JP2006305799A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 負圧特性を犠牲にすることなく放置信頼性に優れた液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】 チューブポンプ28は、略密閉容器である容器体29内に、押圧チューブ50と、押圧チューブ50を押圧する押圧ローラ61と、押圧ローラ61を保持するローラホルダ60と、を備えている。押圧チューブ50は、両端部が連通部31,32に接続された状態で容器体29内の内側面36に沿ってU字状に保持され、ローラホルダ60は、ホルダ軸70、軸受け部34,41によって回転可能に保持されている。チューブポンプ28は、ローラホルダ60の回転によって押圧チューブ50を押し扱いて負圧を発生させると共に、容器体29内に収容する押圧チューブ50からのインクの蒸発を効果的に抑える。
【選択図】 図3
【解決手段】 チューブポンプ28は、略密閉容器である容器体29内に、押圧チューブ50と、押圧チューブ50を押圧する押圧ローラ61と、押圧ローラ61を保持するローラホルダ60と、を備えている。押圧チューブ50は、両端部が連通部31,32に接続された状態で容器体29内の内側面36に沿ってU字状に保持され、ローラホルダ60は、ホルダ軸70、軸受け部34,41によって回転可能に保持されている。チューブポンプ28は、ローラホルダ60の回転によって押圧チューブ50を押し扱いて負圧を発生させると共に、容器体29内に収容する押圧チューブ50からのインクの蒸発を効果的に抑える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、インクジェット式記録装置、ディスプレー製造装置、電極形成装置、あるいは、バイオチップ製造装置など、液体を吐出して描画等を行う液体吐出装置に関する。
従来、液体吐出装置として、紙への印刷に適したインクジェットプリンタ等が知られており、一般的には、印刷用紙の紙幅方向に往復動するキャリッジに、液体(インク)を微小なノズルから吐出する吐出ヘッドを搭載した構成である。このような液体吐出装置は、液体を扱うことによる特有の課題を有しており、その一つは、ノズル開口からのインクの水分蒸発に関するものである。
そこで、このような事情に鑑み、吐出ヘッドのノズル開口を封止して水分蒸発を抑えるためのキャップ部材や、さらにキャップ部材で封止された空間を減圧することで乾燥したインクをノズルから強制的に吸引(吸引動作)するための吸引ポンプを備えた液体吐出装置が知られている(例えば、特許文献1)。吸引ポンプには、構成が簡単で吸引量等の制御が容易なチューブポンプが好適に用いられる。
チューブポンプは一般に、弾性チューブをローラ等で押し潰して扱くことにより負圧を発生させる構成であるが、その負圧特性を確保するために、弾性チューブには適切な弾性(復元力)が求められる。また弾性チューブは、キャップ部材によって封止された空間と連通する空間を形成することから、壁面を介した乾燥を抑えるために適度なガス(蒸気)遮断性も求められるものである。しかし、ガス遮断性に優れた材質の弾性チューブはその押し潰し力が大きいためチューブポンプを回転させる負荷が大きくなり、その両方を成立させるチューブ材質は存在しなかった。
そこで、本願出願人は、好適な弾性(復元力)を有する第1のチューブと、ガス遮断性に優れた第2のチューブとを備えた液体吐出装置を提案している(特許文献2)。この液体吐出装置は、押し潰して負圧を発生させる部分に第1のチューブを、キャップ部材と直結する部分に第2のチューブを用いることで、適切な負圧を確保しつつインクの水分蒸発の低減を図ったものである。
ところが、特許文献2に係る液体吐出装置であっても、第1のチューブの部分からの水分蒸発は避けられず、長期間放置下におけるインクの乾燥に十分に耐えうるものではない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、負圧特性を犠牲にすることなく放置信頼性に優れた液体吐出装置を提供することを目的としている。
本発明は、ノズルから液体を吐出する吐出ヘッドと、前記ノズルの開口を封止するキャッピング手段と、前記キャッピング手段によって封止された空間に負圧を発生させるチューブポンプと、を備えた液体吐出装置であって、前記チューブポンプは、弾性を有するチューブ状部材と、前記チューブ状部材を押圧する押圧手段と、前記押圧手段および前記チューブ状部材の少なくとも一部を、実質的に気密状態で収容する容器体と、を備えることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置は、チューブ状部材が実質的に気密状態で容器体内に収容されているので、チューブ状部材からの液体の乾燥が好適に防止され、放置信頼性に優れている。
この発明の液体吐出装置は、チューブ状部材が実質的に気密状態で容器体内に収容されているので、チューブ状部材からの液体の乾燥が好適に防止され、放置信頼性に優れている。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記チューブ状部材の全体が前記容器体内に収容されていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、チューブ状部材からの液体の乾燥をより好適に防止することができる。
この発明の液体吐出装置によれば、チューブ状部材からの液体の乾燥をより好適に防止することができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置は、前記容器体の外郭を貫通する連通路が形成された連通部を備えていて、前記連通部における前記容器体内側の端部と前記チューブ状部材の端部とが接続されていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置は、チューブ状部材内を流動する空気ないし液体は、連通部を介して容器体外と授受される構成となっている。このため、チューブ状部材が容器体外に直接露出することがなく、容器体の気密性に優れている。
この発明の液体吐出装置は、チューブ状部材内を流動する空気ないし液体は、連通部を介して容器体外と授受される構成となっている。このため、チューブ状部材が容器体外に直接露出することがなく、容器体の気密性に優れている。
また好ましくは、前記連通部を備える前記液体吐出装置において、前記連通部の前記容器体外側の端部と前記キャッピング手段とが連通路を有する接続手段を介して接続されていて、前記接続手段は、前記チューブ状部材よりもガス遮断性に優れた部材で形成されていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置は、連通部とキャッピング手段とがガス遮断性に優れた接続手段で接続されているので、当該接続手段からの液体の乾燥が抑えられ、放置信頼性に優れている。
この発明の液体吐出装置は、連通部とキャッピング手段とがガス遮断性に優れた接続手段で接続されているので、当該接続手段からの液体の乾燥が抑えられ、放置信頼性に優れている。
また好ましくは、前記押圧手段を保持する保持手段を備えた前記液体吐出装置において、前記容器体は、前記保持手段を当該容器体内において回転可能に保持すると共に、当該回転によって前記押圧手段が前記チューブ状部材を押し扱くように当該チューブ状部材を保持することを特徴とする。
この発明の液体吐出装置は、容器体が、チューブ状部材を収容する略気密空間を形成すると共に、保持手段やチューブ状部材をポンプとして機能させる状態で保持するホルダとしての役割も担っている。これにより、放置信頼性に優れると共に、コンパクトで高効率なチューブポンプを備えた液体吐出装置となっている。
この発明の液体吐出装置は、容器体が、チューブ状部材を収容する略気密空間を形成すると共に、保持手段やチューブ状部材をポンプとして機能させる状態で保持するホルダとしての役割も担っている。これにより、放置信頼性に優れると共に、コンパクトで高効率なチューブポンプを備えた液体吐出装置となっている。
また好ましくは、前記保持手段と、前記容器体の外郭を貫通し、前記保持手段に当該容器体外から駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、を備えた前記液体吐出装置において、前記駆動力伝達手段と前記外郭との間に軟性シール手段を備えることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、軟性シール手段が駆動力伝達手段と容器体の外郭部との隙間を埋める役割を果たすので、容器体の気密性の向上を図ることができる。軟性シール手段には、好ましくはゲル状の部材が用いられる。
この発明の液体吐出装置によれば、軟性シール手段が駆動力伝達手段と容器体の外郭部との隙間を埋める役割を果たすので、容器体の気密性の向上を図ることができる。軟性シール手段には、好ましくはゲル状の部材が用いられる。
また好ましくは、前記保持手段と、前記容器体の外郭を貫通し、前記保持手段に当該容器体外から駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、を備えた前記液体吐出装置において、前記容器体内における前記駆動力伝達手段の周囲に、細路構造を形成するリブが設けられていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、駆動力伝達手段の周囲に形成されたリブが細路構造を形成するため、駆動力伝達手段と容器体の外郭部との間の隙間を介した容器体内外の通気が制限されて、容器体の気密性の向上を図ることができる。
この発明の液体吐出装置によれば、駆動力伝達手段の周囲に形成されたリブが細路構造を形成するため、駆動力伝達手段と容器体の外郭部との間の隙間を介した容器体内外の通気が制限されて、容器体の気密性の向上を図ることができる。
また好ましくは、前記保持手段と、前記容器体の外郭を貫通し、前記保持手段に当該容器体外から駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、前記保持手段に駆動力を伝達するための歯車機構と、を備えた前記液体吐出装置において、前記歯車機構が、前記容器体内に収容されていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、歯車機構ごと容器体内に収容された構成となっているので、チューブポンプの駆動音の静音化を図ることができる。
この発明の液体吐出装置によれば、歯車機構ごと容器体内に収容された構成となっているので、チューブポンプの駆動音の静音化を図ることができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置は、前記容器体内に保湿部材を備えることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置によれば、保湿部材によって容器体内における液体の蒸気圧を高めることができるので、チューブ状部材を介した液体の蒸発が抑えられ、放置信頼性の向上を図ることができる。
この発明の液体吐出装置によれば、保湿部材によって容器体内における液体の蒸気圧を高めることができるので、チューブ状部材を介した液体の蒸発が抑えられ、放置信頼性の向上を図ることができる。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記容器体は、第1の外郭部材と第2の外郭部材とを備え、前記第1および第2の外郭部材は、互いに溶着されていることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置は、容器体を構成する第1および第2の外郭部材が互いに溶着されているので、容器体の気密性に優れている。
この発明の液体吐出装置は、容器体を構成する第1および第2の外郭部材が互いに溶着されているので、容器体の気密性に優れている。
また好ましくは、前記液体吐出装置において、前記容器体は、第1の外郭部材と第2の外郭部材とを備え、前記第1および第2の外郭部材は、固定シール手段を介して互いに密着していることを特徴とする。
この発明の液体吐出装置は、容器体を構成する第1および第2の外郭部材が固定シール手段を介して互いに密着しているので、容器体の気密性に優れている。
この発明の液体吐出装置は、容器体を構成する第1および第2の外郭部材が固定シール手段を介して互いに密着しているので、容器体の気密性に優れている。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
まずは、図1、図2を参照して、液体吐出装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明に係る液体吐出装置の一例を表す概略斜視図である。図2は、キャップ部材およびその周辺の構成を示す一部破断の側面図である。
図1は、本発明に係る液体吐出装置の一例を表す概略斜視図である。図2は、キャップ部材およびその周辺の構成を示す一部破断の側面図である。
図1において、液体吐出装置としてのプリンタ1は、用紙2に対して液体としてのインクを吐出して画像等の描画を行う装置である。プリンタ1は、インクを吐出する吐出ヘッド3と、吐出ヘッド3を搭載するキャリッジ4と、キャリッジ4を往復動(主走査)させる主走査機構5と、用紙2を移送(副走査)するプラテンローラ6と、吐出ヘッド3のメンテナンスを行うメンテナンスユニット12と、を備えている。
吐出ヘッド3から吐出するインクには、例えば、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のものが使用され、キャリッジ4上に搭載されたインクカートリッジ7a〜7dにそれぞれが収容されている。このインクカートリッジ7a〜7dの底部にはインクを導出する導出部(図示せず)が設けられており、吐出ヘッド3に設けられたインク導入部(図示せず)と結合して、吐出ヘッド3にインクを供給するようになっている。
図2において、吐出ヘッド3の内部には複数に枝分かれした微細な流路が形成されており、当該流路の端部にはそれぞれ圧力室(キャビティ)16およびノズル17が形成されている。圧力室16には圧電素子等の圧力発生手段(図示せず)が設けられており、この圧力発生手段の駆動により、吐出面13に形成されたノズル17の開口からインク滴が吐出される。尚、圧力発生手段の駆動による吐出制御は、ノズル17毎に行うことが可能である。
再び図1に戻って、主走査機構5は、キャリッジ4と結合されるタイミングベルト8と、タイミングベルト8を駆動するモータ9と、キャリッジ4のガイド軸をなすガイドロッド10と、を備えている。キャリッジ4はタイミングベルト8を介してモータ9によって駆動され、ガイドロッド10に沿って往復動(主走査)する。
上述の構成において、主走査および副走査と同期させて吐出ヘッド3のノズル17(図2参照)毎の吐出制御を行うことにより、用紙2上に所望の画像が形成される。
メンテナンスユニット12は、吐出ヘッド3の吐出面13の一定領域を囲んで封止可能なキャッピング手段としてのキャップ部材15を備えている。キャップ部材15は、吐出面13を覆うことで、ノズル17(図2参照)を粉塵や乾燥などから保護する役割を果たすほか、後述する吸引動作にも用いられる。
メンテナンスユニット12はまた、ゴム等で形成された板状部材であるワイパブレード14を有している。ワイパブレード14は、吐出面13を払拭して表面に付着したインク等を除去するのに用いられる。
図2において、キャップ部材15は、吐出ヘッド3の吐出面13と対向する側に開口を有する箱型の弾性部材である。キャップ部材15は、上縁部分のシール部15bを吐出ヘッド3の吐出面13に密着させることで、ノズル17の開口を封止(キャッピング)することができる。
キャップ部材15内には、スポンジや不職布などで形成された吸液材18が設けられている。吸液材18は、キャッピングの状態においてノズル17の開口に面する空間15aを保湿する役割を果たしており、ノズル17およびその近傍におけるインクの乾燥を抑える効果を発揮するものである。
キャップ部材15の底部には連通管19が形成されており、連通管19は、接続手段としての連通チューブ21の一端と接続されている。連通チューブ21は、キャップ部材15がスライダー機構などによって移動可能に構成されることに鑑みて、適度な可撓性を有していることが好ましい。また、空間15aと連通される空間を形成することに鑑みて、壁面を介したインクの蒸発を抑えるためにガス遮断性に優れたものであることが好ましい。具体的には、ブチルゴムチューブや、表面に金属塗装がなされたゴムチューブなどが用いられる。
連通チューブ21の他端は、チューブポンプ28の容器体29に形成された連通部31と接続されている。このチューブポンプ28は、実質的な密閉容器である容器体29の中に各機構部品を収容した構成となっており、容器体29の外部に設けられている駆動モータ(図示せず)により駆動可能となっている。これにより、チューブポンプ28は、連通チューブ21、連通管19を介して空間15aに負圧(大気圧に対して負である圧力)を発生させることができる。
かくして、キャッピングの状態でチューブポンプ28を駆動すると、空間15aに発生する負圧によって吐出ヘッド3のノズル17からインクが吸引される(吸引動作)。この吸引動作は、ノズル17の内方における異物や気泡、乾燥して特性の劣化(粘度の増加等)したインクなどを強制的に排出して、吐出特性の回復を図るのに用いられる。
ノズル17から吸引されたインクは、キャップ部材15、連通チューブ21、チューブポンプ28を通り、チューブポンプ28のもう一つの連通部32と接続された廃液チューブ22の一端から廃液タンク23に排出される。排出されたインクは、不職布や吸液性ポリマーなどで構成された吸液材24に吸収されて保持される。尚、廃液チューブ22には、連通チューブ21と同様、ガス遮断性に優れたものが好適に用いられる。
ここで、廃液タンク23は略気密構造を有していて、廃液チューブ22の一端は蓋部材25に設けられた貫通孔を介して廃液タンク23内に収容されている。これにより、廃液チューブ22の一端からのインクの蒸発を抑えることが可能となる。廃液タンク23の蓋部材25にはチューブポンプ28からの圧力を開放するための大気開放孔26が設けられているが、インクの蒸発を妨げるため迷路様の細路構造を有して形成されることが好ましい。
次に、図3、図4、図5を参照して、チューブポンプ28の構成および動作についての説明を行う。
図3は、チューブポンプの概略構成を示す分解斜視図である。図4は、ホルダ軸の周辺構造を示す断面図である。図5は、チューブポンプの動作を示す断面図である。
図3は、チューブポンプの概略構成を示す分解斜視図である。図4は、ホルダ軸の周辺構造を示す断面図である。図5は、チューブポンプの動作を示す断面図である。
図3において、チューブポンプ28は、第1の外郭部材としての基体部材30と第2の外郭部材としての蓋部材40とで構成される容器体29の中に、チューブ状部材としての押圧チューブ50と、押圧チューブ50を押圧する押圧手段としての押圧ローラ61と、押圧ローラ61を保持する保持手段としてのローラホルダ60と、を備えている。
基体部材30は一面側に大きく開口された器状の部材であり、蓋部材40は、平面視方向から見て基体部材30とほぼ重なる形状に形成された板状の部材である。基体部材30と蓋部材40とは、固定シール手段としての接着剤52を介して接着されているため、気密性の高い収容室35が形成される。尚、接着に代えて、ゴムパッキンを介してねじ止めにより基体部材30と蓋部材40とを密着させてもよいし、基体部材30と蓋部材40とを溶着させてもよい。
基体部材30は、壁面を貫通する貫通孔を有して筒状に形成された連通部31,32を備えている。また、連通部31,32の近傍には、内底部から延出して形成されたガイドリブ33が形成されている。押圧チューブ50は、その両端付近がガイドリブ33と基体部材30の内側面36によって挟持されると共に、内側面36に沿ってU字状に保持される。また、押圧チューブ50の両端の開口部は、連通部31,32と接続される。尚、連通部31,32は、押圧チューブ50と連通チューブ21(図2参照)との継ぎ手としての役割も果たしており、基体部材30と一体に形成される場合には部品点数の削減にもなる。
ローラホルダ60は、円盤状の一対のガイド板60a,60bが対向した状態で支柱部60cによって連結された構造をしており、ガイド板60a,60bには、貫通されたガイド溝64が形成されている。また、ローラホルダ60には、ガイド板60a,60b、支柱部60cを貫通して固定されたホルダ軸70が取り付けられており、さらにホルダ軸70を円形状に囲むように、ガイド板60aの一面側にリブ63が形成されている。
押圧ローラ61は、円柱状の押圧部61aとローラ軸61bを備えている。押圧ローラ61は、ローラ軸61bがガイド溝64に嵌め込まれた状態でガイド板60a,60bに挟持されており、ガイド溝64に沿って移動可能であると共に、ローラ軸61bを回転軸として回転可能にもなっている。
基体部材30の内底部には凹部として形成された軸受け部34が、蓋部材40には、貫通孔として形成された軸受け部41が設けられている。この軸受け部34、軸受け部41は、ホルダ軸70を受けてローラホルダ60を回転可能に保持する。ホルダ軸70は、容器体29外の歯車53に形成された貫通孔53aに挿入されて固定され、歯車53は、駆動モータのスピンドル56に連結された歯車54と噛み合って歯車機構55を構成する。かくして、駆動モータからの駆動力が、歯車機構55、駆動力伝達手段としてのホルダ軸70を介してローラホルダ60に伝達され、ローラホルダ60が回転する。そして、ローラホルダ60の回転によって押圧チューブ50が押圧ローラ61によって押し扱かれ、効率的に負圧を発生させる。
図4に示すように、ホルダ軸70と軸受け部41との間には、軟性シール手段としてのグリース57が介在している。これにより、ホルダ軸70と軸受け部41との間の摺動負荷が低減されると共に、収容室35の気密性が高められている。尚、グリース57に代えて、スポンジ様あるいは繊維質の部材を用いて気密性の向上を図ってもよい。
また、蓋部材40の裏面側(図の下側)には、ホルダ軸70を円形状に囲むように形成されたリブ43,44が形成されており、ローラホルダ60のガイド板60aに形成されたリブ63(図3も参照)と組み合わさって、ホルダ軸70の周囲に細路構造を形成している。このため、ホルダ軸70と軸受け部41との間の隙間を介した容器体29の内外における通気が制限され、その結果、収容室35の気密性が高められている。
再び図3に戻って、収容室35におけるガイドリブ33と基体部材の内側面37とで囲まれた領域38には、スポンジや不職布などで形成された保湿材51が配置されており、この保湿材51にはインクの溶媒成分が吸収されている。これにより、収容室35内は適度に保湿され、押圧チューブ50からのインクの蒸発が好適に抑えられる。
図5に示すように、ローラホルダ60が正転方向に回転すると、押圧チューブ50は押圧ローラ61によって押し扱かれる。このとき、押圧チューブ50における押圧ローラ61の進行側は押圧によって加圧され、押圧ローラ61の進行逆側は押圧された状態からの復元によって減圧されることになる。かくして、連通部31側には負圧が、連通部32側には正圧が発生し、ポンプとしての機能が果たされることになる。このことからわかるように、チューブポンプ28の負圧特性は押圧チューブ50の弾性(復元力)に依存するものであり、好適な材料としては、例えばシリコンゴム等が挙げられる。
このように、容器体29は、気密性の高い収容室35を形成して押圧チューブ50を収容すると共に、ローラホルダ60や押圧チューブ50をポンプとして機能させる状態で保持するホルダとしての役割も担っている。これにより、押圧チューブ50からのインクの蒸発が効果的に抑えられると共に、コンパクトで高効率なチューブポンプ28が構成されている。また、押圧チューブ50の材料や肉厚などについて、ガス透過性を考慮する必要がないため、負圧特性やコストを優先した自由度の高い設計が可能である。
かくして、このチューブポンプ28を備えたプリンタ1(図1参照)は、キャッピングの状態(図2参照)において押圧チューブ50からのインクの蒸発が好適に抑えられ、空間15a(図2参照)内の保湿状態が維持されるので、好適な負圧特性を確保しつつも放置信頼性にも優れている。
図5において、ローラホルダ60が逆転方向に回転した場合は、押圧ローラ61は、ガイド溝64に沿って仮想線で示す位置に移動する。このときの押圧ローラ61の位置は、正転回転のときの位置(実線の位置)に比べてローラホルダ60の回転中心寄りの位置となっているため、押圧ローラ61は押圧チューブ50から離間して、押圧状態の開放(リリース)がなされる。チューブポンプ28は、待機時においてはこのようなリリース状態となって、空間15a(図2参照)を大気開放するようになっている。これは、空間15a(図2参照)の圧力変動によるノズル17(図2参照)のメニスカス(インク界面)の破壊を防ぐための処置である。
(変形例)
次に、図6を参照して上述の実施形態の変形例について説明する。尚、以下では、先の説明と重複する内容については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図6は、変形例に係るチューブポンプおよびその周辺の構成を示す斜視図である。
次に、図6を参照して上述の実施形態の変形例について説明する。尚、以下では、先の説明と重複する内容については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図6は、変形例に係るチューブポンプおよびその周辺の構成を示す斜視図である。
図6において、チューブポンプ28は、容器体29内に歯車機構55を収容した構成となっており、歯車54に連結された駆動モータのスピンドル56が、容器体29に形成された軸受け部58を貫通して容器体29内に駆動力を伝達している。すなわち、スピンドル56は、駆動力伝達手段として機能している。このように、本発明における駆動力伝達手段は、ローラホルダ60と直結するホルダ軸70に限定されるものではない。また、この変形例のように、歯車機構55が容器体29内に収容されている構成により、駆動音の静音化を図ることができる。
また、この変形例のチューブポンプ28は、押圧チューブ50の両端部が容器体29に形成された貫通孔71,72を通して容器体29外まで延出され、継ぎ手部材73,74を介してそれぞれ廃液チューブ22、連通チューブ21と接続されている。このように、チューブポンプ28は、押圧チューブ50の一部が容器体29外に露出されている構成とすることもできる。ただし、先の実施形態のように連通部31,32を有して押圧チューブ50の全体が容器体29内に収容されている構成の方が、押圧チューブ50からのインクの蒸発が効果的に抑えられるため、より好ましい態様である。
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、押圧チューブ50は、容器体29内においてΩ字状に保持されていてもよく、その引き回しの態様は、実施形態に限定されるものではない。
また、保湿材51は、基体部材30や蓋部材40の内側に形成された凹部内に配置されていてもよい。
また、固定シール手段としての接着剤52、軟性シール手段としてのグリース57、細路構造を形成するリブ43,44,63は、収容室35の気密性を高めるための加重要件であって、これらを除いてチューブポンプ28を構成することもできる。
また、保湿材51は、収容室35に保湿性を付加するための加重要件であって、これを除いてチューブポンプ28を構成することもできる。
また、廃液タンク23は、略気密構造に構成されていなくてもよい。
また、ホルダ軸70は、上述の実施形態では、ローラホルダ60や歯車53に対しての空転を避けるために側面の一部が切り欠かれた形状となっているが、他の手段によって空転を回避した上で断面円形とすることができる。この場合、軸受け部41との間隙が小さくなるので、収容室35の気密性をより高めることができる。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
例えば、押圧チューブ50は、容器体29内においてΩ字状に保持されていてもよく、その引き回しの態様は、実施形態に限定されるものではない。
また、保湿材51は、基体部材30や蓋部材40の内側に形成された凹部内に配置されていてもよい。
また、固定シール手段としての接着剤52、軟性シール手段としてのグリース57、細路構造を形成するリブ43,44,63は、収容室35の気密性を高めるための加重要件であって、これらを除いてチューブポンプ28を構成することもできる。
また、保湿材51は、収容室35に保湿性を付加するための加重要件であって、これを除いてチューブポンプ28を構成することもできる。
また、廃液タンク23は、略気密構造に構成されていなくてもよい。
また、ホルダ軸70は、上述の実施形態では、ローラホルダ60や歯車53に対しての空転を避けるために側面の一部が切り欠かれた形状となっているが、他の手段によって空転を回避した上で断面円形とすることができる。この場合、軸受け部41との間隙が小さくなるので、収容室35の気密性をより高めることができる。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
1…液体吐出装置としてのプリンタ、3…吐出ヘッド、4…キャリッジ、12…メンテナンスユニット、13…吐出面、15…キャッピング手段としてのキャップ部材、15a…空間、15b…シール部、16…圧力室、17…ノズル、18…吸液材、19…連通管、21…接続手段としての連通チューブ、22…廃液チューブ、23…廃液タンク、28…チューブポンプ、29…容器体、30…第1の外郭部材としての基体部材、31,32…連通部、33…ガイドリブ、34…軸受け部、35…収容室、36,37…内側面、40…第2の外郭部材としての蓋部材、41…軸受け部、43,44…細路構造を形成するリブ、50…チューブ状部材としての押圧チューブ、51…保湿材、52…固定シール手段としての接着剤、53…歯車、53a…貫通孔、55…歯車機構、56…(変形例における)駆動力伝達手段としてのスピンドル、57…軟性シール手段としてのグリース、58…軸受け部、60…保持手段としてのローラホルダ、60a…ガイド板、60c…支柱部、61…押圧手段としての押圧ローラ、61a…押圧部、61b…ローラ軸、63…細路構造を形成するリブ、64…ガイド溝、70…駆動力伝達手段としてのホルダ軸、71,72…貫通孔。
Claims (11)
- ノズルから液体を吐出する吐出ヘッドと、前記ノズルの開口を封止するキャッピング手段と、前記キャッピング手段によって封止された空間に負圧を発生させるチューブポンプと、を備えた液体吐出装置であって、
前記チューブポンプは、弾性を有するチューブ状部材と、
前記チューブ状部材を押圧する押圧手段と、
前記押圧手段および前記チューブ状部材の少なくとも一部を、実質的に気密状態で収容する容器体と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記チューブ状部材の全体が前記容器体内に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記容器体の外郭を貫通する連通路が形成された連通部を備えていて、
前記連通部における前記容器体内側の端部と前記チューブ状部材の端部とが接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。 - 前記連通部の前記容器体外側の端部と前記キャッピング手段とが連通路を有する接続手段を介して接続されていて、
前記接続手段は、前記チューブ状部材よりもガス遮断性に優れた部材で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。 - 前記押圧手段を保持する保持手段を備えた請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
前記容器体は、前記保持手段を当該容器体内において回転可能に保持すると共に、当該回転によって前記押圧手段が前記チューブ状部材を押し扱くように当該チューブ状部材を保持することを特徴とする液体吐出装置。 - 前記容器体の外郭を貫通し、前記保持手段に当該容器体外から駆動力を伝達するための駆動力伝達手段を備えた請求項5に記載の液体吐出装置であって、
前記駆動力伝達手段と前記外郭との間に軟性シール手段を備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記容器体の外郭を貫通し、前記保持手段に当該容器体外から駆動力を伝達するための駆動力伝達手段を備えた請求項5または6に記載の液体吐出装置であって、
前記容器体内における前記駆動力伝達手段の周囲に、細路構造を形成するリブが設けられていることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記保持手段に駆動力を伝達するための歯車機構をさらに備えた請求項5ないし7のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
前記歯車機構が、前記容器体内に収容されていることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記容器体内に保湿部材を備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
- 前記容器体は、第1の外郭部材と第2の外郭部材とを備え、
前記第1および第2の外郭部材は、互いに溶着されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記容器体は、第1の外郭部材と第2の外郭部材とを備え、
前記第1および第2の外郭部材は、固定シール手段を介して互いに密着していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
Priority Applications (1)
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JP2005129083A JP2006305799A (ja) | 2005-04-27 | 2005-04-27 | 液体吐出装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010143158A (ja) * | 2008-12-21 | 2010-07-01 | Ricoh Co Ltd | チューブポンプ及び画像形成装置 |
-
2005
- 2005-04-27 JP JP2005129083A patent/JP2006305799A/ja not_active Withdrawn
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