JP2002178528A - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP2002178528A
JP2002178528A JP2000379882A JP2000379882A JP2002178528A JP 2002178528 A JP2002178528 A JP 2002178528A JP 2000379882 A JP2000379882 A JP 2000379882A JP 2000379882 A JP2000379882 A JP 2000379882A JP 2002178528 A JP2002178528 A JP 2002178528A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字汚れの発生を防止して印字品質を保証す
ることができるインクジェット式記録装置を提供するこ
と。 【解決手段】 印刷データに対応してインク滴を吐出す
るインクジェット式の記録ヘッドHと、この記録ヘッド
Hのノズル形成面を封止しこのノズル形成面からインク
を吸引排出するためのキャッピング手段とを備えたイン
クジェット式記録装置であって、キャッピング手段は、
ノズル形成面に当接して気密空間をその内部に形成する
ための軟質性素材からなる有底箱状のキャップ部材7
と、このキャップ部材を保持する硬質性素材からなるキ
ャップホルダ9とを有し、このキャップホルダ9には、
キャップ部材7を囲繞するインク吸収体70が取り付け
られている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸引ポンプからの
負圧を受けて記録ヘッドからインクを吸引排出するため
のキャッピング手段を備えたインクジェット式記録装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録装置は、印刷時の
騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で
形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多
くの印刷に使用されている。このようなインクジェット
式記録装置には、インクカートリッジからのインクの供
給を受けるインクジェット式の記録ヘッドと、この記録
ヘッドに対して記録用紙を相対的に移動させる紙送り手
段とが備えられている。そして、印字信号に応じて記録
ヘッドを移動させながら記録用紙にインク滴を吐出させ
てドットを形成することで記録が行われる。この場合、
キャリッジ上に例えばブラック,イエロー,シアンおよ
びマゼンタのインクの吐出が可能な記録ヘッドを搭載
し、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラ
ー印刷を可能としている。
【0003】このように、インクジェット式記録装置に
おいては、インクをノズルからインク滴として記録用紙
に吐出させて印刷を行う関係上、次に示すような問題を
抱えている。すなわち、ノズル開口からのインク溶媒の
蒸発に起因するインク粘度の上昇やノズル形成面におけ
るインクの固化,塵埃の付着によってノズル開口に目詰
まりが発生し、さらには記録ヘッド内に気泡が混入し、
印刷不良を起こすという問題である。
【0004】このため、インクジェット式記録装置に
は、非印刷時に記録ヘッドのノズル形成面を封止するキ
ャッピング手段と、このキャッピング手段内にインクを
吸引排出する吸引ポンプと、この吸引ポンプによるイン
クの吸引排出後に記録ヘッドのノズル形成面を清掃する
ワイピング手段(クリーナ)とを備えている。そして、
前記したノズル開口の目詰まり発生および記録ヘッド内
への気泡混入を防止するために、吸引ポンプによって記
録ヘッドからインクを強制的にキャッピング手段内に吸
引排出させた後、クリーナによって記録ヘッドのノズル
形成面を払拭(ワイピング)することが行われる。
【0005】このような記録ヘッドの目詰まり解消のた
め、または記録ヘッド内に気泡が残留している場合にな
されるインクの強制的な排出処理は、クリーニング操作
と呼ばれる。そして、記録装置における長時間の休止後
に印刷を再開する場合や、ユーザが印字かすれ等の印字
品質不良を認識し、クリーニングスイッチを操作した場
合に実行される。
【0006】ところで、この種のインクジェット式記録
装置に用いられているキャッピング手段は、例えば図1
1および図12に示すように構成されている。図11は
記録ヘッドをキャッピング状態とした場合におけるキャ
ッピング手段の縦断面図、図12は記録ヘッドがキャッ
ピング手段によって封止された状態を透視して示す平面
図である。なお、これら両図は、後述するようにキャッ
プ部材が負圧を受けてそれぞれ変形している状態を示し
ている。図11および図12に示すように、キャッピン
グ手段6は上方に開口する角形箱状のキャップホルダ9
と、耐インク性を有する軟質性素材からなるキャップ部
材7とを備えている。
【0007】前記キャップ部材7は、その上端部をキャ
ップホルダ9よりも上方に若干突出させ、記録ヘッドH
のノズル形成面に対する環状のシール部7bを有してい
る。このキャップ部材7内には、耐インク性およびイン
ク吸収性にすぐれた多孔質材料からなるインク吸収シー
ト8が収納されている。そして、前記キャップホルダ9
を支持するスライダ10を、キャリッジ(図示せず)が
キャッピング手段6の配置位置を移動したとき、ほぼ水
平姿勢に保ったまま上方に回動アーム等によって移動さ
せ、記録ヘッドHのノズル形成面をシール部材7bが封
止し得るように構成されている。
【0008】一方、キャップホルダ9には、前記キャッ
プ部材7内に連通するインク排出口7aが設けられてお
り、このインク排出口7aに連通して吸引ポンプ(図示
せず)に至るチューブTが接続されている。
【0009】前記した構成において、キャリッジがキャ
ッピング手段側へ移動することにより、スライダ10が
押し上げられ、キャップ部材7のシール部7bが記録ヘ
ッドHのノズル形成面を封止する。そして、吸引ポンプ
を動作させることで、チューブTを介してキャップ部材
7によって形成された内部空間(気密空間)に負圧が印
加される。
【0010】これにより、記録ヘッドHのノズル開口h
よりインクが、キャップ部材7の内部空間に吸引排出さ
れ、キャップ部材7内のインク吸収シート8に吸収され
てキャップ部材7内に貯留される。また、記録ヘッドH
よりインクの吸引が終了した時点で、キャッピング手段
6を若干下方に移動させ、記録ヘッドHに対するキャッ
プ部材7bによる封止を解除し、吸引ポンプを動作させ
ることにより、キャップ部材7内に貯留されたインクを
排出させる動作シーケンスが実行される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記した構成のキャッ
ピング手段によれば、記録ヘッドHのノズル形成面に対
する良好な密封状態を確保するために、キャップ部材7
がゴムまたはエラストマーなどの軟質性素材によって形
成されている。したがって、キャップ部材7内を負圧に
してノズル開口hからインクを吸引しようとした場合に
は、図9および図10に示すようにキャップ部材7bが
内側に変形する。
【0012】一般に、キャッピング手段6は、キャリッ
ジの移動動作に伴い前記した回動アーム等によって記録
ヘッドHに対し上下動し得るように構成されており、キ
ャップ部材7に低弾性材料を用いることにより、キャリ
ッジ移動の負荷すなわちキャリッジモータに対する負荷
を軽減させるように配慮されている。
【0013】しかし、キャップ部材7の材質が低弾性で
あればある程、吸引ポンプによって負圧を受けた場合の
変形の度合いが顕著となる。加えて、昨今においては記
録ヘッドHのノズル形成面に配置されるノズル開口hの
個数も増大しており、これに伴い吸引ポンプの吸引能力
も増大するように構成されている。なお、吸引ポンプに
よる吸引時の最大負圧は、おおよそ−0.8気圧程度に
達する場合がある。
【0014】このような条件下においては、キャッピン
グ時にキャップ部材7のシール部7bが内側に倒れるよ
うに変形し、さらにこの状態でキャップ部材7のシール
部7bがノズル形成面側に圧着される作用が与えられる
ため、なおさらシール部7bが内側に倒れ込んだ変形状
態となされる。
【0015】このため、キャップ部材7のシール部7b
が、図10に示すように、ノズル開口hの一部を覆うば
かりか、キャップ部材7のノズル形成面への圧接によっ
て異物が付着し易くなり、これにより一部のノズル開口
hにおいて正常な廃インクの吸引排出動作が得られなく
なる。また、キャッピング時にノズル形成面の全体を封
止するものでないため、クリーニング動作の繰り返しに
よってヘッド周辺部に回り込んだ廃インクを十分に吸引
排出することができなかった。この結果、良好なクリー
ニング効果を得ることができず、印字汚れを発生させて
印字品質を保証することができないという問題があっ
た。
【0016】本発明は、このような問題点に着目してな
されたものであり、良好なクリーニング効果を得ること
ができ、もって印字品質を保証することができるインク
ジェット式記録装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成する
ためになされた本発明に係るインクジェット式記録装置
は、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジ
ェット式の記録ヘッドと、この記録ヘッドのノズル形成
面を封止しこのノズル形成面からインクを吸引排出する
ためのキャッピング手段とを備えたインクジェット式記
録装置であって、前記キャッピング手段は、前記ノズル
形成面に当接して気密空間をその内部に形成するための
軟質性素材からなる有底箱状のキャップ部材と、このキ
ャップ部材を保持する硬質性素材からなるキャップホル
ダとを有し、このキャップホルダには、前記キャップ部
材を囲繞するインク吸収体が取り付けられていることを
特徴とする。
【0018】このように構成されているため、インク吸
引排出時にキャップ部材のノズル形成面への圧接による
潰れが抑制され、正常なインクの吸引排出動作を得るこ
とができるとともに、キャップ部材によるシール性を確
保することができる。また、クリーニング時にヘッド周
辺部に廻り込んだ廃インクが、ノズル形成面に接触する
インク吸収体に吸収される。したがって、良好なクリー
ニング効果を得ることができるため、印字汚れが発生せ
ず、印字品質を保証することができる。
【0019】この場合、前記インク吸収体の高さ寸法
が、非キャッピング状態において前記キャップ部材の高
さ寸法より大きい寸法に設定されていることが望まし
い。このように構成されているため、キャッピング時に
インク吸収体およびキャップ部材が順次ノズル形成面に
当接する。
【0020】また、前記インク吸収体の高さ寸法が、非
キャッピング状態において前記キャップ部材の高さ寸法
より小さい寸法に設定されている構成とされる。このよ
うに構成されているため、キャッピング時にキャップ部
材およびインク吸収体が順次ノズル形成面に当接する。
【0021】そして、前記インク吸収体が、前記キャッ
プ部材の弾力性より高い弾力性をもつ軟質性素材によっ
て形成されていることが望ましい。このように構成され
ているため、キャッピング時にインク吸収体がキャップ
部材より大きい弾性変形率をもってノズル形成面に当接
する。
【0022】また、前記インク吸収体が、前記キャップ
部材の弾力性より低い弾力性をもつ硬質性素材によって
形成されている構成も採用し得る。このように構成され
ているため、キャッピング時にキャップ部材がインク吸
収体より大きい弾性変形率をもってノズル形成面に当接
する。
【0023】この場合、前記キャップ部材の前記ノズル
形成面への当接状態において、前記インク吸収体の先端
面と前記ノズル形成面の縁部との間の空隙寸法δが、δ
=0.2mm程度とする寸法に設定されていることが望
ましい。このように構成されているため、インク吸引排
出時にインク吸収体のノズル形成面に対する良好な密接
度が得られるとともに、キャップ部材のノズル形成面へ
の圧接による潰れが効果的に抑制される。なお、δがδ
>0.2mmである場合には、キャッピング時にインク
吸収体のノズル形成面への密接度が悪くなり、インクを
除去する能力が低下する。また、δがδ<0.2mmで
ある場合には、キャッピング時にインク吸収体が過度に
潰れてシール性が低下する。
【0024】そして、前記インク吸収体の先端部の断面
形状が、矩形である構成とされる。この場合、断面形状
が半円形または三角形である構成も採用し得る。このよ
うに構成されているため、インク吸収体の先端部がノズ
ル形成面への圧接によって潰れやすくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るインクジェッ
ト式記録装置につき、図に示す実施の形態に基づいて説
明する。図1は、本発明が適用されたインクジェット式
記録装置の全体構成を示す斜視図である。同図におい
て、符号1で示すキャリッジは、キャリッジモータ2に
よって往復移動するタイミングベルト3の一部に結合さ
れている。そして、ガイドロッド4に案内され、プラテ
ン5の軸方向に往復移動し得るように構成されている。
【0026】前記キャリッジ1の下面部には、ブラック
インク用の記録ヘッドおよびカラーインク用の記録ヘッ
ドが印刷時に記録用紙Pに対向するように装着されてい
る。また、キャリッジ1の上面部には、前記両記録ヘッ
ドにインクをそれぞれ供給するブラックインクカートリ
ッジC1とカラーインクカートリッジC2が着脱自在に
取り付けられている。これにより、各記録ヘッドに対し
てインクが導入されると、印刷データに対応して記録用
紙Pにインク滴を吐出して印刷が行われる。
【0027】前記記録装置の端部における非印刷領域
(ホームポジション)には、キャッピング手段6が配置
されている。このキャッピング手段6には、前記各記録
ヘッドのノズル形成面に密封空間をもって封止し得る大
きさに形成された例えばエラストマーなどの弾性素材か
らなる二つのキャップ部材(後述)がキャリッジ移動方
向に並列した状態で配置されている。
【0028】そして、前記記録ヘッドがキャッピング手
段6の直上に移動すると、ヘッド側に上昇してキャップ
部材によって前記各記録ヘッドのノズル形成面を封止し
得るように構成されている。また、キャッピング手段6
の下方には、前記各キャップ部材の内部空間(密封空
間)に負圧を与えるための吸引ポンプ50が配置されて
いる。
【0029】前記キャッピング手段6は、非印刷時に記
録ヘッドのノズル形成面を封止してノズル開口のインク
の乾燥を防止する蓋体としての機能と、記録ヘッドに印
刷とは関係のない駆動信号を印加してインク滴を空吐出
させるフラッシング動作時のインク受けとしての機能と
を備えている。また、キャッピング手段6は、前記吸引
ポンプ50からの負圧を記録ヘッドに作用させ、インク
を吸引排出させるクリーニング機能も兼ねている。
【0030】そして、キャッピング手段6の印刷領域側
近傍には、クリーナ20(クリーニング部材21)が前
記記録ヘッド(キャリッジ)の往復方向と直角な水平方
向に進退可能となるように配置されている。これによ
り、キャリッジ1がキャッピング手段側に移動する際、
記録ヘッドの移動経路上にクリーニング部材21が進行
し得るように構成されている。
【0031】図2乃至図4は、本発明が適用されたイン
クジェット式記録装置におけるキャッピング手段および
ワイピング手段の構成を主に示したものである。図2は
記録装置の上方から見た状態を示し、図3および図4は
側方から見た非キャッピング状態とキャッピング状態を
示す。図3および図4において、符号1で示すキャリッ
ジは、前記したようにタイミングベルト3(図1に図
示)の一部に結合されている。そして、ガイドロッド4
(図1に図示)に案内され、用紙ガイド板Gに対向して
平行に往復移動し得るように構成されている。
【0032】前記記録装置の端部における非印刷領域
(ホームポジション)に配置されているキャッピン手段
6は、前記したように記録ヘッドH(一個のみ図示)の
ノズル形成面に密封空間をもって封止し得る大きさに形
成された例えばエラストマーなどの弾性素材からなるキ
ャップ部材7(一個のみ図示)を有している。
【0033】このキャッピング手段6におけるキャップ
部材7の底部には、図2に示すようにインク排出口7a
が設けられている。このキャップ部材7のインク排出口
7aには、吸引ポンプ50の一部を構成するチューブ
(図示せず)の一方端部が接続されている。これによ
り、非印刷時にはキャップ部材7で記録ヘッドHのノズ
ル形成面が封止される。そして、クリーニング指令を受
けた場合には、吸引ポンプ50による負圧がキャッピン
グ手段6の内部空間に印加され、記録ヘッドHからイン
クを強制的に排出させることができる。なお、前記キャ
ップ部材7内にはインク吸収シート8が収容され、記録
ヘッドHからのインクを吸収して一時的に保持し得るよ
うに構成されている。
【0034】また、前記キャップ部材7は、キャップホ
ルダ9に対して例えば二色成形法などの手段によって一
体に成形されている。このキャップホルダ9は角形箱か
らなり、両側壁にはそれぞれ平板状のばね受部9aが水
平方向に突出して設けられている。そして、キャップホ
ルダ9は、スライダ昇降機構を構成するスライダ10上
に保持され、前記スライダ10と前記ばね受部9aとの
間に弾装された圧縮ばね11によって記録ヘッド側に常
時付勢されている。
【0035】なお、前記キャップホルダ9の一端中央部
および他端両側部には係合部9bが設けられており、前
記スライダ10には前記係合部9bにそれぞれ対応する
係止部材10aが設けられている。これにより、キャッ
プホルダ9は、前記各係合部9bが前記各係止部材10
aによって係止されることにより、上方移動すなわち記
録ヘッド側への移動が規制されている。
【0036】前記スライダ10の底部には一対の長孔1
2がほぼ水平方向に延在して形成されており、これら各
長孔12にはスライダ回動用のアーム14の自由端部に
位置する一対の水平軸15がそれぞれ移動可能に保持さ
れている。そして、前記アーム14の反自由端部は、フ
レーム部材13に対して回動可能に保持されている。こ
れにより、スライダ10がフレーム部材13に対しアー
ム14を介して円弧状の軌跡をもって立ち上がることが
できる。
【0037】また、前記スライダ10の非印刷領域側の
両側端部にはそれぞれガイド片10bが設けられてい
る。これら各ガイド片10bは、前記フレーム部材13
に設けられた各案内溝16によって保持されるように構
成されている。これら各案内溝16の両端部にはそれぞ
れ低所部16aと高所部16bが配置されており、これ
ら両部16a,16b間には傾斜部16cが配置されて
いる。
【0038】さらに、前記両ガイド片10bのうち一方
のガイド片は、図2に示すように、前記フレーム部材1
3に引張ばね17を介して連結されている。これによ
り、スライダ10が印刷領域方向に接近し、かつ記録ヘ
ッドHから離間する方向に、すなわち本実施形態(図
3)においては下方に位置するように付勢されている。
【0039】そして、図4に示すように、前記キャリッ
ジ1が前記キャッピング手段6の直上に移動した際、キ
ャリッジ1に設けられた係合体1aがスライダ10に直
立するように設けられた係合部10cに当接すること
で、引張ばね17の弾撥力に抗してスライダ10がアー
ム14を介して立ち上がる。これにより、記録ヘッドH
のノズル形成面がキャップ部材7で封止される。
【0040】また、前記キャリッジ1が印刷領域側に移
動した場合には、前記係合部10cに対する前記係合体
1aの当接が解除され、前記スライダ10が引張ばね1
7の弾撥力によって図3に示す状態になされる。これに
より、キャップ部材7による記録ヘッドHにおけるノズ
ル形成面の封止が解除される。
【0041】なお、図3に示すように、前記キャップ部
材7におけるシール面、すなわち前記記録ヘッドHのノ
ズル形成面に当接する上方端面は、記録ヘッドHのノズ
ル形成面に対して非平行状態となるように配置されてい
る。換言すれば、キャップ部材7のシール面は、ホーム
ポジション側(図3における右側)端部に対して印刷領
域側が僅かに下方に位置するように傾斜状態になされて
いる。
【0042】そして、前記キャップ部材7は、記録ヘッ
ドHのノズル形成面を封止する場合に、先ずホームポジ
ション側端部からノズル形成面に当接し、スライダ10
の上昇にしたがって前記記録ヘッドHのノズル形成面の
全体を封止するように作用する。また、前記キャップ部
材7は、記録ヘッドHのノズル形成面を封止解除する場
合に、記録ヘッドHのノズル形成面に対し、先ず印刷領
域側端部から離間し、ノズル形成面に対して非平行状態
で離間するように作用する。
【0043】一方、図2および図4に示すように、前記
キャッピング手段6に隣接する印刷領域側には、前記キ
ャリッジ1の移動に伴って前記記録ヘッドHのノズル形
成面を払拭(ワイピング)するワイピング手段(クリー
ナ)20が配置されている。このワイピング手段20
は、例えばゴム等の弾性素材からなるワイピング部材
(クリーニング部材)21およびこのワイピング部材2
1を保持するホルダ22を有している。
【0044】このワイピング手段20は、水平方向に移
動し、前記ワイピング部材21を前記記録ヘッドHの移
動経路内のワイピング位置に進行し、かつこの進行位置
から移動経路外に退避するように構成されている。した
がって、クリーニング操作時にワイピング部材21によ
ってインク吸引前においてノズル形成面に付着する塵埃
や紙粉などが除去され、またインク吸引後においてノズ
ル形成面に付着するインクが払拭される。
【0045】この場合、本実施形態において、前記ワイ
ピング手段20の移動動作と、前記キャッピング手段6
の内部空間を負圧にするポンプの吸引動作には、前記用
紙ガイドG上の記録用紙Pを搬送する紙送りモータ(図
示せず)の駆動力が利用される。そして、前記ワイピン
グ部材21は、ポンプの駆動動作に伴い前記記録ヘッド
Hの移動経路内外を進退するように構成されている。
【0046】以上の構成において、キャリッジモータ2
の駆動によってキャリッジ1が非印刷領域(ホームポジ
ション)側に移動すると、キャリッジ1の係合体1aが
スライダ10の係合部10cに係合する。そして、なお
もキャリッジ1がホームポジション側に移動すること
で、図4に示すように引張ばね17の弾撥力に抗してス
ライダ10がアーム14を介して上昇する。この場合、
スライダ10のガイド片10bが案内溝16の低所部1
6aから傾斜部16cを経て高所部16bに移動する。
これにより、記録ヘッドHのノズル形成面がキャップ部
材7によって封止される。
【0047】このようにして、キャップ部材7によるノ
ズル形成面の封止が完了した段階でキャップ部材7が大
気との連通を遮断して気密状態となり、ノズル開口から
のインクの蒸発を抑制し、記録ヘッドHの目詰まりを防
止するように作用する。
【0048】一方、キャリッジモータの駆動によってキ
ャリッジ1が印刷領域側に移動すると、キャリッジ1の
係合体1aがスライダ10の係合部10cから離間す
る。したがって、引張ばね17の弾撥力によってスライ
ダ10がアーム14を介して下降する。この場合、スラ
イダ10のガイド片10bが高所部16bから傾斜部1
6cを介して低所部16aに移動する。これにより、記
録ヘッドHのキャップ部材7による封止状態が解除され
る。
【0049】図5乃至図7は、第一実施形態に係るキャ
ッピング手段を示したものである。図5は、キャップホ
ルダに対してインク吸収体を取り付けた状態のアッセン
ブリを示す平面図である。図6および図7は、キャップ
ホルダに対してインク吸収体およびキャップ部材を取り
付けた状態のアッセンブリを示す平面図と断面図であ
る。なお、図5乃至図7において、図2乃至図4と同一
の部材については同一の符号を付している。図5に示す
ように、前記キャップホルダ9は、上方に開口する例え
ば硬質性素材からなる角形状の箱体によって形成されて
いる。
【0050】キャップホルダ9の開口端面9c1は、前
記ばね受部9aの上面とほぼ同一の面上に配置されてい
る。開口端面9c1の内側には、前記キャップホルダ9
の端部に沿って四角枠状の壁部9c2が設けられてい
る。この壁部9c2の長手方向および短手方向の内面9
dに沿って上方にそれぞれ立ち上がる四つの補強リブ9
eが設けられている。キャップホルダ9の底部には、前
記キャップ部材7に係合する係合孔9fが設けられてい
る。この係合孔9fはキャップホルダ9の長手方向に沿
って形成された前記補強リブ9eの基端部に沿うように
してそれぞれ三個配置され、またキャップホルダ9の短
手方向に沿って形成された前記補強リブ9eの基端部に
沿うようにしてそれぞれ二個配置されている。
【0051】また、キャップホルダ9の底部には、上方
に突出する六本の柱状体9gが一体に設けられている。
この柱状体9gによって前記インク吸収シート8を貫通
し、このインク吸収シート8を前記キャッピング手段6
の内部空間に安定して保持し得るように構成されてい
る。
【0052】そして、キャップホルダ9には、前記壁部
9c2を囲繞する四角枠状のインク吸収体70が例えば
インサート成形法によって取り付けられている。このイ
ンク吸収体70は、前記キャップ部材7の弾力性より大
きい弾力性をもつ軟質性素材によって形成されており、
高さ寸法が非キャッピング状態において前記キャップ部
材7の高さ寸法より大きい寸法に設定されている。これ
により、キャッピング時にキャッピング手段6が上昇す
ると、先ずインク吸収体70が記録ヘッドHのノズル形
成面に当接して弾性変形する。次に、キャップ部材7が
記録ヘッドHのノズル形成面に当接して弾性変形する。
この場合、記録ヘッドHのノズル形成面に対し、インク
吸収体70がキャップ部材7より大きい弾性変形量(弾
性変形率)をもって当接する。
【0053】一方、キャップ部材7は、前記キャップホ
ルダ9に対して例えば二色成形法によって取り付けられ
ている。なお、このキャップ部材7は、前記したように
エラストマーあるいはゴムなどの軟質性素材によって形
成されている。
【0054】また、キャップ部材7は、前記キャップホ
ルダ9の内側面において前記壁部9c2より突出して形
成されている。そして、キャップ部材7は断面ほぼ三角
形状の突出部を有し、その頂部には前記記録ヘッドHの
ノズル形成面に当接するシール部7bが形成されてい
る。これにより、前記記録ヘッドHのノズル形成面に当
接するシール部7bにおける密接度を高め、前記キャッ
ピング手段6における内部空間の密封状態を良好に保持
し得るように構成されている。
【0055】以上の構成により、インク吸引排出時にイ
ンク吸収体70およびキャップ部材7が記録ヘッドHの
ノズル形成面に圧接することになる。このため、キャッ
プ部材7のノズル形成面への圧接による潰れが抑制さ
れ、正常なインクの吸引排出動作を得ることができると
ともに、キャップ部材7によるシール性を確保すること
ができる。また、クリーニング時にヘッド周辺部に廻り
込んだ廃インクが、ノズル形成面に圧接した状態で接触
するインク吸収体70に吸収される。したがって、本実
施形態においては、良好なクリーニング効果を得ること
ができるため、印字汚れが発生せず、印字品質を保証す
ることができる。
【0056】なお、本実施形態においては、インク吸収
体70の高さ寸法がキャップ部材7の高さ寸法より大き
い寸法に設定する場合について説明したが、本発明はこ
れに限定されず、小さい寸法に設定してもよい。この場
合、キャッピング時にキャッピング手段6が上昇する
と、先ずキャップ部材7が記録ヘッドHのノズル形成面
に当接して弾性変形する。次に、インク吸収体70が記
録ヘッドHのノズル形成面に当接し、キャップ部材7よ
り大きい弾性変形率をもって弾性変形する。
【0057】次に、本発明の第二実施形態につき、図8
を用いて説明する。図8は、キャップホルダに対してイ
ンク吸収体およびキャップ部材を取り付けた状態のアッ
センブリを示す断面図である。なお、同図において、ス
ライダ,キャップホルダおよびキャップ部材については
図5乃至図7と同一の符号を付している。図8に示すよ
うに、前記キャップホルダ9には、前記壁部9c2(図
5および図6に図示)を囲繞する四角枠状のインク吸収
体80が例えばインサート成形法によって取り付けられ
ている。
【0058】このインク吸収体80は、前記キャップ部
材7の弾力性より小さい弾力性をもつ硬質性素材によっ
て形成されている、そして、その高さ寸法は、非キャッ
ピング状態において前記キャップ部材7の高さ寸法より
小さい寸法に設定されている。すなわち、インク吸収体
80は、キャップ部材7のノズル形成面への当接状態に
おいて、ノズル形成面の縁部に所定の空隙をもって配置
されている。これにより、キャッピング時にキャッピン
グ手段6が上昇すると、先ずキャップ部材7が記録ヘッ
ドHのノズル形成面に当接して弾性変形する。次に、イ
ンク吸収体80が記録ヘッドHのノズル形成面に当接す
る。
【0059】この場合、インク吸引排出時にインク吸収
体80のノズル形成面に対する良好な密接度を得るとと
もに、キャップ部材7のノズル形成面への圧接による潰
れを抑制するために、キャップ部材7のノズル形成面に
対する当接状態において、インク吸収体80の先端面と
ノズル形成面の縁部との空隙寸法δは、δ=0.2mm
程度とする寸法であることが望ましい。
【0060】なお、δ>0.2mmであると、インク吸
収体80のノズル形成面への密接度が悪くなり、廃イン
クを除去する能力が低下する。また、δ<0.2mmで
あると、キャッピング時にインク吸収体80が過度に潰
れてシール性が低下する。
【0061】以上の構成により、インク吸引排出時にイ
ンク吸収体80およびキャップ部材7が記録ヘッドHの
ノズル形成面に圧接することになる。このため、キャッ
プ部材7のノズル形成面への圧接による潰れが抑制さ
れ、正常なインクの吸引排出動作を得ることができると
ともに、キャップ部材7によるシール性を確保すること
ができる。また、クリーニング時にヘッド周辺部に廻り
込んだ廃インクが、ノズル形成面に密接した状態で接触
するインク吸収体80に吸収される。したがって、本実
施形態においては、第一実施形態と同様に、良好なクリ
ーニング効果を得ることができるため、印字汚れが発生
せず、印字品質を保証することができる。
【0062】なお、実施形態においては、インク吸収体
70,80の先端部の断面形状が矩形である場合につい
て説明したが、本発明はこれに限定されず、その先端部
がノズル形成面への圧接によって潰れやすくなるような
平面形、例えば図9および図10にそれぞれ示すように
略半円形,三角形であってもよい。これにより、インク
吸収体70,80の高さ寸法がキャップ部材7の高さ寸
法より小さい場合に、インク吸収能力を犠牲にすること
なく、キャップ部材7のシール性を保証することができ
る。
【0063】
【発明の効果】以上の説明で明らかなとおり、本発明に
係るインクジェット式記録装置によると、良好なクリー
ニング効果を得ることができるため、印字汚れの発生を
防止して印字品質を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたインクジェット式記録装置
の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用されたインクジェット式記録装置
におけるキャッピング手段およびワイピング手段の構成
を主に示す平面図である。
【図3】図1の非キャッピング状態を示す側面図であ
る。
【図4】図1のキャッピング状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るインクジェット式
記録装置におけるキャップホルダに対してインク吸収体
を取り付けた状態のアッセンブリを示す平面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るインクジェット式
記録装置におけるキャップホルダに対してインク吸収体
およびキャップ部材を取り付けた状態のアッセンブリを
示す平面図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係るインクジェット式
記録装置におけるキャップホルダに対してインク吸収体
およびキャップ部材を取り付けた状態のアッセンブリを
模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係るインクジェット式
記録装置におけるキャップホルダに対してインク吸収体
およびキャップ部材を取り付けた状態のアッセンブリを
模式的に示す断面図である。
【図9】インク吸収体における先端部の変形例(1)を
示す断面図である。
【図10】インク吸収体における先端部の変形例(2)
を示す断面図である。
【図11】従来におけるインクジェット式記録装置のキ
ャッピング手段を説明するために示す断面図である。
【図12】従来におけるインクジェット式記録装置のキ
ャッピング手段を説明するために透視して示す平面図で
ある。
【符号の説明】
1 キャリッジ 2 キャリッジモータ 3 タイミングベルト 4 ガイドロッド 5 プラテン 6 キャッピング手段 7 キャップ部材 9 キャップホルダ 10 スライダ 70 インク吸収体 H 記録ヘッド P 記録用紙

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷データに対応してインク滴を吐出す
    るインクジェット式の記録ヘッドと、 この記録ヘッドのノズル形成面を封止し、このノズル形
    成面からインクを吸引排出するためのキャッピング手段
    とを備えたインクジェット式記録装置であって、 前記キャッピング手段は、前記ノズル形成面に当接して
    気密空間をその内部に形成するための軟質性素材からな
    る有底箱状のキャップ部材と、このキャップ部材を保持
    する硬質性素材からなるキャップホルダとを有し、 このキャップホルダには、前記キャップ部材を囲繞する
    インク吸収体が取り付けられていることを特徴とするイ
    ンクジェット式記録装置。
  2. 【請求項2】 前記インク吸収体の高さ寸法が、非キャ
    ッピング状態において前記キャップ部材の高さ寸法より
    大きい寸法に設定されていることを特徴とする請求項1
    に記載されたインクジェット式記録装置。
  3. 【請求項3】 前記インク吸収体の高さ寸法が、非キャ
    ッピング状態において前記キャップ部材の高さ寸法より
    小さい寸法に設定されていることを特徴とする請求項1
    に記載されたインクジェット式記録装置。
  4. 【請求項4】 前記インク吸収体が、前記キャップ部材
    の弾力性より高い弾力性をもつ軟質性素材によって形成
    されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載されたインクジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】 前記インク吸収体が、前記キャップ部材
    の弾力性より低い弾力性をもつ硬質性素材によって形成
    されていることを特徴とする請求項1または請求項3に
    記載されたインクジェット式記録装置。
  6. 【請求項6】 前記キャップ部材の前記ノズル形成面へ
    の当接状態において、前記インク吸収体の先端面と前記
    ノズル形成面の縁部との間の空隙寸法δが、δ=0.2
    mmとする寸法に設定されていることを特徴とする請求
    項1,請求項3または請求項5に記載されたインクジェ
    ット式記録装置。
  7. 【請求項7】 前記インク吸収体の先端部の断面形状
    が、矩形であることを特徴とする請求項1乃至請求項6
    のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置。
  8. 【請求項8】 前記インク吸収体の先端部の断面形状
    が、半円形であることを特徴とする請求項1乃至請求項
    6のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置。
  9. 【請求項9】 前記インク吸収体の先端部の断面形状
    が、三角形であることを特徴とする請求項1乃至請求項
    6のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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