JP4131093B2 - 塗布膜の乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は塗布膜の乾燥方法に係り、特に、写真材料、感熱・感圧記録材料、印刷版材等の画像記録材料の製造において、連続走行している帯状支持体(以下「ウエブ」と称す)に塗布形成された単層若しくは多層塗布膜の乾燥であって、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と称す)を含む層と、ゼラチンを含む層を有する単層若しくは多層塗布膜の乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼラチンやPVAは、親水性バインダーとして広く用いられている。しかし、バインダーを含む塗布液をウエブに塗布・乾燥して機能性シートや機能性フィルム等の製品を製造する場合、ゼラチンとPVAとでは粒子の分散性、耐熱性、表面強度、バリア性等の特性が異なるため、それぞれの長所を生かしたバインダを選択することが必要になる。
【0003】
また、製品の機能性や製造の際の生産性を高めるために、ゼラチンを含む塗布液とPVAを含む塗布液とを多層塗布して、得られた多層塗布膜のPVA層とゼラチン層とを同時に乾燥しなくてはならない場合がある。更には、ゼラチンとPVAが同じ層に混在する塗布膜を乾燥しなくてはならない場合もある。
【0004】
従来、ゼラチンとPVAの両方のバインダーを同じ層に混在させた単層若しくは多層塗布膜の乾燥、或いはゼラチン層とPVA層を有する多層塗布膜の乾燥技術としては、例えば特開平9−156205号公報に、ゼラチン層とPVA層とを含む多層塗布膜を、0〜5℃で20秒冷却セット後、20〜50℃で急速乾燥されることによりインクジェット記録シートを製造することが開示されている。また、特開平10−250221号公報には、上層がゼラチンとPVAを含み、下層がゼラチンと水溶性セルロースを含む組み合わせの多層塗布膜を、10秒冷却セット後、表面湿球温度が20℃以下で乾燥させることにより、インクジェット記録シートを製造することが開示されている。
【0005】
これらの従来技術から分かるように、少なくともゼラチンを含む塗布膜を乾燥する場合には、塗布膜の乱れをなくすために、塗布直後に塗布膜を通常20℃以下の冷却ゾーン(セットゾーンともいう)を通過させることにより、塗布膜をゲル化してから乾燥することが常道になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゼラチン層とPVA層とを同時に乾燥する場合、ゼラチン層とPVA層とではゲル化速度が大きく異なるので、冷却ゾーンでの冷却によってゼラチン層は急速にゲル化するのに対して、PVA層はほとんどゲル化しない。これにより、乾燥ムラが生じ易くなると共に、ゼラチン層とPVA層とが隣接する場合には界面に乱れが生じ易いという欠点がある。また、同じ層にゼラチンとPVAが混在する場合にも、それぞれのゲル化速度が異なるので同様の欠点が生じる。この場合、PVAに合わせた乾燥条件で行うことも考えられるが、乾燥が遅いことで塗布膜全体の層形成が遅れてしまい、均一な塗布膜を形成できないとう弊害がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ゼラチン層とPVA層とを含む多層塗布膜、或いは同じ層中にゼラチンとPVAが混在する塗布膜の乾燥において、乾燥ムラや界面に乱れが生じることのない塗布膜の乾燥方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明の請求項1は、前記目的を達成する為に、走行するウエブ面に複数の塗布液を多層同時塗布して、ポリビニルアルコールを含有するPVA塗布層と、ゼラチンを含有するゼラチン層とを少なくとも有する多層塗布膜を形成し、該形成した多層塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥方法において、前記塗布形成された多層塗布膜を冷却ゾーンを通さずに乾燥装置で直接乾燥すると共に、該乾燥装置の乾燥開始から30秒までの乾燥初期条件は、前記塗布膜を乾燥風で乾燥すると共に、該乾燥風の乾球温度の平均値が40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃の範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ前記塗布膜の面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項1は、PVA層とゼラチン層を同時乾燥する場合、ゼラチン層とPVA層とのゲル化速度を近づけることが必要であるが、従来のように冷却ゾーンを通してから乾燥すると、PVA層とゼラチン層のゲル化速度を一致させることが却って困難になる一方、塗布された多層塗布膜を冷却ゾーンを通さずに乾燥装置の乾燥初期における乾燥風の乾球温度と湿球温度との関係、塗布膜面に当たる乾燥風の風速を適切に設定することで、ゼラチン層とPVA層とのゲル化速度を近づけることができるとの知見に基づいてなされたものである。
【0010】
即ち、乾燥開始から30秒までの乾燥初期における乾燥風の乾球温度の平均値が40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃の範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ塗布膜面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えることにより、ゼラチン層の急速なゲル化を抑制できると共に、PVA層のゲル化を促進させることができる。これにより、ゼラチン層とPVA層とのゲル化速度を近づけることが可能となる。
【0011】
本発明の請求項2は、前記目的を達成する為に、走行するウエブ面に塗布液を単層若しくは多層同時塗布して、ポリビニルアルコールとPVAとを同一層に混在させたPVA・ゼラチン層を少なくとも一層以上有する多層塗布膜を形成し、該形成した塗布膜を乾燥する多層塗布膜の乾燥方法において、前記塗布形成された多層塗布膜を冷却ゾーンを通さずに乾燥装置で直接乾燥すると共に、該乾燥装置の乾燥開始から30秒までの乾燥初期条件は、前記塗布膜を乾燥風で乾燥すると共に、該乾燥風の乾球温度の平均値が40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃の範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ前記塗布膜の面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2は、ポリビニルアルコールとゼラチンとが同一層に混在するPVA・ゼラチン層を少なくとも一層以上有する多層塗布膜を乾燥する場合であり、この場合にも本発明を適用することにより、ゼラチンとPVAとのゲル化速度を近づけることが可能となる。
【0013】
本発明の請求項3は、請求項1においてPVA層と前記ゼラチン層とが隣接している場合であり、ゼラチン層とPVA層の界面の乱れを防止できる。
【0014】
本発明の請求項4は、請求項1〜3の何れか1の記載において、塗布直後の多層塗布膜の総厚みが40μm未満の薄い塗布膜の場合には乾燥条件の影響が現れにくいことから、本発明の効果が顕著に現れる総厚みが40μm以上の多層塗布膜に限定したものである。
【0015】
本発明の請求項5は、請求項1〜4の何れか1の記載において、多層塗布膜が画像記録材料を製造するための塗布膜であることを限定したもので、本発明は高い精度の乾燥が要求される画像処理材料において特に有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る塗布膜の乾燥方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明の塗布膜の乾燥方法を適用する乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ラインの1例を示した概念図である。また、塗布装置はスライドホッパ方式の2層同時塗布の例で説明するが、スライドホッパ方式及び2層同時塗布に限定するものではなく、例えばエクストルージョン方式でもよい。
【0018】
図1に示すように、塗布・乾燥ライン10は、主として、ロール状に巻回されたウエブ12を送り出す送出し装置14、ウエブ12に塗布液を塗布する塗布装置16、ウエブ12に塗布形成された塗布膜を乾燥する乾燥装置18、及び塗布・乾燥により製造された画像記録材料等の製品を巻き取る巻取り装置20と、ウエブ12が走行する搬送経路を形成する多数のガイドローラ22、22…とで構成される。
【0019】
塗布装置16は、スライドホッパ方式のものを使用してゼラチンを含有する塗布液aとPVAを含有する塗布液bとを2層同時塗布する場合の一例であり、ウエブ12面に塗布される2種類の塗布液a、bは、図1に示すそれぞれの塗布液タンク24、26からそれぞれの供給ライン28、30及び供給ポンプ32、34を介して、図2に示すスライドホッパー36内の各マニホールド38、40に供給される。マニホールド38、40に供給された各塗布液a、bは塗布幅方向に拡流された後、スリット状に形成された各スロットル42、44を介してスライドホッパー36上面の下方傾斜したスライド面46に押し出される。スライド面46に押し出された各塗布液a、bは、互いに混ざり合うことなく多層塗布膜状の塗布液となってスライド面46を流下し、スライド面46下端のリップ先端48に達する。リップ先端48に達した塗布液a、bは、リップ先端48と、バックアップローラ50に巻き掛けられて走行するウエブ12面との間隙にビード部52を形成する。このビード部52の下方には、ウエブ12とスライドホッパー36との間の空間を閉鎖するように減圧ボックス54が設けられ、真空ポンプ56により減圧ボックス54内の減圧度が調整される。これにより、空間内の真空度を上げてビード部52の下側を減圧(ビード背圧)することによりビード部52を安定化する。このビード部52では、ウエブ12はバックアップローラ50の周面に沿って下方から上方に走行する。このとき、ビード部52における塗布液a、bは、ウエブ12面の上に引き上げられる作用を受けて引き伸ばされて薄層化する。この結果、走行するウエブ12面にPVA塗布層(下層)とゼラチン塗布層(上層)を有する多層塗布膜を形成することができる。また、スライドホッパー36を形成する各ブロック36a、36b、36cには、スライドホッパー36を保温するための保温水の流路58、58…が設けられる。
【0020】
乾燥装置18は、図1に示すように、冷却ゾーンを介さずに塗布装置16の直ぐ後段に設けられ、第1乾燥ゾーン60、第2乾燥ゾーン62、第3乾燥ゾーン64の複数段の乾燥ゾーンで構成される。かかる乾燥ゾーン60、62、64の乾燥方式としては、ローラ搬送ドライヤ方式、或いはエアフローティングドライヤ方式の乾燥装置18を好適に使用することができる。
【0021】
ローラ搬送ドライヤ方式の乾燥ゾーンは、図3の概念図に示すように、両端にウエブ12の入口66と出口68が開口されたトンネル状の装置本体70内にウエブ12の搬送ラインに沿って複数のパスローラ72、72…が配置される。このように配置されたパスローラ72上を、塗布膜面を上にしてウエブ12が搬送される。また、装置本体70の上面には、エアを装置本体70内に供給する複数の供給口74、74…が形成され、装置本体70の下面には、装置本体70内のエアを吸引する複数の吸引口76、76…が形成される。そして、供給口74から後記する乾燥条件の乾燥風を供給しながら、吸引口76から装置本体70内のエアを吸引することにより、ウエブ12面に塗布形成された塗布膜面を乾燥する。
【0022】
エアフローティングドライヤ方式の乾燥ゾーンは、図4の概念図に示すように、両端にウエブ12の入口78と出口80が開口されたトンネル状の装置本体82内にウエブ12の搬送ラインに沿って乾燥風を吐出する複数のエアヘッダ84、84…を配置して構成される。この複数のエアヘッダ84は、ウエブ12を挟んだ上方側と下方側の両方に、ウエブ12の搬送ラインに沿って互い違いに位置するように配置される。そして、これら互い違いに配置された複数のエアヘッダ84から後記する乾燥条件の乾燥風をウエブ12の塗布膜面に向けて吹き出すことにより、ウエブ12を浮上搬送させながら塗布膜面を乾燥する。
【0023】
かかる多層塗布膜のPVA層とゼラチン層を同時に乾燥する場合には、冷却ゾーンを通さずに塗布した後に乾燥装置18で直接乾燥することが重要である。これは、多層塗布膜を冷却ゾーンを通してから乾燥装置18で乾燥すると、乾燥装置に入る前の段階でゼラチン層とPVA層とのゲル化程度が異なってしまうので、この状態で本発明の乾燥条件を行っても、ゼラチン層とPVA層のゲル化速度を近づけることができないためである。
【0024】
乾燥装置18による乾燥条件は、乾燥開始から30秒以内、好ましくは乾燥開始から10秒以内の初期乾燥を行う乾燥風の乾球温度の平均値を40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ塗布膜の面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えるように設定する。これは、乾燥風の乾球温度の平均値が70℃を超えて高くなると、塗布膜表面からの水分蒸発が速すぎてPVA層とゼラチン層とのゲル化速度にバラツキが出易くなるためである。また、乾燥風の乾球温度の平均値を40℃未満まで下げると、ゼラチン層の温度によるゲル化が促進されてしまいPVA層のゲル化速度と相違してしまうためである。即ち、本発明の乾燥方法は、ゼラチン層の温度によるゲル化を抑制可能な温度環境の下で、多層塗布膜表面からの水分蒸発を主たるゲル化要因としてゼラチン層とPVA層とをゲル化させることで、ゼラチン層とPVA層のゲル化速度を近づけることを可能としたものである。
【0025】
更に、乾燥風の乾球温度の平均値が40℃未満で、乾燥風の湿球温度の平均値が30℃を超えて高くなると、多層塗布膜表面からの水分蒸発が遅すぎて、多層塗布膜全体のゲル化及び層形成が遅れて均一な界面が形成されなくなる。また、湿球温度の平均値の下限を20℃としたのは、湿球温度が低くなり過ぎると塗布膜表面に結露が発生して乾燥できなくなるためである。従って、乾球温度と湿球温度との関係を本発明の乾燥条件に設定することにより、PVA層とゼラチン層とのゲル化速度を近づけることが可能となる。
【0026】
ここで、乾球又は湿球での温度の平均値とは、乾燥風の温度と乾燥時間の平均値である。例えば、初期乾燥を第1乾燥ゾーン60と第2乾燥ゾーン62の2段で行う場合、第1乾燥ゾーン60において温度30℃の乾燥風で4秒乾燥し、第2乾燥ゾーン62において温度40℃の乾燥風で6秒乾燥した場合には、
【0027】
【数1】
(30℃×4秒+40℃×6秒)/(4秒+6秒)=36℃が平均温度となる。
【0028】
また、初期乾燥期間は、多層塗布膜面が不安定な状態にあり風速を大きくすると膜面が乱れるだけでなく、膜表面からの水分蒸発速度に影響を与える。従って、膜面の乱れの防止及びPVA層とゼラチン層とのゲル化速度の同一化を図るためには、多層塗布膜面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下、好ましくは6m/秒以下に抑えることが必要である。
【0029】
尚、上記実施の形態では、PVA層とゼラチン層を同時乾燥する場合で説明したが、多層塗布膜の1層中にPVAとゼラチンとが混在する場合にも本発明の乾燥方法を適用することができる。
【0030】
このように、本発明の塗布膜の乾燥方法によれば、乾燥初期における乾燥風の乾球温度の平均値が40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃の範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ塗布膜面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えることにより、ゼラチン層とPVA層とのゲル化速度を近づけるようにしたので、ゼラチン層とPVA層とを含む多層塗布膜、或いは同じ層中にゼラチンとPVAが混在する塗布膜の乾燥において、乾燥ムラや層同士の界面に乱れが生じることがない。これにより、ヘイズ(くもり度)や印画面状の良好な写真材料、感熱・感圧記録材料、印刷版材等の画像記録材料を製造することができる。
【0031】
また、本発明の乾燥方法は、PVA塗布層とゼラチン塗布層とが隣接している場合に一層効果が発揮される。また、本発明の乾燥方法は塗布膜を高精度に乾燥することで高機能な製品を得ることが必要な写真材料、感熱・感圧記録材料、印刷版材等の画像記録材料の製造において特に有効である。
【0032】
尚、本発明に使用するウエブとしては、紙、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルム、金属箔等を使用することができる。
【0033】
【実施例】
厚み100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)製のウエブに、図1の塗布・乾燥ラインを使用して、表1に示すゼラチン含有塗布液(保護層を形成)とPVA含有塗布液(感熱記録層を形成)の2種類の塗布液を塗布装置で2層同時塗布し、乾燥装置で乾燥して感熱記録フィルムを製造した。ウエブの走行速度を100m/分で行った。
【0034】
乾燥装置は、第1乾燥ゾーンと第2乾燥ゾーンとで初期乾燥を行い、初期乾燥の合計時間が30秒になるようにした。その後は第3乾燥ゾーンにおいて乾球温度40℃、湿球温度20℃の条件で十分に乾燥させた。尚、第3乾燥ゾーンの乾燥風の風速は、初期乾燥での風速よりも大きな20m/秒とした。
【0035】
そして、本発明の塗布膜の乾燥方法の乾燥条件を満足する実施例を2試験区、条件を満足しない比較例を5試験区について感熱記録フィルムを製造し、それぞれの感熱記録フィルムについてヘイズ(くもり度)と発色後の外見面状(印画面状)を評価した。ヘイズはヘイズメータ〔HGM−2DP:スガ試験機(株)製〕を用いて平行光線透過率を測定することにより評価した。
【0036】
【表1】
【0037】
乾燥初期条件、及び製造された感熱記録フィルムの評価を表図5に示す。
【0038】
実施例1は、乾燥風の乾球温度の平均値が44℃、湿球温度の平均値が21℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が8m/秒であり、本発明の乾燥条件を全て満足する場合である。
【0039】
実施例2は、乾燥風の乾球温度の平均値が58℃、湿球温度の平均値が24℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が8m/秒であり、本発明の乾燥条件を全て満足する場合である。
【0040】
比較例1は、乾燥風の乾球温度の平均値が18℃、湿球温度の平均値が10℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が8m/秒であり、乾球温度の平均値と湿球温度の平均値が本発明の下限を大幅に下回る場合である。
【0041】
比較例2は、乾燥風の乾球温度の平均値が74℃、湿球温度の平均値が28℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が8m/秒であり、乾球温度の平均値が本発明の上限を4℃上回る場合である。
【0042】
比較例3は、乾燥風の乾球温度の平均値が44℃、湿球温度の平均値が18℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が8m/秒であり、湿球温度の平均値が本発明の下限を2℃下回る場合である。
【0043】
比較例4は、乾燥風の乾球温度の平均値が68℃、湿球温度の平均値が32℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が8m/秒であり、湿球温度の平均値が本発明の上限を2℃上回る場合である。
【0044】
比較例5は、乾燥風の乾球温度の平均値が44℃、湿球温度の平均値が21℃で、塗布膜面に当たる乾燥風の風速が12m/秒であり、乾燥風の風速が本発明の風速を2m/秒上回る場合である。
【0045】
その結果、本発明の乾燥条件を満足する実施例1及び2により製造された感熱記録フィルムは、PVA層とゼラチン層のゲル化速度を近づけることができたので、乾燥時における乾燥ムラや層界面での乱れもなく、ヘイズ及び印画面状も良好な結果であった。
【0046】
また、比較例1及び2は、乾球温度の平均値が本発明の条件よりも低すぎるか又は高すぎるために、ヘイズの評価が悪く、印画面状にも細かいムラが認められ感熱記録フィルムとしての十分な性能が得られなかった。特に比較例1は湿球温度の平均値も本発明の条件から外れているのでヘイズの評価が顕著に悪かった。
【0047】
また、比較例3及び4は湿球温度の平均値が本発明の条件よりも低すぎるか又は高すぎるために、ヘイズの評価が悪く、印画面状にも細かいムラが認められ、感熱記録フィルムとしての十分な性能が得られなかった。
【0048】
更に、比較例5では、初期乾燥での風速が高すぎるために多層塗布膜面にムラが発生し、感熱記録フィルムとしての十分な性能が得られなかった。
【0049】
尚、図5には特に示さなかったが、本実施例での多層塗布膜を冷却ゾーンを通してから乾燥装置で実施例1と同じ条件で乾燥したが、ヘイズの評価が悪く、印画面状にも細かいムラが認められ感熱記録フィルムとしての十分な性能が得られなかった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布膜の乾燥方法によれば、ゼラチン層とPVA層とのゲル化速度を近づけるようにしたので、ゼラチン層とPVA層とを含む多層塗布膜、或いは同じ層中にゼラチンとPVAが混在する塗布膜の乾燥において、乾燥ムラや層同士の界面に乱れが生じることがない。これにより、ヘイズ(くもり度)や印画面状の良好な写真材料、感熱・感圧記録材料、印刷版材等の画像記録材料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の塗布膜の乾燥方法を適用する乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ラインの概念図
【図2】図2は、塗布・乾燥ラインで使用した塗布装置の断面図
【図3】図3は、塗布・乾燥ラインに組み込んだ乾燥装置でローラ搬送ドライヤ方式の例を示した概念図
【図4】図4は、塗布・乾燥ラインに組み込んだ乾燥装置で乾燥装置でエアフローティングドライヤ方式の例を示した概念図
【図5】図5は、本発明の実施例の条件及び結果を表にした表図
【符号の説明】
10…塗布・乾燥ライン、12…ウエブ、14…送出し装置、16…塗布装置、18…乾燥装置、20…巻取り装置、22…ガイドローラ、24、26…塗布液タンク、32、34…供給ポンプ、36…スライドホッパー、38、40…マニホールド、42、44…スロットル、46…スライド面、50…バックアップローラ、52…ビード部、66、78…入口、68、80…出口、70、82…装置本体、74…乾燥風の供給口、76…乾燥風の吸引口、84…エアヘッダ
a…ゼラチン含有塗布液、b…PVA含有塗布液
Claims (5)
- 走行するウエブ面に複数の塗布液を多層同時塗布して、ポリビニルアルコールを含有するPVA塗布層と、ゼラチンを含有するゼラチン層とを少なくとも有する多層塗布膜を形成し、該形成した多層塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥方法において、
前記塗布形成された多層塗布膜を冷却ゾーンを通さずに直接乾燥装置で乾燥風により乾燥すると共に、該乾燥装置での乾燥開始から30秒までの乾燥初期条件は、
前記乾燥風の乾球温度の平均値が40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃の範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ前記塗布膜の面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えることを特徴とする塗布膜の乾燥方法。 - 走行するウエブ面に塗布液を単層若しくは多層同時塗布して、ポリビニルアルコールとPVAとを同一層に混在させたPVA・ゼラチン層を少なくとも一層以上有する多層塗布膜を形成し、該形成した多層塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥方法において、
前記塗布形成された多層塗布膜を冷却ゾーンを通さずに直接乾燥装置で乾燥風により乾燥すると共に、該乾燥装置の乾燥開始から30秒までの乾燥初期条件は、
前記塗布膜を乾燥風で乾燥すると共に、該乾燥風の乾球温度の平均値が40〜70℃の範囲、湿球温度の平均値が20〜30℃の範囲になるように乾球温度と湿球温度との関係を設定し、且つ前記塗布膜の面に当たる乾燥風の風速を10m/秒以下に抑えることを特徴とする塗布膜の乾燥方法。 - 前記PVA層と前記ゼラチン層とが隣接していることを特徴とする請求項1に記載の塗布膜の乾燥方法。
- 前記塗布直後における多層塗布膜の総厚みが40μm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
- 前記多層塗布膜は、画像記録材料を製造するための塗布膜であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
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