JP4022946B2 - キャッピング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字ヘッドのキャッピング装置に関し、特に、印字ヘッドのメニスカスの破壊を防止し、また出荷時の印字ヘッドを保護するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、印字ヘッドのインク噴射用ノズルの乾燥を防止するために、印字ヘッドに対してキャッピング装置によるキャッピングが行われている。このキャッピング時、印字ヘッドとキャッピング装置とで密閉された空間(以下、キャップ内空間という)の温度が変化すると、キャップ内空間の空気が膨張又は収縮し、キャップ内空間の圧力が変化する。印字ヘッドのノズル内のインクの先端は、表面張力でメニスカスを形成しているが、このメニスカスは非常に弱い圧力で破壊されてしまう。温度が上昇してキャップ内空間の圧力が上昇すると、空気がメニスカスを破壊し、ノズル内に気泡となって入り込み、インクの噴射を阻害する。また、温度が低下して圧力が下がると、ノズルからインクがキャップ内に引き込まれ、キャップ内に溜まったインクでノズル面を濡らし、インクがノズルから噴射する際、噴射方向が曲がったり、噴射を乱したりする。その結果、温度の上昇、低下いずれも、印字不良を起こすことになる。したがって、キャップ内空間の圧力を、メニスカスが破壊されない程度の低い圧力に抑える必要がある。このキャップ内空間の圧力を抑える技術として、(1)キャップ部分にダンパ室を接続してキャップ内空間の圧力変化を吸収するようにしたキャッピング装置、(2)キャップ内空間を大気に連通させて圧力変化が生じないようにしたキャッピング装置等が提案されている。
【0003】
また、印字ヘッド又はヘッドユニットの工場からの出荷時や保存時には、使用開始の際におけるインクの初期導入をスムーズに行わせるために、印字ヘッドの内部、即ちアクチュエータに形成されているインク室、及びインク室と接続するマニホールド内にインクの染料や顔料を除いたインクと同様な特性を有する保存液が充填されており、この保存液の漏出の防止や、噴射用ノズルの保護等の目的で、ノズルプレートに対してプロテクトゴム等によってキャッピングを行い、インク室及びマニホールド内を密閉状態に保つようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)のキャッピング装置においては、キャッピング装置以外の部品(ダンパ室)をキャッピング装置に取り付ける必要があるため、構成が複雑になり装置が大きくなるという問題があり、(2)のキャッピング装置においては、ノズルが乾燥しやすいという問題がある。また、従来のダンパ室においては、該ダンパ室を構成する壁の一部のみを薄膜にしていたため、変位量が小さく、ダンパ室が占める容量の割には抑圧効果が低かった。また、印字ヘッド等の出荷時にノズルプレートをプロテクトゴム等によってキャッピングするようにした場合は、外圧の変化や、インク室及びマニホールド内の出荷液の気化による内圧の上昇を原因として、印字ヘッド内部と外界との圧力差が大きくなり、プロテクトゴム等のリップ部分から大気連通してしまい、ノズルが乾燥するということがある。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構成でもってキャップ内空間の圧力変化を吸収することができ、かつ、ノズルを完全に密閉状態に保って乾燥を防止することができるキャッピング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置は、インク噴射用の複数のノズルから記録媒体上にインクを噴射して印字記録を行う印字ヘッドに対して、前記複数のノズルを密閉状態に覆うキャップ部を有したプリンタに備え付けられるキャッピング装置において、前記キャップ部は、前記複数のノズルの周囲に当接され密着される当接部と、この当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成し、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収するための変形部とを備え、前記変形部は、前記複数のノズル側に開口し、前記複数のノズルと離れる方向に延びるとともに、前記当接部と平行な断面において、前記複数のノズルがなす列の長手方向に長いほぼ扁平な形状の側壁を有する袋状部を備えるものである。
【0007】
上記構成においては、当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成する変形部が、ノズル側に開口しノズルと離れる方向に延びる側壁を有する袋状をなすので、圧力変化にともない側壁が容易に変形又は伸縮する。キャッピング時密閉空間内の温度が変化した場合、変形部が、温度変化に伴う密閉空間内の圧力変化を容易に吸収する。また、キャップ内空間を外気と連通させないで圧力を一定に保つ。
さらに、変形部が扁平で、その成形が容易な形状となる。また、袋状部がノズルの長手方向に長いから、袋状部の扁平な方向の側壁が十分に大きくなり、容易に変形する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置は、請求項1に記載のプリンタに備え付けられるキャッピング装置であって、変形部は、キャッピング時の密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形し得るものである。
【0009】
上記構成においては、変形部は、キャッピング時の密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形する。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置は、請求項1又は請求項2に記載のプリンタに備え付けられるキャッピング装置であって、前記袋状部は、一対の前記側壁のほぼ中央部においてその間隔がくびれ、前記長手方向の両端部においてその間隔が広い形状としたものである。
【0011】
上記構成においては、一対の側壁の中央が内外方向に移動することで、圧力変化に対して、袋状部が速やかにかつ広範囲に形状の変化をする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置は、請求項3に記載のプリンタに備え付けられるキャッピング装置であって、前記袋状部は、前記中央部の相互に接近して平行な側壁と、前記両端部の前記平行な側壁同士の間隔より大きな直径で湾曲した側壁と、少なくとも前記両端部のいずれか一方側において、前記平行な側壁と前記湾曲した側壁とを結ぶ傾斜した側壁とからなり、前記袋状部の側壁の少なくとも一部は、前記傾斜した側壁の両端部付近をほぼ支点として、前記中央部が袋状部の内外方向に移動可能であるものである。
【0013】
上記構成においては、袋状部の側壁の少なくとも一部が、その一端付近をほぼ支点として、袋状部の内外方向に移動する。さらに、正圧負圧に関わらず幅広い範囲で圧力変動を吸収する。このとき、その壁がほとんど伸縮することなく、袋としては大きく変形する。つまり、壁方向に沿う弾性にほとんど抗することなく、わずかな圧力変化に応答する。もとの形状に戻ろうとする弾性もわずかとなる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係るヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置は、インク噴射用の複数のノズルを有する印字ヘッドが1又は複数設けられたヘッドユニットの各印字ヘッドに対して、前記複数のノズルを保護するために、前記印字ヘッド毎に前記複数のノズルを密閉状態に覆うキャップ部を1又は複数有した前記ヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置において、前記ヘッドユニットと結合される結合部材と、前記結合部材に弾性体を介して前記1又は複数の印字ヘッド毎に設けられ、一定の圧力でもって前記複数のノズルの周囲にそれぞれ当接され密着されるように構成されたキャップ部とを有し、前記1又は複数のキャップ部は、前記複数のノズルの周囲に当接され密着される当接部と、この当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成し、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収するための変形部とを備え、前記変形部は、前記複数のノズル側に開口し、前記複数のノズルと離れる方向に延びるとともに、前記当接部と平行な断面において、前記複数のノズルがなす列の長手方向に長いほぼ扁平な形状の側壁を有する袋状部を備えるものである。
上記構成においては、例えば、ヘッドユニット単位で工場から出荷するとき等に、結合部材がヘッドユニットに結合し、キャップ部が複数の印字ヘッドの各ノズルを同時にキャッピングして密閉空間を作る。
このとき、袋状部が印字ヘッドのノズルに直接対向する位置に配置する。また、当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成する変形部が、ノズル側に開口しノズルと離れる方向に延びる側壁を有する袋状をなすので、圧力変化にともない側壁が容易に変形又は伸縮する。キャッピング時密閉空間内の温度が変化した場合、変形部が、温度変化に伴う密閉空間内の圧力変化を容易に吸収する。また、キャップ内空間を外気と連通させないで圧力を一定に保つ。
さらに、変形部が扁平で、その成形が容易な形状となる。また、袋状部がノズルの長手方向に長いから、袋状部の扁平な方向の側壁が十分に大きくなり、容易に変形する。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係るヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置は、請求項5に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置であって、前記変形部は、キャッピング時の前記密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形し得るものであるである。
【0016】
上記構成においては、変形部は、キャッピング時の密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形する。
【0017】
また、請求項7に記載の発明に係るヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置は、請求項5または6に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置であって、前記袋状部は、一対の前記側壁のほぼ中央部においてその間隔がくびれ、前記長手方向の両端部においてその間隔が広い形状としたものである。
【0018】
上記構成においては、一対の側壁の中央が内外方向に移動することで、圧力変化に対して、袋状部が速やかにかつ広範囲に形状の変化をする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明に係るヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置は、請求項7に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置であって、前記袋状部は、前記中央部の相互に接近して平行な側壁と、前記両端部の前記平行な側壁同士の間隔より大きな直径で湾曲した側壁と、少なくとも前記両端部のいずれか一方側において、前記平行な側壁と前記湾曲した側壁とを結ぶ傾斜した側壁とからなり、前記袋状部の側壁の少なくとも一部は、前記傾斜した側壁の両端部付近をほぼ支点として、前記中央部が袋状部の内外方向に移動可能であるものである。
【0020】
上記構成においては、袋状部の側壁の少なくとも一部が、その一端付近をほぼ支点として、袋状部の内外方向に移動する。さらに、正圧負圧に関わらず幅広い範囲で圧力変動を吸収する。このとき、その壁がほとんど伸縮することなく、袋としては大きく変形する。つまり、壁方向に沿う弾性にほとんど抗することなく、わずかな圧力変化に応答する。もとの形状に戻ろうとする弾性もわずかとなる。
【0021】
また、請求項9に記載の発明に係るヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置は、請求項5から8に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置であって、前記印字ヘッドは、該印字ヘッド内に保存液が充填されているものである。
【0022】
上記構成においては、請求項5から8に記載のキャッピング装置が好適に実施されるとともに、印字ヘッドの出荷時や保存時に、使用開始の際におけるインクの初期導入をスムーズにする。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態に係る印字ヘッドのキャッピング装置が備えられたカラーインクジェットプリンタについて図面を参照して説明する。図1は該プリンタを示す斜視図である。カラーインクジェットプリンタ(以下、プリンタという)1は、4色のインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を印刷用紙等の記録媒体P上に噴射して印字を行うインクジェット式の4個の印字ヘッド2を備え、各印字ヘッド2はその先端面(ノズル面)2aに、インクを噴射する複数のノズルを開口させており、印字時に直線的に往復駆動されるキャリッジ3上に保持されている。4個の印字ヘッド2はヘッドホルダ4と一体に設けられ、1個のヘッドユニットが構成されており、また、各印字ヘッド2に4色のインクを供給するインクカートリッジ5a,5b,5c,5dがキャリッジ3に着脱自在に搭載される。キャリッジ3は、その前部がキャリッジ軸7に軸支され、このキャリッジ軸7に沿って移動可能とされている。キャリッジ3の後部はガイドプレート8上にスライド自在に支持されている。キャリッジ3の往復移動は、キャリッジモータ9によりベルト10を介して駆動される。
【0032】
印字ヘッド2と対面する位置にはプラテンローラ11が設けられている。このプラテンローラ11は、ラインフィードモータ(図示なし)の駆動力がプラテンギヤ12により伝達されることで駆動される。記録媒体Pはプラテンローラ11により印字ヘッド2に対向する位置まで搬送され、印字が行われる。プラテンローラ11の側方には、パージ装置15が設けられている。印字ヘッド2は、その使用中に内部に気泡が発生したり、吐出面上にインクの液滴が付着することにより、吐出不良を起こすことがあるので、これを解消し良好な吐出状態に回復させるためにパージ装置15がある。また、このパージ装置15は、印字ヘッド2あるいはインクカートリッジ5a〜5dを変換した際にも駆動され、カートリッジ内のインクが印字ヘッド2のノズルまで円滑に供給されるように機能する。
【0033】
パージ装置15は、各印字ヘッド2のノズル面2aに選択的に密着する吸引キャップ20を備える。吸引キャップ20がノズル面2aに密着しているとき、ポンプ17が発生させる負圧により、印字ヘッド2のノズルから内部の気泡や不良インク等を吸引して印字ヘッド2を回復させる。吸引された不良インクは貯留部18へ送られる。吸引キャップ20の側方には、印字ヘッド2のノズル面2aのワイピングを行うワイパ21が設けられている。
【0034】
上記吸引キャップ20等の駆動機構について図3を参照して説明する。図3は吸引キャップ20等の駆動機構を示す側面図である。パージ装置15はポンプカムギヤ25を介してラインフィードモータの駆動力が伝達されることで駆動される。ポンプカムギヤ25には、吸引キャップ20を印字ヘッド2の方向に移動させるためのカム25aが設けられている。吸引キャップ20には、カム25aに摺動してカム25aの形状に従って吸引キャップ20を移動させる係合部(図示なし)が設けられている。また、印字ヘッド2への吸引キャップ20のキャッピング圧を一定に保つためのバネ20aが備えられている。ポンプ17もポンプカムギヤ25の回転により駆動される。ポンプカムギヤ25は、ワイパ21(図1参照)等を移動させるためにも使用される。
【0035】
パージ装置15の側方には印字ヘッド保護用のキャッピング装置16が設けられている。図2はキャッピング装置16及び吸引キャップ20部分を示す正面図である。キャッピング装置16は、4個の印字ヘッドのノズル面2aに対してキャッピングを行うために各々のノズル面用に4個のキャップ(キャップ部)16a,16b,16c,16dが設けられている。このキャッピング装置16は、キャリッジ3がキャッピングポジションまで移動してきた時に印字ヘッド2のノズル面2aに当接する方向に図示しない公知のカム手段により移動するように構成されている。これにより、ノズル部分が密閉されてノズル及びインクの乾燥が防止される。
【0036】
次に、キャッピング装置16に備えられるキャップ16a〜16d(いずれも同等の構成であるので代表して16a)について図4乃至図6を参照して説明する。図4はキャップ16aを示す斜視図、図5(a)は図4のA−A面での断面図、(b)はB−B面での断面図、図6はC−C面での断面において内部構造のみを示す図である。キャップ16aはブチルゴム等の弾性材料からなる。キャップ16aのベース部30には、キャップ機構に取り付ける際の位置決めのために凸部31、及び、キャッピング時に印字ヘッド2の全ノズルを囲んでノズル面2aに当接して密閉するリブ状突起の当接部32が形成されている。当接部32で囲まれた位置には、変形自在に形成された変形膜(変形部)33が形成されている。
【0037】
変形膜33は、袋状部33aと、その袋状部の開口部の外周に広がったフランジ部33bとからなり、キャップのベース部30と一体に形成されている。袋状部33aは、その開口部を印字ヘッド2のノズル列と対向し、側壁を印字ヘッドから離れる方向に延ばしている。フランジ部33bは当接部32の内側全面にわたって位置し、外縁を当接部32に接続している。袋状部33aとフランジ部33bは、伸縮又は変形しやすいようにベース部33,当接部32よりも十分に薄く形成されている。袋状部33aは、当接部32と平行な断面において、複数のノズルがなす列の長手方向に長いほぼ扁平な形状に形成されている。さらに袋状部33aは、図4,6に示すように、一対の側壁のほぼ中央部33a−1を相互に平行に接近し、両端33a−2を中央の間隔よりも大きい直径のほぼ円形とし、直線状の中央部33a−1と円形部33a−2とを傾斜辺33a−3で結んだ形状とし、袋状部の内部空間を中央でくびれ、両端において広い形状としている。これにより直線状の中央部33a−1は、図6に示すように、傾斜辺33a−3の両端をほぼ支点として袋状部の内外方向に移動することができるようにしている。
【0038】
上記変形膜33の変形動作について図6,7を参照して説明する。図7(a)は、当接部32とノズル面2aとの密閉空間内の温度が低下した場合の変形膜33の状態を示す断面図、(b)は該温度が上昇した場合の変形膜33の状態を示す断面図である。当接部32とノズル面2aとの密閉空間内の温度が変化すると、それに伴って空間内の空気が膨張収縮する。変形膜33はこの膨張収縮に応じて変形し、空間内の圧力を一定に保つ。具体的には、空間内温度が低下したときは、空間の体積が小さくなるので、図7(a)に示すように、袋状部33aはしぼむ。空間内温度が上昇したときは、空間の体積が大きくなるので、図6に二点鎖線で示し図7(b)にも示すように、袋状部33aは膨らむ。
【0039】
このように、本実施形態のキャッピング装置16によれば、キャッピング時の密閉空間内の温度が変化した場合、変形膜33が変形し、温度変化に伴う空間の圧力変化を吸収するので、空間内の圧力が一定に保たれる。よって、空間内圧力は印字ヘッドのノズル先端のインク面すなわちメニスカスの表面張力よりも常に低く保たれる。圧力上昇によって、メニスカスを破壊してノズル内に空気が気泡となって侵入し、気泡がインクの噴射を阻害するということがない。また、圧力低下によって、ノズルからキャップ内にインクを吸引し、キャップ内に溜まったインクでノズル面2aを濡らし、インクがノズルから噴射する際、噴射方向が曲がったり、噴射を乱したりすることがなくなり、良好な印字結果が得られる。また、キャップ内空間を外気と連通させないで圧力を一定に保つことができるため、ノズル及びインクの乾燥を確実に防止することができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、キャップ16aはブチルゴム等からなるものとされているが、キャップ16aの材質は特に限定されるものではなく、変形膜33が伸縮又は変形自在であり、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収し得るように形成できる材質であれば構わない。但し、変形膜33自体を伸縮させるものは、伸長もしくは収縮しているときに変形膜が発生させる元の形状に戻ろうとする力(復帰力)の分だけ、密閉空間内の圧力を高めたり低めたりしてしまう。よって、この場合、復帰力が小さいものがよい。しかし、好ましくは、膜自体を伸縮させずに変形させて、変形膜33が形成する空間の体積が増減するように設定するのがよい。
【0041】
そのためには、袋状部33aが、当接部32と平行な断面において、その内部の面積を囲みうる最小の輪郭長さよりも大きい輪郭長さを有するようにする。例えば、袋状部33aが印字ヘッド2側に開放した半球状、又は円筒状で先端が半球状に構成されている場合、圧力上昇によって、袋状部は、壁方向に沿った弾性に抗して伸長しなければならず、きわめて柔軟な材料を選定する必要がある。袋状部33aが、その内部の面積と同等の面積の図形、例えば円形の外周よりも、長い輪郭を持っていることによって、材料自体の伸縮を少なくして、曲げ等の変形によって袋の内容積を変えることができる。つまり、袋の壁を曲げる等の変形は、伸縮、すなわち袋の壁方向に沿う弾性に抗する場合に比して小さな力でよいから、圧力変化に対する応答性を高めることができる。また、もとの形状に戻ろうとする弾性も小さくできるため、密閉空間内の圧力が高められたり、低められたりする不都合も抑えることができる。
【0042】
この形状は簡単には、上記実施の形態に示したように、袋状部33aを、ほぼ扁平な形状とすることで実現することができる。この形状によって、袋状部の扁平な方向の側壁を十分に大きくできるため、側壁が圧力変化にともない容易に変形するようになる。また簡単な形状であるから、金型によるベース部30と一体の成形も容易となる。さらに好ましくは、袋状部33aは、上記のように直線状の中央部33a−1を、図6に示すように、傾斜辺33a−3の両端をほぼ支点として袋状部の内外方向に移動するように構成することで、支点部分の裏表で材料のわずかな屈曲があるものの直線状の中央部33a−1、傾斜辺33a−3の各壁はほとんど伸縮することなく、袋としては大きく変形することができる。つまり、壁方向に沿う弾性にほとんど抗することなく、わずかな正圧及び負圧の変化にも応答することができる。また、この形状は、また前後方向に分離する金型によって成形することができるから、容易に実現することができる。
【0043】
変形膜33の形状は、上記の形状のみでなく、種々の形状で実施可能である。例えば、フランジ部33bは全面が変形可能でなく、当接部32に近いところは剛体であってもよい。さらに、図8に示すように、袋状部33aを、印字ヘッドに対し接近離隔する方向に伸縮可能な蛇腹構造とすることもできる。
【0044】
本発明に係るキャッピング装置におけるキャップの他の実施形態への応用について説明する。上記のキャッピング装置16はプリンタ1に備え付けられるものとされているが、プリンタ1とは別個に、印字ヘッドのヘッドユニットを単独で保管し、又は出荷するときに使用されるキャッピング装置用のキャップとして組み込んでもよい。このキャッピング装置を図9乃至図11に示す。図9はこのキャッピング装置の上面図、図11は同正面図、図11は同側断面図である。キャッピング装置50は、プリンタ1とは別個の装置として用意されるものであり、プリンタ1に組み込まれる前の状態のヘッドユニット、例えば、ヘッドユニットの工場からの出荷時等に印字ヘッド2のノズル面を保護するために、ヘッドユニットの印字ヘッド2側に装着され、ヘッドユニットをプリンタ1に組み込むときには取り外されるものである。キャッピング装置50は、ヘッドユニットの複数の印字ヘッド2部分を覆い、ヘッドユニットと結合するカバーケース(結合部)51と、カバーケース51に複数の印字ヘッド2毎に設けられ、上記のキャップ16a乃至16dと同等の構成でなるキャップ(キャップ部)52a乃至52dとからなる。つまり、本実施の形態のキャッピング装置は、ヘッドユニットの取り付けられて用いられるものである。
【0045】
カバーケース(結合部材)51は、その両側面にアーム51aを有し、アーム51aの先端部内側には、ヘッドホルダ4と掛止するための突出部51bが設けられている。また、キャップ52a乃至52dは、それぞれベース部30、凸部31、当接部32及び変形膜(変形部)33を有し、これらベース部30等はベース53a乃至53dに取り付けられている。このベース53a乃至53dは、それぞれがバネ(弾性体)55によってカバーケース51に、ベース53a乃至53dの配列面と直交する方向に移動可能に取り付けられている。このように、キャップ52a乃至52dがそれぞれバネ55によってカバーケース51に取り付けられていることで、キャップ52a乃至52dにより、印字ヘッド2の各ノズルを同等の圧力でキャッピングすることができる。また、キャップ52a乃至52のそれぞれについてバネ55を設けることによって、各ノズルに対するキャッピングのバラツキをなくすことができるので、印字ヘッド2の全てのノズルを確実に密閉状態にすることができる。なお、バネ55によるキャップ52a乃至52dの支持は、プリンタにおけるキャップ機構にも適用される。キャップ52a乃至52d及びバネ55は、プリンタにおけるキャップ機構との共通部品として使用することができる。
【0046】
図12はキャッピング装置50をヘッドユニット4に取り付けた状態を示す斜視図、図13は同側断面図である。キャッピング装置50のヘッドユニットへの装着時には、両側部のアーム51aによってヘッドホルダ4の側面を挟むようにしながら、印字ヘッド2に対して押し込み、ヘッドホルダ4の側面に設けられた図示しない凹部と、両アーム51aの突出部51bとが弾性係合されるようにして装着される。このようにして、キャッピング装置50がヘッドユニットに取り付けられることによって、印字ヘッド2のノズル列がキャッピング装置50で覆われ、印字ヘッド2の各ノズルはキャップ52a乃至52dによって密閉状態とされる。なお、カバーケース51の上下に形成された突部51eは、キャッピング装置50をヘッドユニットに装着したとき、図13に示すように、印字ヘッド2を囲むカバー部材41の上下に対向し、キャッピング装置50が上下にずれるのを防止する。
【0047】
ヘッドユニット単体で工場から出荷するときには、印字ヘッド2内の複数のインク室、インクカートリッジからのインクをインク室に分配するマニホールド42に、保存液が充填される。印字ヘッド2の前面すなわちノズル面2aは上記のようにキャッピング装置50によって密閉され、マニホールド42の後端開口は第2のキャップ部材43を装着して密閉される。
【0048】
このキャッピング装置50によれば、ヘッドユニット単体で工場から出荷するとき等に、印字ヘッド2の各ノズルを密閉状態に保ってノズルの乾燥を防止することができ、また、外圧の変化や、印字ヘッド2内のインク室及びマニホールドに充填されている保存液の気化による内圧の上昇を原因とする、印字ヘッド2内部と外界との圧力差が変形膜3によって吸収されるので、圧力差によって印字ヘッド2内部と外界とが連通してしまうことをなくすことができる。また、キャッピング装置50の装着は両アーム51aをヘッドユニット4の側面に沿って押し込むだけでよいので、きわめて簡単に装着することができ、キャッピング装置50を装着することで、4個の印字ヘッド2の全てのノズルに対して同時にキャッピングを行うことができるので、使い勝手が良い。
【0049】
上記のキャッピング装置50には、4個の印字ヘッド2に対応させて、4個のキャップ52a乃至52dが設けられているが、この構成には限定されず、例えば、1個のキャップのみが設けられるものとし、1個の印字ヘッドのノズルに対してキャッピングを行うものとしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置によれば、キャップ部が、ノズルの周囲に当接され密着される当接部と、この当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成し、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収するための変形部とを備え、変形部が、ノズル側に開口し、ノズルと離れる方向に延びる側壁を有する袋状部を備えるので、圧力変化にともない側壁が変形又は伸縮しやすく、キャッピング時密閉空間内の温度が変化した場合、圧力変化を容易に吸収し圧力を一定に保つことができ、印字不良を未然に防止することができる。また、キャップ内空間を外気と連通させないため、ノズル及びインクの乾燥を確実に防止することができる。
また、袋状部が、当接部と平行な断面において、ノズルの長手方向に長いほぼ扁平な形状を有するので、袋状部の扁平な方向の側壁を十分に大きくでき、圧力変化にともなう変形を容易にできる。
【0051】
また、請求項2に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置によれば、変形部は、キャッピング時の密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形し得るので、簡単な構成でもってメニスカス破壊による印字不良を未然に防止することができる。
【0052】
また、請求項3に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置によれば、袋状部が、一対の側壁のほぼ中央においてその間隔がくびれ、両端においてその間隔が広い形状としたものであるので、圧力変化に対して袋状部の形状変化が速やかにかつ広範囲になされ、小さな圧力変化から大きな圧力変化まで幅広く対応することができる。
【0053】
また、請求項4に記載の発明に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置によれば、袋状部の壁の少なくとも一部が、傾斜した側壁の両端部付近をほぼ支点として、袋状部の内外方向に移動可能であるので、その壁がほとんど伸縮することなく、袋としては大きく変形する。つまり、壁方向に沿う弾性にほとんど抗することなく、わずかな圧力変化に応答することができる。正圧負圧に関わらず、幅広い範囲で圧力変動を吸収することができる。もとの形状に戻ろうとする弾性もわずかであるため、密閉空間内の圧力が高められたり、低められたりする不都合も少ない。
【0054】
また、請求項5に記載の発明に係るヘッドユニットの取り付けて用いられるキャッピング装置によれば、例えば、ヘッドユニット単位で工場から出荷するとき等に、結合部材がヘッドユニットに結合し、キャップ部が複数の印字ヘッドの各ノズルを同時にキャッピングして密閉空間を作る。これにより、複数の印字ヘッドの各ノズルを全て同等の圧力でキャッピングすることができる。また、各ノズルに対するキャッピングのバラツキをなくすことができるので、複数の印字ヘッドの各ノズルを確実に密閉状態にすることができる。さらに、1度の装着動作により、複数の印字ヘッドの各ノズルに対して同時にキャッピングを行うことができるので、使い勝手が良い。
さらに、キャップ部が、ノズルの周囲に当接され密着される当接部と、この当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成し、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収するための変形部とを備え、変形部が、ノズル側に開口し、ノズルと離れる方向に延びる側壁を有する袋状部を備えるので、圧力変化にともない側壁が変形又は伸縮しやすく、キャッピング時密閉空間内の温度が変化した場合、圧力変化を容易に吸収し圧力を一定に保つことができ、印字不良を未然に防止することができる。また、キャップ内空間を外気と連通させないため、ノズル及びインクの乾燥を確実に防止することができる。
また、袋状部が、当接部と平行な断面において、ノズルの長手方向に長いほぼ扁平な形状を有するので、袋状部の扁平な方向の側壁を十分に大きくでき、圧力変化にともなう変形を容易にできる。
【0055】
また、請求項6に記載の発明に係るヘッドユニットの取り付けて用いられるキャッピング装置によれば、変形部は、キャッピング時の密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形し得るので、簡単な構成でもってメニスカス破壊による印字不良を未然に防止することができる。
【0056】
また、請求項7に記載の発明に係るヘッドユニットの取り付けて用いられるキャッピング装置によれば、袋状部が、一対の側壁のほぼ中央においてその間隔がくびれ、両端においてその間隔が広い形状としたものであるので、圧力変化に対して袋状部の形状変化が速やかにかつ広範囲になされ、小さな圧力変化から大きな圧力変化まで幅広く対応することができる。
【0057】
また、請求項8に記載の発明に係るヘッドユニットの取り付けて用いられるキャッピング装置によれば、袋状部の壁の少なくとも一部が、傾斜した側壁の両端部付近をほぼ支点として、袋状部の内外方向に移動可能であるので、その壁がほとんど伸縮することなく、袋としては大きく変形する。つまり、壁方向に沿う弾性にほとんど抗することなく、わずかな圧力変化に応答することができる。正圧負圧に関わらず、幅広い範囲で圧力変動を吸収することができる。もとの形状に戻ろうとする弾性もわずかであるため、密閉空間内の圧力が高められたり、低められたりする不都合も少ない。
【0058】
また、請求項9に記載の発明に係るヘッドユニットの取り付けて用いられるキャッピング装置によれば、印字ヘッドは、ノズル内に保存液が充填されているので、上記のキャッピング装置を適用するのに好適で、外圧の変化や内圧の変化により密閉空間が大気連通してノズルが乾燥してしまうのを確実に防止することができる。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るプリンタに備え付けられるキャッピング装置が備えられたプリンタを示す斜視図である。
【図2】 上記キャッピング装置及び吸引キャップ部分を示す正面図である。
【図3】 吸引キャップ及びワイパの駆動機構を示す側面図である。
【図4】 キャッピング装置に備えられるキャップを示す斜視図である。
【図5】 (a)は図4のA−A面での断面図、(b)はB−B面での断面図である。
【図6】 図4のC−C面での断面において内部構造のみを示す図である。
【図7】 (a)は当接部とノズルとの密閉空間内の温度が低下した場合の変形膜の状態を示す断面図、(b)は該温度が上昇した場合の変形膜の状態を示す断面図である。
【図8】 キャップの変形例を示す断面図であり、(a)は通常時の変形膜の状態を示す断面図、(b)は当接部とノズルとの密閉空間内の温度が低下した場合の変形膜の状態を示す断面図、(c)は該温度が上昇した場合の変形膜の状態を示す断面図である。
【図9】 本発明の他の実施形態に係るキャッピング装置の上面図である。
【図10】 上記キャッピング装置の正面図である。
【図11】 上記キャッピング装置の側断面図である。
【図12】 上記キャッピング装置をヘッドユニットに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】 上記キャッピング装置をヘッドユニットに取り付けた状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
2 印字ヘッド
16a,16b,16c,16d キャップ(キャップ部)
16,50 キャッピング装置
32 当接部
33 変形膜(変形部)
33a 袋状部
51 カバーケース(結合部材)
52a,52b,52c,52d キャップ(キャップ部)
55 バネ(弾性体)
Claims (9)
- インク噴射用の複数のノズルから記録媒体上にインクを噴射して印字記録を行う印字ヘッドに対して、前記複数のノズルを密閉状態に覆うキャップ部を有したプリンタに備え付けられるキャッピング装置において、
前記キャップ部は、前記複数のノズルの周囲に当接され密着される当接部と、この当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成し、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収するための変形部とを備え、
前記変形部は、前記複数のノズル側に開口し、前記複数のノズルと離れる方向に延びるとともに、前記当接部と平行な断面において、前記複数のノズルがなす列の長手方向に長いほぼ扁平な形状の側壁を有する袋状部を備えることを特徴とするプリンタに備え付けられるキャッピング装置。 - 前記変形部は、キャッピング時の前記密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形し得るものであることを特徴とする請求項1に記載のプリンタに備え付けられるキャッピング装置。
- 前記袋状部は、一対の前記側壁のほぼ中央部においてその間隔がくびれ、前記長手方向の両端部においてその間隔が広い形状としたことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタに備え付けられるキャッピング装置。
- 前記袋状部は、前記中央部の相互に接近して平行な側壁と、前記両端部の前記平行な側壁同士の間隔より大きな直径で湾曲した側壁と、少なくとも前記両端部のいずれか一方側において、前記平行な側壁と前記湾曲した側壁とを結ぶ傾斜した側壁とからなり、
前記袋状部の側壁の少なくとも一部は、前記傾斜した側壁の両端部付近をほぼ支点として、前記中央部が袋状部の内外方向に移動可能であることを特徴とする請求項3に記載のプリンタに備え付けられるキャッピング装置。 - インク噴射用の複数のノズルを有する印字ヘッドが1又は複数設けられたヘッドユニットの各印字ヘッドに対して、前記複数のノズルを保護するために、前記印字ヘッド毎に前記複数のノズルを密閉状態に覆うキャップ部を1又は複数有した前記ヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置において、
前記ヘッドユニットと結合される結合部材と、前記結合部材に弾性体を介して前記1又は複数の印字ヘッド毎に設けられ、一定の圧力でもって前記複数のノズルの周囲にそれぞれ当接され密着されるように構成されたキャップ部とを有し、
前記1又は複数のキャップ部は、前記複数のノズルの周囲に当接され密着される当接部と、この当接部で囲まれた位置に、伸縮又は変形自在な空間を形成し、キャッピング時の密閉空間内の圧力変化を吸収するための変形部とを備え、
前記変形部は、前記複数のノズル側に開口し、前記複数のノズルと離れる方向に延びるとともに、前記当接部と平行な断面において、前記複数のノズルがなす列の長手方向に長いほぼ扁平な形状の側壁を有する袋状部を備えることを特徴とするヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置。 - 前記変形部は、キャッピング時の前記密閉空間内の圧力が印字ヘッドのメニスカス破壊圧力よりも低くなるように変形し得るものであることを特徴とする請求項5に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置。
- 前記袋状部は、一対の前記側壁のほぼ中央部においてその間隔がくびれ、前記長手方向の両端部においてその間隔が広い形状としたことを特徴とする請求項5または6に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置。
- 前記袋状部は、前記中央部の相互に接近して平行な側壁と、前記両端部の前記平行な側壁同士の間隔より大きな直径で湾曲した側壁と、少なくとも前記両端部のいずれか一方側において、前記平行な側壁と前記湾曲した側壁とを結ぶ傾斜した側壁とからなり、
前記袋状部の側壁の少なくとも一部は、前記傾斜した側壁の両端部付近をほぼ支点として、前記中央部が袋状部の内外方向に移動可能であることを特徴とする請求項7に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置。 - 前記印字ヘッドは、該印字ヘッド内に保存液が充填されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のヘッドユニットに取り付けて用いられるキャッピング装置。
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