JP4127808B2 - 測距装置 - Google Patents

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Description

本発明は、AF(Auto Focus)カメラやビデオカメラなどに使用される測距装置に関するものである。
AF(Auto Focus)カメラやビデオカメラに使用される測距装置の測距方式として、被写体像にある程度の明るさおよびコントラストがあれば近距離から遠距離までの測距が可能な、いわゆるパッシブ測距方式が従来一般に知られている。
このパッシブ測距方式は、被写体からの外光による一対の被写体像が結像された一対の受光センサの出力信号に基づいて相関演算を実行し、この相関演算により得られた相関値のうち最大の相関度を示す最小極小値(ピーク値)に基づいて被写体までの距離を演算する方式であり、被写体までの距離を的確に演算するため、通常、カメラの視野を複数に分割した各測距エリアごとに相関演算が実行される。
このパッシブ測距方式では、一般に、一対の受光センサ(ラインセンサ)の出力信号を蓄積(積分)して一対のセンサデータを生成し、この一対のセンサデータを相関演算用にA/D変換して格納する。そして、格納した一対のセンサデータから相関演算に使用する一対のデータを読み出す範囲としての一対のウインドウを相対的に順次シフトさせながら一対のデータを順次読み出して相関演算を実行し、相関演算により得られた相関値のうち最大の相関度を示す最小極小値(ピーク値)に対応したウインドウのシフト量に基づいて被写体までの距離を演算している。
この種のパッシブ測距方式の測距装置として、ある測距エリアにおいて先に行った相関演算の結果、相関度が最大となる相関値の最小極小値が存在した場合、この最小極小値に対応するウインドウのシフト量より小さいシフト範囲(被写体までの距離より遠方の範囲)については、原則として他の測距エリアにおいて後で相関演算を実行する際にウインドウのシフトを制限して相関演算の一部を省略させることにより、全体の測距時間を短縮するようにした測距装置も知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の測距装置では、ある測距エリアにおいて先に行った相関演算により得られた相関値の最大の相関度を示す最小極小値の信頼性を高めるため、所定値(相関度の基準値)より小さい最小極小値は、他の測距エリアにおいて後で相関演算を実行する際に相関演算の一部を省略させるための最小極小値として採用しないようにしている。
特開2002−311327号公報
ところで、特許文献1に記載の測距装置においては、ある測距エリアについて先に実行された相関演算により得られた最大の相関度を示す最小極小値の信頼性の有無を判定するに当たり、被写体像のコントラストの高低を全く考慮していないため、被写体像のコントラストの高低によって判定結果が異なることがある。その結果、他の測距エリアにおいて後で相関演算を実行する範囲が不用意に省略されてしまうこともあり、この場合には、測距精度が低下するという問題が発生する。
すなわち、相関演算により得られた相関度を示すグラフは、図9に示すように、被写体像のコントラストが高いほど相関値が拡大されるため、相関演算された領域の同じウインドウシフト量に対応する最小極小値であっても、コントラストが低い場合には相関度の基準値より小さい値となって信頼性の高い最小極小値として判定され、コントラストが高い場合には相関度の基準値より大きい値となって信頼性の低い最小極小値として判定されるというように判定結果が異なることがあり、その結果、測距精度が低下するという問題が発生する。
また、特許文献1に記載の測距装置では、他の測距エリアにおいて相関演算の一部を省略させた領域に相関度の高い真の最小極小値があった場合、その真の極小値を検出することができないため、被写体までの正確な距離を測定できず、測距精度が低下するという問題がある。
例えば、一対の受光センサ(ラインセンサ)に結像される被写体像が繰り返しの絵柄などであって、図10に示すように、他の測距エリアの相関演算が行われた領域と相関演算が省略された領域にそれぞれ極小値があり、相関演算が省略された領域の極小値が真の最小極小値である場合、相関演算が省略された領域の真の最小極小値を検出することができない結果、被写体までの距離を正確に測定できず、測距精度が低下するという問題が発生する。
そこで、本発明は、測距精度を落とさずに測距時間を短縮できる測距装置を提供することを課題とする。
本発明に係る測距装置は、測距対象物からの外光による一対の画像が結像された一対の受光センサの出力信号に基づいて測距エリアごとに順次相関演算を実行し、各測距エリアの相関演算により得られた相関値のうち最大の相関度を示す極小値に基づいて測距対象物までの距離を演算するパッシブ測距方式の測距装置であって、各測距エリアごとに相関演算された相関値のうち最小値を示す極小値を相関度の基準値と比較し、この基準値より小さい極小値を測距演算用に有効な有効極小値として認定する有効極小値認定手段と、各測距エリアごとに認定された有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を演算する距離演算手段と、先に相関演算を実行した測距エリアに有効極小値が存在する場合、後に相関演算を実行する測距エリアの相関演算については、有効極小値に基づいて演算される最も近い距離より所定量以上遠方となる特定距離範囲の相関演算を省略させる相関演算制限手段とを備え、有効極小値認定手段は、測距対象物の画像のコントラストの高低に応じ、コントラストが高いときには相関度の基準値を高い値に設定し、コントラストが低いほど基準値を低い値に設定するように構成され、相関演算制限手段は、特定距離範囲を除く範囲について後に相関演算が実行された測距エリアに前記の有効極小値が存在する場合、その測距エリアについて特定距離範囲の相関演算を省略させることなく実行させるように構成されていることを特徴とする。
本発明に係る測距装置では、有効極小値認定手段により、各測距エリアごとに相関演算された相関値のうち最小値を示す極小値が相関度の基準値と比較され、この基準値より小さい極小値が測距演算用に有効な有効極小値として認定される。その際、相関度の基準値が測距対象物の画像のコントラストに応じ、コントラストが高いときには高い値に設定され、コントラストが低いほど低い値に設定される。従って、測距演算用に有効な有効極小値を認定する際の認定結果が測距対象物の画像のコントラストに影響されるという事態が解消され、測距対象物の画像のコントラストの高低に拘わらず測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
そして、相関演算制限手段により、先に相関演算を実行した測距エリアに有効極小値が存在する場合、後に相関演算を実行する測距エリアの相関演算については、有効極小値に基づいて演算される最も近い距離より所定量以上遠方となる特定距離範囲の相関演算が省略されるため、全体の測距時間が短縮される。
本発明において、相関演算制限手段は、先に相関演算を実行した測距エリアに存在する有効極小値がエラー判定された場合、エラー判定に係る有効極小値に基づく特定距離範囲の相関演算の省略を解除するように構成されているのが好ましい。このように構成された相関演算制限手段を備える測距装置では、後に相関演算が実行される測距エリアの特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値を確実に検出すことが可能となり、この有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
また、本発明において、特定距離範囲を除く範囲について後に相関演算が実行された測距エリアに有効極小値が存在する場合、その測距エリアについて相関演算制限手段が特定距離範囲の相関演算を省略させることなく実行させるため、特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値を検出すことが可能となり、この有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
本発明に係る測距装置においては、各測距エリアごとに相関演算された相関値のうち最小値を示す極小値が相関度の基準値と比較され、これより小さい極小値が測距演算用に有効な有効極小値として認定される際、相関度の基準値が測距対象物の画像のコントラストに応じ、コントラストが高いときには高い値に設定され、コントラストが低いほど低い値に設定される。従って、本発明の測距装置によれば、測距演算用に有効な有効極小値を認定する際の認定結果が測距対象物の画像のコントラストに影響されるという事態が解消され、測距対象物の画像のコントラストの高低に拘わらず測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となり、その測距精度を向上させることができる。
一方、先に相関演算を実行した測距エリアに有効極小値が存在する場合、後に相関演算を実行する測距エリアの相関演算については、有効極小値に基づいて演算される最も近い距離より所定量以上遠方となる特定距離範囲の相関演算が省略されるため、全体の測距時間を短縮することができる。そして、このような場合においても、特定距離範囲を除く範囲について後に相関演算が実行された測距エリアに有効極小値が存在する場合には、特定距離範囲の相関演算が省略されることなく実行されるため、特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値を検出すことが可能となり、この有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明に係る測距装置の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。図2は図1に示したラインセンサとウインドウのシフト操作との関係を示す模式図である。
一実施形態に係る測距装置は、例えばAF(Auto Focus)カメラやビデオカメラなどにおいて、撮影レンズから測距対象物までの距離を演算するために使用される測距装置である。この測距装置は、図1に示すように、相互に並列に配置された左右一対の測距用レンズ1A−L,1A−Rと、測距用レンズ1A−L,1A−Rを通して測距対象物Sの画像がそれぞれ結像される受光センサとしての左右一対のラインセンサ1B−L,1B−Rと、このラインセンサ1B−L,1B−Rからの信号を処理する信号処理回路1Cとを備えたラインセンサユニット1、および、このラインセンサユニット1の信号処理回路1Cから出力されるセンサデータに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算処理する測距演算装置2などを備えて構成されている。
ラインセンサ1B−L,1B−Rは、例えば234個などの多数に分割されたフォトダイオードなどのセル(画素)が直線状に配列されて構成される。ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルは、それぞれの受光面に結像された測距対象物Sの画像の光量を光電変換することにより、測距対象物Sの画像の輝度信号を信号処理回路1Cに出力する。
ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルには、その出力信号を取り出す際に使用されるセル番号が付される。例えば左側のラインセンサ1B−Lの各セルには、図の左側から順にL1〜L234のセル番号が付され、右側のラインセンサ1B−Rでは図の左側から順にR1〜R234のセル番号が付される。なお、左右のラインセンサ1B−L,1B−Rの先頭側の5個および末尾側の5個のセルは、いわゆるダミーのセルであるため、左側のラインセンサ1B−Lの有効画素数はL6〜L229の224個となり、右側のラインセンサ1B−Rの有効画素数はR6〜R229の224個となる。
信号処理回路1Cは、後述する測距演算装置2のラインセンサ制御部2Aからの指令信号に応じてラインセンサ1B−L,1B−Rを制御し、ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルからセル番号と関連付けて輝度信号を入力する。そして、この信号処理回路1Cは、入力した輝度信号を積分(加算)処理することにより、相関演算に使用するためのセンサデータを各セル毎にセル番号に関連付けて生成する。ちなみに、このセンサデータは、測距対象物Sの画像が明るいほど低く、暗いほど高い値を示す。
測距演算装置2は、マイクロコンピュータのハードウェアおよびソフトウェアを利用して構成される。この測距演算装置2は、信号処理回路1Cから入出力インターフェースを介して入力されるアナログ信号のセンサデータをデジタル信号に変換するA/D変換部2Bの他、このA/D変換部2Bにより変換されたデジタル信号のセンサデータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、測距対象物Sまでの距離を演算するためのプログラムやデータが格納されたROM(Read Only Memory)、このROMに格納されたプログラムを実行することにより、ROMおよびRAMに記憶されたデータに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算するための各種の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)などの図示しないハードウェアを備えている。
この測距演算装置2には、信号処理回路1Cが生成したセンサデータに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算するため、ラインセンサ制御部2Aの他、センサデータ格納部2C、相関演算制限手段としてのウインドウシフト制限部2D、相関演算部2E、ウインドウシフト部2F、有効極小値認定手段としての有効極小値認定部2G、測距エラー判定部2H、距離演算手段としての距離演算部2Iなどがソフトウェアとして構成されている。
センサデータ格納部2Cは、信号処理回路1Cにより生成された一対のセンサデータをA/D変換部2BによりA/D変換して入力し、これらのセンサデータをラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルの番号と関連付けたセンサデータとして格納する。
ウインドウシフト部2Fは、センサデータ格納部2Cに格納されたセンサデータから相関演算に使用する一対のセンサデータを読み出すための一対のウインドウWL,WRのシフト操作を制御する。
このウインドウシフト部2Fは、ラインセンサ1B−L,1B−R上にそれぞれ一部重複して設定されたセンサ領域である中央エリアM、左エリアL、右エリアRの各測距エリア単位ごとにセンサデータ格納部2Cから一群のセンサデータをそれぞれ読み出して相関演算させるように一対のウインドウWL,WRのシフト操作を制御する(図2参照)。この場合、ウインドウシフト部2Fは、例えば中央エリアM、左エリアL、右エリアRの順に一対のウインドウWL,WRのシフト操作を制御する。
ここで、図2に示すラインセンサ1B−L,1B−Rの中央エリアM,Mにおけるシフト操作において、ウインドウシフト部2Fは、左側のラインセンサ1B−Lに対応したウインドウWLを中央エリアMの右端の初期位置に対応する位置から左端の最大シフト位置に対応する位置へと順次1づつシフトさせ、右側のラインセンサ1B−Rに対応したウインドウWRを中央エリアMの左端の初期位置に対応する位置から右端の最大シフト位置に対応する位置へと順次1づつシフトさせる。その際、ウインドウシフト部2Fは、ウインドウWL,WRを交互に1づつシフト操作する。
なお、ウインドウシフト部2Fによるラインセンサ1B−L,1B−Rの左エリアL,Lおよび右エリアR,Rにおけるシフト操作は、中央エリアM,Mにおけるシフト操作と略同様であるため、詳細な説明は省略する。
図1に示した相関演算部2Eは、ラインセンサ1B−L,1B−R上にそれぞれ設定された各測距エリアM,L,R(図2参照)単位で一対のウインドウWL,WRが交互に1づつ相対的にシフト操作されるごとに、センサデータ格納部2Cから一群のセンサデータを読み出して相関演算を実行する。
この相関演算は、一方のウインドウWLにより読み出された一群のセンサデータと、他方のウインドウWRにより読み出された一群のセンサデータとの間における各センサデータ同士の差分の絶対値を求め、その絶対値の総和を相関値として求めるものである。この相関値は、値が小さいほど相関度が高く、一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像された測距対象物Sの画像が相互に似ていることを示す。
ここで、測距対象物Sが遠距離に位置する場合には、一対の測距用レンズ1A−L,1A−Rを通して一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像される測距対象物Sの一対の画像の位置ズレが小さくなり、測距対象物Sが近距離に位置するほど、一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像される測距対象物Sの一対の画像の位置ズレが大きくなる。そして、一対の画像の位置ズレの大小は、一対の画像が相互に似ていることを示す相関度が最大となるまでの一対のウインドウWL,WRのシフト量、換言すれば、相関演算により得られた相関値が最小極小値またはピーク値となるに至るまでの一対のウインドウWL,WRのシフト量として検出することができる。
そこで、図1に示した距離演算部2Iは、基本的には図3のグラフに示すように、相関演算部2Eにより相関演算された相関値の最小極小値minに対応するウインドウWL,WRのシフト量xに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算する。この距離演算部2Iは、後述する有効極小値認定手段によってラインセンサ1B−L,1B−Rの各測距エリアM,L,R(図2参照)単位で認定された有効極小値に基づいてそれぞれ測距対象物Sまでの距離を演算し、得られた距離のうち最も近い距離を基準距離とした所定の平均化処理により測距対象物Sまでの距離を決定する。
なお、距離演算部2Iは、測距対象物Sまでの距離をより詳細に演算するため、相関値の有効極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量と、その前後2つのシフト量に対応する相関値とに基づいて相関値の補間値演算を実施する。そして、この補間値に対応するシフト量に基づき、距離演算部2Iは、一対の測距用レンズ1A−L,1A−Rと一対のラインセンサ1B−L,1B−Rとの間隔、一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの中心間距離、一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルのピッチ間隔などのパラメータを参照して測距対象物Sまでの距離を演算する。
図1に示した有効極小値認定部2Gは、ラインセンサ1B−L,1B−Rの各測距エリアM,L,R(図2参照)単位ごとに相関演算された相関値のうち、最小値を示し、かつ、極小値を示す相関値を相関度の所定の基準値SLと比較し、この基準値SLより小さい最小の極小値を測距演算に有効な有効極小値として認定する。
ここで、有効極小値認定部2Gは、相関値の最小値を示す極小値に対応したシフト量におけるウインドウWL,WR内のセンサデータに基づき、その最大値と最小値との差によって測距対象物Sの画像のコントラストの高低を判定する。そして、この有効極小値認定部2Gは、測距対象物Sの画像のコントラストの高低に応じ、コントラストが高いときには相関度の基準値SLを高い値に設定し、コントラストが低いほど相関度の基準値SLを低い値に設定する。すなわち、有効極小値認定部2Gは、図4に示すように、測距対象物Sの画像のコントラストが所定の高い値に達するまでの間、そのコントラストの増大に応じて相関度の基準値SLを比例的に増大させ、コントラストが所定値を超えると、相関度の基準値SLを一定値に保持する。
ウインドウシフト制限部2D(図1参照)は、例えば図5のグラフに実線で示すように、相関演算部2Eが先に相関演算を実行した測距エリア(例えば中央エリアM,M)内の相関値に有効極小値認定部2Gが認定した有効極小値mMが存在する場合、この有効極小値mMに対応するウインドウWL,WRのシフト量より所定量以上小さいシフト範囲(図5に砂地模様で示す領域)、換言すれば、有効極小値mMに対応するウインドウWL,WRのシフト量に基づいて演算される距離より所定距離範囲以上遠方となる特定距離範囲については、他の測距エリア(例えば左エリアL,L)において相関演算部2Eが後で相関演算を実行する際に、ウインドウシフト部2FによるウインドウWL,WRのシフト操作を制限して相関演算の一部を省略させる。すなわち、左エリアL,Lに対応したウインドウWL,WRのシフト範囲において、測距対象物Sまでの距離より所定量以上遠方となる初期位置側の範囲でのウインドウWL,WRのシフトを制限する。
ここで、ウインドウシフト制限部2D(図1参照)は、先に相関演算を実行した測距エリア内で認定された有効極小値(例えば中央エリアM,M内で認定された有効極小値mM(図5参照))が測距エラー判定部2H(図1参照)によりエラー判定された場合、前述した特定距離範囲(図5に砂地模様で示す領域)の相関演算の省略を解除するように構成されている。
測距エラー判定部2H(図1参照)による有効極小値のエラー判定は、(1)先に相関演算を実行した測距エリアにおいて有効極小値認定部2Gにより判定される測距対象物Sの画像のコントラストが低すぎる場合、(2)先に相関演算を実行した測距エリアにおいて相関演算部2Eによりセンサデータ格納部2Cから読み出される左右のセンサデータに差がある場合、(3)先に相関演算を実行した測距エリアにおいて相関演算部2Eにより相関演算された相関値に相互差が小さい2つ以上の極小値が存在する場合、(4)先に相関演算を実行した測距エリアにおいて相関演算部2Eにより相関演算された最小値を示す極小値と、これに対応するウインドウWL,WRのシフト量の前後2つのシフト量に対応する相関値との差が小さい場合などになされる。
また、ウインドウシフト制限部2Dは、前述した特定距離範囲を除く範囲について後に相関演算が実行された測距エリア内の相関値に前述した有効極小値が存在する場合、その測距エリアについて特定距離範囲の相関演算を実行させるように構成されている。例えば中央エリアM,Mの後に相関演算が実行される左エリアL,Lにおいて、図5に砂地模様で示す特定距離範囲を除いた範囲の相関演算の結果、有効極小値認定部2Gにより認定される有効極小値mLが存在する場合、その左エリアL,Lついては、図5に砂地模様で示す特定距離範囲についても相関演算を実行させるように構成されている。左エリアL,Lの後に相関演算が実行される右エリアR,Rにおいても同様である。
以上のように構成された一実施形態の測距装置においては、ラインセンサユニット1の一対の測距用レンズ1A−L,1A−Rを通して一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの受光面に測距対象物Sの画像が結像されると、信号処理回路1Cは、測距演算装置2のラインセンサ制御部2Aからの要求信号に応じて一対のラインセンサ1B−L,1B−Rから測距対象物Sの画像に応じた輝度信号を入力し、入力した輝度信号を積分(加算)処理することにより、相関演算用に使用するための一対のセンサデータを生成する。そして、測距演算装置2のセンサデータ格納部2Cが信号処理回路1Cにより生成された一対のセンサデータをA/D変換部2BによりA/D変換して入力し、これらのセンサデータをラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルの番号と関連付けたセンサデータとして格納する。
その後、測距演算装置2においては、図6〜図8に示すフローチャートの処理手順に沿って測距対象物Sまでの距離が演算される。まず、図6のメインルーチンのフローチャートに示すように、ラインセンサ1B−L,1B−Rの中央エリアM,M(図2参照)に結像された測距対象物Sの一対の画像のセンサデータに基づく中央エリアMの距離算出処理が実行され(S1)、次に、ラインセンサ1B−L,1B−Rの左エリアL,L(図2参照)に結像された測距対象物Sの一対の画像のセンサデータに基づく左エリアLの距離算出処理が実行され(S2)、続いて、ラインセンサ1B−L,1B−Rの右エリアR,R(図2参照)に結像された測距対象物Sの一対の画像のセンサデータに基づく右エリアRの距離算出処理が実行される(S3)。
そして、次のステップS4では、ステップS1〜S3で算出された中央エリアMにおける距離、左エリアLにおける距離および右エリアRにおける距離に基づいて測距対象物Sまでの最終的な距離を演算する最終測距処理が実行される。この最終測距処理では、中央エリアM、左エリアL、右エリアRにおける算出距離のうち、最も近距離となった算出距離を基準として、この基準距離から予め遠方側へ設定された所定距離範囲にある他の測距エリアにおける算出距離との差をそれぞれ求め、得られたそれぞれの距離差の平均値を基準距離に加算して最終的な測距結果とする。
ここで、図6に示したステップS1〜S3のサブルーチンにおいては、図7のフローチャートに示すステップS11〜S23の処理が実行される。まず、図6のステップS1に示した中央エリアMの距離算出処理において、図7に示すステップS11では、ラインセンサ1B−L,1B−Rの中央エリアM,Mに結像された測距対象物Sの一対の画像を対象として、ウインドウWL,WRのシフト範囲であるD_Nstart〜n最大値の範囲で相関演算が実行される。この場合、中央エリアMは最初の測距エリアであるため、D_Nstartの初期値はシフト量の最小値であるn最小値となり、中央エリアM,Mに対応したウインドウWL,WRのシフト範囲の全域にわたって相関演算が実行される。
続くステップS12では、D_Nstart≠n最小値であるか否かが判定される。ここで、中央エリアMではD_Nstart=n最小値であるため、NOと判定されてステップS16に進む。
ステップS16では、極小値検出2として、ステップS11で相関演算された範囲にある相関値の最小値、極小値、極小値の数、極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量が検出される。そして、これらの検出値に基づいて、次のステップS17では測距演算用に有効な極小値が存在するか否かが判定される。
ステップS17の判定処理には、図8に示すステップS31〜S34の一連の処理が含まれており、まず、ステップS31では、極小値の数が1個以上であるか否かが判定され、判定結果がYESであって極小値が1個以上存在する場合には、次のステップS32に進む。
ステップS32では、極小値が相関演算された範囲における最小値であるか否かが判定され、判定結果がYESであって極小値が最小値である場合には、次のステップS33に進む。
ステップS33では、最小値を示す極小値を測距演算用に有効な有効極小値として認定するための相関度の基準値SLが設定される(図5参照)。この基準値SLは、図4に示すように、測距対象物Sの画像のコントラストに応じ、コントラストが所定の高い基準値に達するまでの間はコントラストの増大に応じて比例的に増大され、コントラストが基準値を超えると一定値に保持される。すなわち、基準値SLは、測距対象物Sの画像のコントラストが高いときには高い値に設定され、コントラストが低いほど低い値に設定される。
ステップS33に続くステップS34では、最小値を示す極小値が相関度の基準値SLより小さいか否かが判定される。判定結果がYESであって最小値を示す極小値が相関度の基準値SLより小さい場合には、中央エリアMに有効極小値mM(図5参照)が存在するものと認定されるため、図7に示したステップS17の判定結果がYESとなり、次のステップS18に進んで補間値演算が実行される。
一方、図8に示したステップS31、ステップS32、ステップS34の判定結果がそれぞれNOであって有効な極小値が存在しない場合には、図7に示したステップS17の判定結果がNOとなり、測距時間を短縮するためステップS18〜ステップS23の一連の処理を省略して図6のステップS1に示した中央エリアMの距離算出処理を終了し、次のステップS2に進んで左エリアLの距離算出処理が実行される。
このように、図6のステップS33において設定される相関度の基準値SLは、測距対象物Sの画像のコントラストが高いときには高い値に設定され、コントラストが低いほど低い値に設定されるため、図7のステップS17の判定結果、すなわち、測距演算用に有効な極小値が存在するか否かの判定結果が測距対象物Sの画像のコントラストに影響されるという事態が解消される。従って、一実施形態の測距装置によれば、測距対象物Sの画像のコントラストの高低に拘わらず測距対象物Sまでの距離を適切に測定することが可能となる。
図7のステップS17に続くステップS18の補間値演算では、ステップS17で認定された中央エリアMの有効極小値mM(図5参照)と、この有効極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量の両側の2つのシフト量に対応する2つの相関値とを用いてシフト量の補間値を求める。
続くステップS19では、前述した測距エラー判定部2H(図1参照)により測距エラーの有無が判定され、判定結果がYESであって測距エラーと判定された場合には、測距時間を短縮するためステップS18〜ステップS23の一連の処理を省略して図6に示したステップS1の処理を終了し、次のステップS2の処理に進む。
このように、ステップS19で測距エラーの判定がなされると、後述するステップS22によるD_Nstartの初期値の更新がなされないため、D_Nstartの初期値はシフト量の最小値であるn最小値となる。その結果、後で相関演算が実行される左エリアLにおいては、ウインドウWL,WRのシフト範囲の全域にわたって相関演算が実行されることとなり、左エリアLに存在する可能性のある有効極小値を確実に検出すことができ、この有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
一方、ステップS19の判定結果がNOであって、測距エラーでない場合には、次のステップS20に進んで測距エリアが最後に相関演算を実行する右エリアRであるか否かが判定される。この場合、測距エリアが中央エリアMであるため、ステップS20の判定結果がNOとなって次のステップS21に進む。
ステップS21では、中央エリアMの有効極小値mM(図5参照)に対応するウインドウWL,WRのシフト量xがステップS11におけるD_Nstartの初期値より所定量以上大きいか否かが判定される。そして、測距エリアが中央エリアMであれば、シフト量xがD_Nstartの初期値n最小値より所定量以上大きい場合に判定結果がYESとなって次のステップS22に進み、判定結果がNOの場合には、ステップS22を省略してステップS23に進む。
ステップS22では、中央エリアMの後に相関演算が実行される左エリアLにおおいて、その相関演算の一部を省略させるため、ウインドウWL,WRのシフト範囲の開始位置であるD_Nstartの初期値を(シフト量x−所定量)に更新する。
続くステップS23では、ステップS18で求めたシフト量xに基づき、一対の測距用レンズ1A−L,1A−Rと一対のラインセンサ1B−L,1B−Rとの間隔、一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの中心間距離、一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルのピッチ間隔、温度条件などのパラメータを参照して中央エリアMにおける測距対象物Sまでの距離を算出する。
そして、ステップS23で中央エリアMにおける測距対象物Sまでの距離が算出されると、図6のステップS1に示した中央エリアMの距離算出処理が完了し、続いて、図6のステップS2に示した左エリアLの距離算出処理が図7のフローチャートに沿って実行される。
まず、図7に示すステップS11では、ラインセンサ1B−L,1B−Rの左エリアL,Lに結像された測距対象物Sの一対の画像を対象として、ウインドウWL,WRのシフト範囲であるD_Nstart〜n最大値の範囲で相関演算が実行される。
ここで、前述した中央エリアMの距離算出処理において、図7のステップS17の判定結果がNOの場合、ステップS19の判定結果がYESの場合およびステップS21の判定結果がNOの場合には、ステップS22によるD_Nstartの初期値の更新がなされないため、D_Nstartの初期値はシフト量の最小値であるn最小値となり、ステップS11では、左エリアL,Lに対応したウインドウWL,WRのシフト範囲の全域にわたって相関演算が実行される。また、この場合には、D_Nstart=n最小値であるため、ステップS12の判定結果がNOとなり、以後、ステップS16〜S23までの処理が前述した中央エリアMにおける処理と同様になされる。
一方、前述した中央エリアMの距離算出処理において、図7のステップS22によりD_Nstartの初期値が(シフト量x−所定量)に更新されると、ステップS11では、左エリアL,Lに対応したウインドウWL,WRのシフト範囲において、(シフト量x−所定量)〜n最大値の範囲で相関演算が実行される。すなわち、D_Nstartを(シフト量x−所定量)としたn最小値〜D_Nstart−1の範囲の相関演算(中央エリアMにおいて算出された測距対象物Sまでの距離より所定量距離範囲以上遠方となる特定距離範囲の相関演算)が省略されるため(図5参照)、全体の測距時間が短縮される。
その後、ステップS12では、D_Nstartの初期値が(シフト量x−所定量)であってD_Nstart≠n最小値であるため、YESと判定されて次のステップS13からステップS14へと進む。
ステップS13では、極小値検出1として、ステップS11で相関演算された範囲にある相関値の最小値、極小値、極小値の数、極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量が検出される。そして、これらの検出値に基づいて、次のステップS14では測距演算用に有効な極小値が存在するか否かが判定される。
ステップS14の判定処理には、図8に示すステップS31〜S34の一連の処理が含まれており、前述したステップS17と同様にして左エリアLに有効極小値mL(図5参照)が存在するか否かが判定される。そして、ステップS14の判定結果がNOであって測距演算用に有効な極小値が左エリアLに存在しない場合には、測距時間を短縮するためステップS15〜ステップS23の一連の処理を省略して図6のステップS2に示した左エリアLの距離算出処理を終了し、次のステップS3に進んで右エリアRの距離算出処理が実行される。
一方、ステップS14の判定結果がYESであって測距演算用に有効な有効極小値mLが左エリアLに存在する場合には、次のステップS15に進み、ステップS11で相関演算が省略された特定距離範囲(図5参照)の相関演算が改めて実行される。すなわち、左エリアL,Lに対応したウインドウWL,WRのシフト範囲において、D_Nstartを(シフト量x−所定量)としたn最小値〜D_Nstart−1の範囲の相関演算が改めて実行される。このため、相関演算が省略された特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値を検出すことが可能となり、この有効極小値に基づいて測距対象物Sまでの距離を適切に演算することが可能となる。
ステップS15の相関演算が終了すると、ステップS16に進み、ステップS15で相関演算された範囲にある相関値の最小値、極小値、極小値の数、極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量が検出される。そして、これらの検出値に基づいて、次のステップS17では左エリアLの測距演算用に有効な極小値が存在するか否かが判定される。
以後、ステップS18〜S23までの処理が前述した中央エリアMにおける処理と同様になされる。そして、ステップS23で左エリアLにおける測距対象物Sまでの距離が算出されると、図6のステップS2に示した左エリアLの距離算出処理が完了し、続いて、図6のステップS3に示した右エリアRの距離算出処理が図7のフローチャートに沿って実行される。
まず、図7に示すステップS11では、ラインセンサ1B−L,1B−Rの右エリアR,Rに結像された測距対象物Sの一対の画像を対象として、ウインドウWL,WRのシフト範囲であるD_Nstart〜n最大値の範囲で相関演算が実行される。
以後、この右エリアRの距離算出処理においては、ステップS20の判定結果がYESとなってステップS21およびステップS22の処理が省略される点を除き、前述した左エリアLの距離算出処理と略同様に処理される。すなわち、先に相関演算が実施された中央エリアMの距離算出処理におけるテップS17、ステップS19およびステップS21の判定結果と、先に相関演算が実施された左エリアLの距離算出処理におけるステップS14、ステップS17、ステップS19およびステップS21の判定結果とを反映した距離算出処理が行われる。
従って、右エリアRの距離算出処理においては、中央エリアMにエラー判定されない有効極小値mMが存在する場合、その有効極小値mMに基づく特定距離範囲の相関演算が省略される。同様に、左エリアLにエラー判定されない有効極小値mLが存在する場合、その有効極小値mLに基づく特定距離範囲の相関演算が省略される。
一方、中央エリアMおよび左エリアLのいずれにも有効極小値が存在しない場合と、中央エリアMに存在する有効極小値mMおよび左エリアLに存在する有効極小値mLのいずれもがエラー判定された場合には、右エリアRの距離算出処理における特定距離範囲の相関演算の省略が解除されるため、ステップS11では、右エリアR,Rに対応したウインドウWL,WRのシフト範囲の全域にわたって相関演算が実行される。
なお、右エリアRの距離算出処理において、中央エリアMまたは左エリアLのいずれかにエラー判定されない有効極小値が存在する場合には、そのエラー判定されない有効極小値に基づく特定距離範囲の相関演算が省略される。
以上説明したように、一実施形態の測距装置においては、ラインセンサ1B−L,1B−Rの中央エリアM,M、左エリアL,L、右エリアR,Rの各測距エリアごとに相関演算された相関値のうち最小値を示す極小値を測距演算用に有効な有効極小値mM,mL(図5参照)として認定する際の相関度の基準値SLが測距対象物Sの画像のコントラストに応じ、コントラストが高いときには高い値に設定され、コントラストが低いほど低い値に設定されるため、測距演算用に有効な有効極小値mM,mL(図5参照)の認定結果が測距対象物Sの画像のコントラストに影響されるという事態が解消されるのであり、測距対象物Sの画像のコントラストの高低に拘わらず測距対象物Sまでの距離を適切に測定することが可能となる。
また、先に相関演算を行った測距エリアである中央エリアM内に測距演算用に有効な有効極小値mMが存在する場合、後に相関演算を実行する測距エリアとしての左エリアLまたは右エリアRの相関演算については、中央エリアMの有効極小値mMに対応するウインドウWL,WRのシフト量より所定量以上小さいシフト範囲、換言すれば、有効極小値mMに基づいて演算される距離より所定距離範囲以上遠方となる特定距離範囲(図5参照)の相関演算が省略されるため、全体の測距時間が短縮される。
同様に、先に相関演算を行った測距エリアである左エリアL内に測距演算用に有効な有効極小値mLが存在する場合には、後に相関演算を実行する測距エリアとしての右エリアRの相関演算については、左エリアLの有効極小値mLに対応するウインドウWL,WRのシフト量より所定量以上小さいシフト範囲、換言すれば、有効極小値mLに基づいて演算される距離より所定距離範囲以上遠方となる特定距離範囲(図5参照)の相関演算が省略されるため、全体の測距時間が短縮される。
なお、中央エリアMに有効極小値mMが存在し、左エリアLにも有効極小値mLが存在する場合、右エリアRの相関演算については、中央エリアMの有効極小値mMに対応するウインドウWL,WRのシフト量または左エリアLの有効極小値mLに対応するウインドウWL,WRのシフト量のいずれか大きい方のシフト量より所定量以上小さいシフト範囲、換言すれば、有効極小値mMまたは有効極小値mLに基づいて演算される最も近い距離より所定距離範囲以上遠方となる特定距離範囲の相関演算が省略される。
さらに、先に相関演算を実行した測距エリアである中央エリアM内に存在する有効極小値mMがエラー判定された場合、少なくとも後に相関演算を実行する左エリアLにおいては、エラー判定された有効極小値mMに基づく特定距離範囲の相関演算の省略が解除されるため、左エリアLの特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値を確実に検出すことが可能となり、この有効極小値に基づいて測距対象物Sまでの距離を適切に演算することが可能となる。
また、後に相関演算を実行する右エリアRにおいては、先に相関演算を実行した中央エリアMまたは左エリアL内に存在する有効極小値mMまたは有効極小値mLがエラー判定された場合、エラー判定された有効極小値mMまたは有効極小値mLに基づく特定距離範囲の相関演算の省略が解除されるため、特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
また、後に相関演算を実行する左エリアLまたは右エリアRにおいて、相関演算が省略された特定距離範囲を除く範囲について実行された相関演算の結果、有効極小値が存在する場合には、省略された特定距離範囲の相関演算が改めて実行されるため、省略された特定距離範囲に存在する可能性のある有効極小値を検出すことが可能となり、この有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を適切に演算することが可能となる。
本発明は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、ラインセンサ1B−L,1B−R上の中央エリアM、左エリアL、右エリアRごとに相関演算を実行する順序は、中央エリアM→右エリアR→左エリアLの順や、左エリアL→中央エリアM→右エリアRの順など、宜変更することが可能である。
また、ラインセンサ1B−L,1B−R上の測距エリアは、中央エリアM、左エリアL、右エリアRの3エリアに限らず、左中エリアLMおよび右中エリアRMを加えた5エリアとしてもよい。
本発明の一実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。 図1に示したラインセンサとウインドウのシフト操作との関係を示す模式図である。 一対の測距対象物の画像の相関値とウインドウシフト量との関係を示すグラフである。 相関度の基準値SLと測距対象物の画像のコントラストとの関係を示すグラフである。 一対の測距対象物の画像の相関値とウインドウシフト量との関係を有効極小値および相関演算が省略される特定距離範囲と共に示すグラフである。 図1に示した測距演算装置における処理手順を示すフローチャートである。 図6に示したステップS1〜S3のサブルーチンにおける処理手順を示すフローチャートである。 図7に示したステップS14およびステップS17の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 一対の測距対象物の画像の相関値とウインドウシフト量との関係を測距対象物の画像のコントラストの高低に関連して示すグラフである。 測距対象物が繰り返しの絵柄などの場合における一対の測距対象物の画像の相関値とウインドウシフト量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 ラインセンサユニット
1A−L 測距用レンズ
1A−R 測距用レンズ
1B−L ラインセンサ
1B−R ラインセンサ
1C 信号処理回路
2 測距演算装置
2A ラインセンサ制御部
2B A/D変換部
2C センサデータ格納部
2D ウインドウシフト制限部
2E 相関演算部
2F ウインドウシフト部
2G 有効極小値認定部
2H 測距エラー判定部
2I 距離演算部

Claims (2)

  1. 測距対象物からの外光による一対の画像が結像された一対の受光センサの出力信号に基づいて測距エリアごとに順次相関演算を実行し、各測距エリアの相関演算により得られた相関値のうち最大の相関度を示す極小値に基づいて測距対象物までの距離を演算するパッシブ測距方式の測距装置であって、
    各測距エリアごとに相関演算された相関値のうち最小値を示す極小値を相関度の基準値と比較し、この基準値より小さい極小値を測距演算用に有効な有効極小値として認定する有効極小値認定手段と、
    各測距エリアごとに認定された有効極小値に基づいて測距対象物までの距離を演算する距離演算手段と、
    先に相関演算を実行した測距エリアに前記の有効極小値が存在する場合、後に相関演算を実行する測距エリアの相関演算については、前記の有効極小値に基づいて演算される最も近い距離より所定距離範囲以上遠方となる特定距離範囲の相関演算を省略させる相関演算制限手段とを備え、
    前記有効極小値認定手段は、前記測距対象物の画像のコントラストの高低に応じ、コントラストが高いときには前記相関度の基準値を高い値に設定し、コントラストが低いほど前記基準値を低い値に設定するように構成され
    前記相関演算制限手段は、前記特定距離範囲を除く範囲について後に相関演算が実行された測距エリアに前記の有効極小値が存在する場合、その測距エリアについて前記特定距離範囲の相関演算を省略させることなく実行させるように構成されていることを特徴とする測距装置。
  2. 前記相関演算制限手段は、先に相関演算を実行した測距エリアに存在する有効極小値がエラー判定された場合、エラー判定に係る有効極小値に基づく前記特定距離範囲の相関演算の省略を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
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