JP4132689B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明された原稿からの反射光を電気信号に変換して原稿の画像を読み取るデジタル光学系の画像読取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像読取装置としては、図8に示すように、光源aで照明された原稿bからの反射光cを縮小結像光学系dを用いてCCD(電荷結合素子)センサ等の撮像素子eに結像させて電気信号に変換することにより原稿bの画像を読み取る方式(縮小結像型読取方式)を採用したものが主に知られている。図中の符号fは装置の筐体、gは原稿bを載置する透明ガラス等からなる原稿載置台(プラテン)、hは光源a、反射ミラーiを搭載してプラテンgの下方をそのプラテン面と平行する矢印A,B方向に走査移動するように設けられた照明ユニット、jは撮像素子e、結像レンズkなどを搭載して固定設定される撮像ユニット、lは原稿bからの反射光cを撮像ユニットjに反射させて導くための複数の反射ミラーm,nを搭載して照明ユニットhと連動して矢印A,B方向に照明ユニットhの移動速度の1/2の速さで走査移動するように設けられた反射光学系ユニットである。
【0003】
このような画像読取装置においては、原稿bを固定し照明ユニットh及び反射光学系ユニットlを移動させて原稿の画像を読み取る原稿固定読み動作ができることに加え、照明ユニットh及び反射光学系ユニットlを固定して原稿を移動させて原稿の画像を読み取る原稿流し読み動作ができるように構成されているものがある。このうち原稿固定読み動作は、原稿bをプラテンgに載置した状態で、照明ユニットh及び反射光学系ユニットlを矢印A方向に走査移動させることにより、原稿bの全面を走査して照明するとともにそのときの原稿からの反射光cを反射光学系ユニットlを介して撮像ユニットjに受光させるものである。一方、原稿流し読み動作は、照明ユニットh(厳密には反射光学系ユニットlも含まれる)を所定の読取位置(図示の例ではプラテンgの一端部としているが、プラテンgの近傍に別途設けられた読取部などもある)に静止させた状態で、原稿bを自動原稿送り装置により上記読取位置に通過するように搬送させることにより、移動する原稿bからの反射光cを反射光学系ユニットlを介して撮像ユニットjに受光させるものである。
【0004】
また、この縮小型読取方式以外の画像読取装置として、図9に示すように、光源aで照明された原稿bからの反射光cを等倍結像光学系qを用いてCCD(電荷結合素子)センサ等の撮像素子oに結像させて電気信号に変換することにより原稿bの画像を読み取る方式(等倍結像型読取方式)を採用したものもある。この等倍型読取方式の画像読取装置は、光源a等を有する照明ユニットpと、撮像素子o、結像レンズq等を有する撮像ユニットrとが一体化された読取ユニットsを備え、この読取ユニットsがプラテンgの下方をそのプラテン面と平行する矢印A,B方向に走査移動するように設けられている。この画像読取装置においても、前記縮小型読取方式を採用した画像読取装置の場合と同様に、原稿固定読み動作に加えて原稿流し読み動作もできるように構成されているものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の画像読取装置にあっては、図8、図9に示すように、その装置筐体fの底面部等に熱を発する発熱部tがあり、しかも発熱部tが原稿bからの反射光cが撮像ユニットの撮像素子e,oに至るまでの光路領域の一部に存在するような位置関係で設けられている場合には、次のような課題がある。
【0006】
まず、上記発熱部tとしては、具体的には、撮像素子e,oで得られた原稿画像に係る電気信号について処理する画像信号処理基板u、照明ユニットや反射光学系ユニットの走査移動時の駆動源であるモータ等の動作を制御する駆動制御基板v等が配設され、かかる回路基板u,v等から動作時に熱が放出される部位が挙げられる。図中の符号wはカバー部材である。そして、このような発熱部tが存在すると、その発熱部tの上方空間では温度差が生じ、さらには熱気の立ち上がり等により対流が生じることによって光が不規則に屈折するようになる現象いわゆる陽炎現象が発生する。このため、特に原稿流し読みのときにおいて、原稿からの反射光c発熱部tを通過する際にわずかに不規則に屈折してから撮像素子e,oに受光されるようになって正常に受光されない部分が発生し、その読み取った画像の一部画質が低下してしまうこと(例えば細線部のかすれや蛇行などの発生)がある。
【0007】
これに対し、原稿固定読みのときには、上記したような陽炎現象に起因した読み取り画像の画質低下が発生することがない。これは、照明ユニットや反射光学系ユニット、読取ユニット等が移動するため、筐体内の空気が大きく攪拌されて発熱部tの上方空間に停滞するような温度差等が発生しにくくなり、これにより陽炎現象そのものが発生しにくいためであると考えられる。一方、原稿流し読み時には、照明ユニットや反射光学系ユニット、読取ユニット等が移動せず固定されているため、筐体内の空気が大きく攪拌されることなく、強力な発熱部でもなくても陽炎現象が発生しやすい状態にあるためと考えられる。
【0008】
そして、画像読取装置において高速化が求められた場合、例えばその読取方式の観点からは原稿流し読みが原稿固定読みに比べて有利とされているものの、かかる原稿流し読み時に上述したような陽炎現象に起因した画質低下が起こるという問題があることは、上記高速化に対応するうえで大きな障害となるため、その解決が切望されているところでもある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、原稿流し読み時において発熱部の存在による陽炎現象に起因した読み取り画像の画質低下が発生することを可及的に防止できる画像読取装置を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像読取装置は、読み取り対象の画像を有する原稿を照明するとともに走査移動するように設けられる照明ユニットと、この照明ユニットで照明された前記原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する固定設置型の撮像ユニットと、この撮像ユニットに前記原稿からの反射光を反射させながら導くとともに移動するように設けられる反射光学系ユニットを備え、かつ、前記照明ユニットを所定の位置に固定し前記原稿を移動させて当該原稿の画像を読み取る原稿流し読み動作が選択されて行われるとともに、前記原稿からの反射光が前記反射光学系ユニットを経由して前記撮像ユニットに至るまでに通過するときの光路となる領域の一部に温度変化を生じさせる熱を発生する前記撮像ユニットを除く回路基板が配置された発熱部が存在する画像読取装置において、前記原稿流し読み動作時に、前記照明ユニット及び反射光学系ユニットを、前記光路となる領域内に前記発熱部の温度分布の高温部分が存在しない位置に固定することを特徴とするものである。この画像読取装置としては、例えば、縮小結像型読取方式を採用した画像読取装置が該当する。
【0011】
この画像読取装置において、上記発熱部は、上記光路領域の一部に温度変化(特に前記した陽炎現象を引き起こすおそれのある温度変化)を生じさせるような熱の発生源となるものであり、通常は画像読取装置自体に存在するものであるが、画像読取装置が接続又は組み込まれる機器の側から加熱されることにより発熱部となるものであってもよい。画像読取装置自体に存在する発熱部としては、例えば、その装置の制御回路基板や電源機器等が取り付けられた部位が挙げられる。また、発熱部の温度分布の高温部分とは、その発熱部における温度分布のなかでその平均温度を少なくとも超える部分である。
【0012】
このような画像読取装置によれば、原稿流し読みのときには、その照明ユニット及び読取ユニットが上記した位置に固定されるので、原稿からの反射光が各撮像ユニットに至るまでの光路となる領域内に発熱部から発生する熱の温度分布の少なくとも高温部分が存在しないようになる。これにより、その光路となる領域に対しては発熱部から発生する熱による温度差が原因となって発生する陽炎現象が起こりにくく又は起こらなくなる。この結果、原稿からの反射光は陽炎現象の影響を受けることなく正常に各撮像ユニットに受光されるようになる。
【0013】
また、上記画像読取装置においては、前記原稿流し読み動作時に前記発熱部の上部空間における温度分布の高温部分を前記光路となる領域から遠ざける側に変位させる吸気又は送風ファン装置を設けるとよい。この吸気又は送風ファン装置としては、例えば、発熱部の上方にある空気を所定の方向に吸引するように吸気する吸気ファン装置や、発熱部の上方にある空気を所定の方向に吹き流すように送風する送風ファン装置等が挙げられる。このような吸気又は送風ファン装置を設けた場合は、原稿流し読み時に、前記光路領域内に対して発熱部からの熱がより一層及ばないようになる。これにより、その光路領域に対しては陽炎現象がより一層起こりにくく又は起こらなくなる。
【0014】
また、上記画像読取装置においては、前記原稿流し読み動作時に前記発熱部の上部空間における温度分布の高温部分における温度を低下させる吸気又は送風ファン装置を設けるとよい。このような吸気又は送風ファン装置を設けた場合は、原稿流し読み時に、前記光路領域内に対して発熱部からの熱がより一層及ばないようになる。これにより、その光路領域に対しては陽炎現象がより一層起こりにくく又は起こらなくなる。
【0015】
さらに、上記画像読取装置においては、前記発熱部の温度分布の高温部分以外となる部位であってかつ少なくとも前記光路となる領域が存在する部位に断熱部材を設けるとよい。この断熱部材は、その光路領域に発熱部からの熱が遮断されて到達しにくくなるように設ければよく、通常は発熱部に直接取り付けるように設ける。このように断熱部材を設けた場合は、原稿流し読み時に、前記光路領域内に対して発熱部からの熱がより一層及ばないようになることは勿論のこと、その断熱部材を設けない発熱部の部位からの放熱を妨げずに済み、発熱部の異常な温度上昇等を誘発することもない。
【0016】
また、上記画像読取装置においては、前記光路に関与する前記照明ユニット、前記撮像ユニット及び前記反射光学系ユニットの構成部品の調整作業時に、前記照明ユニット、前記撮像ユニット及び前記反射光学系ユニットを、前記光路となる領域内に前記発熱部の温度分布の高温部分が存在しない位置に固定するようにするとよい。前記光路に関与する撮像ユニット等の構成部品とは、例えば、撮像素子、反射ミラー、結像レンズなどである。このように構成した場合は、構成部品の調整作業時にも、例えば調整確認用等の原稿からの反射光が陽炎現象の影響を受けることなく正常に各撮像ユニットに受光されるようになり、これにより、かかる調整を精度よく行えるようになる。
【0017】
そして、このような各画像読取装置は、他の機器(例えばパーソナルコンピュータ、複写機発展型のプリンタ)に接続して使用する単体製品として構成されるほか、複写機等の画像形成装置に組み込まれて使用する部分製品等として構成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像読取装置を示す概要図である。
【0019】
この画像読取装置は、箱状の筐体10の上部に開設した開口部に、読み取り対象となる画像が記録された原稿1を載置する透明ガラスをはめ込んだ原稿載置台(プラテン)12を設け、また、その筐体10の中空内に縮小結像光学系を設けたものである。縮小結像光学系は、プラテン12上の原稿1を下方から照明する走査移動可能な照明ユニット2と、この照明ユニット2により照明された原稿1からの反射光Hを受光して電気信号に変換する固定配置型の撮像ユニット3と、この撮像ユニット3に原稿1からの反射光Hを反射させながら導く移動可能な反射光学系ユニット4とで主に構成されている。図中の符号11は筐体10の支持脚、13は原稿1をプラテン12に1枚ずつ搬送するとともに排出する、プラテンカバーとしても機能する自動原稿送り装置、14は筐体10の内部の熱を吸気して排出する排気ファン、15は画像読取装置に係る回路基板等が配置される底部収容スペースである。また、符号10aは仕切りプレートであり、その所定の部位、例えば排気ファン14等が取り付けられる部位には所要の開口部などが形成されている。
【0020】
照明ユニット2は、図示しないガイドレールに沿ってプラテン12の下方位置を矢印A,B方向に往復動するように取り付けられた第1キャリッジ(フルレートキャリッジ)20に、原稿面を照らすランプ(ハロゲンランプ、蛍光ランプ等)21と、原稿1からの反射光Hを反射光学系ユニット4にむけて導く反射ミラー22とが搭載されたものである。図中の24はランプ21からの光を原稿面に反射させるリフレクタであり、25はランプ21の電源である。反射光学系ユニット4は、図示しないガイドレールに沿ってプラテン12の下方位置を第1キャリッジ20の移動と連動して同方向(矢印A,B方向)に移動するように取り付けられた第2キャリッジ(ハーフレートキャリッジ)40に、照明ユニット2からの原稿1の反射光Hを受光するとともに反射させて撮像ユニット3側にむけて導く2つの反射ミラー41、42が搭載されたものである。第2キャリッジ40は、原稿1から撮像ユニット3に至るまでの光路長を一定に保つため、第1キャリッジ20の移動速度の1/2の速度で移動するように構成されている。
【0021】
撮像ユニット3は、筐体10に固定して取り付けられた支持筐体(支持板とカバー)30に、原稿12からの反射光Hを受光して光電変換するカラー用又は白黒用のラインCCDセンサ等の撮像素子(回路基板に固定されている)31と、この撮像素子31に原稿12からの反射光Hを結像させる結像レンズ32とが取り付けられて構成されている。前記底部収容スペース15には、撮像ユニット3の撮像素子31で光電変換された電気信号について所定の画像処理をする画像信号処理基板16や、前記第1キャリッジ20および第2キャリッジ40の移動時の動力を与えるモータ等の駆動系の動作を制御する駆動制御基板17等が配置されており、その収容スペースの上部はカバー18で覆われている。前記撮像素子31と画像信号処理基板16とは図示されていない接続ケーブルで接続されている。
【0022】
そして、この画像読取装置は、原稿1を固定し照明ユニット2及び反射光学系ユニット4を移動させて原稿の画像を読み取る原稿固定読み動作(モード)と、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4を固定し原稿1を移動させて原稿の画像を読み取る原稿流し読み動作(モード)とが手動又は自動で選択されて行われるようになっている。
【0023】
原稿固定読みモードは、原稿1をプラテン12にその原稿面を下にした状態で載置した後、縮小結像光学系の照明ユニット2及び反射光学系ユニット4とを各キャリッジ20、40によって走査移動させることにより行われる。
【0024】
即ち、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4は、その各キャリッジ20、40の移動動作により図1の実線で示す位置(ホームポジション)から原稿1のサイズに応じて矢印A方向に移動し、最大で図1の2点鎖線で示す位置(最大移動位置)まで移動する。このとき、プラテン12に載置されている原稿1の原稿面が矢印A方向に移動する照明ユニット2のランプ21により照明され、その原稿1で反射した反射光Hが照明ユニット2の反射ミラー22で反射した後、照明ユニット2と連動して移動する反射光学系ユニット4の2つの反射ミラー41、42で反射し、最後に、撮像ユニット3の結像レンズ32を経由して撮像素子31に縮小結像されて入射する。撮像素子31に受光された原稿1からの反射光Hは、光電変換されて画像信号処理基板16に送られる。これにより、プラテン12に載置された原稿1の画像が読み取られる。
【0025】
この原稿固定読みモードは、通常、原稿1を手(手動)でプラテン12に載置して画像読み取りを行う場合に実行されるが、必要に応じて、自動原稿送り装置13により原稿1を1枚ずつプラテン12に搬送して一時停止させて画像読み取りを行う場合に実行されるように設定してもよい。そして、このような原稿固定読みモードは、例えば、少数枚の原稿や、読取時におけるプラテン12上の移動が困難な原稿(書籍等)を読み取る際に選択されて実行される。
【0026】
一方、原稿流し読みモードは、縮小結像光学系の照明ユニット2及び反射光学系ユニット4とをプラテン12の下面側の所定の位置(読み取り位置)に固定した後、原稿1をその読み取り位置を通過するように移動させる(送る)ことにより行われる。この際、この原稿流し読みモード時における原稿1の移動は、自動原稿送り装置13によって行われる。また、この原稿流し読みモードは、主に、多数枚の原稿などを読み取る際に選択されて実行される。
【0027】
特に、この画像読取装置においては、原稿流し読みモード時における上記読み取り位置について次のように設定している。
【0028】
まず、この画像読取装置では、図1や図2に示すように、筐体10の底部に設けた収容スペース15内に配置している画像信号処理基板16や駆動制御基板17等から動作時の熱が放出されているため、その収容スペース15が1種の発熱部5となっている。そして、この発熱部5である収容スペース15の上部はカバー18で覆われているものの、そのカバー18を通して筐体10の内部まで熱が放出されている。
【0029】
このため、収容スペース15(実際にはカバー18)の上方空間には、その放熱による温度差が生じている。図2の下部におけるグラフ図は、その収容スペース15の上方空間における温度分布を示したものである。この温度分布においては、その平均温度を超える高温部分が少なくとも1箇所以上存在する。この例では、例えば駆動制御基板17が配置されている部分の温度が相対的に高くなっている。また、その温度分布における高温部分は、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4が例えばホームポジション(図1及び図2の実線で示す状態にあるときの位置)にあるときに、原稿1からの反射光Hの光路領域の一部に存在する状態にある。この状態は、前述した陽炎現象に起因した読取画像の画質低下を招くおそれがある。
【0030】
そこで、原稿流し読みモード時には、発熱部5である収容スペース15による温度分布の高温部分が、原稿1からの反射光Hが撮像ユニット3(撮像素子31)に至るまでの光路領域内に存在しないように、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4を適切な位置に固定するようにしている。
【0031】
即ち、この画像読取装置における上記光路領域については、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4がホームポジションにあるときに最も広い領域(最広光路領域)となり、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4が最大移動位置(図1及び図2の2点鎖線で示す状態にあるときの位置)にあるときに最も狭い領域(最狭光路領域)となるため、上記条件を満たす原稿流し読み時の固定可能な位置(反射光学系ユニット4で見た場合の固定位置)は、図2に示すように発熱部5の温度分布における高温部分の撮像ユニット3側端部から最大移動位置までの間である。このため、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4はこの固定可能な位置のいずれかの位置に設定すればよい。この実施の形態では、図3等に示すように、反射光学系ユニット4を、発熱部5の温度分布における高温部分の撮像ユニット3側端部付近に固定するように設定している。このときの照明ユニット3及び反射光学系ユニット4の読取位置への移動及び固定(停止)は、原稿流し読みモードが選択された場合に、例えば駆動制御基板17により制御されるように構成されている。
【0032】
次に、原稿流し読みモード時の動作について説明する。
【0033】
まず、原稿流し読みモード時には、照明ユニット3及び反射光学系ユニット4が、図3に示すように、その各キャリッジ20、40の移動動作によりホームポジションから原稿固定読みモード時の読み取り位置まで移動して固定される。すなわち、照明ユニット2については、反射光学系ユニット4が発熱部5の温度分布における高温部分の撮像ユニット3側端部付近に位置するように固定されることになる。次いで、自動原稿送り装置13によって原稿1がプラテン12の上面を通過するように所定の速度で矢印C方向に搬送される。
【0034】
このとき、プラテン12上を矢印C方向に搬送される原稿1の原稿面が読取位置で固定された照明ユニット2のランプ21により照明され、その原稿1で反射した反射光Hが照明ユニット2の反射ミラー22で反射した後、読取位置で固定された反射光学系ユニット4の2つの反射ミラー41、42で反射し、最後に、撮像ユニット3の結像レンズ32を経由して撮像素子31に縮小結像されて入射する。撮像素子31に受光された原稿1からの反射光Hは、原稿固定読みモード時と同様に、光電変換されて画像信号処理基板16に送られる。このようにして、プラテン12上を(照明ユニット2を通過するように)1枚ずつ搬送される原稿1の画像が次々と読み取られる。
【0035】
そして、この原稿流し読みモード時には、図4に示すように、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4を適切な読取位置に固定されているため、原稿1からの反射光Hの撮像ユニット3(撮像素子31)に至るまでの光路領域内には、発熱部5である収容スペース15による温度分布の高温部分が存在することがない。この結果、原稿1からの反射光Hは少なくとも上記温度分布の高温部分を通過することがなく撮像ユニット3に受光されるようになるため、前記した従来技術のような陽炎現象が発生することが抑制(又は防止)される。これにより、陽炎現象に起因した読み取り画像の画質低下が発生することを可及的に防止できるようになり、原稿流し読みによる画像読取装置の高速化にも十分に対応できるようになる。
【0036】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る画像読取装置を示す概要図である。この画像読取装置は、筐体10の一端部側に吸気ファン装置6を設けるとともに、底部収容スペース15のカバー18の一部に断熱材7を設けた以外は、実施の形態1に係る画像読取装置と同じ構成からなるものである。
【0037】
吸気ファン装置6は、図5や図6に示すように、筐体10の撮像ユニット3の設置位置とは反対側の側面に設けたものであり、原稿流し読みモード時に作動して収容スペース15(特に駆動制御基板17の放熱)による温度分布の高温部分における熱気を集中的に吸引して装置外に排出するようになっている(図6中の矢付2点鎖線参照)。
【0038】
また、断熱材7は、不織布(例えばポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等で構成される不織布)であり、カバー18の上面の全面ではなくその一部に設けている。即ち、そのカバー18のうち、底部収容スペース15による温度分布の高温部分以外となる部位であってかつ少なくとも原稿1からの反射光Hの光路領域が存在する部位より少し広い領域に設けている。
【0039】
このような吸気ファン装置6及び断熱材7を設けた画像読取装置は、原稿流し読みモード時になると、図6に示すように、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4が、実施の形態1と同様に、所定の読取位置に移動して固定された後、原稿1が自動原稿送り装置13によってプラテン12上を通過するように矢印C方向に搬送されて、原稿画像の流し読みが行われる。この際、吸気ファン装置6が作動する。
【0040】
そして、この原稿流し読みモード時には、図7に示すように、実施の形態1の場合と同様に、照明ユニット2及び反射光学系ユニット4を適切な読取位置に固定されているため、原稿1からの反射光Hが少なくとも上記温度分布の高温部分を通過することがなく撮像ユニット3に受光されるようになり、陽炎現象が発生することが抑制(又は防止)される。
【0041】
また、この照明ユニット2等の固定(読取)位置による効果に加えて、吸気ファン装置6が作動することにより、収容スペース15の上部空間における温度分布の高温部分の熱気が集中的に吸引されて装置外に排出されるため、上記温度分布の高温部分(特にピーク付近)が吸気ファン装置6側にずれた状態(図7の2点鎖線G1で示す状態)になるか又はその高温部分の温度レベルが低下する状態(図7の2点鎖線G2で示す状態)になり、これによっても上記光路領域に対する陽炎現象がより一層抑制(又は防止)されるようになる。
【0042】
さらに、照明ユニット2等の固定位置による効果に加えて、断熱材7が設けられていることにより、上記光路領域内に対して収容スペース15(発熱部5)による温度分布の高温部分の熱気がより一層及ばないようになり、これによっても上記光路領域に対する陽炎現象がより一層抑制(又は防止)されるようになる。しかも、この場合には、断熱材7が収容スペース15のカバー18のうち上記温度分布の高温部分以外となる部位に設けられていることにより、その断熱材7を設けない収容スペース15(発熱部5)の部位からの放熱を妨げずに済み、その高温部分をはじめとする収容スペース15からの放熱がなされ、かかる収容スペース15内における異常な温度上昇等が発生するおそれもない。
【0043】
この結果、この画像読取装置による原稿流し読みモード時には、上記光路領域に対する陽炎現象がより一層抑制(又は防止)されるようになるため、かかる陽炎現象に起因した読み取り画像の画質低下の発生についてもより可及的に防止できるようになる。
【0044】
[他の実施の形態]
実施の形態1、2では、縮小結像型読取方式を採用した画像読取装置を例示したが、本発明は、等倍結像型読取方式を採用した画像読取装置(図9参照)にも適用可能である。
【0045】
この場合には、照明ユニット(例えば2つのランプなど)と撮像ユニット(等倍結像レンズ、等倍結像用の撮像素子など)とが一体化された読取ユニットが、等倍結像型読取方式を採用した画像読取装置における照明ユニット2のようにキャリッジに搭載されてプラテン12の下方を走査移動する構造となる。そして、原稿固定読みモード時には、その読取ユニットが照明ユニット2のような領域を移動しながら原稿1を照明しつつ原稿からの反射光を撮像素子に等倍で結像させて原稿の画像を読み取る。これに対し、原稿流し読みモード時には、その読取ユニットを、発熱部にあたる底部収容スペース15による温度分布の高温部分が読取ユニット内の原稿からの反射光の光路領域内に存在しない位置に固定したうえで、原稿を自動原稿送り装置により1枚ずつ送るようにして原稿の画像を読み取るように構成すればよい。また、この等倍結像型読取方式の画像読取装置にあっても、実施の形態2で示すような吸気ファン装置6や断熱材7の少なくとも1つを設けるようにしてもよい。
【0046】
また、実施の形態2では、吸気ファン装置6と断熱材7の双方を同時に設ける場合について例示したが、本発明ではその一方のみを設けるようにしてもよく、その場合においても光路領域に対する陽炎現象のより一層の抑制(又は防止)効果が同様にして得られる。
【0047】
また、実施の形態1、2における縮小結像型読取方式の画像読取装置と上記した等倍結像型読取方式の画像読取装置のいずれであっても、その照明ユニット(2)、反射光学系ユニット(4)、撮像ユニット(3)、読取ユニット等の前記光路に関与する部品の調整作業(特に位置調整)時においても、それらの各ユニットは、原稿からの反射光の光路領域内に収容スペース等の発熱部の温度分布の少なくとも高温部分が存在しない位置に固定した後に、その調整作業を行うことが望ましい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、原稿流し読み時において発熱部の存在による陽炎現象に起因した読み取り画像の画質低下が発生することを可及的に防止することができる。この結果、陽炎現象の悪影響を受けない高精度な原稿流し読みが可能となる。また、原稿流し読みによる画像読取装置の高速化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る画像読取装置を概略的に示すもので、(a)はその正面側断面図、(b)は(a)のQ−Q線断面図。
【図2】 照明ユニット及び反射光学系ユニットの位置と発熱部の温度分布との関係を示す説明図。
【図3】 原稿流し読み時における図1の画像読取装置を概略的に示すもので、(a)はその正面側断面図、(b)は(a)のQ−Q線断面図。
【図4】 原稿流し読み時における照明ユニット及び反射光学系ユニットの位置と発熱部の温度分布との関係を示す説明図。
【図5】 実施の形態2に係る画像読取装置を概略的に示すもので、(a)はその正面側断面図、(b)は(a)のQ−Q線断面図。
【図6】 原稿流し読み時における図5の画像読取装置を概略的に示すもので、(a)はその正面側断面図、(b)は(a)のQ−Q線断面図。
【図7】 原稿流し読み時における照明ユニット及び反射光学系ユニットの位置と発熱部の温度分布との関係を示す説明図。
【図8】 縮小結象型読取方式を採用した従来の画像読取装置を示す概略説明図。
【図9】 等倍結象型読取方式を採用した従来の画像読取装置を示す概略説明図。
【図10】 図8及び図9の画像読取装置における陽炎現象を状態を示す説明図。
【符号の説明】
1…原稿、2…照明ユニット、3…撮像ユニット、5…発熱部、6…吸気ファン装置(温度分布調整装置)、7…断熱材、15…底部収容スペース(発熱部)、H…原稿からの反射光。
Claims (5)
- 上部に開口部が開設された筐体と、
この筐体の上部の開口部に設けられる、読み取り対象の画像を有する原稿を載置するプラテンと、
前記筐体の中空内に、前記プラテン上の原稿を下方から照明するとともに当該プラテンの一端部側のホームポジションからその他端部側の最大移動位置までの間の下方位置を往復移動するように設けられる照明ユニットと、
前記筐体の中空内の前記ホームポジションとは反対側となる前記プラテンの他端部側に固定して設置され、前記照明ユニットで照明された前記原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する固定設置型の撮像ユニットと、
前記筐体の中空内に、前記撮像ユニットに前記原稿からの反射光を反射させながら導くとともに前記ホームポジションから前記撮像ユニットの手前側の位置となる最大移動位置まで移動するように設けられる反射光学系ユニットと、
前記筐体の底部における前記ホームポジションから前記反射光学系ユニットの最大移動位置までの間となる位置に設けられ、前記原稿からの反射光が前記反射光学系ユニットを経由して前記撮像ユニットに至るまでに通過するときの光路となる領域の一部に温度変化を生じさせる熱を発生する前記撮像ユニットを除く回路基板が配置された発熱部を備え、
かつ、前記照明ユニット及び反射光学系ユニットを所定の読み取り位置に固定し、前記原稿を前記プラテン上でその読み取り位置を通過するように移動させて当該原稿の画像を読み取る原稿流し読み動作が選択されて行われる画像読取装置において、
前記原稿流し読み動作時に、前記照明ユニット及び反射光学系ユニットを、前記発熱部の温度分布の高温部分の前記撮像ユニット側となる端部から各最大移動位置までの間となる読み取り位置に固定することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1に記載の画像読取装置において、
前記原稿流し読み動作時に前記発熱部の上部空間における温度分布の高温部分を前記光路となる領域から遠ざける側に変位させる吸気又は送風ファン装置を設けたことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1に記載の画像読取装置において、
前記原稿流し読み動作時に前記発熱部の上部空間における温度分布の高温部分における温度を低下させる吸気又は送風ファン装置を設けたことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1に記載の画像読取装置において、
前記発熱部の温度分布の高温部分以外となる部位であってかつ少なくとも前記光路となる領域が存在する部位に断熱部材を設けたことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1に記載の画像読取装置において、
前記光路に関与する前記照明ユニット、前記撮像ユニット及び前記反射光学系ユニットの構成部品の調整作業時に、前記照明ユニット、前記撮像ユニット及び前記反射光学系ユニットを、前記光路となる領域内に前記発熱部の温度分布の高温部分が存在しない位置に固定することを特徴とする画像読取装置。
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