前記本体13に対して着脱自在となっており、さらに、前記本体13の中央部13aに、前記湾曲部分よりも大きく曲がっている屈曲部分が形成され、それに伴って、前記本体13の上流部13bの軸線Pと下流部13cの軸線Qとのなす角度αがより大きくなっている点で主として異なる。
【0054】
前記分岐筒体15は、前記本体13の分岐口14の周囲に形成され、外周面に雄ねじ部23aを有する筒部23に対して着脱自在となっており、詳しくは、前記筒部23の内側に挿入される内筒部24と、前記雄ねじ部23aに螺着する雌ねじ部25aを有する外筒部25とを先端部に有しており、さらに、前記内筒部24の先端に、前記多孔板17を保持するように構成されている。
【0055】
すなわち、上記の構成からなる分離部22では、前記粗骨材1の勢いを殺ぐという前記邪魔手段16の機能は前記多孔板17のみによって果たされることになり、また、上記機能を果たすことによって多孔板17の劣化が早くなることを考慮して、前記分岐筒体15を着脱自在とすることによって、前記多孔板17の取り替え作業を行い易くしてあるのであり、さらに、前記角度αを大きくして、前記粗骨材1が本体13の上流部13bから下流部13cに向かうときに、確実にその勢いが殺がれるようにしてあるのである。
また、図示は省略するが、分離部22の別の変形例としては、図4における分岐筒体15を設けず、本体13を単に略L字管として、邪魔手段である多孔板17に相当する部位周辺の管壁に、多孔板17と同様な孔を複数形成することによっても、エアーの一部を分離可能であるとともに、ポーラスコンクリート材料Mが略L字管の屈曲部に衝突することによって減勢される。
【0056】
なお、上記実施例では、前記粗骨材1とセメントミルク6とを別圧送し、前記供給管8の下流部からの吹き付けを行う寸前にて両者1,6を混合する別圧送タイプのものを示したが、このような構成に限るものではなく、例えば、図5に示すように、前記セメントミルク送出管9の下流端を、前記骨材圧送機2に接続し、骨材圧送機2中で粗骨材1とセメントミルク6のポーラスコンクリート材料Mを全て混合して搬送してもよい。また、セメントミルク6の材料であるセメント4と水5を直接粗骨材1とともに骨材圧送機2に投入してもよい。さらに、予めコンクリート工場で混合したポーラスコンクリート材料Mをミキサー車で搬入したものを骨材圧送機2に投入してもよい。
【0057】
この場合には、前記分離部12(22)に至ったポーラスコンクリート材料Mが邪魔手段16に当たった(衝突した)ときに、前記粗骨材1の外面に付着していたいわゆるノロ(セメントが水に溶けた余分なヘドロ状のもの)も分離し、前記多孔板17の孔17aを通って、前記高圧エアーと同じく前記分岐筒体15から外部へと導出されることとなる。
【0058】
【発明の効果】
上記の構成からなる打設装置Dおよび打設方法によれば、ポーラスコンクリート材料Mを高圧エアーとともに供給管8内に通してポーラスコンクリートの打設位置へと搬送するに際して、前記供給管8の下流部に設けた分離部12(22)において、前記高圧エアーの一部(大部分)を前記ポーラスコンクリート材料Mから分離するようにしてあるため、この高圧エアーが、搬送された後の(前記吐出部21から吐出された後の)ポーラスコンクリート材料Mに対して吹き付けられ、これによってポーラスコンクリート材料Mが飛散するということがなく、容易にポーラスコンクリートの打設を行うことができる。
【0059】
また、前記供給管8の下流側において、前記ポーラスコンクリート材料Mを邪魔手段16に当てるようにしてあることから、高圧エアーとともに高速で送られてきたポーラスコンクリート材料Mの勢いを殺ぐことができ、前記吐出部21から吐出された勢いのあるポーラスコンクリート材料Mが、既に吐出され、積層した状態のポーラスコンクリート材料Mを飛散させるということも防止できる。
【0060】
さらに、外面に前記不要物1aが付着した状態の前記ポーラスコンクリート材料Mを積層状態とした場合には、ポーラスコンクリート材料M,M間を不要物1aが埋めてしまい、十分な大きさのポーラス(空隙)が形成されなくなるおそれがあるが、上記の構成からなる打設装置Dおよび打設方法では、前記粗骨材1が邪魔体19および多孔板17に当たった(衝突した)ときに、粗骨材1の外面に付着していた不要物1aがポーラスコンクリート材料Mから分離し、前記多孔板17の孔17aを通って、前記分岐筒体15から外部へと導出されるため、不要物1aの存在によってポーラスコンクリート材料M,M間に十分な大きさのポーラス(空隙)が形成されなくなるということを防止でき、ひいては高品質のポーラスコンクリートを形成することが可能となる。
【0061】
また、例えば、前記ポーラスコンクリート材料Mを前記打設位置付近にまで運搬車両などで運搬することが困難である場合であっても、打設位置から離れた場所において、ポーラスコンクリート材料Mを一度運搬車両から下ろし、そこから打設位置にまで前記供給管8等によって容易にポーラスコンクリート材料Mを搬送できることから、作業に要する労力が軽減されるとともに、作業が効率化し、ひいてはコストの縮減を図ることが可能となる。それに加えて、ため池を挟んだ向こう岸(対岸)等のような施工しにくい、ひいては施工がほとんど不可能なところでも、ポーラスコンクリートの打設を容易に行うことが可能となるのであり、つまり、ポーラスコンクリートの打設を容易に行える場所を広げることができる。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、ポーラスコンクリート材料の搬送力を維持しながら、ポーラスコンクリート材料の飛散を防止し、容易にポーラスコンクリートの打設を行うことができるポーラスコンクリートの打設装置およびその打設方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るポーラスコンクリートの打設装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】 上記実施例における分離部の構成を概略的に示す説明図である。
【図3】 上記実施例における邪魔手段の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】 前記分離部の変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】 上記実施例の変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…粗骨材、8…供給管、12…分離部、13…本体、13b…上流部、13c…下流部、14…分岐口、15…分岐筒体、16…邪魔手段、17…多孔板、D…打設装置、M…ポーラスコンクリート材料、P,R,Q…軸線、α,β…角度。
Claims (4)
- ポーラスコンクリート材料をエアーとともに供給管内に通して打設位置へと搬送するポーラスコンクリートの打設装置であって、前記供給管の下流部に、供給管内を通るエアーの一部と不要物を前記ポーラスコンクリート材料から分離するために、筒状の本体と、この本体に分岐口を介して接続された分岐筒体とからなる分離部を形成してあり、
前記分離部は、前記本体の上流部の軸線と下流部の軸線とのなす角度よりも、前記本体の上流部の軸線と前記分岐筒体の軸線とのなす角度が小さくなるように構成されてあるとともに、前記ポーラスコンクリート材料が当たるように配置された邪魔手段として、前記本体の内側へ突出する邪魔体を備える、および/または、前記分岐口を覆う多孔板を備えることを特徴とするポーラスコンクリートの打設装置。 - 請求項1に記載のポーラスコンクリートの打設装置を用いることを特徴とするポーラスコンクリートの打設方法。
- 前記邪魔手段として、前記邪魔体および多孔板を備える一方、前記本体は、その中央部に湾曲部分を有しており、この湾曲部分よりも上流側および下流側にある上流部および下流部はともにほぼ直線的に形成され、また、前記分岐口は、前記湾曲部分の外湾曲面部に設けられ、さらに、前記分岐口よりも上流側で、前記上流部の前記分岐口に近い位置であって、その分岐口と同じ面側に、前記邪魔体をガイド保持する筒体が前記本体から連設され、しかも、前記邪魔体は、前記筒体を挿通するとともに、その先端側が前記本体の内側に突出し、その突出角度が、前記本体の上流部内を流れるポーラスコンクリート材料の進行方向と鋭角をなすように構成され、また、前記邪魔体の後端部をその軸芯まわりに回動操作することにより、前記邪魔体の筒体内への突出長を調整できるように構成されており、また、前記多孔板は、前記分岐筒体によって保持されており、かつ、前記ポーラスコンクリート材料を構成する粗骨材を通さない程度の孔を複数有する請求項1に記載のポーラスコンクリートの打設装置。
- 前記邪魔手段が前記多孔板のみからなる一方、前記多孔板を保持する状態で前記分岐筒体を前記本体に対して着脱自在に構成してある請求項1に記載のポーラスコンクリートの打設装置。
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