以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図5は、被輸送物を輸送気体に混合させて輸送する空気輸送システムの全体構成を概略的に示している。なお、本実施形態では、NC旋盤1を用いた金属製品の加工により生じた金属屑を被輸送物とする。このような金属屑の種類としては鉄、鋳鉄、鋳鋼、アルミニウム等が挙げられる。
本実施形態の空気輸送システムには、その上流側において二又に分岐した輸送通路2が設けられている。輸送通路2の最上流にはそれぞれ被輸送物供給装置4が配設されている。被輸送物供給装置4は、NC旋盤1から排出された金属屑を輸送通路2側へ供給するものである。このような被輸送物供給装置4としては、例えば、特開平09−240837号公報、及び特開2000−142975号公報に開示されるロータリーフィーダが挙げられる。また、輸送通路2の最下流側には気体流提供装置としての吸引ブロワー5が配設されている。この吸引ブロワー5は、輸送気体の供給源となっている。本実施形態の空気輸送システムでは、各被輸送物供給装置4によりそれぞれ輸送通路2側に供給された金属屑は、吸引ブロワー5により吸引されることで、負圧状態の輸送通路2の下流側へ輸送される。
輸送通路2において、被輸送物供給装置4の近傍には切換バルブ6がそれぞれ設けられている。これにより、いずれの輸送通路2に輸送気体を供給するかが各切換バルブ6の開閉によって選択されるようになっている。吸引ブロワー5の上流側には、輸送気体を金属屑と清浄空気とに分離して金属屑を捕集するための集塵装置7が設けられるとともに、集塵装置7の下方には、捕集された金属屑を貯蔵するための貯蔵装置としての貯蔵タンク3が設けられている。なお、集塵装置7としては、例えば、特開2000−108037号公報に開示される集塵装置が挙げられる。また、切換バルブ6の下流側かつ集塵装置7の上流側に位置する輸送通路2には、液体分離装置として液体分離用の輸送管10が取り付けられている。
[第1実施形態]
以下、本願発明を具体化した第1実施形態の液体分離用の輸送管10(以下、輸送管10という。)を図1〜図4に基づいて説明する。図1に示すように輸送管10には、円筒状をなすとともにその両端部においてフランジ状をなす接続部12を介して輸送通路2と接続可能に構成される管本体11が設けられている。この管本体11は、その内部が輸送気体の流路Rとなるとともに、輸送管10を空気輸送システムに配設した場合には輸送通路2の一部として機能する。
管本体11は中央部に端部よりもその内径、すなわち流路断面積の大きい拡大部13を形成するとともに、拡大部13の両端に管本体11の端部側に向かって徐々に縮径するテーパ部14を形成している。管本体11の端部の流路断面積は、輸送通路2の流路断面積と同じか、それよりも小さく設定されていることが好ましく、輸送通路2の流路断面積と同じに設定されていることがより好ましい。
図1に示すように、拡大部13には、その内外方向に液体の通過を許容する通過部としての孔13aが形成されるとともに、この孔13aの大きさは金属屑を通過させず、かつ液体を通過させる程度の大きさに設定されている。本実施形態では、管本体11の拡大部13部分をパンチングメタルにより構成することにより通過部を形成している。
また、図1に示すように、管本体11の両端部には拡大部13及びテーパ部14を挟むように円板状の側板21がそれぞれ取り付けられている。具体的には、側板21の中央に形成される貫通孔内に管本体11の端部を挿入するとともにその接続部分を溶接することで、側板21を管本体11に固定している。
図1に示すように、両側板21の内側面には、管本体11の拡大部13を包囲するように内殻体としての円筒状の内筒22が固着されるとともに、内筒22の外側に円筒状の外筒23が固着されている。図2に示すように、管本体11、内筒22、及び外筒23は同軸状に配置され、本実施形態の輸送管10は三重筒形状をなしている。
内筒22はパンチングメタルにより形成されるとともに、その周面に内外方向に液体の通過を許容する通過部としての孔22aが設けられている。この孔22aの大きさは金属屑を通過させず、かつ液体を通過させる程度の大きさに設定されている。また、本実施形態では、外筒23は両側板21と共に、その内部に閉塞空間Sを形成する外殻体20を構成している。
また、図1及び図2に示すように、外筒23における拡大部13の真下に位置する部分には、その長さが拡大部13よりも長く、かつその幅が内筒22の直径よりも大きい略長方形状の貫通孔24が形成されている。その貫通孔24には、上部に開口を有する略四角箱状の液体受部31が挿入されるとともに外筒23に嵌合されている。液体受部31の底面は、中央側に向かって徐々に下方に傾斜する傾斜面状に形成されるとともに、底面の中央には排出路32が設けられている。さらに、この排出路32は図示しない開閉弁を介して吸引ポンプ等の排出手段33に接続されており、液体受部31に溜まった液体を強制的に排出可能に構成されている。
図1に示すように、外筒23の中央上部には通気路25が設けられている。この通気路25は図示しない開閉弁を介して吸引ポンプ等の圧力調節手段34に接続されており、圧力調節手段34によって閉塞空間S内の圧力を調節可能に構成されている。
また、本実施形態の輸送管10には、拡大部13及び内筒22に形成される通過部としての孔13a、22aの目詰まりを防止するための目詰まり防止手段が設けられている。この目詰まり防止手段は、側板21の下部かつ外筒23と内筒22の間の空間に対応する位置に設けられるエア供給口21aと、外筒23に設けられるエア供給口26と、これらエア供給口21a、26に接続される圧縮空気供給装置35とからなる。目詰まり防止手段は、圧縮空気供給装置35から供給される圧縮空気をエア供給口21a、26を介して閉塞空間S内に噴射するものである。なお、エア供給口26は、内筒22及び拡大部13に対向するように設けられている。
次に、このように構成された輸送管10を用いて、輸送気体に混合された金属屑と液体とを分離する態様を説明する。なお、図1における左側を輸送通路2の上流側、右側を輸送通路2の下流側とする。
まず、輸送管10の上流側に位置する輸送通路2内における金属屑及び液体の輸送状態について説明する。図3は、輸送管10の上流側に位置する輸送通路2の断面図であり、液体と金属屑とを混在させて輸送した場合の状態を模式的に示している。図3に示すように、金属屑と液体とを混在させた状態でこれらを圧送すると、比較的比重や重量の大きい金属屑は、輸送通路2の中央部分に集まるとともにその中央部分を移動するようにして輸送される傾向がある。これに対して、比較的比重や重量の小さい液体には、輸送通路2の径方向外側に向かって広がるような力が作用する。
これにより、液体は、輸送通路2の周辺部分に液膜状に集合するとともに輸送通路2の壁面に沿って移動するようにして輸送される。また、金属屑に付着した液体は、輸送通路2の中央部分を移動する金属屑同士が衝突、摩擦することにより金属屑から分離されるとともに輸送通路2の周辺部分に向かって広がっていく。具体的には、金属屑に付着した液体は液粒として金属屑から分離されるとともにミスト状にさらに分散されつつ、輸送通路2の径方向外側に移動していく。そのため、輸送通路2内では、その中央部分と周辺部分とにおいて金属屑と液体とがそれぞれ局在するような状態で輸送されている。
図4は輸送管10の管本体11内部に供給された金属屑及び液体の輸送状態を模式的に示している。拡大部13は流路断面積が大きくなっているため、上述した金属屑と液体との局在がより顕著となるとともに金属屑と液体との分離が進行する。また、上述したとおり、輸送通路2内を圧送される液体には輸送通路2の径方向外側に向かって広がるような力が作用するため、拡大部13においては通過部としての孔13a(図4では図示を省略している。)を介して液体は管本体11の外側に排出されるようになる。
さらに、拡大部13において、流路断面積の拡大幅に相当する流路Rの周辺領域(図4に示す破線の外側の領域)における圧送圧力は、その中央領域(図4に示す破線の内側の領域)における圧送圧力と比較して弱くなる。これにより、流路Rの周辺領域に位置する液体の輸送速度が低下し、液体は自重に耐え切れずに壁面に沿って拡大部13の下部に流下するとともに通過部としての孔13aを介して管本体11の外側に排出される。なお、拡大部13は外殻体20により形成される閉塞空間Sの内部に位置するように配置されているため、輸送管10全体の密閉状態は確保されている(図1参照)。したがって、輸送管10における圧送圧力が著しく低下して金属屑が輸送不能になるようなことはない。
また、輸送気体に混合される液体の量が多い場合や液体の粘度が高い場合には、管本体11からの液体の排出効率が不十分になることがある。このような場合には、圧力調節手段34を作動させて閉塞空間S内の圧力を調節することにより、液体の排出効率の低下を抑制することができる。具体的には、通気路25を介して閉塞空間S内の圧力を下げることにより、管本体11の内外における圧力差を大きくする。これにより、拡大部13では通過部としての孔13aを介して管本体11の内側から外側への輸送気体の流れが生じ、拡大部13の周辺領域に位置する液体はその輸送気体の流れを受けて管本体11外へ排出され易くなる。
このように、拡大部13においては、金属屑は輸送され易くかつ液体は輸送され難いように構成されるとともに、液体のみが管本体11の外部に排出されて輸送気体に混合される金属屑と液体とが分離されるようになっている。
なお、金属屑の輸送時において、排出路32に接続される開閉弁(図示略)は閉状態にされており、管本体11から排出された液体は内筒22を通過して液体受部31内に貯留される。そして、金属屑の被輸送時において、排出路32に接続される開閉弁(図示略)が開状態にされて、液体受部31に貯留された液体は排出手段33によって排出路32から輸送管10の外部へ排出される。
また、本実施形態では、金属屑の非輸送時において目詰まり防止手段を作動させている。圧縮空気供給装置35から圧縮空気を閉塞空間S内に噴射させる。この圧縮空気の圧力によって内筒22及び拡大部13に付着した金属屑や液体は、内筒22又は拡大部13の内側方向へ吹き飛ばされる。これにより、輸送管10の長期使用に伴う通過部としての孔13a、22aの目詰まりの発生を抑制する。
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態では、内部に流路Rを形成する管本体11と、管本体11の一部を包囲するともにその内部に閉塞空間Sを形成する外殻体20とを備えている。そして、管本体11の一部にその内側から外側への液体の通過を許容する通過部としての孔13aを設けている。これにより、輸送管10の管本体11内に圧送された金属屑は、流路Rの中央側を移動して管本体11から下流側の輸送通路2へ圧送される。一方、金属屑に伴って管本体11内に圧送された液体は、流路Rの径方向外側へ向かう力によって通過部としての孔13aを通じて管本体11の外側へ排出されるとともに管本体11内の金属屑から完全に分離された状態となる。したがって、上記構成によれば、単純な構成で金属屑と液体とを分離することが可能であるため、液体分離用の装置を容易に小型化することができる。
(2)本実施形態では、内部に流路Rを形成する管本体11に、その流路断面積を拡大する拡大部13を設けている。これにより、拡大部13においては、流路断面積の拡大幅に相当する流路Rの周辺領域における圧送圧力が、その中央領域における圧送圧力と比較して弱くなるため、流路Rの周辺領域に位置する液体の輸送速度が低下する。そのため、流路Rの周辺領域を圧送される液体と流路Rの中央側を圧送される金属屑との間に速度差が生じて金属屑と液体との分離が促進される。
(3)本実施形態の輸送管10には、外筒23の上部に設けられた通気路25を介して圧力調節手段34が接続されている。そして、この圧力調節手段34によって閉塞空間S内の圧力を調節することが可能となっている。これにより、通過部としての孔13aを通じて管本体11の外側へ排出される液体の排出効率を調節することが可能である。例えば、閉塞空間S内の圧力を下げた場合には液体の排出効率を高めることができる。また、圧力調節手段34によって閉塞空間S内の圧力を調節することにより、管本体11内を通過する金属屑の輸送速度を調整することができる。
(4)本実施形態では、閉塞空間S内を外殻体20側(外筒23側)と管本体11側とに仕切るような内筒22を設けるとともに、内筒22にその内側から外側への液体の通過を許容する通過部としての孔22aを設けている。これにより、仮に金属屑が衝突するなどして管本体11の壁面に亀裂や損傷が生じたとしても、その場合には内筒22が補助的に管本体11の機能を果たすようになるため、輸送管10において、金属屑を圧送不能になるというような不具合の発生を抑制することができる。
(5)本実施形態では、側板21に設けられるエア供給口21aと、外筒23に設けられるエア供給口26と、これらエア供給口21a、26に接続される圧縮空気供給装置35とからなる目詰まり防止手段を備えている。圧縮空気供給装置35から圧縮空気を閉塞空間S内に噴射させることにより、内筒22及び拡大部13に付着した金属屑や液体が内筒22又は拡大部13の内側方向へ吹き飛ばされる。これにより、輸送管10の長期使用に伴う通過部としての孔13a、22aの目詰まりの発生が抑制されて、輸送管10における分離効率の低下を防止することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の液体分離用の輸送管40(以下、輸送管40という。)を図6及び図7に基づいて第1実施形態と相違する点を中心にして説明する。
図6に示すように、第2実施形態の輸送管40は、平面視略直角三角形状をなし、その内部に閉塞空間Sを形成する箱状の外殻体41を備えている。この外殻体41は相互の接続部位の内角が90度となるように第1側壁41a及び第2側壁41bを形成するとともに、その内角の対辺に位置する第3側壁41cを形成している。第1側壁41aの端部と第3側壁41cの一端部との間は第2側壁41bと平行に延びる第4側壁41dが形成されるとともに、第2側壁41bの端部と第3側壁41cの他端部との間は第1側壁41aと平行に延びる第5側壁41eが形成されている。
図7に示すように、これら第1側壁41a〜第5側壁41eの各上端には平板状の上壁が固定されて第1側壁41a〜第5側壁41eの上方が覆われているとともに、第1側壁41a〜第5側壁41eの各下端には外殻体41の中央側に向かって徐々に下方に傾斜する傾斜壁41fが固定されている。傾斜壁41fの下端には筒状の排出路32が固定され、この排出路32は、第1実施形態と同様に図示しない開閉弁を介して吸引ポンプ等の排出手段33(図7においては図示を省略している。)に接続されている。つまり、第2実施形態では外殻体41の底部をなす傾斜壁41f全体が液体受部として機能する。
図6に示すように、第4側壁41dには側面視四角形状をなす第1連通孔42aが形成されるとともにその第1連通孔42aをなす第4側壁41dの端部はその第1連通孔42aの内方へ向けて折り曲げられている。第5側壁41eにも同様に側面視四角形状をなす第2連通孔42bが形成されるとともにその第2連通孔42bをなす第5側壁の端部はその第5連通孔の内方へ向けて折り曲げられている。
外殻体41の内域には、第1側壁41aと第3側壁41c及び第5側壁41eとの間において第2側壁41bと平行に延びる第1支持板43aが形成されているとともに、第2側壁41bと第3側壁41c及び第4側壁41dとの間において第1側壁41aと平行に延びる第2支持板43bが形成されている。第1支持板43a及び第2支持板43bは、「井」の字をなすように互いに交差しており、第1支持板43a及び第2支持板43bの上端は同じ高さとなるように位置決めされている。
図6及び図7に示すように、外殻体41の内部には、平面視略直角三角形状をなす箱状の内殻体44が収容されている。この内殻体44は、相互の接続部位の内角が90度となるように第1側壁44a及び第2側壁44bを形成するとともに、その内角の対辺に位置する第3側壁44cを形成している。第3側壁44cの一端部は、第1側壁44aと平行となるように外側へ向けて折り曲げられるとともに、第3側壁44cの他端部は、第2側壁44bと平行となるように外側へ向けて折り曲げられている。図7に示すように、第1側壁44a〜第3側壁44cの各上端及び各下端には平板状の上壁44d及び下壁44eが固定されている。
図6に示すように、第1側壁44aの端部と第3側壁44cの一端部との間には、外殻体41の第1連通孔42aと略同形状の開口が形成されるとともに、第2側壁44bの端部と第3側壁44cの他端部との間には、外殻体41の第2連通孔42bと略同形状の開口が形成されている。また、図7に示すように、内殻体44の内域には、第1側壁44aと平行に延びる3本の第3支持板45が形成されている。これら第3支持板45の上端は同じ高さとなるように位置決めされている。
図7に示すように、内殻体44は外殻体41の第1支持板43a及び第2支持板43bの上端に支持されるように収容されている。そして、外殻体41の第4側壁41dの端部に対して内殻体44の第1側壁44aの端部及び第3側壁44cの一端部が固着されるとともに、外殻体41の第5側壁41eの端部に対して第2側壁44bの端部と第3側壁44cの他端部が固着されている。
なお、内殻体44はパンチングメタルにより形成されるとともに、その各壁に内外方向に液体の通過を許容する通過部としての孔が設けられている(図6及び図7においては、図示を省略している。)。この孔の大きさは金属屑を通過させず、かつ液体を通過させる程度の大きさに設定されている。
図6及び図7に示すように、内殻体44の内部には、内殻体44と同形状をなすとともに内殻体44よりも一回り小さい形状のコーナ管材46が収容されている。ただし、コーナ管材46には第3支持板45は設けられていない。図7に示すように、コーナ管材46は第3支持板45の上端に支持されるようにして収容されるとともに、コーナ管材46の開口は内殻体44の開口に対して断面四角環状のスペーサ47を介して対向配置されている。また、コーナ管材46は、パンチングメタルにより形成されるとともに、その各面に内外方向に液体の通過を許容する通過部としての孔46aが設けられている。この孔46aの大きさは金属屑を通過させず、かつ液体を通過させる程度の大きさに設定されている。
図6及び図7に示すように、内殻体44の開口には略筒状の連結部材50が取り付けられている。連結部材50の一方の端部は、フランジ状をなす接続部51を介して輸送通路2と接続可能に形成されているとともに、連結部材50の他方の端部は断面四角環状に形成され、その外周面が内殻体44の開口の内周面と接続可能に形成されている。連結部材50と内殻体44との接続部では、連結部材50の内周面がコーナ管材46の開口内面と面一となるように形成されている。また、連結部材50は、一方の端部側の流路断面積が他方の端部側の流路断面積よりもが大きくなるように形成されるとともに、その中央部に一方の端部側から他方の端部側に向かって徐々に拡径するテーパ部52を形成している。
なお、本実施形態においては、コーナ管材46と連結部材50とにより管本体を構成するとともに、連結部材50の他方の端部及びコーナ管材46全体が拡大部として機能する。よって、図6に示すように、コーナ管材46及び連結部材50内に流路Rが形成されるとともに、この流路Rはコーナ部Cにおいてその輸送方向が90度変更されている。
また、本実施形態の輸送管40には、第1実施形態の輸送管10と同様にコーナ管材46及び内殻体44に形成される通過部としての孔の目詰まりを防止するための目詰まり防止手段が設けられている。この目詰まり防止手段は、外殻体41の第1側壁41a、第2側壁41b、第3側壁41cにそれぞれ設けられるエア供給口48と、各エア供給口48に接続される圧縮空気供給装置35とからなる(図6及び図7においては圧縮空気供給装置35の図示を省略している。)。この目詰まり防止手段は、第1実施形態の目詰まり防止手段と同様に機能するものである。
次に、このように構成された輸送管40を用いて、輸送気体に混合された金属屑と液体とを分離する態様を説明する。なお、図6における右上側を輸送通路2の上流側(入口側)、左下側を輸送通路2の下流側(出口側)とする。
入口側の連結部材50から輸送管40内に圧送された金属屑及び液体は、その勢いのまま直進を続けるため、コーナ管材46のコーナ部Cに衝突することになる。このとき、通過部としての孔46aを通過可能な液体のみがコーナ管材46の外側へ排出されて、通過部としての孔46aを通過不能な金属屑はコーナ管材46の内部に残留するとともに出口側の連結部材50から下流側の輸送通路2へ圧送される。これにより、輸送気体に混在する金属屑と液体とが分離されて、金属屑のみが下流側の輸送通路2に圧送されることになる。
また、上述したように流路断面積が拡大された拡大部、すなわち連結部材50の他方の端部及びコーナ管材46においては、流路断面積の拡大幅に相当する流路Rの周辺領域(図6に示す破線の外側の領域)における圧送圧力は、その中央領域(図6に示す破線の内側の領域)における圧送圧力と比較して弱くなる。とくにコーナ部Cは流路Rの中央領域から離れているために圧送圧力が一段と弱くなり、コーナ部C周辺には金属屑の一部が圧送されずに堆積するようになる。上述したように輸送通路2を圧送される比較的比重や重量の小さい物体には、輸送通路2の径方向外側に向かう力が作用し、その物体は輸送通路2の径方向外側へ広がりつつ移動する傾向がある。
よって、金属屑であっても比重や重量の大きいものほど流路Rの中央側に位置しやすくなるとともに比重や重量の小さいものほど流路Rの周辺側に位置し易くなる。そのため、コーナ部C周辺に堆積する金属屑は、比重や重量の小さい金属屑の占める割合が大きくなる。したがって、輸送管40においては、比重や重量の大きい金属屑ほど下流の輸送通路2に圧送され易く、比重や重量の小さい金属屑ほどコーナ管材46内に残留し易くなるため、比重や重量の大きい金属屑と比重や重量の小さい金属屑とが分離されることになる。なお、コーナ管材46内における金属屑の輸送経路は、金属屑の比重や重量、その輸送速度等によって変化するものであり、たとえば、金属屑の比重や重量が大きいほどコーナ管材の側壁に沿って直角に曲がるような輸送経路をとる。
また、通過部としての孔46aを通じてコーナ管材46の外側へ排出された液体は、内殻体44を通過して外殻体41の下部に貯留されるとともに、排出手段33によって排出路32から輸送管40の外部へ排出される。
第2実施形態においても、上記(1)、(2)、(4)及び(5)の作用効果を得ることができる。また、第2実施形態においては、以下のような作用効果が得られる。
(6)本実施形態では、コーナ部Cを有する箱状のコーナ管材46と連結部材50の他方の端部とにより拡大部を構成している。これにより、輸送管40内に形成される流路Rは、コーナ部Cにおいて輸送方向が90度変更されるため、コーナ管材46内に圧送された金属屑及び液体は、流路Rに沿って進路を変更することができずにコーナ部Cに衝突する。このとき、通過部としての孔46aを通過可能な液体のみがコーナ管材46の外側へ排出されるとともに、孔46aを通過不能な金属屑はコーナ管材46の内部に残留した状態となるため、金属屑と液体とをより効果的に分離することができる。
また、上記構成によれば、コーナ部C周辺では一部の金属屑が圧送されずにコーナ部Cに堆積し易くなる。コーナ部C周辺に堆積した金属屑は、輸送管40内に圧送される金属屑がコーナ管材46のコーナ部Cに直接衝突することを抑制する緩衝材として機能する。これにより、金属屑が衝突することによるコーナ管材46の磨耗を抑制することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の液体分離用の輸送管60(以下、輸送管60という。)を図8に基づいて第1実施形態と相違する点を中心にして説明する。図8に示すように、輸送管60には、その両端部においてフランジ状をなす接続部65を介して輸送通路2と接続可能に構成される管本体61が設けられている。管本体61は、その内部が輸送気体の流路Rとなるとともに、輸送管60を空気輸送システムに配設した場合には、輸送通路2の一部として機能する。管本体61の上流側の端部及び下流側の端部には、接続部65を介して輸送通路2に接続されるとともに輸送通路2と流路断面積を等しくする流入部62及び排出部63がそれぞれ形成されている。そして、管本体61の中央部には、有底円筒状をなし、流入部62及び排出部63よりも流路断面積の大きい拡大部64が形成されている。
拡大部64は、その両端面において、流入部62及び排出部63に接続されている。具体的には、拡大部64の上流側の端面の下部に形成される上流側開口64aに対して流入部62の端部が接続されるとともに、拡大部64の下流側の上部に形成される下流側開口64bに対して排出部63の端部が接続されている。つまり、拡大部64の下流側開口64b及び排出部63が、拡大部64の上流側開口64a及び流入部62よりも上方に位置するように配置されている。
なお、拡大部64はパンチングメタルにより形成されるとともに、その両端面及び周面に内外方向に液体の通過を許容する通過部としての孔64cが設けられている。この孔64cの大きさは金属屑を通過させず、かつ液体を通過させる程度の大きさに設定されている。
また、第1の実施形態の輸送管10と同様に、管本体61の両端部には拡大部64を挟むように円板状の側板71がそれぞれ取り付けられている。そして、両側板71の内側面には、管本体61の拡大部64を包囲するように円筒状の内筒72が固着されるとともに、内筒72の外側に円筒状の外筒73が固着されている。また、本実施形態では、側板71と拡大部64の端面との間に、その直径を内筒72の内径と等しくする円板状の内側板74がそれぞれ配置されている。内側板74は、拡大部64を挟むように配置されるとともに、その周縁部にて内筒72の内周面に接続されている。本実施形態においては、側板71と外筒73とにより、内部に閉塞空間Sを形成する外殻体70が構成されるとともに、内側板74と内筒72とにより内殻体75が構成されている。
なお、内側板74及び内筒72はパンチングメタルにより形成されるとともに、内外方向に液体の通過を許容する通過部としての孔75aがそれぞれ設けられている。この孔75aは、拡大部64に形成される孔64cよりもその大きさが小さくなるように形成されている。これにより、仮に、細かな金属屑が拡大部64に形成される孔64cを通過した場合にも、その細かな金属屑を内殻体75にて捕集することができる。
また、第1の実施形態の輸送管10と同様に、外筒73おける拡大部64の真下に位置する部分には貫通孔76が形成されるとともに、同貫通孔76には上部に開口を有する略四角箱状の液体受部81が取り付けられている。液体受部81の下部には、吸引ポンプ等の排出手段83に接続される排出路82が形成されている。なお、本実施形態においては、拡大部64の下方に配置される液体受部81に、圧力調節手段84に接続される通気路77を形成している。
また、本実施形態の輸送管60には、第1の実施形態の輸送管10と同様に拡大部64及び内殻体75に形成される通過部としての孔64c、75aの目詰まりを防止するための目詰まり防止手段が設けられている。この目詰まり防止手段は、第1実施形態と同様に、外筒73に設けられるエア供給口78、及び同エア供給口78に接続される圧縮空気供給装置85を備えている。さらに、本実施形態では、目詰まり防止手段として、一方の側板71の下部に第1エア供給口71aが設けられるとともに、両側板の中央部(内側板74に対向する位置)に第2エア供給口71bが設けられている。この第1エア供給口71a及び第2エア供給口71bは、ともに圧縮空気供給装置85に接続されている。また、第1エア供給口71aには、内筒72の外周面に沿ってその軸方向に延びる円筒状のエア供給路79が接続されている。そして、エア供給路79の周壁には、内筒72と対向する位置に複数の貫通孔79aが形成されている。これにより、圧縮空気供給装置85から供給される圧縮空気が、第2エア供給口71bを介して拡大部64の端面に向って噴射されるとともに、同圧縮空気がエア供給口78に形成される貫通孔79aを介して内筒72に向って噴射されるようになっている。
次に、このように構成された輸送管60を用いて、輸送気体に混合された金属屑と液体とを分離する態様を説明する。
第2実施形態の輸送管40の場合と同様に、流入部62から輸送管60内に圧送された金属屑及び液体は、上流側開口64aから拡大部64内に流入するとともに、拡大部64の下流側の端面下部に衝突する。このとき、通過部としての孔64cを通過可能な液体のみが管本体61の外側へ排出される。一方、同孔64cを通過不能な金属屑は拡大部64の内部に残留するとともに下流側開口64b及び排出部63から下流側の輸送通路2へ排出される。すなわち、本実施形態では、拡大部64における下流側の端面下部と周面とによって区画される部位がコーナ部Cとして機能し、流路Rはコーナ部Cにおいて、水平方向から上下方向に輸送方向が変更されることになる。
第3実施形態においても、上記(1)〜(6)の作用効果を得ることができる。また、第3実施形態においては、以下のような作用効果が得られる。
(7)管本体61内に圧送された液体のうち、輸送通路2の周辺部分を移動していた液体は、拡大部64内に圧送されると、径方向外方に向って分散して輸送速度が低下するとともに、自重により拡大部64の周面に沿って下方に流下する。そのため、拡大部64内において、液体はより下部側に位置するようになり、拡大部64の上部側(具体的には上流側開口64aよりも上部側)、とくに、上流側開口64aから最も離間した拡大部64の上方域、すなわち、下流側の内側板74の上部に対応する拡大部64の上方域には、液体はほとんど存在しなくなる。
ここで、本実施形態では、拡大部64において、下流側開口64bを上流側開口64aよりも上方に位置するように構成している。これにより、拡大部64内において、液体の存在比率の低い下流側上方域に位置するもの、すなわち、水分含有量の低い輸送気体及び被輸送物がより積極的に下流側開口64b及び排出部63から排出されるようになる。そのため、下流側開口64b及び排出部63から排出される輸送気体に含まれる液体の量がより低減される。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の液体分離用の輸送管90(以下、輸送管90という。)を図9に基づいて第1実施形態と相違する点を中心にして説明する。図9に示すように、輸送管90は排出路32に対して、液体濾過部100が接続されている点で第1実施形態の輸送管10と相違する。この液体濾過部100は、排出路32から排出される液体中に含まれる微細な金属屑を取り除いて、回収される液体の純度を高めるためのものである。以下、液体濾過部100について説明する。
排出路32には、第1開閉弁91を介して円筒状の導入路101が接続されている。この導入路101の下端部には、有底円筒状をなすフィルタ102が取り付けられている。このフィルタ102は、排出路32から液体濾過部100内に供給された液体を濾過するため部材であり、液体のみを通過させる濾布等により構成されている。そして、導入路101及びフィルタ102を包囲するように、筒状のケーシング103が配置されている。このケーシング103の下端部には第2開閉弁92が接続されている。第1開閉弁91及び第2開閉弁92は、第1開閉弁91及び第2開閉弁92にそれぞれ接続される弁制御手段93によりその開閉動作が制御されている。
また、導入路101及びフィルタ102の内部には、導入路101及びフィルタ102内の気体を吸引するための第1管路104が設けられている。第1管路104は、その上端部側にて屈曲されたL字状をなし、その上端部が導入路101及びケーシング103を貫通してケーシング103の外部に通じるように形成されている。そして、第1管路104の上端部は、吸引ポンプ等の吸引装置94に接続されるとともに、同吸引装置94を介して輸送管90の上流側に位置する輸送通路2に連通されるように構成されている。また、第1管路104の下端部側は導入路101及びフィルタ102と同方向に延びるように形成されている。そして、その下端部にてフィルタ102の内端面に当接されるとともに、その下端部側の周壁部分には複数の貫通孔が形成されている。
また、第1管路104の内部には、導入路101及びフィルタ102内に圧縮気体を供給するための第2管路105が設けられている。第1管路104と同様に、第2管路105は、その上端部側にて屈曲されたL字状をなし、その上端部が第1管路104、導入路101及びケーシング103を貫通してケーシング103の外部に通じるように形成されている。第1管路104の上端部は圧縮空気供給装置95に接続されている。また、第2管路105の下端部側は、第1管路104と同様に、導入路101及びフィルタ102と同方向に延びるように形成されている。そして、その下端部にてフィルタ102の内端面に当接されるとともに、その下端部側の周壁部分には複数の貫通孔が形成されている。
次に、このように構成された輸送管90を用いて、輸送気体に混合された金属屑と液体とを分離する態様を説明する。ここでは、液体濾過部100において、排出路32から供給される液体中に含まれる微細な金属屑を除去する態様について具体的に説明する。
拡大部13にて金属屑から分離され、液体受部31に貯留された液体は、第1開閉弁91が開状態となることにより、排出路32を通過して液体濾過部100に供給される。液体濾過部100に供給された液体は、導入路101を通過してフィルタ102に到達するとともに、フィルタ102にて濾過処理される。ここで、上記液体中に含まれる微細な金属屑はフィルタ102の内部に残留するとともに、液体のみがフィルタ102を通過してケーシング103側に移動する。そして、濾過された液体がケーシング103内に所定量貯留されたとき、或いは所定時間経過したときに第2開閉弁92が開状態となり、濾過された液体が図示しない回収手段にて回収される。
また、所定量の液体が濾過処理された後には、第1開閉弁91及び第2開閉弁92が閉状態となるとともに、圧縮空気供給装置95から第2管路105に圧縮空気の供給が開始される。そして、第2管路105及び第1管路104のそれぞれに形成される貫通孔を介してフィルタ102内に圧縮空気が噴射される。これにより、フィルタ102に付着した微細な金属屑がフィルタ102内に舞い上がり、浮遊した状態となる。同時に、吸引装置94が作動し、微細な金属屑とともにフィルタ102内の気体が第1管路104から排出される。第1管路104から排出された微細な金属屑を含む気体は、輸送管90の上流側に位置する輸送通路2内に供給される。
第4実施形態においても、上記(1)〜(5)の作用効果を得ることができる。また、第4実施形態においては、以下のような作用効果が得られる。
(7)拡大部13にて金属屑から分離され、液体受部31に貯留された液体の中には、微細な金属屑が混在する場合があり、そのような場合には、同液体をそのまま再利用することが困難になる。そのため、こうした液体を貯留し、空気輸送システムから独立して設けられる遠心分離器等に運んで濾過処理をすれば、液体の再利用が可能になる。一方、本実施形態の輸送管90では、液体受部31に貯留された液体中から微細な金属屑を取り除くための液体濾過部100を設けている。そのため、再利用することに適した、金属屑含有量の少ない純度の高い液体を回収できることはもちろん、空気輸送システム内で濾過処理が完了するため、利便性が高い。
(8)本実施形態の輸送管90では、導入路101及びフィルタ102内の気体を吸引するための第1管路104と、導入路101及びフィルタ102内に圧縮気体を供給するための第2管路105とが設けられている。そして、第1管路104が輸送管90の上流側に位置する輸送通路2に連結されるように構成されている。これにより、液体濾過部100のフィルタ102内に残留した微細な金属屑は、第1管路104から排出されるとともに再び輸送管90に供給され、分離処理を受けることになる。そのため、液体とともに液体受部31側に移動した微細な金属屑を、輸送通路2を流れる金属屑と一体に回収することができる。また、微細な金属屑によるフィルタ102の目詰まりを効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 本実施形態の輸送システムでは、被輸送物として金属屑を輸送する空気輸送システムを採用したが、この被輸送物は金属屑に限られるものではない。すなわち、ガラス、プラスチック、板材、生ごみ、ビニール等の粉砕体や、セメント、木の粉等の粉体等を輸送する空気輸送システムを採用してもよい。
・ 本実施形態の輸送システムには、その上流側において二又に分岐した輸送通路2を設けたが、三又以上に分岐した輸送通路2を設ける構成を採用してもよい。このような構成とした場合、様々な種類の金属屑(たとえば鉄、鋳鉄、鋳鋼、アルミニウム等)の輸送がその種類別に可能となり、効率的である。また、分岐を有さない輸送通路2を採用してもよい。この場合、切換バルブ6は省略される。
・ 本実施形態の輸送システムでは、気体流提供装置として吸引ブロワー5を採用していたが、供給ブロワーを採用する構成としてもよい。この場合、供給ブロワーは被輸送物供給装置4よりも上流側に設ければよい。
・ 第1実施形態の輸送管10では、円形状の断面を有する円筒状の管本体11を採用していたが、多角形状の断面を有する角筒状の管本体11を採用してもよい。なお、管本体の11の断面形状は輸送通路2の断面形状と同じであることが好ましい。この点に関しては、第3実施形態の輸送管60についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、テーパ部14が外殻体20の内部に形成される閉塞空間S内に位置するように構成していたが、第2実施形態の輸送管40のようにテーパ部14が外殻体20の外側に位置するように構成してもよい。また、テーパ部14を設けることなく拡大部13の両端部を段差状に形成してもよいし、拡大部13の両端部のうちの一方側のみにテーパ部14を設ける構成としてもよい。拡大部13の両端部を段差状に形成した場合には、その段差部分に通過部を設けてもよい。
・ 第1の実施形態の輸送管10では、管本体11に拡大部13を一つ形成していたが、外殻体20の内部に位置する部位であれば拡大部13を複数形成してもよい。
・ 第1実施形態の輸送管10では、拡大部13及び内筒22をパンチングメタルにより形成することで通過部としての孔13a、22aをそれぞれ形成していたが、通過部の構成はこれに限られるものではない。金属屑の通過を防止して液体のみの通過を可能とするのであれば、例えば、金網や樹脂製の濾過体等により拡大部13及び内筒22を形成することで通過部を設ける構成としてもよい。また、拡大部13及び内筒22の一部のみに通過部としての孔13a、22aを設ける構成としてもよい。なお、これらの点に関しては、第2実施形態の輸送管40のコーナ管材46及び内殻体44、及び第3実施形態の輸送管60の拡大部64及び内殻体75に形成される通過部についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、通過部としての孔13a、22aは、金属屑を通過させず、かつ液体を通過させる程度の大きさに形成されていたが、孔13a、22aの大きさはこれに限られるものではない。たとえば、孔13a、22aを所定のサイズを超える金属屑を通過させず、かつ所定のサイズ以下の金属屑を通過させるような大きさに形成してもよい。このように構成した場合には、そのサイズに応じて金属屑を分別することも可能になる。この点に関しては、第3実施形態の輸送管60についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、外殻体20を円筒状に形成していたが、外殻体20の形状はこれに限られるものではなく、管本体11の拡大部13を包囲可能な形状であればどのような形状であってもよい。この点に関しては、第2実施形態の輸送管40に設けられる外殻体41、及び第3実施形態の輸送管60に設けられる外殻体70についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、内殻体として内筒22を設けていたが、内筒22は設けなくてもよい。同様に、第2実施形態の輸送管40及び第3実施形態の輸送管60においても内殻体44、75を設けなくてもよい。
・ 第1実施形態の輸送管10では、外筒23の下部に貫通孔24を設けるとともに、その貫通孔24に液体受部31を取り付けていたが、外筒23の内側底面全体を液体受部31とするような構成としてもよい。このように構成した場合には、外筒23の内側底面をある一部分に向かって下方に傾斜するような形状とすることで、底面に溜まった液体を好適に排出することができる。また、排出手段33を設けることなく、自然落下により液体受部31に溜まった液体を排出するような構成を採用してもよい。この点に関しては、第3実施形態の輸送管60についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、圧力調節手段34として吸引ポンプを採用したが圧力調節手段34はこれに限られるものではない。たとえば、吸引ポンプに代えて吸引型の集塵装置を採用してもよいし、閉塞空間S圧力を下げる機能に加えて閉塞空間S内の圧力を高めるような機能を有するポンプを採用してもよい。また、閉塞空間S内の圧力を外部に逃がすような開放弁により圧力調節手段34を構成してもよい。なお、圧力調節手段34を設けなくてもよい。この点に関しては、第3実施形態の輸送管60についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、目詰まり防止手段はエア供給口26と、このエア供給口26に接続される圧縮空気供給装置35とから構成されていたが、目詰まり防止手段の構成はこれに限られるものではない。たとえば、目詰まり防止手段として振動発生装置を備え、拡大部13及び内筒22を振動させることによって、拡大部13及び内筒22に付着した金属屑や液体を振り落とすように構成してもよい。なお、目詰まり防止手段を設けなくてもよい。この点に関しては、第3実施形態の輸送管60についても同様である。
・ 第1実施形態の輸送管10では、目詰まり防止手段は金属屑の非輸送時において作動させていたが、目詰まり防止手段の作動タイミングはこれに限られるものでなく、金属屑の輸送時において作動させるように構成してもよい。この点に関しては、第3実施形態の輸送管60についても同様である。
・ 第2実施形態の輸送管40では、コーナ管材46はコーナ部Cを一つ形成していたが、コーナ部Cを複数形成してもよい。たとえば、コーナ管材46にコーナ部Cを二つ設けた場合には、流路Rは略Z字状又は略コ字状となる。このように構成した場合には、輸送管40内に圧送された金属屑及び液体がコーナ管材46に衝突する回数が増えるため、金属屑と液体との分離効率が向上する。
・ 第2実施形態の輸送管40では、コーナ管材46内において、輸送方向が90度変更されるように構成されていたが、輸送方向の変更度合は90度に限られるものではなく、輸送管40内に圧送された金属屑及び液体とコーナ管材46との間に衝突を生じさせ得るような角度であれば何度であってもよい。
・ 第2実施形態の輸送管40に、閉塞空間S内の圧力を調節する圧力調節手段34を設けてもよい。また、第2実施形態の輸送管40において、目詰まり防止手段を設けなくてもよい。
・ 第3実施形態の輸送管60では、下流側開口64bは拡大部64の下流側の端面に形成されていたが、上流側開口64aよりも上方に位置していれば、例えば、拡大部64の周面等、拡大部64の他の部位に形成されていてもよい。
・ 第3実施形態の輸送管60では、目詰まり防止手段として、エア供給口78及び圧縮空気供給装置85からなる構成に加えて、第1エア供給口71a、第2エア供給口71b、エア供給路79、及び圧縮空気供給装置85からなる構成を備えている。これら両構成のうちの一方のみを目詰まり防止手段として備えるようにしてもよい。
・ 第2実施形態の輸送管40及び第3実施形態の輸送管60に対して、液体濾過部100を取り付けてもよい。
次に、上記実施形態から導き出される技術思想を示す。
・被輸送物が混合された輸送気体が圧送される輸送通路の一部として配置され、前記輸送気体中に含まれる前記被輸送物と液体とを分離する液体分離用の輸送管であって、内部に前記輸送気体の流路を形成する管本体と、該管本体の少なくとも一部を包囲するとともにその内部に閉塞空間を形成する外殻体とを備え、前記管本体における前記外殻体内に位置する部位は、前記流路の流路断面積を拡大する拡大部として形成されるとともに、該拡大部には、その内側から外側へ被輸送物の一部及び液体を通過させる通過部が設けられ、該通過部には通過部を通過した被輸送物の一部と液体とを分離する液体濾過部が接続されていることを特徴とする液体分離用の輸送管。
C…コーナ部、R…流路、S…閉塞空間、2…輸送通路、3…貯蔵タンク、4…被輸送物供給装置、5…吸引ブロワー、10、40、60…輸送管、11、61…管本体、13、64…拡大部、13a、22a、46a、62c、75a…通過部としての孔、20、41、70…外殻体、22、72…内筒、23、73…外筒、34、84…圧力調節手段、44、75…内殻体、46…コーナ管材、50…連結部材、64a…上流側開口、64b…下流側開口。