JP2005250296A - 測距装置及び測距方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 パッシブ測距とコントラスト測距の両方を実施可能な測距装置において、測距処理時間を短縮し測距処理効率を向上させる。
【解決手段】 パッシブ測距結果AFSET_Pが、粗いコントラスト測距での最高コントラストの距離D_CON1と第2番目のコントラストの距離D_CON2の間にはないが、上記D_CON2と第3番目のコントラストの距離D_CON3の間にある場合、コントラスト値が最大になる距離はD_CON2とD_CON3との間にあると考えられる。そのため、D_CON2とD_CON3の間の範囲に対して、詳細なコントラストAF処理を実行し、対象物までの距離を精度良く算出する。
【選択図】 図10

Description

本発明は、撮影対象を撮影する際に撮影対象までの距離を測定する測距装置および測距方法に関し、特にパッシブ測距とコントラスト測距の両方を行うことのできる測距装置及び測距方法に関する。
従来から銀塩カメラ、デジタルカメラなどには、撮影用のカメラのレンズ、CCDとは別に一対のラインセンサを備え、このラインセンサのそれぞれに入力されたデータから算出される相関演算用の差分データのそれぞれが、どれぐらいずれているかを判断することで、撮影対象までの距離を測定することができる、いわゆるパッシブ測距を行うことのできる測距装置を備えている。また、撮影用レンズを通して撮影対象である入力データのコントラストをみて、撮影用レンズを前後に移動させ、コントラストの高低差が大となる位置の撮影用レンズの移動量に基づいて撮影対象までの距離を撮影することのできる、いわゆるコントラスト測距を行うことができる測距装置も存在している。
上述コントラスト測距は、撮影用レンズを移動させる必要があることから、測距の精度は良いものの、測距時間のかかる方法であることから、下記の特許文献1に記載の通り現在のカメラにおいては、まず粗調の測距であるパッシブ測距を行い、大体の距離を測定した後、その大体の距離の間で微調の測距であるコントラスト測距を行うことで、測距精度と測距速度との向上を図っている。
また、下記の特許文献2には、上記のようにパッシブ測距の結果により粗調を行い、コントラスト測距の焦点検出により微調を行うことで、レンズを合焦動作させる技術が記載されている。その中で、例えば、パッシブ測距結果が所定の範囲からずれた異常な値となり測距エラーとなった場合は、パッシブ測距に代わり、コントラスト測距のみで測距を行うことが記載されている。
特開2001−4912号公報 特開平7−43605号公報
しかしながら、上記のようにパッシブ測距がエラーとなった場合に、パッシブ測距に代わりコントラスト測距のみで測距を行うと、コントラスト測距を全エリアにわたって実施しなければならず、測距処理時間が長くなってしまい、測距処理効率が低下してしまう。
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、パッシブ測距とコントラスト測距の両方を実施可能な測距装置において、測距処理時間を短縮し測距処理効率を向上させることができる測距装置及び測距方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る測距装置は、測距用レンズを通して測距対象物の一対の画像が結像された一対のラインセンサの出力信号に基づき、左右方向に設定された複数の測距エリアごとに相関演算を実行し、前記測距エリアごとの相関演算により得られた最大の相関度を示す有効な極小値に基づいて測距対象物までの距離を各測距エリアについて算出し、算出された各測距エリアについての距離に基づいて測距対象物までの距離を測定するパッシブ測距手段と、撮影用レンズを通して撮影対象物のコントラストの高低を前記撮影用レンズの焦点制御する際のレンズの移動量により判断することにより、撮影対象物までの距離を測定するコントラスト測距手段と、前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距とを同時並行で実行するよう前記パッシブ測距手段及び前記コントラスト測距手段を制御する第1の制御手段と、前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距の測距結果と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、前記コントラスト測距手段による詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアを設定し、設定されたエリアに対し詳細なコントラスト測距を実行するよう前記コントラスト測距手段を制御する第2の制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る測距方法は、測距用レンズを通して測距対象物の一対の画像が結像された一対のラインセンサの出力信号に基づき、左右方向に設定された複数の測距エリアごとに相関演算を実行し、前記測距エリアごとの相関演算により得られた最大の相関度を示す有効な極小値に基づいて測距対象物までの距離を各測距エリアについて算出し、算出された各測距エリアについての距離に基づいて測距対象物までの距離を測定するパッシブ測距手段と、撮影用レンズを通して撮影対象物のコントラストの高低を前記撮影用レンズの焦点制御する際のレンズの移動量により判断することにより、撮影対象物までの距離を測定するコントラスト測距手段とを備えた測距装置における測距方法であって、前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距とを同時並行で実行する第1ステップと、前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距の測距結果と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、前記コントラスト測距手段による詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアを設定する第2ステップと、設定されたエリアに対し、前記コントラスト測距手段による詳細なコントラスト測距を実行する第3ステップとを有することを特徴とする。
即ち、本発明は、パッシブ測距手段とコントラスト測距手段とを備えた測距装置において、パッシブ測距と粗いコントラスト測距とを同時並行で実行し、パッシブ測距の測距結果と粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアを設定し、設定されたエリアに対し詳細なコントラスト測距を実行することを特徴とする。このため、測距処理時間を短縮し測距処理効率を向上させることができる。
なお、上記第2の制御手段は、パッシブ測距の測距結果と粗いコントラスト測距の測距結果との一致度合が高いほど、詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアとして、パッシブ測距の測距結果に対応するエリアを含む、より小さいエリアを設定することが望ましい。即ち、パッシブ測距の測距結果と粗いコントラスト測距の測距結果との一致度合が高い場合は、パッシブ測距の測距結果の信頼性が高いといえるため、測距の精度を落とすことなく、詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアとして、パッシブ測距の測距結果に対応するエリアを含む、より小さいエリアを設定することができる。この場合、小さいエリアに対し詳細なコントラスト測距を実行すればよいので、測距の精度を維持しつつ測距処理時間をさらに短縮することができる。
本発明によれば、パッシブ測距手段とコントラスト測距手段とを備えた測距装置において、パッシブ測距と粗いコントラスト測距とを同時並行で実行し、パッシブ測距の測距結果と粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアを設定し、設定されたエリアに対し詳細なコントラスト測距を実行するため、測距処理時間を短縮し測距処理効率を向上させることができる。
[測距装置の構成]
以下、図面を参照して本発明に係る測距装置の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態に係る測距装置10の構成を示す模式図である。図2は図1に示したラインセンサとウインドウのシフト操作との関係を示す模式図である。
一実施形態に係る測距装置10は、測距用レンズを通して測距対象物の一対の画像が結像された一対のラインセンサの出力信号に基づき、左右方向に設定された複数の測距エリアごとに相関演算を実行し、各測距エリアの相関演算ごとに得られた最大の相関度を示す複数の有効な極小値に基づいて測距対象物までの距離を測定するパッシブ測距機能と、撮影用レンズを通して撮影対象物のコントラストの高低を前記撮影用レンズの焦点制御する際のレンズの移動量により判断することにより撮影対象物の距離を測定するコントラスト測距機能の両方を備えた測距装置であり、例えばAF(Auto Focus)カメラやビデオカメラなどに使用される。
図1に示すように、一実施形態の測距装置10は、測距用のセンサデータを生成するラインセンサユニット1と、このラインセンサユニット1から出力されるセンサデータに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算処理する測距演算装置2と、撮影用レンズ3と、撮像素子4とを備えている。
ラインセンサユニット1は、相互に並列に配置された左右一対の結像レンズ1A−L,1A−Rと、これらの結像レンズ1A−L,1A−Rを通して測距対象物Sの一対の画像がそれぞれ結像される受光センサとしての左右一対のラインセンサ1B−L,1B−Rと、このラインセンサ1B−L,1B−Rからの信号を処理するラインセンサ制御回路1Cとを備えている。
左右一対のラインセンサ1B−L,1B−Rは、例えば234個などの多数に分割されたフォトダイオードなどのセル(画素)が直線状に配列されて構成される。ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルは、それぞれの受光面に結像された測距対象物Sの画像の光量を光電変換することにより、測距対象物Sの画像の輝度信号をラインセンサ制御回路1Cに出力する。
ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルには、その出力信号を取り出す際に使用されるセル番号が付される。例えば左側のラインセンサ1B−Lの各セルには、図の左側から順にL1〜L234のセル番号が付され、右側のラインセンサ1B−Rでは図の左側から順にR1〜R234のセル番号が付される。なお、左右のラインセンサ1B−L,1B−Rの先頭側の5個および末尾側の5個のセルは、いわゆるダミーのセルであるため、左側のラインセンサ1B−Lの有効画素数はL6〜L229の224個となり、右側のラインセンサ1B−Rの有効画素数はR6〜R229の224個となる。
ラインセンサ制御回路1Cは、後述する測距演算装置2のラインセンサ制御部2Aからの要求信号に応じてラインセンサ1B−L,1B−Rを制御し、ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルからセル番号と関連付けて輝度信号を入力する。そして、このラインセンサ制御回路1Cは、入力した輝度信号を積分処理(時系列的な加算処理)することにより、相関演算に使用するためのセンサデータを各セル毎にセル番号に関連付けて生成する。ちなみに、このセンサデータは、測距対象物Sの画像が明るいほど低く、暗いほど高い値を示す。
測距演算装置2は、マイクロコンピュータのハードウェアおよびソフトウェアを利用して構成される。この測距演算装置2は、ラインセンサ制御回路1Cから入出力インターフェース(不図示)を介して入力されるアナログ信号のセンサデータをデジタル信号に変換するA/D変換部2Bの他、このA/D変換部2Bにより変換されたデジタル信号のセンサデータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、測距対象物Sまでの距離を演算するためのプログラムやデータが格納されたROM(Read Only Memory)、このROMに格納されたプログラムを実行することにより、ROMおよびRAMに記憶されたデータに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算するための各種の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)などの図示しないハードウェアを備えている。
この測距演算装置2には、A/D変換部2Bを介して入力されるセンサデータに基づいて測距対象物Sまでの距離を測定するパッシブ測距手段として、ラインセンサ制御部2A、センサデータ格納部2D、相関演算部2E、ウインドウシフト部2F、極小値判定部2G、測距エラー判定部2H及び距離演算部2Iが、ソフトウェアとして構成されている。
また、測距演算装置2には、A/D変換部2Pを介して入力される撮像データに基づいて測距対象物Sまでの距離を測定するコントラスト測距手段として、コントラスト検出部2Q、測距結果比較部2R、撮像素子制御部2N及びレンズ制御部2Mが、ソフトウェアとして構成されている。
次に、パッシブ測距手段に関する各構成部について説明する。
ラインセンサ制御部2Aは、測距処理の開始に伴いラインセンサユニット1のラインセンサ制御回路1Cに要求信号を出力してラインセンサ制御回路1Cにセンサデータを生成させる。
センサデータ格納部2Dは、ラインセンサ制御回路1Cにより生成された一対のセンサデータをA/D変換部2BによりA/D変換して入力し、入力されたセンサデータを、ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルの番号と関連付けたセンサデータとして格納する。
ウインドウシフト部2Fは、センサデータ格納部2Dに格納されたセンサデータから相関演算に使用する一対のセンサデータを読み出すための一対のウインドウWL,WRのシフト操作を制御する。
相関演算部2Eは、ラインセンサ1B−L,1B−R上にそれぞれ設定された各測距エリアM,LM,L,RM,R(図2参照)単位で一対のウインドウWL,WRが交互に1づつ相対的にシフト操作されるごとに、センサデータ格納部2Dから一群のセンサデータを読み出して、相関演算を実行する。
この相関演算は、一方のウインドウWLにより読み出された一群のセンサデータと、他方のウインドウWRにより読み出された一群のセンサデータとの間における各センサデータ同士の差分の絶対値を求め、その絶対値の総和を相関値として求めるものである。この相関値は、値が小さいほど相関度が高く、一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像された測距対象物Sの画像が相互に似ていることを示す。
ここで、測距対象物Sが遠距離に位置する場合には、一対の結像レンズ1A−L,1A−Rを通して一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像される測距対象物Sの一対の画像の位置ズレが小さくなり、測距対象物Sが近距離に位置するほど、一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像される測距対象物Sの一対の画像の位置ズレが大きくなる。そして、一対の画像の位置ズレの大小に応じた測距対象物Sまでの距離は、一対の画像が相互に似ていることを示す相関度が最大となるまでの一対のウインドウWL,WRのシフト量として検出することができる。すなわち、測距対象物Sまでの距離は、原理的には図3のグラフに示すように、相関演算により得られた相関値f(n)が「最小極小値(ピーク値)」となるに至るまでの一対のウインドウWL,WRのシフト量n「n/最小極小値」として検出することができる。
上記の相関演算部2Eにより得られた最小極小値に基づいて測距対象物Sまでの距離を演算するため、極小値判定部2Gは測距演算に有効な最小極小値を有効極小値として判定し、測距エラー判定部2Hは有効極小値について測距エラーとするか否かの判定を行い、距離演算部2Iは、測距エラー無しと判定された有効極小値のみを対象としてその有効極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量nを決定し、決定したウインドウWL,WRのシフト量nに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算する。各構成の詳細な動作は、図4に基づき、後で説明する。
次に、コントラスト測距手段に関する各構成部について説明する。
撮像素子制御部2Nは撮像素子4を制御し、レンズ制御部2Mは、撮影用レンズ3を移動させ、焦点合わせ調整を制御する。
コントラスト検出部2Qは、A/D変換部2Pを介して入力される撮像データに基づいて撮影対象物のコントラストの高低を検出し、後述の図5のコントラストAF処理を実行制御し、レンズ制御部2Mによって撮影用レンズ3をコントラスト検出値が増加する方向に複数回往復移動させることにより、撮影用レンズ3の焦点制御を行う。
[パッシブ測距処理とコントラストAF処理]
ここで、図4、図5を用いてパッシブ測距処理とコントラストAF(自動焦点合わせ:Auto Focus)処理を説明する。
図4のパッシブ測距処理では、まず、ラインセンサ制御部2Aが、ラインセンサユニット1のラインセンサ制御回路1Cに信号を出力してラインセンサ1B−L,1B−Rの初期設定(例えば、使用するセルの設定等)を行い(S1)、さらに、ラインセンサ制御回路1Cに要求信号を出力してラインセンサ制御回路1Cによってセンサデータを生成させる。即ち、ラインセンサ制御回路1Cは、ラインセンサ制御部2Aからの要求信号に応じてラインセンサ1B−L,1B−Rを制御し、ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルからセル番号と関連付けて輝度信号を入力する。そして、ラインセンサ制御回路1Cは、入力した輝度信号を積分処理(時系列的な加算処理)することにより、相関演算に使用するためのセンサデータを各セル毎にセル番号に関連付けて生成する(S2)。
次に、A/D変換部2Bが、上記生成されたセンサデータをラインセンサ制御回路1Cから読み出しA/D変換処理を施す(S3)。A/D変換後のセンサデータはセンサデータ格納部2Dに出力され、センサデータ格納部2DではA/D変換後のセンサデータは、ラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルの番号と関連付けたセンサデータとして格納される。
次に、相関演算部2Eが、ラインセンサ1B−L,1B−R上にそれぞれ設定された各測距エリアM,LM,L,RM,R(図2参照)単位で一対のウインドウWL,WRが交互に1づつ相対的にシフト操作されるごとに、センサデータ格納部2Dから一群のセンサデータを読み出して、相関演算を実行する(S4)。
ウインドウWL,WRの位置は、最初の相関演算では予め定められた位置に設定されており、2回目以降はウインドウシフト部2Fによりシフト操作された位置に設定される。このウインドウシフト部2Fは、図2に示すように、ラインセンサ1B−L,1B−R上にそれぞれ一部重複して設定されたセンサ領域である中央エリアM、左中エリアLM、右中エリアRM、左エリアL、右エリアRの5つの測距エリア単位ごとに、センサデータ格納部2D(図1参照)から一群のセンサデータをそれぞれ読み出して相関演算させるように、一対のウインドウWL,WRのシフト操作を制御する。この場合、ウインドウシフト部2Fは、例えば中央エリアM、左中エリアLM、左エリアL、右中エリアRM、右エリアRの順に一対のウインドウWL,WRのシフト操作を制御する。
ここで、ラインセンサ1B−L,1B−Rの中央エリアM,Mにおけるシフト操作において、ウインドウシフト部2F(図1参照)は、左側のラインセンサ1B−Lに対応したウインドウWLを中央エリアMの右端の最小シフト位置から左端の最大シフト位置へと順次1づつシフトさせ、右側のラインセンサ1B−Rに対応したウインドウWRを中央エリアMの左端の最小シフト位置から右端の最大シフト位置へと順次1づつシフトさせる。その際、ウインドウシフト部2Fは、ウインドウWL,WRを交互に1ずつシフト操作する。
なお、ウインドウシフト部2Fによるラインセンサ1B−L,1B−Rの左中エリアLM,LM、右中エリアRM,RM、左エリアL,Lおよび右エリアR,Rにおけるシフト操作は、中央エリアM,Mにおけるシフト操作と原則的に同様であるため、詳細な説明は省略する。
図4のS4での相関演算は、一方のウインドウWLにより読み出された一群のセンサデータと、他方のウインドウWRにより読み出された一群のセンサデータとの間における各センサデータ同士の差分の絶対値を求め、その絶対値の総和を相関値として求めるものである。この相関値は、値が小さいほど相関度が高く、一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像された測距対象物Sの画像が相互に似ていることを示す。
ここで、測距対象物Sが遠距離に位置する場合には、一対の結像レンズ1A−L,1A−Rを通して一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像される測距対象物Sの一対の画像の位置ズレが小さくなり、測距対象物Sが近距離に位置するほど、一対のラインセンサ1B−L,1B−R上に結像される測距対象物Sの一対の画像の位置ズレが大きくなる。そして、一対の画像の位置ズレの大小に応じた測距対象物Sまでの距離は、一対の画像が相互に似ていることを示す相関度が最大となるまでの一対のウインドウWL,WRのシフト量として検出することができる。すなわち、測距対象物Sまでの距離は、原理的には図3のグラフに示すように、相関演算により得られた相関値f(n)が「最小極小値(ピーク値)」となるに至るまでの一対のウインドウWL,WRのシフト量n「n/最小極小値」として検出することができる。
次に、極小値判定部2Gは、相関演算部2Eにより得られた最小極小値に基づいて測距対象物Sまでの距離を演算するため、測距演算に有効な最小極小値を有効極小値として判定し(S5)、測距エラー判定部2Hは、有効極小値について測距エラーとするか否かの判定を行う(S6)。ここで、測距エラー判定部2Hは、例えば、(1)センサデータ格納部2Dから読み出されるセンサデータが超低輝度/超低コントラストのデータである場合、(2)センサデータ格納部2Dから読み出される左右のセンサデータに大きな差がある場合、(3)相関演算部2Eにより相関演算された相関値に相互差が小さい2つ以上の極小値が存在する場合、(4)相関演算部2Eにより相関演算された最小極小値と、これに対応するウインドウWL,WRのシフト量の前後2つのシフト量に対応する相関値との差が小さい場合の4つの場合において、極小値判定部2Gにより認定された有効極小値に測距エラーが有ると判定し、その判定信号を距離演算部2Iに出力する。
そして、距離演算部2Iは、測距エラー無しと判定された有効極小値のみを対象としてその有効極小値に対応するウインドウWL,WRのシフト量nを決定し、決定したウインドウWL,WRのシフト量nに基づいて測距対象物Sまでの距離を演算する(S7)。具体的には、距離演算部2Iは、極小値判定部2Gから入力された「有効極小値(M)」,「有効極小値(LM)」・・・のうち、測距エラー判定部2Hにより測距エラー有りと判定された有効極小値を除き、その他の「有効極小値(M)」,「有効極小値(LM)」・・・に対応するウインドウWL,WRのシフト量nを「n有効極小値(M)」,「n有効極小値(LM)」・・・として決定する。さらに、距離演算部2Iは、決定したウインドウWL,WRのシフト量「n有効極小値(M)」,「n有効極小値(LM)」・・・のデータに基づき、測距対象物Sまでの距離を各測距エリアM,LM,L,RM,R(図2参照)単位ごとに、順次算出する。
この距離演算部2Iは、算出距離のうち最も近い距離を基準として、この基準距離から遠方側へ設定された所定距離範囲に含まれる他の測距エリアの算出距離との差をそれぞれ求め、得られたそれぞれの距離差の平均値を基準距離に加算することにより、測距対象物Sまでの最終的な距離を決定する。なお、所定距離範囲は、被写界深度などのピントの合う範囲として設定される。
また、距離演算部2Iは、測距対象物Sまでの距離をより詳細に演算するため、例えばウインドウWL,WRのシフト量「n有効極小値(M)」に対応する「有効極小値(M)」と、その両側の2つのシフト量(図示省略)に対応する相関値とに基づいて相関値の補間値演算を実施する。そして、この補間値に対応するシフト量nに基づき、距離演算部2Iは、一対の結像レンズ1A−L,1A−Rと一対のラインセンサ1B−L,1B−Rとの間隔、一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの中心間距離、一対のラインセンサ1B−L,1B−Rの各セルのピッチ間隔などのパラメータを参照して測距対象物Sまでの距離を演算する。ここで得られたパッシブ測距結果は、測距結果比較部2Rに出力される。
次に、図5を用いてコントラストAF処理を説明する。なお、図5の処理は、コントラスト検出部2Qにより実行制御される。
まず、レンズ制御部2Mによって撮影用レンズ3を、対象物から遠ざかる方向又は対象物に近づく方向のうち何れか所定の方向に駆動する(S11)。ここでの「所定方向」は、撮影用レンズ3の初期位置に基づきコントラスト検出値が増加すると見込まれる規定の方向である。従って、S11の駆動により撮影用レンズ3は上記所定の方向に移動し、当初は、後述のコントラスト検出部2Qにより検出されるコントラスト検出値が増加することとなる。
そして、コントラスト検出部2Qは、撮像素子制御部2Nにより撮像素子4に撮像データを出力させ、出力された撮像データをA/D変換部2PによりA/D変換した後、A/D変換後の撮像データを取り込んで、コントラスト値を検出する(S12)。
上記S11のレンズ駆動と、S12のコントラスト検出は、次のS13で、検出されたコントラスト値が直前のコントラスト値よりも増加していない(減少した)と判定されるまで(即ち、検出されたコントラスト値が増加している間は)、繰り返し実行される。
そして、S13で、検出されたコントラスト値が直前のコントラスト値よりも増加していないと判定された場合は、コントラスト値のピークを過ぎたと判断できるため、S14へ進み、レンズ制御部2Mによって撮影用レンズ3の移動方向を反転させる。
その後は、レンズ制御部2Mによって、反転させた方向へ移動させるべく撮影用レンズ3を駆動し(S15)、コントラスト検出部2Qは、上記同様に、A/D変換後の撮像データよりコントラスト値を検出する(S16)。そして、上記S15のレンズ駆動と、S16のコントラスト検出は、次のS17で、検出されたコントラスト値が直前のコントラスト値よりも増加していない(減少した)と判定されるまで、繰り返し実行される。
そして、S17で、検出されたコントラスト値が直前のコントラスト値よりも増加していないと判定された場合は、コントラスト値のピークを過ぎたと判断できるため、S18へ進み、レンズ制御部2Mによって撮影用レンズ3の移動方向を再度反転させる。
さらに、レンズ制御部2Mによって、再度反転させた方向へ移動させるべく撮影用レンズ3を駆動し(S19)、コントラスト検出部2Qは、上記同様に、A/D変換後の撮像データよりコントラスト値を検出する(S20)。そして、上記S19のレンズ駆動と、S20のコントラスト検出は、次のS21で、検出されたコントラスト値が直前のコントラスト値よりも増加していない(減少した)と判定されるまで、繰り返し実行される。
S21で、検出されたコントラスト値が直前のコントラスト値よりも増加していないと判定された場合は、コントラスト値のピークを過ぎたと判断できるため、S22へ進み、レンズ制御部2Mによって撮影用レンズ3の移動方向を再度反転させる。そして、最後に、レンズ制御部2Mによって、S22で反転させた方向へ移動させるべく撮影用レンズ3を所定量だけ駆動する(S23)。ここでの所定量は最終的な位置の微調整量として予め定められた量である。
以上のようにして、撮影用レンズ3は、コントラスト値がほぼピークになる位置に位置決めされ、コントラストAF処理が終了する。なお、この状態で、コントラスト検出部2Qは、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離を算出することができる。
なお、図5の処理は、詳細なコントラストAF処理と呼ばれる。これに対し、粗いコントラストAFも存在し、この粗いコントラストAFとは、予め定められた複数の測距対象距離に撮影用レンズ3の位置を順次設定し、各測距対象距離でのコントラストを測定し、コントラストの高い測距対象距離のうち上位の所定数の測距対象距離から、おおまかな測距結果を求めるものである。粗いコントラストAFでの測距対象距離としては、例えば、近距離、近中距離、中距離、中遠距離、遠距離の5つの測距対象距離を設定することができる。後述の図6の測距処理では、上記の5つの測距対象距離にて粗いコントラストAFが実行される。
[本発明に係る処理の説明]
以下、図6を用いて本発明に係る測距処理を説明する。
図6のS31では、予め定められたパッシブ測距の5つの対象エリアのうち中央エリアを対象として、前述した図4のS1、S2の処理を実行する。即ち、図2において、ラインセンサ制御部2Aからの制御信号に基づく(ラインセンサ制御回路1Cによる)ラインセンサ1B−L,1B−Rの初期設定(図4のS1)と、ラインセンサ制御回路1Cによるラインセンサ1B−L,1B−Rのセルからの輝度信号に対する積分処理(即ち、相関演算に使用するためのセンサデータの生成:S2)とを実行する。
S32では、コントラスト検出部2Qは、レンズ制御部2Mによって、予め定められた粗いコントラスト測距の5つの対象距離のうち中距離に撮影用レンズ3の位置を設定し、当該設定状態でコントラストを検出する。
S33では、中央エリアを対象として、前述した図4のS3〜S7の処理を実行する。即ち、A/D変換部2Bによるセンサデータ読み出し及びA/D変換処理並びにセンサデータ格納部2DによるA/D変換後のセンサデータの格納処理(S3)と、ウインドウシフト部2Fによるウインドウ設定及び相関演算部2Eによる相関演算処理(S4)と、極小値判定部2Gによる極小値判定処理(S5)と、測距エラー判定部2Hによる測距エラー処理(S6)と、距離演算部2Iによる距離算出処理(S7)とを実行する。
以上の図6のS31〜S33の処理により、中央エリアに関するパッシブ測距結果と、コントラストAFの中距離コントラスト検出結果とが得られる。なお、S31〜S33の処理では、図7(a)に示すように、実際には、S31でのラインセンサユニット1による積分処理と、S32での測距演算装置2による中距離コントラスト検出とは同時並行で実行される。これにより、処理時間の短縮を図ることができる。S31はラインセンサユニット1により、S32は測距演算装置2により、それぞれ実行され、S31とS32の実行主体が異なるため、上記同時並行の実行は簡易な制御で実現することができる。
以後同様に、図6のS34では、左中エリアを対象として、前述した図4のS1、S2の処理を実行し、S35では、近中距離にレンズ位置を設定した状態での粗いコントラスト検出を実行する。そして、S36では、左中エリアを対象として、前述した図4のS3〜S7の処理を実行する。これらS34〜S36の処理により、左中エリアに関するパッシブ測距結果と、コントラストAFの近中距離コントラスト検出結果とが得られる。なお、S34〜S36の処理では、図7(a)に示すように、実際には、S34でのラインセンサユニット1による積分処理と、S35での測距演算装置2による近中距離コントラスト検出とは同時並行で実行される。
図6のS37では、右中エリアを対象として、前述した図4のS1、S2の処理を実行し、S38では、中遠距離にレンズ位置を設定した状態での粗いコントラスト検出を実行する。そして、S39では、右中エリアを対象として、前述した図4のS3〜S7の処理を実行する。これらS37〜S39の処理により、右中エリアに関するパッシブ測距結果と、コントラストAFの中遠距離コントラスト検出結果とが得られる。なお、S37〜S39の処理では、図7(a)に示すように、実際には、S37でのラインセンサユニット1による積分処理と、S38での測距演算装置2による中遠距離コントラスト検出とは同時並行で実行される。
図6のS40では、左エリアを対象として、前述した図4のS1、S2の処理を実行し、S41では、近距離にレンズ位置を設定した状態での粗いコントラスト検出を実行する。そして、S42では、左エリアを対象として、前述した図4のS3〜S7の処理を実行する。これらS40〜S42の処理により、左エリアに関するパッシブ測距結果と、コントラストAFの近距離コントラスト検出結果とが得られる。なお、S40〜S42の処理では、図7(a)に示すように、実際には、S40でのラインセンサユニット1による積分処理と、S41での測距演算装置2による近距離コントラスト検出とは同時並行で実行される。
図6のS43では、右エリアを対象として、前述した図4のS1、S2の処理を実行し、S44では、遠距離にレンズ位置を設定した状態での粗いコントラスト検出を実行する。そして、S45では、右エリアを対象として、前述した図4のS3〜S7の処理を実行する。これらS43〜S45の処理により、右エリアに関するパッシブ測距結果と、コントラストAFの遠距離コントラスト検出結果とが得られる。なお、S43〜S45の処理では、図7(a)に示すように、実際には、S43でのラインセンサユニット1による積分処理と、S44での測距演算装置2による遠距離コントラスト検出とは同時並行で実行される。
次のS46では、5つのエリア各々の測距結果(右エリア測距結果、右中エリア測距結果、中央エリア測距結果、左中エリア測距結果、左エリア測距結果)のうち最至近の測距結果をパッシブ測距結果として算出し、当該測距結果を変数AFSET_Pに設定する。次のS47では、S32、S35、S38、S41、S44で得られた5つのコントラストAFのコントラスト検出結果のうち、検出値が1番高いものを特定し当該検出値が得られた距離を変数D_CON1に設定する。同様に、検出値が2番高いものを特定し当該検出値が得られた距離を変数D_CON2に設定し、検出値が3番高いものを特定し当該検出値が得られた距離を変数D_CON3に設定する。
次のS48では、測距結果比較部2Rによって、D_CON1がD_CON2よりも大きいか否かを判断し、D_CON1がD_CON2よりも大きい場合はS49へ、D_CON1がD_CON2よりも大きくない場合はS50へ、それぞれ進む。なお、S48以降の測距結果の比較判断処理は、測距結果比較部2Rによって行われる。
S49では、D_CON1がAFSET_Pよりも大きく且つAFSET_PがD_CON2よりも大きいか否かを判断する。即ち、AFSET_PがD_CON1とD_CON2との間にあるか否かを判断する。
ここで、AFSET_PがD_CON1とD_CON2との間にある場合は、図8に表されている。即ち、図8において、コントラストAFの近中距離コントラスト検出結果が2番目なので、当該近中距離がD_CON2であり、中距離コントラスト検出結果が1番目なので、当該中距離がD_CON1である。コントラスト値が最大になる距離はD_CON1とD_CON2との間にあると考えられるため、AFSET_PがD_CON1とD_CON2との間にある図8のような場合は、パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っている場合といえる。
従って、AFSET_PがD_CON1とD_CON2との間にある場合は、S51へ進み、図9に示すように、AFSET_P付近(例えばAFSET_Pを中心とする所定の範囲)に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
一方、S49でAFSET_PがD_CON1とD_CON2との間にない場合は、後述のS52へ進む。
S50では、D_CON2がAFSET_Pよりも大きく且つAFSET_PがD_CON1よりも大きいか否かを判断する。即ち、AFSET_PがD_CON2とD_CON1との中間にあるか否かを判断する。
ここで、AFSET_PがD_CON2とD_CON1との間にある場合は、図8の状態と同様に、パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っている場合といえる。従って、AFSET_PがD_CON2とD_CON1との間にある場合は、S51へ進み、図9に示すように、AFSET_P付近(例えばAFSET_Pを中心とする所定の範囲)に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
一方、S50でAFSET_PがD_CON2とD_CON1との間にない場合は、S52へ進む。
S52では、D_CON1がコントラストAFの遠距離であるか否かを判断する。ここで、D_CON1がコントラストAFの遠距離である場合は、コントラスト値が最大になる距離は少なくとも中距離よりも遠距離側にあると考えられるため、S60へ進み、図13に示すように、中距離と遠距離の間の範囲に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
S52でD_CON1がコントラストAFの遠距離でない場合は、S53へ進み、D_CON1がコントラストAFの近距離であるか否かを判断する。ここで、D_CON1がコントラストAFの近距離である場合は、コントラスト値が最大になる距離は少なくとも中距離よりも近距離側にあると考えられるため、S59へ進み、図12に示すように、近距離と中距離の間の範囲に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
S53でD_CON1がコントラストAFの近距離でない場合は、S54へ進み、D_CON2がD_CON3よりも大きいか否かを判断する。ここで、D_CON2がD_CON3よりも大きい場合はS55へ、D_CON2がD_CON3よりも大きくない場合はS56へ、それぞれ進む。
S56では、D_CON3がAFSET_Pよりも大きく且つAFSET_PがD_CON2よりも大きいか否かを判断する。即ち、AFSET_PがD_CON2とD_CON3との間にあるか否かを判断する。
S56で、AFSET_PがD_CON2とD_CON3との間にある場合は、図10に表されている。即ち、図10において、コントラストAFの近中距離コントラスト検出結果が2番目なので、当該近中距離がD_CON2であり、中遠距離コントラスト検出結果が3番目なので、当該中遠距離がD_CON3である。AFSET_PがD_CON2とD_CON3との間にあるため、コントラスト値が最大になる距離はD_CON2とD_CON3との間にあると考えられる。
そこで、図10のような場合は、S57へ進み、近中距離(D_CON2)と中遠距離(D_CON3)の間の範囲に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
S56で、AFSET_PがD_CON2とD_CON3との間にない場合は、図11に表されている。即ち、図11において、コントラストAFの近中距離コントラスト検出結果が2番目なので、当該近中距離がD_CON2であり、中遠距離コントラスト検出結果が3番目なので、当該中遠距離がD_CON3である。AFSET_PがD_CON2よりも近距離側にあり、D_CON2とD_CON3との間にないため、コントラスト値が最大になる距離はD_CON2とD_CON3との間にあるとは限らない。
そこで、図11のような場合は、S58へ進み、全領域に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
一方、S55では、D_CON2がAFSET_Pよりも大きく且つAFSET_PがD_CON3よりも大きいか否かを判断する。即ち、AFSET_PがD_CON3とD_CON2との間にあるか否かを判断する。
S55で、AFSET_PがD_CON3とD_CON2との間にある場合は、図10の場合と同様に、コントラスト値が最大になる距離はD_CON3とD_CON2との間にあると考えられる。そのため、S57へ進み、近中距離(D_CON2)と中遠距離(D_CON3)の間の範囲に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
また、S55で、AFSET_PがD_CON3とD_CON2との間にない場合は、図11と同様に、コントラスト値が最大になる距離はD_CON3とD_CON2との間にあるとは限らない。そのため、S58へ進み、全領域に対して、前述した図5の詳細なコントラストAF処理をコントラスト検出部2Qの制御のもと実行する。そして、S61では、コントラスト検出部2Q(図1参照)は、予め記憶した撮影用レンズ3の位置と対象物までの距離との対照テーブルを参照することで、コントラストAF処理後の撮影用レンズ3の位置に基づいて対象物までの距離AFSET_Cを算出する。
以上のような本発明の実施形態によれば、パッシブ測距とコントラスト測距の両方を実行可能な測距装置において、パッシブ測距と粗いコントラスト測距とを同時並行で実行した後、パッシブ測距の測距結果と粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、詳細なコントラスト測距を実行すべき範囲を設定する。即ち、両者の一致度合が高いほど、詳細なコントラスト測距を実行すべき範囲を、パッシブ測距の測距結果を含む狭い範囲に設定することができる。このように設定された狭い範囲に対し詳細なコントラスト測距を実行するため、測距処理時間を短縮し測距処理効率を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、パッシブ測距のエリアを5つのエリアとした例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば3つのエリア、7つのエリアなど、さまざまなエリアの分割を行うことができる。
また、粗いコントラスト測距の対象距離を5つの距離とした例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば3つの距離を対象距離としてもよいし、7つの距離を対象距離としてもよい。
さらに、パッシブ測距と粗いコントラスト測距との同時並行の実行については、図7(a)の態様に限定されることなく、例えば、図7(b)の態様を採用することができる。図7(b)の態様では、T1フェーズのように、パッシブ測距にて左中エリアと左エリアの積分処理を連続的に実行し、それと並行して粗いコントラスト測距にて近中距離コントラスト検出と中遠距離コントラスト検出を実行する。また、T2フェーズのように、パッシブ測距にて右中エリアと右エリアの積分処理を連続的に実行し、それと並行して粗いコントラスト測距にて近距離コントラスト検出と遠距離コントラスト検出を実行する。このようにパッシブ測距と粗いコントラスト測距との同時並行の実行態様としては、さまざまな態様を採用することができる。
本発明の一実施形態に係る測距装置の構成を示す模式図である。 図1に示したラインセンサとウインドウのシフト操作との関係を示す模式図である。 一対の測距対象物の画像の相関値とウインドウのシフト量との関係を示すグラフである。 パッシブ測距処理を示す流れ図である。 コントラストAF処理を示す流れ図である。 本発明に係る測距処理を示す流れ図である。 (a)は図6のS31〜S45の処理の第1実行例を示す図であり、(b)は図6のS31〜S45の処理の第2実行例を示す図である。 パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っている状態を説明するための図である。 パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っている場合の詳細なコントラストAFの実施範囲を説明するための図である。 パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っていない第1の場合の詳細なコントラストAFの実施範囲を説明するための図である。 パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っていない第2の場合の詳細なコントラストAFの実施範囲を説明するための図である。 パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っていない第3の場合の詳細なコントラストAFの実施範囲を説明するための図である。 パッシブ測距結果と粗いコントラスト測距結果とが合っていない第4の場合の詳細なコントラストAFの実施範囲を説明するための図である。
符号の説明
1…ラインセンサユニット、1A…結像レンズ、1B…ラインセンサ、1C…ラインセンサ制御回路、2…測距演算装置、2A…ラインセンサ制御部、2B…A/D変換部、2D…センサデータ格納部、2E…相関演算部、2F…ウインドウシフト部、2G…極小値判定部、2H…測距エラー判定部、2I…距離演算部、2M…レンズ制御部、2N…撮像素子制御部、2P…A/D変換部、2Q…コントラスト検出部、2R…測距結果比較部、3…撮影用レンズ、4…撮像素子、10…測距装置。

Claims (3)

  1. 測距用レンズを通して測距対象物の一対の画像が結像された一対のラインセンサの出力信号に基づき、左右方向に設定された複数の測距エリアごとに相関演算を実行し、前記測距エリアごとの相関演算により得られた最大の相関度を示す有効な極小値に基づいて測距対象物までの距離を各測距エリアについて算出し、算出された各測距エリアについての距離に基づいて測距対象物までの距離を測定するパッシブ測距手段と、
    撮影用レンズを通して撮影対象物のコントラストの高低を前記撮影用レンズの焦点制御する際のレンズの移動量により判断することにより、撮影対象物までの距離を測定するコントラスト測距手段と、
    前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距とを同時並行で実行するよう前記パッシブ測距手段及び前記コントラスト測距手段を制御する第1の制御手段と、
    前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距の測距結果と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、前記コントラスト測距手段による詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアを設定し、設定されたエリアに対し詳細なコントラスト測距を実行するよう前記コントラスト測距手段を制御する第2の制御手段と、
    を備えた測距装置。
  2. 前記第2の制御手段は、
    パッシブ測距の測距結果と粗いコントラスト測距の測距結果との一致度合が高いほど、詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアとして、前記パッシブ測距の測距結果に対応するエリアを含む、より小さいエリアを設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の測距装置。
  3. 測距用レンズを通して測距対象物の一対の画像が結像された一対のラインセンサの出力信号に基づき、左右方向に設定された複数の測距エリアごとに相関演算を実行し、前記測距エリアごとの相関演算により得られた最大の相関度を示す有効な極小値に基づいて測距対象物までの距離を各測距エリアについて算出し、算出された各測距エリアについての距離に基づいて測距対象物までの距離を測定するパッシブ測距手段と、撮影用レンズを通して撮影対象物のコントラストの高低を前記撮影用レンズの焦点制御する際のレンズの移動量により判断することにより、撮影対象物までの距離を測定するコントラスト測距手段とを備えた測距装置における測距方法であって、
    前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距とを同時並行で実行する第1ステップと、
    前記パッシブ測距手段によるパッシブ測距の測距結果と前記コントラスト測距手段による粗いコントラスト測距の測距結果とを比較し、両者の一致度合に応じて、前記コントラスト測距手段による詳細なコントラスト測距を実行すべきエリアを設定する第2ステップと、
    設定されたエリアに対し、前記コントラスト測距手段による詳細なコントラスト測距を実行する第3ステップと、
    を有する測距方法。
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JP2018163300A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 キヤノン株式会社 電子機器、撮像装置、及び制御方法、並びにプログラム

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