本発明は、セラミック基板を複数の基板に分割する方法に関し、特に分割した後の品質に影響を及ぼす基板外形の欠けを抑制しながらセラミック基板をダイシングする方法に関する。
従来のセラミック基板の分割方法は、ダイシングブレードを用い、セラミック基板を一方の面から一度に切断していた。この基板分割の際のダイシングブレードは、回転数が数万ppmと高速で回転している。そのため基板分割の際にダイシングブレードにわずかなブレがあると、目的とする切断線を外してしまい、精度の良い基板分割が行えなかった。また、セラミック基板の材質は硬いため、ダイシングブレードのブレによる振動を十分に吸収できず、分割されたセラミック基板には欠けが生じやすかった。
特に大きな欠けが発生しやすいのは、セラミック基板の切削開始面と反対側の表面である。これらの課題を解決するために、図2に示すように、目的とする切断線(ダイシングライン)に対応する部分のセラミック基板に第1のダイシングブレード101を用いて溝102を形成した後、このセラミック基板を反転し、溝102に対応する部分に溝102の幅より幅の小さい第2のダイシングブレード105を用いてダイシングすることにより個々の基板に分割する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−75918号公報
しかしながら、従来の構成では、図2dの107に示すようにダイシングによる欠けの発生箇所を限定し分割後の基板品質に影響を与えなくする効果はあるが、第1のダイシング用ブレード101の幅の方が第2のダイシング用ブレード105の幅よりも大きいため、分割されたセラミック基板の断面形状は、第1のダイシング用ブレード101の幅と第2のダイシング用ブレード105の幅の差の大きさの1/2だけ分割後の断面に段差が形成され、この段差の大きさだけ基板のサイズが大きくなるという問題を生じる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、表面に大きな欠けが生じにくく、さらに分割後の断面に段差が形成されないセラミック基板の分割方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のセラミック基板の分割方法は、セラミック基板の第1の面に第1のダイシングブレードを用いて複数の溝を形成する第1の工程と、前記セラミック基板を反転して前記第1の面と反対の第2の面を上にしてダイシング用ステージに載置する第2の工程と、前記第1のダイシングブレードの幅より広い幅を持つ第2のダイシングブレードを用いて前記溝の反対位置にある前記第2の面から前記溝を通って前記第1の面を越えるまで切削して前記セラミック基板を分割する第3の工程と、とを具備することを特徴とする。
以上のように、本発明のセラミック基板の分割方法によれば、表面に大きな欠けが生じにくく、さらに分割後の断面に段差が形成されないセラミック基板の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明のセラミック基板の製造方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
図1に本発明の実施例1におけるセラミック基板の分割方法を示す。図1aはセラミック基板3の表面を、第1のダイシングブレード1を用いて複数の溝2を作成する第1の工程である。4は、粘着テープであり、予めセラミック基板3に貼り付けた後、この粘着テープ4の側を下にして図示しないダイシングステージに置かれ、真空吸引などによりセラミック基板3はダイシングステージ上に固定される。本実施例で用いた第1のダイシングブレード1は、直径がおよそ72mmであり、ダイヤモンド微粒子、金属と樹脂との混合物から形成されている。また、そのブレード幅は、25から200μmである。本実施例で用いたセラミック基板3は、4インチ角で厚さが650μmであり、分割後の個々の基板のサイズが15mm角である。また第1のダイシングブレード1による溝2の深さは、0.1から0.35mmとした。
図1bは、第2の工程を示したものである。セラミック基板3は粘着テープ4を取り外した後、反転される。
図1cは、第3の工程を示したものである。6は、粘着テープであり、セラミック基板3の溝2の側の面に貼り付けた後、この粘着テープ6の側を下にして図示しないダイシングステージに置かれ、真空吸引などによりセラミック基板3はダイシングステージ上に固定される。その後、第2のダイシングブレード5を用いて、第1の工程で作成された溝2の反対側の面からセラミック基板3のダイシングを行う。本実施例で用いた第2のダイシングブレード5は、直径がおよそ72mmであり、ダイヤモンド微粒子、金属と樹脂との混合物から形成されている。また、そのブレード幅は、100から350μmである。
以上の様に構成されたセラミック基板の分割方法において、厚みが0.65mmのセラミック基板について、第1の工程で第1のダイシングブレードの幅と第1のダイシングで形成される溝2の深さを変えてダイシングを行った。結果を表1に示す。表中で溝2の深さは、ダイシング溝深さと基板厚み0.65mmとの比で表している。表中に示した○は、溝2が良好に形成されたことを示す。溝が直線状に形成され、且つ溝幅がダイシング用ブレードの幅と等しく、且つ溝深さが設定値を満たしている場合を良好な溝とした。表中に示した×は、良好に形成されない溝を示し、蛇行の表示は、溝2が直線状ではなく蛇行して形成されたことを示す。
表1で明らかなように、第1のダイシングブレードの幅が25μmの時には、溝2は直線状に形成されず蛇行し、満足するダイシングが出来なかった。このブレード幅を50μmにすると、溝の深さが45%以上では溝2は直線状に形成されず蛇行した。従って、この場合には、溝深さは40%以下にすることが好ましい。さらにブレード幅を広げ100〜200μmにすると、溝深さを55%にしても溝2は良好に形成された。
表1で用いたセラミック基板のうち、良好なものを第2の工程を経て第3の工程に使用した。第3の工程では、第2のダイシングブレード5を用いて、溝2の中心を第2のダイシングブレードで分割した。
第3の工程で、セラミック基板を分割するが、その際の分割後の基板品質の評価項目を「欠け」と「基板強度」とした。「欠け」は、基板の縁が欠けた状態を示し欠けの深さで評価した。50μm以上の深さの欠けが無ければ○、50μm以上100μm未満の深さの欠けがあれば△、欠けの深さが100μm以上であれば×とした。また、「段差」の表示は 分割後の縁の断面が同一平面でなく、顕著な段差が生じているものを表す。また、「基板強度」は、溝2における基板の坑折強度とした。○は坑折強度が1Kg以上であり、他の工程においても基板割れなどが発生しない強度を有する。△は、坑折強度が0.75Kg以上であり、他の工程において基板割れなどが発生する可能性があるが、ダイシングの工程では影響が無い。×は、坑折強度が0.75Kg以下であり、通常の取り扱い状態において、基板が割れる可能性が高いので実用性は無い。
以下、第1の工程で、第1のダイシングブレードの幅を変えた時の、第3の工程における分割時の基板品質の測定結果を順に示す。まず、第1の工程で、第1のダイシングブレードの幅を50〜200μmとした時、分割後の基板品質に対する第2のダイシングブレードの幅と溝の深さのとの関係を表2から表5に示す。
表2に示すように50μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ30〜40%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は150〜200μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが浅くなると、基板欠けに影響し20%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅を100μmにすると第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。また、第2のダイシングブレード幅が250μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
表3に示すように100μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ30〜40%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は200〜250μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、45%では基板強度が低下し始め55%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを20%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が150μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。また、第2のダイシングブレード幅が300μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
表4に示すように150μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ30〜40%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は250〜300μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、45%では基板強度が低下し始め55%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを20%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が200μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
表5に示すように200μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ30%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は300μmが良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、40%では基板強度が低下し始め55%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを20%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が250μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
セラミック基板の厚みを1.0mmとした場合の、本発明の実施例2を以下に示す。第1の工程で第1のダイシングブレードの幅と第1のダイシングで形成される溝2の深さを変えてダイシングを行った結果を表6に示す。表中で溝2の深さは、ダイシング溝深さと基板厚み1.0mmとの比で表している。表中に示した○および×の意味は、実施例1の表1と同様である。
表6で明らかなように、第1のダイシングブレードの幅が25μmの時には、溝2は直線状に形成されず蛇行したため、満足するダイシングが出来なかった。このブレード幅を50μmにすると、溝の深さが50%以上では溝2は直線状に形成されず蛇行した。従って、この場合には、溝深さは50%以下が好ましい。さらにブレード幅を広げ100〜200μmにすると、溝深さを70%にしても溝2は良好に形成された。
表6で用いたセラミック基板のうち、良好なものを第2の工程を経て第3の工程に使用した。詳細は、実施例1と同様であるので省略する。
以下、第3の工程における分割時の基板品質の測定結果を順に示す。基板品質の評価項目と評価基準は実施例1と同様であるので省略する。まず、第1の工程で、第1のダイシングブレードの幅を50〜200μmとした時、分割後の基板品質に対する第2のダイシングブレードの幅と溝の深さのとの関係を表7から表10に示す。
表7に示すように50μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ20〜40%の溝が形成されたセラミック基板では、第2のダイシングブレード幅を変えても基板欠けが生じるため、良好な分割が行えない。
表8に示すように100μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ40〜50%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は200〜250μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、60%では基板強度が低下し始め70%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを30%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が150μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が300μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
表9に示すように150μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ40〜50%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は250〜300μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、60%では基板強度が低下し始め70%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを30%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が200μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じるとともに、第2のダイシング用ブレードで形成された溝の底部の幅が大きいため残り代部分の強度が低下して、基板強度の低下が生じる。
表10に示すように200μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ40〜50%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は300μmが良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、60%では基板強度が低下し始め70%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを30%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が250μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
セラミック基板の厚みを1.2mmとした場合の、本発明の実施例3を以下に示す。第1の工程で第1のダイシングブレードの幅と第1のダイシングで形成される溝2の深さを変えてダイシングを行った結果を表11に示す。表中で溝2の深さは、ダイシング溝深さと基板厚み1.2mmとの比で表している。表中に示した○および×の意味は、実施例1の表1と同様である。
表11で明らかなように、第1のダイシングブレードの幅が25μmの時には、溝2は直線状に形成されず蛇行したため、満足するダイシングが出来なかった。このブレード幅を50μmにすると、溝の深さが70%以上では溝2は直線状に形成されず蛇行した。ブレード幅を100μmに広げた場合には、溝深さが80%以上では溝2は直線状に形成されず蛇行した。さらにブレード幅を広げ150〜200μmにすると、溝深さを80%にしても溝2は良好に形成された。
表11で用いたセラミック基板のうち、良好なものを第2の工程を経て第3の工程に使用した。詳細は、実施例1と同様であるので省略する。
以下、第3の工程における分割時の基板品質の測定結果を順に示す。基板品質の評価項目と評価基準は実施例1と同様であるので省略する。まず、第1の工程で、第1のダイシングブレードの幅を50〜200μmとした時、分割後の基板品質に対する第2のダイシングブレードの幅と溝の深さのとの関係を表12から表15に示す。
表12に示すように50μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ15〜60%の溝が形成されたセラミック基板では、第2のダイシングブレード幅を変えても基板欠けが生じるため、良好な分割が行えない。
表13に示すように100μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ55〜60%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は200〜250μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、70%では基板強度が低下するので好ましくない。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが発生するので、溝深さを30%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が150μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が300μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じるとともに、第2のダイシング用ブレードで形成された溝の底部の幅が大きいため残り代部分の強度が低下して、基板強度の低下が生じる。
表14に示すように150μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ55〜60%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は250〜300μmの範囲が良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、70%では基板強度が低下し始め80%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを30%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が200μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
表15に示すように200μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ55〜60%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は300μmが良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、70%では基板強度が低下し始め80%では実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを30%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が250μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
セラミック基板の厚みを1.6mmとした場合の、本発明の実施例4を以下に示す。第1の工程で第1のダイシングブレードの幅と第1のダイシングで形成される溝2の深さを変えてダイシングを行った結果を表16に示す。表中で溝2の深さは、ダイシング溝深さと基板厚み1.6mmとの比で表している。表中に示した○および×の意味は、実施例1の表1と同様である。
表16で明らかなように、第1のダイシングブレードの幅が25μmの時には、溝2は直線状に形成されず蛇行したため、満足するダイシングが出来なかった。このブレード幅を50μmにすると、溝の深さが50%以上では溝2は直線状に形成されず蛇行した。ブレード幅を100〜150μmに広げた場合には、溝深さが75%以上では溝2は直線状に形成されず蛇行した。さらにブレード幅を広げ200μmにすると、溝深さを75%にしても溝2は良好に形成された。
表16で用いたセラミック基板のうち、良好なものを第2の工程を経て第3の工程に使用した。詳細は、実施例1と同様であるので省略する。
以下、第3の工程における分割時の基板品質の測定結果を順に示す。基板品質の評価項目と評価基準は実施例1と同様であるので省略する。まず、第1の工程で、第1のダイシングブレードの幅を50〜200μmとした時、分割後の基板品質に対する第2のダイシングブレードの幅と溝の深さのとの関係を表17から表20に示す。
表17に示すように50μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ15〜75%の溝が形成されたセラミック基板では、第2のダイシングブレード幅を変えても基板欠けが生じるため、良好な分割が行えない。
表18に示すように100μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ35〜65%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は200〜250μmの範囲が良い。溝深さが75%になると、第1のダイシングブレードにより形成される溝形状が蛇行するので好ましくない。また、溝深さが浅くなると基板欠けが発生するので、溝深さを25%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が150μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が300μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じるとともに、第2のダイシング用ブレードで形成された溝の底部の幅が大きいため残り代部分の強度が低下して、基板強度の低下が生じる。
表19に示すように150μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ50〜65%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は250〜300μmの範囲が良い。溝深さが75%になると、第1のダイシングブレードにより形成される溝形状が蛇行するので好ましくない。また、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを35%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が200μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
表20に示すように200μm幅の第1のダイシングブレードにより深さ50〜65%の溝が形成されたセラミック基板の良好な分割には、第2のダイシングブレード幅は300μmが良い。第1のダイシングブレードにより形成される溝深さが深くなると基板強度に影響し、75%では基板強度が低下し実用性を失う。反対に、この溝深さが浅くなると基板欠けが生じるので、溝深さを35%以下にすることは好ましくない。この条件では、第2のダイシングブレード幅が250μm以下では、第1のダイシングブレードと第2のダイシングブレードの幅の差が小さいため、第1のダイシングブレードにより形成された溝の形成誤差と第2のダイシングブレードによる分割時のブレード自身のぶれや分割精度により分割面に大きな段差が生じる。
また、第2のダイシングブレード幅が350μm以上になると、第1のダイシングブレードで形成した溝より第2のダイシングブレードの幅が広いので、基板分割の際にブレードへの負荷が増加するため、基板分割面に基板欠けが生じる。
本発明にかかるセラミック基板の製造方法は、基板分割の際に、分割後の基板の分割面に大きな欠けが生じにくいセラミック基板の製造方法に有用である。
(a)本発明の実施例における第1の工程を示す図(b)本発明の実施例における第2の工程を示す図(c)本発明の実施例における第3の工程を示す図
(a)従来のセラミック基板の分割方法を示す図(b)第2のダイシングブレードによるセラミック基板の分割の要部を拡大した図
符号の説明
1 第1のダイシング用ブレード
2 第1のダイシング用ブレードにより形成される溝
3 セラミック基板
4 粘着テープ
5 第2のダイシング用ブレード
6 粘着テープ
102 第1のダイシング用ブレードにより形成される溝
103 セラミック基板
105 第2のダイシング用ブレード
106 粘着テープ
107 欠け