JP4126637B2 - 自己温度制御ヒーター用印刷インク - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面状発熱体に用いる自己温度制御ヒーター用印刷インクに関するものであり、詳しくは優れた自己温度制御機能を有するスクリーン印刷用の発熱インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーボン等の導電性粒子を高分子材料に分散させた組成物は、電気を流すことにより発熱し、ヒーターとして用いることができる。このような組成物のうち、ある配合のものは、ある温度を越えるとその電気抵抗が急激に増加するという性質を有する。この性質をもつ発熱体は、チタン酸バリウムセラミックスのもつ性質との類似性から、通常PTC発熱体、あるいはその働きから自己温度調節発熱体と呼ばれている。従来、これらの自己温度調節発熱体については種々の技術が開示されている。
【0003】
例えば、その一つとして、ポリエチレングリコール−グラファイト系による自己温度調節発熱体が提案されている。この系での電気伝導は、グラファイト粒子間に介在する薄いポリエチレングリコール層内の捕捉準位間のホッピング伝導で説明され、自己温度調節の機構はスイッチング温度でのトラップの深さの変化で説明されている。詳細は文献(T. Kimura and S. Yasuda. Polymer. 37. 2981(1996))を参照。
【0004】
また他の一つとして、導電性粒子を包含するポリマーの熱膨張による自己温度調節発熱体が提案されている。低温では粒子が互いに直接接触しており、電極間に導電経路が形成されている。これに電流を通じるとジュール熱で系の温度が上昇しポリマーが熱膨張する。それに伴って接触していた粒子間に間隙が生じ、スイッチング温度において電流が流れなくなる。電気が流れなくなると温度が下がり、ポリマーが元の状態近くまで収縮し粒子が再び接触するようになり電気が流れる。これがポリエチレングリコール−グラファイト系以外の全ての系の自己温度調節の原理である。
【0005】
後者の熱膨張による自己温度調節発熱体の技術は、特開昭51−76647号公報に詳しく述べられており、使用するポリマーについて、種々のものが列記されている。また、同様に、自己温度調節発熱体に使用するポリマーについて、例えば、ポリシアヌレート化合物(特開平5−307993号公報)、繊維素樹脂を含有する熱可塑性樹脂(特開昭58−71584号公報)等が提案されている。また、導電性粒子としては、球状カーボンブラック、膨脹黒鉛を使用することが提案されており(特開平6−96843号公報)、その他、ウィスカー、導電性カプセル等を使用することも提案されている。
【0006】
一方、面状発熱体の製造方法については、ポリマーと導電性粒子を溶融混合し、押出機等で成型する方法が一般的であるが、一部にはスクリーン印刷による方法も提案されている(特開平6−96843号公報、特開昭58−71584号公報)。押出機等による成型法では、スイッチング温度において抵抗値が数桁も変化するが、上記従来提案されているポリマーを用い、スクリーン印刷法によって面状発熱体を作成した場合、スイッチング温度での抵抗値は数倍程度の変化に留まっている。
【0007】
これに対して、特開平10−183039号公報には、スイッチング温度での抵抗値が数桁も変化する自己温度調節発熱体を印刷法により得ることが開示されている。しかしながら、この自己温度調節発熱体は、バインダー樹脂の耐熱性に問題がある。すなわち、通電による発熱時に折り曲げたり加圧したりすると、発熱体が若干溶融しているため、基材からの剥離や、塗膜厚が薄くなることによる発熱不足等の問題が生ずる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
押出機等による成形の場合に比べ、印刷による発熱体の作製法は、加熱すべき物、部品等に直接印刷し、発熱体として利用できるので、不規則な形状を持つ発熱体の製造に特に有用である。したがって、使用時に折り曲げ、加圧等の外部圧力が加わっても、良好なPTC特性を保ち、良好な耐熱性を有する面状発熱体を形成するための印刷インクを得ることが要求されている。
【0009】
上記特開平10−183039号公報に開示されている印刷法による自己温度調節発熱体は、耐熱性が劣るという問題があるが、その要因に、ベースポリマーの軟化温度が低いことがあげられる。ところで、自己温度調節発熱体に用いられるべきポリマー組成物に関しては、熱膨張係数がスイッチング温度に至るまではあまり大きくなく、スイッチング温度に至って大きな値を示すものが望ましい。
【0010】
したがって、本発明の目的は、上記の要求を満足する、耐熱性に優れた自己温度調節発熱体に使用するためのスクリーン印刷用インクを提供することにある。すなわち、本発明の目的は、使用時に折り曲げ、屈曲、加圧等の外部圧力が加わってもPTC特性を保ち、耐熱性に優れた自己温度調節発熱体を作製するための自己温度制御機能を持つスクリーン印刷用インクを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の問題を解決することを目的として研究した結果、特定範囲の軟化点を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等をベースポリマーとし、結晶性のワックスを単独で、またはポリオール類と併用して用いることにより、優れたPTC特性が得られることを見出し、さらに、非導電性有機又は無機微粒子をスぺーサーとして添加することにより、より一層優れた耐熱性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の自己温度制御ヒーター用印刷インクは、(A)(a)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂から選択された少なくとも1種(但し、エチレン系共重合体を除く。)からなる軟化点90〜150℃のベースポリマー30重量%〜70重量%、(b)ワックス類10重量%〜50重量%、(c)重量平均分子量500〜10,000のポリオール類0重量%〜20重量%、(d)分散剤5重量%〜20重量%よりなる有機成分と、該有機成分100重量部に対して、(B)導電性粉末30重量部〜70重量部、(C)非導電性有機又は無機微粒子0重量部〜20重量部および(D)溶剤からなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の自己温度制御ヒーター用印刷インクにおいて、有機成分(A)におけるベースポリマー(a)としては、軟化点90〜150℃のものであって、基材との密着及び導電性物質を保持できるものであれば如何なるものでも使用することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂等の熱可塑性合成樹脂が使用できるが、折り曲げ、屈曲、加圧等の外部圧力にも柔軟に対応できるようにするために、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂を用いるのが望ましい。特に、ポリウレタン樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントの重合体からなるために、使用目的に合わせた組成のものが得られるので好ましい。また、ポリエステル樹脂の場合は、重量平均分子量3〜8万の範囲のものが使用できる。これらベースポリマーは、その軟化点が90〜150℃であって、設定されるスイッチング温度よりも高いことが望ましい。ベースポリマーの軟化点が、上記の範囲よりも低い場合には耐熱性が劣ったものとなり、また、上記の温度よりも高い場合には、PTC特性の劣ったものとなる。なお、軟化点の測定は、示差走査熱量計(DSC−220、セイコー電子社製)による。
有機成分におけるベースポリマーの含有量は30重量%〜70重量%の範囲に設定すればよい。
【0014】
なお、本発明において、「スイッチング温度」とは、そのインクを用いて形成された面状発熱体に100Vの交流電圧を印加した際に到達する定常状態の温度を意味し、保温材(発泡スチレン)の上に面状発熱体を乗せ、温度センサーによって電圧印加後10分経過した時の温度を測定することによって求めることができる。
【0015】
ワックス類(b)は、PTC特性を得るために配合されるものであって、重量平均分子量1,000〜10,000の天然ワックス又は合成ワックスを使用することができる。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、エーテルワックス等の合成ワックス等があげられる。
本発明においては、これらワックス類は、その溶融温度が、作製される面状発熱体のスイッチング温度ないしスイッチング温度よりも20℃高い温度の範囲にあるものを選択して使用するのが好ましい。
【0016】
有機成分におけるワックス類の含有量は10重量%〜50重量%の範囲にあることが必要であり、好ましくは15重量%〜40重量%の範囲である。ワックス類の含有量が10重量%よりも低くなると、十分なPTC特性を得ることができなくなり、一方、50重量%よりも高くなると、被印刷物である基材に対する密着性が悪化する。
【0017】
本発明において使用するポリオール類(c)は、重量平均分子量500〜10,000のものであって、その分子の少なくとも一端に水酸基を有するものが用いられ、飽和又は不飽和炭化水素類、ポリエーテル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類等があげられる。また、その溶融温度が、作製される面状発熱体のスイッチング温度ないしスイッチング温度よりも10℃高い温度範囲にあるものが好ましく使用される。具体的には、少なくとも一端に水酸基を有する次のものを例示することができる。例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等の炭化水素鎖系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシテトラメチレン等のポリエーテル系ポリオール類、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンドデカンジオエート等のポリエステル系ポリオール類、ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネート系ポリオール類等があげられる。これらポリオール類をワックス類と併用する場合には、PTC特性がさらに優れたものになる。
【0018】
有機成分におけるポリオール類の配合量は、0重量%〜20重量%、好ましくは5重量%〜15重量%の範囲である。含有量が20重量%よりも高くなると、有機成分の軟化温度を低下させ、耐熱性、耐屈曲性及び耐加圧性を悪化させる。
【0019】
分散剤(d)は、導電性粉末をベースポリマーに分散させるための作用を示すものであって、導電性粉末の粒子表面に親和性を有する官能基をもつ高分子型分散剤が使用される。具体的には、第1ないし第3アミノ基等の塩基性官能基を有するポリエステル系またはポリウレタン系ポリマー等があげられる。有機成分における分散剤の配合量は、導電性粉末の量に左右されるが、5重量%〜20重量%の範囲に設定される。分散剤の配合量が5重量%よりも低いと、導電性粉末の分散性が悪化し、20重量%を越えると成膜後の粘着性が増加する。
【0020】
次に、導電性粉末(B)としては、黒鉛、カーボンブラック、カーボンウィスカー等の炭素微粒子、金属粉、金属箔等の金属微粒子、およびチタン酸カリウム、マイカ、及びアクリル樹脂、メラミン樹脂等の合成樹脂の微粒子表面を炭素又は金属で表面処理した導電性微粒子を用いることができる。導電性粉末の粒径は、一般に0.1〜20μmの範囲のものが好適である。また、導電性粉末の添加量は、有機成分100重量部に対して、30重量部〜70重量部の範囲に設定されるが、添加量を上記の範囲において調整することによって、面状発熱体のスイッチング温度を適宜調整することができる。導電性粉末の配合量が30重量部よりも低いと、発熱が十分行えなくなり、一方、70重量部よりも高いと、所望のPTC特性を発現させることができない。
【0021】
非導電性有機又は無機微粒子(C)は、スペーサーの役割を果たすものであって、その添加により、外部からの圧力に対する耐性を向上させることができる。非導電性有機微粒子としては、平均粒子径10μm〜30μmのスチレン系、メタクリレート系、アクリレート系またはフッ素系合成樹脂のポリマービーズを使用することができる。また、非導電性無機微粒子としては、平均粒子径0.01μm〜10μmのシリカ、酸化チタンまたはゼオライトを使用することができる。これらの微粒子は、表面処理が施されたものであってもよい。その配合量は、有機成分100重量部に対して、0重量部〜20重量%の範囲に設定される。配合量が20重量部を越えると、PTC特性を悪化させるので好ましくない。
【0022】
溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ソルベッソ、γ−ブチルラクトン、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソホロン、ブチルカルビトール、シクロヘキサノン等が好適に使用できる。
【0023】
本発明の自己温度制御ヒーター用印刷インクは、基材、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に印刷法によって塗布することによって、容易に面状発熱体を作製することができる。印刷により形成された塗膜の表面には、保護層を設けることができ、例えば、PETフィルム等を貼着することができる。
【0024】
本発明の自己温度制御ヒーター用印刷インクを用いた面状発熱体のスイッチング温度は、上記のように、導電性粉末の含有量を変更することによって容易に所定の温度に設定することができるが、例えば、床暖房用の場合は60℃、座布団用の場合は40℃、融雪用の場合は80℃になるように設定すればよい。
【0025】
【実施例】
以下の例において、「部」はすべて重量部を意味する。また、溶融温度は、柳本製作所社製の融点測定機:MICRO MELTING POINT APPARATUS Model−MPを用いて測定した。
【0026】
製造例1
攪拌棒及び温度計をセットした4つ口フラスコに、数平均分子量2000のポリエステルポリオール(クラポールP−2010、クラレ社製)2000部及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)666部を加え、窒素雰囲気下で80℃〜90℃で反応を行い、さらに溶剤ジメチルホルムアミド(DMF)785部および3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール、日本ヒドラジン工業社製)304部を加え、70〜80℃で2時間反応を行なった。次いでジメチルホルムアミド1413部および溶剤(ソルベッソ150、エクソン化学社製)942部を加えて希釈した後、イソホロンジアミン(IPDA)170部を加え、30〜50℃において粘度40,000cps/30℃になるまで反応させて鎖延長を行い、固形分50%のポリウレタン樹脂を得た。このポリウレタン樹脂より形成されたフィルムの軟化点は110℃である。
【0027】
製造例2(比較例用)
製造例1と同様の反応を行い、30〜50℃において粘度20,000cps/30℃になるまで鎖延長を行い、固形分50%のポリウレタン樹脂を得た。このポリウレタン樹脂より形成されたフィルの軟化点は80℃であった。
製造例3(比較例用)
製造例1と同様の反応を行い、30〜50℃において粘度100,000cps/30℃になるまで鎖延長を行い、固形分50%のポリウレタン樹脂を得た。このポリウレタン樹脂より形成されたフィルの軟化点は180℃であった。
【0028】
実施例1
冷却用コンデンサ付の2リットル4つ口フラスコに、溶剤(ソルベッソ150)364.8g、分散剤(ソルスパース24000:アミノ基含有ポリエステル系分散剤、ZENECA社製)33.8g、ワックス(HNP−9:溶融温度76℃、日本精蝋社製)101.4gを仕込み、75℃迄加熱攪拌した。ワックスの溶解確認後30℃迄冷却を行い、平均粒径3μmのカーボン(JSP、日本黒鉛社製)162.2gを混合した後、製造例1で作製したポリウレタン樹脂337.8gおよびポリオレフィン系ポリオール(ポリテールH:重量平均分子量:2400、溶融温度:69℃、三菱化学社製)33.8gを混合して、固形分50%のインクを得た。
得られたインクを、銀ペーストの印刷により形成された膜厚9μmの電極を有する厚さ150μmのPET基板(サイズ17×23cm)上に、乾燥後の膜厚が20μmになるようスクリーン印刷機にて塗布し、乾燥して面状発熱体を作製した。図1はその場合を説明するものであって、PETフィルム1の上には、銀ペーストにより、集合電極部分2A、2Bと幅2mmの櫛形部分3A、3Bを有する2つの櫛形電極が、櫛形部分において互いに25mmの間隔で対向するように印刷されており、その櫛形部分の上に、上記インク4をスクリーン印刷機によって塗布した。得られた面状発熱体のスイッチング温度は60℃であった。
【0029】
実施例2〜4
上記実施例1におけると同様の材料を用い、その配合量を表1に示すように設定した以外は、実施例1と同様に操作を行なって面状発熱体を作製した。得られた面状発熱体のスイッチング温度はそれぞれ60℃であった。
【0030】
【表1】
Figure 0004126637
【0031】
実施例5
冷却用コンデンサ付の2リットル4つ口フラスコに、溶剤(ソルベッソ150)346.6g、分散剤(ソルスパース24000:アミノ基含有ポリエステル系分散剤、ZENECA社製)30.7g、ワックス(HNP−9:溶融温度76℃、日本精蝋製)92.0gを仕込み、75℃迄加熱攪拌した。ワックスの溶解確認後、30℃迄冷却を行い、平均粒径3μmのカーボン(JSP、日本黒鉛製)147.2gを混合した後、製造例1で作製したポリウレタン樹脂306.8g、ポリオレフィン系ポリオール(ポリテールH:重量平均分子量:2400;溶融温度:69℃、三菱化学社製)30.7gおよび平均粒径20μmの非導電性有機微粒子(MBX−20:MMA架橋粒子、積水化成品工業社製)46.0gを混合して固形分50%のインクを得た。
得られたインクを、銀ペーストの印刷により形成された膜厚9μmの電極を有する厚さ150μmのPET基板上に、乾燥後の膜厚が20μmになるようスクリーン印刷機にて塗布し、乾燥させて面状発熱体を作製した。得られた面状発熱体のスイッチング温度は60℃であった。
【0032】
実施例6および7
上記実施例5における材料およびその配合量を表2に示すように設定した以外は、実施例5と同様に操作を行なって面状発熱体を作製した。なお、実施例6および7で用いた非導電性無機微粒子は、平均粒径8μmのシリカ(サイロイドAL−1、富士デヴィソン化学社製)であった。得られた面状発熱体のスイッチング温度はそれぞれ60℃であった。
【0033】
【表2】
Figure 0004126637
【0034】
実施例8
冷却用コンデンサ付の2リットル4つ口フラスコに、溶剤(ソルベッソ150)233.7g、分散剤(BYK−163:第3アミノ基含有ウレタン系分散剤:有効成分45%、ビックケミー・ジャパン製)81.8g、ワックス(115:溶融温度47℃、日本精蝋社製)73.6gを仕込み、50℃迄加熱攪拌した。ワックスの溶解確認後30℃迄冷却を行い、平均粒径3μmのカーボン(JSP、日本黒鉛社製)132.5gを混合した後、製造例1で作製したウレタン樹脂441.6gおよびポリカーボネート系ポリオール(PNOC−1000:重量平均分子量1000;溶融温度:50℃、クラレ社製)36.8gを混合して、固形分50%のインクを得た。
得られたインクを、銀ペーストの印刷により形成された膜厚9μmの電極を有する厚さ150μmのPET基板上に、乾燥後の膜厚が20μmになるようスクリーン印刷機にて塗布し、乾燥させて面状発熱体を作製した。得られた面状発熱体のスイッチング温度は40℃であった。
【0035】
実施例9〜11
実施例8における材料およびその配合量を表3に示すように設定した以外は、実施例8と同様に操作を行なって面状発熱体を作製した。なお、実施例9で用いたワックスは、Hoechst−Wax V(溶融温度:49℃、クラリアントジャパン製)であり、実施例10で用いたポリオールは、PEG−1540(ポリオキシエチレン、溶融温度:48℃、三洋化成製)であり、実施例11で用いた分散剤は、BYK−174(第3アミノ基含有ウレタン系分散剤:有効成分52%、ビックケミー・ジャパン社製)であった。得られた面状発熱体のスイッチング温度はそれぞれ40℃であった。
【0036】
実施例12
冷却用コンデンサ付の2リットル4つ口フラスコに、溶剤(ソルベッソ150)336.8g、分散剤(ソルスパース24000、ZENECA社製)48.4g、ワックス(Hi−Mic−3090:溶融温度:88℃、日本精蝋社製)129.0gを仕込み、90℃迄加熱攪拌した。ワックスの溶解確認後30℃迄冷却を行い、平均粒径3μmのカーボン(JSP、日本黒鉛社製)177.4gを混合した後、製造例1で作製したウレタン樹脂308.4gを混合して、固形分50%のインクを得た。
得られたインクを、銀ペーストの印刷により形成された膜厚9μmの電極を有する厚さ150μmのPET基板上に、乾燥後の膜厚が20μmになるようスクリーン印刷機にて塗布し、乾燥させて面状発熱体を作製した。得られた面状発熱体のスイッチング温度は80℃であった。
【0037】
【表3】
Figure 0004126637
【0038】
比較例1〜5
上記実施例1における各成分の量及びウレタン樹脂の種類を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行なって面状発熱体を得た。得られた面状発熱体のスイッチング温度はそれぞれ60℃であった。ただし、比較例3および5の場合は徐々に温度が上昇した。
【0039】
【表4】
Figure 0004126637
【0040】
上記実施例1〜12、比較例1〜5のインク固形分における各成分の配合割合を下記表5及び表6にまとめて示す。
【0041】
【表5】
Figure 0004126637
【0042】
【表6】
Figure 0004126637
【0043】
上記実施例1〜12、比較例1〜5で作製した面状発熱体について、PTC特性、PET密着性、発熱時の耐性を評価した。その結果を表7に示す。なお、それぞれの測定方法は下記の通りである。
【0044】
<PTC特性>
抵抗値変化率(%)…20℃の時の抵抗値を基準とし、昇温時の極大抵抗値の比率。
T(℃)…極大抵抗値を示す時の温度(加熱器具に面状発熱体を乗せ、温度を上昇させて極大抵抗値を示す温度を測定)。
<PET密着性>
作製した面状発熱体の塗膜面にセロファンテープ(CT−12、ニチバン社製)を貼り、塗膜の剥離を観察した。評価基準は次の通りである。
○:剥離無し、△:部分剥離、×:完全剥離。
【0045】
<発熱時の耐性>
耐折曲性…作製した面状発熱体の塗膜面をPETフィルムで覆い、折り曲げて通電加熱し、塗膜の状態を観察した。評価基準は次の通りである。
○:異常無し。
△:塗膜が溶融し、折り曲げ部位で塗膜が薄くなる。または、部分的に無くなる。
×:塗膜が溶融し、折り曲げ部位で塗膜が無くなる。
耐加圧性…作製した面状発熱体の塗膜面をPETフィルムで覆い、1kg/cm2 の荷重をかけて通電加熱し、塗膜の状態を観察した。評価基準は次の通りである。
○:異常無し。
△:塗膜とPETフィルムが一部融着。
×:塗膜とPETフィルムが完全融着。
【0046】
【表7】
Figure 0004126637
【0047】
【発明の効果】
本発明の自己温度制御機能を持つスクリーン印刷用インクは、上記の構成を有するから、それを用いて基材上にスクリーン印刷を施すことにより、使用時に折り曲げ、屈曲、加圧等の外部圧力が加わってもPTC特性を保ち、耐熱性に優れた自己温度制御機能を持つ面状発熱体を作製することができる。また、本発明のスクリーン印刷用インクを用いることにより、軽量かつ柔軟性に優れ複雑な面形状にも対応できる面状発熱体を得ることができ、例えば、床暖房、屋根の融雪、寝具の暖房等に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の面状発熱体の平面図である。
【符号の説明】
1…PETフィルム、2A,2B…集合電極部分、3A,3B…櫛形部分、4…インク。

Claims (8)

  1. (A)(a)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂から選択された少なくとも1種(但し、エチレン系共重合体を除く。)からなる軟化点90〜150℃のベースポリマー30重量%〜70重量%、(b)ワックス類10重量%〜50重量%、(c)重量平均分子量500〜10,000のポリオール類0重量%〜20重量%、(d)分散剤5重量%〜20重量%よりなる有機成分と、該有機成分100重量部に対して、(B)導電性粉末30重量部〜70重量部、(C)非導電性有機又は無機微粒子0重量部〜20重量部および(D)溶剤からなることを特徴とする自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  2. ベースポリマーが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びフッ素樹脂から選択された少なくとも1種(但し、エチレン系共重合体を除く。)である請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  3. ワックス類が、スイッチング温度ないしそれよりも20℃高い温度範囲の溶融温度を有する天然ワックス又は合成ワックスである請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  4. ポリオール類が、スイッチング温度ないしそれよりも10℃高い温度範囲の溶融温度を有するものである請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  5. 分散剤が、導電性粉末をベースポリマーに分散させるための塩基性官能基を有するポリエステル系またはポリウレタン系ポリマーである請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  6. 導電性粉末が、炭素微粒子又は金属微粒子であるか、又はチタン酸カリウム、マイカ、及び合成樹脂の微粒子表面を炭素又は金属で表面処理した導電性微粒子である請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  7. 非導電性有機微粒子が、平均粒子径10μm〜30μmのスチレン系、メタクリレート系、アクリレート系またはフッ素系合成樹脂のポリマービーズである請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
  8. 非導電性無機微粒子が、平均粒子径0.01μm〜10μmのシリカ、酸化チタンまたはゼオライトである請求項1記載の自己温度制御ヒーター用印刷インク。
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