JP4126736B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール圧縮機に関わり、広い運転範囲における全断熱効率及び信頼性を向上させる構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスクロール圧縮機は、図51の公知例のように、圧縮室内の圧力が吐出圧よりも高くなることを抑制するバイパス弁を設けるとともに、吐出圧等の高圧となっている流体供給部から流体を旋回スクロール部材の背面に供給し、弁体と押付けばねからなる弁装置を介して吸込系へ逃がす流路を設けていた。この結果、旋回背面の圧力は吸込系の圧力よりも弁装置内の押付けばねの強さに応じて概略一定値だけ大きい値に制御され、これにより、両スクロール部材が互いに押付け合う力を広い運転範囲において小さく設定でき、高い性能を実現していた(第31回空気調和・冷凍連合講演会論文集H9.4.1発行)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
引き離し力は、圧縮室部の流体の圧力分布とともに、吐出室の流体の圧力である吐出圧で決まる。圧縮室部の流体の圧力分布は、極端に大きな内部漏れがない限り、ほぼ吸込圧のみに依存する。一方、吐出圧と吸込圧は圧縮機の置かれている使用環境下の設定により任意に変えることが可能なため、吐出圧は吸込圧には依存しない。よって、引き離し力は独立な二個のパラメータである吸込圧と吐出圧に依存する。引付力は引き離し力に対抗して両鏡板を引き付けるためにかける力であるため、スクロール部材の荷重変形の観点からいって、その大きさは引き離し力と常にほぼ同様のレベルであることが望ましい。また、その場合にはスクロール部材とその支持部材との間に働く付勢力が小さくなり、これらの間に相対運動がある場合にはそこでの摩擦損失や摩耗の危険性が低減できるため、引付力の大きさは常に引き離し力以上であるがほぼ同様のレベルであることが望ましい。
【0004】
しかし、実際の場合、スクロール部材には軸線方向と垂直な方向の流体からの力や遠心力などがかかるため、引付力はこれらにより発生する傾転モーメントにも対抗しなければならない。このため、運転条件毎に、スクロール部材の鏡板を引き付けることができる大きさのうちで付勢力が最小になる引付力を発生させる制御をかけることが理想的となるが、コストを考えると、特別な場合を除いて現実的には不可能である。そのため、実際の引付力付加手段は、引付力の大きさが、要求される運転範囲全域において引き離し力の大きさに傾転モーメントに対抗するための上乗せ分を加えた値を実現するような比較的単純な機構にする。前述したように、引き離し力は吸込圧と吐出圧により決まることから、引付力付加手段は吸込圧と吐出圧に依存した機構としなければならない。
【0005】
ところが、前記従来技術では、その引付力付加手段を実現する方法として吸込圧+一定値(以後過吸込圧値と記す)という吸込圧だけに依存した圧力を有する背面過吸込圧領域を設定しているため、広い運転条件で両鏡板が引き付けられるように前記過吸込圧値を設定すると、付勢力が過大となる条件が生じ、その条件では、スクロール部材の変形による内部漏れの増大や付勢部の摺動損失の増大による性能低下とともに、摺動部における摩耗の危険性が高くなり信頼性の低下が生じるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、前記従来技術の問題を解決し運転条件全域で性能の高いスクロール圧縮機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための第一の手段として、鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロールラップを備えそのスクロールラップの立設する方向である軸線方向に垂直な面内を自転せずに旋回運動する旋回スクロール部材と、鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロールラップを備え少なくとも前記軸線方向に垂直な面内の方向における運動が概略規制される非旋回スクロール部材を噛み合わせ、それらスクロール部材の間に概略閉塞して容積が縮小する圧縮室と、その圧縮室側の流体の圧力による前記両スクロール部材の鏡板を引き離す向きの引き離し力に対抗して前記両スクロール部材の鏡板を引き付ける向きの引付力を各々の前記スクロール部材にかける引付力付加手段と、前記引付力と前記引き離し力のベクトル和である付勢力の反力を各々の前記スクロール部材に発生させるスクロール支持部材と、流体を前記圧縮室に導入する吸込系と、前記圧縮室内で加圧した流体を外部へ導出する吐出系を有する、スクロール圧縮機において、前記旋回スクロール部材における前記引付力付加手段の少なくとも一部は、前記旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側の面である旋回背面に前記吸込室内の圧力である吸込圧と前記吐出系内の圧力である吐出圧の間の中間圧よりもその中間圧の2割程度の誤差内で一定の値だけ大きい圧力をかけるべく背面過中間圧領域を設けて実現し、前記圧縮室の圧力が前記吐出系内の圧力である吐出圧よりも高くなることを抑制すべく圧力制御手段を設けた。
【0008】
また、前記目的を達成するための第二の手段として、鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロールラップを備えそのスクロールラップの立設する方向である軸線方向に垂直な面内を自転せずに旋回運動する旋回スクロール部材と、鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロールラップを備え少なくとも前記軸線方向に垂直な面内の方向における運動が概略規制される非旋回スクロール部材を噛み合わせ、それらスクロール部材の間に概略閉塞して容積が縮小する圧縮室と、その圧縮室側の流体の圧力による前記両スクロール部材の鏡板を引き離す向きの引き離し力に対抗して前記両スクロール部材の鏡板を引き付ける向きの引付力を各々の前記スクロール部材にかける引付力付加手段と、前記引付力と前記引き離し力のベクトル和である付勢力の反力を各々の前記スクロール部材に発生させるスクロール支持部材と、流体を前記圧縮室に導入する吸込系と、前記圧縮室内で加圧した流体を外部へ導出する吐出系を有する、スクロール圧縮機において、前記非旋回スクロール部材のスクロール支持部材を前記旋回スクロール部材とし、前記非旋回スクロール部材における前記引付力付加手段の少なくとも一部は、前記非旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側の面である非旋回背面に前記吸込室内の圧力である吸込圧と前記吐出系内の圧力である吐出圧の間の中間圧よりもその中間圧の2割程度の誤差内で一定の値だけ大きい圧力をかけるべく背面過中間圧領域を設けて実現し、前記圧縮室の圧力が前記吐出系内の圧力である吐出圧よりも高くなることを抑制すべく過圧縮抑制手段を設けた。
【0009】
また、前記目的を達成するための第三の手段として、前記第一及び第二の手段とともに、前記吐出系と前記背面過中間圧領域の間に設けた絞りを伴う吐出背面間流路とその背面過中間圧領域と時間平均で概略前記中間圧となる圧縮室である中間圧縮室の間に設けた背面圧縮室間流路とその背面圧縮室間流路中に前記背面過中間圧領域と前記中間圧縮室の圧力差を前記中間圧の2割程度の誤差内で一定の値に制御すべく圧力差制御手段を設けて、前記背面過中間圧領域の圧力の設定を行った。
【0010】
また、前記目的を達成するための第四の手段として、前記第一及び第二の手段とともに、前記吐出系と前記背面過中間圧領域の間に設けた絞りを伴う吐出背面間流路とその背面過中間圧領域と前記吸込系の間に設けた背面吸込間流路とその背面吸込間流路中に前記背面過中間圧領域と前記中間圧縮室の圧力差を前記中間圧の2割程度の誤差内で一定の値に制御すべく圧力差制御手段を設けて、前記背面過中間圧領域の圧力の設定を行った。
【0011】
前記第一の手段は、前記旋回スクロール部材の背面に吸込圧と吐出圧の間の中間圧よりも一定値(以後、過中間圧値と称する)だけ大きい圧力をかける背面過中間圧領域を設けるため、吸込圧よりも一定値だけ大きい圧力をかける背面過吸込圧領域を設ける従来の場合よりも、圧力レベルを吸込圧と吐出圧の間で自由に設定できる点において前記従来技術よりも自由度がある。このため、広い運転範囲において、前記従来技術よりも付勢力を一層小さく設定でき、スクロール部材の変形が抑えられ、圧縮室のシールの管理が容易になり、内部漏れを抑制して全断熱効率の向上を実現できるという効果がある。また、旋回スクロール部材とその支持部材が相対運動を有する構成の場合には、摺動部に働く付勢力が低減するため、そこにおける摺動損失や摩耗の危険性が低減し、全断熱効率や信頼性の向上を実現できるという効果がある。
【0012】
前記第二の手段は、前記第一の手段の内容を、非旋回スクロール部材を軸方向に可動とし非旋回背面に背面過中間圧領域を設けて非旋回スクロール部材を旋回スクロール部材に押し付ける方式のスクロール圧縮機に適用したものであって、前記第一の手段による効果と同様の効果を得る。
【0013】
前記第三の手段は、自らの吐出系から絞りを伴う吐出背面間流路により前記背面過中間圧領域に圧力を導入し、その圧力を圧力差制御手段を介して前記背面圧縮室間流路により前記中間圧力室へ排出させるため、外部に圧力源を設ける必要がなくなる。この結果、前記第一または第二の手段による効果とともに、外部からの助けを借りなくても圧縮機単体で運転が可能になるため、使い勝手を向上できるという効果がある。ここで、吐出背面間流路に絞りを設けているため、高圧の流体が前記背面過中間圧領域に多量に流入することがなくなる。このために、圧縮機の中で吸込系から吐出系へ短絡的に流れて生じる能力の低下を回避できる。
【0014】
前記第四の手段は、第三の手段において前記背面過中間圧領域に導入した圧力を中間圧力室に排出していたところを、吹込系に排出するように代えたものである。この結果、第三の手段において前記中間圧力室へのガスの流入によって生じる指圧線図の膨らみがなくなるため、全断熱効率を一層向上できるという効果がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を、非旋回スクロール部材がケーシングに対して固定された固定スクロール部材とし、旋回スクロール部材の鏡板の反圧縮室側である旋回背面に背面過中間圧領域を設け、要求される運転圧力条件範囲で旋回スクロール部材のスクロール支持部材を前記固定スクロール部材とした、すなわち旋回スクロール部材を前記固定スクロール部材に押し付ける、横置き型の旋回フロート式スクロール圧縮機に実施した第一の実施例を、図1ないし図8に基づいて説明する。図1は圧縮機の縦断面図、図2は固定スクロール部材の反スクロールラップ側からの平面図、図3は固定スクロール部材のスクロールラップ側からの平面図、図4は吐出圧のかかる領域の説明図、図5は圧縮行程の説明図、図6はバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)、図7は圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)、図8は圧力差制御弁の背圧室付近の縦断面図(図7におけるQ部の拡大図)、図9は効果を発揮する運転条件の説明図である。なお、この例は、圧縮機の直径が、10mmから1000mm程度のものである。
【0016】
まず、構造を説明する。
【0017】
旋回スクロール部材3は、鏡板3aにインボリュートまたは代数螺線等を基本線とするスクロールラップ3bを立設し、その背面に旋回軸受3wを挿入した軸受保持部3sと、旋回オルダム溝3g,3hを設ける。
【0018】
固定スクロール部材2は、鏡板2aにスクロールラップ2bを立設し、そのスクロールラップ歯先面と同一面である非旋回基準面2uを設け、そこに周囲溝 2cを形成する。そして、歯底には四個のバイパス穴2eが設けられる。ここでバイパス穴2eを四個設けた理由は、形成される全ての圧縮室6に常にバイパス穴を開口させるためである。このバイパス穴2eを覆うようにリード弁板であるバイパス弁板23xおよびその弁板23xの開口度を制限するリテーナ23aをバイパスねじ23hで固定する。また、中央近くには吐出穴2dが開口している。また、歯底面の外縁側に吸込み掘込み2qを設け、そこに背面から吸込みパイプ54を挿入するための吸込穴2vを設ける。
【0019】
この吸込穴2vに前記吸込パイプ54を挿入するが、そのときに弁体24aと逆止弁ばね24cを入れ、吸込み側逆止弁24を形成する。さらに、固定スクロール部材2の外周にガスおよび油を流す複数個の流通溝2rを設ける。そして、そのうちの一個にはモータ線77を通す。前記周囲溝2cに背面側導通路2βと弁穴2fを開け弁シール面または弁シール線2jを設ける。そして、この弁穴 2fの側面と、少なくともある期間は概略閉塞した圧縮室に臨む歯底を繋ぐ中間側導通路2αを設ける。この弁穴2fに板状の弁体100aと差圧弁ばね100cを入れ、ばね位置決め突起100hに前記差圧弁ばね100cの一端を挿入した状態で弁キャップ100fを前記弁穴2fよりも直径の大きい弁キャップ挿入部2kに圧入し、差圧制御弁100を形成する。
【0020】
このとき、前記差圧弁ばね100cは圧縮され、前記弁体100aを前記弁シール面2jに押し付ける。この押付力は過中間圧値を決定するため、これを決める寸法である前記弁穴2fの深さと前記キャップ挿入部2kの深さと前記弁体 100aの厚さと前記差圧弁ばね100cのばね定数及び自然長は精度良く管理しなければならない。特に前記差圧弁ばね100cの端部をばねの中心軸に概略垂直な面に仕上げておくことが必要である。そうでないと、ばね100cを圧縮したときに座屈が起こり、過中間圧値が異常に小さくなって、前記旋回スクロール部材3が前記固定スクロール部材2から離脱し正常な運転が不可能となる。また、前記弁キャップ100fの外径を前記弁キャップ挿入部2kの径よりも小さくし押付力が正規の値になるところでこの弁キャップ100fを拡管して止める方法もある。
【0021】
この時の押付力は、前記背面側導通路2βに棒を挿入して前記弁体24aに一端を付け、その棒が受ける力を検出する方法をとる。この方法の場合には、上記した各部の寸法やばね定数の値を精度良く管理する必要がなくなるため量産性が向上するという効果がある。これら二通りの方法とも組み立て完了時には、前記弁キャップ100fの外周部と前記弁キャップ挿入部2kの内周部の間は完全にシールされていなければならない。このシールを完全なものにするために、接着や溶接を行ってもよい。ここで、前記ばね位置決め突起100hの根元よりも先端の径を小さくしたテーパ形状にしてもよい。この場合、前記差圧弁ばね100cの端部が前記ばね位置決め突起100hの根元のみで固定されるため、ばねの可動部は前記位置決め突起100hと接触せず、ばねの自然長がばね単体時の自然長のまま確保される。よって、過中間圧値の設定値からの誤差を小さく抑えることができるという特有の効果がある。
【0022】
フレーム4は、外周部に前記固定スクロール部材2を取り付ける固定取付け面4b、その内側に旋回挾み込み面4dが設けられ、その挾み込み面4dには一個または複数個の挾み込み面溝4αが設けられる。そのさらに内側には、オルダムリング5をフレーム4と旋回スクロール部材3の間に配置するため、フレームオルダム溝4e,4f(ともに図示せず)を設ける。また、中央部には軸シール 4aと主軸受4mを設け、そのスクロール側にシャフトを受けるシャフトスラスト面4cを設ける。その軸シール4aと主軸受4mの間の空間に向かってフレーム側面から横穴4nが開口している。外周面にはガスおよび油の流路となる複数の流通溝4hが設けられる。そして、そのうちの一個にはモータ線77を通す。
【0023】
オルダムリング5の一面にフレーム突起部5a,5b(ともに図示せず)が設けられ、もう一方の面には旋回突起部5c,5dが設けられる。
【0024】
シャフト12には内部にシャフト給油孔12aと主軸受給油孔12bと軸シール給油孔12cと副軸受給油孔12iが設けられる。また、その上部には径の拡大したバランス保持部12hがあり、そこにシャフトバランス49が圧入される。さらに偏心部12fが設けられる。
【0025】
ロータ15は積層鋼板15aに未着磁の永久磁石(図示せず)を内蔵し、両端にロータバランス15c,15pを設ける。
【0026】
ステータ16は積層鋼板16bの外周部に圧縮性ガスや油の流路となる複数のステータ溝16cを設け、内部にコイル貫通穴16vが開いている。ここにコイル16wが通り、コイルの折り返し部である副軸受側コイルエンド部16xと主軸受側コイルエンド部16yが前記ステータ16の両側に配される。ところで、このステータ溝16cの代わりまたはステータ溝16cとともに前記積層鋼板 16bの内部で前記コイル貫通穴16vより外側に貫通穴を開けてもよい。
【0027】
これらの構成要素を以下のように組み立てる。まず、前記フレーム4の主軸受4aに前記シャフトバランス49が圧入または接着された前記シャフト12を挿入し、前記ロータ15を圧入または焼きばめする。さらに、前記オルダムリング5を、前記フレームオルダム溝4f,4eに前記オルダムリング5のフレーム突起部5a,5b(ともに図示せず)を挿入して、前記フレーム4に装着する。さらに、前記旋回スクロール部材3を、その旋回オルダム溝3g,3hに前記オルダムリング5の旋回突起部5c,5dを挿入し、旋回軸受3wに前記シャフト 12の前記偏心部12fを挿入しながら、旋回挾み込み面4d上に装着する。
【0028】
この旋回スクロール部材3に前記固定スクロール部材2を噛み合わせ、前記シャフト12を廻しながら回転トルクの最小となる位置でカバーねじ53により前記フレーム4に前記固定スクロール部材2を固定する。この時、前記旋回スクロール部材3の前記鏡板3aの厚さが前記旋回挾み込み面4dと非旋回基準面2uの間隔よりも5〜20μm程小さくなるようにし、前記旋回スクロール部材3と前記固定スクロール部材2の軸線方向における最大離間距離を規定する。また、前記旋回スクロール部材3の背面に旋回過中間圧領域99を設ける。
【0029】
次にあらかじめ前記ステータ16を焼きばめまたは圧入するとともにガス抜き通路88aを有するガスカバー88が溶接された軸受支持板18を溶接または圧入した円筒ケーシング31に、上記の組立て部を挿入し前記フレーム4または前記固定スクロール部材2の側面にタック溶接を行う。ここで、タック溶接の代わりに接着を行ってもよい。この時には、溶接による組立て部の変形がなくなり性能が向上する。
【0030】
これにより、前記ロータ12と前記ステータ16によってモータ19を形成し、前記軸受支持板18と前記フレーム4の間にモータ室62を形成する。次に前記軸受支持板18の中央部の穴から出た前記シャフト12の一端が軸受ハウジング70に装着した球面軸受72の円筒穴に挿入されるように前記軸受ハウジングを組み込み、前記シャフト12の回転トルクを検出しながら軸受ハウジング70の位置を調整してその回転トルクが最小になる位置で前記軸受ハウジング70を前記軸受支持板18にスポット溶接する。
【0031】
そして、給油管71を溶接した給油キャップ90をシール73を挟んで前記軸受ハウジング70にねじ込む。ここで、給油管71は給油キャップ90を前記軸受ハウジング70にねじ込んだ後に下方に曲げる。また、曲った給油管のついたねじのない給油キャップをねじのない軸受ハウジングに挿入したうえでスポット溶接してもよい。ここで、前記シール73を挟み込まずにシールが行われるよう、シール面の精度を上げ、このシール面の押付力を増大させてもよい。そして、前記円筒ケーシング31に吐出管55が上部に溶接された底ケーシング21を溶接し、貯油室80を形成する。給油管71の先端近くに、マグネット89を設ける。
【0032】
また、前記円筒ケーシング31にハーメチック端子22が上部に溶接された上ケーシング20を前記ハーメチック端子22の内部側端子にモータ線77を装着して溶接し、前記吸込みパイプ54を溶接して、固定背面室61を形成する。この状態で、前記ステータ16に電流を流し、前記ロータ15内部の永久磁石15bを着磁し、モータ19を形成する。その後、油を入れる。
【0033】
次に動作を説明する。まず、圧縮機起動直後の動作を説明する。
【0034】
前記モータ19を回転開始させることにより、前記シャフト12が回転し前記旋回スクロール部材3が旋回運動を始める。ここで、前記オルダムリング5があるために前記旋回スクロール部材3の自転が防止される。この動作により吸込室60内の圧縮性ガスが両スクロール部材の間に形成される圧縮室6に閉じ込められ圧縮されて前記吐出穴2dから固定背面室61に吐出され始める。ところで、前記旋回スクロール部材3の前記鏡板3aの厚さが前記旋回挾み込み面4dと非旋回基準面2uの間隔よりも5〜20μm程小さくなるようにし、前記旋回スクロール部材3と前記固定スクロール部材2の軸線方向における最大離間距離を規定している。
【0035】
このため、圧縮機起動直後は、前記旋回スクロール部材3は前記圧縮室6内のガスによる引き離し力で前記固定スクロール部材2から引き離され、前記フレーム4側に前記した距離だけ移動する。よって、鏡板3aの反ラップ側と前記旋回挟み込み面4dが摺動し、鏡板3aのラップ側と前記非旋回基準面2uの間には前記した最大離間距離だけの隙間が形成される。同時に、ラップの歯先と歯底間の隙間も同程度となるため、内部漏れが大きく高効率な運転はできないが、5〜20μm程度の最大離間距離であれば、モータ回転数を起動直後に許容できる最高値程度まで上昇させることにより内部漏れを抑制し、吸込圧を十分に下げるかまたは吐出圧を十分に上昇させることができる。前記固定背面室61に吐出されたガスは前記固定スクロール部材2および前記フレーム4の外周にある流通溝2rおよび4hを通って前記モータ室62に入る。
【0036】
そのモータ室62に入ったガスは、前記ステータ溝16cを通りながら前記ステータ16を冷却し、また、前記ロータ15の貫通穴15hを通りながらロータ15を冷却し、さらにロータとステータのギャップを通って両者を冷却する。ここで、前記ステータ溝16cをなくすと、多量のガス及び油がロータと接触して、ロータの冷却が促進されるため、モータ効率が向上するという特有の効果がある。その過程で、ガスは前記モータ19の各部に衝突してその中に含まれている油を分離する。分離された油は前記モータ室62の下部に落ちる。前記モータ室62内部のガスは通気孔18bを通過して前記貯油室80の上部に流入し、吐出パイプ55より外部に出る。ここで、その通気孔18bの流路抵抗により前記貯油室80の圧力は前記モータ室62の圧力よりも低くなる。よって、前記モータ室62の油は導油孔18aを通って前記貯油室80に流入する。このとき、導油孔18aからはガスも同時に前記貯油室80に流入し、前記貯油室80内の油中を気泡となって上昇するが、前記ガス抜き通路88bを設けているために気泡はその内部を上昇し通路開口部88bから前記貯油室80上部のガス部に抜けるため、前記給油管71には気泡が入らず、軸受の信頼性を向上できるという特有の効果がある。
【0037】
以上より、前記モータ室62の油面を前記ロータ15や前記シャフト12へかかることなく、油を小形の圧縮機内部に蓄えることが可能となるため、高信頼性の横置き圧縮機を小形で実現できるという本実施例特有の効果がある。圧縮機起動直後の前記背面過中間圧領域99の圧力は、前記したように前記フレーム4の前記挟み込み面溝4αと鏡板3aのラップ側と前記非旋回基準面2uの隙間により、吸込圧に近い圧力となっている。前記背面過中間圧領域99の前記圧力とほぼ吐出圧に近い前記貯油室内80との差圧等により前記貯油室80の油は前記給油管71から前記給油キャップ90内に入り、そこで毛細管現象や遠心力により前記球面軸受72の球面側の軸受部に供給される。
【0038】
さらに、断面積が大きいために流路抵抗のほとんどない前記シャフト給油孔 12aに入り、一部は遠心力が加わることにより前記副軸受給油孔12iを通って前記球面軸受72の中心穴側の軸受部に供給され、他の一部は同様に遠心力が加わることにより前記軸シール給油穴12cを通って前記軸シール4aに供給され、その他の一部は遠心力により前記主軸受給油孔12bを通って前記主軸受 4mに供給され、残りは旋回スクロール部材3の背面中央部に達した後前記と同様の差圧と遠心力により前記旋回軸受3wに供給される。
【0039】
この結果、前記旋回スクロール部材3背面の中央部に吐出圧のかかる背面吐出圧領域95を形成する。前記主軸受4m及び前記旋回軸受3wに給油された油はそこの摩擦で温度上昇した後に前記背面過中間圧領域99へ入る。この時、軸受部における油の平均圧力は前記背面過中間圧領域99の圧力よりも前記貯油室 80側の圧力に近い高圧であるため、前記背面過中間圧領域99に吹き出す。この結果、軸受部の摩擦による温度上昇と圧力の急激な低下により、油のガス成分の溶解度が低下し、油に溶け込んでいたガス成分が一気に気化する。この時に気化熱を周囲から奪うので、この付近の温度レベルを低く抑えるため前記主軸受 4mや前記旋回軸受3wの信頼性が向上するという特有の効果がある。
【0040】
また、ここでの油はミスト状になるため、前記オルダムリング5の摺動部に確実に給油でき、信頼性が向上するという特有の効果もある。この結果、前記背面過中間圧領域99へ流入するガス量が圧縮機起動直後に急激に増大する。このガスは、油とともに、前記挟み込み面溝4α及び鏡板3aのラップ側と前記非旋回基準面2uの隙間を通って前記吸込み室60に流入するが、鏡板3aのラップ側と前記非旋回基準面2uの隙間が小さいことと流れる流体中の油量が多く部分的にシール部を形成するため、前記背面過中間圧領域99へ流入する量に比較して流出する量が少なく、前記背面過中間圧領域99の圧力が急激に上昇する。
【0041】
この結果、吐出圧の上昇に伴う前記背面吐出圧領域95内の圧力上昇の寄与とともに、前記旋回スクロール部材3にかかる引付力が急激に増大し、圧縮機起動のほぼ直後もしくは非常に短時間で引付力の大きさが引離し力の大きさ以上となり、前記旋回スクロール部材3は前記固定スクロール部材2に押し付けられる。この結果、スクロールラップの歯先と歯底間の隙間が小さくなるかまたはなくなるために、前記圧縮室6の密閉性が向上して、圧縮途中のガスの内部漏れ量が低減し、起動直後に比較して性能が飛躍的に向上し、正規の運転状態に移行する。
【0042】
次に、前記旋回スクロール部材3が前記固定スクロール部材2に押し付けられた正規の運転時の動作を説明する。
【0043】
前記背面過中間圧領域99に流入したガス及び油の全てが前記吸込み室60へ直接流れ込まない点以外は、圧縮機起動直後と同様であるため、この部分のみを説明する。前記背面過中間圧領域99に流入したガス及び油は、前記挾み込み面溝4α及び前記鏡板3aの反ラップ面と前記旋回挟み込み面4dの隙間を通って、前記鏡板3aの側面と前記フレーム4の間の空間である旋回側面領域67に入る。このうちの一部は、前記鏡板3aのラップ側と前記非旋回基準面2uの両摺動面を潤滑しながら前記吸込み室60に流入する。前記旋回側面領域67と前記背面過中間圧領域99の間の流路抵抗は小さいため、この旋回側面領域67の圧力は前記背面過中間圧領域99の圧力にほぼ等しい。
【0044】
図8からわかるように、前記周囲溝2cは常にこの旋回側面領域67と通じているため、この周囲溝2c内の圧力は、前記背面過中間圧領域99の圧力となり、前記背面側導通路2βを経由して前記差圧制御弁100の前記弁体100aのフレーム側の面には前記背面過中間圧領域99の圧力がかかる。前記弁体100aの反対面側の空間は、前記中間側導通路2αにより時間平均が吸込圧と吐出圧の間の圧力である中間圧になる中間圧力室68と通じているため、前記背面過中間圧領域99の圧力が、前記中間圧よりも前記差圧弁ばね100cの押付力に対応した一定値である過中間圧値よりも高くなると、前記弁体100aが前記差圧弁ばね100c側に動く。この結果、前記旋回側面領域67内のガス及び油のうちで摺動面を経由して前記吸込み室60に流入したもの以外は、前記背面側導通路 2β,前記弁体100cと前記弁シール面2jの隙間,前記弁体100cの側面,前記弁穴2f,前記中間側導通路2αを順次経由して、前記中間圧力室68に流入する。そして、圧縮室内のガスと混ざって圧縮され前記吐出穴2dから吐出する。
【0045】
このように、吸込み室60に全量を戻さない結果、体積効率が向上し、小型で能力の大きい圧縮機を提供できるという効果がある。このようにして、前記背面過中間圧領域99の圧力は、前記中間圧よりも前記差圧弁ばね100cの押付力に対応した一定値だけ高い圧力に制御される。そして、前記中間圧は吸込圧と概略比例する値に制御され、その比例定数は、前記中間側導通路2αの中間圧力室側開口端のラップに沿ったラップ巻き終わりからの距離に概略対応した値となる。前記バイパス弁23が前記中間圧力室68に開口する期間に開くような条件では、バイパス弁23が開いたためにそれ以降の中間圧力室の圧力が大きく上昇せず、開かないときよりも、比例定数の値は小さくなり、その低下率は、前記バイパス弁23が前記中間圧力室68に開口する期間における前記バイパス弁23の開口期間の割合が高いほど、大きくなる。これらをまとめると、前記過中間圧領域99の圧力は以下のように概略制御される。
【0046】
A,B(過中間圧値),Cをある定数として、
(a)前記バイパス弁23が前記中間圧力室68に開口する期間に開かない運転条件時、背面過中間圧領域99の圧力≒A・吸込圧+B
(b)前記バイパス弁23が前記中間圧力室68に開口する期間に開く運転条件時、背面過中間圧領域99の圧力≒C・吸込圧+B
(ここで、C<A)
ここで、Aの値は、前記中間側導通路2αの中間圧力室側開口端のラップに沿ったラップ巻き終わりからの距離を変えることにより、任意に設定できる。これに伴ってCの値も変わる。
【0047】
以上のように、過中間圧値とともに前記中間圧を任意に設定できるため、圧縮機の使用条件に合わせて最適な中間圧と過中間圧値の組み合わせを選ぶことにより、従来技術の場合よりも、要求される全運転範囲で旋回スクロール部材を固定スクロール部材に押し付けるとともに、広い運転条件範囲で付勢力を小さくし摺動損失の小さい高性能な圧縮機を実現できるという効果がある。
【0048】
また、この実施例の場合、前記吐出背面間流路102は、その絞り部を軸受隙間とする前記主軸受4m及び前記旋回軸受3wの給油流路が兼ねていることはこれまでの説明から明らかであるから、外部の力を借りることなく圧縮機自ら起動することが可能となるため、使い勝手が向上するという効果がある。
【0049】
ところで、この前記背面過中間圧領域99を経由するガスは、圧縮機の中で吐出系から圧縮途中の前記中間圧力室68へ短絡する流れであり、スクロールラップにおける内部漏れと結果的には同様のものであるため、極力少なくすることが必要である。ここでは前記吐出背面間流路102の絞り流路である軸受隙間があることから、この流量は非常に小さく、圧縮機の性能低下は生じない。
【0050】
ここで、前記ガス抜き通路88bの内部には耐熱性繊維または耐熱性線材を編んだりランダムにからめて形成した多孔性固体88cを配置する。これにより、前記ガス抜き通路88b内部の油中を上昇する気泡が油の表面まで達して潰れたときにミスト化した油を補足するとともに、気泡の油中の上昇速度を低減してミスト化する油量の低減を実現し、この圧縮機からの吐出油量の低減を実現するという効果がある。
【0051】
さらに、油中に過飽和に溶解しているガス成分の気化のきっかけとなる気泡核生成箇所になるため、油の粘度の低下を抑制でき、各軸受の信頼性を向上するという効果がある。この多孔性固体88cの内部にはドライヤの粒子を多数充填したドライヤ層88dを設ける。このドライヤ層88dは、多孔性固体としての上記した効果を有するとともに、油内の水分を除去する。このガス抜き通路88bの内部では油が上昇するガスの気泡により常時攪拌されるため、ドライヤの水分吸着効率が高くなり、油内の水分を短時間で取り除くことが可能となる。
【0052】
この結果、油が加水分解を起こして酸等の材料の摩耗を進行させる問題物質を生成するエステル系等の油の場合には摺動部の信頼性を向上するという特有の効果や、圧縮機内の錆の発生を抑制するという効果がある。
【0053】
また、前記ドライヤ層88dは前記多孔性固体88cに取囲まれているため、ドライヤの粒子同士がこすれ合うような動きは生じず、さらに、ガスの主たる流れは前記通路開口部18bであるから、このガス抜き通路88b内のガスの流速は小さい。この結果、ドライヤの粒子同士がこすれ合って固いドライヤの粉を生じることがなくなるため、それが油内に混じって軸受等を摩耗させるということもなく、信頼性が向上するという特有の効果がある。
【0054】
このガスカバー88内に限らず、圧縮機の油を貯める部分にドライヤを設けることにより、ドライヤと油の接触時間を長くすることが可能となり、水分の吸着率を大幅に高めることができ、信頼性が向上する。特に、圧縮機外部の配管系内にドライヤを設置した場合には、主として運転時だけ油内の水分を吸着するが、圧縮機の油を貯める部分にドライヤを設けると、運転停止時でも油内の水分を吸着することが可能となり、運転頻度の低い使用条件にある圧縮機の信頼性を高くするのに効果的である。
【0055】
また、前記固定スクロール部材2の鏡板2aには、四個のバイパス穴2eが設けられている。これら各々のバイパス穴2eのバイパス弁シール面2λを覆う位置に弁部がくるように前記バイパス弁板23xを位置決めし、リテーナ23aとともにバイパスねじ23hで固定し、前記バイパス弁23を形成する。これにより、これらのバイパス弁23は、前記圧縮室6の圧力が吐出系の一部である前記固定背面室61の圧力よりも大きくなると開くことになる。前記固定背面室61の圧力は吐出圧であるから、このバイパス弁は、前記圧縮室6の圧力が吐出圧よりも高いときに前記圧縮室6と前記吐出系を連通することになり、制御バイパスとなっている。実際には、前記バイパス弁シール面2λにおける圧力分布やそこにある油の表面張力等により、このバイパス弁23が開口するタイミングはわずかにずれる。
【0056】
このようにして、前記旋回スクロール部材3の引付力付加手段として、前記過中間圧領域99を旋回背面に設け、制御バイパスである前記バイパス弁23も設けたため、過中間圧値を小さく設定でき、広い運転範囲で付勢力を小さく設定できる。この結果、全断熱効率や信頼性を広い運転範囲で高くできるという効果がある。
【0057】
ところで、図5で示したように、前記圧縮室6と前記固定背面室61を常につなぐように前記バイパス穴2eを四個設けたため、どのようなタイミングで液圧縮が生じようとしても圧力が極端に上がる前に前記バイパス弁が開いて流体は前記固定背面室61に排出される。この結果、ラップの損傷の危険性を回避し、信頼性を向上できるという効果がある。また、極端に圧力比の小さいポンプ運転に近い場合でも過圧縮を抑制できるため、低圧力比側の広い運転条件範囲で全断熱効率を高くできるという効果がある。
【0058】
ここで、この実施例の図1のP部を、図52に示すように、前記中間側導通路2αの中間圧力室側開口端を概略閉塞する圧縮室には常に臨まない位置すなわち吸込み室60に設けた場合には、上記式のAを1にすることができる。これに伴いCも1となる。この時は、上記式から明らかなように、背面過中間圧領域99の圧力は吸込圧+一定値に制御される。つまり、本実施例の手段は、それを発展させると従来技術になるような基本的な手段であることがわかる。よって、これまで記した本実施例特有の効果及びこれ以後に記す実施例特有の効果は、旋回スクロール部材の背面に吸込圧+一定値の圧力をかける従来技術の実施例の効果でもある。
【0059】
ここで、この実施例の図1のP部を、図53で示すように、前記中間側導通路2αの中間圧力室側開口端を吸込圧となる連通溝2δに設けると、同様の効果を得るとともに、前記弁穴2f内の圧力はラップの動きによる局部的な圧力変動に影響されないため、旋回スクロール部材3の背面圧力の制御性が向上するという特有の効果がある。
【0060】
ここで、この圧縮機の起動時に、前記吸込パイプ54と連結する配管系や前記吐出管55と連結する配管系の両方または各一方を絞る動作を行うシステムを設けるか作業者に行わせれば、吸込圧の低下または吐出圧の上昇を一層確実に実現できる。この結果、前記旋回スクロール部材3を前記固定スクロール部材2に押し付ける正規の運転に一層短時間で移行できるという効果が出てくる。
【0061】
ところでまた、前記旋回スクロール部材3の鏡板3aの背面中央部にある前記軸受保持部3sの底面には、前記シャフト給油孔12aからの吐出圧の油が入ってくるため、旋回吐出圧領域95となっている(ここで、旋回吐出圧領域95は、旋回軸受3wの内径の領域である)。しかも、その軸線方向から見た投影面積は、吐出室の軸線方向からみた投影面積とそれを囲む圧縮室の境界を形成する両スクロールラップの歯先面積の半分の和の最大値と最小値との間になっているため、引き離し力における吐出圧の寄与を考慮する必要性が低くなる。よって、前記背面過中間圧領域99の圧力における過中間圧値をより小さく設定できるため、全断熱効率及び信頼性を一層向上できるという効果がある。
【0062】
ここで、投影面積の例を、図4に示す。この図は、最内の圧縮室であるA1,A2が吐出室A3と連通する瞬間を示したものである。連通直後とみなすと、
【0063】
【数1】
A1+A2+A3+K2+K3+S2+S3+(K1+S1)/2
が問題としている投影面積の最大値となる。また、連通直前とみなすと、
A3+(K3+S3)/2
となり、問題としている投影面積の最小値となる。
【0064】
ここで、この圧縮機を、冷凍サイクル用圧縮機として用いた場合、吸込圧と吐出圧の運転範囲は、図9で示すように、吸込圧が高い条件では吐出圧は低くなる。よって、制御バイパスがあると過圧縮は抑制もしくは生じなくなるため、吸込圧が高くなっても引き離し力は小さくなる。よって、過中間圧値を更に一層小さく設定でき、全断熱効率や信頼性の向上を実現できるという効果がある。冷凍サイクルは図9に示すような運転範囲を要求する用途の一つであり、この効果はこれに限ったものではない。これ以外でも圧力条件において同様な運転条件を要求する用途では、同様の効果がある。
【0065】
次に、第二の実施例を図10の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)に基づいて説明する。弁シール面100j及び背面側導通路100βを有する弁シール部材100iを固定スクロール部材2の非旋回基準面2u側から開けた弁穴2fの開口部付近に固定配置し凹部100gを設ける以外は、前記第一の実施例と同様であるので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。弁シート面は差圧制御弁100の開閉に伴い弁体100aでたたかれて摩耗が生じやすいが、この弁シール部材100iをたたき摩耗の少ない材質にすることにより、信頼性の高い差圧制御弁を実現できるという特有の効果がある。例えば、固定スクロール部材2の材質よりも硬度の高い材料にする。さらに、前記凹部100gを形成したために、背面側導通路の位置を周囲溝の位置に限定する必要がなくなり、設計の自由度が向上するという特有の効果もある。
【0066】
次に、第三の実施例を図11の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)に基づいて説明する。背面過中間圧領域に導入したガス及び油を吹込系に排出するようにした以外は前記第一の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。前記第一の実施例において、弁穴 2fに吸込み室60と通じる吸込み側流通路2iを設け、弁シート面をなくし、その側面の円筒面がシール面となる円筒状弁体100dを板状の弁体の代わりに組み込んだ。前記円筒状弁体100dの差圧弁ばね100c側には中間圧がかかりその反対面には背面過中間圧領域99の圧力がかかる。前記円筒状弁体100dの先端が前記吸込み側流通路100iの位置まで移動した時に前記背面側流通路 2βと前記吸込み側流通路2iが通じて、背面圧縮室間流路が開く構造であるから、前記吸込み側流路2iの位置や差圧弁ばね100cのばね定数や自然長を変えることにより過中間圧値を任意に設定できる。この結果、第一の実施例において中間圧力室68へのガスの流入によって生じる指圧線図の膨らみがなくなるため、全断熱効率を向上できるという効果がある。
【0067】
また、前記円筒状弁体100dの円筒面にリング状のシール部材である弁体シール100kを設けてもよい。これにより、弁体側面のシールが確実になって上記した指圧線図の膨らみが確実になくなるため、全断熱効率を確実に向上できるという効果がある。また、前記中間側導通路100βの中間圧力室側の端またはそれに近い部分に導通路キャピラリ100mを挿入してもよい。これにより、中間圧力室の圧力変動による前記中間側導通路2α内のガスの前記中間圧力室への出入り量を低減できるため、これにより生じる指圧線図の膨らみが小さくなって、全断熱効率を向上できるという効果がある。
【0068】
次に、第四の実施例を図12の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)に基づいて説明する。円筒溝2γ及び吸込み側導通路2iをその円筒溝2γと連通溝2δの間に設けた以外は前記第三の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。前記円筒溝100pを設けることにより、吸込み側導通路2iと背面側導通路2βの導通のタイミングが正確に規定できるため、量産時の過中間圧値のばらつきを小さくできるという特有の効果がある。さらに、前記吸込み側流通路2iの吸込み室側の開口位置を連通溝2δとした。シャフト12の一回転に伴う連通溝2δ内の圧力変動は、圧縮室60内の他の部分の圧力変動よりも小さいため、前記吸込み側導通路2iと前記背面側導通路2βの導通時におけるそこの流量が不安定に変動せず、前記差圧制御弁100の制御性を向上できるという特有の効果がある。
【0069】
次に、第五の実施例を図13の圧力差制御弁の背圧室付近の縦断面図(図7,図11,図12におけるQ部の拡大図)に基づいて説明する。背面側導通路2βの前記旋回側面領域67側の開口部を、前記周囲溝2cからはずし、さらに鏡板3aが間欠的にふさぐような位置に設けた以外は前記第一,第三及び第四の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。圧縮機の起動直後の、前記旋回スクロール部材3を固定スクロール部材2へ押付け始めた瞬間において、前記旋回側面領域67より流体の抜ける流路であった鏡板 3aのラップ側の面と前記非旋回基準面2uの隙間が瞬間的に遮断されるため、一気に前記旋回側面領域67の圧力が上昇する。
【0070】
前記背面側導通路2βの前記旋回側面領域67側の開口部を前記周囲溝2cに設けた場合、この急激な圧力上昇によって前記弁体100aに衝撃力がかかり、前記弁体100aの過大な移動によるガスの抜け過ぎが起こって引付力の低下が生じ、前記旋回スクロール部材3が固定スクロール部材2から再び離脱するという現象が起こりやすくなる。この現象が繰り返される場合がまれに起こり、この時は、正規の運転状態へ移行するために長い時間を要するか最悪の場合は正規の運転状態へ移行できなくなる危険性が生じる。
【0071】
これに対して、本実施例では、鏡板3aによる開口部の間欠的な閉塞により、前記中間側導通路2α内の圧力変化速度及び圧力変化量が緩和され、前記弁体 100aの過大な移動が抑制されてガスの抜け過ぎも起こらず、前記旋回スクロール部材3は固定スクロール部材2に安定して押し付けられる。この結果、圧縮機の旋回スクロール部材3を固定スクロール部材2に押し付けた正規の運転状態に常にスムーズに移行できるという特有の効果がある。
【0072】
次に、第六の実施例を図14の圧力差制御弁の背圧室付近の縦断面図(図7,図11,図12におけるP部の拡大図)に基づいて説明する。背面側導通路2βの前記旋回側面領域67側の開口部を前記周囲溝2cの傾斜面にかけ、前記背面側導通路2βと前記周囲溝2cとの流路抵抗を第一の実施例と第五の実施例の間にした以外は前記第一、第三、第四及び第五の実施例と同様であるので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。圧縮機の起動直後の、前記旋回スクロール部材3を固定スクロール部材2へ押付け始めた瞬間において、鏡板3aによる開口部の閉塞は生じないが、絞り部2γにより、前記中間側導通路 2α内の圧力変化速度及び圧力変化量が緩和され、前記弁体100aの過大な移動が抑制されてガスの抜け過ぎも起こらず、前記旋回スクロール部材3は固定スクロール部材2に安定して押し付けられる。この結果、圧縮機の旋回スクロール部材3を固定スクロール部材2に押し付けた正規の運転状態に常にスムーズに移行できるという特有の効果がある。
【0073】
さらに、前記弁体100aには前記旋回側面領域67の圧力が常時かかるため、正規の運転状態に移行した後の前記弁体100aの動作がスムーズになり、前記差圧制御弁100の制御性が向上するという特有の効果がある。
【0074】
次に、第七の実施例を図15のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)に基づいて説明する。固定スクロール部材2の鏡板2aにバイパス弁23が入るバイパス掘込み2ωを設けた以外は前記第一ないし第六の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。この結果、バイパス穴2eの長さが短くなり、それに伴って穴の容積も小さくなる。図5に示すように、圧縮室6はスクロールラップの周囲から中央に向かって移動するため、固定スクロール部材に設けられ固定して動かないバイパス穴2eは、吸込み室60あるいはある容積まで縮小した圧縮室6に連通した後、一定の容積縮小が起こりそれに伴う圧力上昇が起こった時点で、圧縮室6との連通が途絶える。そして、その後にその周囲から移動してくる一つ外側の圧縮室6と連通するまで、バイパス穴2eの圧縮室側開口部はスクロールラップ3bの歯先面により閉じられる。
【0075】
このため、圧縮室6とバイパス穴2eが連通開始した時点ですでにバイパス弁23が動作する条件以外の条件では、バイパス穴2e内に閉じ込められたガスまたは油の圧力は、前記したスクロールラップ3bの歯先面による密閉性が完全であれば、加熱による圧力上昇を除くと、バイパス穴2eが圧縮室6との連通を遮断した時点の高さに保たれる。前記歯先面の漏れがあると場合により少し低下したり少し上昇したりするが、バイパス穴2e内に閉じ込められたガスまたは油の圧力が、高いレベルであることに変わりはない。
【0076】
よって、圧縮室6とバイパス穴2eが連通開始した時点ですでにバイパス弁 23が動作する条件以外の条件では、バイパス穴2eが圧縮室6と連通を開始するとき、バイパス穴2e内に閉じ込められたガスまたは油が圧縮室6へ吹き出す現象が起こる。これは、実質的な内部漏れであり、性能低下を引き起こす。よって、本実施例のように、バイパス穴2eの容積が小さければ吹き出す量が減るため、性能低下を抑制できるという特有の効果がある。
【0077】
次に、第八の実施例を図16のバイパス弁付近の固定背面室61側の縦断面図(図1におけるR部の固定背面室側の拡大図)に基づいて説明する。バイパス穴2eのバイパス弁23側にバイパス穴面取り2εを設けた以外は前記第一ないし七の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。バイパス弁シール面2λ上の圧力分布は、バイパス弁23の動作状況により変化し、不確定である。よって、この箇所の圧力が周囲の圧力よりも大幅に低い場合には、前記バイパス穴2e内の圧力が前記固定背面室61の圧力よりも大幅に高くなるまで前記バイパス弁23は開口せず、過圧縮の抑制が困難となり、過圧縮条件における性能が低下する。
【0078】
逆に、この箇所の圧力が周囲の圧力よりも大幅に高い場合には、前記バイパス穴2e内の圧力が前記固定背面室61の圧力よりも大幅に低いところで前記バイパス弁23が開口してしまうため、前記固定背面室61から圧縮室6への逆流が生じ、実質的な内部漏れが起こって性能が低下する。前記バイパス穴面取り2εを設けることにより、圧力分布の不確定な部分である前記バイパス弁シール面 2λの面積を縮小できるため、上記した性能低下現象が起こらないか、起こっても性能低下の程度が小さくなるという特有の効果がある。ここで、吐出圧が低いときには、シール面の面積が狭いために、シール性が低下するという危険性が高くなる。
【0079】
この対策として、前記バイパス弁板23xを平面でなく側面から見ると曲がった形状とし、図17のように固定スクロール側に凹部がくるようにして固定スクロールに固定するとよい。(ここで、この図17は説明しやすさを考えて、極端に曲がったバイパス弁板23xを示しており、実際の曲がりは図17よりも小さい。)これにより、前記バイパス弁板23xは、常にそれ自身のばね力で前記バイパス弁シール面2λに押し付けられるため、吐出圧が低い場合でも、安定したシール性を確保でき、そこからの漏れが抑制されて性能が向上するという特有の効果がある。また、逆に、固定スクロール側に凸部がくるようにして固定スクロールに固定した場合、バイパス弁開口時の流路抵抗による過圧縮を抑制するという効果が出てくる。
【0080】
次に、第九の実施例を図18のバイパス弁付近の固定背面室側の縦断面図(図1におけるR部の固定背面室側の拡大図)に基づいて説明する。バイパス弁のシール部を線状とするために、断面が半球状のバイパス弁シール線2τを設けた以外は前記第八の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これは、前記した第八の実施例で行ったシール面の面積を縮小する手段の極限と考えられ、効果も第八の実施例と同様である。さらに、この手段の短所であるシール性の低下の対策も図17に示す方法が効果的である。
【0081】
次に、第十の実施例を図19のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)及び図20の円筒状リテーナの縦断面図に基づいて説明する。バイパス弁をリード弁と異なる構成にした以外は第一ないし第九の実施例と同様であるため、その他の部分の構成及び動作及び効果の説明は省略する。
【0082】
まず、構成を説明する。前記バイパス穴2eの固定背面室61側に円状バイパス弁板23yを配置するための円筒状掘込み2σを設け、その底にバイパス弁シール面2λを設ける。この円筒状掘込み2σの固定背面室61側に拡大部2ρを設ける。この円筒状掘込み2σに前記円状バイパス弁板23yを入れて、円筒状リテーナ23bを挿入し、前記固定スクロール部材2に固定配置する。この円筒状リテーナ23bの圧縮室6側にはバイパス弁ストッパ面23cがあり、その中央に中央放出穴23e、その周囲に一個または複数の周辺放出穴23fを設ける。これらの穴の総断面積は前記バイパス穴2eの断面積程度かそれ以上とする。この時、挿入深さは前記拡大部2ρの段付き部により規定されるため、挿入時の組立て性がよいという特有の効果がある。ここで、このバイパス弁ストッパ面 23cは、前記円状バイパス弁板23yが前記バイパス弁シール面2λから離れる最大距離を規定する。
【0083】
この最大距離は、前記バイパス穴2eの断面積程度またはこれ以上の断面積を確保するために、以下の式に従って設定するとよい。バイパス穴直径をDとすると、最大距離Lは、
【0084】
【数2】
L≒or>(πD2/4)/πD=D/4
で示す値とする。また、この円筒状リテーナ23bの固定配置法であるが、圧入が一般的である。また前記拡大部2ρの外周部と前記円筒状リテーナ23bの外周にテーパねじを各々設け、それらをねじ込むことにより固定配置する方法も考えられる。ただ、圧入やねじ止めを行うと、前記固定スクロール部材2が変形する危険性が生じる。
【0085】
これを回避するために、接着が考えられる。また、二点鎖線で示すように、外周近くに外周掘込み23gを設けて、前記円筒状リテーナ23bの外周面の剛性を低くし、圧入に伴う前記固定スクロール部材2へかかる力を小さくして前記固定スクロール部材2の変形を回避する方法も考えられる。これらの方法により、前記固定スクロール部材2の変形が抑制されるかなくなり、スクロールラップ間の隙間の管理が容易となり量産時の性能のばらつきが少ないという特有の効果がある。
【0086】
次に、動作を説明する。通常、前記円状バイパス弁板23xは、その前記バイパス弁ストッパ面23c側の面にかかるほぼ吐出圧となる前記固定背面室61の圧力がもう一方の面にかかる圧縮室の圧力よりも高いために、前記バイパス弁シール面2λに押し付けられ、前記バイパス弁23は閉じている。ところが、過圧縮条件の場合には、圧縮室の圧力が吐出圧よりも高くなろうとするため、その時には前記円状バイパス弁板23xは前記バイパス弁シール面2λから離れ、前記バイパス弁23は開く。よって、圧縮室と前記固定背面室61が通じ、圧縮室から流体が流失する。この流失は、圧縮室内の圧力が前記固定背面室61の圧力と同じレベルになるか低くなるまで続く。
【0087】
以上のように、このバイパス弁23は、圧縮室の圧力が吐出圧よりも高くなることを抑制するように制御する制御バイパスの働きを行う。このバイパス弁23は、バイパス穴の径よりもわずかにシール部等だけ拡大した極めて小さい円状バイパス弁が配置できるだけの小さい掘込みを設けるだけで、バイパス穴の容積を縮小できるため、前記した第七の実施例のように、大きな掘込みを設ける必要がない。
【0088】
よって、前記固定スクロール部材2の前記鏡板2aの強度低下を抑制したうえで、バイパス穴内に閉じ込められたガスまたは油の圧縮室への吹き出し量を抑制できるため、固定スクロール部材の変形に伴うラップ間隙間を小さく保持できるとともに前記したガスや油の圧縮室への吹き出しによる実質的な内部漏れを抑制でき、性能向上を図ることができるという特有の効果がある。
【0089】
これまでの実施例におけるリード弁方式のバイパス弁は、バイパス弁自身の弾性により、開口度が大きければ大きいほど閉じる向きの力が大きくなるため、大きい開口度が必要な場合に開口度が小さくなって流路抵抗が大きくなり過圧縮が抑制しにくいという短所があった。この実施例では、バイパス弁自身の弾性がないため、開口度が大きくても弁による閉じる向きの力は発生しない。よって、バイパス弁の開口動作を妨げる力がなくなるため、過圧縮が抑制しやすくなり、性能が向上するという特有の効果もある。
【0090】
次に、第十一の実施例を図21のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)に基づいて説明する。バイパス穴2eのバイパス弁側にバイパス穴面取り2εを設けた以外は前記第十の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。バイパス弁シール面2λ上の圧力分布は、バイパス弁23の動作状況により変化し、不確定である。よって、この箇所の圧力が周囲の圧力よりも大幅に低い場合には、前記バイパス穴2e内の圧力が前記固定背面室61の圧力よりも大幅に高くなるまで前記バイパス弁23は開口せず、過圧縮の抑制が困難となり、過圧縮条件における性能が低下する。
【0091】
逆に、この箇所の圧力が周囲の圧力よりも大幅に高い場合には、前記バイパス穴2e内の圧力が前記固定背面室61の圧力よりも大幅に低いところで前記バイパス弁23が開口してしまうため、前記固定背面室61から圧縮室6への逆流が生じ、実質的な内部漏れが起こって性能が低下する。前記バイパス穴面取り2εを設けることにより、圧力分布の不確定な部分である前記バイパス弁シール面 2λの面積を縮小できるため、上記した性能低下現象が起こらないか、起こっても性能低下の程度が小さくなるという特有の効果がある。
【0092】
次に、第十二の実施例を図22のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)に基づいて説明する。バイパス弁シール部を線状とするために、断面が半球状のバイパス弁シール線2τを設けた以外は前記第十の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これは、前記した第十一の実施例で行ったシール面の面積を縮小する手段の極限と考えられ、効果は第十一の実施例と同様であり、その効果の程度は第十一の実施例よりも一層大きい。
【0093】
次に、第十三の実施例を図23の円状バイパス弁板の平面図に基づいて説明する。バイパス弁板のシール部またはシール線(図23中のハッチング領域)の外側に複数の弁体流路23iを設ける以外は前記第十ないし十二の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、シール部を確保しながら弁体のシール側からストッパ面側へ抜ける流路断面積を拡大できるため、過圧縮損失をより一層低減できるという特有の効果がある。ここで、この円状バイパス弁板23yの外周の径を前記円筒状掘込み2σに近くしてもよい。
【0094】
このようにすると、弁体の前記円筒状掘込み2σの中心軸方向に垂直な方向の動きが規制され、弁体の前記中心軸方向の動きが滑らかになることから、過圧縮損失が一層抑制でき、性能が向上するという特有の効果がある。図23の弁体よりも図24の弁体の方が、弁体流路の面積が大きく流路抵抗が小さいので、過圧縮損失がより一層抑制でき、性能が向上するという特有の効果がある。また、外周の径を前記円筒状掘込み2σに近くした場合には、その部分の摺動面積が小さいので、摩擦が小さく、弁体の前記中心軸方向の動きが一層滑らかになり、過圧縮損失が一層抑制でき、性能が一層向上するという特有の効果がある。
【0095】
次に、第十四の実施例を図25の円状バイパス弁板23yの縦断面図に基づいて説明する。円状バイパス弁板23yのバイパス弁ストッパ面側の外周に突き出た外周突起部23jを設ける以外は前記第十三の実施例のうちで、外周の径を前記円筒状掘込み2σの径に近くしたものと同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、この円状バイパス弁板23yが軸方向に垂直な軸を中心に回転しようとしても、前記外周突起部23jがあるために、ほとんど回転できなくなり、この円状バイパス弁23bの姿勢が一層安定化し、軸方向の動作が確実になって、過圧縮損失が一層抑制され、性能が一層向上するという特有の効果がある。
【0096】
また、この外周突起部23jは、この円状バイパス弁板23yの剛性を高めるリブの役目をするため、同じ剛性でも弁体の厚みを薄くできるため、軽量となる。この結果、バイパス弁23の開閉動作の応答性を向上でき、過圧縮損失が一層抑制され、性能が一層向上するという特有の効果がある。ここで、前記弁体流路23iを前記外周突起部23jよりも内側まで食い込ませXラインまでもってきて流路抵抗を一層低減してももちろん良い。また、この外周突起部23jをシール面側に設けてもよい。この場合は、出っ張りの高さ及び内径をバイパス弁シール面2λまたはバイパス弁シール線2τの基底部と干渉しないようにする。
【0097】
次に、第十五の実施例を図26の円錐状バイパス弁体の縦断面図に基づいて説明する。円錐状バイパス弁体23zと固定スクロール部材2がバイパス弁シール面2λの時は円錐状にする以外は前記第十四の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、バイパス弁の開口時のシール面またはシール線における流れは滑らかになるので、過圧縮損失が一層抑制され、性能が一層向上するという特有の効果がある。ここで、弁体及びシール面の円錐面を図27のように球面としてもよい。このようにすると弁体が傾いてもシールは行われるため、このバイパス弁における閉口時の漏れを確実に回避できるという特有の効果がある。また、この円錐状バイパス弁体23zを比重の小さいアルミ合金やプラスチック材としてもよい。これにより、軽量化でき、バイパス弁23の開閉動作の応答性を向上でき、過圧縮損失が一層抑制され、性能が一層向上するという特有の効果がある。
【0098】
次に、第十六の実施例を図28の円筒状リテーナの縦断面図に基づいて説明する。円筒状リテーナ23bのバイパス弁ストッパ面23cを含む部分をプラスチック等の金属よりも柔軟な材料にした別体ストッパ部23wにする以外は前記第十ないし十五の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、バイパス弁の開口時に弁体がバイパス弁ストッパ面23cと衝突したときの音を小さくできるという特有の効果がある。この別体ストッパ部23wは円筒状リテーナ23bの他の部分にインサート成形してもよいし、接着してもよい。また、この円筒状リテーナ23b全体をプラスチック等の金属よりも柔軟な材料にしてももちろんよい。
【0099】
次に、第十七の実施例を図29の円筒状リテーナの縦断面図に基づいて説明する。円筒状リテーナを、プレス成形に適した、全域の厚さが概略一定の形状にする以外は前記第十ないし十五の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、プレス成形で加工すると、加工コストの低減を実現できるという特有の効果がある。また、この円筒状リテーナ23bの剛性が小さいため、前記固定スクロール部材2に圧入する場合には、圧入代を過大にとっても前記固定スクロール部材2に性能の低下をもたらすほどの変形は生じることがなく、低い加工精度で量産化が可能となり、加工コストの低減を実現できるという特有の効果がある。
【0100】
次に、第十八の実施例を図30のバイパス弁23の主要部拡大縦断面図に基づいて説明する。円筒状リテーナ23bと円状バイパス弁板23xまたは円錐状弁体23zの間にバイパスばね23kを設ける以外は前記第十ないし十七の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。
【0101】
このバイパスばね23kを圧縮ばねとして用いた場合、バイパス弁23が閉じているときには弁体23x,23zがバイパス弁シール面2λまたはバイパス弁シール線2τに押し付けられているため、その時のシール性が向上し、内部漏れが低減して性能が向上するという特有の効果がある。
【0102】
ところで、このバイパスばね23kの一端と弁体23x,23z、及び、バイパスばね23kの他端と円筒状リテーナ23bを固定したうえで、このバイパス弁23が閉じた時にわずかに引っ張り状態となるようにバイパスばね23kの自然長を設定してもよい。これにより実現する制御バイパスは、圧縮室の圧力が吐出圧に達するわずかに前のタイミングで開く。
【0103】
これまでの実施例で述べた制御バイパスでは、そのバイパスの開き始めの流路断面積が小さいために、過圧縮を回避するに足る制御バイパス内の流れが生じず、過圧縮はかなり残り、過圧縮条件下での過圧縮損失による性能低下を起こすとともに、過中間圧値の設定を大きめにする一因となり、不足圧縮条件時の付勢力増大による性能低下を起こした。ここで示したように、制御バイパスを引っ張りばねで構成することにより、圧縮室の圧力が吐出圧に達するわずかに前のタイミングで制御バイパスが開くため、圧縮室圧力と吐出圧が同一になった時にはそのバイパスの流路断面積は大きくなっており、過圧縮を大幅に低減できる。この結果、過圧縮条件下では過圧縮損失低減による性能向上を実現するとともに、過中間圧値の設定値を小さくできるために、不足圧縮条件時の付勢力低減による性能向上を実現できるという特有の効果がある。
【0104】
また、弁体に外周突起部23jがあるものの場合、外周突起部23jの内周に前記バイパスばね23kがちょうどゆるく圧入されるような寸法形状にしてもよい。この結果、前記バイパスばね23kの中心軸と弁体の中心軸を常に合わせておくことが可能となるため、バイパス弁23が閉じているときの前記バイパスばね23kの縮み量または伸び量が常に一定となり、バイパス弁の開く条件が一定し、安定した性能を実現できるという特有の効果がある。特に前記外周突起部 23jの高さが前記バイパスばね23kの素線の半径以上でかつ直径程度であるとなお良い。この場合、そのバイパスばね23kの伸縮をほとんど阻害せずに弁体と前記バイパスばね23kが接続できるため、動作時のばね定数を常時概略一定に保持でき、バイパス弁23の動作の確実性を確保できるという特有の効果がある。
【0105】
また、図31のように、図30の実施例とは反対に弁体のバイパス穴2e側にバイパスばね23kを設けてもよい。この時には、図30の実施例のときと逆にバイパスばね23kの設定状態を用いて同様の効果を得ることができる。
【0106】
次に、第十九の実施例を図32の円筒状リテーナの中央突起部の表面の拡大縦断面図に基づいて説明する。中央突起部23pを先端に向かうにつれて細くなるようなテーパ形状とする以外は前記第十八の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、そのバイパスばね23kの伸縮を阻害せずに円筒状リテーナ23bと前記バイパスばね23kを接続できるため、動作時のばね定数を常時概略一定に保持でき、バイパス弁23の動作の確実性を確保できるという特有の効果がある。また、図33のように、前記中央突起部23pの付け根に前記バイパスばね23kの端部のリングがはまるばね溝23qを設けてもよい。このようにすると、前記バイパスばね23kの姿勢が安定するため、バイパス弁23の動作が一層確実になるという特有の効果がある。
【0107】
次に、第二十の実施例を図34のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)及び図35の自己ばね型円状バイパス弁板23mの平面図に基づいて説明する。これらの図の部分以外は前記第十ないし十九の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。自己ばね型円状バイパス弁板23mは、周囲の弁挟み込み部23tと中央の円形状の弁本体23rを四本の放射状弁保持部23sでつないだ構造を有している。バイパス穴2eの反ラップ側に円筒状掘込み2σを設ける。
【0108】
この底部には、外周に固定挟み込み面2θ、中央部にバイパス弁シール面2λまたはバイパス弁シール線2τを形成し、それらを概略同一面とする。この円筒状掘込み2σに自己ばね型円状バイパス弁板23mを入れ、前記弁挟み込み部 23tを前記固定挟み込み面2θに載せ、さらに前記弁本体23rを前記バイパス弁シール面2λに載せる。そして、ばね押さえ付リテーナ23uを前記円筒状掘込み2σに圧入または接着し、その外周の底面で前記弁挟み込み部23tを押さえて、前記自己ばね型円状バイパス弁板23mを固定配置し、バイパス弁23を形成する。このばね押さえ付リテーナ23uには、上述した実施例で用いた円筒状リテーナ23bと同様の働きをする、中央放出穴23eや周辺放出穴23fのいずれかまたはその両方、バイパス弁ストッパ面23cが設けられている。
【0109】
これにより、上述した実施例のように、弁体と別体のばねを設けることなく、弁体に組み込まれた前記放射状弁保持部23sの弾性によって、このバイパス弁23が開口した後で再び閉じるときの動作の確実性を向上できるという特有の効果がある。ここで、この放射状弁保持部は四本となっているが何本でもよい。特に、二本以上で、前記自己ばね型円状バイパス弁板23mの中心を通る直線で線対称となるような直線が存在する形状とすれば一層良い。これにより、このバイパス弁23が開口した時でも、弁本体23rの姿勢は、バイパス弁シール面2λに概略平行となる。よって、バイパス穴2eから円筒状掘込み2σに流出するガスの流れが偏らないため、流路抵抗が小さくなり、過圧縮損失が一層低減でき、性能向上できるという特有の効果がある。
【0110】
また、前記固定挟み込み面2θを前記バイパス弁シール面2λより浅くしてもよい。この場合には、第十八の実施例のうちで、バイパスばねを引張り状態で用いた場合と同様の作用を生じる。よって、過圧縮条件下では過圧縮損失低減による性能向上を実現するとともに、過中間圧値の設定値を小さくできるために、不足圧縮条件時の付勢力低減による性能向上を実現できるという特有の効果がある。また、前記固定挟み込み面2θを前記バイパス弁シール面2λより深くしてもよい。この場合には、第十八の実施例のうちで、バイパスばねを圧縮状態で用いた場合と同様の作用を生じる。よって、内部漏れが低減して性能が向上するという特有の効果がある。
【0111】
次に、第二十一の実施例を図36,図37,図38の自己ばね型円状バイパス弁板23mの平面図に基づいて説明する。弁挟み込み部23tと中央の円形状の弁本体23rを各々、二本,三本,四本の迷路状弁保持部23nでつなぐ以外は前記第二十の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。この迷路状弁保持部23nの面に垂直な方向における剛性は、前記第二十の実施例の放射状弁保持部23sと比較して、かなり小さいところまで設計できるうえに、それ以外の方向の剛性は、同程度に大きい。前者の剛性は、バイパス弁23が開口した後で閉じようとする動作に移行するためのきっかけを与えるために必要なものであり、小さいほうがよい。これに反し、後者の剛性は、弁本体23rをバイパス弁シール面2λまたはバイパス弁シール線2τ上の正規の位置に常に戻すために必要なものであり、大きいほどよい。これより、バイパス弁の動作をより理想に近いものにできるという特有の効果がある。
【0112】
次に、第二十二の実施例を図39の旋回スクロール部材3の縦断面図及び図 40の差圧制御弁100の縦断面図(図39におけるT部の拡大図)に基づいて説明する。図1におけるP部を差圧制御弁がない図1のままとし、図39,図 40で示した部分以外は前記第一と第二、及び、第五ないし二十一の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。旋回スクロール部材3の鏡板3aの背面過中間圧領域99側に弁穴3fを設け、その底にばね位置決め突起3h及び中間側導通路3αを設ける。ここで、この中間側導通路3αは、前記中間圧力室68が形成される旋回スクロール部材3の歯底部に開口している。
【0113】
この弁穴3fに差圧弁ばね100cと弁体100aを挿入した後に、弁シール面100j及び貫通した穴である背面側導通路100βを有する弁シール部材 100iで前記弁穴3fにふたをする。ここで、この弁シール部材100iは、圧入するか接着して旋回スクロール部材3に固定配置する。弁シール部材には外周掘込み100mがあるため、この弁シール部材100iを旋回スクロール部材3に圧入しても旋回スクロール部材3はほとんど変形しない。このようにして形成した差圧制御弁100は、旋回スクロール部材3に形成されたという違いはあるが、第一の実施例の差圧制御弁とまったく同一の動作を行う(よって、同一の名称である差圧制御弁と称する)ため、その動作及び効果の説明は省略する。この実施例では、前記中間側導通路3αの構造が簡単になるという特有の効果がある。
【0114】
また、前記中間側導通路3αを中間圧力室68ではなく吸込み室60に設けた場合(図40を図39のV部の拡大図とする)も考えられる。この時は、背面過中間圧領域の圧力は吸込圧よりも概略一定値だけ高い圧力すなわち背面過吸込圧に設定され、効果等は、背面過中間圧の場合と同様である。
【0115】
次に、本発明を、非旋回スクロール部材を軸線方向に可動とし、その鏡板の反圧縮室側に背面過中間圧領域を設けて、要求される運転圧力条件範囲で非旋回スクロール部材のスクロール支持部材を主に旋回スクロール部材とした、すなわち非旋回スクロール部材を旋回スクロール部材に押し付けた、縦置き型の非旋回フロート式スクロール圧縮機に実施した第二十三の実施例を、図41ないし図46に基づいて説明する。図41は圧縮機の縦断面図、図42は差圧制御弁付近の縦断面図(図41におけるP部の拡大図)、図43は差圧制御弁の弁体の平面図、図44はばね姿勢保持円筒の横断面図、図45は上ケーシング及び圧力隔壁を取り除いたときの上面図、図46は非旋回スクロール部材上面中央部の拡大図である。
【0116】
まず、構造を説明する。
【0117】
旋回スクロール部材3は、鏡板3aにスクロールラップ3bが立設し、その背面には旋回オルダム溝3g,3hと旋回軸受3wを圧入した軸受保持部3sとスラスト面3dが配置されている。
【0118】
非旋回スクロール部材2は、鏡板2aにスクロールラップ2bが立設し、その背面の中央部に中央台部2wを設け、そこには吐出穴2dと複数のバイパス穴 2eが開いている。このバイパス穴2eにリード弁板であるバイパス弁板23xとリテーナ23aをバイパスねじ23hで固定し、バイパス弁23を設ける。前記中央台部2wの周囲にはシール溝2sを設ける。また、背面外周近くには外周突起部2tが設けられ、前記中央台部2wとの間に背面凹部2xを設ける。
【0119】
そして、この背面凹部2xに弁穴2fを掘り込み、その底からスクロールラップ側の中間圧力室68へ中間側導通路2αを開ける。その弁穴2fの底にはばね位置決め突起2lを設ける。ここで、前記弁穴2fには、以下に述べる差圧制御弁100を組み込む。まず、内周に流通縦溝100qを設けたプラスチック等で作られたばね姿勢保持円筒100pを圧入または接着する。次に、前記弁穴2fの底にあるばね位置決め突起2lに差圧弁ばね100cを挿入し、その他端に、外周に弁流路100rを設けた弁体100aを載せる。
【0120】
そして、弁シール面100jと背面側導通路100βを有する弁シール部材 100iを前記弁穴2fの弁穴拡大部2yに圧入または接着または溶接する。このとき、前記差圧弁ばね100cは圧縮され、前記弁体100aを前記弁シール面100jに押し付ける。この押付力は過中間圧値を決定するため、これを決める寸法である前記弁穴2fの深さと前記弁穴拡大部2yの深さと前記差圧弁ばね100cのばね定数及び自然長及び軸方向に対する両端部の直交度は精度良く管理しなければならない。
【0121】
フレーム4には、外周部に前記非旋回スクロール部材2を板状のスクロール取り付けばね75を介して取り付ける突起した複数箇所のスクロール取付部4qとその内側に滑りスラスト軸受4gとフレームオルダム溝4e,4f(ともに図示せず)が設けられる。そして、その外周部には、複数個の吸込溝4rが設けられる。また、滑りスラスト軸受4gには環状や径方向に線状の油溝4iが設けられる。また、中央部には軸シール4aと主軸受4mを設け、そのスクロール側にシャフトを受けるシャフトスラスト面4cを設ける。このフレーム4の上面の一番低い部分からフレーム下面に抜ける油排出路4sを設ける。前記軸シール4aと前記主軸受4mの間の空間に向かってフレーム側面から横穴4nが開口している。
【0122】
オルダムリング5の一面にフレーム突起部5a,5b(ともに図示せず)が設けられ、もう一方の面には旋回突起部5c,5dが設けられる。
【0123】
圧力隔壁74には、中央部に吐出開口部74cと内周部下部に内周シール溝 74aと下面中央付近に外周シール溝74bが設けられる。この二個のシール溝の間の下面と上面を連通する絞りを伴う吐出背面間流路74dを設ける。ここでは、微小な径の穴を有する別ピースを圧入して形成する。
【0124】
シャフト12には内部にシャフト給油孔12aと主軸受給油孔12bと軸シール給油孔12cと副軸受給油孔12iが設けられる。また、その上部には径の拡大した軸受保持部12wがあり、ここに、シャフトバランス49が圧入される。更にその上部には偏心部12fがある。
【0125】
ロータ15及びステータ16は、前記第一の公知例と同一であるため説明は省略する。
【0126】
これらの構成要素を以下のように組み立てる。まず、前記フレーム4の前記主軸受4mに前記シャフト12を挿入し前記ロータ15を固定する。次に、前記オルダムリング5を、前記フレーム4の前記フレームオルダム溝4e,4f(ともに図示せず)に前記オルダムリング5の前記フレーム突起部5a,5b(ともに図示せず)を挿入するようにして、装着する。
【0127】
次に、前記旋回スクロール部材2を、シャフト12の偏心部12fに前記旋回軸受3wを挿入し、前記オルダムリング5の前記旋回突起部5c,5dに前記旋回オルダム溝3g,3hを挿入し、前記フレーム4の前記滑りスラスト軸受4gに前記スラスト面3dを載せて、組み込む。
【0128】
次に、あらかじめスクロール取り付けばね75を三本のばね取り付けねじ57でねじ止めした前記非旋回スクロール部材2を、スクロールラップが噛み合わさるようにして前記フレーム4のフレーム取付部4qの上面に載せる。以上のように各要素を組み込んだ上で、前記シャフト12か前記ロータ15を回しながら、カバーねじ53により前記非旋回スクロール部材2を前記フレーム4に固定する。
【0129】
次に、予め前記吸込みパイプ54とハーメチック端子22が溶接されている前記円筒ケーシング31へ、前記ステータ16を焼きばめまたは圧入し、そのハーメチック端子22の内部側端子へ前記モータ線77を装着してから、前記軸受支持板18を圧入または溶接する。そして、上記の組立部を挿入して前記フレーム4の側面にタック溶接を行う。
【0130】
次に、前記軸受支持板18の中央部の穴から出た前記シャフト12の一端が軸受ハウジング70に装着した球面軸受72の円筒穴に挿入されるように前記軸受ハウジングを組み込み、前記シャフト12の回転トルクを検出しながら軸受ハウジング70の位置を調整してその回転トルクが最小になる位置で前記軸受ハウジング70を前記軸受支持板18にスポット溶接する。その軸受ハウジング70の下面に前記シャフト給油孔12aに給油するように給油ポンプ56が設けられる。また、この時、前記フレーム4と前記軸受支持板18との間にはモータ室62が形成される。そして、前記円筒ケーシング31に底ケーシング21を溶接し、貯油室80を形成する。
【0131】
次に、前記圧力隔壁74の前記内周シール溝74aと前記外周シール溝74bに各々内周シール51と外周シール58を挿入しながら、前記円筒ケーシング 31に被せる。この時、前記非旋回スクロール部材2の上面の前記内周シール 57と前記外周シール58の間に前記非旋回スクロール部材2の背面過中間圧領域99が設けられる。そして、吐出管55が上部に溶接された上ケーシング20を、更にその上に被せて、溶接する。この時、前記非旋回スクロール部材2の上面の前記内周シール57の内側の領域が、前記非旋回スクロール部材2の背面吐出圧領域95となる。そして、前記圧力隔壁74と前記上ケーシング20の間に非旋回背面室61が形成される。この状態で、前記ステータ16に電流を流し、前記ロータ15内部の永久磁石15bを着磁し、モータ19を形成する。最後に、油を入れる。
【0132】
次に、動作を説明する。
【0133】
前記吸い込みパイプ54から前記吸込み室60へ吸い込まれたガスは、前記旋回スクロール部材3の旋回運動により前記圧縮室6内で圧縮され、前記吐出孔 2dより前記非旋回スクロール部材2の上部の前記非旋回背面室61に吐出される。そのガスは、前記吐出パイプ55より圧縮機外部へ出る。
【0134】
前記非旋回スクロール部材2は、前記圧縮室6内部のガス圧により前記旋回スクロール部材3から離間する方向の引き離し力を受けるが、前記背面過中間圧領域99と前記背面吐出圧領域95からの圧力による引付力により、前記旋回スクロール部材3に押し付けられる。よって、非旋回スクロール部材2の付勢力は前記旋回スクロール部材3から与えられる。
【0135】
一方、前記旋回スクロール部材3には引付力はなく、旋回背面の滑りスラスト軸受により付勢力を得ている。この結果、スクロール部材の歯先と歯底の隙間は拡大せず圧縮動作を持続することができる。ここで、前記背面過中間圧領域99の圧力制御法は、まず、絞りを伴う前記吐出背面間流路74dにより吐出系から吐出圧を導入し、前記差圧制御弁100により、圧力を制御する。これは、前記した実施例で軸受を通ってきたガス及び油により圧力導入を行っていた点が異なるだけである。
【0136】
これにより、前記過吸込圧領域99への圧力導入のみを考えた設計ができるため、最適設計が可能となる。また、バイパス弁23も前記第一ないし第八の実施例と同様に設けているため、これらの組み合わせにより、これらの実施例と同様に、広い運転範囲で全断熱効率及び信頼性の向上した圧縮機を提供できるという効果がある。また、前記背面吐出圧領域95の軸線方向における投影面積を、前記第一の実施例で説明した内容の大きさとしたので、過中間圧値を更に一層小さく設定できるため、広い運転範囲にわたり全断熱効率及び信頼性を向上できるという効果がある。
【0137】
圧縮機の底に溜っている油は、前記給油ポンプ56により、前記シャフト給油孔12aを通って前記旋回軸受12cに給油される。また、前記横給油孔12bを経由して前記主軸受4aに給油される。その油は、前記旋回背圧室11に入った後に、一部は前記油溝4iを通って滑りスラスト軸受4を潤滑しつつ前記吸込み室60に入り、その他は、前記油排出路4sを通って、前記モータ室62に入った後、前記貯油室80に戻る。
【0138】
また、前記圧力隔壁74は、その下部にガスの層を形成するため、前記非旋回背面室61内の高温のガスからの熱が前記圧縮室6へ伝わることを防止するため、加熱による全断熱効率の低下を抑制できるという本実施例特有の効果がある。
【0139】
ところで、前記背面過中間圧領域99への圧力導入法として、前記吐出背面間流路74dを設ける代わりに、前記内周シール51に微小な溝を設けたりしてシール性を低下させ、そこを通る前記非旋回背面室61からの漏れ込み流れを利用してもよい。また、前記内周シール51を取り除いて隙間ばめとし、その隙間を管理する方法もある。
【0140】
また、前記差圧制御弁100の前記ばね姿勢保持円筒100pの内周に、流通縦溝100qを設けているため、この差圧制御弁100を通過するガスや油の流路抵抗が小さくなり、確実な背圧制御を実現するという特有の効果がある。
【0141】
ここで、この実施例の図41のP部を、図54に示すように、前記中間側導通路2αの中間圧力室側開口端を概略閉塞する圧縮室には常に臨まない位置すなわち吸込み室60に設けた場合には、背面過中間圧領域99の圧力は吸込圧+一定値に制御される。つまり、本実施例の手段は、それを発展させると従来技術になるような基本的な手段であることがわかる。よって、これまで記した本実施例特有の効果及びこれ以後に記す実施例特有の効果は、旋回スクロール部材の背面に吸込圧+一定値の圧力をかける従来技術の実施例の効果でもある。
【0142】
次に、第二十四の実施例を図47の差圧制御弁付近の縦断面図(図41におけるP部の拡大図)に基づいて説明する。弁ケース100nの内部で一旦差圧制御弁100を組み立てた上で、非旋回スクロール部材2の弁穴2fに圧入または接着する以外は前記第二十三の実施例とほぼ同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、細かい作業となる差圧制御弁100 の組み立てを圧縮機の組み立てとは別に行うことが可能となるため、組み立て性が向上するという特有の効果がある。また、前記二十三の実施例にあったばね位置決め突起2lをなくして、ばね姿勢保持円筒100pの下部に内径の小さい下部突出部100sを設け、そこで差圧弁ばね100cを固定する方式としたため、この差圧弁ばね100cが圧縮されてそのコイル径が拡大しても、一層確実にこの差圧弁ばね100cが位置決めされるため、制御性のよい差圧制御弁100を実現できるという特有の効果がある。
【0143】
次に、第二十五の実施例を図48の固定スクロール部材の縦断面図及び図49のバイパス弁付近の縦断面図(図48におけるT部の拡大図)に基づいて説明する。これらの図で示す部分以外は前記第二十四の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。非旋回スクロール部材2の中央台部を別体とした別体中央台部43を用い、それが収まる非旋回スクロール部材2の掘込みの底部に円筒状掘込み2σを設ける。この円筒状掘込み2σの内部に前記第十八の実施例におけるバイパス弁と同様のバイパス弁23を構成する。
【0144】
このバイパス弁23を組み立てた後、前記別体中央台部43を、その底面にあるリテーナ挿入掘込み43aに円筒状リテーナ23bが入るような角度で、前記非旋回スクロール部材2に固定配置する。このリテーナ挿入掘込み43aには、非旋回背面室61につながるバイパス通路43dが開口している。この時、台部シール59により、前記別体中央台部43の側面をシールする。この結果、非旋回フロート式スクロール圧縮機において、前記第十八の実施例のようなバイパス弁を設定可能となり、その時のバイパス弁の効果と同様の効果がある。ここで、前記別体中央台部43にリテーナ挿入掘込み43aを設けたため、これが、前記別体中央台部43を非旋回スクロール部材に挿入するときの、位置決め穴の役目をすることになり、組み立て性が向上するという特有の効果がある。
【0145】
最後に、第二十六の実施例を図50の差圧制御弁付近の縦断面図(図41におけるP部の拡大図)に基づいて説明する。円筒状リテーナ23bの穴及び別体中央台部43に設けていたバイパス通路をなくし、バイパス溝2zを設けた以外は前記第二十五の実施例と同様なので、その他の部分の構造及び動作及び効果の説明は省略する。これにより、バイパス弁を通過した流体の流路の形成が容易となるので、加工性が向上するという特有の効果がある。
【0146】
【発明の効果】
本発明によれば、広範囲な圧力運転範囲において、全断熱効率及び信頼性が高く、使い勝手の良いスクロール圧縮機を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例である圧縮機の縦断面図。
【図2】図1の固定スクロール部材の反スクロールラップ側からの平面図。
【図3】第一の実施例の固定スクロール部材のスクロールラップ側からの平面図。
【図4】第一の実施例の吐出圧のかかる領域の説明図。
【図5】第一の実施例の圧縮行程の説明図。
【図6】第一の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)。
【図7】第一の実施例の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)。
【図8】第一の実施例の圧力差制御弁の背圧室付近の縦断面図(図7におけるQ部の拡大図)。
【図9】冷凍サイクル用圧縮機として用いられた場合の運転が要求される圧力域を示す図。
【図10】第二の実施例の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)。
【図11】第三の実施例の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)。
【図12】第四の実施例の圧力差制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)。
【図13】第五の実施例の圧力差制御弁の背圧室付近の縦断面図(図7,図11,図12におけるQ部の拡大図)。
【図14】第六の実施例の圧力差制御弁の背圧室付近の縦断面図(図7,図11,図12におけるQ部の拡大図)。
【図15】第七の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)。
【図16】第八の実施例のバイパス弁付近の固定背面室側の縦断面図(図1におけるR部の固定背面室側の拡大図)。
【図17】第八の実施例の変形例のバイパス弁の側面図。
【図18】第九の実施例のバイパス弁付近の固定背面室側の縦断面図(図1におけるR部の固定背面室側の拡大図)。
【図19】第十の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)。
【図20】第十の実施例の円筒状リテーナの縦断面図。
【図21】第十一の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)。
【図22】第十二の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)。
【図23】第十三の実施例の円状バイパス弁板の平面図。
【図24】第十三の実施例のストッパ部材の斜視図。
【図25】第十四の実施例の円状バイパス弁板の縦断面図。
【図26】第十五の実施例の円錐状バイパス弁体の縦断面図。
【図27】第十五の実施例の変形例のバイパス弁体の縦断面図。
【図28】第十六の実施例の変形例の実施例の円筒状リテーナ23bの縦断面図。
【図29】第十七の実施例の円筒状リテーナの縦断面図。
【図30】第十八の実施例のバイパス弁の主要部拡大縦断面図。
【図31】第十八の実施例の変更例のバイパス弁の主要部拡大縦断面図。
【図32】第十九の実施例の円筒状リテーナの中央突起部の表面の拡大縦断面図。
【図33】第十九の実施例のバイパス弁の主要部拡大縦断面図。
【図34】第二十の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図1におけるR部の拡大図)。
【図35】第二十の実施例の自己ばね型円状バイパス弁板の平面図。
【図36】第二十一の実施例の自己ばね型円状バイパス弁板の平面図。
【図37】第二十一の実施例の変形例の自己ばね型円状バイパス弁板の平面図。
【図38】第二十一の実施例の第二の変形例の自己ばね型円状バイパス弁板の平面図。
【図39】第二十二の実施例の旋回スクロール部材の縦断面図。
【図40】第二十二の実施例の差圧制御弁付近の縦断面図(図39におけるT部の拡大図)。
【図41】第二十三の実施例の縦断面図。
【図42】第二十三の実施例の差圧制御弁付近の縦断面図(図41におけるP部の拡大図)。
【図43】第二十三の実施例の差圧制御弁の弁体の平面図。
【図44】第二十三の実施例のばね姿勢保持円筒の横断面図。
【図45】第二十三の実施例の上ケーシング及び圧力隔壁を取り除いたときの上面図。
【図46】第二十三の実施例の非旋回スクロール部材上面中央部の拡大図。
【図47】第二十四の実施例の差圧制御弁付近の縦断面図(図41におけるP部の拡大図)。
【図48】第二十五の実施例の固定スクロール部材の縦断面図。
【図49】第二十五の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図48におけるT部の拡大図)。
【図50】第二十六の実施例のバイパス弁付近の縦断面図(図48におけるT部の拡大図)。
【図51】従来例の縦断面図。
【図52】背面過中間圧領域の極限である背面過吸込圧領域を設定した場合の差圧制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)。
【図53】背面過中間圧領域の極限である背面過吸込圧領域を設定した他の場合の差圧制御弁付近の縦断面図(図1におけるP部の拡大図)。
【図54】背面過中間圧領域の極限である背面過吸込圧領域を設定した他の場合の差圧制御弁付近の縦断面図(図41におけるP部の拡大図)。
【符号の説明】
2…固定スクロール部材(非旋回スクロール部材)、2e…バイパス穴、2i…吸込み側導通路、2α…中間側導通路、2β…背面側導通路、2λ…バイパス弁シール面、2τ…バイパス弁シール線、3…旋回スクロール部材、3α…中間側導通路、4…フレーム、5…オルダムリング、6…圧縮室、12…シャフト、19…モータ、23…バイパス弁、23x…バイパス弁板、23y…円状バイパス弁板、60…吸込み室、61…固定背面室(非旋回背面室)、62…モータ室、67…旋回側面領域、68…中間圧力室、95…背面吐出圧領域、96…吐出室、99…背面過中間圧領域(背面過吸込圧領域)、100…差圧制御弁、100a…弁体、100c…差圧弁ばね、100j…弁シール面、100β…背面側導通路、100c…差圧弁ばね、102…吐出背面間流路。

Claims (5)

  1. 鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロールラップを備えそのスクロールラップの立設する軸線方向に垂直な面内を旋回運動する旋回スクロール部材と、鏡板とそれに立設する渦巻き状のスクロールラップを備え少なくとも前記軸線方向に垂直な面内の方向における運動が概略規制される非旋回スクロール部材を噛み合わせ、それらスクロール部材の間に概略閉塞して容積が縮小する圧縮室と、その圧縮室側の流体の圧力による前記両スクロール部材の鏡板を引き離す向きの引き離し力に対抗して前記両スクロール部材の鏡板を引き付ける向きの引付力を各々の前記スクロール部材にかける引付力付加手段と、前記引付力と前記引き離し力のベクトル和である付勢力の反力を各々の前記スクロール部材に発生させるスクロール支持部材と、流体を前記圧縮室に導入する吸込圧領域と、前記圧縮室内で加圧した流体を外部へ導出する吐出系を有するスクロール圧縮機において
    記圧縮室の圧力が前記吐出系内の圧力である吐出圧よりも高くなることを抑制する圧力制御手段と、
    前記旋回スクロール部材の背部に位置し前記引付力付加手段を構成する背面過中間圧領域と前記圧縮室とを導通する導通路と、
    前記導通路に配置され、前記背面過中間圧領域の圧力と前記導通路が開口する前記圧縮室である中間圧力室の圧力との圧力差が所定値を越えると開制御する差圧制御弁とを備えたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、前記背面過中間圧領域の圧力が前記吸込圧領域の圧力に比例することを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、前記差圧制御弁は、弁シール面に設けた弁体と前記弁体を付勢する弁ばねとを備え、
    前記背面過中間圧領域の圧力と前記中間圧力室の圧力の差が前記弁ばねの付勢力を越えると、前記弁体が前記弁シール面から離れて前記導通路を開けることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記旋回スクロール部材の前記引付力付加手段は、前記背面過中間圧領域に加えて、前記旋回スクロールの背面に前記吐出圧をかける背面吐出圧領域から構成されることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項1乃至4の何れかにおいて、前記背面過中間圧領域と前記吐出系との間に流体の絞りを伴う背面絞り流路を設け、
    前記背面絞り流路による圧力損失により、前記背面過中間圧領域の圧力を前記吐出圧よりも低下させることを特徴とするスクロール圧縮機。
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