JP4669890B2 - 熱成形体の製造方法 - Google Patents

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この発明は、熱成形用生分解性樹脂組成物、この組成物を用いた熱成形用シート及びそのシートを用いた熱成形体、及びその製造方法に関する。
各種商品の展示包装用に広く用いられているブリスター加工品や箱形折り曲げ加工品、シェル状包装ケース等は、所定の樹脂製シートを真空成形、圧空成形、熱折り曲げ成形等の熱成形方法で成形して作られるのが一般的である。また、コンビニエンスストア等で使用されている惣菜や、野菜、サンドイッチ、弁当等の食品容器も、同様の熱成形方法で成形して作られるのが一般的である。
そして、これらのブリスター加工品、箱形加工品、シェル状包装ケース、上記食品容器等は、包装体を通して中の商品を透視できるように、透明なものが好まれる。このような点から、実際に用いられるブリスター加工品等用の素材シートとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等のシートが多用されている。
しかし、これらの材料は化学的、生物的に安定なため自然環境下に放置されてもほとんど分解されることなく残留、蓄積される。このため、これらは自然環境中に散乱して動植物の生活環境を汚染するだけでなく、ゴミとして埋め立てられた場合にもほとんど分解せずに残り、埋め立て地の寿命を短くするという問題がある。
これに対し、環境保護の観点から、近年においては、生分解性の材料の研究、開発が活発に行われている。そして、その注目されている生分解性の材料の1つとして、ポリ乳酸系樹脂がある。このポリ乳酸系樹脂は、生分解性であるので、土中や水中で自然に加水分解が進行し、微生物により無害な分解物となる。また、燃焼熱量が小さいので焼却処分を行ったとしても炉をいためない。さらに、出発原料が植物由来であるため、枯渇する石油資源から脱却できる等の特長も有している。
ところが、上記ポリ乳酸系樹脂は耐熱性が低く、ポリ乳酸系樹脂製シート及びその成形体を貯蔵や輸送する場合、貯蔵庫や輸送中のトラック、また船の内部は夏期等になると高温に達することも少なくないため、変形や融着等の問題が発生することがあった。
更に、ポリ乳酸系重合体は脆さを有しており、シート状等の形態ではそのままでは使用し難い。
これらに対し、ポリ乳酸系シートを2軸に延伸し、所定の配向を施すことにより、透明性、耐衝撃性、耐熱性に優れたブリスター用シート及び成形品を得ることができる旨が知られている(特許文献1)。
ところで、上記の特許文献1において、使用されるポリ乳酸のDL比は、100/0〜0/100の全ての組成が使用できる旨の記載があるが(特許文献1段落[0020])、上記の所定の配向を施すためには、ポリ乳酸が結晶化している必要がある。実際のところ、D体又はL体の一方がほとんどを占める組成でないと、結晶性を示さないことは当業者では知られたことであり、この特許文献1の実施例において、D/L比が4〜5/96〜95のポリ乳酸を用いていることからも、上記の特許文献1は結晶化したポリ乳酸を使用していると考えられる。
また、所定の面配向度(ΔP)、及び結晶融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)の関係を有するポリ乳酸を用いることにより、耐衝撃性や耐湿熱性の優れた成形体を得ることができる旨が知られている(特許文献2)。このポリ乳酸は、ΔHmやΔHcを有することから、結晶性を有する。
特開平8−73628号公報(請求項1、段落[0077]等参照) 特開平9−25345号公報(請求項1、段落[0048]等参照)
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2に開示されているポリ乳酸を用いて熱成形体を製造する場合、十分な耐衝撃性や耐熱性を発揮させるためには、成形体の厚みを厚くする必要が生じる場合がある。そして、十分な厚みを有する上記ポリ乳酸からなるシートを用いて熱成形を行う場合、耐衝撃性や耐熱性は保持されるものの、熱成形における加圧圧力がより大きくなり、成形加工性に問題が生じやすい。
そこでこの発明は、耐衝撃性及び耐熱性を保持すると共に、熱成形時の成形加工性が良好な熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物、及び熱成形用ポリ乳酸系重合体シート、並びにこの熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを用いた熱成形体を提供することを目的とする。
この発明は、実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体と結晶性のポリ乳酸系重合体の混合物であって、非晶性ポリ乳酸系重合体の割合が、結晶性ポリ乳酸の重合体量の50%より多い熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を用いることにより、上記課題を解決したのである。
また、この熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物として、L−乳酸とD−乳酸の含有率(L体(%):D体(%))が92:8〜8:92の実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体、及び、L−乳酸とD−乳酸の含有率(L体(%):D体(%))が94:6以上、又は6:94以下の上記結晶性のポリ乳酸系重合体を用い、この実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体100重量部に対し、この結晶性のポリ乳酸系重合体を10〜200重量部を含有させた組成物を用いた熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを用いることにより、上記課題を解決したのである。
実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体と結晶性のポリ乳酸系重合体の混合物を用いるので、結晶性のポリ乳酸系重合体が有する耐衝撃性及び耐熱性を発揮することができると共に、非晶性のポリ乳酸系重合体により、柔軟性が付与され、熱成形時の成形加工性が良好となる。
また、熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを用いて、熱成形体を得る際、成形温度を下記(1)の条件を満たすようにすることにより、賦型性と耐熱性、耐衝撃性が十分に付与された熱成形体を得ることができる。この熱成形体は、ブリスター容器、食品包装容器、シェル状包装ケースに好適に使用できる。
(1)熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを昇温したとき、ガラス転移温度から上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの成形温度までの温度範囲における融解熱量をΔHmfとしたとき、0.005<ΔHmf/ΔHm<0.5を満たす成形温度。
この発明にかかる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物は、実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体と結晶性のポリ乳酸系重合体の混合物を用いるので、結晶性のポリ乳酸系重合体が有する耐衝撃性及び耐熱性を発揮することができると共に、非晶性のポリ乳酸系重合体により、柔軟性が付与され、熱成形時の成形加工性が良好となる。
また、この発明にかかるポリ乳酸系重合体組成物から得られる成形用シート及びその熱成形体は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れている。
さらに、この発明にかかる熱成形体は、ブリスター容器、食品容器、シェル状包装ケース等広範囲に使用可能である。
以下において、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物は、実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体(以下、「A樹脂」と略する。)と結晶性のポリ乳酸系重合体(以下、「B樹脂」と略する。)の混合物であって、A樹脂の割合が、B樹脂の重合体量の50%より多い組成物である。
上記A樹脂及びB樹脂を構成するポリ乳酸系重合体としては、構造単位がL−乳酸又はD−乳酸であるホモポリマー、すなわち、ポリ(L−乳酸)又はポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸の両方である共重合体、すなわち、ポリ(DL−乳酸)や、これらの混合体があげられる。
上記ポリ乳酸系重合体の重合法としては、縮重合法、開環重合法等公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮重合法ではL−乳酸又はD−乳酸、あるいはこれらの混合物を、直接脱水縮重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、適宜選択された触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。
さらに、耐熱性向上等の必要に応じて、少量の共重合成分を添加することもでき、テレフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール等を用いることもできる。
さらにまた、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
上記ポリ乳酸系重合体は、さらにα−ヒドロキシカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、脂肪族ジオール/脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
上記の他のヒドロキシ−カルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類があげられる。
上記のポリ乳酸系重合体に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等があげられる。
この発明に使用されるポリ乳酸系重合体の重量平均分子量の好ましい範囲としては、6万〜70万であり、より好ましくは、6万〜40万、とくに好ましくは6万〜30万である。重量平均分子量が6万より小さいと機械物性や耐熱性等の実用物性がほとんど発現せず、一方、70万より大きいと溶融粘度が高すぎ成形加工性に劣る場合がある。
上記A樹脂、すなわち、実質的に非晶性のポリ乳酸系重合体のL−乳酸とD−乳酸との含有率は、L体(%):D体(%)で92:8〜8:92がよく、91:9〜9:91が好ましい。上記範囲を外れると、ポリ乳酸系重合体に結晶性が生じ、得られる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物からなる熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの熱成形において、十分な賦型性を付与できない場合がある。
また、上記B樹脂、すなわち、結晶性のポリ乳酸系重合体のL−乳酸とD−乳酸との含有率は、L体(%):D体(%)で、94:6以上又は6:94以下がよく、94.5:5.5以上又は5.5:94.5以下が好ましい。上記範囲を外れると、ポリ乳酸系重合体が非晶性になりやすく、得られる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物に十分な耐衝撃性と耐熱性を付与できなくなる傾向が生じる。
上記A樹脂とB樹脂との混合比は、A樹脂100重量部に対し、B樹脂10〜200重量部がよく、20〜100重量部が好ましい。10重量部より少ないと、得られる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物に十分な耐衝撃性と耐熱性を付与できなくなる傾向が生じる。一方、200重量部より多いと、得られる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物からなる熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの熱成形において、十分な賦型性を付与できない場合が生じる。
上記熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物には、A樹脂及びB樹脂に加えて、ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族系ポリエステルを加えることができる。上記A樹脂とB樹脂との合計量100重量部に対し、上記ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族系ポリエステルの添加量は、0.1〜10重量部がよく、0.5〜7重量部が好ましい。この範囲を満たすことにより、透明性、成形性を大きく損なうことなく耐衝撃性を更に付与することができる。上記ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルが0.1重量部未満では、耐衝撃性改良効果は不十分となる傾向にあり、一方、10重量部を越えると、透明性が必要な用途では、不十分な透明性しか得られない傾向となる。
上記ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、融点(Tm)が60℃以上のポリ乳酸以外を主成分とする脂肪族ポリエステルが好ましい。
Tgが0℃を越えると、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物から得られるシートの耐衝撃性の改良効果が不十分であり、また脂肪族ポリエステルの球晶結晶化により透明性が悪化する。Tmが60℃未満では耐熱性に劣る。
このポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルとしては、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル等が上げられる。
上記の脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールであるエチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等、脂肪族ジカルボン酸であるコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等の中から、それぞれ1種以上選んで縮重合して得られる。さらに、必要に応じてイソシアネート化合物等でジャンプアップして所望のポリマーを得ることができる。
上記の環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルとしては、環状モノマーであるε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等が代表的にあげられ、これらから1種以上選ばれて重合される。
上記の合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等との共重合体等があげられる。
上記の菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルとしては、アルカリゲネスユートロファスを始めとする菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)により生合成される脂肪族ポリエステルが知られている。この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実用性向上の為に、吉草酸ユニット(HV)を共重合し、ポリ(3HB−co−3HV)の共重合体にすることが工業的に有利である。HV共重合比は一般的に0〜40%である。更に長鎖のヒドロキシアルカノエートを共重合しても良い。
上記のポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリエステルカーボネート、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートの共重合体及びポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシヘキサノエートの共重合体からなる群から選択された少なくとも1種等をあげることができる。
この発明にかかる熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を製造する方法としては、ブレンド法や押出・ペレット化法等を採用することができる。
上記ブレンド法は、熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を構成する上記のA樹脂及びB樹脂と、必要に応じて耐衝撃改良剤としての上記ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルや無機粒子等を十分乾燥し、ブレンダーにてペレット状にてブレンドし組成物とする方法である。
上記押出・ペレット化法は、まず、熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を構成する上記のA樹脂及びB樹脂と、必要に応じて耐衝撃改良剤としての上記ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルや、無機粒子等を十分乾燥し、押出装置に供給する。熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物は、L−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって融点が変化することや、上記ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルの融点と混合の割合を考慮して、適宜溶融押出温度を選択する。実際には、100〜250℃が好ましい。次いで、ストランド状に押し出して、冷却しストランドカッターにて、ペレット状に切断し、所望の組成の熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物が得られる。
上記の2種類の方法のうち、分解による分子量の低下を考慮しなければならないが、均一に混合させるには、後者を選択する方がよい。
上記熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物には、諸物性を調整する目的で、熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、可塑剤、無機充填材、着色剤、顔料等を添加することもできる。
上記ポリ乳酸系重合体組成物を使用して、熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを製造する方法としては、押出し成形、キャスト成形等の一般的な方法を採用することができるが、生産効率の面から押出法が好ましい。また、必要に応じて、上記ポリ乳酸系重合体組成物を積層体の片層又は中間層として用い、印刷性や、ヒートシール性を持たせる目的で、他の生分解性樹脂組成物からなる層を積層してもよい。
上記他の生分解性樹脂組成物からなる層の厚みは、得られる積層体の成形性を損なわない程度の厚みがよく、具体的には、全層に対して30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。30%より厚いと、熱成形時の成形性が十分でなくなる場合がある。
次に、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を用いて、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを製造する方法について、押出し成形法を用いた例で説明する。
まず、上記の熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を充分に乾燥し、水分を除去した後、押出機で溶融し、ダイから押し出す。上記の熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物は、L−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって融点が変化することや、脂肪族ポリエステルの融点と混合の割合を考慮して、適宜、溶融押出温度を選択する。具体的には、100〜250℃の温度範囲が好ましい。
また、成形性を損なわない範囲で、表面に印刷性やヒートシール性を付与する目的等で上記した他の生分解性樹脂組成物からなる層と積層する場合は、2又は3台以上のマルチマニホールド又はフィードブロックを用いて積層化し、スリット状のダイから2層以上の溶融シートとして押し出してもよい。その際、それぞれの層の厚みはメルトラインに設置したギアポンプ等の定量フィーダーによるポリマーの流量調節により設定することができる。
次いで、このダイから押し出された単層又は積層の溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下で急冷固化し、実質的に非晶質で未配向の熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを得る。この際、この熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの平滑性や厚さ等を向上させる目的で、この熱成形用ポリ乳酸系重合体シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める事が好ましい。その例として、静電印加密着法及び、又は液体塗布密着法があげられる。
このようにして得られた熱成形用ポリ乳酸系重合体シートは、そのままでは十分な耐衝撃性や耐熱性を付与できない。後述する成形法で熱成形体とする際に、この熱成形用ポリ乳酸系重合体シート中のB樹脂分を結晶化させることにより、耐衝撃性や耐熱性を発揮させることができるが、この熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの状態で耐衝撃性や耐熱性を付与させると、上記熱成形体に成形したときにも、十分な耐衝撃性や耐熱性を発揮させることができる。この具体的な方法としては、加熱及び徐冷することにより、熱成形用ポリ乳酸系重合体シート中のB樹脂分を結晶化させる方法や、一軸延伸又は二軸延伸することにより、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シート中のB樹脂分を結晶化させ、かつ、配向させる方法があげられる。
上記二軸延伸を行った上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの配向の指標として、面配向度(ΔP)を用いることができる。このΔPは、3.0×10−3〜30×10−3が好ましく、3.0×10−3〜15×10−3がより好ましい。3.0×10−3より小さいと、耐熱性と耐衝撃性が損なわれる傾向がある。一方、30×10−3より大きいと、延伸の連続性を持続できなかったり、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの配向が大きすぎて熱成形性が損なわれたりする傾向がある。
上記のΔPの範囲を満たすためには、延伸条件として、少なくとも1軸方向に延伸温度50〜100℃、延伸倍率1.5〜5倍、延伸速度100〜10,000%/分とするのが好ましい。
この延伸された熱成形用ポリ乳酸系重合体シートは、次に、固定しながら熱処理を行う。これにより、熱固定された延伸配向シートが得られる。熱固定することで、熱成形時のシートだれを防止し、更に成形品の耐熱性を付与することができる。
熱固定の程度は、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを昇温したときの結晶化融解熱量をΔHm、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量をΔHcとしたとき、ΔHmとΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が、好ましくは5〜20J/g、より好ましくは7〜20J/gとなるように、さらに、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.90以上となるように、熱固定温度と処理時間を選択するのがよい。
(ΔHm−ΔHc)が5J/g未満だと、熱成形用ポリ乳酸系重合体シートに十分な耐熱性を付与することが困難となる傾向にあり、一方、20J/gを越えると、熱成形性が不十分となる傾向にある。
さらに、熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.85未満だと、シートに十分な耐熱性を付与できない場合がある。なお、この値の上限は、理論上、1.0である。
また、上記熱固定温度は、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下が好ましく、Tg+20℃以上、Tm−10℃以下が好ましく、更にTg+40℃以上、Tm−20℃以下が好ましい。
上記熱固定温度がTgより低いと、十分に結晶化することなく、耐熱性が劣る傾向がある。一方、Tmより高いと、熱固定中に破断等を生じる傾向がある。
上記の方法で得られる二軸延伸をした熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの縦方向及び横方向の90℃30分での収縮率は、10%以下が好ましく、5%以下がさらに好ましい。収縮率が10%を越えると、後述する熱成形時に熱収縮しやすく、問題を生じやすい。
上記の方法で得られる熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの厚さは、通常の熱成形技術に使用できる程度の厚さで有れば、特に制限されず、具体的には総厚さが0.03〜2.0mmの範囲であることが好ましい。この範囲を外れると、後述する熱成形が困難となる場合がある。
上記の方法で得られる熱成形用ポリ乳酸系重合体シートは、熱成形性が適当で、汎用の成形機で熱成形することが可能となる。加熱方法としては、赤外線ヒーター、熱板ヒーター、熱風等により成形温度になるまで予熱し、熱成形することで、ブリスター成形物、容器状成形物等を成形する事ができる。
この熱成形の方法としては、真空成形法、プラグアシスト成形法、圧空成形法、雄雌型成形法、成形雄型に沿ってシートを変形した後に、成形雄型を拡張する方法等がある。なお、成形物の形状、大きさ等は用途等に応じて適宜選択することができる。
上記熱成形における熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの成形温度は、下記(1)に示す条件を満たすことが好ましい。
(1)上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを昇温したとき、ガラス転移温度から上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの成形温度までの温度範囲における融解熱量をΔHmfとしたとき、0.005<ΔHmf/ΔHm<0.5を満たす成形温度。
上記のΔHmfは、具体的には、図1に示すように、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを昇温したときの示差走査熱量測定法(DSC)を用いて得られるチャートにおいて、ΔHmを示すピークのうち、ガラス転移温度から成形温度までの温度範囲におけるピークの部分(図1の斜線部分)の融解熱量をいう。
このΔHmf/ΔHmは、上記したように0.005〜0.5が好ましく、0.01〜0.3がより好ましい。この範囲を満たすことにより、賦型性もよく、得られる成形品の耐熱性、耐衝撃性も良好である。ΔHmf/ΔHmが0.005未満だと、成形歪みが大きくなり、成形体の耐熱性が不十分となる傾向がある。一方、ΔHmf/ΔHmが0.5を超えると、シート内の配向結晶部分の過半が融解を始めるため、成形性は良くなるものの、シートの配向が崩れ、耐衝撃性の低下を招く傾向がある。
上記ΔHmは、B樹脂由来の配向結晶融解熱量であるため、上記ΔHmfが上記条件となるように熱成形する状況では、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シート内のA樹脂は、結晶を適度に保持しているB樹脂のマトリックスの内部に、ほぼ溶融状態で存在していると考えられる。
このため、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの平均D体含有割合と同じ割合を有する単一の結晶性ポリ乳酸系重合体を用いると、融点自体が降下してしまうため、熱成形性が十分でなくなる。
次に、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの熱成形法を、圧空成形法を例にとって説明する。
まず、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの両端を爪付きチェーン等でチャックし、遠赤外線ヒーター炉に導き、シート昇温後、チャックした状態で、上下金型間に導く。次いで、金型を閉じ、加圧成形を行う。その後、得られた成形体を金型外に導いた後、チャックを解放する。これにより、熱成形体が得られる。上記チャックを用いて上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートに緊張を与えながら熱成形を行うことにより、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの幅方向の収縮のみならず、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの流れ方向の収縮も実質的に、影響のない程度に防止することができる。
上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートは、ポリ乳酸系重合体から成る層からなるので、製造された熱成形体は、人体等に安全であり、直接食品を入れる容器としても使用できる。
上記の各工程において生じた端材は、上記熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物として再利用することができる。
この発明にかかる熱成形体は、各種商品の展示包装用に広く用いられているブリスター容器、箱形折り曲げ加工品、シェル状包装ケース等として用いることができる、また、コンビニエンスストア等で使用されている惣菜や、野菜、サンドイッチ、弁当等の食品用包装容器として用いることができる。
以下に実施例及び比較例をあげてこの発明をさらに具体的に説明する。以下に実施例を用いて具体的に説明するが、これらによりこの発明が何ら制限を受けるものではない。まず、この発明における、評価方法を示す。
[評価方法]
(1)重量平均分子量
東ソー(株)製:HLC−8120GPCゲルパーミエーションクロマトグラフ装置を用い、以下の測定条件で、標準ポリスチレンで検量線を作製し、重量平均分子量を求めた。
・使用カラム:島津製作所製Shim−Packシリーズ(GPC−801C,GPC−804C,GPC−806C,GPC−8025C,GPC−800CP)
・溶媒:クロロホルム
・サンプル溶液濃度:0.2wt/vol%
・サンプル溶液注入量:200μl
・溶媒流速:1.0ml/分
・ポンプ、カラム、検出器温度:40℃
(2)シート厚み;
(株)テクロック製:ダイヤルゲージSM−1201で十点測定を行い、その平均値で厚みとした。単位はμmである。
(3)耐熱性
シートから得られた成形体を、熱風オーブンにおいて60℃で30分放置した後、成形体の容積減容率(%)を下記式にて算出し、下記の基準で評価した。
容積減容率={1−(熱処理後の成形体容積/熱処理前の成形体容積)}×100
○:3%を越えないもの
△:6%以下3%以上
×:容積変化率が6%を越えるもの
(4)シートの耐衝撃性
東洋精機(株)製のハイドロショット衝撃試験機(型式HTM−1)を用い、温度23℃で、直径が1/2インチの撃芯を3m/secの速度でシートに衝突させ、破壊に要したエネルギーを算出し、下記の基準で評価した。
○:破壊衝撃値が、20kg・mm以上
△:10kg・mm以上20kg・mm未満
×:10kg・mm未満
(5)成形体の耐衝撃性
シートから得られた成形体に水を充填し、開口部をシールして、1mの高さからコンクリート上に落下させ、成形体の破損の有無を調べた。
(6)シートのガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)の測定
JIS−K−7121に基づき、示差走査熱量測定法(DSC)にて昇温速度が10℃/minでシートのガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を測定した。
(7)結晶化度の測定
JIS−K−7121に基づき、示差走査熱量測定法(DSC)にて昇温速度が10℃/minで、シート中のポリ乳酸系樹脂に起因する融解熱量(ΔHm)及び結晶化熱量(ΔHc)を測定し、下記式によりポリ乳酸系樹脂の結晶化度を算出した。
相対結晶化度(%)=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm×100
また、シートを120℃、4時間熱処理した後のΔHmも同様にして測定した。
(8)ΔHmfの算出
ΔHmfは、上記の示差走査熱量測定法(DSC)で得られた昇温吸発熱チャートから、ΔHm量と、所定成形温度までのΔHmfを換算し、成形温度を決定した。
(9)ヘーズの測定
JIS K 7105に基づき測定し、下記の基準で評価した。
○:10%以下
△:10を超え、20%以下
×:20%を超える
(10)成形性
φ100mm、深さ30mm、絞り比0.3の成形金型(金型温度60℃)を用いて圧空成形(空気圧:4kg/cm2)を行い、成形体の型賦形状態を観察し、3段階で評価を行った。
○:良好な形態の成形体が形成されている
△:実用可能なレベル程度
×:不良形状となる
なお、加熱は、インフラシュタインヒーターを使用した。シートの成形直前温度は、遠赤外線温度計にて測定した。
(11)総合評価
成形体として、図2(a)(b)に示す食品容器、図2(c)(d)に示すブリスター容器、図2(e)(f)に示すシェル状包装ケースをそれぞれ製造し、それぞれ下記の基準で評価した。
○:実用上良好に使用できるもの
△:実用可能なレベル程度
×:実用に適さないもの
[ポリ乳酸系重合体の製造]
(製造例1)
ピューラックジャパン社製のL−ラクチド(商品名:PURASORB L)100kgに、オクチル酸スズを15ppm添加したものを、攪拌機と加熱装置を備えた500リットル−バッチ式重合槽に入れた。窒素置換を行い、185℃、攪拌速度100rpmで、60分間重合を行った。得られた溶融物を、真空ベントを3段備えた三菱重工社製の40mmφ同方向2軸押出機に供給し、ベント圧4torrで脱気しながら、200℃でストランド状に押出してペレット化した。
得られたポリ乳酸系重合体(以下、「B1」と称する。)の重量平均分子量は20万であり、L体含有量は99.5%であった。またDSCによる融点は171℃であった。
(製造例2、3)
ピューラックジャパン製L−ラクチド(商品名:PURASORB L)94Kgと同社製DL−ラクチド(商品名:PURASORBDL)6Kgに、オクチル酸スズ15ppm添加し、攪拌機と加熱装置を備えた500Lバッチ式重合槽に入れた。窒素置換を行い、185℃、攪拌速度100rpmで、60分重合を行った。得られた溶融物を、真空ベントを3段備えた三菱重工製40mmφ同方向2軸押出機に供し、ベント圧4torrで脱気しながら、200℃でストランド状に押し出し、ペレット化した。
得られたポリ乳酸系重合体(以下、「B2」と称する。)の重量平均分子量は20万、L体含有量は97.0%であった。また、DSCによる融点は168℃であった。
以下同様に、仕込みL−ラクチドと、DL−ラクチドの量を調整して、重量平均分子量20万、L体含有量94.8%のポリ乳酸系重合体(以下、「B3」と称する。)を調整した。DSCによる融点は165℃であった。
(製造例4,5)
ピューラックジャパン製L−ラクチド(商品名:PURASORB L)80Kgと同社製DL−ラクチド(商品名:PURASORB DL)20Kgに、オクチル酸スズ15ppm添加し、攪拌機と加熱装置を備えた500Lバッチ式重合槽に入れた。窒素置換を行い、185℃、攪拌速度100rpmで、60分重合を行った。得られた溶融物を、真空ベントを3段備えた三菱重工製40mmφ同方向2軸押出機に供し、ベント圧4torrで脱気しながら、200℃でストランド状に押し出し、ペレット化した。
得られたポリ乳酸系重合体(以下、「A1」と称する。)の重量平均分子量は20万、L体含有量は89.7%であった。
以下同様に、仕込みL−ラクチドと、DL−ラクチドの量を調整して、重量平均分子量20万、L体含有量79.6%のポリ乳酸系重合体(以下、「A2」と称する。)を得た。ともに、DSCによる結晶融点は存在せず、非晶であることを確認した。
(製造例6)
ピューラックジャパン製L−ラクチド(商品名:PURASORB L)85Kgと同社製DL−ラクチド(商品名:PURASORB DL)15Kgに、オクチル酸スズ15ppm添加し、攪拌機と加熱装置を備えた500Lバッチ式重合槽に入れた。窒素置換を行い、185℃、攪拌速度100rpmで、60分重合を行った。得られた溶融物を、真空ベントを3段備えた三菱重工製40mmφ同方向2軸押出機に供し、ベント圧4torrで脱気しながら、200℃でストランド状に押し出し、ペレット化した。
得られたポリ乳酸系重合体(以下、「C」と称する。)の重量平均分子量は20万、L体含有量は92.6%であった。また、DSCによる結晶融点は、131℃であった。
以上の各製造例によって得られたポリ乳酸系重合体のデータをまとめて表1に示す。
Figure 0004669890
(実施例1〜4、参考例1、比較例1〜4)
表2に示すA樹脂とB樹脂とを十分に乾燥し、表2に示す量を混合した。さらに、乾燥した平均粒径1.4μmの粒状シリカ(商品名:サイシリア100、富士シリシア化学(株)製)をA樹脂とB樹脂の合計100重量部に対し0.1重量部を混合して、25mmΦの同方向2軸押し出し機にてストランド状に押し出した。そして、水冷の後、ペレタイザーにて2mm長にカットし、ポリ乳酸系重合体組成物のペレットを得た。得られたペレットを120℃4時間エージング後に、DSCにて、結晶融解熱量ΔHmを測定したところ、表2に示すデータとなった。
次いで、得られたペレットを十分乾燥した後、75mmΦ同方向押出機にて210℃でコートハンガー式の口金よりシート状に押し出した。この共押し出しシートを約43℃のキャスティングロールにて急冷し、未延伸シートを得た。続いて得られたシートを、三菱重工業(株)製:フィルムテンターを用い、温水循環式ロールと接触させつつ赤外線ヒーターを併用して75℃に加熱し、周速差ロール間で縦方向に2.0倍、次いでこの縦延伸シートをクリップで把持しながらテンターに導き、シート流れの垂直方向に75℃で2.8倍に延伸した後、135℃で約30秒間緊張間熱処理し、300μm厚みのシートを作成した。得られたシートの90℃30分オーブンでの収縮率は、P方向、V方向ともに5%以下で、良好な耐熱寸法安定性を示した。さらに、得られたシートをDSCにて、ΔHm、ΔHc、Tg及びTmを測定した。
そして、得られたシートを145℃に予熱した後、φ100mm、深さ30mm、絞り比0.3の成形金型(金型温度60℃)を用いて圧空成形(空気圧:4kg/cm)を行った。
上記の各工程において、上記の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0004669890
この発明にかかる熱成形用ポリ乳酸系重合体シートのDSCチャート (a)実施例で作製した食品容器の平面図、(b)(a)の側面図、(c)実施例で作製したブリスター容器の平面図、(d)(c)の側面図、(e)実施例で作製したシェル状包装ケースの平面図、(f)(e)の側面図

Claims (3)

  1. 非晶性のポリ乳酸系重合体と結晶性のポリ乳酸系重合体を混合し、可塑剤を含有しない混合物であって、
    上記非晶性のポリ乳酸系重合体は、L−乳酸とD−乳酸の含有率(L体(%):D体(%))が92:8〜8:92であり、
    上記結晶性のポリ乳酸系重合体は、L−乳酸とD−乳酸の含有率(L体(%):D体(%))が94:6以上、又は6:94以下であり、
    この非晶性のポリ乳酸系重合体100重量部に対し、この結晶性のポリ乳酸系重合体を20〜100重量部を含有させた熱成形用ポリ乳酸系重合体組成物を用いて熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを得、
    得られた熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを延伸し、
    次いで、このシートを昇温したときの結晶化融解熱量ΔHm、及びこの昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとしたとき、(ΔHm−ΔHc)が5〜20J/g、かつ、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.85以上となるように、温度及び処理時間を選択して熱固定し、
    次いで、下記(1)の条件を満たす成形温度で熱成形する熱成形体の製造方法。
    (1)上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートを昇温したとき、ガラス転移温度から上記熱成形用ポリ乳酸系重合体シートの成形温度までの温度範囲における融解熱量をΔHmfとし、シートを昇温したときの結晶化融解熱量をΔHmとしたとき、上記0.005<ΔHmf/ΔHm<0.5を満たす成形温度。
  2. 上記非晶性ポリ乳酸系重合体の割合が、結晶性ポリ乳酸の重合体量の50%より多いことを特徴とする請求項1に記載の熱成形体の製造方法。
  3. 上記成形温度は、120℃以上145℃以下である請求項1又は2に記載の熱成形体の製造方法。
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