JP4125577B2 - 切断機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の切断刃によって全ネジボルト等の被切断材の切断を行う切断機に関する。
【0002】
【従来の技術】
切断機は、本体ハウジングの先端に固定される固定刃と、同じく本体ハウジングの先端で揺動自在に軸着される可動刃とからなる一対の切断刃を備え、モータ駆動で回転するカムに沿って可動刃の基端に設けたローラを摺接させることで、可動刃を揺動させてその先端を固定刃に対して開閉動作させ、両刃のせん断作用によって全ネジボルト等の被切断材を切断可能となっている。
また、このような切断機においては、可動刃の開位置(上死点)から閉位置(下死点)までは、カムによって可動刃を強制的に動作させ、可動刃の下死点から上死点への復帰動作は、コイルバネ等の付勢手段によってローラのカムへの摺接を維持させることで、カム形状による可動刃の復帰動作を可能としている。
特に、モータを正逆モータとしたものでは、全ネジボルトに可動刃が食い付いたり、電源である蓄電池の容量が少なくなったりした場合に、モータを逆転させて可動刃の復帰動作を迅速に行えるように、付勢手段に加えて、可動刃に、カム孔を設けた揺動部材を固着し、そのカム孔をカムに設けたピンに摺接させて、揺動部材によって可動刃を強制的に復帰動作させるようにしたものも知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−297232号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記切断機においては、モータを駆動させるスイッチをON操作する間は、正逆何れにかかわらず、カムは回転し続けて可動刃の開閉動作を繰り返させ、スイッチをOFF操作すると、その時点でカムの回転が停止する構造となっているため、スイッチをOFFさせるタイミングによっては、可動刃が閉じた状態で停止してしまう。よって、例えば作業場所が暗かったり、或いは狭かったりして両刃の先端部分が見にくいような場合、可動刃が開閉何れの状態なのか不明なため、作業がやりにくく、使い勝手が良くなかった。
一方、モータの逆転は、先述のように可動刃が被切断材に食い込んだりした状態、すなわち可動刃がある程度閉動作した状態で行われるのが通常であるが、可動刃が開位置で誤ってスイッチをON操作し、モータを逆転させると、逆回転するカムを辿って可動刃が閉動作する格好となるため、そのまま切断作業をしてしまうと可動刃及びモータに過度の負担がかかり、耐久性を損なうおそれがある。
【0005】
そこで、発明は、作業場所にかかわらず、使い勝手が良く、作業効率の向上が期待できる切断機を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、可動刃の開位置と閉位置とを夫々検出可能な位置検出手段と、モータの駆動を制御する制御手段とを設けて、制御手段は、一回の切断動作の終了後、位置検出手段により可動刃の開位置を検出するとモータを停止させるとともに、切断動作中におけるスイッチのOFF操作に伴い、位置検出手段により当該OFF操作の時点において可動刃が閉位置に到達する前か後かを判別し、到達前である場合には、モータの駆動を停止させて可動刃をOFF操作時点の位置にて停止させる一方、到達後である場合には、可動刃が開位置となるまでモータを駆動させることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、モータの回転が正逆切換可能なものにおいて、可動刃及びモータへの負担を解消し、耐久性を好適に維持するために、制御手段が、モータが逆転の場合、動作開始時に可動刃が開位置にあるとモータの駆動を禁止する構成としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
《形態1》
図1は、切断機としての全ネジカッタを示すもので、左が縦断面図、右が後述するライト部分の断面説明図である。同図において、全ネジカッタ1は、複数のバッテリを収容したバッテリパック3を本体ハウジング2の後端(縦断面図の左側)へ着脱自在に装着した充電式のもので、本体ハウジング2内には、直流モータ4が収容されている。また、本体ハウジング2の上方に延設されたハンドル5内には、トリガ7の押し込み操作でONするトリガスイッチ6が収容されている。8は、本体ハウジング2内で直流モータ4の上方に収容された制御手段としての制御ユニットで、バッテリパック3や直流モータ4、トリガスイッチ6等と接続され、後に詳述するように直流モータ4の駆動を制御する。
【0009】
また、直流モータ4の前方には、遊星歯車減速機構9を介して出力軸10が同軸で軸支されて、本体ハウジング2の前方へ突出し、その出力軸10の先端に、図2に示す如く、半月状のカム11が直交状に固着されている。さらに、本体ハウジング2の前端でカム11の上方には、刃先を左側方へ突出させた固定刃12が固着されると共に、固定刃12の前方側では、刃先を固定刃12の刃先に対向させた可動刃13が、ボルト14によって揺動可能に軸着されている。15は、本体ハウジング2の前方から組み付けられて本体ハウジング2を閉塞する前カバーで、カム11及び固定刃12、可動刃13等を覆う格好となるが、この前カバー15と本体ハウジング2との左側方には、固定刃12の下側と可動刃13の上側とを夫々覆う突出部17,16が上下に夫々突設されて、両突出部17,16の間に、固定刃12及び可動刃13の刃先部分を露出させる開放部18を前後方向に形成している。
【0010】
一方、可動刃13において、刃先と反対側の端部には、ローラ19が設けられ、当該端部は、上端を本体ハウジング2側に、下端を可動刃13の後面に固着したブロック20側に夫々支持させたコイルバネ21によって、図2の左回転方向へ付勢されて、ローラ19を常にカム11の周面に当接させている。よって、カム11の右回転に伴い、カム11の膨出部11aに沿ってローラ19が摺動することで、可動刃13の端部が押し上げられる格好となり、可動刃13は右回転して固体刃12に対して閉動作する。続いてローラ19がカム11の膨出部11aを越えて平坦部11bに至ると、コイルバネ21の付勢によって可動刃13の端部が押し下げられ、可動刃13は左回転して開動作する。この開閉動作がカム11の回転に伴って連続的に可能となっている。
【0011】
さらに、可動刃13のブロック20には、上下に所定間隔をおいて一対のピン22,22が後方へ突設されており、ピン22に対向する本体ハウジング2内には、可動刃13の揺動に伴う各ピン22の移動軌跡上に夫々位置する位置検出手段としての上死点検出スイッチ23、下死点検出スイッチ24が夫々設けられて、可動刃13の刃先側の下死点(図2(C)の閉位置)では、上側のピン22が下死点検出スイッチ24を、上死点(図2(A)の開位置)では、下側のピン22が上死点検出スイッチ23を夫々ONさせるようになっている。
【0012】
そして、可動刃13の前面側には、下方にカム孔26を形成したリターンプレート25が一体に固着され、カム11の前面で膨出部11a側に突設されたピン27を、カム孔26の内周に当接させている。このリターンプレート25は、可動刃13が下死点から開動作する際に、カム11の回転に伴うピン27のカム孔26への摺接により、下死点から可動刃13を強制的に開動作(左回転)させるもので、このリターンプレート25により、全ネジボルト等の被切断材に可動刃13の刃先が食い込んでコイルバネ21の付勢のみでは左回転しないような場合も確実に開動作可能となる。
【0013】
一方、本体ハウジング2におけるハンドル5内でトリガスイッチ6の前方には、左右端を外部に突出させた切換プレート28が、本体ハウジング2と直交方向で左右へスライド可能に設けられている。この切換プレート28のスライド操作によって、トリガスイッチ6の前方に配置される正逆切換スイッチ29のレバー30を左右何れかに移動させて、正逆切換スイッチ29の切換が可能となるものである。具体的には図3に示すように、切換プレート28が左位置(同図(A))ではレバー30も左位置にあって正逆切換スイッチ29を正転に、切換プレート28が右位置(同図(C))ではレバー30も右位置にあって正逆切換スイッチ29を逆転に夫々切り換える。なお、切換プレート28の中立位置(同図(B))では、トリガ7の前端に設けた突起31が、切換プレート28の後面中央に突設したストッパ32と係止して、トリガ7の押し込みを阻止するようにしている。
【0014】
また、切換プレート28の前面側では、直流モータ4の駆動回路内に配されて、制御ユニット8へ切換信号を出力する正逆検出スイッチ33が配されると共に、切換プレート28の前面中央には、正逆検出スイッチ33上端のレバー34を挟む格好で一対の案内突起35,35が突設されて、切換プレート28の正転及び逆転位置に従って、案内突起35,35が正逆検出スイッチ33のレバー34も切り換え可能となっている。すなわち、一つの切換プレート28で正逆切換スイッチ29と正逆検出スイッチ33との切換が同時に行える合理的な構造である。
さらに、正逆検出スイッチ33の前方で上方寄りには、LEDランプを用いてなるライト36が配されている。このライト36は、図4に示すように、本体ハウジング2側の突出部16内へ下向きに収容されて、突出部16の下方に設けた透孔37を介して、固定刃12及び可動刃13が露出する開放部18を後方から照射可能としたものである。
【0015】
また、図5は全ネジカッタ1の回路ブロック図で、制御ユニット8には、周知のCPU40やRAM41、ROM42が備えられる。CPU40は、バッテリパック3内のバッテリから電源回路44で作成される電源を得て動作し、I/Oインターフェース43を介して上死点検出スイッチ23、下死点検出スイッチ24、トリガスイッチ6、正逆切換スイッチ29からの各信号が入力される一方、、I/Oインターフェース43を介して、後述するように、ライト36、直流モータ4の駆動回路45、直流モータ4のブレーキ回路46の作動を、予めROM42に記憶されているプログラムに従って制御する。
【0016】
以上の如く構成された全ネジカッタ1の作動を、図6に示すフローチャートに従って説明する。
まず、全ネジカッタ1を地面等に置いた状態で、或いはハンドル5を把持して持ち上げた状態で、開放部18において、開位置の可動刃13と固定刃12との間に被切断材(ここでは全ネジボルト38)を図4のように前後に貫通させ、切断位置を固定刃12と可動刃13との間に位置決めする。この状態でトリガ7を押し込み操作すると、S1の判別でトリガスイッチ6のONが確認されるため、制御ユニット8は、S2でブレーキ回路46をOFFし、S3で正逆切換スイッチ29が正転か否かを判別する。ここで正転であれば、S4で駆動回路45を作動させて直流モータ4を正転させる。よって、遊星歯車減速機構9を介して出力軸10及びカム11が共に正転する。具体的には、図2(A)に示す可動刃13の開位置からカム11が右回転を開始し、ローラ19がカム11の膨出部11aに至ると、可動刃13が同図(B)のように右回転して閉動作を行い、ローラ19がカム11の膨出部11aの末端に至る同図(C)で閉位置となる。その後、ローラ19がカム11の平坦部11bに至ると、同図(D)のように可動刃13はコイルバネ21の付勢とリターンプレート25の案内とで左回転して開動作を行い、同図(A)の開位置に復帰する一連の切断動作を行う。この切断動作による両刃のせん断作用で、全ネジボルト38の切断が可能となる。
【0017】
なお、ここでのカム11の形状は、可動刃13の閉動作時にローラ19が摺接する膨出部11aが長い半月状であるので、従来の扇状に比べて、膨出部11aの押し上げによって可動刃13に切断力が加わる部分、すなわち切断状態が長くなる。よって、切断時にカム11に加わる平均負荷が低くなり、可動刃13が無理なく切断動作できるという利点がある。
【0018】
次に、S5でトリガスイッチ6のON状態を確認すると、S6では、上死点検出スイッチ23がONしたか否かを判別する。上記切断動作が終了して可動刃13が図2(A)の状態に復帰すると、上死点スイッチ23がONするので、制御ユニット8は、S7で駆動回路45をOFFすると共に、S8でブレーキ回路46をONして直流モータ4と出力軸10、カム11の回転を直ちに停止させる。このように、トリガスイッチ6がONすると、トリガ7の押し込みを続けても、同図(A)〜(D)までの切断動作を一回だけ行って可動刃13は開位置で自動的に停止し、その後はトリガ7の押し込みを一旦解除してトリガスイッチ6をOFFさせない限り、S1からの切断動作が行えないことになる(S9)。
なお、ライト36は、トリガスイッチ6のONで点灯し、トリガスイッチ6のOFFで消灯するようになっている。
【0019】
一方、切断動作の途中でトリガ7の押し込みを解除してトリガスイッチ6をOFFさせた場合、S5の判別でS10へ移行し、下死点を通過したか否か、すなわち、可動刃13が閉位置で下死点検出スイッチ24をONさせたか否かを判別する。ここで、下死点通過後であれば、全ネジボルト38の切断自体は終了しているため、トリガスイッチ6のOFFにかかわらず、S6に戻って可動刃13の開動作を継続させ、上死点検出スイッチ23のONを待って直流モータ4をOFFさせる(S7)。よって、ここでも可動刃13は開位置へ復帰してから自動停止することになる。
但し、S10の判別で下死点通過前の場合は、そのままS7で直流モータ4をOFFさせて直ちにカム11の回転を停止させるため、可動刃13も閉動作の途中で停止する。よって、可動刃13を全ネジボルト38に近づけてから切断を行いたいようなときの対応が可能となる。
【0020】
そして、切換プレート28を逆転側に切り換えてトリガ7を押し込み操作した場合は、S3の判別でS11へ移り、上死点検出スイッチ23がONか否かを判別する。ここで上死点検出スイッチ23がON、すなわち可動刃13が開位置であれば、S1に戻り、制御ユニット8は、改めて切換プレート28を正転側に切り換えて動作させない限り直流モータ4を駆動させない。逆に、上死点検出スイッチ23がONしていなければ、可動刃13が図2(B)のように閉動作の途中にあるものとして、S12で駆動回路45をONさせて直流モータ4を逆転させる。よって、カム11は同図(B)から左回転する。その後、トリガ7の押し込みを解除してトリガスイッチ6をOFFさせると、S13の判別を経てそのままS7で直流モータ4も停止するが、トリガ7の押し込みを続けると、再びS14で上死点検出スイッチ23のON、すなわち同図(A)の開位置への復帰を判別し、上死点検出スイッチ23のONの確認を待ってからS7で直流モータ4が停止する。すなわち、逆転の場合は、可動刃13の開位置からの動作は禁止し、途中位置では開位置に戻してから自動停止させる構成としたものである。
【0021】
このように、上記形態1の全ネジカッタ1によれば、可動刃13の開位置と閉位置とを夫々検出可能な上死点検出スイッチ23及び下死点検出スイッチ24と、直流モータ4の駆動を制御する制御ユニット8とを設けて、制御ユニット8は、一回の切断動作の終了後、可動刃13の開位置を検出すると直流モータ4を停止させるようにしたことで、作業者は、刃先を目で確認しなくても切断前には常に可動刃13が開位置であることが確実に認識でき、暗い場所や狭い場所で切断箇所が見えにくいような場合でも安心して切断作業を行うことができる。よって、使い勝手が良くなって作業効率も向上する。
【0022】
特にここでは、制御ユニット8は、切断動作中に可動刃13の閉位置を検出すると、その後のトリガスイッチ6のON/OFFにかかわらず可動刃13の開位置まで直流モータ4を駆動させているから、切断動作の途中でトリガ7の押し込みを解除することがあっても自動的に可動刃13が開位置へ復帰して停止し、より使い勝手が向上する。
そして、制御ユニット8は、直流モータ4の逆転の場合、動作開始時に可動刃13が開位置にあると直流モータ4の駆動を禁止するから、そのままカム11を逆に辿って可動刃13が閉動作し、切断作業をしてしまうおそれがなくなる。よって、可動刃13及び直流モータ4へ異常な負荷が加わることがなく、耐久性の低下は生じない。
【0023】
《形態2》
なお、上記形態1では、正逆切換機能を備えた全ネジカッタで説明しているが、この正逆切換機能を備えない切断機について、形態2として以下に説明する。
ここでの全ネジカッタは、図7の回路ブロック図に示す如く、正逆切換スイッチを省略すると共に、切換プレートや正逆検出スイッチも備えないもので、それ以外の構成は図1の全ネジカッタ1と同じであるので、重複する説明は省略し、制御ユニット8による動作制御について図8のフローチャートに基づいて説明する。
まず、S1の判別でトリガスイッチ6のONが確認されると、S2でブレーキをOFFすると共に、S3で直流モータ4を正転側に回転させる。よって、可動刃13はトリガスイッチ6がONである限り(S4)、上記形態1と同様に図2(A)〜(D)の切断動作を連続して行う。開動作が終了して可動刃13が開位置に復帰し、S5でその復帰による上死点検出スイッチ23のONが確認されると、S6で直流モータ4をOFFすると共に、S7でブレーキをONしてカム11を停止させる。その後はトリガスイッチ6が一旦OFFしない限り、可動刃13は開位置で停止する(S8)。
【0024】
一方、可動刃13の動作中にトリガスイッチ6がOFFすると、S4の判別でS9へ移り、ここで下死点を通過したか否かが判別される。下死点の通過が確認されると、切断作業は終了したとして、そのままS5で上死点に至るまで可動刃13は開動作を継続し、上死点に復帰すると自動停止する(S5〜S8)。逆に、S9で下死点の通過が確認されない場合は、S10で直流モータ4が逆回転してそこから直ちに可動刃13の開動作を開始させ、可動刃13が上死点に達したことを確認してから直流モータ4を停止させる(S5〜S8)。
【0025】
このように、上記形態2においても、制御ユニット8は、一回の切断動作の終了後、可動刃13の開位置を検出すると直流モータ4を停止させることで、作業者は、刃先を目で確認しなくても切断前には常に可動刃13が開位置であることが確実に認識でき、暗い場所や狭い場所で切断箇所が見えにくいような場合でも安心して切断作業を行うことができる。よって、使い勝手が良くなって作業効率も向上する。
また、制御ユニット8は、切断動作中に可動刃13の閉位置を検出すると、その後のトリガスイッチ6のON/OFFにかかわらず可動刃13の開位置まで直流モータ4を駆動させているから、切断動作の途中でトリガ7の押し込みを解除しても自動的に可動刃13が開位置へ復帰して停止し、より使い勝手が向上する。
【0026】
なお、上記形態1では、モータ逆転の場合にトリガスイッチをOFFさせた場合は、そのまま可動刃を停止させる構成としているが、トリガスイッチのON/OFFにかかわらず、モータを駆動させて常に開位置に復帰させる構成としても良い。また、形態2では、モータの正転開始後、可動刃が下死点を通過する前でトリガスイッチをOFFさせた場合は、モータを逆転させているが、形態1のようにモータを停止させる構成とすることもできる。
その他、検出スイッチ等の位置検出手段は、本体ハウジング側でなく可動刃側に設けたり、両刃やカムの形状も上記形態1,2の構造に限らず、リターンプレートを省略したり、カムを従来の扇状としたり等の設計変更が可能である。
【0027】
そして、上記形態1,2では、一回の切断動作で可動刃が開位置へ復帰して停止する構造となっているが、切断作業によっては、トリガスイッチがONの間は可動刃が連続して開閉動作する方が使い勝手が良い場合がある。このような場合にも可動刃の自動復帰動作を可能とした切断機を、形態1,2の変更例として以下に説明する。なお、全ネジカッタの構成は形態1,2と同じであるので、重複する内容は省略し、切断動作制御のフローチャートを用いて形態1,2と異なる制御のみを説明する。
【0028】
まず、形態1の変更例となる図9においては、S4で直流モータ4がONした後、S5でトリガスイッチ6のONを確認する。ここでトリガスイッチ6がONされている限り、直流モータ4の駆動は継続し、可動刃13は図2(A)〜(D)の開閉動作を連続して行う。トリガスイッチ6がOFFされると、S6で下死点を通過したか否かが判別され、ここで下死点の通過が確認されると、切断作業は終了したとして、そのままS7で上死点に至るまで可動刃13は開動作を継続し、上死点に復帰すると自動停止する(S8、S9)。一方、S6で下死点通過前であれば、その位置でS8,9で直流モータ4と共に可動刃13も停止する。なお、直流モータ4の逆転の場合の制御(S10〜S13)は形態1と同じとなる。
【0029】
次に、形態2の変更例となる図10においても、S3で直流モータ4がONした後、S4でトリガスイッチ6のONが確認され、ここでONであればそのまま可動刃13は開閉動作を継続する。一方、トリガスイッチ6がOFFされると、S5で下死点の通過が確認され、下死点を通過していれば、そのままS6で上死点に至るまで可動刃13は開動作を継続し、上死点で自動停止する(S6〜S8)。逆に、S5で下死点通過前であれば、S9で直流モータ4は逆転側に切り替わり、S6で上死点の到達を待って自動停止するものとなる(S6〜S8)。
【0030】
このように図9,10の変更例においても、可動刃13が連続して開閉動作するものにおいて、最後の切断動作で可動刃13が閉位置に到達すると、その後トリガスイッチ6がOFFしても、開位置まで直流モータ4を駆動させる構成であるから、最後の切断動作の途中でトリガ7の押し込みを解除しても自動的に可動刃13が開位置へ復帰して停止する。よって、使い勝手が良くなって作業効率の向上が図られる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、切断動作の終了後作業者は、刃先を目で確認しなくても切断前には可動刃が常に開位置であることが確実に認識でき、暗い場所や狭い場所で切断箇所が見えにくいような場合でも安心して切断作業を行うことができる。よって、使い勝手が良くなって作業効率も向上する。
また、制御手段が、切断動作中におけるスイッチのOFF操作に伴い、位置検出手段により当該OFF操作の時点において可動刃が閉位置に到達する前か後かを判別し、到達前である場合には、モータの駆動を停止させて可動刃をOFF操作時点の位置にて停止させるため、可動刃を被切断材に近づけてから切断を行いたいようなときの対応が可能となる。一方、到達後である場合には、可動刃が開位置となるまでモータを駆動させるため、切断動作の途中でスイッチをOFFさせることがあっても自動的に可動刃が開位置へ復帰し、より使い勝手が向上する。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、モータ逆転の場合、制御手段が、動作開始時に可動刃が開位置にあるとモータの駆動を禁止する構成としたことで、そのままカムを逆に辿って可動刃が閉動作し、切断作業をしてしまうおそれがなくなる。よって、可動刃及びモータへ異常な負荷が加わることがなく、耐久性の低下は生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】形態1の全ネジカッタの説明図である。
【図2】(A)可動刃の開閉動作を示す説明図である(開位置)。
(B)可動刃の開閉動作を示す説明図である。
(C)可動刃の開閉動作を示す説明図である(閉位置)。
(D)可動刃の開閉動作を示す説明図である。
【図3】(A)切換プレートの切換動作を示す説明図である(正転位置)。
(B)切換プレートの切換動作を示す説明図である(中立位置)。
(C)切換プレートの切換動作を示す説明図である(逆転位置)。
【図4】全ネジカッタの左側面図である。
【図5】全ネジカッタの回路ブロック図である。
【図6】切断動作制御のフローチャートである。
【図7】形態2の全ネジカッタの回路ブロック図である。
【図8】切断動作制御のフローチャートである。
【図9】切断動作制御の変更例のフローチャートである。
【図10】切断動作制御の変更例のフローチャートである。
【符号の説明】
1・・全ネジカッタ、2・・本体ハウジング、3・・バッテリパック、4・・直流モータ、6・・トリガスイッチ、7・・トリガ、8・・制御ユニット、11・・カム、12・・固定刃、13・・可動刃、19・・ローラ、21・・コイルバネ、23・・上死点検出スイッチ、24・・下死点検出スイッチ、28・・切換プレート、38・・全ネジボルト、40・・CPU、45・・駆動回路、46・・ブレーキ回路。

Claims (2)

  1. 固定刃と、その固定刃に対向して揺動可能に軸着された可動刃と、その可動刃の基端が摺接し、モータ駆動で回転するカムと、スイッチとを備え、前記スイッチのON操作により、前記カムを回転させて前記可動刃を前記固定刃に対して開閉させ、両刃による被切断材の切断を可能とした切断機であって、
    前記可動刃の開位置と閉位置とを夫々検出可能な位置検出手段と、前記モータの駆動を制御する制御手段とを設けて、前記制御手段は、一回の切断動作の終了後、前記位置検出手段により前記可動刃の開位置を検出すると前記モータを停止させるとともに、切断動作中における前記スイッチのOFF操作に伴い、前記位置検出手段により当該OFF操作の時点において前記可動刃が閉位置に到達する前か後かを判別し、到達前である場合には、モータの駆動を停止させて前記可動刃をOFF操作時点の位置にて停止させる一方、到達後である場合には、前記可動刃が開位置となるまでモータを駆動させることを特徴とする切断機。
  2. モータの回転が正逆切換可能であり、前記モータが逆転の場合、制御手段が、動作開始時に可動刃が開位置にあると前記モータの駆動を禁止する請求項1に記載の切断機。
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