JP2015155145A - 亜鉛基合金ショット - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミダイカスト製品やマグネダイカスト製品をショットブラストによりバリ取りや研掃するための表面処理に用いる亜鉛基合金ショットであって、コストパフォーマンスがよく、耐食性を低下させない、被処理製品の表面硬度に応じた亜鉛基合金ショットを提供する。【解決手段】添加元素としてCu:1.800〜6.000質量%、Fe:0.0010〜0.5000質量%を含む三成分系の亜鉛基合金ショットであって、ビッカース硬度が80〜110HVであり、かつ、添加元素であるCuの純度が99.9質量%以上である亜鉛基合金ショット。亜鉛基合金ショットはアルミニウム合金ダイカスト又はマグネシウム合金ダイカストのショットブラストに用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、非鉄金属部品のバリ取りや研掃、鋳造品の砂落としなどを目的としたショットブラスト用のショットに関する。
より詳しくは、本発明は、アルミニウム基合金又はマグネシウム基合金などの軽合金製ダイカストや鋳物の製品のバリおよびスケール落とし、金属製品の塗型や離型剤の焼き付き除去、又は、酸化膜や湯しわの除去で使用される投射加工や吹付け加工に用いる亜鉛基合金ショットに関する。
従来、製品のバリ取りや研掃などを目的とした表面処理のため、自動車部品などに使用されているダイカスト製品は、ショットと呼ばれる小さな球を高速で製品に投射するショットブラストが多く使用されている。
このショットブラストに用いられるショットの材料としては、アルミニウム基合金、ステンレス、亜鉛基合金などのショットが一般に使用されてきた。
亜鉛基合金ショットは、アルミニウム基合金ショットやステンレスショットと比較して、ショット破砕に起因する粉塵の爆発感度が低い。このため、安全性の面から非鉄金属製のダイカスト製品のショットブラスト用のショットとして近年では多く使用されている(例えば、特許文献1、2)。
特開平9‐70758号公報 特開2002‐224962号公報
しかしながら、特許文献1に記載のショットは、硬度が50HV〜60HVであるので、バリ取りや研掃の生産性が低いという問題があった。また、Cuの含有量が2.00重量%を超えると、固溶体の絶対数が多くなりすぎ、亜鉛と比べて著しく靭性が損なわれて脆くなり、ショット自体の割れや破砕が進行しやすくてショットとして使用できなくなっていた(特許文献1の0009段落)。
一方、特許文献2に記載のショットは、硬度が60HV超〜150HVである。ここで、あまりに柔らかいショットではバリ取りや研掃の生産性が低い。一方、硬すぎるショットは寿命が短く、被処理製品に傷をつけるなどの問題がある。即ち、亜鉛基合金ショットにおいて、ビッカース硬度が60HVより低い場合にはバリ取り能力や研掃能力が十分ではなく、150HVを超えると、バリ取り時や研掃時において亜鉛基合金ショットの割れや損耗が進行しやすくなり、ショットの消耗量が増大していた。
ところで、特許文献2に記載のショットは、亜鉛中のCuの含有量が1.8〜13.0%である。しかし、CuはZnに比べて値段が高いので、Cuの含有量が多くなり過ぎると、ショットの値段が高くなるという問題がある。また、亜鉛基合金ショットによると、被処理製品に対する投射後の黒ずみが生じていた。このため、亜鉛基合金ショットにCuの添加をすることにより黒ずみを低減させていたが、その性質はCuを減らした場合も低下させたくない。
本発明はこれらの問題に鑑みなされたものである。本発明は、アルミダイカスト製品やマグネダイカスト製品をショットブラストによりバリ取りや研掃するための表面処理に用いる亜鉛基合金ショットであって、コストパフォーマンスがよく、耐食性を低下させない、被処理製品の表面硬度に応じた亜鉛基合金ショットを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの亜鉛基合金ショットの課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜鉛基合金において、主添加元素であるCuとともにFeを副添加元素として微量を調整して添加することにより、特定の合金組成に調節した場合に、ビッカース硬度が80から110HVを有する黒ずみの生じない亜鉛基合金ショットが製造できる合金組成があることを見出して、本発明に想到した。
すなわち、上記特許文献1、2においては、CuとFeの関係の検討が不十分であった。この関係を鋭意検討することにより、本発明に想到した。亜鉛−銅−鉄の三成分系の本発明の亜鉛基合金において、Feは、非常に微量な添加含有によって、Cuと協働して、硬度を増大させる作用があるとともに、腐食抑制や変色低減の作用がある。Feの含有率が低すぎるとそれらの作用を得がたい。しかし、Feの含有率が高いと、Cuの含有率が高い場合と同様、機械的強度やビッカース硬度は向上するものの靭性や耐衝撃性が低下傾向を示すことを基礎として本発明に想到したのである。
本発明の亜鉛基合金ショットは、添加元素としてCu:1.800〜6.000質量%、Fe:0.0010〜0.5000質量%を含む三成分系の亜鉛基合金ショットであって、かつ、ビッカース硬度が80〜110HVであることを特徴とする。なお、ショットの硬度(以下特に断らない限り「ビッカース硬度」を単に硬度という)は、未使用時の硬度をいう。なお、本発明において、合金組成を示す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
本発明によれば、硬度が最適で、被処理製品であるアルミダイカスト製品やマグネダイカスト製品に対して、ショットブラストによるバリ取りや研掃を目的とした表面処理に用いても、耐食性を低下させない、被処理製品の表面硬度に応じた亜鉛基合金ショットを提供できた。コストパフォーマンスも良かった。つまり、本発明によれば、ビッカース硬度が90HV〜110HVのアルミダイカスト製品やビッカース硬度が85HV〜105HVのマグネダイカスト製品の研掃やバリ取りに優れたショットを提供することができる。
なお、本発明の亜鉛基合金ショットは、PRTR制度の対象となるNiやMnなどが含まれておらず、環境保全および作業安全性の見地からも望ましい。
さらに、本発明の亜鉛基合金ショットは、同一硬度のショットを調製する場合において、Cu含有率を相対的に低下させることができる。
本発明の合金組成範囲を示す三成分系状態図である。 本発明の亜鉛基合金ショットの製造方法の一例を示す流れ図である。 本発明の亜鉛基合金ショットの製造装置を説明する図である。 本発明の亜鉛基合金ショットとビッカース硬度の関係を示すグラフである。 本発明の亜鉛基合金ショットの腐食率を示すグラフである。
以下、本発明の亜鉛基合金ショットを詳細に説明する。図1に亜鉛基合金ショットの三成分系合金組成の状態図における本発明の組成範囲(黒塗り部)を概略的に示す。本発明の亜鉛基合金ショットは、硬度の最適調整を目的として、主添加元素であるCuとともにFeを副添加元素として調整管理して含有するものである。
本発明の亜鉛基合金ショットの化学成分組成は、ショットの硬度(又は研掃能力)と造粒性・耐脆性・耐食性のバランスから、適宜選定する。
亜鉛−銅−鉄の三成分系の本発明の亜鉛基合金において、Cuは、亜鉛基合金の機械的強度や硬度を増大させる作用があり、Cuの含有率が低すぎるとそれらの作用を得がたい。しかし、Cu含有率が高いと、機械的強度や硬度は向上するものの靭性(耐衝撃性)が低下傾向を示す。
更に、亜鉛−銅−鉄の三成分系の本発明の亜鉛基合金において、Feは、添加によって合金組成を調節した場合には、亜鉛−銅二元合金において他の元素が混入した場合と同様に、分散流下が出来ずに粒状体ができないことがあった。そこで、以下、Feの影響について詳述する。
本実施の形態の亜鉛基合金ショットの製造方法は、亜鉛、銅及び鉄を溶解する溶解工程、溶解した金属溶湯を水等の冷却媒体中へ滴下させ造粒する造粒工程、造粒物を冷却媒体中で凝固・堆積させ回収する回収工程、回収物を乾燥させる乾燥工程、乾燥を経たショットを含む粒状体を分級する分級工程を有している(図2参照)。そして、組成を調整した溶解した金属溶湯を冷却媒体中に滴下することにより前記金属溶湯は急激に冷却されるため、一般の鋳造材料に比べて微細で均一な組織となる。
(1)造粒性亜鉛−銅二元合金において、Feが入ることによって滴下ノズルが目詰まりしてしまい製造上阻害元素となっている。例えば、0.02%を超えると目詰まりが生じ始め0.05%程度を超すと目詰まりの頻度が増加した。目詰まりは製造上、生産性を低下させる。
図3に、本発明の亜鉛基合金ショットの製造装置を示す。図3において、製造装置は、底部に溶湯滴下用のノズル1aが設けられ溶湯保持容器1を用いる。また、ノズル1aの下部には水等の冷却媒体2が投入されている冷却槽3が設けられている。また、この冷却槽3には図示していない冷却手段としてのクーリングタワーが付設されている。そして、溶湯保持容器1の中の溶湯Lは、滴下用のノズル1aから滴下されることにより、滴下用のノズル1aと冷却媒体2に至るまで非酸化性雰囲気下で(例えば、窒素ガスに接触して)、さらには、冷却媒体2との接触による冷却に伴い、表面張力の影響を受け球状化する。これにより、亜鉛基合金の粒4が製造される。
滴下用のノズルの目詰まりを少なくして、適切な粒度のショットを製造するためには、溶解した金属溶湯を水等の冷却媒体中へ直径0.1mm〜1.0mmのノズルから滴下させることが好ましい。直径0.1mmより小さいと目詰まりがしやすくなり、直径1.0mmより大きいとショット直径が大きくなりすぎるからである。
(2)耐脆性 また、Feは、亜鉛基合金の硬度を向上させる反面、わずかな添加でもショットを脆くする。亜鉛基合金では、Feは、0.006%より添加量が多いと耐脆性が劣化し始める。また、Feは0.5%程度が限界添加量である。
(3)耐食性 さらに、亜鉛−銅二元合金において、Feを0.02〜0.7%まで添加したものは、強い耐食性を持つ。
(4)粒径 本発明における亜鉛基合金ショットの平均粒径(メディアン径)は、0.1〜3.0mmの範囲が好ましい。被処理製品の強度および処理目的によっても異なるが、平均粒径が過小であると十分なバリ取り能力や研掃能力を得がたい。逆に、平均粒径が過大であると、表面処理(バリ取り、研掃)で被処理製品に傷がついたり、もしくは必要以上に梨地状に加工されて所定の面粗度が維持できなかったりする。
(5)被処理製品との硬度の関係本発明の亜鉛基合金ショットと被処理製品のビッカース硬度の関係を次に述べる。本発明の亜鉛基合金ショットのビッカース硬さは80〜110HVであるから、アルミニウム合金又はマグネシウム合金(ビッカース硬度85〜110)の製品の表面は、円滑に、かつ、表面を傷つけることなく処理できた。対して、ビッカース硬度が110HVを越える亜鉛基合金ショットを使用すると、表面に傷がついたり、もしくは必要以上に梨地状に加工されたりして所定の面粗度が維持できないことがあった。
(6)不可避不純物前記亜鉛基合金の粒4を所定の大きさとなるように分級することによって亜鉛基合金ショットが得られる。本発明の亜鉛基合金ショットにおいて、それに含まれるZn、Cu、Fe以外の不可避不純物の合計含有量は、可及的に少ないほうが望ましい。不可避不純物の含有率が高くなると、靭性が低くなり易く、クラックが入り易い。また、寿命低下につながる。なお、Zn、Cu等の原料(以下「地金」ということもある)に、Feを不純物として含有する場合は、そのFeを本発明の副添加元素の全部又は一部として利用できる。具体的には、亜鉛基合金ショットに含まれる前記三成分以外の非必須元素は、Pb、Cd、Sn、Si、Ti、As、Sb、Bi、S、Mn、Al、Mg、Beを少なくとも1種以上含み、これら非必須元素の合計含有量:0.0100〜0.0300質量%、さらには、0.0100〜0.0200質量%であることが好ましい。
(7)原料 基元素であるZnの原料としては、例えば、JIS H2107の普通亜鉛地金(99.97%以上)、最純亜鉛地金(99.995%以上)、特種亜鉛地金(99.99%以上)等を挙げることができる。ちなみに、普通亜鉛地金のFe含有率は、0.005%以下である。
Cuの原料としては、例えば、JIS H2121の電気銅地金(99.96%以上)等を、挙げることができる。
また、Feの原料としては、例えば、JIS G0203にて規定される各種鋼塊、鋼片、鋼材を適宜用いることができる。
(8)組成 また、本発明では、ビッカース硬度:約80〜110HVを得るのに、前述の如く、Cu含有率:1.800〜6.000%と同様のCuを用いる。しかし、好ましくは、添加元素としてCu:2.200〜4.500質量%、Fe:0.0030〜0.0450質量%を含む三成分系の亜鉛基合金ショットであって、かつ、ビッカース硬度が80〜100HVであるとよい。さらに好ましくはCu:2.200〜3.000質量%で、かつ、ビッカース硬度が85〜97HVであるとよい。これにより、同じ硬度のショットを得るのにCuの含有率を大幅に低減でき、かつ、ショットの靭性の低下を抑制できる。これは、ショットの硬度がFeとCuの含有により顕著に増大するためと考えられる。
本発明の亜鉛基合金ショットは、Feの添加によりショットの腐蝕が抑制されていることから、被処理製品に衝突した際に腐蝕物が被処理製品の表面に転写されないことから、アルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる被処理製品の表面処理に適用すると、被処理製品の黒ずみ発生の抑制も期待でき、効果が顕著となる。
ショットブラストに用いた場合、亜鉛基合金ショットには非常に大きな外力が加わるため、微細で均一な組織とすることで、耐衝撃性や引っ張り強度などの機械的性質が向上し、亜鉛基合金ショットとして好適に用いることができる。前述の製造方法を用いて製造する場合について、以下に具体的に説明する(図2参照)。
まず、基元素(Zn)および添加元素(CuおよびFe)のインゴット等の原料を計量して、設定合金組成比となるように坩堝に投入する。次に、坩堝を抵抗加熱或いは燃焼ガスで加熱することで、投入したインゴット混合物を溶解し、溶湯を得る。このときの溶解加熱温度は、合金組成や生産規模により異なるが、通常550〜700℃の範囲で適宜設定する。なお、各元素の融点は、下記の通りである。 Zn:419.6℃、Cu:1083.4℃、Fe:1535℃
次に、溶湯を溶湯保持容器に投入する。溶湯保持容器には加熱手段として抵抗加熱装置が備えられており、亜鉛基合金ショット製造時に、溶湯が必要以上に冷却されないように保持することができる。このときの溶湯保持温度は、合金組成や生産規模により異なるが、通常450〜650℃の範囲で適宜設定する。
溶湯保持容器の底部には溶湯滴下用の滴下ノズルが設けられており、該ノズルの下部には水等の冷却媒体が投入されて、冷却手段としてのクーリングタワーが付設された冷却槽が配されている。なお、冷却媒体は油等であってもよい。溶湯保持容器中の溶湯は、滴下ノズルから滴下されることにより、滴下ノズルと冷却媒体に至るまでの非酸化性雰囲気下の窒素ガスと接触し、さらには、冷却媒体との接触による冷却に伴い、表面張力の影響を受け球状化する。
なお、冷却媒体は滴下溶湯が接触することにより温度が上昇し、滴下溶湯の急冷が妨げられる原因となるので、冷却手段としてのクーリングタワーにより、冷却媒体を設定温度に保持する。この設定冷却温度は、例えば、水の場合、通常、60℃以下とする。60℃を超えると、滴下溶湯と接触した水が沸騰して界面が気化状態となり、急冷作用を発揮し難くなる。
冷却媒体の底部には、亜鉛基合金の粒状体が堆積される。これを回収して、例えば、回転乾燥機で乾燥後、振動篩で分級して亜鉛基合金ショットを得る。なお、分級は亜鉛基合金ショットの使用目的に合わせて所定の粒径になるように行なう。
なお、亜鉛基合金ショットの製造方法は、本実施の形態のような滴下造粒法に限定されない。例えば、ガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法、水アトマイズ法等公知の方法を、それぞれ目的とする亜鉛基合金ショットの形状、粒度等に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の効果を確認するために行なった評価試験について説明する。各亜鉛基合金ショットの製造は、図2及び図3に示した滴下造粒法を用いて行った。こうして製造した各ショットを分級して、平均粒径(メディアン径)1.0mmの各試料の投射用ショットを調製した。そして、各試料のショットについて、下記各項目の試験を行なって評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)硬度図4は、本発明の亜鉛基合金ショットのFeの添加量と硬度(ビッカース硬度)の関係を示すグラフである。本グラフによれば、Cu含有率が2.5%と少なくても、Feが微量の添加でも、高硬度のショットを得やすいことがわかる。なお、ビッカース硬度は次の様に測定した。各試料(1mmφショット)について、ショット10個ずつを樹脂に埋め込んで固定後、ショットを半分に研磨して試験片を調製した。そして、各試験片について、JIS Z2244に基づき、使用(ショット)前についてビッカース硬度を測定した。測定は、n=10の算術平均を採っている。ここで、本発明の亜鉛基合金ショットにおいて、Fe:0.0200〜0.0300質量%であると、比較的硬度の高いショットを得ることができる。また、耐食性が特に良いショットを得ることができる。また、本発明の亜鉛基合金ショットにおいて、Fe:0.0030〜0.0180質量%で、かつ、ビッカース硬度が85〜93HVであると、硬度、造粒性の特に優れた亜鉛基合金ショットを得ることができる。
さらに、表1に示すように、評価試験の実験No.4〜No.7の実験結果に着目すると、Feの含有量が0.0030〜0.0060質量%の範囲においては、ショットの硬度(研掃能力)とショットの耐脆性が特に優れた特性を有していることが判明すると共に、従来評価されていなかったショットの造粒性についても、Feの含有量を0.0030〜0.0060質量%の範囲にすることにより、特に優れた特性を有していることが判明した。
また、腐食率については、Fe含有量が0.0030〜0.0060質量%の範囲にあるときは、最良の状態であるとは言えないまでも、図5からも分かる通り、Feが含有されていない場合よりも改善されていることは明らかである。
すなわち、Fe含有量が0.0030〜0.0060質量%の範囲にあるときには、硬度(研掃能力)、造粒性、および耐脆性において特に優れた特性を有すると共に、腐食率についても、Feが含有されていない場合よりも改善したショットを見出すことができた。
(2)ショットブラスト評価試験 前記で準備した各試料のショット(平均粒径1.0mm)100kgを、「The Ervin Test Machine(Ervin社製)」により投射速度60m/sで、鋼材(ロックウェル硬度65HRC(JIS G0202、JIS Z2245にて規定))をターゲットとして、5000回投射(ショット)した。
(3)ショット寿命 各試料について、投射回数毎にショットを篩で分級し、篩上に残った残留率を計測した。その結果、Fe含有率が増大するに従って寿命が低下傾向にあることがわかった。また、その低下率は、Fe含有率:0.005%の場合を100%としたとき、Fe含有率:0.2%で約90%以上を確保でき、さらに、Fe含有率:0.05%で約95%以上、それぞれ確保でき、実用上問題がないことが確認できた。
(4)腐食試験 各試料と同一組成の合金から成形した円柱状試料(φ2×10mm)について、10個ずつ樹脂に水平に埋め込んで固定後、半分に軸方向で切断して試験片を調製した。そして、各試験片について、JIS Z2371に準じて中性塩水噴霧試験を行なった。そして、合金露出面の腐食率(白色錆:ZnO)を、精密物差し(ノギス)を用いて、目視で計測して、下記式で求めた。錆の色は白色であった。
腐食率(%)=100×腐食面積合計(mm2)/サンプル表面積合計(mm2) 腐食試験の結果を示す図5から、Feを僅かに含有(0.0030〜0.0050%)させるだけで、顕著に腐食率が低下していることが分かる。
以上、ショットブラスト評価試験および腐食試験により、主添加元素Cuとともに副添加元素Feを含有する本発明の亜鉛基合金ショットは、被処理製品であるアルミダイカスト製品やマグネダイカスト製品に応じたショットブラストによるバリ取りや研掃を目的とした表面処理に用いる最適のビッカース硬度になった。また、コストパフォーマンスがよく、耐食性を低下させない、亜鉛基合金ショットを提供できた。また、ショット寿命も実用上充分であることが実証された。
1 溶湯保持容器
1a ノズル
2 冷却媒体
3 冷却槽
4 亜鉛基合金ショット
L 溶湯

Claims (7)

  1. 添加元素としてCu:1.800〜6.000質量%、Fe:0.003〜0.006質量%を含む三成分系の亜鉛基合金ショットであって、かつ、ビッカース硬度が85〜93HVであることを特徴とする亜鉛基合金ショット。
  2. 前記添加元素であるCuの純度が99.9質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛基合金ショット。
  3. 前記亜鉛基合金ショットに含まれる前記三成分以外の非必須元素は、Pb、Cd、Sn、Si、Ti、As、Sb、Bi、S、Mn、Al、Mg、Beからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計含有量:0.0100〜0.3000質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛基合金ショット。
  4. 前記非必須元素の合計含有量:0.0100〜0.0200質量%であることを特徴とする請求項3に記載の亜鉛基合金ショット。
  5. 前記亜鉛基合金ショットはアルミニウム合金ダイカスト又はマグネシウム合金ダイカストのショットブラストに用いることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の亜鉛基合金ショット。
  6. 粒子の平均粒径が0.1〜3mmであることを特徴とする請求項5に記載の亜鉛基合金ショット。
  7. 請求項6に記載の亜鉛基合金ショットの製造方法であって、溶解した金属溶湯を冷却媒体中へ直径0.1mm〜1.0mmのノズルから滴下させる工程、この冷却媒体中で、凝固・堆積させる工程、該凝固・堆積物を乾燥させる工程を経た粒状体を分級して製造することを特徴とする亜鉛基合金ショットの製造方法。


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