JP4125906B2 - シリカアルミナ複合ゾル、その製造方法及びインクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカアルミナ複合ゾル、その製造方法及びインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット用記録媒体は、鮮明な画像を得るために光沢度が高いこと、印字ドットの色濃度が高いこと、インク同士の滲みを生じさせないこと等が要求されている。これらの性能を得るために、基材上に無機粒子を含んだインク受容層を有する記録媒体が知られている。インク受容層としては、表面が平滑であること、透明性が高いこと、色素を充分に定着させるためにカチオン性物質が存在すること、さらには、インクを充分に吸収するために適度な径の細孔を有することが必要である。これらに加えて、記録媒体の表面が鋭利なものに接触しても傷がつきにくく、記録物の品質を損なわないこと(以下、耐擦傷性という)が求められる。
【0003】
インクジェット記録媒体として具体的には、紙やフィルム等の基材上に、シリカやアルミナ等の無機微粒子とポリビニルアルコール等のバインダからなる多孔質のインク受容層を設けた記録媒体が知られている。シリカゲル等のシリカ系材料は、適度な細孔を有するが、一般に、シリカ粒子は、粒子表面が負に帯電しているためインクジェット記録に使用されるアニオン性解離基を有する直接染料又は酸性染料を吸着できず、耐水性は低い。また、染料を表層に吸着することができないため、染料がシート内部まで浸透し、その結果、鮮明な発色が得られない場合があった。
【0004】
そこで、インク受容層中にカチオン性物質を存在させるために、ポリ塩化アルミニウムを含有させる方法が特開昭60−257286に開示されている。しかし、ポリ塩化アルミニウムは水溶性塩であるため、インク中の溶媒にポリ塩化アルミニウム自身が溶解して、インク受容層の表面にピット状の外観欠陥を生じる場合があり、耐水性は必ずしも充分ではなかった。また、長期間保存した場合には、ポリ塩化アルミニウムがインク受容層の細孔に移動し、本来のインク吸収性を低下させる傾向があった。
【0005】
また、シリカ表面をアルミナでコーティングして正に帯電させたコロイド状シリカゾルの製造方法が特公昭47−26959に、その他、カチオン変性コロイダルシリカの製造方法が特開平06−92011に、正に帯電した金属を介在させたコロイダルシリカの製造方法が特開平07−81214、特開平11−322325、特開2001−278614に開示されている。これらの方法で得られた複合粒子は非球状で、凝集体を形成しており、これらの粒子をインク受容層に使用した場合、いずれも、耐水性、インク吸収性は高いが、凝集している大きい粒子のため、充分な平滑性、透明性、耐擦傷性が得られないことがあった。
【0006】
また、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のカチオン性物質を有する球状のコロイダルシリカの製造方法が特開2000−319012に開示があるが、これは粒子径が3〜20μmと大きく、インク受容層に使用した場合は、耐水性、インク吸収性は高いが、粒子が大きいために充分な平滑性、透明性が得られなかった。
【0007】
一方、カチオン性物質であるアルミナ水和物を使用したインク受容層は、平滑性、透明性、耐水性、インク吸収性等の点で優れているが、耐擦傷性の点で問題があった。これはアルミナ水和物粒子が球状ではないためと推定される。この問題を解決するために、ベーマイトを含む多孔質層の上に、厚さ0.1〜30μmのシリカゲル層を設ける方法が特開平07−76162に開示されているが、発色性、及び、インク吸収性の点でさらに高い性能のものが求められる場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、分散媒中において球状、かつ、粒度分布の整ったシリカアルミナ複合粒子を含み、該分散媒を除去して得られるインク受容層よりなる記録媒体が、光沢度が高く、黒色の引き締まった画像が得られ、インク吸収性、耐擦傷性に優れたシリカアルミナ複合ゾルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリカアルミナ複合粒子(以下、複合粒子という)が分散媒中に分散しているシリカアルミナ複合ゾル(以下、複合ゾルという)であり、該シリカアルミナ複合ゾルから分散媒を除去して得られるキセロゲルを含むインク受容層を基材上に設けたインクジェット記録媒体を得るためのシリカアルミナ複合ゾルであって、平均粒子径が20〜70nmのシリカゾルを、水に溶解したときの液性が酸性のアルミニウム塩(以下、酸性アルミニウム塩という)に、SiとAlの元素の比が酸化物換算モル比Al 2 O 3 /SiO 2 で0.01〜0.03になるように混合し、pH3.7〜4.4で保持することにより製造され、複合粒子が真球度1〜1.2の球状粒子であり、平均粒子径30〜80nm、粒径分布がCV値30以下である複合ゾルを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の複合ゾルでは、複合粒子は真球度1〜1.2の球状粒子である。この数値範囲の真球度であることにより、複合粒子の形状には異方性がなく、インク受容層中において、複合粒子が方向性に関係なく分散され、インク受容層表面は平滑性のよいものが得られやすくなる。真球度が1.2超であると、複合粒子の形状に異方性がでることから、インク受容層表面の平滑性が悪くなるため好ましくない。真球度は1〜1.1が特に好ましい。
【0012】
本発明では、真球度を複合粒子の最長軸と最短軸の比(最長軸/最短軸)で定義する。得られた複合粒子の形態はTEM像により確認することができ、このTEM像から複合粒子の最長軸と最短軸が測定される。TEM装置としては、日立社のH−9000等が挙げられる。
【0013】
本発明の複合ゾルから分散媒を除去して得られるキセロゲルを含むインク受容層を、基材上に設けたインクジェット用記録媒体は、インク受容層の平滑性が高いことにより、優れた耐擦傷性を得ることができる。表面に微細な凹凸が存在する場合、鋭利なものに接触すると、接触した箇所だけ凹凸が無くなり表面が平滑になり、擦られていない部分との光沢差が生じる。そのため、擦り傷が目立ち、記録媒体の耐擦傷性が充分に得られないと考えられる。
【0014】
本発明の複合ゾルでは、複合粒子の平均粒子径は30〜80nmである。平均粒子径が30nm未満であると、インク受容層の空隙の径が小さくなり、インク吸収性が低下するおそれがあるため好ましくなく、平均粒子径が80nm超であると、空隙の径は大きくなるが、インク受容層の平滑性が充分に得られず、充分な光沢が得られない他、インク受容層の透明性が低くなり、鮮明な発色が得られないおそれがあるため好ましくない。複合粒子の平均粒子径は50〜70nmが特に好ましい。
【0015】
また、複合粒子の粒径分布はCV値が30以下である。CV値が30超であると、小さな粒子が多く存在することからキセロゲルにしたときに、空隙が埋まり、空隙の平均細孔半径が小さくなるため、インク吸収性が低下するので好ましくない。CV値は25以下が特に好ましい。
【0016】
なお、CV値とはCoefficient of variatonの略でGaussian分布に従う集合体に使用され、粒径分布の幅を示し、
CV=100×(d84%−d16%)/(2×d50%)
で表される。CV値が大きければ大きいほど、粒径の分布幅が大きいことを示し、幅広い粒度の粒子が存在することを意味し、逆に、CV値が小さければ小さいほど、粒径の分布幅は狭く、粒度の均一化した状態を意味する。ここで、d84%は累積質量基準で集合体の84%が存在する粒径を、d16%は累積質量基準で集合体の16%が存在する粒径を、d50%は累積質量基準で集合体の50%が存在する粒径(メディアン径)を示す。
【0017】
本発明の複合ゾルを製造する方法において、原料のシリカゾルに含まれるシリカ粒子の平均粒子径は20〜70nmであることが好ましい。これにより、平均粒子径30〜80nmの複合粒子が得られる。シリカゾルの平均粒子径は40〜60nmが特に好ましい。
【0018】
原料のシリカゾルとしては、真球度1〜1.2の球状粒子で、凝集しておらず、粒径分布がCV値24以下のものを使用することが好ましい。シリカゾルには、触媒化成工業社製のカタロイドSI−45P(商品名)が挙げられる。シリカゾルは、適宜水で希釈して使用してもよい。
【0019】
本発明で使用する酸性アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等の無機酸塩、又は酢酸アルミニウム等の有機酸塩が好ましく、なかでも水酸化アルミニウムと強酸との塩が特に好ましい。酸性アルミニウム塩は、適宜水に溶解してから使用することが好ましい。
【0020】
酸性アルミニウム塩の中でも、ポリ塩化アルミニウムが特に好ましい。ポリ塩化アルミニウムは、化学式が[Al2(OH)nCl6−n]m(1<n<6、m<10)で表される化合物である。ポリ塩化アルミニウムとしては、多木化学社製のタキバイン#1500やPAC250A等の商品名で市販されているものが挙げられる。ポリ塩化アルミニウムは、JIS K1475で規定される塩基度が20%以上であることが好ましい。塩基度が20%未満であると、Alに対するClの含有量が多くなり、過剰なClにより、インク受容層中の空隙の径が小さくなるおそれがあるので好ましくない。
【0021】
本発明では、複合ゾルを製造するに際して、SiとAlの元素の比が酸化物換算モル比Al2O3/SiO2で0.01〜0.03混合する。これにより、シリカ粒子をアルミナで被覆した複合粒子が得られる。Al2O3/SiO2モル比が0.01未満であると、Alが少ないことから複合粒子が不安定な状態となり、徐々に凝集するおそれがあるため好ましくない。複合粒子が凝集すると、粒子径が大きくなりインク受容層の透明性が低下し、充分な発色が得られなくなる他、インク受容層の平滑性が低下し、充分な光沢と耐擦傷性が得られなくなるため好ましくない。Al2O3/SiO2モル比が0.03超であると、Alが液中で過剰となり、インク受容層中の空隙にAlが入り込み、空隙の径が小さくなり、インク吸収性が低下するため好ましくない。
【0022】
本発明では、酸性アルミニウム塩の水溶液にシリカゾルを添加する際には、温度7〜40℃であることが好ましい。温度7℃未満であると、複合ゾルが生成するための時間が長くなるので好ましくなく、温度40℃超であると、シリカゾルが凝集しやすく、解膠できないおそれがあるため好ましくない。温度は7〜30℃が特に好ましい。
【0023】
酸性アルミニウム塩にシリカゾルを添加、混合した後、温度7〜40℃に維持したまま熟成させる。熟成時間は10〜60分が好ましい。熟成時間が10分未満であると複合ゾルが生成するための時間が不充分であり好ましくなく、熟成時間が60分超であると、得られる複合ゾルに特性上問題はないが、さほど複合ゾルの特性に向上はみられないため作業の効率の面から意味がなく好ましくない。熟成時間は、30〜60分が特に好ましい。
【0024】
本発明では、酸性アルミニウム塩にシリカゾルを混合した後、反応水溶液はpH3.7〜4.4に保持する。これにより、得られる複合粒子のCV値は30以下となり、粒度分布が整う。pH3.7未満であると、アルミナが溶解するおそれがあるため好ましくなく、pH4.4超であると、粒子が凝集するおそれがあるため好ましくない。水溶液のpHは4〜4.3が特に好ましい。
【0025】
得られた複合粒子が凝集している場合は、適宜な方法により解膠させることが好ましい。複合粒子を解膠させる方法としては、超音波分散による方法の他、解膠剤を添加する等できる。解膠剤としては、特に限定されず、塩酸、硝酸、硫酸、アミド硫酸等の無機酸、又は酢酸等の有機酸を好適に使用できる。これらの解膠剤は、単独で使用してもよく、適宜混合して使用してもよい。
【0026】
本発明の複合ゾルを、基材上に塗工することにより、インクジェット記録媒体が得られる。キセロゲルの塗工量は乾燥状態で1〜10g/m2が好ましい。この範囲の塗工量であることにより、光沢度が高く、黒色が引き締まった画像が得られ、耐擦傷性に優れたインクジェット用記録媒体が得られる。塗工量が1g/m2未満であると、光沢、色濃度が低くなるおそれがあり好ましくなく、塗工量が10g/m2超であると、インク受容層の強度が弱くなるおそれがあるため好ましくない。本発明の複合ゾルに含まれる複合粒子は、紙等の基材中に内填することもできる。
【0027】
複合粒子のキセロゲルを含むインク受容層を形成する場合、バインダを使用して塗工液を作成することが好ましい。バインダとしては、特に限定されず、デンプン及びその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0028】
また、塗工液には、上記バインダの他、無機顔料微粒子、必要に応じて耐水性付与剤、耐光性付与剤、耐候性付与剤、ホウ砂、ホウ酸等のホウ素化合物の硬膜剤等の添加剤を含有させることができる。
【0029】
塗工液の塗工方法としては、特に限定されず、ロールコータ、エアーナイフコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、バーコータ、コンマコータ、ダイコータ、グラビアコータ、ライドホッパ、カーテンコータ等が挙げられる。なお、インク受容層が2層以上の記録媒体を得るために、本発明で得られる塗工液を、他の塗工液と併せて使用する場合は、別々に塗工してもよいし、また、同時に塗工してもよい。
【0030】
記録媒体の基材としては、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂のフィルム、上質紙、ポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(RCペーパー)、合成紙等の紙、布、ガラス、金属、皮革、木材、陶磁器等が挙げられる。
【0031】
上記記録媒体においては、本発明で得られるインク受容層は、JIS Z8741で規定する20度鏡面光沢度が35%以上、かつ、黒色100%印字部分のR(2°)が1.1%以下色濃度が2.5以上、明度指数(L*)が2.6以下のものが得られる。これにより、光沢度が高く、黒色が鮮明で、かつ、引き締まって見え、インク吸収性と耐擦傷性に優れるインクジェット用記録媒体が得られる。
【0032】
ここで、R(2°)は30度の正反射光から±2°ずれた角度の反射光強度と入射光の強度の比を%で表した数値である。R(2°)の値が大きくなると正反射光を含む角度で観察したときの黒色が白っぽくみえるようになる。R(2°)の値が大きくなると、正反射光近傍の拡散反射光が増えることになる。正反射光近傍の光の強度が強くなるにつれて、視界に入る観察光の量(蛍光灯等)が増えるために、白っぽく感じると考える。そのため、引き締まった黒色を得るために、R(2°)が1.1%以下であることが必要である。
【0033】
本発明で得られるインク受容層は、単層としても使用でき、また、他のインク受容層と併せて使用することもできる。本発明で得られるインク受容層を2層以上の複層に使用する場合は、最上層として、使用することが好ましい。この場合における他のインク受容層としては、例えば、ベーマイトとバインダーを含む多孔質層が好適に使用される。
【0034】
【実施例】
以下に、実施例(例1〜2、例6〜7)及び比較例(例3〜5、例8〜10)を示す。例1〜5は、複合ゾルの調整についての実施例であり、例6〜10は、インクジェット記録媒体の調製についての実施例である。
【0035】
[例1]
容量2リットルのガラス製反応器に、ポリ塩化アルミニウム水溶液(アルミニウム濃度がAl2O3に換算して23.5%、Cl濃度8.1%、塩基度84%、多木化学社製、商品名タキバイン#1500)76.7gとイオン交換水を724g入れ、撹拌し、温度40℃まで昇温した。その後、平均粒子径42nmの球状シリカ粒子が分散したシリカゾル(SiO2濃度40.2%(質量百分率、濃度において以下同じ)、Na2O濃度0.4%、触媒化成工業社製、商品名カタロイドSI−45P)1199gを9g/minの割合でポリ塩化アルミニウム水溶液に添加、混合した。混合したSi元素とAl元素の酸化物換算モル比Al2O3/SiO2は、0.02であった。
添加終了後、温度40℃に保持したままさらに1時間撹拌して複合粒子を熟成させた。
得られた複合ゾル中の複合粒子の形態、CV値、平均粒子径を表1に示す。
【0036】
[例2]
容量2リットルのガラス製反応器に、例1と同じポリ塩化アルミニウム水溶液41.1gを入れ、撹拌し、温度40℃まで昇温した。その後、平均粒子径62nmの球状シリカ粒子が分散したシリカゾル(SiO2濃度24.5%、Na2O濃度0.1%、触媒化成工業社製)1756.4gをイオン交換水202.5gで希釈し、これを9g/minの割合でポリ塩化アルミニウム水溶液に添加、混合した。混合したSi元素とAl元素の酸化物換算モル比Al2O3/SiO2は、0.01であった。
添加終了後、温度40℃に保持したままさらに1時間撹拌して複合粒子を熟成させた。
得られた複合ゾル中の複合粒子の形態、CV値、平均粒子径を表1に示す。
【0037】
[例3]
容量2リットルのガラス製反応器に、平均粒子径27nmの球状シリカ粒子が分散したシリカゾル(SiO2濃度48.4%、Na2O濃度0.41%、触媒化成工業社製、商品名カタロイドSI−50)248gとイオン交換水1648gを入れ、撹拌し、温度80℃まで昇温した。その後、例1と同じポリ塩化アルミニウム水溶液63.7gを9g/minの割合で、シリカゾル水溶液中に添加、混合した。混合したSi元素とAl元素の酸化物換算モル比Al2O3/SiO2は、0.07であった。
【0038】
添加終了後、温度80℃に保持したままさらに1時間撹拌して複合粒子を熟成させた後、NaOHを添加してpHを7.3に調整した。その後、限外濾過装置により、濾液の電導度が50μS/cm以下に低下するまで限外濾過して不純物を除去した後、濃度10%アミド硫酸水溶液を混合液の固形分100部に対して3部添加してから、濃縮を行い反応液濃度を20%とした。その後、複合粒子の平均凝集粒子径が150nm以下になるように超音波処理を行った。
【0039】
得られた複合ゾル中の複合粒子の形態、CV値、平均粒子径を表1に示す。
【0040】
[例4]
容量2リットルのガラス製反応器に、例1と同じシリカゾル1050.8gとイオン交換水874.3gを入れ撹拌し、例1と同じポリ塩化アルミニウム水溶液74.9gを8g/minの割合で添加した。混合したSi元素とAl元素の酸化物換算モル比Al2O3/SiO2は、0.03であった。
添加終了後、常温でさらに1時間撹拌して複合粒子を熟成させた。その後、超音波処理を行った。
得られた複合ゾル中の複合粒子の形態、CV値、平均粒子径を表1に示す。
【0041】
[例5]
例1で原料として使用したシリカゾルのシリカ粒子の特性を評価した。シリカ粒子の形態、CV値、平均粒子径を表1に示す。
【0042】
[複合粒子の平均粒子径の測定方法]
複合粒子、シリカ粒子の平均粒子径は、日機装社製のマイクロトラックUPAを使用して測定した。CV値はマイクロトラックUPAの測定結果より算出した。粒子の形態はTEM観察により調べた。
【0043】
【表1】
【0044】
[例6]
容量2リットルのガラス製反応器に、例1と同じポリ塩化アルミニウム水溶液327gとイオン交換水1548g入れ、撹拌し、温度95℃まで昇温した。その後、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3濃度20%、Na2O濃度19%)125gをポリ塩化アルミニウム水溶液中に添加し、撹拌して、温度95℃に保持し、24時間熟成してスラリを得た。なお、アルミン酸ナトリウム水溶液添加直後の反応液のpHは温度95℃において8.7であった。
【0045】
熟成後、このスラリを限外濾過装置を使用して精製した後、再び温度95℃に昇温し、このスラリの総固形分量の3%となる量のアミド硫酸を添加して、減圧下で加熱濃縮し、超音波分散して、濃度25%、pH3.8、平均粒子径190nmのベーマイトを得た。
【0046】
得られたベーマイトと、ポリビニルアルコール水溶液(信越化学工業社製、商品名MA26−GP)とを、固形分比が100:10となる割合で混合し、総固形分濃度20%の塗工液Xを調製した。この塗工液Xを、厚さ125μmの白いポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポン社製、商品名U51LY)上に、乾燥後の塗工量が37g/m2になるようにダイコータで塗工し、ベーマイト層を有する基材を得た。乾燥は温度70℃で30秒、温度120℃で30秒、温度130℃で30秒、温度150℃で30秒の順に行った。
【0047】
次に、例1で得られた複合ゾルと例6と同じポリビニルアルコール水溶液とを固形分比が100:8となる割合で混合し、総固形分濃度10%の塗工液Yを調製した。この塗工液Yを、前記ベーマイト層を有する基材のベーマイト層上に、乾燥後の塗工量が2.1g/m2になるようにダイコータで塗工、乾燥しインクジェット記録媒体を得た。乾燥は温度120℃で22秒、温度140℃で44秒の順に行った。
【0048】
[例7]
例2で得られた複合ゾルと例6と同じポリビニルアルコール水溶液とを固形分比で100:6となる割合で混合し、総固形分濃度10%の塗工液を調製した。塗工液Yの替わりにこの塗工液を、乾燥後の塗工量が2.7g/m2になるように塗工した以外は例6と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0049】
[例8]
例3で得られた複合ゾルと例6と同じポリビニルアルコール水溶液とを固形分比で100:8となる割合で混合し、総固形分濃度10%の塗工液を調製した。塗工液Yの替わりにこの塗工液を、乾燥後の塗工量が2.7g/m2になるように塗工した以外は例6と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0050】
[例9]
例4で得られた複合ゾルと例6と同じポリビニルアルコール水溶液とを固形分比で100:5.5となる割合で混合し、総固形分濃度10%の塗工液を調製した。塗工液Yの替わりにこの塗工液を、乾燥後の塗工量が2.7g/m2になるように塗工した以外は例6と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0051】
[例10]
例5で得られた複合ゾルとポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名R1130)とを固形分比が100:8となる割合で混合し、総固形分濃度10%の塗工液を調製した。塗工液Yの替わりにこの塗工液を、乾燥後の塗工量が2.7g/m2になるように塗工した以外は、例6と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0052】
[インク受容層の評価]
例6〜10で得られた記録媒体のインク受容層について、インク受容層の20°光沢度、黒色100%印字部分の色濃度、明度指数(L*)、R(2°)、インク吸収性、耐擦傷性を下記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0053】
[インク受容層の光沢度]
JIS Z8741に規定される20°鏡面光沢度を光沢度計(日本電色工業社製、ハンディー光沢度計PG−1M)で評価した。
【0054】
[インク受容層の発色度]
インクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM−800C)を使用して、光沢フィルムモードで100%ベタ印字を行い、ブラックインクの色濃度と明度指数(L*)を反射色濃度計(グレタグ・マグベス社製、商品名Gretag Macbeth Spectrolino)を使用して測定した。
【0055】
R(2°)は、像鮮明度光沢計(村上色彩技術研究所社製、DGM−30)を使用して測定した。
【0056】
[インク受容層のインク吸収性]
インクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM−800C)を使用して、光沢フィルムモードでブラック、シアン、マゼンタ、イエローの100%ベタ印字を行い、目視により評価した。すべての色において吸収不足によるビーデイングの無いものを○とし、いずれか一色でもビーデイングが認められるものを×とした。
【0057】
[インク受容層の耐擦傷性]
摩擦試験機(スガ試験機社製、II形)を使用して、2Nの荷重で試験片100mmを一往復させ、摩擦子にPETフィルムの裏面を固定して擦った。摩擦試験後の試験片の表面を目視で観察し、傷がない場合を耐傷性が良好と判断して○とし、傷が生じた場合を×とした。
【0058】
【表2】
【0059】
例6〜7で得られたインクジェット記録媒体は、インク受容層の光沢度が35以上と高く、黒色100%印字部の色濃度が2.5以上、明度指数L*が2.6以下で、R(2°)が1.1%以下であり、黒色が鮮明にかつ引き締まって見え、インク吸収性、耐擦傷性のすべてにおいて優れた性能を有していた。例8で得られたインクジェット記録媒体は、光沢度、耐擦傷性の面で若干劣っていた。例9〜10で得られたインクジェット記録媒体は黒色の鮮明さ、引き締まり方が劣っていた。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、球状で、かつ、粒径分布の整った複合粒子が得られる。また、この複合粒子を使用することにより、光沢が高く、黒色が引き締まった画像の得られる、インク吸収性、耐擦傷性に優れたインクジェット用記録媒体が得られる。
Claims (2)
- シリカアルミナ複合粒子が分散媒中に分散しているシリカアルミナ複合ゾルであり、該シリカアルミナ複合ゾルから分散媒を除去して得られるキセロゲルを含むインク受容層を基材上に設けたインクジェット記録媒体を得るためのシリカアルミナ複合ゾルであって、平均粒子径が20〜70nmのシリカゾルを、水に溶解したときの液性が酸性のアルミニウム塩に、SiとAlの元素の比が酸化物換算モル比Al 2 O 3 /SiO 2 で0.01〜0.03になるように混合し、pH3.7〜4.4で保持することにより製造され、シリカアルミナ複合粒子が真球度1〜1.2の球状粒子であり、平均粒子径30〜80nm、粒径分布がCV値30以下であるシリカアルミナ複合ゾル。
- 前記インク受容層がJIS Z8741で規定する20度鏡面光沢度が35%以上、かつ、黒色100%印字部分のR(2°)が1.1%以下、色濃度が2.5以上、明度指数(L*)が2.6以下である請求項1に記載のシリカアルミナ複合ゾル。
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