JP4126672B2 - 攪拌機用洗浄槽装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンク内の原料を攪拌する攪拌機を迅速に洗浄できる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、塗料等の製造においては、複数種類の原料を適切な分量でタンクに仕込み、上下に延びた回転軸にインペラを装着した攪拌機で攪拌して均一の塗料としている。ここで、攪拌すべき塗料の種類が変わるときには、攪拌機に付着した前の塗料で、次に攪拌する塗料が汚染されないように、攪拌機を洗浄する必要がある。このための攪拌機用洗浄装置として、特開平3−135429号に示されるものがある。この装置は、洗浄すべき塗料の種類に応じた1種類の洗浄剤をあらかじめ満たした洗浄タンクを、搬送車で攪拌機の設置してある場所(攪拌ステーション)まで搬送し、攪拌機を洗浄タンク内に挿入し、この攪拌機に洗浄剤を噴射して、攪拌機を洗浄するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、製造工程のスケジュール変更に対応するには、洗浄タンク内の洗浄剤を入れ換えるか、洗浄剤の種類ごとに洗浄タンクを用意する必要がある。したがって、攪拌機を迅速に洗浄できない。
【0004】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、タンク内の原料を攪拌する攪拌機を迅速に洗浄できる装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の攪拌機用洗浄槽装置は、上下に延びた回転軸の下端にインペラを装着した昇降可能な攪拌機を洗浄する洗浄槽装置であって、前記攪拌機の側方から、上昇させられた前記攪拌機の下方に移送されて、攪拌機が上方から挿入される洗浄槽と、前記洗浄槽内に挿入された攪拌機に向けて洗浄剤を噴出させる洗浄ノズルと、洗浄槽の外部から複数種類の洗浄剤の少なくとも1種類を選択的に導入して前記洗浄ノズルに供給する導入路と、前記攪拌機の回転軸を洗浄する洗浄用ブラシと、前記洗浄用ブラシを前記回転軸に接触する進出位置と回転軸から離れた待機位置とに移動させるブラシ駆動機とを備えている。また、前記攪拌機の回転軸に貫かれ、前記攪拌機が挿入された洗浄槽の上部開口を覆うカバーと、このカバーを前記上部開口を覆うカバーリング位置とその上方へ退避した退避位置とに移動させるカバー駆動機とを備えている。さらに、前記カバーが、凸部を有しており、前記退避位置に移動されたときに、上昇させられた前記攪拌機のインペラが前記凸部の内側の空間に収納される。
【0006】
請求項1の装置では、1つの洗浄槽を備えた装置において、複数種類の洗浄剤を選択的に攪拌機に向けて噴出できるので、製造工程のスケジュール変更に1つの装置で迅速に対応できる。また、この装置では、攪拌機の回転軸を洗浄する洗浄用ブラシを備えるので、特に攪拌中に汚れが乾燥して固着しやすい回転軸をより効果的に洗浄できる。すなわち、攪拌機を効果的に洗浄できる。
【0008】
また、請求項1の装置によれば、洗浄槽の上部開口をカバーで容易に覆って、洗浄剤の飛散等を防止したり、洗浄槽内を引火防止のため窒素等で置換したりすることができる。
【0009】
請求項の装置は、請求項1に記載の攪拌機用洗浄槽装置であって、原料の攪拌工程を含む複数の工程を有し、原料の仕込まれたタンクを台車に乗せて、各工程に割り当てられたステーションに順次移動させて各工程を実行させることにより製品を製造する移動タンク式製造方法に用い、前記台車に載せて移動可能に構成されたものである。請求項の装置によれば、前記請求項1の装置の作用効果がある上に、いわゆる移動タンク式製造方法に用いられる台車を利用して攪拌機の下方位置に洗浄槽を搬送できるので、その製造工程全体をより効率的にできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の攪拌機の洗浄方法を説明する。まず、この方法で用いる攪拌機用洗浄槽装置について説明する。この装置は、図1の縦断面図に示すように、上下に延びた回転軸1aの下端にインペラ1bを装着した攪拌機1を洗浄する洗浄槽装置である。図4の正面図に示すように、攪拌機1の回転軸1aは、ボックス状のアーム2の一端に支持され、アーム2中の図示しないベルト、スプロケット等の伝達機構を介して、アーム2の他端上に設けられたモータ3により回転される。アーム2の他端は、油圧シリンダ4のロッド4aに支持され、油圧シリンダ4により昇降される。すなわち、アーム2を介して、攪拌機1も油圧シリンダ4により昇降可能である。
【0013】
また、この装置は、図1に示すように、前記攪拌機1が上方から挿入される洗浄槽5と、前記洗浄槽5内に挿入された攪拌機1に向けて洗浄剤6を噴出させる洗浄ノズル7とを備えている。洗浄ノズル7は、攪拌機1の回転軸1aに沿って延びるノズルパイプ9に多数7A,7B,…設けられ、ノズルパイプ9は、ステー10を介して洗浄槽5内側に固定されている。下方の2つの洗浄ノズル7I,7Jは、攪拌機1のインペラ1bに向けられ、その他の洗浄ノズル7A,7B,…は、攪拌機1の回転軸1aに向けられている。ノズルパイプ9の下方からは、先端に接続部11aを有する接続パイプ11が、洗浄槽5の外部へ延びている。
【0014】
さらに、また、この装置は、洗浄槽5の外部から複数種類の洗浄剤6A,6B,…の少なくとも1種類を選択的に導入して前記洗浄ノズル7に供給する導入路8を備えている。導入路8は、伸縮チューブ12、導入パイプ13、旧剤送給路14A,14C、新剤送給路14B,14D、バルブのような選択手段15A,15B,15C,15D等で構成され、攪拌機1の設置された攪拌ステーションに設けられている。伸縮チューブ12の上端部に設けた接続部12aに形成されたつば12bは、接続機であるエアシリンダ16のロッド16aに支持され、エアシリンダ16の下端は、攪拌ステーションの床等に、基台17を介して固定されている。伸縮チューブ12の下端部12cは、基台17に固定され、導入パイプ13に接続されている。伸縮チューブ12の接続部12aは、エアシリンダ16のロッド16aの上下により、接続パイプ11の接続部11aと着脱自在である。
【0015】
導入パイプ13には、洗浄槽5の外部に設けられて再使用洗浄剤6A,6Cを送給する旧剤送給路14A,14Cおよび新しい洗浄剤6B,6Dを送給する新剤送給路14B,14Dが接続され、各送給路14A,14B,14C,14Dには、それらを選択的に導入する選択手段15A,15B,15C,15Dが設けられている。導入パイプ13の下端には、洗浄後、ノズルパイプ9から導入パイプ13までに残った洗浄剤6を取り出すためのドレーンバルブ18が設けられている。
【0016】
さらに、また、この装置は、図2の平面図に示すように、前記攪拌機1の回転軸1aを洗浄する洗浄用ブラシ19と、前記洗浄用ブラシ19を前記回転軸1aに接触する進出位置(図中実線で示す)と回転軸1aから離れた待機位置(図中2点鎖線で示す)とに移動させるブラシ駆動機20とを備えている。なお、図2においては、後述するカバー25は図示しておらず、後述する洗浄槽5のつば部5aを一部破断して図示している。図1に示すように、洗浄用ブラシ19およびブラシ駆動機20は、回転軸1aの上方と下方に対応させて2組設けられている。
【0017】
ブラシ駆動機20は、固定支軸21、ステー22、摺動支軸23、エアシリンダ24から構成される。洗浄用ブラシ19は、水平方向にアーム部19aと鉛直方向にブラシ取付座19bからなり、アーム部19aにおいて、垂直の固定支軸21に支持され、固定支軸21は、水平に延びるステー22を介して洗浄槽5に固定されている。また、アーム部19aは、図2の長孔19cを設けた基部において垂直の摺動支軸23に支持され、摺動支軸23は、水平に延びるエアシリンダ24のロッド24aに連結され、エアシリンダ24は洗浄槽5に固定されている。すなわち、エアシリンダ24のロッド24aの前後動作により、洗浄用ブラシ19は、進出位置と待機位置とに移動される。
【0018】
さらに、また、この装置は、図4に示すように、前記攪拌機1が挿入された洗浄槽5の上部開口を覆うカバー25と、このカバー25を前記上部開口を覆うカバーリング位置(図4に示す位置)とその上方へ退避した退避位置とに移動させるエアシリンダのようなカバー駆動機26とを備えている。カバー25は、中央に凸部25aを有する円板状で、中心を攪拌機1の回転軸1aが貫いており、周辺部の4か所(図5の平面図参照)においてカバー駆動機26に支持されている。カバー駆動機26は、攪拌ステーションに設けられた作業床27に設置されている。すなわち、カバー駆動機26により、カバー25は、カバーリング位置と退避位置とに移動される。なお、図1に示すように、カバー25の凸部25aの内側の空間には、前記油圧シリンダ4(図4)によって上昇させられた攪拌機1のインペラ1bが収納される。また、カバー25には、窒素供給管28が挿入されるガイド筒25bも設けられている。
【0019】
本実施形態の攪拌機の洗浄方法においては、以上に説明した攪拌機用洗浄槽装置を、いわゆる移動タンク式製造方法に用いる。移動タンク式製造方法とは、原料の攪拌工程を含む複数の工程のそれぞれに割り当てられたステーションを有し、原料の仕込まれたタンクを台車に乗せて複数のステーションに順次移動させて各工程を実行させることにより製品を製造する方法である。以下、一例として、塗料を製造する場合について説明する。この移動タンク式製造方法に用いるシステムは、図3の平面図に示すように、搬送路41に沿ってその両側に仕込みステーションS1、攪拌ステーションS2、充填ステーションS3、待機ステーションS4、タンク洗浄ステーションS5、洗浄槽待機ステーションS6が設置されている。
【0020】
仕込みステーションS1では、複数種類の原料を適切な分量でタンクに仕込み、攪拌ステーションS2では、攪拌機1でタンク内の原料を攪拌して均一の塗料とし、充填ステーションS3では、その塗料をドラム缶等に充填して製品とし、待機ステーションS4には、生産用のタンクを待機させる。タンク洗浄ステーションS5では、充填工程後のタンクを洗浄し、洗浄槽待機ステーションS6には、洗浄槽5を待機させておく。搬送路41には、上方に1対のレール30が設置されており、レール30に沿って台車31が走行する。台車31は、制御装置39のコンピュータによりプログラム制御され、塗料生産用のタンクおよび洗浄槽5を吊り下げて指定されたステーションに搬送する。
【0021】
前記1対のレール30は、図4に示すように、右側の搬送路41の床から延び左右に対向する複数対の支柱29の上端に前後方向に渡すように設置されており、この1対のレール30の上に、左右2つずつの車輪34を介して台車31が載置される。台車31は、矩形の枠体32(図5の平面図参照)と枠体32の前後において下方に延びる1対の支持板33とを含み、枠体32の四隅近傍(図5)には、左右一対の自由車輪34aと同一対のモータ35により駆動される車輪34bが設けられ、車輪34の回転により台車31はレール30上を前後に走行する。支持板33の内側下方には、左右方向に回動するチェーンコンベヤ36が設けられ、チェーンコンベヤ36を駆動するモータ37の回転により、チェーンコンベヤ36上で平面視矩形のつば部5aが支持された洗浄槽5または塗料生産用のタンクが、左右方向に移送される。洗浄槽5またはタンクを載置した台車31がレール30上を走行することにより、洗浄槽5またはタンクは、搬送路41上で各ステーションの側方間を搬送される。
【0022】
各ステーションのうち、例えば図4において左側に示された攪拌ステーションS2においては、攪拌ステーションS2の床から延び左右に対向する2対の支柱29の上端近傍に水平の作業床27が固定されている。作業床27には、洗浄槽5または塗料の仕込まれたタンクを受け入れるためのU字型の切り欠き27a(図5)が設けられている。作業床27には、前記攪拌機1を昇降させる油圧シリンダ4が設置されている。また、前述したように、カバー25をカバーリング位置と退避位置とに移動させるカバー駆動機26も、作業床27に設置されている。
【0023】
作業床27の下方には、左右の支柱29を連結するように、前後に各1本の梁38が設けられている。梁38の内側には、左右方向に回動するチェーンコンベヤ36Aが設けられ、チェーンコンベヤ36Aを駆動するモータ37Aの回転により、チェーンコンベヤ36A上でつば部5aが支持された洗浄槽5等のタンクが、左右方向に移送される。このチェーンコンベヤ36Aは、前記ステーション側方の台車31のチェーンコンベヤ36と同じ高さで、同じ方向に設けられている(図5)。これにより、各ステーションと、その側方の台車31との間で、タンクが移送される。
【0024】
前記攪拌機1を回転させるモータ3、攪拌機1を昇降させる油圧シリンダ4、図1の伸縮チューブ12を接続パイプ11に着脱させるエアシリンダ16、導入路8の選択手段15A,15B,15C,15Dおよびドレーンバルブ18、ブラシ駆動機20、図4のカバー駆動機26、台車31の車輪34を駆動するモータ35、台車31のチェーンコンベヤ36を駆動するモータ37、ならびに攪拌ステーションS2のチェーンコンベヤ36Aを駆動するモータ37Aは、前述した移動タンク式製造システムの制御装置39によって制御される。
【0025】
この攪拌機用洗浄槽装置を用いて、本実施形態の方法では、以下のように、攪拌機1を洗浄する。攪拌ステーションS2において、攪拌工程が終了し、塗料の入ったタンクが攪拌ステーションS2から排出された時点で、図3の制御装置39が攪拌機洗浄指示を出し、図示しない上位コンピュータが使用すべき洗浄剤の種類と洗浄時間を前記制御装置39に指示を出す。そうすると、台車31が、洗浄槽5を待機させた洗浄槽待機ステーションS6まで走行し、洗浄槽5を搬送路41上の台車31に載せる。以下の動作も、特に明示しない限り、制御装置39による。台車31の走行により、洗浄槽5が、攪拌ステーションS2の側方まで搬送される(図4の右側に2点鎖線で示した状態)。図4の左側の攪拌ステーションS2においては、カバー駆動機26により、カバー25が、搬入される洗浄槽5との干渉を避けるべく、図示したよりも上方の退避位置に移動される。攪拌機1も、油圧シリンダ4により、上昇させられ、カバーの凸部25aの内側の空間に攪拌機1のインペラ1bが収納される(図1)。
【0026】
これで、攪拌ステーションS2が、洗浄槽5を受け入れられる状態となったので、台車31と攪拌ステーションS2のチェーンコンベヤ36,36Aが駆動され、攪拌機1の下方に洗浄槽5が移送され、前記攪拌ステーションS2に固定される。そこで、カバー駆動機26により、カバー25が、カバーリング位置に移動される。このとき、窒素供給管28が挿入されたカバー25のガイド筒25b(図1)と、洗浄槽5内の図示しない洗浄槽5の底部まで延びた窒素供給管が連結される。また、油圧シリンダ4により、攪拌機1が下降させられ、洗浄槽5内に上方から挿入される。これで、図4に示す状態となる。この装置によれば、洗浄槽5の上部開口をカバー25で容易に覆って、洗浄剤の飛散等を防止したり、洗浄槽5内を引火防止のため窒素等で置換したりすることができる。
【0027】
次に、図1に示すように、エアシリンダ16により、伸縮チューブ12が接続パイプ11に接続される。また、ブラシ駆動機20のエアシリンダ24にも、攪拌ステーションS2に備えられた図示しないエア送給路が接続される。この接続は、図1の伸縮チューブ12と接続パイプ11との接続と同様な機構を用いて行うことができ、エアシリンダ16を共用することもできる。さらに、モータ3(図4)により、攪拌機1が低速回転され、洗浄作業の準備が完了する。
【0028】
そこで、図1に示すように、まず、除去すべき塗料の種類に応じて、適切な洗浄液、例えば再使用洗浄剤6Aが、選択手段15Aにより導入され、洗浄ノズル7から、攪拌機1に向けて噴出されることにより、粗洗いが行われる。このとき、図示した状態とは異なり、洗浄用ブラシ19は、回転軸1aから離れた待機位置(図2に2点鎖線で示す)にある。
【0029】
所定の粗洗い時間の経過後、ブラシ駆動機20により、洗浄用ブラシ19が、回転軸1aに接触する進出位置に移動される。このとき、攪拌機1の低速回転、再使用洗浄剤6Aの噴出は、引き続き行われている。この洗浄用ブラシ19を用いた中洗いにより、特に攪拌中に汚れが乾燥して固着しやすい回転軸1aをより効果的に洗浄できる。
【0030】
所定の中洗い時間の経過後、選択手段15Aにより、再使用洗浄剤6Aの導入が停止され、ブラシ駆動機20により、洗浄用ブラシ19が、回転軸1aから離れた待機位置(図2に2点鎖線で示す)に移動される。そして、再使用洗浄剤6Aと同成分であるが新しい洗浄剤6Bが、選択手段15Bにより導入され、洗浄ノズル7から、攪拌機1に向けて噴出されることにより、仕上げ洗いが行われる。このときも、攪拌機1の低速回転は、引き続き行われている。
【0031】
所定の仕上げ洗い時間の経過後、選択手段15Bにより、新しい洗浄剤6Bの導入が停止され、攪拌機1の低速回転も停止される。洗浄後、ノズルパイプ9から導入パイプ13までに残った洗浄剤6は、ドレーンバルブ18を開弁することにより、取り出すことができる。さらに、エアシリンダ16等により、伸縮チューブ12と接続パイプ11との接続、ブラシ駆動機20のエアシリンダ24とエア送給路との接続が、それぞれはずされ、洗浄作業が終了する。なお、除去すべき塗料に対し、成分の異なる複数種類の洗浄剤、例えば前記洗浄剤6A,6Bとは異なる成分の洗浄剤6C,6Dを用いる必要があるときには、粗洗い、中洗い、仕上げ洗いごとに、再使用洗浄剤6C、新しい洗浄剤6Dを、それぞれ選択して噴出させればよい。
【0032】
このように、本実施形態の方法によれば、1つの洗浄槽5を備えた装置を用いて、複数種類の洗浄剤6A,6B,6C,6Dを選択的に攪拌機1に向けて噴出できるので、製造工程にスケジュール変更等があっても1つの装置で迅速に対応できる。したがって、攪拌機1を迅速に洗浄できる。また、再使用洗浄剤6A,6Cと新しい洗浄剤6B,6Dを選択的に用いることにより、省資源とコストダウンが実現される。
【0033】
洗浄作業が終了すると、図4に示すカバー駆動機26により、カバー25が図示したよりも上方の退避位置に移動され、攪拌機1も、油圧シリンダ4により、上昇させられ、カバーの凸部25aの内側の空間に攪拌機1のインペラ1bが収納される(図1)。そして、洗浄槽5が、攪拌ステーションS2での固定がはずされ、攪拌ステーションS2と台車31のチェーンコンベヤ36A,36の駆動により、攪拌機1の下方から台車31に移送され、台車31の走行により、図3の洗浄槽待機ステーションS6の側方まで搬送され、さらに、洗浄槽待機ステーションS6と台車31のチェーンコンベヤの駆動により、洗浄槽待機ステーションS6に戻される。この洗浄槽待機ステーションS6において、図1の洗浄槽5内の使用済みの洗浄剤が、洗浄槽5の底部に設けたバルブ40を開弁することにより取り出される。なお、この排出も、前述した伸縮チューブ12と接続パイプ11との着脱と同様な装置構成により、自動的に行うことができる。
【0034】
以上のように、本実施形態の攪拌機の洗浄方法では、前記攪拌機用洗浄槽装置を、いわゆる移動タンク式製造方法に用いられる台車31を利用して攪拌機1の下方位置に洗浄槽5を搬送できるので、移動タンク式製造方法における製造工程全体をより効率的にできる。しかし、本発明の攪拌機用洗浄槽装置は、移動タンク式製造方法に限って用いられるものではなく、攪拌機洗浄のために、固定洗浄槽側に攪拌機を回動させる固定タンク式製造方法にも用いることができる。この場合には、洗浄槽のカバーは、攪拌機の回転軸の径に相当する切り欠きを有したものを、洗浄槽の開口上面の側方に退避させておき、攪拌機の挿入後、開口上面に手動等で移動させて、開口上面を覆うことができる。
【0035】
また、本発明の攪拌機用洗浄槽装置は、塗料製造工程の他、インク、食品、化粧品、薬品、化学品等の液状ないしゲル状の原料の製造工程にも使用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、タンク内の原料を攪拌する攪拌機に対し、1つの洗浄槽を用い、複数種類の洗浄剤を選択的に攪拌機に向けて噴出できるので、製造工程のスケジュール変更に1つの装置で迅速に対応できる。したがって、攪拌機を迅速に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である攪拌機の洗浄方法に用いる攪拌機用洗浄槽装置を示す縦断面図である。
【図2】同装置の平面図である。
【図3】同装置を用いる移動タンク式製造システムを示す平面図である。
【図4】同装置を含む攪拌ステーションと搬送路の正面図である。
【図5】同装置を含む攪拌ステーションと搬送路の平面図である。
【符号の説明】
1…攪拌機、1a…回転軸、1b…インペラ、5…洗浄槽、6…洗浄剤、6A,6C…再使用洗浄剤、6B,6D…新しい洗浄剤、7…洗浄ノズル、8…導入路、14A,14C…旧剤送給路、14B,14D…新剤送給路、15…選択手段、19…洗浄ブラシ、20…ブラシ駆動機、25…カバー、26…カバー駆動機、31…台車。

Claims (2)

  1. 上下に延びた回転軸の下端にインペラを装着した昇降可能な攪拌機を洗浄する洗浄槽装置であって、
    前記攪拌機の側方から、上昇させられた前記攪拌機の下方に移送されて、前記攪拌機が上方から挿入される洗浄槽と、
    前記洗浄槽内に挿入された攪拌機に向けて洗浄剤を噴出させる洗浄ノズルと、
    洗浄槽の外部から複数種類の洗浄剤の少なくとも1種類を選択的に導入して前記洗浄ノズルに供給する導入路と、
    前記攪拌機の回転軸を洗浄する洗浄用ブラシと、
    前記洗浄用ブラシを前記回転軸に接触する進出位置と回転軸から離れた待機位置とに移動させるブラシ駆動機と、
    前記攪拌機の回転軸に貫かれ、前記攪拌機が挿入された洗浄槽の上部開口を覆うカバーと、
    このカバーを前記上部開口を覆うカバーリング位置とその上方へ退避した退避位置とに移動させるカバー駆動機とを備え
    前記カバーが、凸部を有しており、前記退避位置に移動されたときに、上昇させられた前記攪拌機のインペラが前記凸部の内側の空間に収納される攪拌機用洗浄槽装置。
  2. 請求項1に記載の攪拌機用洗浄槽装置であって、
    原料の攪拌工程を含む複数の工程を有し、原料の仕込まれたタンクを台車に乗せて、各工程に割り当てられたステーションに順次移動させて各工程を実行させることにより製品を製造する移動タンク式製造方法に用い、前記台車に載せて移動可能に構成された攪拌機用洗浄槽装置。
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