JP3652446B2 - セメント系押出成形助剤及びセメント系押出成形用材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント系押出成形助剤及びこれを含有したセメント系押出成形用材料に関する。本発明のセメント系押出成形用材料は、例えば、ビルや家屋の壁材や間仕切り、床材、道路の遮音壁などに利用される。
【0002】
【従来の技術】
セメント系材料の押出成形は、近年、環境上問題とされているアスベストを補強繊維として使用しないゼロアスベスト、又はノンアスベスト押出成形と呼ばれる配合での押出成形が実施されて来ている。
【0003】
アスベストは、繊維の太さが極めて細くまた太さに対する繊維長さが長いため補強効果が高い上にセメント等との密着性がよく配合材料中で充分分散し、かつ押出成形する時に、適当な保水力を有する水溶性のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類を適量添加することで、成形時にかかる圧力により適度に水を離水して成形体表面を平滑にする作用を促す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、ゼロアスベスト系の押出成形で一般に利用されているパルプ繊維やポリプロピレン繊維等の有機繊維ないしワラステナイト、セビオライト等の無機繊維においては、水溶性のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類を添加しても適度な水の離水を押出成形時に実現することができず、成形体の表面をアスベストを利用する押出成形のように満足に平滑にすることが出来ないと言った問題点があった。
【0005】
本発明者は、上記問題点に鑑み鋭意研究した結果、自ら保水力を持つが押出成形のような加圧状態で水を離水するベントナイト粉末の中から特定の粒子径のものを水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースに添加して助剤として使用すると、押出成形時にアスベスト以外の補強繊維を利用しても表面が平滑な押出成形品が得られるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、2%水溶液20℃での粘度が30000mpa・s以上の水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース10〜50重量%と平均粒子径10μm以下のベントナイト粉末50〜90重量%とを含むセメント系押出成形助剤であって、水以外のセメント系押出成形用材料100重量部に対して該水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとベントナイト粉末との合計量が1〜10重量部になるように添加して使用することを特徴とするセメント系押出成形助剤を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、2%水溶液20℃での粘度が30000mpa・s以上の水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及び平均粒子径10μm以下のベントナイト粉末を押出成形助剤として水以外のセメント系押出成形用材料100重量部に対して1〜10重量部含有し、水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとベントナイト粉末との重量組成比が10〜50:90〜50であることを特徴とするセメント系押出成形用材料を提供するものである。
【0008】
以下、本発明を詳述する。
本発明のセメント系押出成形助剤は、セメント、骨剤、補強繊維、成形助剤、水等を混練して得られるセメント系押出成形用材料に添加して使用するものであり、2%水溶液20℃での粘度が30000mpa・s以上の水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース10〜50重量%と平均粒子径10μm以下のベントナイト粉末90〜50重量%とを含むものである。
【0009】
セメント系押出成形用材料のセメントとしては、普通ポルトランドセメント以外に、早強セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等の水硬性セメントが利用できる。骨剤としては、川砂、山砂、珪砂、寒水砂、軽量骨剤等が利用できる。補強繊維としては、パルプ繊維やポリプロピレン繊維等の有機繊維及びワラステナイト、セビオライト等の無機繊維が利用できる。
【0010】
本発明に使用する水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等およそすべての水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの内、2%水溶液の粘度が30000mpa・s以上のものが使用できる。粘度が30000mpa・s以下であると配合組成物の保水力が不足し、満足のいく押出成形ができない。
【0011】
また、本発明に使用するベントナイト粉末とは、主成分にモンモリロナイトを有する粘度鉱物で、ナトリウム型のものでもカルシウム型のものでも使用でき、また、人工的に合成されるモンモリロナイトを主成分とするものも使用できるが、その粒子径が平均で10μm以下であることが必要となる。平均粒子径が10μmより粗いと、ベントナイト自体が表面を凹凸にすることになり平滑な表面形状の押出成形品を得ることができなくなる。
【0012】
上記のベントナイト粉末を前記の水溶性のヒドロキシアルキルアルキルセルロースに添加して押出成形助剤とする割合としては、ベントナイト粉末/水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース=50〜90重量%/50〜10重量%であることが必要となる。ベントナイト粉末の組成割合がこの重量%未満であると目的とする表面平滑な押出成形が出来ず、また、ベントナイト粉末の組成割合がこの重量%より大きいと満足のいく押出成形が出来なかったり成形体の養成強度が低下してしまう。
【0013】
また、この水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとベントナイト粉末とを混合した押出成形助剤の、セメント系押出成形用材料への添加量としては、水及び本発明の押出成形助剤を除いたセメント系押出成形用材料100重量部に対して、押出成形助剤に含まれる水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとベントナイト粉末との合計量が1〜10重量部になるように添加することが必要である。合計量が1重量部未満では満足いく押出成形ができず、10重量部より多いと成形体の養生強度が低下してしまう。
【0014】
尚、本発明の押出成形助剤を添加したセメント系押出成形用材料において、その他のバインダーとして、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピル澱粉、ポリエチレンオキサイド及びその誘導体、ポリアクリルアミド等をさらに添加して押出成形しても本発明の効果は維持される。最終的なセメント系押出成形用材料に、結果として、水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及びベントナイト粉末とが、前記した条件及び配合量で含まれていればよい。
【0015】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。
「表1」及び「表2」に示す配合組成のセメント系押出成形用材料をセメント5kgに対して秤量し20リッターの川田製作所製のヘンシェルミキサーに入れ羽の回転数1000r.p.mにて3分間混合した後、「表1」及び「表2」に示す組成の水量を注水して1分混合してのち、10リッターの三上工業(株)製のニーダールーダーへ入れ、65r.p.mにて5分間、品温度が25℃以下となるようにジャケットを冷却しながら混練した。混練物を、石川時(株)鉄工所製のY−22型真空押出成形装置に入れ、成形温度が25℃以下になるように水冷ジャケットを冷却して、幅40mm、高さ20mmの断面形状の押出成形を行い、長さ20cmに切断して35℃及び15℃で100%相対湿度下の恒温恒湿室にて養生した後、170℃にて8時間の加圧水蒸気養生を行った後、JISR−5201に準じて曲げ強度を測定した。曲げ強度が180kg/cm2 を越える強度となったものを表中強度欄に○印で示し、180kg/cm2 以下のものを×印で記述した。養生が終了した成形体の表面状態を観察し、パルプ繊維をアスベストに変えて押出成形した成形体の表面平滑性を10点満点として相対評価を行い表面平滑性の欄に記載した。また、成形性を評価するため、同様状態で幅75mm厚み6mmの押出成形を実施して、成形体に亀裂なく蛇行なく押出成形された場合を成形性○で評価し、亀裂や蛇行が起きる場合を×として評価した。使用した水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ベントナイト粉末及びセメントは以下の通りである。
水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース
HPMC:信越化学工業製90SHタイプ
HEMC:信越化学製SNBタイプ
ベントナイト粉末
ベントナイト F:クニミネ工業(株)製、平均粒子径15μm
ベントナイト K:クニミネ工業(株)製、平均粒子径5μm
セメント:普通ポルトランドセメント
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、セメント系押出成形用材料にアスベスト以外の補強繊維を利用しても表面が平滑な押出成形品を得ることができる。
Claims (2)
- 2%水溶液20℃での粘度が30000mpa・s以上の水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース10〜50重量%と平均粒子径10μm以下のベントナイト粉末50〜90重量%とを含むセメント系押出成形助剤であって、水以外のセメント系押出成形用材料100重量部に対して該水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとベントナイト粉末との合計量が1〜10重量部になるように添加して使用することを特徴とするセメント系押出成形助剤。
- 2%水溶液20℃での粘度が30000mpa・s以上の水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及び平均粒子径10μm以下のベントナイト粉末を押出成形助剤として水以外のセメント系押出成形用材料100重量部に対して1〜10重量部含有し、水溶性ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとベントナイト粉末との重量組成比が10〜50:90〜50であることを特徴とするセメント系押出成形用材料。
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