JP4129924B2 - 窓組立体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、車両等の被取付体の窓開口縁に取り付けて使用される窓組立体に関する。
無機ガラスからなる窓板と、その窓板の外周縁に沿って一体的に固着された遮蔽材(枠材、モールディング、ガスケット等と呼ばれることもある。以下、これらを総称して「遮蔽材」という。)とを備えた窓組立体が知られている。このような窓組立体は、車両または建築物や工作物等の被取付体の窓開口縁に取り付けて使用される。前記遮蔽材は、窓板よりも軟質の材料(合成樹脂、その類似材料等)からなり、該窓板と被取付体との隙間を遮蔽する作用を有する。
このような窓組立体として、透明な窓板の外周縁に沿って合成樹脂材料を押出成形することにより製造されるものがある。この種の窓組立体に関する従来技術文献として特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載された実施例では、ガラス板に接合される部分(基部)を構成する樹脂材料として塩化ビニル樹脂を用いている。
特開平8−230011号公報
近年、環境への配慮等の観点から、塩化ビニル樹脂に代わる材料を用いて遮蔽材を構成することが望まれている。そのような代替材料として、熱可塑性エラストマー材料(以下、「TPE」ということもある。)を用いることが考えられる。なかでも、入手の容易性および軽量化の観点から、オレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、「TPO」ということもある。)を主体に構成された遮蔽材を用いることができれば好ましい。また、入手の容易性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー(以下、「TPS」ということもある。)を主体に構成された遮蔽材を用いることができれば好ましい。しかし、一般にTPEは塩化ビニル樹脂に比べて無機ガラスへの接着性が低い。このため、遮蔽材にTPEを適用すると、無機ガラス製窓板と遮蔽材との接着力が低くなり又はなくなって適用が困難であった。
そこで本発明は、TPE(特にTPO,TPS)を主体とする遮蔽材を有する窓組立体であって、その遮蔽材が無機ガラス製の窓板の外周部に適切な接着力を有して形成された窓組立体を製造する好適な方法を提供することを一つの目的とする。
この明細書により開示される技術には以下のものが含まれる。
(1).被取付体の窓開口縁に取り付けられる窓組立体。その窓組立体は、表裏両面を有する無機ガラス製の窓板と、該窓板の外周縁に沿って一体的に形成された遮蔽材とを備える。本窓組立体が所定位置に取り付けられたとき、この遮蔽材によって窓板の外周縁と前記窓開口部との間が遮蔽される。窓板の周縁には、前記遮蔽材が形成される部分に、酸変性されたポリオレフィン樹脂または酸変性されたオレフィン−スチレン共重合樹脂を主成分とする接着剤層が予め形成されている。この遮蔽材は、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする基部成形材料を加熱溶融状態で前記窓板の外周縁に沿って押出成形して形成された基部を有する。その基部は、該押出成形に伴う熱および/または圧力により前記接着剤層を介して前記窓板に接合されている。また、前記遮蔽材は、熱可塑性エラストマー材料を主体とする突出部成形材料により該基部と一体に形成された突出部を備える。該突出部は、該基部から窓開口縁に向けて突出している。前記窓組立体が所定位置に取り付けられたとき、該突出部が弾性変形して前記窓開口縁に弾接(弾性的に圧接)する。
上記(1)の発明によれば、無機ガラス製の窓板に、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体に構成された遮蔽材の基部が強固に接合されている窓組立体が提供されるという効果が得られる。
(2).上記(1)の窓組立体において、前記突出部は前記基部よりも柔軟な成形材料により形成され、該突出部と該基部とはその境界部分で溶着により一体化している。上記(2)の窓組立体によれば、上記(1)の窓組立体の奏する効果に加えて、さらに基部では窓板にしっかりと接合されるとともに、被取付体に弾性的に圧接(弾接)してより柔軟に撓み得る突出部を備えた窓組立体が提供されるという効果が得られる。
(3).上記(1)または(2)の窓組立体において、前記基部の外表面にその長手方向に沿って装飾条片が設けられている。上記(3)の窓組立体によれば、上記(1)または(2)の窓組立体の奏する効果に加えて、さらに遮蔽材の装飾性が高められた窓組立体が提供されるという効果が得られる。
(4).上記(1)から(3)のいずれかの窓組立体において、前記酸変性されたポリオレフィン樹脂が、カルボキシル基変性ポリオレフィン樹脂またはアクリル変性ポリオレフィン樹脂である。上記(4)の窓組立体によれば、上記(1)から(3)のいずれの窓組立体の奏する効果に加えて、さらに遮蔽材がより強固に接合された窓組立体が提供されるという効果が得られる。
(5).上記(1)から(3)のいずれかの窓組立体において、前記酸変性されたオレフィン−スチレン共重合樹脂が、カルボキシル基編成オレフィン−スチレン共重合樹脂またはアクリル変性オレフィン−スチレン共重合樹脂である。上記(5)の窓組立体によれば、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の窓組立体の奏する効果に加えて、さらに遮蔽材がより強固に接合された窓組立体が提供されるという効果が得られる。
請求項の発明は、無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する方法に関する。その製造方法は、前記遮蔽材が形成される部分に接着剤層が形成されている窓板を用意する工程を含む。その接着剤層は、典型的には、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布してなる。また、その窓板の外周縁を押出ダイのオリフィスに係合または近接させた状態で、該窓板外周縁と該押出ダイとの位置および/または姿勢がほぼ一定の関係に維持されるように前記窓板外周縁および前記押出ダイの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態でオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で前記オリフィスから押し出して前記遮蔽材を形成するとともに前記接着剤層を介して該遮蔽材を前記窓板の外周縁に接合する工程を含み得る。
請求項の製造方法によれば、接着剤中の−H基と加熱により活性化したガラス中の−OH基との水素結合(またはエステル結合)により接着剤とガラスが接着すると共に、接着剤中のオレフィン成分と遮蔽材中のオレフィン成分(例えばPP成分)とが相溶することにより接着剤と遮蔽材が接着する。これによりガラス製の窓板とTPE(特にTPO,TPS)を用いた遮蔽材とが適切に接着することができる。したがって、無機ガラス製の窓板に、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を用いてなる遮蔽材が押出時の材料の熱および/または圧力により前記接着剤層を介して前記窓板に強固に接合されている窓組立体を製造することができるという効果が得られる。また、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃(すなわち、常温を超える温度域)に加熱した状態で該窓板に前記遮蔽材を接合することにより、材料または遮蔽材の熱が急速に奪われることがないので、遮蔽材がより強固に接合された窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する他の方法に関する。その製造方法は、前記窓板における前記遮蔽材が形成される部分に接着剤層を形成する工程を含む。典型的には、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布して接着剤層を形成する。また、その窓板の外周縁を押出ダイのオリフィスに係合または近接させた状態で、該窓板外周縁と該押出ダイとの位置および/または姿勢がほぼ一定の関係に維持されるように前記窓板外周縁および前記押出ダイの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態でオレフィン系熱可塑性エラストマー材またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で前記オリフィスから押し出して前記遮蔽材を形成するとともに前記接着剤層を介して該遮蔽材を前記窓板に接合する工程を含み得る。
請求項の製造方法によれば、接着剤中の−H基と加熱により活性化したガラス中の−OH基との水素結合(またはエステル結合)により接着剤とガラスが接着すると共に、接着剤中のオレフィン成分と遮蔽材中のオレフィン成分(例えばPP成分)とが相溶することにより接着剤と遮蔽材が接着する。これによりガラス製の窓板とTPE(特にTPO,TPS)を用いた遮蔽材とが適切に接着することができる。したがって、無機ガラス製の窓板に、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を用いてなる遮蔽材が押出時の材料の熱および/または圧力により前記接着剤層を介して前記窓板に強固に接合されている窓組立体を製造することができるという効果が得られる。この製造方法は、接着剤層の機能(接着性能)がよく発揮される期間が限られている場合にも好ましく採用される。換言すれば、この製造方法は接着剤層の形成に用いる材料(接着剤)の選択自由度が高い。また、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃(すなわち、常温を超える温度域)に加熱した状態で該窓板に前記遮蔽材を接合することにより、材料または遮蔽材の熱が急速に奪われることがないので、遮蔽材がより強固に接合された窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、請求項1または2の製造方法において、前記窓板の外周縁の表裏両面および端面に前記接着剤層を形成し、該窓板外周縁を前記押出ダイのオリフィスに挿入させ、該オリフィスから押し出される前記成形材料が前記表裏両面および端面を覆うように前記遮蔽材を形成するものである。請求項の製造方法によれば、請求項1または2の製造方法の奏する効果に加えて、さらに遮蔽材がより強固に接合された窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する他の方法に関する。その製造方法は、前記遮蔽材が形成される部分に接着剤層が形成されている窓板を用意する工程を含む。その接着剤層は、典型的には、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布してなる。また、前記窓板の外周縁と、該窓板から離れて配置された押出ダイとの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態で該押出ダイのオリフィスからオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で押し出して前記遮蔽材を形成するとともに該遮蔽材を前記窓板外周縁に向けて連続的に供給し、その窓板外周縁に供給された遮蔽材に前記窓板側への圧力を加えて該遮蔽材を前記接着剤層を介して前記窓板に接合する工程とを含み得る。
請求項の製造方法によれば、接着剤中の−H基と加熱により活性化したガラス中の−OH基との水素結合(またはエステル結合)により接着剤とガラスが接着すると共に、接着剤中のオレフィン成分と遮蔽材中のオレフィン成分(例えばPP成分)とが相溶することにより接着剤と遮蔽材が接着する。これによりガラス製の窓板とTPE(特にTPO,TPS)を用いた遮蔽材とが適切に接着することができる。したがって、無機ガラス製の窓板に、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を用いてなる遮蔽材が強固に接合されている窓組立体を製造し得るという効果が得られる。さらに、遮蔽材が窓板と離れた位置で成形されるので、形状の安定した遮蔽材を接合することができるという利点がある。また、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃(すなわち、常温を超える温度域)に加熱した状態で該窓板に前記遮蔽材を接合することにより、材料または遮蔽材の熱が急速に奪われることがないので、遮蔽材がより強固に接合された窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する他の方法に関する。その製造方法は、前記窓板における前記遮蔽材が形成される部分に接着剤層を形成する工程を含む。典型的には、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布して接着剤層を形成する。また、前記窓板の外周縁と、該窓板から離れて配置された押出ダイとの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、該押出ダイのオリフィスからオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で押し出して前記遮蔽材を形成するとともに前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態で該遮蔽材を前記窓板外周縁に向けて連続的に供給し、その窓板外周縁に供給された遮蔽材に前記窓板側への圧力を加えて該遮蔽材を前記接着剤層を介して前記窓板に接合する工程を含み得る。
請求項の製造方法によれば、接着剤中の−H基と加熱により活性化したガラス中の−OH基との水素結合(またはエステル結合)により接着剤とガラスが接着すると共に、接着剤中のオレフィン成分と遮蔽材中のオレフィン成分(例えばPP成分)とが相溶することにより接着剤と遮蔽材が接着する。これによりガラス製の窓板とTPE(特にTPO,TPS)を用いた遮蔽材とが適切に接着することができる。したがって、無機ガラス製の窓板に、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を用いてなる遮蔽材が強固に接合されている窓組立体を製造し得るという効果が得られる。この製造方法は、接着剤層の機能(接着性能)がよく発揮される期間が限られている場合にも好ましく採用される。すなわち、この製造方法は接着剤層の形成に用いる材料(接着剤)の選択自由度が高い。さらに、遮蔽材が窓板と離れた位置で成形されるので、形状の安定した遮蔽材を接合することができるという利点がある。また、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃(すなわち、常温を超える温度域)に加熱した状態で該窓板に前記遮蔽材を接合することにより、材料または遮蔽材の熱が急速に奪われることがないので、遮蔽材がより強固に接合された窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、請求項4または5の製造方法において、前記オリフィスから押し出されて前記窓板外周縁に向けて連続的に供給される遮蔽材を、その溶融温度を下回りかつ常温を上回る温度域に維持して前記窓板外周縁に到達させるようにしたものである。請求項の製造方法によれば、請求項4または5の製造方法の奏する効果に加えて、さらに窓板外周縁に接合される前に遮蔽材が幾分冷却されることから、より正確な形状の遮蔽材を備える窓組立体を製造し得るという効果が得られる。さらに、遮蔽材のもつ熱と効果的に掛けられる圧力で安定した接合を行うことができる。
請求項の発明は、請求項1,2,4,5,6のいずれかの製造方法において、前記窓板の外周縁の一方の幅広面(典型的には裏面)に前記接着剤層を形成し、前記オリフィスから押し出される前記成形材料が、実質的に遮蔽材の基部(窓板に接合される部分)が前記一方の幅広面のみを覆うように前記遮蔽材を形成するものである。請求項の製造方法によれば、請求項1,2,4,5,6のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、さらに窓組立体の他方の面側からみた美観に優れた窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、請求項1から7のいずれかの製造方法において、前記遮蔽材は、前記成形材料により形成されて前記窓板に接合される基部と、前記成形材料よりも柔軟な突出部成形材料により該基部と一体に形成された突出部とを備え、該基部および該突出部は、前記基部を形成する成形材料と前記突出部を形成する突出部成形材料とを前記押出ダイに別々の流路から供給して形成されるものである。請求項の発明によれば、請求項1から7のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、さらに基部では窓板にしっかりと接合されるとともに、被取付体に弾性的に圧接(弾接)してより柔軟に撓み得る突出部を備えた窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
請求項の発明は、請求項1から8のいずれかの製造方法において、前記窓板の全体を60〜120℃の温度域に加熱した状態で該窓板に前記遮蔽材を接合するものである。この製造方法では、窓板の外形が加熱により膨張した状態で遮蔽材が接合されるので、接合後の冷却により窓板および遮蔽材の双方が収縮する。このため、常温以下の温度域にある窓板に遮蔽材を接合した場合に比べて両者間の収縮量の差を少なくすることができる。したがって、請求項の製造方法によれば、請求項1から8のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、さらに窓板と遮蔽材との間に生じる応力を低減して歪や変形等の不具合が発生することをよりよく回避するという効果が得られる。
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれかの製造方法において、前記オリフィスから前記成形材料を押し出す際に、該オリフィスに長尺状の装飾条片を連続的に供給し、前記成形材料とともに該装飾条片を押し出して外表面に前記装飾条片が配置された前記遮蔽材を形成するものである。請求項10の製造方法によれば、請求項1から9のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、さらに装飾性を高めた窓組立体を製造し得るという効果が得られる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係る窓組立体の遮蔽材は、その少なくとも基部(窓板に接合される部分)がオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料により形成されている。
そのような成形材料を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメント(オレフィン成分)としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ−1−ペンテン等が挙げられる。これらのうちポリエチレン及びポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。また、かかるオレフィン系熱可塑性エラストマーのソフトセグメント(エラストマー成分)としては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。これらのうちEPDMが特に好ましい。ハードセグメントとして二種以上の重合体を含有してもよく、ソフトセグメントについても同様であるが、ハードセグメントがポリプロピレンであり、ソフトセグメントがEPM又はEPDMであるオレフィン系熱可塑性エラストマーが特に好ましく用いられる。例えば、質量比で5〜45部(より好ましくは10〜35部、更に好ましくは20〜30部)のポリプロピレンと、20〜60部(より好ましくは30〜50部)のEPDMと、適当量(例えば20〜50部、好ましくは30〜40部)の軟化剤とを配合してなる成形材料を好ましく用いることができる。遮蔽材(少なくともその基部)を形成する材料として好ましく利用し得るTPOの市販品としては、エーイーエス・ジャパン株式会社から入手可能な「サントプレーン(登録商標)」、三井化学株式会社から入手可能な「ミラストマー(登録商標)」、三菱化学株式会社から入手可能な商標「サーモラン」、三福工業株式会社から入手可能なTPO等が挙げられる。
上記成形材料を構成するスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンブロックおよびオレフィンブロックを有するスチレンブロック共重合体(SBC)が好ましい。例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS、水素添加SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、水素添加SIS)等を用いることができる。遮蔽材(少なくともその基部)を形成する材料として好ましく利用し得るSBCの市販品としては、リケンテクノス株式会社から入手可能な商標「アクティマー」、「レオストマー」、アプコ株式会社から入手可能な商標「スミフレックスQLSシリーズ」、三菱化学株式会社から入手可能な「ラバロン(登録商標)」等が挙げられる。
また、遮蔽材(少なくともその基部)を形成する材料として好ましく利用し得るその他の樹脂としては、アイオノマー樹脂が挙げられる。例えば、市販品は、三井・デュポン株式会社から入手可能である。
上記成形材料を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーのうち、オレフィン系熱可塑性エラストマーがより機械的強度及び接着強度に優れるために好ましい。
遮蔽材のうち少なくとも窓板に接合される部分(基部)を形成する材料は、有機質または無機質のフィラーを含有することができる。無機フィラーを用いることが好ましい。例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、カーボンブラック、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス球、シラスバルーン等から選択される一種または二種以上のような粒子状の無機フィラー;カーボンファイバー、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、無機ウィスカー(例えば塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー)等の無機繊維のような繊維状の無機フィラーを用いることができる。このうち、特にタルクが好ましい。これらのうち一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。このような無機フィラーは、例えば全体の1〜50質量%、好ましくは、5〜30質量%を占める割合で含有させることができる。
なお、遮蔽材のうち窓板に直接接合される箇所以外の部分(例えば突出部)は、上述のような基部成形材料と実質的に同じ組成の成形材料により形成してもよく、異なる組成の成形材料(例えばTPO,TPS以外のTPEを主体とする成形材料)により形成してもよい。例えば、遮蔽材のうち少なくとも突出部を、基部よりも軟質な成形材料(突出部成形材料)により形成することができる。この場合、突出部成形材料としては、比較的軟質の熱可塑性エラストマー(例えば、ハードセグメントがポリプロピレン等のオレフィン系樹脂であり、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体であるTPOであって、基部の材料よりもソフトセグメントの割合を多くしたもの)を主体とする成形材料を好ましく用いることができる。
遮蔽材の外表面(典型的には基部の表面)には装飾条片を設けることができる。遮蔽材の基部のうち、被取付体に取り付けたとき外側(例えば車両の外側)となる部分の表面に装飾条片を配置することが好ましい。これにより、装飾条片を配置することによる効果(装飾効果)を特によく発揮させることができる。装飾条片としては、ポリエステル、フッ素樹脂等の樹脂材料により構成されるもの、アルミニウム、クロム、ステンレス等の金属材料により構成されるもの、これらの複合材料により構成されるもの、これらの材料を積層して構成されるもの(例えば、合成樹脂シートと金属箔との積層物)等を使用することができる。このような材料により構成される長尺状(帯状、テープ状等)の装飾条片または棒状に成形した装飾異形材を好ましく用いることができる。
上記接着剤層は、酸変性されたポリオレフィン樹脂または酸変性されたオレフィン−スチレン共重合樹脂を主成分とする。上記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンと他のα−オレフィン(プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の一種または二種以上)との共重合体樹脂、プロピレンと他のα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の一種または二種以上))との共重合体樹脂等であり得る。また、上記オレフィン−スチレン共重合体樹脂は、オレフィン系モノマー(エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)とスチレン系モノマー(スチレン、α−メチルスチレン等)との共重合体樹脂等であり得る。典型的には、オレフィン系モノマーとスチレン系モノマーとのブロック共重合体樹脂である。なお、ここでいう「樹脂」には常温で良好なゴム弾性を示すものも含まれ得る。
このようなポリオレフィン樹脂またはオレフィン−スチレン共重合樹脂が「酸変性」されているとは、酸性基(典型的にはカルボキシル基)が導入されていることをいう。このような酸変性樹脂は、例えば、上述したポリオレフィン樹脂またはオレフィン−スチレン共重合樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト重合することにより得ることができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の一種または二種以上を用いることができる。あるいは、適当な後処理(加水分解等)によりカルボキシル基に変換し得る不飽和カルボン酸誘導体(エステル、無水物等)を用いてもよい。例えば、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルをグラフト重合させた後、エステルを加水分解してカルボキシル基を生成させることができる。
本発明における接着剤層(接着剤)の主成分として好ましい酸変性樹脂としては、所謂カルボキシル基変性ポリオレフィン樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、カルボキシル基変性オレフィン−スチレン共重合樹脂およびアクリル変性オレフィン−スチレン共重合樹脂が例示される。接着剤層の形成に使用し得る材料の市販品としては、三菱化学株式会社から入手可能な商標「サーフレン(登録商標)」が例示される。例えば、「サーフレン(登録商標)P−1000」、「同 A−1000」、「同 E−2000」、「同 AP−343」等を用いることができる。このうち、「サーフレン(登録商標)P−1000」、及び「同 AP−343」、特に「同 AP−343」を好適に用いることができる。
なお、適切な接着力が得られる理論としては、次のように考えられる。
すなわち、TPOと酸変性されたポリオレフィン樹脂接着剤との接着の場合、接着剤中の−H基と、加熱により活性化したガラス中の−OH基との水素結合またはエステル結合により接着剤とガラスが接着すると共に、接着剤中のオレフィン成分と遮蔽材中のオレフィン成分(例えばPP成分)とが相溶することにより接着剤と遮蔽材が接着する。これによりガラス製の窓板とTPOを用いた遮蔽材とが適切に接着すると考えられる。
また、TPSと酸変性されたオレフィン−スチレン共重合樹脂接着剤との接着の場合、接着剤中の−H基と、加熱により活性化したガラス中の−OH基との水素結合により接着剤とガラスが接着すると共に,接着剤中のオレフィン部と遮蔽材中のオレフィン成分とが相溶することにより接着剤と遮蔽材が接着する。これによりガラス製の窓板とTPSを用いた遮蔽材とが適切に接着すると考えられる。
以下、本発明に関する実施例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<第一実施例>
本発明を自動車のバックウィンドウへの適用例につき説明する。
図1に示すように、本実施例に係るバックウィンドウ用窓組立体1は、表裏両面を有する透明な窓板10と、その外周縁部(外周縁)100に沿って設けられた遮蔽材20とを備える。この窓組立体1は、図1に示す線Cを中心として実質的に左右対称に形成されている。窓板10の外周形状は正面から見て大まかにいって四角形状であり、相対的にほぼ直線的な四つの直線状部102と、隣り合うほぼ直線状部102の間に位置するコーナー部104とを有する。本実施例では、窓板10の全周に亘って遮蔽材20が形成されている。すなわち、遮蔽材20は、直線状部102およびコーナー部104を含む範囲に連続的に形成されている。
図2に示すように、窓板10は全体として、被取付体としての自動車に取り付けられたとき車両の外側となる表面10Aを凸面、車両の内側となる裏面10Bを凹面とする曲面形状に形成されている。この窓板10としては、一般的な自動車後面ガラス用窓材(例えば、板厚約3.0〜3.5mmの強化ガラス)を用いることができる。
窓板10の裏面10Bには、その外周縁に沿ってフリット層12が融着して形成されている。このフリット層12の表面(露出面)は、比較的高融点の無機粉末(典型的にはガラス粉末)が分散していることにより、窓板10の他の部分(表面10Aおよびフリット層12が形成されていない部分の裏面10B)よりも粗化された表面となっている。フリット層12は着色不透明で、典型的には黒く着色されており、窓組立体1の表面から見たときに窓板10の外周部分の裏側を目隠しする機能を有する。また、窓板10の端面10Cは研削処理(グラインダ等による研削加工)により、透明部分の表面よりは粗面化されている。さらに端面の少なくとも表面10A側の縁が同様な加工により面取りされることがあり、この面取りされた部分10Dも同様に粗面化される。
遮蔽材20は、窓板10の外周縁部100の裏面10Bに設けられた基部22と、その基部22から外周側に突出する薄肉で弾性変形可能な突出部24とを有する。ここで、前述のように、窓板10の外周縁部100の裏面10Bにはフリット層12が形成されており、そのフリット層12の上に接着剤層30が設けられている。そして、この接着剤層30を介して基部22(遮蔽材20)が窓板10に接合されている。本実施例の窓組立体1における接着剤層30は、酸変性されたポリオレフィン樹脂(好ましくは酸変性ポリプロピレン樹脂)または酸変性されたオレフィン−スチレン共重合樹脂を主成分とするものである。一方、基部22はオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料(基部成形材料)を押出成形して形成されたものである。また、突出部24は、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料を主体とし基部よりも柔軟な成形体を形成する成形材料(突出部成形材料)を押出成形して形成されたものである。基部22と突出部24とはその境界部分で溶着により一体化している。
図2に示すように、窓組立体1を被取付体の窓開口縁9(ここでは自動車の車体パネルにより構成される)に取り付けると、突出部24が弾性変形して窓開口縁9に弾性的に圧接(弾接)する。これにより窓板の外周縁10Cと窓開口縁9との間が遮蔽される。なお、図1の符号41は、窓組立体1を位置決め固定する固定具の取付位置を示しており、車体パネルに設けられた位置決め孔等に上記固定具を係止させることによって窓組立体1を位置決めすることができる。また、図2中の符号44は、窓組立体1と窓開口縁9を接着するとともに両者の間をシールするペースト状で硬化するとゴム状弾性を呈する接着兼用のシーラント(窓組立体1の全周に亘って設けられる)を示している。また、図2中の符号46は、このシーラント44のはみ出しを抑えるダムラバー(窓組立体1の全周に亘って設けられる)を示している。
なお、図2には基部22の外周端が窓板裏面10Bの外周端(裏面10Bと端面10Cとの境界)にほぼ揃うように遮蔽材20を形成した例を示しているが、基部22の外周端が窓板裏面10Bの外周端面10Cからやや内側に入り込んだ位置となるように(すなわち、裏面10Bの外周端にアンダーカットが設けられるように)遮蔽材20を形成してもよい。
上記構成の窓組立体1は、フリット層12を有する窓板10を用いて、例えば以下のようにして製造することができる。
ステップ1:窓板の外周縁部を脱脂するステップである。すなわち、窓板10の外周縁部の少なくとも接着剤層30を設ける範囲を清浄化(脱脂)する。例えば低級アルコール等で拭く。これにより油分、塵埃、汚れ等を除去する。
ステップ2:接着剤層を形成するステップである。すなわち、上記清浄化された外周縁部に接着剤層30を形成する。例えば、酸変性ポリプロピレン樹脂を適当な溶剤(トルエンを主成分とするもの等)に溶解または分散させた接着剤を、窓板10の所定の範囲(後に遮蔽材20が設けられる部分)にブラシ等を用いて塗布する。
ステップ3:接着剤層を乾燥させるステップである。すなわち、接着剤層(塗布された接着剤)30を乾燥(好ましくは自然乾燥)させて、接着剤に含まれる溶剤の少なくとも一部(好ましくは大部分)を揮発させる。
ステップ4:窓板を加熱するステップである。すなわち、接着剤層30の形成された窓板10を、その少なくとも外周縁部100が常温(例えば25℃)を超える温度範囲となるように加熱する。このときの加熱温度は、例えば30℃を上回り230℃を下回る温度域とすることができる。約50℃以上(典型的には約50〜130℃)の範囲とすることが好ましく、約60℃以上(典型的には約60〜120℃)とすることがより好ましく、約80℃以上(典型的には約80〜120℃)とすることがさらに好ましい。また、窓板10の全体を常温を超える温度に加熱してもよい。なお、ステップ3はこのステップ4と同時に行ってもよい。
ステップ5:窓板保持装置で窓板を保持するステップである。すなわち、図3および図4に示すように、窓板保持装置60のハンド64に設けられた吸盤状の窓板面保持部642を窓板10の表面10Aの中央部に吸着させる。この窓板面保持部642は、十字のハンド64の先端にそれぞれ一つずつ(合計四つ)設けられている。ハンド64は窓板保持装置60のアーム62の先端付近に取り付けられており、その十字形状の交点に相当する箇所に設定された軸Pを中心にしてθ方向に回転させることができる。また、アーム62は、その先端(ハンド64)をX方向、Y方向(X方向と直交する方向)およびZ方向(X方向およびY方向と直交する方向であって、紙面と直交する方向。図示省略。)に移動させることができる。さらにアーム62自体をα方向に旋回させることができる。このようにα方向の旋回が可能な構成の窓板保持装置60を用いることは、湾曲面を有する窓板10の外周縁部100に遮蔽材20を形成する場合に特に有利である。
ステップ6:窓板の外周縁と押出ダイのオリフィスとを近接配置するステップである。図4に示すように、押出成形装置50に備えられた押出ダイ52のオリフィス54は、基部22の断面形状に対応する開口形状に形成されている基部成形用オリフィス542と、突出部24の断面形状に対応する開口形状に形成されている突出部成形用オリフィス544とが連続した形状を有する。オリフィス54は押出ダイ52の側方(図4の手前側)に開口している。このオリフィス54の下端に窓板10の裏面10Bの外周縁部100(接着剤層30が形成された部分)を近接させる。ここで説明する製造例では押出ダイ52の位置および姿勢が一定に固定されているので、窓板保持装置60に保持した窓板10を該装置60により移動させることによって上記近接配置を実現する。
ステップ7:窓板の外周縁に遮蔽材を押出成形するステップである。図4に示すように、押出ダイ52は、加熱溶融状態にある基部成形材料を窓板10の外周側(図4の右側)から基部成形用オリフィス542に供給する材料流路522を有する。また、押出ダイ52には、この基部成形用材料流路522とは別に、加熱溶融状態にある突出部成形材料(基部成形材料と相溶性を有して溶着可能であり、かつ基部成形材料と同一または近似の成形温度を有する。)を窓板10の裏面側(図4の上側)から突出部成形用オリフィス544に供給する材料流路524が設けられている。なお、押出ダイ52は、連結部51,53を介して、図示しない二台の押出成形装置本体にそれぞれ連結されている。基部成形用材料流路522は、この連結部51の内部を通ってオリフィス542に成形材料を供給し得るように設けられている。また、図3では突出部成形材料供給用の材料流路524の図示を省略している。
上述のように窓板10の裏面10Bの外周縁部100を押出ダイ52のオリフィス54(基部成形用オリフィス542)に係合または近接させた状態で、窓板外周縁100を押出ダイ52に対して図3および図5の矢印方向に移動させる。このとき、窓板外周縁100と押出ダイ52との位置および姿勢がほぼ一定の関係に維持されるように窓板保持装置60の動きを制御する。上述のように、窓板保持装置60は、窓板10(窓板外周縁100)のX方向の移動、Y方向の移動、Z方向の移動、θ方向の回転およびα方向の旋回を可能とするように構成されている。したがって、この窓板保持装置60の作動を適切に制御することにより、窓板外周縁100と押出ダイ52との位置および姿勢をほぼ一定の関係に維持しながら、ハンド64に保持した窓板10の外周縁部100を押出ダイ52のオリフィス54の下を連続して通過させることができる。窓板10の外周縁部100をこのように移動させつつ、加熱溶融状態の基部成形材料および突出部成形材料をオリフィス54から押し出す。これにより窓板10の裏面10Bの外周縁部100に沿って遮蔽材20を押出形成する。このとき、図5に示すように、遮蔽材20の基部22は、加熱溶融状態(例えば180〜230℃)の基部成形材料が接着剤層30の上に斜めに交差する方向から押し出されることにより形成されるとともに、両者の接触部分において所定の押出圧力Pによって接着剤層30に押し付けられることにより接着される。この際の熱および作用する押出圧力によって、基部22が接着剤層30を介して窓板10の裏面10Bの外周縁部100に一体的に接合される。なお、このとき図示しない突出部成形材料も同時にオリフィス544から押し出され、溶着によって基部22と一体化した突出部24が形成される。また、フリット層12の表面は窓板10の裏面10Bよりも粗化された面となっているので、接着剤層30が機械的にも接合して(アンカー作用)接着力が向上する。
ここで例示した製造方法には、必要に応じてステップ1〜7以外の製造ステップを追加することができる。また、ステップ1〜7のうち一以上のステップを省略または他のステップと併合してもよい。省略または併合するのに適したステップとしては、ステップ1、ステップ3、ステップ4が例示される。
また、前記した「窓板の外周縁を押出ダイのオリフィスに係合させた状態」とは、実質的なオリフィスが押出ダイ52のオリフィス54と窓板の面(本実施例では窓板10の裏面10B)とで形成される場合を指し、一方「窓板の外周縁を押出ダイのオリフィスに近接させた状態」とは、実質的なオリフィスが押出ダイ52のオリフィス54で形成され、オリフィス54が窓板の近くに配置される場合を指す。
上記製造方法のように窓板10の少なくとも外周縁部100を加熱した状態で加熱溶融状態の成形材料を押し出すことにより、遮蔽材20(基部22)と窓板10とをより強固に接合することができる。また、窓板10の全体を加熱した状態で加熱溶融状態の成形材料を押し出すことにより、窓板10と遮蔽材20との間に生じる応力を低減して歪や変形等の不具合が発生することをよりよく回避することができる。
また、加熱溶融状態にある基部成形材料および突出部成形材料を押出ダイ52のオリフィス54から一緒に押し出すので、基部22と突出部24とがその境界部分で溶着により一体化している遮蔽材20が形成される。これにより、基部22では窓板10にしっかりと接合されるとともに、窓開口縁9に弾性的に圧接(弾接)してより柔軟に撓み得る突出部24を備える窓組立体1を製造することができる。
なお、上記実施例ではTPOを主体とする遮蔽部成形材料を用いて形成された遮蔽材を備える窓組立体について説明したが、本発明はTPS(好ましくはSBC)を主体とする遮蔽部成形材料を用いた遮蔽材を備える窓組立体にも適用可能である。この場合、接着剤層としては、酸変性されたオレフィン−スチレン共重合樹脂を主成分とする接着剤層を用いることが好ましい。
また、上記実施例では遮蔽材20が形成される範囲(基部22が接合される範囲)のみに接着剤層30を設けているが、接着剤層30を設ける範囲はこれに限定されるものではない。例えば、製造誤差を考慮して上記範囲を含みこれよりやや広い範囲(例えば端面10Cに及ぶ範囲)に接着剤層30を設けてもよい。あるいは上記範囲のうちの一部に接着剤層30を設けてもよい。また、上記実施例のように接着剤層30を長手方向に連続的に設けてもよく、断続的に(例えばストライプ状に)設けてもよい。
また、上記実施例では押出ダイ52の位置および姿勢を固定とし、その押出ダイ52に対して窓板外周縁100を移動させる例について説明したが、窓板10の位置および姿勢を固定とし、その窓板10の外周縁100に沿って押出ダイ52を移動させてもよい。この場合、例えば、押出ダイ52を前述した保持装置60で保持して移動させ、押出ダイ52に耐圧性フレキシブルチューブの連結部51,53を連結することで対応できる。あるいは、窓板外周縁100と押出ダイ52との双方を移動させてもよい。
<第二実施例>
この第二実施例は、窓板の表裏両面および端面に遮蔽材の基部が接着固定された構成の窓組立体への適用例である。以下、第一実施例に係る部材と同様の機能を果たす部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6(第一実施例の図4に相当する。)に示すように、本実施例に係る遮蔽材20は、窓板10の外周縁部100を表面10Aから端面10Cを越えて裏面10Bのフリット層12に至るまで連続して略U字状に覆う基部22を備える。この基部22は、窓板10の外周縁部100に該窓板10の表面10Aから端面10Cを越えて裏面10Bに至る範囲に連続して形成された接着剤層30を介して、窓板10の表裏両面10A,10Bおよび端面10Cに接合されている。また、突出部24は、基部22のうち窓板端面10Cを覆う部分から外周側に突出するように形成されている。基部22はオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料により形成され、突出部24も基部22と同じ成形材料により形成されている。基部22のうち窓板表面10Aに設けられた部分(すなわち、窓組立体2における基部22の外表面)には装飾条片28が設けられている。この装飾条片28は長尺なテープ状であって、窓板10の周方向(すなわち、基部22の長手方向)に沿って連続的に配置されている。
図6は、このような構成の窓組立体2を製造する方法の一例を示している。押出ダイ52は、基部22および突出部24の断面形状に対応した開口形状のオリフィス54を備える。このオリフィス54は、基部22の断面形状に対応する略U字状の開口形状(すなわち、窓板10の外周縁部100の表面10A,裏面10Bおよび端面10Cを囲む形状)に形成されている基部成形用オリフィス542と、突出部24の断面形状に対応する開口形状に形成されている突出成形用オリフィス544とが連続した形状を有する。このオリフィス54は押出ダイ52の側方(図6の手前側)に開口している。そして、基部成形用オリフィス542のU字状の窪み部分に、窓板10の外周縁部100(接着剤層30が形成された部分)を挿入する。このように窓板10の外周縁部100と押出ダイ52のオリフィス54とを係合させた状態で、第一実施例と同様に、窓板外周縁100と押出ダイ52との位置および姿勢がほぼ一定の関係に維持されるようにして窓板外周縁100を移動させる。窓板外周縁100をこのように移動させつつ、加熱溶融状態の成形材料をオリフィス54から押し出す。これにより、窓板10の表面10A、裏面10Bのフリット層12および端面10Cに熱と押出圧力を作用させて、遮蔽材20の基部22が接着剤層30を介して窓板10の外周縁部100(表面10A,裏面10B(フリット層12)および端面10C)に一体的に接合される。窓板10の端面10C(端縁が面取り10Dされているときは面取り10Dも含めて)がグラインド加工等により粗化されていると、第一実施例でフリット層12と関連付けて説明したのと同様なアンカー作用により、端面10Cでも接着強度を向上させる効果がある。ここで、基部成形用オリフィス542のうち窓板表面10Aを覆う基部22を形成する部分には、押出ダイ52の外部から長尺状の装飾条片28を供給することができる。加熱溶融状態の成形材料とともに装飾条片28を基部成形用オリフィス542から押し出すことにより、基部22の外表面に長手方向に沿って装飾条片28が配置された遮蔽材20を形成することができる。
<第三実施例>
この第三実施例は、窓板の外周縁からやや離れた位置に押出ダイを設置して該押出ダイから遮蔽材を連続して押し出し、これを窓板の外周縁に固着させて窓組立体を製造する例である。本実施例では、図7に示すように、この窓板10の裏面10Bの外周縁部100からやや離れた位置に押出ダイ52が設置されている。押出ダイ52は、成形材料流路526およびオリフィス54を有するダイ本体520と、ダイ本体520に連結されたサイジング装置530とを備える。サイジング装置530の内部には、オリフィス54の押出方向下流に接続するサイジング流路532が形成されている。また、サイジング装置530は、サイジング流路532の内壁面を冷却可能な図示しない冷却手段を備える。さらに窓板10は第1実施例で説明したのと同様な窓板保持装置60で保持されるが、ここではその構成、作動についての説明は重複を避けるために省略する。
加熱溶融状態の成形材料は、押出ダイ52のオリフィス54からサイジング流路532に供給され、サイジング流路532の下流側から窓板10の外周端部100に向けて押し出されて遮蔽材20を形成する。このように窓板20の外周端部100(接着剤層30の設けられた部分)に遮蔽材20を連続的に供給しつつ、窓板外周縁100と押出ダイ52との位置および姿勢がほぼ一定の関係に維持されるようにして窓板保持装置60により窓板外周縁100を図7の矢印K方向に移動させる。押し出された遮蔽材20が窓板10の外周端部100に接する部分には圧着ローラ58が配置されている。この圧着ローラ58により遮蔽材20に窓板10側への圧力を(主として図7に示す圧着点Pで)加える。このとき、加熱溶融状態でオリフィス54から押し出された遮蔽材20が、溶融温度を下回りかつ常温を上回る温度域に維持された状態で窓板外周縁100に到達するようにする。すなわち、固化しているが常温を超える温度を保っている状態の遮蔽材20を、接着剤層30の設けられた窓板外周縁100に圧着する。これにより遮蔽材20の基部22を接着剤層30に強固に固着することができる。本実施例によると、オリフィス54の下流にサイジング装置530を設けることにより、より正確な断面形状を有する遮蔽材20を押し出すことができる。また、窓板外周縁100に接合される前に遮蔽材20が幾分冷却されることから、より正確な形状の遮蔽材20を備える窓組立体3を製造することができる。
なお、この第三実施例は、第二実施例のように基部22の外表面に装飾条片を被着した形態の窓組立体にも適用することができる。
<接着強度試験>
下記に示すような種々の接着剤及び熱可塑性エラストマーを主体とする成形材料を用意した。
(A)接着剤として、次の2種類を用いた。
(1)サーフレン(登録商標)AP‐343(三菱化学株式会社製)。
(2)サーフレン(登録商標)P‐1000(三菱化学株式会社製)。
(B)成形材料として、次の7種類を用いた。
(1)ミラストマー(登録商標)9020B(三井化学株式会社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー)単独で成る成形材料。
(2)ミラストマー(登録商標)9020B(三井化学株式会社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー)にタルクを10質量%添加して成る成形材料。
(3)ME‐8822B(三福工業株式会社製の、タルクが20質量%添加されたオレフィン系熱可塑性エラストマー)単独で成る成形材料。
(4)LVR0092(リケンテクノス株式会社製のスチレンが添加されたオレフィン系熱可塑性エラストマー)単独で成る成形材料。
(5)LVR0092(リケンテクノス株式会社製のスチレンが添加されたオレフィン系熱可塑性エラストマー)にタルクを10質量%添加して成る成形材料。
(6)LVR0037A(リケンテクノス株式会社製の、タルクが33質量%添加された、スチレンが添加されたオレフィン系熱可塑性エラストマー)単独で成る成形材料。
(7)TP‐1000改(三井・デュポン株式会社製のアイオノマー樹脂)単独からなる成形材料。
これらを表1に示すように組み合わせて、前記第一実施例と同様にして図8及び図9に示すような窓組立体試験用サンプル701を作製し、その接着強度について評価した。
Figure 0004129924
即ち、図8に示すように、長方形状の窓板702をサンプルとして用意した。図8のIX‐IX断面図である図9に示すように、この窓板702は、約2.0mmの厚さの表層ガラス板703と、約1.1mmの厚さのポリビニルブチラール製中間膜705と、約1.9mmの厚さの内層ガラス板707とから成る厚さが5mmの積層体である。図9に示すように、表層ガラス板703の角部709及び内層ガラス707の角部710は、0.5mmの幅のR形状に面取り加工を施している。さらに、内層ガラス板707には、第一実施例と同様に、その外周縁に沿って不透明着色フリット層711が融着して形成されている。
窓板702の一側面713全体(但し、表層ガラス板703の角部709を含まない幅約4.5mm)から内層ガラス板707のフリット層711の一部にかけて、第一実施例と同様にして表1のいずれかの接着剤を用いて接着層715を形成した。但し、このときの窓板702の加熱温度は、70℃とした。
次いで、第一実施例と同様に、表1に示すいずれかの成形材料を用いた押出成形によって、遮蔽材717を窓板702の一方の側面713(縁部)に形成した。但し、成形材料の加熱温度は約180℃(165〜195℃)、押出ダイの加熱温度は約200℃(195〜205℃)とした。そして、遮蔽材717が形成された一側面713の長さが約100mmになるように窓板702をカットした。これにより、100mm×150mmの試験用窓板が得られた。さらに、引張試験機に適用可能なように、図9に示すY線及びZ線に沿って本試験にとって不要な部分719,721(図9中点線で示す)を遮蔽材717から切り落し、残部となる長さ約100mm×幅約3mm×厚さ約4.5mmの遮蔽材(図中のハッチ部分)723を引張試験に供した。
試験手順は、まず、図8に示すように、この遮蔽材723の一端725を約20mmほどナイフを入れ、窓板702から剥がしてから、これを引張試験機(株式会社島津製作所のオートグラフAGS‐500D)により、引張速度100mm/分、剥離角度90°で引張り、遮蔽材723の剥離強さを測定した。試験は3個の試験片について行い、その平均値を表1に表示した。尚、表1中において接着強度に*印が付けられたものは、遮蔽材723の剥離よりも先に遮蔽材723自体が破断したことを示す。
表1から明らかなように、本試験例に用いたいずれの成形材料及び接着剤によっても高い接着強度を得ることができる。サンプルNo.1、2、4、5、6、8、及び9では、剥離よりも先に遮蔽材723自体が引張力によって破壊されており、優れた接着強度が認められた。特に、成形材料が実質的にTPOから構成されるサンプルNo.1、2及び8は、遮蔽材自体の機械的強度が高いために8kg以上の極めて高い接着強度が得られた。また、サンプルNo.3及び4を比較すると、成形材料にタルクを添加しない場合には、接着剤としてAP‐343の方がP‐1000よりも接着強度に優れていた。さらに、サンプルNo.6及び7を比較すると、タルクの添加量は30質量%以下(即ち、5〜30質量%)の場合に接着強度が優れることが判った。
尚、本試験例では、具体的な測定結果を示していないが、不透明着色フリット層711まで接着固定した遮蔽材717では、単位面積あたりの接着強度がより向上していた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記第一実施例では車両のバックウィンドウの製法を例示したが、本発明は車両のフロントウィンドウにも適用できる。この場合、窓板が透明中間膜を有するラミネートガラスのときは、窓板を加熱するときの最高温度を110℃程度にとどめ中間膜の熱劣化を防ぐのが好ましい。
さらに、本発明の窓組立体は、ショベルカー等の建設機械の窓やトラクター等の農機具の窓にも適用することができる。建設機械や農機具に適用される窓組立体には、遮蔽材が前記各実施例と同様に窓板の外周縁とほぼ一致する位置に接合されるものの他に、全体の配置としては窓板の外周縁に沿うが周方向の全部または一部において遮蔽材が窓板の外周縁からやや離れて配置されるものがある。このような形態も、本願の「窓板の外周縁に沿って一体的に形成され窓板の外周縁と窓開口部との間を遮蔽する遮蔽材」の概念に包含される。さらに上記の用途において、遮蔽材の突出部の横断面形状を略鉤形に形成して窓開口縁に係合させ、窓組立体を被取付体に固定する役目をさせる場合があり、このように遮蔽の機能の他に付加的機能を有する形状も本願の「突出部」の概念に包含される。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第一実施例に係る窓組立体を示す模式的平面図である。 図1のII−II線断面図である。 第一実施例に係る窓組立体の製造方法を示す説明図である。 図3のIV−IV線断面図である。 図4のV−V線断面図である。 第二実施例に係る窓組立体の製造方法を示す説明図である。 第三実施例に係る窓組立体の製造方法を示す説明図である。 接着強度試験用の窓組立体サンプルを示す説明図である。 図8のIX−IX断面図である。
符号の説明
1,2,3 窓組立体
9 窓開口縁
10 窓板
10A 表面
10B 裏面
10C 端面
100 外周縁(外周縁部)
12 フリット層
20 遮蔽材
22 基部
24 突出部
28 装飾条片
30 接着剤層
52 押出ダイ
54 オリフィス
58 圧着ローラ
60 窓板保持装置
62 アーム
64 ハンド
642 窓板面保持部

Claims (10)

  1. 無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する方法であって、
    前記遮蔽材が形成される部分にカルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布してなる接着剤層が形成されている窓板を用意する工程と、
    その窓板の外周縁を押出ダイのオリフィスに係合または近接させた状態で、該窓板外周縁と該押出ダイとの位置および/または姿勢がほぼ一定の関係に維持されるように前記窓板外周縁および前記押出ダイの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態で、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で前記オリフィスから押し出して前記遮蔽材を形成するとともに前記接着剤層を介して該遮蔽材を前記窓板外周縁に接合する工程と、
    を含む窓組立体の製造方法。
  2. 無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する方法であって、
    前記窓板における前記遮蔽材が形成される部分に、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と、
    その窓板の外周縁を押出ダイのオリフィスに係合または近接させた状態で、該窓板外周縁と該押出ダイとの位置および/または姿勢がほぼ一定の関係に維持されるように前記窓板外周縁および前記押出ダイの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態で、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で前記オリフィスから押し出して前記遮蔽材を形成するとともに前記接着剤層を介して該遮蔽材を前記窓板に接合する工程と、
    を含む窓組立体の製造方法。
  3. 前記窓板の外周縁の表裏両面および端面に前記接着剤層を形成し、該窓板外周縁を前記押出ダイのオリフィスに挿入させ、該オリフィスから押し出される前記成形材料が前記表裏両面および端面を覆うように前記遮蔽材を形成する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する方法であって、
    前記遮蔽材が形成される部分にカルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布してなる接着剤層が形成されている窓板を用意する工程と、
    前記窓板の外周縁と、該窓板から離れて配置された押出ダイとの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態で、該押出ダイのオリフィスからオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で押し出して前記遮蔽材を形成するとともに該遮蔽材を前記窓板外周縁に向けて連続的に供給し、その窓板外周縁に供給された遮蔽材に前記窓板側への圧力を加えて該遮蔽材を前記接着剤層を介して前記窓板に接合する工程と、
    を含む窓組立体の製造方法。
  5. 無機ガラス製窓板の外周縁に沿って遮蔽材が形成された窓組立体を製造する方法であって、
    前記窓板における前記遮蔽材が形成される部分に、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたアクリル変性ポリプロピレン樹脂、カルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性プロピレン−スチレン共重合樹脂およびカルボキシル基が導入されたアクリル変性プロピレン−スチレン共重合樹脂のうちの一つの酸変性ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解させた接着剤であって前記酸変性ポリプロピレン樹脂および前記溶剤のみからなる接着剤を塗布してなる接着剤層を形成する工程と、
    前記窓板の外周縁と、該窓板から離れて配置された押出ダイとの少なくとも一方を他方に対して移動させつつ、前記窓板の少なくとも外周縁を60〜120℃の温度域に加熱した状態で、該押出ダイのオリフィスからオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を加熱溶融状態で押し出して前記遮蔽材を形成するとともに該遮蔽材を前記窓板外周縁に向けて連続的に供給し、その窓板外周縁に供給された遮蔽材に前記窓板側への圧力を加えて該遮蔽材を前記接着剤層を介して前記窓板に接合する工程と、
    を含む窓組立体の製造方法。
  6. 前記オリフィスから押し出されて前記窓板外周縁に向けて連続的に供給される遮蔽材を、その溶融温度を下回りかつ常温を上回る温度域に維持して前記窓板外周縁に到達させる請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 前記窓板の外周縁の一方の幅広面に前記接着剤層を形成し、前記オリフィスから押し出される前記成形材料が、実質的に遮蔽材の基部が前記一方の幅広面のみを覆うように前記遮蔽材を形成する、請求項1,2,4,5,6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記遮蔽材は、前記成形材料により形成されて前記窓板に接合される基部と、前記成形材料よりも柔軟な突出部成形材料により該基部と一体に形成された突出部とを備え、該基部および該突出部は、前記基部を形成する成形材料と前記突出部を形成する突出部成形材料とを前記押出ダイに別々の流路から供給して形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記窓板の全体を60〜120℃の温度域に加熱した状態で該窓板に前記遮蔽材を接合する、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記オリフィスから前記成形材料を押し出す際に、該オリフィスに長尺状の装飾条片を連続的に供給し、前記成形材料とともに該装飾条片を押し出して外表面に前記装飾条片が配置された前記遮蔽材を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法。
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