JP4132884B2 - 押出成形物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水量の多い押出成形用水硬性組成物を用いて押出成形物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、サイディング材のような押出成形用水硬性組成物においては、その施工性のためにパーライト等を使用することにより軽量化している。ところが、このような軽量骨材を使用すると、混練物を調整するための水量が多くなり、押出成形助剤である水溶性セルロースエーテルが混練物中でママコとなる場合があり、必ずしも添加した量が有効に使用されていないという欠点があった。また、パルプ繊維等の分散性を高めるため、水分を数10%になるように調整を行なったパルプ繊維を使用する場合もあり、このような材料を使用した場合、予め水分を含んでいるため、押出成形用水硬性組成物に用いる混和剤である水溶性セルロースエーテルがママコとなってしまい、添加した量が有効に使用されず、高添加量となってしまう欠点があった。
【0003】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水分が多い材料中でも分散性に優れ、添加した量が有効に機能する押出成形用水硬性組成物を用いた押出成形物の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった結果、平均粒径が120μm以上の非イオン性水溶性セルロースエーテルを使用することにより、水分が多い材料中でも分散性に優れ、添加した量が有効に機能することを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0005】
従って、本発明は、平均粒径が120μm以上で、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースから選ばれる非イオン性水溶性セルロースエーテルを水以外の材料に対し0.1〜2.0重量%の割合で使用すると共に、補強繊維を水以外の材料100重量部のうちの1〜10重量部の割合で使用し、かつ水硬性物質と骨材とを重量比として10:90〜100未満:0超の割合で使用し、上記セルロースエーテル、水硬性物質、骨材、軽量骨材、補強繊維を混合し、水を水以外の材料100重量部に対し20〜80重量部の割合で加えて混練後、混練物を真空押出成形する押出成形物の製造方法を提供する。
【0006】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の製造方法に用いる押出成形用水硬性組成物用の混和剤は、平均粒径が、120μm以上の非イオン性水溶性セルロースエーテルを含むものである。ここで、非イオン性水溶性セルロースエーテルの平均粒径は120μm以上、好ましくは150μm以上、更に好適には180μm以上である。平均粒径が120μm未満であると、非イオン性水溶性セルロースエーテルの溶解性が著しく早くなり、ママコが発生するため、有効に機能する非イオン性水溶性セルロースエーテルが少なくなり、結果として添加量の増大を招く。平均粒径の上限は、通常500μm以下、特に300μm以下である。このような粒径の非水溶性セルロースエーテルは、粉砕時の分級条件を操作することにより得ることができる。
【0007】
また、非イオン性水溶性セルロースエーテルとしては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース等が好ましい。具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0008】
また、非イオン性水溶性セルロースエーテルは、嵩密度(ゆるめ)が0.2〜0.65g/cm3の範囲のものが好ましい。
【0009】
更に、非イオン性水溶性セルロースエーテルの粘度は、20℃、1重量%水溶液の粘度として、B型粘度計で12rpmにおいて測定した場合、1,000〜50,000mPa・s、好ましくは1,500〜50,000mPa・s、更に好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。
【0010】
本発明の混和剤は、上記非イオン性水溶性セルロースを含み、特にそれらの1種又は2種以上からなるものであり、押出成形用水硬性組成物に添加されて使用される。この場合、本発明の混和剤の添加量(上記非イオン性水溶性セルロースの合計量)は、押出成形に必要な添加量でよいが、通常は、押出成形用水硬性組成物の水を除く後述する全成分に対し、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%、更に好ましくは0.2〜1.5重量%である。
【0011】
なお、必要に応じ、本発明の押出成形用水硬性組成物用の混和剤に、他の水溶性高分子を併用することは差し支えなく、他の水溶性高分子としては、例えば部分鹸化物ポバール、変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ウエランガム、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
【0012】
本発明の押出成形用水硬性組成物は、上記混和剤を含み、更に水硬性物質、骨材、軽量骨材、補強繊維等の常用成分を配合してもよい。
【0013】
水硬性物質としては、セメントや石膏等が挙げられる。セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強セメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等が使用できる。また、石膏としては、二水石膏、半水石膏、無水石膏等が挙げられる。これらの使用量は、目的とする強度が発現する量でよく、特に限定されるものではない。
【0014】
骨材としては、珪石粉やフライアッシュ等が通常用いられる。この他にも、軽量化を目的とした軽量骨材としては、パーライトや中空微小球、スチレンビーズ等を使用することもでき、いずれにおいても、目的とする性状となるように水硬性物質と組み合わせて使用すればよい。尚、水硬性物質と骨材とは、重量比として10:90〜100:0の割合で使用することが好ましい。
【0015】
また、補強繊維等も使用することができる。現在は、発ガン性等の心配がないパルプ繊維等がアスベストに代替され、主として使用されており、本発明においてもこれを好適に用いることができる。パルプ繊維としては、バージンパルプ、古紙パルプ、針葉樹、広葉樹由来の平均繊維長200〜2,000μmのもの等が挙げられる。その他、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等も添加することができ、これらは耐火性等の問題から、通常、水を除いた全材料100重量部のうちの1〜10重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0016】
更に、必要に応じて凝結促進剤や凝結遅延剤、減水剤や分散剤等の界面活性剤も使用してもよい。これらの成分は、水を加えて混練した直後のフレッシュな水硬性組成物の物性を管理するためのものであるため、目的に応じた物質を常用量で添加するのが好ましい。
【0017】
なお、本発明の押出成形用水硬性組成物には水が加えられる。水の量は押出成形用水硬性組成物の種類等に応じて選定され、常用量とすることができるが、水以外の材料100重量部に対し、20〜80重量部が好ましい。
【0018】
本発明の押出成形用水硬性組成物は、上記各成分を常法に準じて混練することにより得ることができる。また、上記により得られた押出成形用水硬性組成物は、押出成形等の方法により形成され、硬化体となり得る。
【0019】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0020】
[実施例1〜3、比較例1〜2]
押出成形用セメント系組成物として、以下の材料を使用し、表2及び表3の配合の組成物を得た。
(1)セメント:普通ポルトランドセメント
(2)珪石粉:珪石粉篩品
(3)パルプ:バージンパルプ、水分量を20重量%に調整したもの、平均繊維長0.8mm
(4)パーライト:平均粒径0.8mm
(5)水溶性セルロースエーテル:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粉砕条件を変えることにより、4種類の平均粒径の製品を得た。尚、平均粒径は、JISに定められた篩網を用い、ロータップ法により求めた。結果を表1に示す。
【0021】
また、水溶液粘度は、20℃、1重量%水溶液粘度とし、B型粘度計12rpmで測定したときの値が13,000mPa・sとなるように調整した。
【0022】
水以外の材料をヘンシェルミキサーにて3分間混合し、所定の水を加えた後、直ちに、10Lニーダールーダーで4分間混練し、真空押出成形を行なった。ダイス形状は6×75mmのものを使用した。
押出成形性及び表面平滑性の評価結果を表2、3に示す。
【0023】
各測定方法を以下に示す。
押出成形性:目視により行なった。
○:蛇行、切れ共になし
×:蛇行または切れ発生
表面平滑性:目視と触感により行なった。
○:見かけ上の凹凸がなく、触感においてもザラザラ感が感じられない。
△:見かけ上の凹凸は認めがたいが、触感においてザラザラ感が感じられる。
×:見かけにおいて凹凸が認められる。
【0024】
【表1】
Figure 0004132884
【0025】
【表2】
Figure 0004132884
【0026】
【表3】
Figure 0004132884
【0027】
表2及び表3の結果から明らかなように、実施例においては、所定の混練時間において、押出成形性、表面平滑性共に優れた成形物を得た。これに対して、比較例においては、所定時間内で非イオン性水溶性セルロースエーテルがママコになったため、蛇行や切れが生じた。
【0028】
【発明の効果】
本発明の押出成形用水硬性組成物用の混和剤は、非イオン性水溶性セルロースエーテルが水分量の多い系においてもママコとならず、所定の添加量において、スムーズな押出成形用水硬性組成物を与える。

Claims (1)

  1. 平均粒径が120μm以上で、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースから選ばれる非イオン性水溶性セルロースエーテルを水以外の材料に対し0.1〜2.0重量%の割合で使用すると共に、補強繊維を水以外の材料100重量部のうちの1〜10重量部の割合で使用し、かつ水硬性物質と骨材とを重量比として10:90〜100未満:0超の割合で使用し、上記セルロースエーテル、水硬性物質、骨材、軽量骨材、補強繊維を混合し、水を水以外の材料100重量部に対し20〜80重量部の割合で加えて混練後、混練物を真空押出成形する押出成形物の製造方法。
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