JP4128053B2 - バスのインストルメントパネル取付用フレーム構造 - Google Patents

バスのインストルメントパネル取付用フレーム構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バスの前部の車室内面を構成するインストルメントパネルを取付けるフレーム構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バスの前部にはウインドシールドガラスが設けられ、その右側又は左側後方に運転席が設けられる。また、バスの前部左側又は右側には乗降口が設けられ、その乗降口を開閉する扉が更に設けられる。乗降口からは1又は2の階段が形成され、バス中央の進行方向に延びて設けられた通路に乗降口から出入りする乗員が上り下りできるように構成される。バスの前部にはウインドシールドガラスの下縁に上部が連続するインストルメントパネルが車幅方向に延びて設けられる。このインストルメントパネルはバスの車体に設けられたインストルメントパネル取付用フレームに取付けられて車室内面を形成する。インストルメントパネルは車室内面を形成するために、車室内の美観を向上させるような造形が付される。即ち、インストルメントパネルは樹脂成形により曲線美を感ずるように成形される。
【0003】
また、このインストルメントパネルを取付ける従来のフレームは、図4に示すように、車幅方向に延びて設けられたメインフレーム2と、そのメインフレーム2に鉛直方向に固着された複数のサブフレーム3とを備える。このメインフレーム2及び複数のサブフレーム3は金属板を金型を用いたプレス加工により作られ、インストルメントパネルの凹凸に沿った形状にそれぞれ加工される。そして、そのようにプレス加工されたメインフレーム2及び複数のサブフレーム3を固着して、インストルメントパネルの内面における凹凸に沿うようなインストルメントパネル取付用フレーム1が作られる。このインストルメントパネル取付用フレーム1は、ウインドシールドガラスの下縁が取付けられるフロントクロスフレーム4に連結部材6を介して取付けられ、このインストルメントパネル取付用フレーム1にインストルメントパネルを被せてねじ止めすることによりインストルメントパネルはそのフレーム1に取付けられる。
【0004】
一方、バスにはヘッドライトや方向指示器、空調機器や室内照明灯の設備が設けられ、運転席の周囲にこれらの電気設備を操作するスイッチが設けられる。従って、バス前部におけるインストルメントパネル内部にはそれらの電気機器とスイッチ等を連結するためのワイヤハーネスが配索される。従来このワイヤハーネスはインストルメントパネル取付用フレーム1に沿って配索され、そのワイヤハーネスがバスの走行に伴って移動することを防止するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のインストルメントパネル取付用フレーム1は、金型を用いたプレス加工により加工されたメインフレーム2と複数のサブフレーム3とにより作られているため、金型により切断された端縁に鋭利なエッジが形成され、メインフレーム2及び複数のサブフレーム3に沿って配索されたワイヤハーネスがこのエッジにより傷つけられるおそれがあった。この点を回避するために、従来から、メインフレーム2及び複数のサブフレーム3のワイヤハーネスが当接するおそれのある部分にプロテクタを装着し、そのプロテクタによりワイヤハーネスがメインフレーム2及び複数のサブフレーム3のエッジに直接接触しないようにしているけれども、そのプロテクタの装着作業が比較的煩雑である不具合がある。
【0006】
また、バスのデザインが変更されてインストルメントパネルの形状が変更された場合には、そのインストルメントパネルを取付けるフレームも変更する必要があり、その変更されたインストルメントパネルに適したフレームを構成するための金型を新たに作製しなければならない問題点があった。この金型費用は比較的高価であることから、インストルメントパネルの形状が変更された場合には、インストルメントパネル取付用フレームの単価が押し上げられる不具合があった。本発明の目的は、配索されるワイヤハーネスを傷つけないバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造を提供することにある。
本発明の目的は、金型を用いずに簡便に作製でき設計変更に対して安価に対応し得るバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、バス前部において車幅方向に延びて設けられワイヤハーネスが配索されるメインフレーム22と、メインフレーム22に鉛直方向に固着された複数のサブフレーム23とを備えたバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造の改良である。
その特徴ある構成は、メインフレーム22がバスの車幅に相当する長さを有する真直ぐな金属製角チューブであり、複数のサブフレーム23がそれぞれ横断面が四角形からなる金属製角チューブにより形成され、複数のサブフレーム23の一部がバスの進行方向に取付けられた金属製角チューブからなる第1スペーサ26を介してインストルメントパネル19の内面に沿うようにメインフレーム22に固着され、金属製角チューブからなる第2スペーサ27がバスの進行方向に延びて後端縁がインストルメントパネル19の内面に沿うようにサブフレーム23に固着され、かつメインフレーム22,複数のサブフレーム23,第1スペーサ26及び第2スペーサ27を構成する角チューブの全ての角部が丸みを有するところにある。
【0008】
この請求項1に係るバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造では、メインフレーム22,複数のサブフレーム23,第1スペーサ26及び第2スペーサ27がそれぞれ全ての角部が丸みを有する金属製角チューブにより形成されているので、メインフレーム22,複数のサブフレーム23,第1スペーサ26及び第2スペーサ27に沿って配索されたワイヤハーネスがこの丸みを有する角部に当接しても傷つけられることはない。従って、従来のエッジを有するメインフレーム及び複数のサブフレームからワイヤハーネスを保護するプロテクタが不要になり、ワイヤハーネスを配索する作業性を従来に比較して向上させることができる。
【0009】
また、このバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造では、インストルメントパネル19が曲面を有する場合、その曲面によるバス10の進行方向における凹凸に相応する長さの第1スペーサ26を介して複数のサブフレーム23の一部をメインフレーム22に固着することにより、その第1スペーサ26を介してメインフレーム22に固着されたサブフレーム23をインストルメントパネル19の内面に沿わせることができる。これにより曲面を多用したインストルメントパネル19であっても十分に支持し得るフレーム21を得ることができる。
【0010】
更に、このバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造では、インストルメントパネル19が曲面を有する場合、その曲面によるバス10の進行方向における凹凸に相応する長さの第2スペーサ27をサブフレーム23に固着することにより、その第2スペーサ27の後端縁をインストルメントパネル19の内面に沿わせることができる。これにより曲面を多用したインストルメントパネル19であっても十分に支持し得るフレーム21を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図3に示すように、バス10の前部にはウインドシールドガラス11が設けられ、その右側後方に運転席12が設けられる。運転席12の右側には開閉可能な窓13が設けられ、その下方にはヘッドライトや方向指示器、空調機器や室内照明灯などの電気設備を操作する複数のスイッチ14が設けられる。また、バス10の前部左側には乗降口16が設けられ、乗降口16にはその乗降口16を開閉する図示しない扉が更に設けられる。乗降口16からは階段17が運転席12に向かって形成され、バス10中央の進行方向に延びて設けられた通路18に乗降口16から出入りする乗員が上り下りできるように構成される。バス10の前部にはウインドシールドガラス11の下縁に上部が連続するインストルメントパネル19が車幅方向に延びて設けられる。このインストルメントパネル19はバス10の車体に設けられたインストルメントパネル取付用フレーム21に取付けられて車室内面を形成する。インストルメントパネル19は車室内面を形成するために、樹脂成形により美観を向上させるために曲面を有する形で成形される。
【0012】
図1に示すように、このインストルメントパネル19を取付けるインストルメントパネル取付用フレーム21は、車幅方向に延びて設けられたメインフレーム22と、そのメインフレーム22に鉛直方向に固着された複数のサブフレーム23とを備える。メインフレーム22及び複数のサブフレーム23がそれぞれ横断面が四角形からなる金属製角チューブ24(図2)により形成される。この角チューブ24は、図2(a)に示す細長い鋼板24aを実線矢印で示すように丸めて両側縁を当接させて溶接し、図2(b)に示すようにその後4方から破線矢印で示すように押し潰してその横断面を図2(c)に示すように四角形にしたものである。従って、角チューブ24の全ての角部は図2(c)の拡大図に示すように円管を押し潰す際に生じる板厚に相当する丸みを有し、この金属製角チューブ24を所定の長さに切断することによりメインフレーム22及び複数のサブフレーム23が作られる。図1に戻って、メインフレーム22はバス10前部の車幅に相当する長さを有する真直ぐな角チューブ24からなり、この実施の形態では、6本のサブフレーム23が用いられる場合を示す。そして、この金属角チューブ24からなるメインフレーム22及び複数のサブフレーム23を固着して、インストルメントパネル取付用フレーム21が作られる。
【0013】
複数のサブフレーム23の一部である中央部分における3本のサブフレーム23はバス10の進行方向に取付けられた角チューブ24からなる第1スペーサ26を介してメインフレーム22に固着される。第1スペーサ26はインストルメントパネル19の曲面を形成するバス10の進行方向における凹凸に相応する長さを有し、第1スペーサ26を介してメインフレーム22に固着されたサブフレーム23がインストルメントパネル19の内面に沿うように構成される。また、バス10左側の乗降口16近傍のサブフレーム23にはバス10の進行方向に金属製角チューブ24からなる第2スペーサ27が更に固着され、その後端縁がインストルメントパネル19の前面に当接するように構成される。ここで、図1における符号28はウインドシールドガラス11の下縁が取付けられるフロントクロスフレーム28であり、符号29はそのフロントクロスフレームを支持するフロント支持フレーム29である。
【0014】
このインストルメントパネル取付用フレーム21にインストルメントパネル19を取付けるには、インストルメントパネル19をそのフレーム21に被せ、図示しないねじを用いてインストルメントパネル19をそのフレーム21に取付ける。このインストルメントパネル19内部には電気機器とスイッチ等を連結するための図示しないワイヤハーネスがインストルメントパネル取付用フレーム21に沿って配索され、そのワイヤハーネスがバス10の走行に伴って移動することが防止される。
【0015】
このようなバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造では、メインフレーム22及び複数のサブフレーム23がそれぞれ全ての角部が丸みを有する金属製角チューブ24により形成されているので、メインフレーム22及び複数のサブフレーム23に沿って配索されたワイヤハーネスがこの丸みを有する角部に当接しても傷つけられることはない。従って、従来のエッジを有するメインフレーム22及び複数のサブフレーム23からワイヤハーネスを保護するプロテクタが不要になり、ワイヤハーネスを配索する作業性を従来に比較して向上させることができる。
【0016】
また、複数のサブフレーム23の一部を第1スペーサ26を介してメインフレーム22に固着し、サブフレーム23に第2スペーサ27を更に固着したので、その第1スペーサ26を介してメインフレーム22に固着されたサブフレーム23及び第2スペーサ27の後端縁を曲面を有するインストルメントパネル19の内面に沿わせることができる。このように、第1及び第2スペーサ26,27の長さを調整することにより、曲面を多用したインストルメントパネル19であっても十分に支持することができる。
【0017】
更に、バス10のデザインの変更に伴うインストルメントパネル19の形状変更がされた場合には、角チューブ24から成るメインフレーム22,複数のサブフレーム23,第1スペーサ26及び第2スペーサ27の長さを変更し、かつそれらの固着位置を変更するだけで比較的容易に変更後のインストルメントパネル19を取付けることができる。即ち、本発明のバスのインストルメントパネル取付用フレーム21は金型を必要としない。このため、インストルメントパネルの形状が変更されても、従来必要とされた新たな金型の作製は不要となり、従来に比較してデザイン変更に伴ってインストルメントパネル取付用フレーム21の単価が押し上げられることはない。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、メインフレーム及び複数のサブフレームをそれぞれ全ての角部が丸みを有する金属製角チューブにより形成するので、メインフレーム及び複数のサブフレームに沿って配索されたワイヤハーネスがこの丸みを有する角部に当接しても傷つけられることはない。従って、従来のエッジを有するメインフレーム及び複数のサブフレームからワイヤハーネスを保護するプロテクタが不要になり、ワイヤハーネスを配索する作業性を従来に比較して向上させることができる。
【0019】
また、複数のサブフレームの一部を第1スペーサを介してメインフレームに固着し、サブフレームに第2スペーサを更に固着すれば、その第1スペーサを介してメインフレームに固着されたサブフレーム及び第2スペーサの後端縁を曲面を有するインストルメントパネルの内面に沿わせることができ、第1及び第2スペーサの長さを調整することにより、曲面を多用したインストルメントパネルであっても十分に支持することが可能になる。
更に、本発明のバスのインストルメントパネル取付用フレームは金型を必要としないので、インストルメントパネルの形状が変更されても、従来必要とされた新たな金型の作製は不要となり、設計変更に対して安価に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインストルメントパネル取付用フレームを示す斜視図。
【図2】そのフレームに用いられる角チューブの製造工程を示す断面図。
【図3】そのフレームにインストルメントパネルが取付けられた状態を示す斜視図。
【図4】従来のインストルメントパネル取付用フレームを示す図1に対応する斜視図。
【符号の説明】
21 インストルメントパネル取付用フレーム
22 メインフレーム
23 サブフレーム
24 金属製角チューブ
26 第1スペーサ
27 第2スペーサ

Claims (1)

  1. バス前部において車幅方向に延びて設けられワイヤハーネスが配索されるメインフレーム(22)と、前記メインフレーム(22)に鉛直方向に固着された複数のサブフレーム(23)とを備えたバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造において、
    前記メインフレーム(22)がバスの車幅に相当する長さを有する真直ぐな金属製角チューブであり、
    前記複数のサブフレーム(23)がそれぞれ横断面が四角形からなる金属製角チューブにより形成され、
    前記複数のサブフレーム(23)の一部がバスの進行方向に取付けられた金属製角チューブからなる第1スペーサ(26)を介してインストルメントパネル(19)の内面に沿うように前記メインフレーム(22)に固着され、
    金属製角チューブからなる第2スペーサ(27)がバスの進行方向に延びて後端縁が前記インストルメントパネル(19)の内面に沿うように前記サブフレーム (23)に固着され、
    かつ前記メインフレーム(22),前記複数のサブフレーム(23),前記第1スペーサ(26)及び前記第2スペーサ(27)を構成する角チューブの全ての角部が丸みを有する
    ことを特徴とするバスのインストルメントパネル取付用フレーム構造。
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