JP4122375B2 - マシナブルワックス組成物、マシナブルワックス被加工物及びそれらの製造方法 - Google Patents

マシナブルワックス組成物、マシナブルワックス被加工物及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳型原型等の製造に用いるマシナブルワックス組成物、マシナブルワックス被加工物及びそれらの製造方法に関するものである。
鋳造原型等の工業用模型は、切削加工用のマシナブルワックス被加工物を切削加工して製造することができる。この場合、加工の際に工業用模型が破損しないように一定の硬度、曲げ強度等の機械的強度が要求される。従来から、曲げ強度を高くする等の理由により、比較的安価なポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックスが用いられている。
特開2005−13998号公報には、ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物及びマシナブルワックス被加工物が開示されている。
特開2005−13998号公報
しかしながら、従来のポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックスを用いた工業用模型では、比較的安価で十分な曲げ強度は得られるものの、十分な硬度は得られない。また、工業用模型の硬度を意図的に高くすることは可能であるが、硬度が高くなると曲げ強度が低下する。これは、曲げ強度が高いと硬度が低くなり、曲げ強度が低いと硬度が高くなるという物質の一般的特性によるものである。また、工業用模型の硬度を高くすると、切削加工時に切削工具の摩耗が大きくなり加工コストが増加する。また切削加工後の加工屑が細かくなるため、この細かい加工屑が静電気等により工業用模型に付着して、切削加工後の処理作業が面倒になる。特に電線被覆用のポリエチレン樹脂を再利用したポリエチレン樹脂を用いた工業用模型では、電線被覆用のポリエチレンに多くの不純物が含まれるため、硬度、曲げ強度等の機械的強度が低下する上、切削工具の摩耗が大きくなることによる加工コストがさらに増加し、切削加工後の処理作業がさらに面倒になる等の切削加工性に問題がある。
また、鋳物の精密鋳造を行うロストワックスとしてマシナブルワックスを用いる場合、耐火物で周囲を固める際に鋳造用模型(または工業用模型)の細部が破損しないように、さらに厳しい機械的強度が要求される。ロストワックスによる鋳造では、まず鋳造する目的物と同一形状の鋳造用模型をワックス(樹脂)で作成し、次に作成した鋳造用模型の周囲を耐火物で固め、これを樹脂製模型の樹脂が溶融して消失(ロスト)する温度以上、かつ耐火物が溶融して変形しない温度以下の温度で加熱する。この加熱により鋳造用模型の樹脂が消失(ロスト)し、鋳造用模型と同一の形状からなる空間が、耐火物の内部に形成される。そして、この空間に溶融した金属を注いで目的物である鋳物が製造される。なお、鋳造用模型に用いるワックス(樹脂)は、上述の加熱により耐火物内で消失することから、ロストワックスと呼ばれている。このロストワックスによる鋳造法では、ワックス(樹脂)を用いて被加工物を成型し、これに切削加工を施して所望の目的物と同一の形状を有する鋳造用模型を製造する。この鋳造用模型には、上述の耐火物で周囲を固める際または切削加工の際に、鋳造用模型の一部(特に細部)が破損しないように、一定の硬度、曲げ強度等の機械的強度が要求されるため、ロストワックスとしてマシナブルワックスを用いる場合、従来のマシナブルワックスでは、この条件を満たすのが難しかった。
本発明の目的は、工業用模型を切削加工する際に工業用模型が破損し難く、加工コストの増加を防ぎ、かつ加工後の後処理が容易なマシナブルワックス組成物、マシナブルワックス被加工物及びこれらの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、電線被覆用のポリエチレンを再利用したポリエチレン樹脂を用いた場合でも、工業用模型を切削加工する際に工業用模型が破損し難く、加工コストの増加を防ぎ、かつ加工後の後処理が容易なマシナブルワックス組成物、マシナブルワックス被加工物及びこれらの製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、マシナブルワックスをロストワックスとして用いた場合でも、鋳造用模型を切削加工する際に鋳造用模型が破損し難く、加工コストの増加を防ぎ、かつ加工後の後処理が容易なマシナブルワックス組成物、マシナブルワックス被加工物及びこれらの製造方法を提供することにある。
本発明が改良の対象とするマシナブルワックス組成物は、ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物である。本発明のマシナブルワックス組成物では、ポリエチレン樹脂として、平均分子量が4000乃至7000であるポリエチレン樹脂を用いる。そして、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンを2〜10重量部を配合する。このように配合したマシナブルワックス組成物を固型化してマシナブルワックス被加工物を作成する。ここで、マシナブルワックス被加工物とは、所望の鋳型原型等の工業用模型に加工する前の状態を示し、加工後の工業用模型よりも大きい体積を有するものである。このようなマシナブルワックス組成物を固型化したマシナブルワックス被加工物を加工した工業用模型を用いると、曲げ強度の低下を抑えつつ、硬度を高くすることができる(機械的強度を高くすることができる)。また、切削工具等の摩耗が小さいため、切削工具の交換回数を少なくすることができ、工業用模型の製造コストの増加を防ぐことができる上に、切削加工時に発生する切削屑が粗くなるため、切削加工後の後処理がし易くなる(切削加工性が高くなる)。
なお、ポリエチレン樹脂100重量部に対して二酸化チタンが2重量部よりも少ない場合は、硬度を高くすることができない上に、加工時の切削工具の摩耗が大きくなり、また切削加工時に発生する加工屑が細かくなり加工後の処理が面倒になる。また二酸化チタンが10重量部よりも多い場合は、曲げ強度が低下する傾向があり、切削加工時に発生する加工屑が細かくなり加工後の処理が面倒になる。これに対して、ポリエチレン樹脂100重量部に対して二酸化チタンが2重量部〜10重量部配合した場合は、硬度が高くなっても、曲げ強度が低下することがない(機械的強度が高くなる)。また、切削加工時に発生する屑が比較的大きくなるため、加工時の切削工具の摩耗が小さくなり、また、加工後の加工屑の除去処理がし易くなるため加工コストの増加を防ぐことができる。
特にマシナブルワックス組成物に配合する二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体を用いると、より機械的強度の高い工業用模型が得られ、しかも工業用模型を製造する際の切削加工性がより良好になる。
またマシナブルワックス組成物に配合する二酸化チタンを、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンが3±1重量部となるように配合すると、これを固型化したマシナブルワックス用被加工物を加工して工業用模型を製造した場合に、硬度が高くなっても、曲げ強度が低下することない機械的強度の高い工業用模型を確実に得ることができ、工業用模型を製造する際の切削加工性をさらに良好にすることができる。
上述した本発明のマシナブルワックス組成物は、比較的使用回数が少なく摩耗、変形等が進んでいない切削工具を用いて切削加工する場合に有効である。しかし、比較的使用回数が多くなり摩耗、変形等が進んだ切削工具を用いた場合は、切削加工後のマシナブルワックス被加工物の表面に細かい傷が発生し、またマシナブルワックス被加工物の一部が欠けたりする場合がある。そこで、上述した本発明のマシナブルワックス組成物に対してさらにエチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部を配合すると、比較的使用回数が多くなり摩耗、変形等が進んだ切削工具を用いた場合でも、切削加工後のマシナブルワックス被加工物の表面に細かい傷が発生し難く、またマシナブルワックス被加工物の一部が欠けたりしないマシナブルワックス組成物が得られる。
なお、摩耗、変形等が進んだ切削工具を用いた場合は、エチレン酢酸ビニル共重合体の添加量が1重量部より少ないと、マシナブルワックス被加工物の表面に傷または欠けを防ぐことができず、エチレン酢酸ビニル共重合体の添加量が5重量部より多くなると、却ってマシナブルワックス被加工物の表面に傷または欠けが発生しやすくなる。
また、本発明が改良の対象とするマシナブルワックス組成物の製造方法は、ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物の製造方法である。本発明のマシナブルワックス組成物の製造方法では、電線被覆用ポリエチレン樹脂を熱分解して、マシナブルワックスの主成分であるポリエチレン樹脂として、平均分子量が4000乃至7000のポリエチレン樹脂を作る。そして、溶融状態にある熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンを2〜10重量部混練してマシナブルワックス組成物を作る。このような製造方法で製造したマシナブルワックス組成物を固型化して工業用模型を作成(成型)すると、上記のマシナブルワックス組成物及びマシナブルワックス用被加工物の発明を用いた場合と同様に、機械的強度を高くすることができ、切削加工性を良好にすることができる。
なお、ポリエチレン樹脂100重量部に対して二酸化チタンが2重量部よりも小さい場合は、硬度を高くすることができない上に、加工時の切削工具の摩耗が大きくなり、また切削加工時に発生する加工屑が細かくなり加工後の処理が面倒になる。また二酸化チタンが10重量部よりも大きい場合は、曲げ強度が低下する傾向があり、切削加工時に発生する加工屑が細かくなり加工後の処理が面倒になる。これに対して、ポリエチレン樹脂100重量部に対して二酸化チタンを2〜10重量部とすると、硬度を高くすることができる上に、曲げ強度も高くなる(機械的強度が高くなる)。また、切削加工時に発生する屑が比較的大きくなるため、加工後の加工屑の除去処理がし易くなり、また、加工時の切削工具の摩耗が小さくなるため、加工コストの増加を防ぐことができる(切削加工性が良好である)。
特に、電線被覆用のポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂単体に比べて不純物を多く含んでいるため、電線被覆用のポリエチレン樹脂を熱分解して得た熱分解ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物を用いて工業用模型を成型すると、十分な機械的強度が得られず、良好な切削加工性は得られない。しかし、本発明では、ポリエチレン樹脂として電線被覆用のポリエチレン樹脂を熱分解して得た熱分解ポリエチレン樹脂を用いたマシナブルワックス組成物を用いて工業用模型を作成(成型)した場合でも、熱分解ポリエチレン樹脂でないポリエチレン樹脂(市販のポリエチレン樹脂等)を用いた場合と同様に、十分な機械的強度が得られ、かつ切削加工性が良好で得られる。また、電線被覆用ポリエチレンは上述のとおり不純物が多く含まれていることから各工業用模型ごとに外観にバラツキが生じる傾向があるものの、本発明のマシナブルワックス組成物を用いると、工業用模型の色彩が白色に統一されるため各工業用模型ごと外観が不均一になることを防ぐことができる。その上、電線被覆用のポリエチレン樹脂の廃棄物を再利用することができる。なお、本発明で用いる電線被覆用のポリエチレン樹脂は、白色電線被覆用でも黒色電線被覆用でも良く、また架橋ポリエチレン樹脂でも非架橋ポリエチレン樹脂でも良い。
また、マシナブルワックス組成物に配合する二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体を用いると、より機械的強度の高い工業用模型が得られ、しかも工業用模型を製造する際の切削加工性がより良好になる。
さらに、マシナブルワックス組成物に配合する二酸化チタンを、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンが3±1重量部となるように配合すると、これを固型化したマシナブルワックス用被加工物を加工して工業用模型を製造した場合に、さらに機械的強度の高い工業用模型を得ることができ、工業用模型を製造する際の切削加工性をさらに良好にすることができる。
上述した本発明のマシナブルワックス組成物の製造方法でも、この製造方法を用いて製造したマシナブルワックス組成物に対してさらにエチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部を配合することにより、比較的使用回数が多くなり摩耗、変形等が進んだ切削工具を用いた場合でも、切削加工後のマシナブルワックス被加工物の表面に細かい傷が発生し難く、またマシナブルワックス被加工物の一部が欠けたりしないマシナブルワックス組成物を得ることができる。なお、この場合も、エチレン酢酸ビニル共重合体の添加量が1重量部より少ないと、マシナブルワックス被加工物の表面に傷または欠けを防ぐことができず、エチレン酢酸ビニル共重合体の添加量が5重量部より多くなると、却ってマシナブルワックス被加工物の表面に傷または欠けが発生しやすくなる。
また、本発明が改良の対象とするマシナブルワックス用被加工物の製造方法は、ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物を用いてマシナブルワックス用被加工物を製造するマシナブルワックス用被加工物の製造方法である。本発明のマシナブルワックス用被加工物の製造方法では、電線被覆用ポリエチレン樹脂を熱分解して、平均分子量が4000乃至7000のポリエチレン樹脂を作る。次に、溶融状態にある熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンも粉末2〜10重量部を混練してマシナブルワックス組成物を作る。そして、このマシナブルワックス組成物を所定の形状に固化して前記マシナブルワックス用被加工物を製造する。このような製造方法で製造したマシナブルワックス用被加工物を加工して工業用模型を作成(成型)すると、上記のマシナブルワックス組成物及びマシナブルワックス用被加工物の発明を用いた場合と同様に、機械的強度を高くすることができ、良好な切削加工性が得られる。
なお、熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して二酸化チタンが2重量部よりも小さい場合は、硬度を高くすることができない上に、加工時の切削工具の摩耗が大きくなり、また切削加工時に発生する加工屑が細かくなり加工後の処理が面倒になる。また二酸化チタンが10重量部よりも大きい場合は、曲げ強度が低下する傾向があり、切削加工時に発生する加工屑が細かくなり加工後の処理が面倒になる。
特に、電線被覆用のポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂単体に比べて不純物を多く含んでいるため、電線被覆用のポリエチレン樹脂を熱分解して得た熱分解ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物を用いて工業用模型を成型すると、十分な機械的強度が得られず、良好な切削加工性は得られない。しかし、ポリエチレン樹脂として電線被覆用のポリエチレン樹脂を熱分解して得た熱分解ポリエチレン樹脂を用いたマシナブルワックス組成物を用いて工業用模型を作成(成型)した場合でも、熱分解ポリエチレン樹脂でないポリエチレン樹脂(市販のポリエチレン樹脂等)を用いた場合と同様に、十分な機械的強度が得られ、かつ良好で切削加工性が得られる。また、電線被覆用ポリエチレンは上述のとおり不純物が多く含まれていることから各工業用模型ごとに外観にバラツキが生じる傾向があるものの、本発明のマシナブルワックス組成物を用いると、工業用模型の色彩が白色に統一されるため各工業用模型ごと外観が不均一になることを防ぐことができる。その上、電線被覆用のポリエチレン樹脂の廃棄物を再利用することができる。なお、本発明で用いる電線被覆用のポリエチレン樹脂は、白色電線被覆用でも黒色電線被覆用でも良く、また架橋ポリエチレン樹脂でも非架橋ポリエチレン樹脂でも良い。
また、マシナブルワックス組成物に配合する二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体を用いると、より機械的強度の高い工業用模型が得られ、しかも工業用模型を製造する際の切削加工性がより良好になる。
さらに、マシナブルワックス組成物に配合する二酸化チタンを、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンが3±1重量部となるように配合すると、これを固型化したマシナブルワックス用被加工物を加工して工業用模型を製造した場合に、確実に機械的強度の高い工業用模型を得ることができ、工業用模型を製造する際の切削加工性を確実に良好にすることができる。
上述した本発明のマシナブルワックス被加工物の製造方法でも、この製造方法を用いて製造したマシナブルワックス被加工物のもとになるマシナブルワックス組成物に対してさらにエチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部を配合することにより、比較的使用回数が多くなり摩耗、変形等が進んだ切削工具を用いた場合でも、切削加工後のマシナブルワックス被加工物の表面に細かい傷が発生し難く、またマシナブルワックス被加工物の一部が欠けたりしないマシナブルワックス組成物を得ることができる。なお、この場合も、エチレン酢酸ビニル共重合体の添加量が1重量部より少ないと、マシナブルワックス被加工物の表面に傷または欠けを防ぐことができず、エチレン酢酸ビニル共重合体の添加量が5重量部より多くなると、却ってマシナブルワックス被加工物の表面に傷または欠けが発生しやすくなる。
本発明の実施の形態の鋳造用模型の外観を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図及び表を適宜用いて説明する。図1は、本発明のマシナブルワックス組成物を用いて成型した工業用模型(鋳造用模型)の一例である。この鋳造用模型は、ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックスを原料として約200℃で加熱し、インジェクション成型で直方体の形状に成型した後に冷却して得られる。マシナブルワックスの主成分であるポリエチレン樹脂には、平均分子量が4000〜7000であるポリエチレン樹脂が用いられている。本実施の形態では、ポリエチレン樹脂として市販の白色電線被覆用の架橋ポリエチレン樹脂を熱分解して得た熱分解ポリエチレン樹脂が用いられている。これに、熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して市販の二酸化チタン(チタン工業社製KA−15)を下記の実施例1乃至3に示す条件で配合する。なお、この二酸化チタンは、アナターゼ型の二酸化チタンである。
本実施の形態では、二酸化チタンとして、水中分散率が83.3%のものを用いた。ここで、水中分散率は、以下の方法で測定する。まず、100mlのメスシリンダに蒸留水60ml及び試料6gを入れて密閉する。このときの液高は32mmである。これを振とうして試料を十分に分散させた後、2時間静置する。メスシリンダ内の上澄みを除去し、沈殿物を採取して乾燥後秤量したものを沈降分(下記B)とする。そして水中分散率は、次式(1)から得られる。
水中分散率(%)=(A−B)÷A×100 …(1)
A:試料(g) B:沈降分(g)
このような配合のマシナブルワックス組成物を用いて鋳造用模型を作成(成型)すると、後述するように、機械的強度が低下することなく切削加工性が良好な鋳造用模型を得ることができ、その上、色彩を中心とした外観上のバラツキを防ぐことができる。
以下、本実施の形態の鋳造用模型を使用した場合の効果(本発明の効果)について、実施例と比較例とを対比して説明する。実施例及び比較例は、下記の条件のもとで、約100×100×10t(mm)のサンプルプレートとして構成されている。
(実施例1)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン2重量部
(実施例2)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン3重量部
(実施例1)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン10重量部
(比較例1)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部のみ
(比較例2)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン1重量部
(比較例3)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン11重量部
(比較例4)熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン15重量部
(比較例5)二酸化チタン以外のチタン系材料(チタンを主成分とする金属粉体F)3重量部、熱分解ポリエチレン樹脂100重量部
(比較例6)二酸化チタン以外のチタン系材料(チタンを主成分とする金属粉体P)3重量部、熱分解ポリエチレン樹脂100重量部
(比較例7)市販ポリオレフィン系マシナブルワックス(米国フリーマン社製マシナブルワックス)
(比較例8)ポリウレタン系ケミカルウッド(三洋化成工業株式会社製サンモジュールNo7K)
比較例のうち、比較例1乃至6は、本発明の実施の形態(実施例)の最適条件を確認するために用意したものである。このうち比較例5及び6については、実施例1乃至3と同様に、上述の条件で水中分散率を測定した。各水中分散率は、実施例1乃至3における二酸化チタンが83.3%であるのに対して、比較例5における金属粉体F及び比較例6における金属粉体Pともに1.6%であった。なお、金属粉体F及び金属粉体Pはともに、チタンを主成分とする金属粉体であり、金属チタンの製造工程において、金属チタンを粗材の状態で研磨する研磨工程で発生する集塵ダストである。これらのうち、金属粉体Fは、空気中に浮遊(Float)するものを集めたものであり、チタンの含有率は金属粉体全体の89.31重量%である。また金属粉体Pは底面に堆積(Pile)したものを集めたものであり、チタンの含有率は金属粉体P全体の89.15重量%である。また、比較例7及び8は、市販の鋳造用模型の原料であり、本実施の形態と市販品とを比べるための比較例である。
これらの実施例及び比較例のサンプルプレートについて、切削加工性、機械的強度を確認した。具体的には、(1)鋳造用模型の硬度(硬さ試験)、(2)曲げ強度(曲げ試験)、(3)加工工具の摩耗度(加工ドリルの摩耗率)、(4)加工屑の後処理性(加工屑の形状)、(5)白色度(鋳造用模型の外観の視認性)を確認した。これらの条件及び確認結果は以下のとおりである。
(1)鋳造用模型の硬度(硬さ試験)
ショアーD硬度計(スガイケイキ)を用いて、JIS Z2246に準拠した測定方法により、硬度を測定した。測定結果は、表1のとおりである。
Figure 0004122375
表1より、実施例1乃至3と比較例1及び2とを比較すると、実施例1乃至3は、比較例1及び2よりも硬度が高い。これは、熱分解ポリエチレン樹脂に二酸化チタンを2〜10重量部添加することにより、サンプルプレートの硬度が増加することを示している。また、実施例1乃至3と比較例3及び4とを比較すると、実施例1乃至3は、比較例1及び2よりも硬度が低い。これは、熱分解ポリエチレン樹脂に二酸化チタンの添加量を11乃至15重量部に増やすことにより、さらにサンプルプレートの硬度が増加することを示している。ただし、比較例3及び4は、後述のとおり、曲げ強度が低くなり(表2)、切削工具の摩耗率が高く(表5)、また切削工具による加工後の加工屑の後処理性が悪いため(表4)、比較例3及び4は比較例にとどまる。
また、実施例1乃至3は、比較例5及び6(二酸化チタン以外のチタン系材料3重量部配合)よりも高い硬度を示している。さらに市販品と比較した場合では、実施例1乃至3は、比較例7(市販のマシナブルワックス)とほぼ同等の硬さを示し、また比較例5(市販のケミカルウッド)と比べて約1.8〜2倍の硬さを示した。なお、比較例5及び6(二酸化チタン以外のチタン系材料を配合)は、比較例3(熱分解ポリエチレン樹脂のみ)及び後述の比較例4(市販のマシナブルワックス)に比べ硬度が若干低下している。これは単にチタン系材料等の無機材料を加えただけでは、却って硬度が低下することを示している。
(2)曲げ強度(曲げ試験)
曲げ試験では、上述の各サンプルプレートからさらに100×10×4t(mm)の板を切り出してこれを試験片とした。なお試験片表面を予め#600耐水研磨紙で調整した。これらの試験片について、プラスティック引っ張り試験機(インストロン社製インストロン5567・1kNロードセルを用いて、JIS K7171に準拠した3点曲げ試験(n=1)を行い、曲げ強度(弾性率、最大点応力、最大点変位)を測定した。測定結果は、表2のとおりである。
Figure 0004122375
全体的な試験結果を見ると、実施例1乃至3及び比較例1乃至7(ポリオレフィン系ワックス)は、その性質上、比較例8(ポリウレタン系ワックス)に比べて、曲げ強度は低くなる。しかし、実施例1乃至3及び比較例1乃至7(ポリオレフィン系ワックス)だけで比較すると、実施例1乃至3(二酸化チタン2〜10重量部添加)は、比較例7(のマシナブルワックス)と同等の曲げ強度を示している。なお、実施例1乃至3に比べて、比較例3,4(二酸化チタン11〜15重量部添加)及び比較例5及び6(二酸化チタン以外のチタン系材料添加)では、弾性率、最大点変位は同等であるが、最大点応力が低くなる。これらの結果は、単に二酸化チタン以外のチタン系材料を添加しても却って曲げ強度が低下することから、チタン系材料の中でも特に二酸化チタンを添加するのが好ましいこと示している。また、熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して二酸化チタンの添加量が11重量部以上になると、却って曲げ強度が低下するため、二酸化チタンの添加量は熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して10重量部までが好ましいことを示している。なお、実施例1乃至3に比べて、比較例1及び2(二酸化チタン0〜1重量部添加)では、曲げ強度は同等であるが、後述のとおり、切削工具の摩耗率が高く(表5)、また切削工具による加工後の加工屑の後処理性が劣ることから(表4)、比較例1及び2は比較例にとどまる。
この曲げ強度の結果を上記(1)の硬さ試験の結果とを併せて考慮すると、ポリエチレン樹脂成型品については一般に硬度が高くなると曲げ強度が低くなり、硬度が低くなると曲げ強度が高くなる傾向がある。これに対して、実施例1乃至3(二酸化チタン2〜10重量部配合)は、硬度の低下及び曲げ強度の低下のいずれも見られなかった。したがって、実施例1乃至3では、一般的なポリエチレン樹脂製品の特性と異なり、硬度も曲げ強度も鋳造用模型として理想的な挙動を示している。
(3)加工工具の摩耗度(加工ドリルの摩耗率)
各サンプルプレートをそれぞれ、6mm径エンドミル(ローランド社製ZHS−600)で加工したものを試料として用いた。エンドミルの加工時間(min)、エンドミルの刃先半径(mm)及び摩耗率[(使用後のエンドミルの刃先半径−未使用のエンドミルの刃先半径)÷加工時間×104)]を測定結果として表3に示す。なお、エンドミルの刃先半径は、刃先の3点を特定してこれら3点を円の半径として求めた。
Figure 0004122375
実施例1乃至3は、比較例7(市販のマシナブルワックス)と同等の摩耗率を示し、比較例8(市販のケミカルウッド)よりも低い摩耗率を示した。また実施例1乃至3は、比較例1及び2(二酸化チタン0〜1重量部添加)よりも低い摩耗率を示した。この結果を考慮すると、比較例1及び2(二酸化チタン0〜1重量部添加)のような不純物が多く含まれているものに対して、二酸化チタンを添加することにより、切削工具の摩耗が小さくなることを示しているものと考えられる。
なお、比較例1及び2は、実施例1乃至3と同等の摩擦率を示しており、また比較例3及び4は、実施例1乃至3よりも低い摩耗率を示している。しかし、比較例1乃至4は、上述のとおり曲げ強度が劣り(表2)、切削工具による加工後の加工屑の後処理性が劣ることから(表4)、比較例1乃至4は比較例にとどまる。
また、比較例5及び6(二酸化チタン以外のチタン系材料配合)の摩耗率は、実施例1乃至3及び比較例7及び8(市販品)の摩耗率に対して10倍以上も高い結果となった。これは、単に二酸化チタン以外のチタン系材料を加えても、工具の摩耗率が高くなり却って切削加工コストが高くなることを示している。
(4)加工屑の後処理性
上記(3)摩耗試験において、発生した加工屑の後処理性を確認した。加工屑の後処理性は目視で行った。確認結果を表4に示す。なおこの表において、○は良好、△はやや不良、×は不良であることを示す。
Figure 0004122375
実施例1乃至3(二酸化チタン2〜10重量部添加)は、比較例1(熱分解ポリエチレン樹脂のみ配合)、比較例7(市販のマシナブルワックス)及び比較例8(市販のポリウレタン系ワックス)よりも比較的粗い加工屑が発生する。そのため実施例1乃至3では、加工屑が加工後のマシナブルワックス用被加工物に付着しにくくなり、加工屑の除去作業等の後処理が容易になる。これに対して、比較例1(熱分解ポリエチレン樹脂のみ配合)、比較例7(市販のマシナブルワックス)及び比較例8(市販のポリウレタン系ワックス)では、加工屑が微細または細かいため静電気等により加工屑が加工後のマシナブルワックス用被加工物に付着し易くなり、加工屑の除去作業等の後処理がし難い。
なお、実施例1乃至3に比べて、比較例2(二酸化チタン1重量部)及び比較例3及び4(二酸化チタン11〜15重量部)では、加工屑が微細または細かくなり、加工屑の後処理がし難くなる。また、比較例5及び6(二酸化チタン以外のチタン系材料配合)では、実施例1乃至3と同等に比較的粗い加工屑が発生し加工屑の後処理が容易になるが、
前述のとおり摩耗率が高くなる点で劣るため、比較例5及び6は比較例にとどまる。
なお、比較例7(市販のマシナブルワックス)は、比較例1(熱分解ポリエチレン樹脂のみ配合)及び比較例8(市販のポリウレタン系ワックス)に比べれば加工屑の形状が若干粗いといえるが、後述のように外観が濃青色である(白色でない)ため、実施例1乃至3と比較して加工屑が完全に除去できたかどうかの確認がし難い傾向がある。
(5)白色度及び着色の均一性(鋳造用模型の外観の視認性)
各サンプルプレートの白色度及び着色の均一性(鋳造用模型の外観の視認性)について、目視による確認を行った。確認結果を表5に示す。なお、この表において、○は良好、△はやや不良、×は不良であることを示す。
Figure 0004122375
実施例1乃至3(二酸化チタン2〜10重量部添加)の外観は、白色を呈し、しかも鋳造用模型全体が均一に白色化されているように見える。その結果、鋳造用模型上の凹凸部分に陰影が現れるため、鋳造用模型の細部の確認または切削加工時に鋳造用模型に付着した加工屑の確認が容易になり、鋳造用模型の取り扱い時の破損が生じにくく、加工屑の除去が容易になる。なお、本実施の形態において白色は乳白色を意味し、鋳造用模型の外観が乳白色を呈する場合に、最も鋳造用模型上の凹凸部分に陰影が現れ易くなり、鋳造用模型の細部の確認または切削加工時に鋳造用模型に付着した加工屑の確認が容易になる。これに対して、比較例1、比較例2、比較例5乃至8では、白色以外の着色(濃茶色、濃いグレー、濃青色等の着色)がなされているため、鋳造用模型上の凹凸部分に陰影が現れにくい(特に比較例1,2,5及び8は、不均一な着色がなされているため、さらに鋳造用模型上の凹凸部分に陰影が現れにくい)。その結果、比較例1、比較例2、比較例5乃至8では、鋳造用模型の取り扱い時に破損が生じやすく、また加工屑の除去がし難いものとなる。
なお、比較例3及び4(二酸化チタン11〜15重量部)では、白色化がなされ、着色の均一性も良好であるが、上述のとおり加工屑の後処理がし難いため、比較例3及び4は比較例にとどまる。
以上に示すように、本実施の形態を示す実施例1乃至3は、他の比較例に比べ、総合的に機械的強度、切削加工性(切削加工コスト)及び外観の視認性の点で優れた特性を示すことができる。
なお、実施例1乃至3と比較例5及び6とを比較すると、実施例1では、二酸化チタンの水中分散率が83.3%であるのに対して、比較例1及び2では、いずれもチタン系材料の水中分散率が1.6%となっている。この結果は、チタン系材料の水中分散率が高いほど機械的強度及び切削加工性に優れる特性を示している。
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。上述の本発明の実施の形態(実施例1乃至3)では、未使用の切削工具を用いて鋳造用模型の加工を行ったのに対して、本発明の他の実施の形態(下記実施例4及び5)では、使用済みの切削工具を用いて鋳造用模型の加工を行った。この本発明の他の実施の形態では、上述の本発明の実施の形態のうち、実施例(熱分解ポリエチレン樹脂100重量部、二酸化チタン3重量部)をベースとしてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を添加した場合の鋳造用模型を使用したときの効果(本発明の効果)を確認した。この実施の形態における実施例及び比較例では、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)として、比較例7を除き、大洋電機産業株式会社製のホットスティック(商標)(エチレン酢酸ビニル共重合体10〜30%含有)を用い、比較例7については、東ソー株式会社製のウルトラセン(商標)♯760を用いた。また、以下の実施例及び比較例は、上述の実施例2をベースにしているため、二酸化チタンの水中分散率は、いずれも実施例2と同様に83.3%となっている。以下、本発明の他の実施の形態について、実施例と比較例とを対比して説明する。実施例及び比較例は、下記の条件のもと、上述した本発明の実施の形態と同様に、約100×100×10t(mm)のサンプルプレートとして構成されている。
(実施例4)実施例2 100重量部、EVA 1重量部
(実施例5)実施例2 100重量部、EVA 5重量部
(比較例9)実施例2 100重量部のみ
(比較例10)実施例2 100重量部、EVA 0.5重量部
(比較例11)実施例2 100重量部、EVA 10重量部
(比較例12)実施例2 100重量部、EVA 15重量部
実施例5,4及び比較例9乃至12はいずれも比較例9乃至12は、本発明の他の実施の形態(実施例)の最適条件を確認するために用意したものである。
実施例5,4及び比較例9乃至12のサンプルプレートについて、機械的強度、加工後のマシナブルワックス被加工物の表面の仕上がり状況を確認した。具体的には、(6)曲げ強度(曲げ試験)、(7)仕上がり度(切削加工後のマシナブルワックス被加工物の表面の仕上がり状況)を確認した。これらの条件及び確認結果は以下のとおりである。
(6)曲げ強度(曲げ試験)
この曲げ試験は、JIS K7203に準拠した曲げ試験である。この曲げ試験では、曲げ強度、曲げ弾性率、最大点変位を測定した。測定結果は、表6のとおりである。
Figure 0004122375
まず、実施例4及び5(EVA1〜5重量部)と比較例9及び10(EVA0〜0.5重量部)とを対比すると、比較例9に対して実施例4及び5では、曲げ強度は平均で約30%減少し、曲げ弾性率は平均で約50%減少し、最大点変位は平均で約1.0(mm)増加した。また、実施例4及び5(EVA1〜5重量部)と比較例11及び12(EVA 10〜15重量部)とを対比すると、比較例11及び12に対して実施例4及び5では、曲げ強度は比較例11及び12と同等で、曲げ弾性率は平均で約25%減少し、最大点変位は平均で約1.7(mm)増加した。
この曲げ試験の結果、実施例4及び5(EVA1〜5重量部)は、比較例9〜12(EVA 0〜0.5重量部および10〜15重量部)に対して、曲げ強度及び曲げ弾性率は減少するものの、最大点変位は増加することが確認された。
(7)仕上がり度試験(切削加工後の鋳造用模型の表面の仕上がり状況の確認)
この試験では、上記(3)の摩耗試験において、切削工具として使用済みの切削工具を用いてマシナブルワックス被加工物を加工し、加工後のマシナブルワックス被加工物の表面の仕上がり状況を確認した。確認結果を表4に示す。なおこの表において、○は良好(加工後の表面に不具合なし)、△はやや不良(加工後の表面に若干の傷が発生)、×は不良(加工後の表面に傷が発生)であることを示す。
Figure 0004122375
まず比較例9(EVA無添加)及び比較例12(EVA15重量部)では、切削加工後のマシナブルワックス被加工物の表面に細かい傷が発生した。この傷は、マシナブルワックス被加工物の表面に切削方向に沿ってミシン目状に形成されていた。また、比較例10(EVA0.5重量部添加)及び比較例11(EVA10重量部添加)では、比較例9及び10ほどではないものの、わずかな傷が発生した。また、切削加工後の加工屑の外観状の形状を比較すると、比較例9乃至12では、加工屑の形状が不均一であるのに対して、実施例4及び5では、加工屑の形状が均一になっていた。この仕上がり度試験の結果から、実施例2(熱分解ポリエチレン100重量部、二酸化チタン3重量部)100重量部にEVA1〜5重量部を添加して成形したマシナブルワックス被加工物を用いることにより、使用済みの切削工具を用いてマシナブルワックス被加工物を加工しても、マシナブルワックス被加工物の表面に傷が生じにくくなったことを示している。このことは、すなわち実施例4及び5の条件で成形したマシナブルワックス被加工物の表面を用いることにより、切削加工に用いる切削工具が未使用のものまたは使用済みのものであることに関係なく加工することができるため、汎用性が高くなったことを示すものである。
また、この仕上がり度試験の結果を上記(6)の曲げ試験(JIS K7203)の結果とを併せて考慮すると、使用済みの切削工具を用いてマシナブルワックス被加工物を加工してもマシナブルワックス被加工物の表面に傷が生じにくい条件は、曲げ試験(JIS K7203)における曲げ強度が約6〜7(MPa)、曲げ弾性率が200〜30(MPa)、最大点変位が約5〜6(mm)程度であることが確認された。
なお、この本発明の他の実施の形態(実施例5及び4)では、硬度の確認は行っていない。しかし、上述の本発明の実施の形態(実施例1乃至3)と比べて、切削加工時に切削しにくい等の不都合は特に生じていない。
本発明によれば、平均分子量が4000乃至7000であるポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンを2〜10重量部配合したマシナブルワックス組成物を固型化したマシナブルワックス用被加工物を用いて工業用模型を作成(成型)すると、機械的強度が高く、しかも切削加工性が良好な工業用模型を得ることができる。

Claims (16)

  1. ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物であって、
    前記ポリエチレン樹脂の平均分子量が4000乃至7000であり、
    前記ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタン2〜10重量部が配合されてなることを特徴とするマシナブルワックス組成物。
  2. 前記二酸化チタンは、水中分散率が80%以上の粉体である請求項1に記載のマシナブルワックス組成物。
  3. 前記二酸化チタンが3±1重量部であり、
    前記二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体が用いられている請求項1に記載のマシナブルワックス組成物。
  4. 前記二酸化チタンが3±1重量部であり、
    前記二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体が用いられており、
    エチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部がさらに配合されている請求項1に記載のマシナブルワックス組成物。
  5. エチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部がさらに配合されている請求項1に記載のマシナブルワックス組成物。
  6. 請求項1,2,3,4または5に記載のマシナブルワックス組成物を固型化してなるマシナブルワックス被加工物。
  7. ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物の製造方法であって、
    電線被覆用ポリエチレン樹脂を熱分解して、平均分子量が4000乃至7000の熱分解ポリエチレン樹脂を作り、
    溶融状態にある前記熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンの粉末2〜10重量部を混練してマシナブルワックス組成物を作ることを特徴とするマシナブルワックス組成物の製造方法。
  8. 前記二酸化チタンは、水中分散率が80%以上の粉体である請求項7に記載のマシナブルワックス組成物の製造方法。
  9. 前記二酸化チタンが3±1重量部であり、
    前記二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体が用いられている請求項7に記載のマシナブルワックス組成物の製造方法。
  10. 前記二酸化チタンが3±1重量部であり、
    前記二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体が用いられており、
    エチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部がさらに配合されている請求項7に記載のマシナブルワックス組成物の製造方法。
  11. エチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部がさらに配合されている請求項7に記載のマシナブルワックス組成物の製造方法。
  12. ポリエチレン樹脂を主成分とするマシナブルワックス組成物を固型化してマシナブルワックス被加工物を製造するマシナブルワックス被加工物の製造方法であって、
    電線被覆用ポリエチレン樹脂を熱分解して、平均分子量が4000乃至7000の熱分解ポリエチレン樹脂を作り、
    溶融状態にある前記熱分解ポリエチレン樹脂100重量部に対して、二酸化チタンの粉末2〜10重量部を混練してマシナブルワックス組成物を作り、
    前記マシナブルワックス組成物を所定の形状に固化して前記マシナブルワックス被加工物を製造することを特徴とするマシナブルワックス被加工物の製造方法。
  13. 前記二酸化チタンは、水中分散率が80%以上の粉体である請求項12に記載のマシナブルワックス被加工物の製造方法。
  14. 前記二酸化チタンが3±1重量部であり、
    前記二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体が用いられている請求項12に記載のマシナブルワックス被加工物の製造方法。
  15. 前記二酸化チタンが3±1重量部であり、
    前記二酸化チタンとして、水中分散率が80%以上の粉体が用いられており、
    エチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部がさらに配合されている請求項12に記載のマシナブルワックス被加工物の製造方法。
  16. エチレン酢酸ビニル共重合体1〜5重量部がさらに配合されている請求項12に記載のマシナブルワックス被加工物の製造方法。
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