JP4122241B2 - バッキング一体構造部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、溶接構造物におけるバッキング一体構造部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
従来、溶込みを必要とする溶接条件を用いた溶接構造物の場合、製品のバラツキにより発生するルートギャップや、製品の製造上発生する隙間などにより、溶落ちが生じる。
そこで、溶落ちしない溶接条件で溶接する方法が考えられるが、溶込みを確保するために、板の表裏両面から溶接をする必要があり、工数のかかる作業となる。
一方、溶落ちを防止するために、バッキング(裏当て)を用いる方法が知られているが、溶接部材に別体のバッキングを組み付ける場合には、溶接部材とバッキングとをそれぞれ製作するための設備や工数がかかり、また組み付けのための設備、工数が必要となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平14−113573号公報(バッキングの使用例として[0003]の項と図10、インロー結合の例として[0005]の項と図13参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記問題点を解決するために創案されたものであって、その主たる課題は、バッキングが一体化された構造部材を用いることにより、溶接時の溶落ちを防止することにある。
また、構造部材にバッキングを半せん断成形工法を用いて一体化することにより、別々に作製した場合にかかる生産設備、および工数の低減を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明では上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
溶接時の溶落ち対応個所にバッキング片を設けた溶接構造物のバッキング一体構造部材において、
アクスルケースを二分割した上側部材と下側部材を三角板を挟んで上下を合わせて溶接する際の溶落ち対応個所にバッキング片を設けたアクスルケースの三角板からなり、
該三角板が、三角形の本体片部の頂部に対応する個所に長方形の突出部を一体に設けたブランクの前記突出片を、前記三角形の頂部に沿って半抜き状態にせん断変形し、三角形に形成された本体片部に対して段違い状のバッキング片に成形してなる 、という技術的手段を講じている。
また、請求項2の発明では、
前記バッキング片が、三角板の板厚以下のクリアランスで据え込み成形してなる、という技術的手段を講じている。
また、請求項3の発明では、
前記バッキング片を形成するせん断変形量が、バッキング一体構造部材と組み付ける上側部材および下側部材の板厚に対応して設定される、という技術的手段を講じている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明のバッキング一体構造部材の好適実施例を鋼板製アクスルケースを構成する部材に適用した場合について図面を参照しながら説明する。
アクスルケース10は、図1(a)に示すように、差動機構(図示せず)を内装する空間を形成するため中央部を互いに外側に略円形に膨出させたハウジング11を二分割した上側部材11aとこれと同形の下側部材11bを、三角板12を挟んで上下を合わせて溶接し、中央円形部の一方に補強リング(図示省略)を、他方にキャップ状のカバー13を溶接して一体に形成されている。
図中L1は三角板4と上側部材1a、下側部材1bとの溶接線であり、L2は上側部材11aと下側部材11bとの直線溶接部である。
【0008】
ここで、前記三角板12を従来の三角形状のプレートとした場合には、図1(b)に示すように上側部材11aと下側部材11bとの間に隙間S1が生じる。
そこで、図2(a)に示す従来の三角板12に対して、本実施例の三角板では、図2(b)に示すように三角形の本体片B1の頂部に長方形の突出片B2を一体に設けたものを本実施例の三角板のブランク2Bの形状としている。
【0009】
このブランク2Bを、半せん断加工により、図3および図4に示すようなバッキング付き構造部材1に形成する。
即ち、前記ブランク2Bの突出片B2を半抜き状態にせん断変形して、三角形のブランク本体B1に対して段違い状となるバッキング片3を三角形状の構造部材本体2に一体に形成する。
【0010】
この際に、バッキング片3は、構造部材1の板厚以下のクリアランスで据え込み成形することが好ましい。
そして、本実施例では、図5に示すように、溶接構造物として組み付ける部材5の板厚によってせん断変形量を調整している。
即ち、前記部材5が薄い場合は、図5(c)に示すようにせん断変形量を少なくし、逆に前記部材5が厚い場合は、図5(b)に示すようにせん断変形量を大きくすることにより、所望の位置、例えば、前記組み付ける部材5と構造部材本体2の表面を同一面上に設定することができる。
【0011】
この半せん断成形は、図6に示す金型を用いてプレス成型する。
この場合、図示のように、パンチ7とダイ8のエッジ部7a、8aを湾曲面に面取りまたはRを形成しておき、パンチ7とダイ8の間にクリアランスCを設けておく。
これにより、プレス時に逃げがあるので、ブランク2Bに亀裂が発生しないように抑制しながら構造部材本体2にバッキング片3を一体成形することができる。
【0012】
バッキング片3を一体に形成するに際しては、図7(b)の半せん断加工を用いることにより、曲げ加工(図7(a)参照)に比べてハッチングの部分だけブランクの板取りが少なくて済み、経済的である。
また、曲げ加工では、図8(a)に示すように、いわゆるダレが大きくなり、組み付ける部材5との隙間S2が大きくなるのに対して、半せん断加工の場合は図8(b)に示すように隙間S2を小さくすることができる
更に、曲げ加工では、図8(c)に示すように、前記ダレによって組み付けの際にガタが生じやすいが、半せん断加工の場合は図8(b)のように隙間S2が小さいので、組み付けの際にガタが生じにくく優位性がある。
【0013】
次ぎに、図9には、異なる実施例のバッキング一体構造部材1’を示す。
図1(a)に示したハウジングの直線溶接部L2の部分などにおいて、突き合わせ継手でバッキングを要する個所に適応してもよい。
この場合、ハウジングの一方、本実施例では上側部材11a’で直線溶接部L2に対応する個所に、前記実施例と同様に半せん断加工により、段違い状のバッキング片3’を一体形成しており、ハウジングの下側部材11b’と突き合わせて溶接する。
その他の構成は、前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【0014】
上記実施例ではバッキング一体構造部材として、鋼板製アクスルケースを構成する部材に適用した場合について説明したが、この発明はこれらの部材に限られることなく、要するに、種々の溶接構造物で組み付ける一方の構造部材にバッキング片を半せん断加工によって一体に成形するものであればよい。
また、バッキング片の形状も図示例に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設計変更しうる。
その他、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【0015】
【発明の効果】
この発明は上記構成からなっているので、ルートギャップ等が生じた場合に溶落ちが生じる溶接条件で溶接を行っても、バッキング片を構造部材に一体に設けるので溶け落ちを防ぐことができる。
また、溶接構造物の構造部材とバッキング片とを半せん断加工によって一体成形することができるので、製作が容易であり、廉価に製造することができる。
更に、バッキング片はストッパ代わりとして用いることができ、組み付け時に位置決めしやすく、また倒れなどの不具合を防ぐことができる。
そして、このバッキング一体構造部材をアクスルケースの三角板などに適用することにより、廉価で、信頼性の高いアクスルケースを製作することができ、極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は従来のアクスルケースを示す正面図、(b)は三角板との間に隙間が生じている状態を示す要部拡大図である。
【図2】(a)は従来の三角板を示し、(b)は本実施例の三角板のブランク形状を示す正面図である。
【図3】バッキング付き三角板の先端形状を示す斜視図である。
【図4】バッキング付き三角板の先端形状を示す平面図および平面図のA−A線断面図である。
【図5】せん断変形量の調整例を示す図であり、(a)は組み付ける部材が通常の厚みの場合、(b)は厚い場合、(c)は薄い場合の断面図である。
【図6】半せん断加工を示す図で(a)は加圧前の断面図、(b)は加圧後の断面図である。
【図7】(a)は従来の曲げ加工の際の板どりを示し、(b)は半せん断加工における板どりを示す説明図である。
【図8】(a)は従来の曲げ加工の場合のダレの大きさを示す断面図、(b)は半せん断加工におけるダレの大きさを示す断面図、(c)は従来の曲げ加工における組付け時のガタの生じる状態を説明する断面図である。
【図9】ハウジングにバッキング片を一体に設けた異なる実施例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
1 バッキング付き構造部材
2 構造部材本体
3、3’ バッキング片
5 組み付ける部材
7 パンチ
8 ダイ
10 アクスルケース
11 ハウジング
11a、11a’ 上側部材
11b、11b’ 下側部材
Claims (3)
- 溶接時の溶落ち対応個所にバッキング片を設けた溶接構造物のバッキング一体構造部材において、
アクスルケースを二分割した上側部材と下側部材を三角板を挟んで上下を合わせて溶接する際の溶落ち対応個所にバッキング片を設けたアクスルケースの三角板からなり、
該三角板が、三角形の本体片部の頂部に対応する個所に長方形の突出部を一体に設けたブランクの前記突出片を、前記三角形の頂部に沿って半抜き状態にせん断変形し、三角形に形成された本体片部に対して段違い状のバッキング片に成形してなることを特徴とするバッキング一体構造部材。 - バッキング片が、三角板の板厚以下のクリアランスで据え込み成形してなることを特徴とする請求項1に記載のバッキング一体構造部材。
- バッキング片を形成するせん断変形量が、バッキング一体構造部材と溶接して組み付ける上側部材および下側部材の板厚に対応して設定されることを特徴とする請求項1に記載のバッキング一体構造部材。
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