JP4123423B2 - 透明柔軟ポリエステル製袋状物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、柔軟性に優れたポリエステル製袋状物に関するものであり、特に透明性、柔軟性および加熱時の透明性の安定性に優れたポリエステル製袋状物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明で柔軟な袋状物として、例えば、つゆ類などの食品用バッグ、輸液用バッグなどの用途に対しては、ポリ塩化ビニル樹脂(以下、塩ビと略記する)が広汎に使用されてきた。
【0003】
しかしながら、これまで使用されてきた食品用バッグや輸液用バッグなどには、柔軟性を付与する目的でフタル酸エステル系の可塑剤が多量に添加されており、長期間の使用中には可塑剤がブリードアウトして、これらバッグ内に収容されている食品や輸液に混入するおそれがあり、衛生上問題を生じるおそれがある。
【0004】
また、軟質塩化ビニルから析出するモノマーは、その毒性が問題になる事があり、やはり衛生上問題を生じるおそれがある。
【0005】
また、塩化ビニルは、通常、耐薬品性がそれ程高くないので、輸液バッグ内に収容される、使用薬剤が制限される。そのため、医療上、輸液バッグの広範な使用が困難になる。
【0006】
さらに、塩化ビニルはγ線滅菌ができない。通常、120℃程度でオートクレーブ滅菌しているが、滅菌に時間がかかり過ぎゆえバッグの生産性が悪いという問題とともに、滅菌装置が大がかりになるという問題がある。
また、塩ビ製品は焼却時に発癌性を有するダイオキシンが発生するなどの指摘があり、環境面、衛生面からも忌避される傾向にある。
【0007】
このような欠点がある柔軟塩ビに替わる他の材料として、ポリエステルにソフトセグメントを共重合して柔軟性を付与する方法が多数開示されている。
例えば、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)などの長鎖ポリエ−テル、また、ダイマ−酸(DiA)などの長鎖脂肪族ジカルボン酸をPBTに共重合することで柔軟性を付与する技術が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、これらの共重合ポリエステルは、ハ−ドセグメントにポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)の結晶相を利用しているため、成形体は高度に結晶化しやすく、白化により透明性が低下するという問題がある。
【0008】
一方、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)をハ−ドセグメントとするポリエステルエラストマ−の開発も数多く試みられている。例えば、特開昭48−55235号公報や特公昭42−8709号公報には、PETにPTMGやDiAを共重合して柔軟性を付与する技術が開示されている(例えば特許文献2、特許文献4参照)。しかしながら、これらのポリエステル共重合体は、成形直後は透明で柔軟な成形体を与えるが、ガラス転移点(Tg)以上の温度下で放置すると結晶化が進行し、白化により透明性が低下するという問題がある。
【0009】
さらに、PTMGやDiAの共重合量を増加していくと、Tgや軟化点が低下し接着性が増してくる。その為、成形時の金型やロ−ラ−からの離型性が悪くなったり、或いはシ−トなどでは巻き取りの際にシ−ト同士が接着して離れなくなったり、レジン乾燥時にブロッキングが発生したりするなど、ハンドリング性の面で大きな問題を生じる。
【0010】
また、柔軟性共重合ポリエステルからなる輸液バッグが開示されている(例えば、特許文献5参照)が、このバッグを沸騰水で処理後に透明性を保持したり、ヒートシール部分が透明性を保持したり、またハンドリング性を確保するためには、キャストしたフイルムを熱処理する必要があり、この処理を施さないとフイルムを沸騰水で処理した際に不透明になったり、ヒートシール部分が不透明になったり、また室温放置中にシート同志が粘着してしまうという問題があり、解決が望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特公昭57−48577号公報
【特許文献2】
特公昭54−15913号公報
【特許文献3】
特開昭48−55235号公報
【特許文献4】
特公昭42−8709号公報
【特許文献5】
特開平4−180761号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような軟質塩化ビニルからなる食品用バッグや輸液バッグ、あるいは従来の柔軟ポリエステルからなるバッグなどの問題点に着目し、また透明性、柔軟性、ハンドリング性、耐薬品性などを満足する透明柔軟ポリエステルからなる袋状物提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の透明柔軟ポリエステル製袋状物は、共重合ポリエステルを主たる構成成分とするポリエステルからなる透明柔軟ポリエステル製袋状物であって、前記ポリエステルが、これを溶融成形して得られる未延伸シ−トの弾性率が1500MPa以下、広角X線で測定した結晶化指数Xcが5%以上、かつ前記シ−トのヘイズ(100μm換算)が15%以下であるポリエステルであり、さらに、
前記ポリエステルが、ハ−ドセグメントとソフトセグメントからなるポリエステルであって、そのハ−ドセグメントを構成するジカルボン酸成分の少なくとも70モル%以上が、テレフタル酸(TPA)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)、4,4′−ビフェニルジカルボン酸(BPA)の少なくとも1種以上であり、
そのハ−ドセグメントを構成するグリコ−ル成分が、1,4−テトラメチレングリコ−ル(TMG)及びエチレングリコ−ル(EG)を含み、かつハ−ドセグメントを構成する全グリコ−ル成分に対する組成比が、TMGが20〜98モル%で、かつEGが2〜80モル%であり、
そのソフトセグメントを構成するソフト成分が、ダイマ−ジオ−ル(DDO)であり、かつポリエステルの全グリコ−ル成分に対するDDOの組成比が1〜60モル%であるポリエステルであることを特徴とする透明柔軟ポリエステル製袋状物である。
【0017】
この場合において、前記ポリエステルが、周期律表第I−a属または第II−a属の金属元素を有する金属塩化合物を、ポリエステルに対して金属元素として0.5〜5.0重量%含有してなるポリエステルであることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の透明柔軟ポリエステル製袋状物の実施の形態を具体的に説明する。
本発明に係る透明柔軟ポリエステルは、共重合ポリエステルを主たる構成成分とする透明柔軟ポリエステルである。共重合ポリエステルとしては、ハ−ドセグメントとソフトセグメントからなる共重合ポリエステルであることが好ましい。ハ−ドセグメントをポリエステル分子鎖に導入する目的は、ポリエステルにブロッキング性と透明性とを付与することにある。一方、ソフトセグメントをポリエステル分子鎖に導入する目的はポリエステルに柔軟性を付与することにある。
【0019】
本発明に係る透明柔軟ポリエステルは、透明柔軟ポリエステルを溶融成形して未延伸シ−トとした際の弾性率が1500MPa以下であることから、柔軟性に優れている。
【0020】
また、本発明に係る透明柔軟ポリエステルは、広角X線で測定した結晶化指数Xcが5%以上であるため、ハンドリング性に優れている。さらに、該透明柔軟ポリエステルを溶融成形した未延伸シ−トのヘイズが、シート厚み100μm換算で15%以下であるため、透明性に優れている。
【0021】
(ハ−ドセグメント)
透明性、柔軟性、ハンドリング性の3つの性能をいずれも兼備する透明柔軟ポリエステルを開発するにあたって、最も困難な技術課題は透明性とハンドリング性の両立である。そのためには、ソフトセグメントを拘束するハ−ドセグメントの設計が重要である。
【0022】
結晶の観点からは、透明性とハンドリング性とは二律背反する特性である。なぜなら、結晶化の進行とともに透明性は悪くなるのに対し、ハンドリング性は逆に向上する。すなわち、透明性とハンドリング性という相反する特性をいかに両立させるかが、本発明における最も重要な技術課題である。
【0023】
一般に、結晶化速度の遅いPETは成形時に、溶融状態から急冷して過冷却状態(アモルファス)にすると、透明な成形体が得られる。ところが、得られた成形体をTg以上の温度下で放置すると結晶化が進行し白化する。この現象は、結晶化の進行とともに結晶が成長した結果である。従って、透明性を良好にする為には、結晶のサイズを限りなく小さくすること、つまり微結晶とする必要がある。
【0024】
一方、ハンドリング性、つまり、レジン乾燥時のブロッキングや成形・加工時の金型やロ−ラ−からの解離性、さらには成形体同士の接着等は、結晶サイズとは無関係に、結晶化の度合、換言すれば結晶化度によって支配される。結晶化度は、結晶の数と結晶サイズの積で定義される。
【0025】
以上のことから、結晶相でのハ−ドセグメントを構成する場合、透明性の観点から、結晶のサイズを微結晶とすること、かつ、結晶化度に支配されるハンドリングの観点からは、微結晶の数を多くすること、の2要件が必要不可欠である。
そのためには、ハ−ドセグメントを構成するポリマ−構造の選択が非常に重要である。
【0026】
一般に、ポリエステルは、ポリマ−構造によって結晶性が大きく異なる。例えば、代表的なPETとPBTではその結晶性が大きく異なり、PBTは結晶化速度が非常に速い。結晶相に求められる性質としては、透明性とハンドリング性の両立の観点から、微結晶でしかも数が多いことである。
【0027】
これらの要件を満足できるポリエステルの組成としては、例えば、下記の2つの条件を満たすハ−ドセグメントを用いることにより、透明性とハンドリング性の両立を兼備したポリエステルが得られる。
【0028】
(1)ハ−ドセグメントを構成するポリエステルのグリコ−ル成分として、1,4−テトラメチレングリコール(TMG)及びエチレングリコール(EG)を含み、かつハ−ドセグメントを構成するポリエステルの全グリコ−ル成分に対する組成比が、TMGが20〜98モル%で、かつEGが〜80モル%であること。
【0029】
(2)ハ−ドセグメントを構成するポリエステルのジカルボン酸成分として、テレフタル酸(TPA)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)、4,4′−ビフェニルジカルボン酸(BPA)から選ばれた少なくとも1種を70モル%以上含有すること。
【0030】
前記2条件を充足しない場合は、結晶が微結晶とはならず白化して透明性が無くなったり、軟化点が低下して接着性が増し、レジンの乾燥時や成形時のハンドリング性が悪くなるなど、実用的価値が無くなる場合がある。
【0031】
ハ−ドセグメントを構成するポリエステルの組成は、グリコ−ル成分として、TMG/EGが23〜94モル%/77〜6モル%であることがさらに好ましく、特に好ましくはTMG/EGが25〜93モル%/75〜7モル%である。一方、ジカルボン酸成分として、TPA、NDA、BPAから選ばれた少なくとも1種が75モル%以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
【0032】
ハ−ドセグメントを構成するポリエステルは、前記ジカルボン酸以外に、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸、またグリコ−ル成分としては、1,3−トリメチレングリコ−ル、1,5−ペンタメチレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサメチレンジメタノ−ル、等のグリコ−ルを共重合成分として使用することも可能である。
【0033】
更に、微結晶化に対しては、金属塩化合物を結晶化促進剤として併用することが有効であり、透明性の点からさらに好ましい。
特に、本発明に係る透明柔軟ポリエステルに対しては、周期律表第I−a属、または第II−a属に属する金属元素を有する金属塩化合物が好ましい。なかでも、脂肪族カルボン酸あるいはリン化合物のLi、Na、K、Ca塩が好ましい。
【0034】
金属塩化合物の含有量はポリエステルの組成によっても異なるが、ポリエステルに対して金属元素として0.5〜5.0重量%を含有させることが効果的である。ポリエステルに対する金属塩化合物の含有量が0.5重量%未満では結晶化促進効果が小さく、逆に5.0重量%を越えるとポリエステルへの分散性が悪くなるばかりでなく、成形性の悪化や物性低下が著しい。金属塩化合物の含有量は、下限値がポリエステルに対して0.8重量%であることがさらに好ましく、特に好ましくは1.0重量%である。また、金属塩化合物の含有量は、上限値がポリエステルに対して4.5重量%であることがさらに好ましく、特に好ましくは4.0重量%である。
【0035】
(ソフトセグメント)
ソフトセグメントはポリエステルに柔軟性を付与するために不可欠であり、エントロピ−弾性を有することが重要である。好適なソフト成分としては、ポリアレキレンオキシドグリコ−ル、脂肪族ポリエステル、長鎖脂肪族ジカルボン酸、長鎖脂肪族グリコ−ル等が挙げられる。
【0036】
ソフト成分として、長鎖脂肪族グリコ−ルを用いた場合には、数平均分子量が100未満では充分な柔軟性が得られにくい。一方、数平均分子量が1,000を越えると、ハ−ドセグメントとの相溶性が悪くなり透明性が低下しやすくなる。また、ポリアルキレンオキシドグリコ−ルを用いた場合は、数平均分子量の範囲が500未満、または4,000を越える場合には、いずれも目的とする透明柔軟ポリエステルとなりにくい。
【0037】
本発明において、透明柔軟ポリエステルのソフト成分としては、長鎖脂肪族グリコ−ルであるダイマージオール(DDO)が透明性の点から最も有効である。DDOの組成比は、所望する柔軟性によって異なるが、ポリエステルの全グリコール成分に対して1〜60モル%が好ましく、より好ましくは2〜58モル%であり、特に好ましくは3〜55モル%である。DDOの組成比が1モル%未満では、柔軟性が不十分となり硬くなる。一方、60モル%を超えると、Tgが低くなり過ぎて、成形・加工性やハンドリング性が悪化しやすくなる。
【0038】
(共重合ポリエステルの重合)
共重合ポリエステルの重合方法は、従来公知の方法が適用できる。例えば、芳香族ジカルボン酸及びその低級アルキルエステルと、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオールなどのジオールとのエステル化反応またはエステル交換反応により低分子量体を生成する初期反応と、この低分子量体を重縮合させ高分子量とする後期反応によって製造する方法が最も一般的である。
【0039】
共重合ポリエステルの製造には、エステル交換触媒として、従来公知のチタン、亜鉛、マンガン、コバルト、鉛、カルシウム、マグネシウムなどの金属化合物を適用することができる。また重縮合触媒としては、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ等の金属化合物を適用することができる。これらの触媒以外に、熱酸化安定剤やリン化合物の添加もまた可能である。
【0040】
(金属塩化合物の溶融混合)
金属塩化合物のポリエステルへの混合は、一軸押出機、二軸押出機、あるいは成形加工時のポリエステルへの溶融工程への添加等によって行うことができる。一例として、二軸押出機を使用して金属塩化合物をポリエステルへ混合する場合について述べる。
【0041】
金属塩化合物の混合には、二軸押出機(東芝機械(株)製、TEM−37BS)を使用する。混合時の樹脂温度250℃、スクリュー回転数100rpm、ベント真空度1〜5hPa、フィ−ド量15kg/hrの条件で金属塩化合物をポリエステルに均一混合した後ストランド状に押出し、水冷下チップ状にカッティングする。また、金属塩化合物の混合時に、紫外線吸収剤や透明性に悪影響のない顔料等も同時にブレンドすることも可能である。
【0042】
(特性値)
本発明では透明柔軟ポリエステルの特徴を弾性率、結晶化指数Xc、ヘイズという特性値を用いて表現している。本発明の袋状物に用いられるフィルム状物は、成形後、冷却するだけでも、特に加熱結晶化処理をすることなく、弾性率、結晶化指数Xc、ヘイズという特性値を満たす。
弾性率は、透明柔軟ポリエステルの柔軟性を表す指標である。柔軟性は、例えば、ハ−ドセグメントの構造、使用するソフトセグメントの種類や量によって制御することができる。弾性率は、その値が大きくなるとともに硬く、逆に小さくなるとともに柔らかくなる。一般的に、透明柔軟ポリエステルは弾性率を1500MPa以下とすることで柔軟性を示すが、好ましくは1200MPa以下であり、特に好ましくは1100MPa以下である。一方、弾性率の下限値は成形性の点から10MPaであることが好ましく、さらに好ましくは11MPaであり、特に好ましくは12MPaである。弾性率が10MPa未満であると、成形することが困難になるばかりでなく、取り扱い難くなり、実用的でない。さらに、ソフトセグメントの組成比が高くなるので、コスト的にも不利になる。
【0043】
結晶化指数Xcは、微結晶化の度合いを示す尺度であり、ハンドリング性および加熱処理時の白化に対して重要な指標である。Xcは、例えば、ハ−ドセグメントの構造によって制御することができる。ハンドリング性や白化の点からは、Xcは大きければ大きいほどよく、5%以上とすることが必要であり、好ましくは6%以上であり、特に好ましくは7%以上である。一方、結晶化指数Xcが55%を越えるようにすることはポリマー構造の面で技術的に困難である。結晶化指数Xcが55%以下であっても5%以上あれば一般的には十分なハンドリング性を有しているので、結晶化指数Xcを積極的に55%を越えるようにすることは技術的な困難さを考慮するとあまり実用的でない。
【0044】
本発明の透明柔軟ポリエステル製袋状物においては、これを構成する柔軟性ポリエステルフィルムの透明性は高い程好ましい。したがって、柔軟性フィルムのヘイズは低い程好ましい。とくに、輸液バッグを極めて簡便に滅菌処理する手法として沸騰水滅菌法があるが、沸騰水浸漬後の100μm換算のヘイズが5%以下であるものが好ましい。また袋状物は、柔軟性フイルムをヒートシールによって形成されるが、前記柔軟性フィルムをヒートシールした時にも、そのシール部のヘイズが低く抑えられることが望ましく、シール部のヘイズとしては、5%未満であることが望ましく、本発明に係る透明柔軟ポリエステルを用いることによって目的を達成することができる。
【0045】
ヘイズは、透明柔軟ポリエステルの成形体の透明性を表す指標である。ヘイズは小さければ小さいほど透明性に優れ、厚み100μmのシ−トとした際に15%以下とすることが重要であり、好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。ヘイズが15%を超えると、白化が著しく、もはや透明性があるとは言えなくなる。一方、ヘイズの下限は0.1%とすることが好ましい。ヘイズを0.1%未満としても目視評価による透明性に大きな差異がなく、ヘイズを積極的に0.1%未満とすることは技術的困難さを考慮するとあまり実用的でない。
【0046】
更に、ヘイズは本発明にある金属塩化合物を含有させることによってさらに改善され、透明性が一層良好となる。金属塩化合物の含有によるヘイズの改善効果は、金属塩化合物を含有しない場合のヘイズと比較して、0.2%以上小さくなることが好ましい。ヘイズの改善効果が0.2%以下では、視覚的にみて透明性に殆ど差は見られない。好ましいヘイズの改善効果は、0.3%以上、特に好ましくは0.4%以上である。
【0047】
一般的に、柔軟性を有するポリエステルのTgは常温以下であり、Tgが高くなると通常の使用条件では柔軟性が不十分となる。本発明に係る透明柔軟ポリエステルもTgは低い。このため、溶融成形によって得られた成形体は、成形直後は透明であってもTg以上の雰囲気下に放置しておくと、結晶が徐々に成長し白化のため透明性が悪化することがある。この現象は、溶融状態から急冷することによって、過冷却状態(アモルファス状態)にあったものが、Tg以上の温度雰囲気下で結晶化が進行したことを意味する。
【0048】
ところが、本発明に係る透明柔軟ポリエステルは、これを溶融状態から急冷して得られる成形体が、この冷却過程で既に微結晶化しているため、Tg以上の温度雰囲気下で放置しても、もはや結晶が成長することはなく、白化しない。
【0049】
この透明柔軟ポリエステルには、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を本発明の目的とする特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0050】
(透明柔軟ポリエステルフイルム状物)
本発明に係る透明柔軟ポリエステルは、透明性、柔軟性および加熱処理による白化がないことなどの特徴から加熱殺菌される液状食品用バッグや輸液バッグなどの材料として用いられる。
【0051】
また、本発明に係るフイルム状物は、例えば下記のようにして製膜するが、もちろん、これに限定されるものではない。前記のようにして得られた柔軟ポリエステルを乾燥後、押出機より溶融押出して、T型口金あるいは円型口金等を用いてシート状または円筒状に口金より吐出させ、冷却ロールまたは、水等の冷媒中に導いて固化させる。
【0052】
通常押出温度は融点+10〜融点+80℃の温度範囲であり、また、冷却温度は5〜90℃の範囲、好ましくは10〜50℃の範囲であると好ましい。
【0053】
本発明の透明柔軟ポリエステル製袋状物を構成するフイルム状物の厚みは目的に応じて設定されるべきものであるが、通常1〜3000μmの範囲である。
【0054】
本発明に係るフイルム状物には、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、火炎処理、コーティングなどの表面処理を施してもよい。また、エンボス化工などの表面凹凸処理を施してもよい。
【0055】
(透明柔軟ポリエステル製袋状物)
前記のようにして得られた柔軟性フィルム状物を所定形状に切断し、2枚重ね合わせて所定部をヒートシールなどで接合し、所定の袋形状として食品用バッグや輸液バッグなどを形成する。
【0056】
本発明の袋状物は、前述のように、溶融後急冷することのみでも微細結晶化が可能であるため、ヒートシール部も透明にすることができ、この透明部同士が接触した場合のブロッキングを防止することができる。また、冷却条件を変えることにより、ヒートシール部を白化させ、目立たせることもできる。
【0057】
食品用バッグの場合は、食品に直接接触する用途の場合には、厚生省告示第370号「器具及び容器包装の規格基準」の一般規格の、材質試験及び溶出試験に合格することが必要である。
【0058】
輸液バッグの場合は、γ線滅菌処理を施す。実際の使用に際しては、さらに沸騰水浸漬処理を施す。
【0059】
また、輸液バッグの特徴として、輸液バッグを構成する柔軟性フィルムからの抽出物や、析出物が、輸液バッグ内に充填した輸液に混入しないことが必要である。
【0060】
同様の観点から、日本薬局法第10改正一般試験法42「輸液用プラスチック容器試験法」に規定されているように、輸液バッグ内に水を入れ、該水を所定温度に加熱し所定時間溶出させた際、不純物が規定量以下になることが必要であり、また、その際の泡立ちも規定時間内に消失することが必要である。
【0061】
本発明の柔軟ポリエステル製袋状物を構成するフイルムは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどの他の熱可塑性樹脂からなる層を少なくとも一層その片面に積層して用いてもよい。積層方法としては、ヒートシール法、接着法、共押出法などが挙げられる。
【0062】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法や評価法を以下に説明する。
【0063】
(1)測定試料の作成
得られたレジンを70℃で一昼夜減圧乾燥した後、以下の操作によって厚みが約100μmの未延伸シートを作成した。
平担な金属板の上に厚さ126μmのカプトンフィルム(東レ・デュポン社製)、所望の型にくり抜いた金属製スペーサーの順に置き、さらに、その型が満たされるだけの樹脂ペレットを型に入れ、その上に再び同じカプトンフィルム、金属板の順に重ねた。これらを油圧プレス(神藤金属工業所社製、シンドー式F型)のプレス面に移し、融点よりも20〜30℃高い温度で4分間溶融後、同温度で9.8MPa(100kgf/cm2)で1分間プレスした。プレス後5秒以内にシートを氷水中に移し急冷した。急冷後、シート表面に付着した水を直ちに拭き取り、25℃のドライオーブン中にて24時間保管した。
【0064】
(2)弾性率、降伏強度、破断強度、及び破断伸度
ドライオーブン中で保管した測定用試料を室温下で30分間以上放置した後、ASTM−D638に準じて、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTC−1150A)を用い、測定温度23℃、試料長(チャック間距離)60mm、試料幅10mm、引張速度50mm/分、フルスケール2〜40kg、の条件下でシートの弾性率(MPa)、降伏強度(MPa)、破断強度(MPa)、及び破断伸度(%)を測定した。
【0065】
(3)結晶化指数Xc
試料を20mm×18mmの大きさに切り出し、広角X線回折用測定試料とした。X線回折の測定は、「X線解析の手引き 改訂第3版、84頁、1985.6.30発行、理学電機株式会社」に記載の方法に順じて下記に示す測定条件で、2θ−X線強度のプロファイルを反射法により求めた。
【0066】
Figure 0004123423
【0067】
(結晶化指数Xcの定義)
結晶化指数Xcの定義を、図1を用いて説明する。
まず、X線測定で得られた2θ−X線強度のプロファイルの移動平均近似線(区間:30)を求めた。
縦軸のX線強度は、試料厚さ、粗さ等により変化するので、伸縮してもピ−ク高さの比率は変わらないとして、各移動平均近似線が2θ=13°におけるX線強度が250cpsとなるように、各値を1次変換した。次に、この移動平均近似線の2θが9°と35°における2点を結びベ−スラインCとし、2θが9°から35°までの範囲の移動平均近似線とベ−スラインで囲まれた面積Sを求めた。
【0068】
この際、ハ−ドセグメントのグリコ−ル成分がEG100モル%の時の散乱プロファイル(具体例として、下記試料A)を非晶構造由来とし、ソフトセグメントの組成比を一定にしたまま、ハ−ドセグメントのグリコ−ル組成を変化させた時の散乱プロファイル(具体例として、下記試料B)との差が結晶構造由来によるものとして、結晶化指数Xcを下記の如く定義した。
結晶化指数Xc(%)=((SBC−SAC)/SAC)×100
上式で、SACは非晶構造に起因する散乱プロファイルの面積を示し、SBCは結晶構造に起因する散乱プロファイルの面積を示す。
【0069】
(試料A、Bの作成)
実施例1で得た共重合ポリエステルを70℃で一昼夜減圧乾燥した後、以下の方法によって厚みが約100μmの未延伸シート(試料B)を作成した。
また、実施例1において、ハードセグメントのグリコール成分をEG100モル%に変更したこと以外は前記試料Bの作成方法と同様にして厚みが約100μmの未延伸シート(試料A)を作成した。
【0070】
平担な金属板の上にカプトンフィルム(東レ・デュポン社製)、所望の型にくり抜いた金属製スペーサーの順に置き、さらに、その型が満たされるだけの樹脂ペレットを型に入れ、その上に再びカプトンフィルム、金属板の順に重ねた。これらを油圧プレス(神藤金属工業所社製、シンドー式F型)のプレス面に移し、融点よりも20〜30℃高い温度で4分間溶融後、同温度で9.8MPa(100kgf/cm2)で1分間プレスした。プレス後5秒以内にシートを氷水中に移し急冷した。急冷後、シート表面に付着した水を直ちに拭き取り、25℃のドライオーブン中にて24時間保管した。
【0071】
(4)ヘイズ
測定用試料を保管容器から取り出し室温下に放置した後、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、Model NDH2000)にて測定した。測定値は下記式により、シート厚み100μmのヘイズ値に換算した。
ヘイズ(%)= Hz(%)×100(μm)/A(μm)
ここで、Hz(%)は測定試料の実測ヘイズ値であり、Aは測定試料の実測厚み(μm)を示す。
【0072】
(5)還元粘度
還元粘度(ηsp/C)は試料0.1gを25mlのフェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶液に溶解し、オストワルド粘度計を用い30℃で測定した。
【0073】
(6)ポリエステルの融点
示差走査型熱量計(島津製作所(株)社製、DSC−50)、試料10mgをアルミ製のパンに充填し、窒素雰囲気下20℃/分の昇温速度で290℃まで昇温し、同温度で3分間保持した後、アルミパンを液体窒素中に投じ急冷した。急冷したアルミパンを再度示差走査型熱量計にセットし、20℃/分の昇温速度で昇温した時に出現する吸熱ピークのピーク温度を融点とした。
【0074】
(7)沸騰水処理
フイルム状物を沸騰水に30分間浸漬処理し、ヘイズを測定した。
【0075】
(8)ヒートシール
ヒートシーラを用いてヒートシールを行い、ヘーズを測定した。
【0076】
(9)融着性
フイルム状物を後記の(10)の方法で製膜し、製膜後重ね合わせて室温で放置し、一日放置後の剥離状態を次のように定性的に評価した。
○ : 融着せず、簡単に分離できる。
△ : 融着しているが、手で分離できる。
× : 融着して一体となり、分離不可能。
【0077】
(10)フイルム状物の製膜
得られた柔軟ポリエステルを70℃で一昼夜減圧乾燥した後、ニ軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用して、樹脂温度220℃(または融点+20℃)、スクリュー回転数150rpmで溶融し、T−ダイスより表面温度30℃のチルロール上に押出し、厚みが250μmの未延伸シートを得た。
【0078】
(実施例1)
ジメチルテレフタレート(DMT)84000重量部、EG 26000重量部、TMG38000重量部、DDO(ユニケマ社製、PRIPOL2033)10000重量部を用いて、エステル交換および重縮合を行い、還元粘度0.82dl/g、融点189℃、のポリエステルを得た。ポリエステルの組成は、EG成分が18.5モル%、TMG成分が65.5モル%、DDO成分が16モル%であった。
これを(1)の方法で測定用試料を作成し、特性を評価した。ヘイズは100μm換算で1.0%、結晶化指数は25%、弾性率は1070MPaであった。
さらに、(10)の方法で製膜して厚み250μmの透明なフイルム状物を得た。フイルム状物のヘイズは100μm換算で1.0%、結晶化指数は27%、弾性率は1070MPaであった。(9)の方法により融着試験を行ったが、「○」で問題なかった。
また、厚生省告示第370号「器具及び容器包装の規格基準」の一般規格の、材質試験及び溶出試験の方法に準拠して試験したところ規格内で問題なかった。
これをカットし、三方をヒートシールして約100mlの容量のバッグを作成し、つゆ類を充填したあと残りの一方もヒートシールした後、沸騰水中で30分間加熱処理を行った。
ヒートシール部のヘイズは1.4%、バッグ中央部のヘイズは1.5%で問題なかった。
【0079】
(実施例2)
ジメチルテレフタレート(DMT)68300重量部、EG 22700重量部、TMG30000重量部、DDO(ユニケマ社製、PRIPOL2033)30000重量部を用いて、エステル交換および重縮合を行い、還元粘度0.75dl/g、融点171℃、のポリエステルを得た。ポリエステルの組成は、EG成分が18.5モル%、TMG成分が65.5モル%、DDO成分が16モル%であった。
これを(1)の方法で測定用試料を作成し、特性を評価した。ヘイズは100μm換算で0.8%、結晶化指数は30%、弾性率は190MPaであった。
さらに、(10)の方法で製膜して厚み250μmの透明なフイルム状物を得た。フイルム状物のヘイズは100μm換算で0.8%、結晶化指数は31%、弾性率は190MPaであった。(9)の方法により融着試験を行ったが、「○」で問題なかった。
また、厚生省告示第370号「器具及び容器包装の規格基準」の一般規格の、材質試験及び溶出試験の方法に準拠して試験したところ規格内で問題なかった。
これをカットし、三方をヒートシールして約100mlの容量のバッグを作成し、つゆ類を充填したあと残りの一方もヒートシールした後、沸騰水中で30分間加熱処理を行った。
ヒートシール部のヘイズは1.2%、バッグ中央部のヘイズは1.2%で問題なかった。
【0080】
(実施例3)
ジメチルテレフタレート(DMT)44000重量部、EG 4900重量部、TMG24000重量部、DDO(ユニケマ社製、PRIPOL2033)60000重量部を用いて、エステル交換および重縮合を行い、還元粘度0.75dl/g、融点123℃、のポリエステルを得た。ポリエステルの組成は、EG成分が1モル%、TMG成分が49モル%、DDO成分が50モル%であった。
これを(1)の方法で測定用試料を作成し、特性を評価した。ヘイズは100μm換算で1.5%、結晶化指数は19%、弾性率は20MPaであった。
さらに、(10)の方法で製膜して厚み250μmの透明なフイルム状物を得た。フイルム状物のヘイズは100μm換算で1.6%、結晶化指数は20%、弾性率は20MPaであった。(9)の方法により融着試験を行ったが、「○」で問題なかった。
また、厚生省告示第370号「器具及び容器包装の規格基準」の一般規格の、材質試験及び溶出試験の方法に準拠して試験したところ規格内で問題なかった。
これをカットし、三方をヒートシールして約100mlの容量のバッグを作成し、つゆ類を充填したあと残りの一方もヒートシールした後、沸騰水中で30分間加熱処理を行った。
ヒートシール部のヘイズは2.1%、バッグ中央部のヘイズは1.9%で問題なかった。
【0081】
(比較例1)
ジメチルテレフタレート(DMT)65700重量部、EG 38900重量部、TMG 14100重量部、ダイマー酸(ユニケマ社製)14100重量部を用いて、エステル交換および重縮合を行い、還元粘度0.75dl/g、融点170℃のポリエステルを得た。ポリエステルの酸成分の組成は、DMT成分が84モル%、ダイマー酸成分が16モル%、グリコール成分の組成は、EG成分が72モル%、TMG成分が28モル%であった。
これを(1)の方法で評価用サンプルを作成し、特性を評価した。ヘイズは100μm換算で3.5%、結晶化指数は4%、弾性率は60MPaであった。
さらに、(10)の方法で製膜して厚み250μmの透明なフイルム状物を得た。フイルム状物のヘイズは100μm換算で4.0%であった。(9)の方法により融着試験を行ったが、「×」であった。
実施例1と同様にして得たバッグにつゆ類を充填したあと残りの一方もヒートシールした後、沸騰水中で30分間加熱処理を行った。
ヒートシール部のヘイズは12%、バッグ中央部のヘイズは10%と非常に高く商品価値がないものであった。
【0082】
(比較例2)
平均重合度1300のポリ塩化ビニル100重量部に、ジオクチルフタレート50重量部および安定剤としてカルシウムステアレート0.1重量部、エポキシ化大豆油10重量部を添加し、表面温度が160℃のロールで混練し、厚み250μmのフイルム状物を得た。
実施例1と同様にしてヒートシールして約100mlの容量のバッグを作成し、つゆ類を充填したあと残りの一方もヒートシールした後、沸騰水中で30分間加熱処理を行った。
ヒートシール部のヘイズは30%、バッグ中央部のヘイズは35%と非常に高く商品価値がないものであった。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、本発明の透明柔軟ポリエステル製袋状物は、柔軟性、透明性ともに優れた柔軟ポリエステルフィルム状物からえることができ、従来の軟質塩化ビニルからなる袋状物のように、ポリマが可塑剤を含有しないためそのブリードアウトの問題がなく、沸騰水浸漬後およびヒートシール後に、十分に低いヘイズに抑えることができ、極めて高い透明性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化指数Xcを定義するための説明図である。
【符号の説明】
A ハードセグメントのグリコール成分がEG100モル%の時の2θ−X線強度プロファイルの移動平均近似線
B ソフトセグメントの組成比を一定にしたまま、ハードセグメントのグリコール組成を変化させた時の2θ−X線強度プロファイルの移動平均近似線C 移動平均近似線(AまたはB)の2θが9°と35°における2点を結んだベースライン
AC 非晶構造に起因する散乱プロファイルの面積
BC 結晶構造に起因する散乱プロファイルの面積

Claims (2)

  1. 共重合ポリエステルを主たる構成成分とするポリエステルからなる透明柔軟ポリエステル製袋状物であって、前記ポリエステルが、これを溶融成形して得られる未延伸シ−トの弾性率が1500MPa以下、広角X線で測定した結晶化指数Xcが5%以上、かつ前記シ−トのヘイズ(100μm換算)が15%以下であるポリエステルであり、さらに、
    前記ポリエステルが、ハ−ドセグメントとソフトセグメントからなるポリエステルであって、そのハ−ドセグメントを構成するジカルボン酸成分の少なくとも70モル%以上が、テレフタル酸(TPA)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)、4,4′−ビフェニルジカルボン酸(BPA)の少なくとも1種以上であり、
    そのハ−ドセグメントを構成するグリコ−ル成分が、1,4−テトラメチレングリコ−ル(TMG)及びエチレングリコ−ル(EG)を含み、かつハ−ドセグメントを構成する全グリコ−ル成分に対する組成比が、TMGが20〜98モル%で、かつEGが2〜80モル%であり、
    そのソフトセグメントを構成するソフト成分が、ダイマ−ジオ−ル(DDO)であり、かつポリエステルの全グリコ−ル成分に対するDDOの組成比が1〜60モル%であるポリエステルであることを特徴とする透明柔軟ポリエステル製袋状物。
  2. 前記ポリエステルが、周期律表第I−a属または第II−a属の金属元素を有する金属塩化合物を、ポリエステルに対して金属元素として0.5〜5.0重量%含有してなるポリエステルであることを特徴とする請求項に記載の透明柔軟ポリエステル製袋状物。
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