JP4122783B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出して被記録媒体に記録するヘッドを密封するための密封部材と、密封部材を保持するホルダとを備えたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェット記録装置において、被記録媒体に記録するためのヘッドのインク吐出部は、紙屑や塵埃又は乾燥したインク等により生ずる目詰まりを防止するため、不使用時には密封部材としてのキャップで覆われ密封されている。
【0003】
ここで、ヘッドとキャップとの間の密封性が不十分であると、インク吐出部からインクを適切に吸引できないばかりでなく、インク吸引時に外部から空気がヘッドとキャップとの間に入りインク吐出部のインクが乾いてインク吐出部の目詰まりの原因になることがある。
【0004】
そのため、ヘッドとキャップとの間の密封性が重要となり、その密封性を確保するために様々の工夫がなされてきた。
ところで、ヘッドとキャップとの間の密封性が損なわれる原因としては、ヘッドの傾き、キャップのヘッドに対する密封部分の過度の堅さ及びヘッドの大型化が挙げられる。
【0005】
ヘッドは、元来、インクジェット記録装置に設けられたガイド装置等により予め定められた範囲で動くように規制されているが、運動時にヘッド及びヘッドが搭載されているキャリッジが有する慣性力あるいはヘッド及びキャリッジの振動等に起因して、ヘッドがヘッドを密封しているキャップに対して僅かに傾くことがある。ヘッドが傾くと、ヘッドとヘッドを密封しているキャップとの間に隙間が生じる。ヘッドとキャップとの間に隙間が生じるとその隙間から外部の空気がヘッドとキャップとの間に入り、ヘッドとキャップとの間の密封性が損なわれる。
【0006】
このため、キャップのヘッドに当接する部分に突起状のリップを設け、そのリップの肉厚をできるだけ薄くしてキャップのヘッドに対する密封性を向上させることが行われてきた。
ところが、近年、ヘッドの印字速度を高めるためにヘッドが大型化される傾向にある。ヘッドが小さいと、印字するためにヘッドを頻繁にスキャンさせなければならないからである。ヘッドが大型化されると、インクを吸引するためにはヘッドを密封しているキャップに、大きい負圧をかけて吸引しなければならない。ヘッドを密封しているキャップに大きい負圧をかけて吸引すると、キャップのヘッドに対する密封部分がその大きい負圧によって変形する。キャップのヘッドに対する密封部分が変形すると、キャップとヘッドとの間に隙間が生じ、その隙間を通して外部から空気がキャップとヘッドとの間に入り、その結果、キャップとヘッドとの間の密封性が損なわれることになる。
【0007】
そこで、キャップのヘッドに対する密封部分の変形を防止するために、密封部分の形状を改良したり、肉厚を増したりして変形しないようにキャップの剛性を高めることが行われる。そうすると、キャップの密封部分の剛性が高くなり、堅くなるため変形し難くなる結果、かえって反対にキャップのヘッドに対する密封性が悪化するという問題があった。
【0008】
そのため、キャップを保持しているホルダに、ヘッドの直線運動に追随できるような直線運動機構だけでなく、ヘッドの傾きにも追随できるような回転運動機構を設け、キャップのヘッドに対する密封性を確保する試みがなされてきた。又、複数のキャップが使用されているインクジェット記録装置では、それぞれのキャップに1個ずつキャップ保持用のホルダを設け、ヘッドとキャップとの間の密封性を確保するという工夫がなされてきた。
【0009】
しかし、その結果、ホルダに直線運動及び回転運動を行わせるための機構を設けることが必要となるため、ホルダの構造及びホルダの取付構造が複雑になる。ホルダの構造が複雑になると、ホルダの製造コストが増加する上、ホルダとキャップの組み付け工数も増加する。更に、複数のキャップが使用されているインクジェット記録装置ではキャップの数だけホルダが必要となるため、インクジェット記録装置全体としての部品点数及び組み付け工数が増加し、その結果、インクジェット記録装置のコストアップに繋がるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、インクを吐出して被記録媒体に記録するためのヘッドを確実に密封することができる密封部材と、密封部材を保持するホルダとを備えた簡単な構造のインクジェット記録装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は、インクを吐出して被記録媒体に記録するためのヘッドと、前記ヘッドを密封するための密封部材と、前記密封部材の前記ヘッドを密封する側とは反対側で、前記密封部材を保持するためのホルダと、を備えたインクジェット記録装置において、前記密封部材は、前記ヘッドの方向へ突き出して設けられるとともに、前記ヘッドに備えられたインク吐出部を囲んで覆うことが可能な環状に形成され、前記ヘッドに当接して前記インク吐出部を密封するための第1の突状部と、前記ホルダの方向へ突き出して設けられ、前記ヘッドと前記第1の突状部との密封性を保つために前記ヘッドの傾きに追随して変形可能な第2の突状部と、を備え、前記第2の突状部の前記ホルダに当接する面の中心は、前記第1の突状部の前記ヘッドに当接する面の中心よりも、環状に形成された前記第1の突状部の内側に対応する部位に位置していることを特徴とする。
【0012】
そのように構成すると、前記ヘッドの前記インク吐出部が前記密封部材の前記第1の突状部によって密封され、前記ヘッドの傾きに追随して前記第2の突状部が変形するため、前記ヘッドの傾きが前記第2の突状部の変形により吸収されるので、前記インク吐出部を密封する前記第1の突状部の変形が防止され、前記ヘッドと前記第1の突状部との間に隙間が生じることがなく、前記ヘッドと前記密封部材との間の密封性が確保される。
また、本発明によれば、第2の突状部のホルダに当接する面の中心は、第1の突状部のヘッドに当接する面の中心よりも、第1の突状部の環状部分の内側に対応する部位に位置しているので、前記第1の突状部は、前記ヘッドに密着した状態で内側へ倒れ込むことがない。その結果、前記ヘッドにおける前記第1の突状部に当接する面と前記第1の突状部との密封性が確保され、前記ヘッドと前記密封部材との間の密封性が保たれる。
【0013】
前記第1の突状部が、前記第2の突状部より変形し難いように形成されているとよい。
そうすると、前記ヘッドの傾きに追随して前記第2の突状部が変形するため、前記ヘッドの傾きが前記第2の突状部の変形によって吸収されるので、前記第1の突状部は前記ヘッドに密着した状態で変形しない。従って、前記ヘッドと前記第1の突状部との間に隙間が生じることがなく、前記ヘッドと前記第1の突状部との間の密封性が確保される。又、
前記ホルダは、その上方に配置されている前記ヘッドに対する直線運動を行えばよく、回転運動を行う必要がないので、ホルダの構造及びその取付構造が簡単になり、その結果、コストダウンに繋がる。
【0014】
前記第1の突状部に、剛性を付与するための補強部が設けられているとよい。
それにより、前記第2の突状部は前記第1の突状部よりも容易に変形するようになるため、上記請求項2の発明による効果を十分発揮させることができる。
前記ホルダが、少なくとも2個の前記密封部材を保持するとよい。
【0015】
それにより、2個の前記密封部材が共通の1個の前記ホルダにより保持されるので、前記ホルダの数が減少し、インクジェット記録装置全体としての部品点数が減少する。更に、前記密封部材と前記ホルダとの組み付けが簡単になり組み付け工数及び前記ホルダのインクジェット記録装置への組み付け工数が減少するので、その結果、コストダウンに繋がる。
【0016】
【0017】
また、前記第1の突状部は、前記インク吐出部の周囲を囲むように略矩形状に形成されるとともに、前記第2の突状部は、少なくとも長手方向と並行に延びる部分の間隔が前記第1の突状部の長手方向と並行に延びる部分の間隔に対して同じであるか又は小さくなるように形成されているとよい。
【0018】
そのように構成すると、前記ヘッドの傾きに追随して前記第2の突状部が変形し前記ヘッドの傾きを吸収するので、前記第1の突状部は変形せず内側へ倒れ込むことがない。従って、前記第1の突状部と前記ヘッドとの間に隙間が生じることがなく、前記第1の突状部と前記ヘッドとの間の密封性が保たれる。
【0019】
前記第2の突状部が、その全周に亘り連続しているとよい。
それにより、前記第2の突状部の構造が簡単であるため製作が容易となる。又、前記第2の突状部がその全周に亘り連続して成形されていると、前記第2の突状部の下端面の寸法精度の確保が容易となり、その結果、前記密封部材と前記ヘッドとの間の密封性が容易に保たれる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるインクジェット記録装置のプラテン近傍の構成を示す斜視図である。
【0021】
図1において、プラテン1は記録紙(被記録媒体)を受けるように構成されている。プラテン1の後方(図1のR方向側)にはベルト3が記録紙の全幅に亘り設けられている。ベルト3にはキャリッジ11が固定されている。キャリッジ11はプラテン1の上を左右(図1のRH方向側又はLH方向側)に運動する。キャリッジ11の上にはヘッド7が搭載されている。又、プラテン1の右端(図1のRH方向側)にはメンテナンス機構15が設けられている。
【0022】
次に、図2〜図5を用いて、インクを吐出して被記録媒体に記録するヘッドを密封するための密封部材としてのキャップと、キャップを保持するホルダについて説明する。
図2は、図1のメンテナンス機構を示す部分拡大図である。図3は、キャップ上面を示す斜視図である。図4は、キャップ下面を示す斜視図である。図5は、図2のA−A断面におけるキャップがヘッドに当接した状態を示す部分断面図である。
【0023】
図2において、メンテナンス機構15は、キャップ23a、23b及びホルダ65等で構成されている。又、メンテナンス機構15の近辺には、ヘッド面上の塵埃や残存インク等を払拭するためのワイパーブレード21が設けられている。
キャップ23aと23bとは、その大きさ、形状、構造及び機能等が同一であるので、以下の説明においては、キャップ23aについてのみ述べる。
【0024】
キャップ23aは、図3及び図4に示すように、本体部分25a、第1の突状部としてのリップ27a、リップ補強部31a、第2の突状部としてのリブ33a、位置決め用ボス39a及び負圧吸引用穴41aで構成されている。
本体部分25aは、ほぼ直方体の形状である。本体部分25aの上面(図3のU方向側)にはリップ27aが設けられ、本体部分25aの下面(図4のD方向側)にはリブ33aが設けられている。又、本体部分25aの中央部にはヘッドのインク吐出部に当接し、ヘッドのインク吐出部からインクを吸引するために負圧を生成する空間である負圧室37aが設けられている。
【0025】
リップ27aは、本体部分25aの上面(図3のU方向側)から上方向(図3のU方向)へ突き出して設けられており負圧室37a周りに環状に成形されている。即ち、リップ27aにより形成される環状部分の大きさは、図5に示すヘッド7のインク吐出部7aを囲んで覆うことができる大きさになるように作られている。
【0026】
リップ27aの長手方向に沿った両側面には、リップ補強部31aがそれぞれ設けられている。リップ補強部31aは、インク吸引時にリップ27aが負圧によって変形し負圧室37aの内側へ倒れ込むことを防ぐために、リップ27aに適切な剛性を付与している。リップ27aの上端面29aは平面になっており、図5に示すように、ヘッド7のヘッド面7cに当接しインク吐出部7aを密封するよう構成されている。
【0027】
リブ33aは、本体部分25aの下面(図4のD方向側)から下方向(図4のD方向)へ凸面状に突き出して環状に設けられている。リブ33aが本体部分25aの下面において作る環状部分の大きさは、前述のリップ27aによって形成される環状部分の大きさにほぼ等しくなっている。リブ33aの下端面35aは平面になっており、図5に示すように、ホルダ底面73aに当接するよう構成されている。
【0028】
リブ33aはその全周に亘り連続しているので、リブ33aの構造が簡単であり製作が容易である。又、リブ33aの下端面35aの寸法精度の管理が容易になるので、キャップ23aとヘッド7との間の密封性の確保が容易になる。
尚、リブ33aは、本実施態様では全周に亘り連続しているが、例えば、図6に示すように、不連続であってもよい。図6は、リブ33aが不連続に形成されている場合の、他の実施例としてのキャップ下面を示す斜視図である。
【0029】
リブ33aは、リップ27aより変形し易いように成形されている。このため、ヘッド7がキャップ23aに対して僅かに傾いた場合でも、リブ33aがその傾きに追随して変形するためヘッド面7cとリップ27aとの間の密封性の低下はリブ33aの変形によって吸収される。従って、リップ27aはヘッド面7cに密着した状態で変形せず、負圧によって負圧室37aの内側へ倒れ込むことがないためヘッド面7cとリップ27aとの間の密封性が確保される。又、このため、ホルダ65は、その上方(図5のU方向側)に配置されているヘッド7に対する直線運動(図5のU又はD方向の運動)のみを行い回転運動を行う必要がないのでホルダ65の構造及びその取付構造が簡単になり、その結果、コストダウンに繋がる。
【0030】
更に、ホルダ65が上下方向に動くだけであるので、ホルダ65に保持されているキャップ23aも上下方向の荷重のみを受ける。従って、リップ27a及びリブ33aも上下方向の荷重を受けるのみであるため、リップ27aの上端面29aの寸法精度のみを重点的に管理すればよく、キャップ23aの寸法面での品質管理が容易になる。
【0031】
又、図5に示すように、キャップ23aの中央を基準として、左右両側に位置するリップ27a及びリブ33aはいずれも左右対称の位置関係にあり、しかもキャップ23aの中央の左側に位置するリップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心と、キャップ23aの中央の右側に位置するリップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心との間の距離W1が、同じくキャップ23aの中央を基準として、左側に位置するリブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心と、右側に位置するリブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心との間の距離W2に等しくなるようにする。
【0032】
即ち、リップ27aがヘッド7のインク吐出部7aの周囲を囲むように略矩形状に形成された場合においては、少なくともその長手方向と並行に延びるリブ33aの間隔(長手方向と直交する方向の間隔)W2と、リップ27aの間隔W1とが同じであるようにする。
【0033】
これによって、リップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心と、リブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心とが同じ位置にあるようになる。
そのように構成すると、ヘッド7がキャップ23aに対して僅かに傾いた場合でもリブ33aがその傾きに追随して変形しその傾きを吸収するので、リップ27aはヘッド面7cに密着した状態で変形せず負圧室37aの内側へ倒れ込むことがない。その結果、リップ27aとヘッド面7cとの密封性が確保されキャップ23aとヘッド7の間の密封性が保たれる。
【0034】
尚、図5における左側に位置するリップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心と、右側に位置するリップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心との間の距離W1より、左側に位置するリブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心と、右側に位置するリブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心との間の距離W2が、図7に示すように、小さくなるようにしてもよい。図7は、そのような場合の他の実施例としてのキャップ23aを示す部分断面図である。
【0035】
即ち、リップ27aがヘッド7のインク吐出部7aの周囲を囲むように略矩形状に形成された場合においては、少なくともその長手方向と並行に延びるリブ33aの間隔(長手方向と直交する方向の間隔)W2が、リップ27aの間隔W1より小さくなるように形成されてもよい。
【0036】
これによって、キャップ23aの中央を基準として、リップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心が、リブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心よりも外側に位置するようになる。
そのように構成すると、リブ33aがキャップ23aとホルダ底面73aとの間において、リップ27aの内側でキャップ23aとホルダ底面73aとの間の介在物となるため、負圧吸引時にリップ27aが負圧によって負圧室37aの内側に倒れ込むことがない。その結果、リップ27aとヘッド面7cとの密封性が確保されキャップ23aとヘッド7の間の密封性が保たれる。
【0037】
更に、キャップ23aの本体部分25aには、図4に示すように、位置決め用ボス39aと負圧吸引用穴41aとが設けられている。
位置決め用ボス39aは、本体部分25aから直角に下方向(図4のD方向)へ突き出された円柱状のボスで、キャップ23aがホルダ底面73aに保持されるときの位置決めに用いられる。即ち、ホルダ底面73aに形成されている位置決め用穴(図示せず)に位置決め用ボス39aが嵌合することにより、キャップ23aの長手方向一端側の位置決めがなされる。
【0038】
負圧吸引用穴41aは、本体部分25aの負圧室37aに設けられた透孔状の穴である。負圧吸引用穴41aは負圧室37a内に開口しており、ホルダ底面73aに突設された中空の負圧吸引用ボス(図示せず)が緊密に嵌合される。インク吸引時には、負圧室37a内の空気が負圧吸引用ボスを介して吸引される。又、位置決め用ボス39a及び負圧吸引用ボスはキャップ23aのホルダ底面73aにおける回転止めにもなっている。
【0039】
キャップ23aを構成する本体部分25a、リップ27a、リップ補強部31a、リブ33a、位置決め用ボス39a及び負圧吸引用穴41aは、例えば、ブチルゴム等の弾性を有する材料で一体的に成形されている。
尚、位置決め用ボス39aは予め別物で作り、本体部分25aに接着するかあるいは圧着等の手段により結合してもよい。
【0040】
ホルダ65は、図2に示すように、ほぼ矩形の箱型状であり、キャップ23aを収納し保持する収納部71aとキャップ23bを収納し保持する収納部71bとを備えている。収納部71aと収納部71bとは仕切壁69で区切られている。仕切壁69は、キャップ23aとキャップ23bの相対運動による干渉を防止するとともにホルダ65に適切な剛性を付与するための補強部材にもなっている。又、収納部71aのホルダ底面73aには前記中空の負圧吸引用ボスに連通している通路(図示せず)がホルダ65の内部に設けられ、通路の先端は図2に示すホルダ壁面67に設けられたチューブ取付口75aに接続されており、チューブ取付口75aはチューブ部材(図示せず)によって負圧発生源であるシリンダ(図示せず)に接続されている。
【0041】
又、ホルダ65のホルダ壁面67の高さは、図5に示すように、キャップ23aのリップ27aがヘッド面7cに当接しヘッド面7cを密封してもヘッド面7cがホルダ65のホルダ壁面67に直接接触しないような寸法に成形されている。
【0042】
ホルダ65及びチューブ取付口75aは、例えば、ポリアセタール等で一体的に成形されている。チューブ取付口75aは予め別物で作成しホルダ65に接着等により結合してもよい。
尚、キャップ23b及びキャップ23bを構成する本体部分25b、リップ27b、リップ補強部31b、リブ33b、位置決め用ボス39b及び負圧吸引用穴41bは、その大きさ、形状、構造及び機能がキャップ23aについて述べた内容と全て同じである。又、ホルダ65のキャップ23bを収納する収納部71b及びチューブ取付口75bの大きさ、形状、構造及び機能はキャップ23aの場合と全て同じである。従って、それらについての説明はここでは省略する。
【0043】
図2におけるキャップ23a、23bは、共通の1個のホルダ65に保持されている。
それにより、2個のキャップ23a、23bが共通の1個のホルダ65により保持されるので、ホルダの数が減少し、インクジェット記録装置全体の部品点数が減少する。更に、キャップ23a、23bとホルダ65の組み付け工数及びホルダ65のメンテナンス機構15への組み付け工数が減少するので、その結果、コストダウンに繋がる。
【0044】
次に、図5を参照して本発明によるインクジェット記録装置の作動について説明する。
図5において、キャップ23aとヘッド7との間の密封力はホルダ65の下側(図5のD方向側)に設けられたばね(図示せず)の付勢力によって発生する。即ち、ホルダ65の下側(図5のD方向側)に設けられたばね(図示せず)がその付勢力によりキャップ23a,23bの組み付けられたホルダ65をヘッド7に押し付ける。それにより、キャップ23aとヘッド7との間に密封力が発生し、キャップ23aのリップ27aの先端に設けられた上端面29aがヘッド7のインク吐出部7aの周りのヘッド面7cに当接しインク吐出部7aを密封する。この状態において、キャップ23aのリップ27aにより密封されたヘッド7のヘッド吐出部7aは、前述の如く、負圧室37a、負圧吸引用ボス、ホルダ65内部の通路(図示せず)及びチューブ取付口75aを経て負圧発生源であるシリンダ(図示せず)等により吸引される。その場合、リップ27aは、前述の如く、リップ補強部31aにより補強されており、更にリップ27aのヘッド面7cに当接する面(上端面29a)の中心と、リブ33aのホルダ底面73aに当接する面(下端面35a)の中心とが同じ位置にあるようになっているので、シリンダ等の負圧発生源により負圧室37aが負圧に吸引された場合でもリップ27aは負圧室37aの内側へ倒れ込むことがない。これにより、キャップ23aとヘッド7との間の密封性が保たれる。
【0045】
又、ヘッド7が多少傾いた場合でも、リップ27aよりリブ33aの方が変形し易いように構成されているので、ヘッド7の傾きに追随してリブ33aが変形し、ヘッド7の傾きはリブ33aの変形によって吸収される。従って、リップ27aとヘッド面7cとの間に隙間が生じることはなく、ヘッド7とキャップ23aとの間の密封性が損なわれることがない。
【0046】
ホルダ65は上下方向(図5のU又はD方向)の直線運動を行うだけで回転運動を行わないため、ホルダ65の構造およびホルダ65のメンテナンス機構15への取付構造が簡単になる。
尚、本実施態様ではキャップの個数を2個としたが3個以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるインクジェット記録装置のプラテン近傍の構成を示す斜視図である。
【図2】 図1のメンテナンス機構を示す部分拡大図である。
【図3】 キャップ上面を示す斜視図である。
【図4】 キャップ下面を示す斜視図である。
【図5】 図2のA−A断面におけるキャップがヘッドに当接した状態を示す部分断面図である。
【図6】 他の実施例を示すキャップ下面の斜視図である。
【図7】 他の実施例を示すキャップの部分断面図である。
【符号の説明】
1・・・プラテン
3・・・ベルト
7・・・ヘッド
7a、7b・・・インク吐出部
7c・・・ヘッド面
11・・・キャリッジ
15・・・メンテナンス機構
21・・・ワイパーブレード
23a、23b・・・キャップ
25a、25b・・・本体部分
27a、27b・・・リップ
29a、29b・・・上端面
31a、31b・・・リップ補強部
33a、33b・・・リブ
35a、35b・・・下端面
37a、37b・・・負圧室
39a、39b・・・位置決め用ボス
41a、41b・・・負圧吸引用穴
65・・・ホルダ
67・・・ホルダ壁面
69・・・仕切壁
71a、71b・・・収納部
73a、73b・・・ホルダ底面
75a、75b・・・チューブ取付口
Claims (6)
- インクを吐出して被記録媒体に記録するためのヘッドと、
前記ヘッドを密封するための密封部材と、
前記密封部材の前記ヘッドを密封する側とは反対側で、前記密封部材を保持するためのホルダと、
を備えたインクジェット記録装置において、
前記密封部材は、
前記ヘッドの方向へ突き出して設けられるとともに、前記ヘッドに備えられたインク吐出部を囲んで覆うことが可能な環状に形成され、前記ヘッドに当接して前記インク吐出部を密封するための第1の突状部と、
前記ホルダの方向へ突き出して設けられ、前記ヘッドと前記第1の突状部との密封性を保つために前記ヘッドの傾きに追随して変形可能な第2の突状部と、
を備え、
前記第2の突状部の前記ホルダに当接する面の中心は、前記第1の突状部の前記ヘッドに当接する面の中心よりも、環状に形成された前記第1の突状部の内側に対応する部位に位置していることを特徴とする、
インクジェット記録装置。 - 前記第1の突状部が、前記第2の突状部より変形し難いように形成されていることを特徴とする、請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記第1の突状部に、剛性を付与するための補強部が設けられていることを特徴とする、請求項2記載のインクジェット記録装置。
- 前記ホルダが、少なくとも2個の前記密封部材を保持することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記第1の突状部は、前記インク吐出部の周囲を囲むように略矩形状に形成されるとともに、前記第2の突状部は、少なくとも長手方向と並行に延びる部分の間隔が前記第1の突状部の長手方向と並行に延びる部分の間隔に対して同じであるか又は小さくなるように形成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の
インクジェット記録装置。 - 前記第2の突状部が、その全周に亘り連続していることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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