JP4131412B2 - 表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置に関し、さらに詳しくは、耐熱性のある有機高分子フィルムを支持体として形成された自発光型の表示装置に関する。
薄型の表示装置としては液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ、電気泳動型表示装置、フィールドエミッション型表示装置などが知られている。この中でもエレクトロルミネッセンス表示装置はソリッドステートの自発光型表示装置として注目されており、既に実用化され市販されている。従来のエレクトロルミネッセンス表示装置は、ガラス基板上に形成された物がほとんであり、軽量化、薄型化、フレキシブル化のために、薄い有機基板上でエレクトロルミネッセンス素子などの自発光型素子を実現する事が望まれていた。
かかる試みの例として、ポリイミドフィルム上にエレクトロルミネッセンス素子を形成する試みが成されてきているが、残念ながら今日まで、その成功を見ることができない。
一般にエレクトロルミネッセンス素子は基板上に一対の電極、発光層、保護層等、スイッチング用の薄膜トランジスタ素子などを積層して構成される。素子を構成する材料は薄膜技術、印刷技術、インクジェット技術、フォトリソグラフィなどを組み合わせて順次整形され、積層されて行くわけであるが、その形成過程において基板を含めた全体への加熱冷却が繰り返されて形成途上の素子は大きな繰り返し熱ストレスに曝される。すなわち、主には全体の中で最も厚い部材である基板材料が加熱冷却されることによりその線膨張係数に応じて膨張−収縮を繰り返し、その結果、素子を構成する他の部材にストレスによる微細なクラックや接合部の剥がれ等が生じるのである。
一般に有機高分子材料の線膨張係数はガラスなどの無機材料に比較して大きく、そのため、有機高分子材料を基板に用いた表示装置は表示性能に劣り、寿命も短いため実用化には至っていないのが実状である。一方、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、高強度、高弾性率であり、良好な誘電特性、低いCTE(線膨張係数)、低い熱収縮率、良好な化学的耐性を示すため、次世代の電子部品用の基板材料として期待されている(特許文献1参照)。
特表平10−508059号公報
本発明では、自発光型表示素子の製造プロセス中に基板に加わる加熱冷却の繰り返しに耐え、さらに周辺回路実装工程において熱ストレスが加わった場合にも十分な信頼性を保持する、軽量薄型の有機基板自発光素子とそれを構成要素として含んだ表示装置の提供を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の化学構造を有する耐熱性高分子フィルムを基材に用いることによりその目的を達することを見出した。
すなわち本発明は、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とする長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の線膨張係数が2〜16ppm/℃であるフィルム(以下、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムともいう)の表面に、導電層を形成し、この導電層上に自発光型素子を構成要素として含むことを特徴とする表示装置であり、またポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするフィルムの膜厚が3〜200μmであり、面配向係数が0.75以上であり、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の引張弾性率が5GPa以上であり、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の引張破断強度が300MPa以上である前記の表示装置である。
また、自発光型素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である前記の表示装置であり、また前記の同一フィルム上にスイッチング用薄膜トランジスタが直接形成されてなる前記の表示装置であり、また前記の同一フィルム上に、駆動回路素子が実装されてなる前記の表示装置である。
本発明において用いられる特定構造の耐熱高分子フィルムは、線膨張係数が低く、半導体材料に近いために、半導体に加わる熱ストレスを低減することが出来る。また、高い引張弾性率と高い引張破断強度を実現可能であるために半導体形成時の機械的なストレスに対する影響も小さい。すなわち引張弾性率の低い材料である場合、半導体膜形成時に基板フィルムを固定するために加えられるストレスにより基板が変形した状態に保たれるため、ストレスを開放した際に逆に基材上に形成された半導体層や発光層に応力が加わってしまい良好な特性を発揮することが出来ない。また本発明の耐熱性高分子フィルムは、特に薄膜半導体層を形成する際に必要となる高温に十分耐えうる耐熱性を有するため、良質な半導体層、発光層等からなる自発光型素子を作成することが出来る。
本発明の表示装置は、有機EL表示パネルであって、第二電極側より発光を取り出す方式であり、例えば、基本的に基板(支持体)/第一電極/少なくとも発光層を含む有機物層/第二電極からなり、有機EL素子をアクティブ駆動させるためのソース電極、ゲート電極などからなるTFTが、基板上のアモルファスシリコン層や低温ポリシリコン層中に形成され、その上を平坦化膜で覆われているものである。
本発明の有機EL表示パネルにおける第二電極は、ラインパターン状に形成された透明電極と、前記透明電極のラインパターンと直交する方向に形成された透明電極または不透明の補助電極とからなるマトリックス型に形成されてなる。以下、この発明の有機EL表示パネルおよびその製造方法について、より具体化した実施の形態を用いて説明するが、この発明はこの実施の形態により限定されるものではない。
本発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールであり、かつ、特定の線膨張係数や高次構造(後述)を持つフィルムである。上述の「反応」は、まず、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液から必要に応じてグリーンフィルムなどを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
<芳香族ジアミン類>
本発明で用いるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全ジアミンの50モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン。
3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン。
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン。
1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<芳香族テトラカルボン酸無水物類>
本発明で用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の50モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラムまたはベルト状回転体などが挙げられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸を乾燥してグリーンフィルムを得る条件は特に限定はなく、温度としては70〜150℃が例示され、好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間としては、5〜180分間が例示され、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間である。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。次いで、得られたグリーンフィルムから目的のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得るために、イミド化反応を行わせる。一般には上記乾燥よりも高温での処理によりイミド化反応が進行して、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得ることができる。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの厚さは3〜200μmであることが好ましい。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの厚さは、ポリアミド酸溶液の濃度、ならびに支持体へのコーティング厚みによって調整することが出来る。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの膜厚が厚すぎると、基材フィルムの剛直性が増し、柔軟性が損なわれる。また薄すぎると、必要な機械的強度を得ることが出来ない。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の線膨張係数は、2〜16ppm/℃(×10-6cm/cm/℃)であることが好ましく、2〜10ppm/℃であることが、なお好ましく、3〜9ppm/℃であることが、特に好ましい。
線膨張係数がこの範囲を高低いずれの方向に逸脱しても、半導体層に加わるストレスが増加し、光電変換効率が著しく低下してしまう。すなわち、半導体薄膜を形成する際には、基板は所定温度で熱せられる訳であり、室温に冷却される際に、半導体薄膜の線膨張係数と、基材フィルムの線膨張係数の差異に応じた応力が半導体、および基材フィルムの両方に加わる訳である。半導体層に加わったストレスは前述の通り、光電変換効率を低下させるばかりでなく、素子そのものの寿命、信頼性を低下させてしまう。同時に基板側に加わったストレスは、基板と半導体薄膜との接着性を阻害するものとなる。
線膨張係数は、ジアミンとテトラカルボン酸無水物の種類と割合、並びに面配向度に依存する。線膨張係数はベンゾオキサゾール構造を有するジアミン成分を増すことにより低下させることができ、全ジアミン成分の50%以上、ベンゾオキサゾール構造のジアミンを用いることにより所定の範囲に収めることができる。また、線膨張係数はポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数に依存し、面配向係数は、一般に、グリーンフィルム成膜時の昇温プロファイルを調整したり、イミド化時または、その前に延伸を施したりする手段などが挙げられ、本発明のフィルムにもかかる手段を適用し得る。たとえば、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を高くするためには、グリーンフィルムに加える熱量を小さくしたり、イミド化反応前、ないし反応中にフィルムを縦方向、横方向、あるいは縦横両方向に延伸したりする手段が挙げられる。逆に、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を低くするためには、グリーンフィルムに加える熱量を高くしたりする手段が挙げられる。
フィルムの面配向係数は、さらに、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)をイミド化する方法・条件により制御することができる。イミド化の方法・条件としては、熱閉環法による2段階以上の熱処理が好ましく、
1段目の熱処理:150〜250℃で1〜10分間の処理、
2段目の熱処理:400〜600℃で0.1〜15分間の処理、
1段目の熱処理終了後から2段目の熱処理開始までの昇温条件:2〜7℃/秒。
とすることで、CTEが2〜16ppm/℃となる面配向係数を得ることが出来る。
本発明の面配向係数はX線により測定される。本発明のフィルムは、X線回折法で測定される面配向係数が0.77〜0.92であることが好ましい。フィルムの面配向係数がこの範囲に満たないと、フィルムの線膨張係数が大きくなる。また、この範囲を超えると線膨張係数が負になる。面配向係数とはフィルムを構成する分子の高次構造を表現するパラメーターであって、フィルムを構成する分子のうち、高い秩序性を有する結晶部分において、その構成単位である結晶格子のある特定格子面が、フィルム面に対して配向している程度を数値化したものである。この数値が高いほど、前記特定格子面の向きとフィルム面の向きとの差が小さいことを意味する。本発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの「ある特定格子面」とは、2θ=21.8°付近の回折ピークを与える格子面である。
本発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の引張弾性率が5GPa以上であることが好ましい。引張り弾性率がこの範囲に満たない場合、外力によりフィルムが変形しやすくなり、結果として、フィルム表面に形成された半導体薄膜に破断や欠陥が生じやすくなる。引張弾性率は7GPa以上が好ましく、さらには9GPa以上が好ましい。引張り弾性率の上限は特に制限されないが、事実上25GPa程度である。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの引張弾性率は、分子構造と面配向(面配向係数)によって制御可能である。引張弾性率は分子構造、すなわちジアミンとテトラカルボン酸無水物の種類と割合、と密度に依存する。引張り弾性率はベンゾオキサゾール構造を有するジアミン成分を増すことにより上げることができ全ジアミン成分の50%以上ベンゾオキサゾール構造のジアミンを用いることにより所定の範囲に収めることができる。面配向係数の制御は、一般に、グリーンフィルム成膜時の昇温プロファイルを調整したり、イミド化時または、その前に延伸を施したりする手段などが挙げられ、本発明のフィルムにもかかる手段を適用し得る。たとえば、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を高くするためには、グリーンフィルムに加える熱量を小さくしたり、イミド化反応前、ないし反応中にフィルムを縦方向、横方向、あるいは縦横両方向に延伸したりする手段が挙げられる。逆に、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を低くするためには、グリーンフィルムに加える熱量を高くしたりする手段が挙げられる。
本発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数は、さらに、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)をイミド化の方法により制御することができる。イミド化の方法としては、熱閉環法による2段階以上の熱処理が好ましく、
1段目の熱処理:150〜250℃で1〜10分間の処理、
2段目の熱処理:400〜600℃で0.1〜15分間の処理、
1段目の熱処理終了後から2段目の熱処理開始までの昇温条件:2〜7℃/秒。
とすることで、引張弾性率が5GPa以上となる面配向を得ることが出来る。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の引張破断強度は300MPa以上であることが好ましい。引張破断強度がこの範囲に満たない場合、外力によりフィルム基材のみならず半導体層にダメージが生じやすくなる。上限に関しては特に制限されない。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの引張破断強度は、ポリアミド酸の分子量、ならびに、グリーンフィルム作製からイミド化工程までの、アミド結合の加水分解の程度を所定の範囲に収めることにより達成可能である。
より具体的には、ポリアミド酸溶液の還元粘度が1.2以上、好ましくは1.5以上、なお好ましくは1.7以上とし、さらにポリアミド酸溶液を支持体に塗布する時点から、イミド化が完了するまでの間の作業雰囲気の相対湿度を75%RH以下、好ましくは60%RH以下、なお好ましくは不活性ガス雰囲気とする事により所定の引張破断強度を実現することが出来る。
本発明において好ましく用いられるイミド化方法は先に述べたように熱閉環法である。熱閉環法とは、ポリアミド酸を加熱することでイミド化する方法である。本発明ではポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を促進しても構わない。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンフィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
さらに本発明ではフィルムの生産性、巻き取り性、操作性の向上のために、滑剤を添加することが出来る。滑剤としてはシリカ、アルミナなどの金属酸化物や無機塩類に代表される無機ないし有機の微粒子を用いることができる。好ましく用いることができる滑剤の粒子径は0.01〜10μmの範囲であり、その添加量はフィルム全体の0.001〜1%程度の範囲である。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
この発明におけるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、そのまま、あるいは表面処理剤あるいは表面活性化材で処理していない場合は、好適にはコロナ放電処理、低温あるいは常圧プラズマ処理、紫外線照射、火炎処理等で表面処理を施す。
次に本発明の表示装置である自発光型表示装置について説明する。本発明の自発光型表示装置はこれまでに述べてきたポリイミドベンゾオキサゾールフィルムに、裏面電極となる導電層、駆動回路やスイッチング素子となる薄膜シリコン等からなる半導体層、発光層となるEL層、前面電極となる透明電極層の機能薄膜、機能厚膜を積層・パターニングする事により実現される。
まず、基板上に第一電極を形成する。第一電極についても透明である必要はない。ほとんどの場合には金属薄膜が用いられ、用いる有機物材料との相性を考慮して適宜選択すればよい。一般的な有機EL素子においては、金属薄膜は電子注入電極として機能する場合が多いので、電子注入を容易にするような仕事関数の小さな金属が望ましい。具体的には、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、カルシウムなどが挙げられる。逆に、金属薄膜を正孔注入電極として機能させる場合には、正孔注入を容易にするような仕事関数の大きな金属が望ましい。具体的には、金、白金、銅、ニッケルなどが挙げられる。
第一電極の成膜方法としても、公知の手法が適用可能であり、蒸着法、スパッタ法、電子ビーム法、メッキ法などが挙げられる。また、パターニングに関しても、特に限定されるものではなく、公知のシャドウマスク法、フォトリソグラフィ法などが適用可能である。第一電極の膜厚は、用いる金属材料にもよるが、500Å〜1μm程度である。
次に、基板上にアクティブ駆動用のTFT(薄膜トランジスタ)を形成する。この発明の有機EL表示パネルは、第二電極側より発光を取り出す構成であるから、特に透明性を意識する必要はなく、公知の方法により、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどからなるTFTを形成すればよい。
次に、第一電極上に、発光層を形成する。発光層は有機発光層、無機発光層を問わない。有機発光層の場合には、少なくとも発光層を含む有機物層を形成することとなる。多くの場合、有機物層は発光層以外の電荷輸送層、電荷注入層を含む積層構成である。有機EL素子を画素発光部に用いるフルカラーの有機EL表示パネルを作製する場合には、発光層をR、G、Bに塗り分ける必要がある。
有機物層の形成方法としては、公知の手法が適用可能であり、蒸着法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。用いる有機材料についてもこれまでに有機EL素子に用いられてきた材料を使用することができる。膜厚についても特に制限はなく、一般的な有機EL素子で採用されている程度の膜厚とすることができる。通常、100Å〜1μm程度である。
有機物層としては、発光層、正孔輸送層や正孔注入層、電子輸送層や電子注入層などが挙げられ、それらを構成する材料としては、公知の材料を用いることができ、特に限定されない。
発光層に用いられる材料としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシナト)アルミニウム錯体(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq)、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物などが挙げられる。また、発光色の変更や特性向上のために、ドーパントを添加することもできる。このようなドーパントとしては、キナクリドン、ルブレン、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスリチル)−4H−ピラン(DCM)、クマリン誘導体などが挙げられる。
正孔輸送層や正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(α−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α―NPD)、銅フタロシアニン(CuPc)、オキサジアゾール、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物などが挙げられる。電子輸送層や電子注入層に用いられる材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−ヒドロキシナト)アルミニウム錯体(Alq3)、トリアゾール誘導体などが挙げられる。
発光層の上に透明な第二電極を形成する。第二電極の材料としては、公知の透明電極材料を使用することが可能である。つまり、発光層の発光波長領域において透明である材料が好ましく用いられ、具体的には、ITO(酸化インジウム錫)、酸化錫、IDIXO(In2O3−ZnO系材料)などが挙げられる。第二電極の形成(成膜)方法としては、公知の手法が適用可能であり、蒸着法、電子ビーム法、スパッタ法、スプレー法などが挙げられる。
第二電極の膜厚は100〜3000Å程度、好ましくは500〜2000Å程度が好適であり、かかる範囲に調整することで、良好な有機EL素子を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(R)1245D)を用いて測定した。
3.フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度及び引張破断伸度を測定した。
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向、TD方向の意味は上記「3.」の測定と同様である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.フィルムの融点、ガラス転移温度
測定対象のフィルムについて、下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温終了温度 ; 600℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.フィルムの熱分解温度
測定対象のフィルムを充分に乾燥したものを試料として、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、試料の重量が5%減る温度を熱分解温度とみなした。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
7.フィルムの面配向係数
測定対象のフィルムを測定治具に装着して以下の条件にてX線回折測定を行って、2θ=21.8°付近に現れる回折ピークについての極点図を求めた。
装置名 ;(株)リガク製RINT 2100PC、多目的試料台
電圧、電流値 ;40kV、40mA
測定法 ;反射法および透過法
走査範囲 ;反射法 α;15〜90°/2.5°間隔
β;0〜360°/5°間隔
反射法 α;0〜15°/2.5°間隔
β;0〜360°/5°間隔
スリット ;DS 0.1mm、SS 7mm、RS 7mm、
縦発散制限スリット 1.2mm
走査スピード ;連続(360°/min)
検出器 ;シンチレーションカウンター
図1は、この極点図を模式的に表したものである。図中、2本の破線部における回折強度プロファイルからピーク半値幅(HMDおよびHTD)を求め、HMDおよびHTDの平均値をHa(単位:°)と定義した。尚、ピーク半値幅は、リガク製解析プログラムを用いて求めた。このようにして得られたHaから、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの面配向係数を次式により算出した。
面配向係数 =(180°− Ha)÷180°
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、5000重量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、485重量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5であった。
(ポリアミド酸のグリーンフィルムの製造)
ポリアミド酸溶液をステンレスベルトにコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、650μm)、90℃にて10分間、100℃にて10分間、120℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ40μmのグリーンフィルムを得た。
(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造)
得られたグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、表1記載の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する実施例1〜4、比較例1〜2のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。得られた各ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの測定結果を表1に記載する。
得られたフィルムにスパッタリング装置を使用してフィルム上に厚さ1000nmのアルミニウム層を形成し第一電極とした。第一電極はマスキングにより所定の電極形状を与えられている。また素子外に相当する部分に引き回された、駆動回路搭載用の電極も形成されている。第一電極状に発光層を形成する。ここでは発光物質としてドープ処理していないポリ(パラ−フェニレンビニレン)を含む有機層をスクリーン印刷法を用いて形成した。膜の乾燥温度は最高180℃である。最後に第二電極としてITOを発光層上にスパッタリングし、フッ素樹脂コーティングを行って保護膜とした。この際に基板温度を350℃まで加熱している。
得られた有機EL素子にピークトゥピーク60Vの1000Hzの交番電圧を印可したところ、鮮やかな緑色に発光した。以下同様に、他のフィルムを用いて自発光型表示装置を製作し、発光状態を目視で評価した。なお比較例3で用いたフィルムは、市販されているポリイミドフィルムであるカプトン(R)100EN(東レ・デュポン社製)を用いた。
表1に示した結果から明らかなとおり、実施例の表示装置においては良好な発光を得られたが、比較例の表示装置においては十分な発光を得られなかった。これは、プロセス中の温度の上下により導電層、特に透明導電層にダメージがあったためと推察される。
以上、述べてきたように本発明の表示装置は、基材として熱線膨張係数の低いポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを用いているので、温湿度による膨張係数の差に起因する位置ずれや、端子間の接続信頼性低下や導電材料や半導体チップの応力歪みにより引き起こされるクラック発生等の使用環境の温湿度変化による欠点発生等が抑制されるので、自発光型表示装置としての信頼性向上に大変に有用なる物であり、産業界に寄与することが大である。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムのX線回折極点図を模式的に示した図である。 本発明の自発光型表示装置の模式概念図である。
符号の説明
1.基板(支持体)
2.第一電極
3.発光層
4.第二電極
5.隔壁
6.保護膜

Claims (4)

  1. ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とする長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の線膨張係数が2〜16ppm/℃であり、フィルムの厚さが3〜200μmであり、面配向係数が0.75以上であり、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の引張弾性率が5GPa以上であり、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の引張破断強度が300MPa以上であるフィルムの表面に、導電層を形成し、この導電層上に自発光型素子を形成したものを構成要素として含むことを特徴とする表示装置。
  2. 自発光型素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1に記載の表示装置。
  3. ポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするフィルム上にスイッチング用薄膜トランジスタが直接形成されてなる請求項1〜2いずれかに記載の表示装置。
  4. ポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするフィルム上に、駆動回路素子が実装されてなる請求項1〜3いずれかに記載の表示装置。
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