JP4122243B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液（以下、電解液と称す）の改良に関するものであり、特に低比抵抗で、高温での信頼性に優れた電解コンデンサ用電解液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、電解コンデンサの小形化に伴い、電解コンデンサの陽極箔にはエッチング倍率の高いものが使用されるようになり、比抵抗の低い電解液が要求されている。従来の電解液としては、エチレングリコールを主溶媒とし、電解質としてカルボン酸のアンモニウム塩を溶解したものが使用されている。
【０００３】
【特許文献１】
特公平７−４８４６０号公報（第１−３頁）
【特許文献２】
特公平７−６３０４７号公報（第１−４頁）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記電解液で低比抵抗のものを得るには、電解質の濃度を高くするか、水を多量に混合しなければならない。しかし、電解質の濃度の増加は電解質の析出、耐電圧低下を起こすという問題がある。また水を多量に混合した場合、電解コンデンサの高温無負荷時の漏れ電流を増加させるため、１０５℃での使用は困難であった。本発明は上記の問題点を改善し、高温条件下においても使用可能な電解液を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、電解液にアシルフェニルアラニンを溶解することで、水を混合した場合でも高温下での電極箔と水との水和反応を抑制し、高温無負荷での信頼性に優れた電解液を提供するものである。
すなわち、エチレングリコールと水とを混合した溶媒に、カルボン酸またはその塩と、アシルフェニルアラニン（化２）とを溶解することを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００６】
【化２】
【０００７】
さらに、上記のアルキルフェニルアラニンの溶解量が、０．１〜１．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００８】
また、上記の水の混合量が１．０〜１０．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００９】
上記のカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、１，６−デカンジカルボン酸、５，６−デカンジカルボン酸、７−ビニルヘキサデセン−１，１６−ジカルボン酸等を例示することができる。
【００１０】
また、カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、ｔ−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電解液では、電解液中のアシルフェニルアラニンが電極箔表面に吸着するため、水の混合量が増加しても、１０５℃の高温下で水と電極箔とが水和反応するのを抑制でき、高温無負荷時の漏れ電流増大を抑制することができる。
【００１２】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。表１に示す組成で電解液を調合し、３０℃における比抵抗を測定した。ここで、アシルフェニルアラニンとして、ラウロイル（ＣＨ３（ＣＨ２）１０ＣＯ）フェニルアラニン、ペンタノイル（ＣＨ３（ＣＨ２）４ＣＯ）フェニルアラニン、オクタノイル（ＣＨ３（ＣＨ２）７ＣＯ）フェニルアラニンを用いた。また比較例として、ミリストイルフェニルアラニンを用いた。
【００１３】
【表１】
【００１４】
表１より明らかなように、ラウロイルフェニルアラニンおよびその他のアシルフェニルアラニンを０．１〜１．０ｗｔ％、水２．０〜１０．０ｗｔ％を溶解した、実施例による電解液は、これらのアシルフェニルアラニンを添加しない従来例と比べて、非抵抗値は同等か、または改善されている。
【００１５】
次に、表１の電解液を使用して、定格４００Ｖ−２２μＦ（φ１６×２５ｍｍＬ）の電解コンデンサを各１０個作製し、ｔａｎδ、漏れ電流について初期特性測定後、高温無負荷試験（１０５℃、１０００時間放置）を行い、表２の結果を得た。
【００１６】
【表２】
【００１７】
表２より、ラウロイルフェニルアラニンその他のアシルフェニルアラニンを溶解しなかった従来例１〜３と比較し、これらを溶解した実施例の電解液は高温無負荷試験において漏れ電流の増大が抑制され、優れた特性を示している。
【００１８】
ここで、ラウロイルフェニルアラニンその他のアシルフェニルアラニンの溶解量は０．１〜１．０ｗｔ％の範囲が好ましく、０．１ｗｔ％未満では十分な効果が得られず、４００μＡ以下の低漏れ電流用途に不適当であり、１．０ｗｔ％を超えると比抵抗が高くなり、５００Ω・ｃｍ以下の低比抵抗用途に不適当となる。
【００１９】
また、水の混合量は２．０〜１０．０ｗｔ％の範囲が好ましく、２．０ｗｔ％未満では比抵抗がやや高いので、低比抵抗用途に不適当であり、１０．０ｗｔ％を超えると、ラウロイルフェニルアラニンおよびその他のアシルフェニルアラニンの漏れ電流抑制効果が低下するので不適当である。
【００２０】
（化２）のＲは炭素数１〜１１のアルキル基が好ましい。炭素数が１２では難溶であり、１３以上のアルキル基は溶解しないので、不適当である。
【００２１】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、先に例示したカルボン酸またはその塩を単独または複数溶解しても上記実施例と同等の効果がある。
【００２２】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明で用いたアシルフェニルアラニンは、エチレングリコールと水との混合溶媒に溶解し易く、水を高温下での電極箔と水との水和反応を抑制する効果を有するため、低比抵抗で高温安定性に優れた電解液を提供することができ、電解コンデンサの特性改善並びに信頼性向上を図ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液（以下、電解液と称す）の改良に関するものであり、特に低比抵抗で、高温での信頼性に優れた電解コンデンサ用電解液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、電解コンデンサの小形化に伴い、電解コンデンサの陽極箔にはエッチング倍率の高いものが使用されるようになり、比抵抗の低い電解液が要求されている。従来の電解液としては、エチレングリコールを主溶媒とし、電解質としてカルボン酸のアンモニウム塩を溶解したものが使用されている。
【０００３】
【特許文献１】
特公平７−４８４６０号公報（第１−３頁）
【特許文献２】
特公平７−６３０４７号公報（第１−４頁）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記電解液で低比抵抗のものを得るには、電解質の濃度を高くするか、水を多量に混合しなければならない。しかし、電解質の濃度の増加は電解質の析出、耐電圧低下を起こすという問題がある。また水を多量に混合した場合、電解コンデンサの高温無負荷時の漏れ電流を増加させるため、１０５℃での使用は困難であった。本発明は上記の問題点を改善し、高温条件下においても使用可能な電解液を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、電解液にアシルフェニルアラニンを溶解することで、水を混合した場合でも高温下での電極箔と水との水和反応を抑制し、高温無負荷での信頼性に優れた電解液を提供するものである。
すなわち、エチレングリコールと水とを混合した溶媒に、カルボン酸またはその塩と、アシルフェニルアラニン（化２）とを溶解することを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００６】
【化２】
さらに、上記のアルキルフェニルアラニンの溶解量が、０．１〜１．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００８】
また、上記の水の混合量が１．０〜１０．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００９】
上記のカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、１，６−デカンジカルボン酸、５，６−デカンジカルボン酸、７−ビニルヘキサデセン−１，１６−ジカルボン酸等を例示することができる。
【００１０】
また、カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、ｔ−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電解液では、電解液中のアシルフェニルアラニンが電極箔表面に吸着するため、水の混合量が増加しても、１０５℃の高温下で水と電極箔とが水和反応するのを抑制でき、高温無負荷時の漏れ電流増大を抑制することができる。
【００１２】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。表１に示す組成で電解液を調合し、３０℃における比抵抗を測定した。ここで、アシルフェニルアラニンとして、ラウロイル（ＣＨ３（ＣＨ２）１０ＣＯ）フェニルアラニン、ペンタノイル（ＣＨ３（ＣＨ２）４ＣＯ）フェニルアラニン、オクタノイル（ＣＨ３（ＣＨ２）７ＣＯ）フェニルアラニンを用いた。また比較例として、ミリストイルフェニルアラニンを用いた。
【００１３】
【表１】
表１より明らかなように、ラウロイルフェニルアラニンおよびその他のアシルフェニルアラニンを０．１〜１．０ｗｔ％、水２．０〜１０．０ｗｔ％を溶解した、実施例による電解液は、これらのアシルフェニルアラニンを添加しない従来例と比べて、非抵抗値は同等か、または改善されている。
【００１５】
次に、表１の電解液を使用して、定格４００Ｖ−２２μＦ（φ１６×２５ｍｍＬ）の電解コンデンサを各１０個作製し、ｔａｎδ、漏れ電流について初期特性測定後、高温無負荷試験（１０５℃、１０００時間放置）を行い、表２の結果を得た。
【００１６】
【表２】
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【００１８】
ここで、ラウロイルフェニルアラニンその他のアシルフェニルアラニンの溶解量は０．１〜１．０ｗｔ％の範囲が好ましく、０．１ｗｔ％未満では十分な効果が得られず、４００μＡ以下の低漏れ電流用途に不適当であり、１．０ｗｔ％を超えると比抵抗が高くなり、５００Ω・ｃｍ以下の低比抵抗用途に不適当となる。
【００１９】
また、水の混合量は２．０〜１０．０ｗｔ％の範囲が好ましく、２．０ｗｔ％未満では比抵抗がやや高いので、低比抵抗用途に不適当であり、１０．０ｗｔ％を超えると、ラウロイルフェニルアラニンおよびその他のアシルフェニルアラニンの漏れ電流抑制効果が低下するので不適当である。
【００２０】
（化２）のＲは炭素数１〜１１のアルキル基が好ましい。炭素数が１２では難溶であり、１３以上のアルキル基は溶解しないので、不適当である。
【００２１】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、先に例示したカルボン酸またはその塩を単独または複数溶解しても上記実施例と同等の効果がある。
【００２２】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明で用いたアシルフェニルアラニンは、エチレングリコールと水との混合溶媒に溶解し易く、水を高温下での電極箔と水との水和反応を抑制する効果を有するため、低比抵抗で高温安定性に優れた電解液を提供することができ、電解コンデンサの特性改善並びに信頼性向上を図ることができる。
Claims (3)
- エチレングリコールと水とを混合した溶媒に、カルボン酸またはその塩と、アシルフェニルアラニン（化１）とを溶解することを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
- 請求項１記載のアシルフェニルアラニンの溶解量が、０．１〜１．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
- 請求項１記載の水の混合量が２．０〜１０．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
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Applications Claiming Priority (1)
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| JP2003037848A JP4122243B2 (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
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