JP3577877B2 - プレス部品の製造方法および時計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプレス部品の製造方法に係り、特に、時計用番車、カレンダ修正車、小鉄車等の微少な歯車を製造する場合に好適な製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、腕時計用の微少な番車の歯車部は、薄い金属板をプレス抜きによって円盤状に加工し、この円盤の外縁部に切削加工によって歯割りを施し、さらに、その中心部にプレス抜きにより軸孔を形成することにより製造されるのが通常である。一方、番車よりもさらに小さい腕時計用のカレンダ修正車、小鉄車等は、通常、歯割装置付自動旋盤等を用い、切削加工によって、荒加工、歯割り、仕上げ加工等を順次行うことにより軸部やカナとともに一体に成形される。
【0003】
図5には、腕時計用の4番車の概略図を示す。この4番車は、上記プレス抜きと切削加工とを組み合わせて製造した歯車部10と、鍛造加工、転造加工、切削加工等によって製造した軸部20とから構成されている。歯車部10の外縁部には歯11が歯割加工によって形成され、また、歯車部10の中心部には軸孔12がプレス抜きによって穿設されている。軸部20は、軸状体21と、この軸状体21の一端寄りに形成されたカナ22とから構成されている。この軸部20の一端部は、歯車部10の軸孔12に圧入されている。この4番車は、歯車部10の外径が3mm程度、軸部20の長さが4.5mm程度のものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の歯車の製造方法では、相互に異なる種類の加工方法により行われる複数の工程を含んでいるために、工程間の段取り作業や加工機械の調整作業が困難であったり、高度な複合加工を行うことのできる高価な加工機械を用いる必要があるために、製造コストの低減が難しいという問題点がある。
【0005】
一方、製造コストを低減するための方法として、プレスの順送り加工があり、この加工方法は、比較的大きい歯車や、安価な時計用の歯車を製造する場合に使用されている。しかしながら、このプレス加工による方法では、歯をプレス加工によって形成することから、プレス時に歯の変形(歯先ダレ)が発生するとともに、プレス加工によって歯先に剪断面とともに形成される破断面の存在によって、歯の加工精度が悪くなるという問題点がある。したがって、上記のような複数種類の加工工程を持つ製造方法に較べて、歯車間の食い付きが発生したり、歯車のあがき等の原因によって歯車間の噛み合いが外れたり、歯先の加工精度や形状が悪いことによって歯の摩耗が早くなるために耐久性に劣るなどの問題があり、プレス加工により製造した歯車は高級時計には使用できないのが現状である。
【0006】
なお、プレス加工によって高精度に部品を加工する技術としてファインブランキングがあるが、この方法では歯端面を剪断面として形成することはできるが、歯先ダレを防止することはできず、また、この方法を小型の部品に適用すると金型強度が不足し、金型寿命が極端に低下する等の問題点がある。
【0007】
また、同様の目的を果たすことの可能な技術としてシェービング加工があるが、このシェービング加工は、部品を一旦荒成形してからその外表面を薄く削り落とすものであり、歯車の場合、荒成形時に一旦母材から抜き落とし、その後別の金型の加工位置にセットしなければならないため、母材(金属板)に付着させた状態で順次加工を行う順送り加工は実施不可能であるという問題点がある。
【0008】
さらに、対向ダイス剪断法によれば、歯先ダレを防止し、歯端面を剪断面とすることができるが、小部品に適用すると型強度が不足し、金型の寿命が低下するという問題点がある。
【0009】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、プレスの順送り加工を用いることによって製造コストを低減するとともに、歯車の歯などの微細な構造を備えた部品に対しても高精度の加工が可能な新規のプレス部品の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、板状の基材に対して該基材の厚さ方向にプレス加工を行うことによって、前記基材の平面方向の一側に向くとともにプレス方向に伸びる段差面を有する形状の段差を形成する工程と、前記段差面よりも他側において、前記段差面に沿ってプレスカットを行う工程とを備え、前記プレスカットを行ったカット面の他側部分をプレス部品として成形するプレス部品の製造方法において、前記段差を形成する工程においては、対向する一対のプレス型の少なくともいずれか一方について、前記段差を形成するための周縁角部を部分的に鈍角状若しくは曲面状に形成して用いることを特徴とする。
【0011】
この手段によれば、基材に一側を向く段差面を備えた段差を形成した後に、この段差面に沿って他側においてプレスカットを行うことにより、段差面がシェービングと同様の状態で加工されるとともに、段差を形成する工程及びプレスカットを行う工程の双方においてプレス時の加工応力を低減することができるため、カット面における剪断面積を増加させ、破断面積を低減させることができるとともに、カット面に近い表面若しくは裏面の面ダレを抑制することができるから、カット面の他側に形成されるプレス部品の外縁部の加工精度を高めることができる。そして、プレス型の少なくとも一方について、周縁角部を部分的に鈍角状若しくは曲面状に形成することにより、鈍角状若しくは曲面状に形成された周縁角部が当接する部分では破断面が形成されない周縁部が形成される。このため、段差を挟んで破断面が形成される周縁部と形成されない周縁部とが発生することとなり、段差を形成した後に、破断面が形成されない周縁部によって段差を挟んだ両側の部分が互いに連結されているため、両者が相対的に位置ズレを起こしたり、落下したりすることを防止できるため、この状態でプレスカットを行うことによって破断面が形成された周縁部の加工精度をさらに向上させることができる。
【0017】
上記各手段においては、前記段差を形成する工程を複数回行い、当該複数回の工程のうち、後工程においては、前工程において形成した段差面よりも前記他側に新たな段差面を形成するように行うことが望ましい。
【0018】
この手段によれば、段差を形成する工程を複数回行うことによって、初期のプレス加工による面ダレの影響を低減できるとともに、プレスカットを行う工程における加工状態をより通常のシェービング加工に近い状態とすることができるため、プレス部品の外縁部の加工精度をさらに向上できる。
【0019】
上記各手段においては、前記プレス部品は歯車であり、前記プレスカットによって前記歯車の歯形状を成形する場合がある。
【0020】
この手段によれば、歯先にダレが生じたり、歯端面に破断面が形成されることによる歯形状の精度の低下を防止することができ、歯車の噛み合いの食い付きや外れ等の故障を防止することができ、さらに摩耗に対する耐久性を高めることができる。
【0021】
一方、前記プレス部品は歯車であり、前記プレスカットによって前記歯車の歯形状を成形する方法であって、前記周縁角部のうち鈍角状若しくは曲面状に形成する部分は、前記歯車の歯底に対応する部分であることが望ましい。
【0022】
この手段によれば、段差を形成する工程が終了した段階で、歯車の歯底に対応する部分には破断面が形成されず、段差を挟んで内外両側が連結された状態でプレスカットが行われるので、プレスカット時に歯車の成形部分が周囲に対して位置ズレを起こしていたり、プレスカット前に歯車の成形部分が脱落してしまったりすることが防止され、破断面の形成される歯先部分の歯形状をさらに高精度に加工することができる。
【0023】
なお、段差を形成する工程において、プレス部品の周縁部に部分的に破断面が形成されるように加工すること、すなわち、破断面によって基材の厚さ方向に分割された部分と、破断面が形成されないことによって段差位置で連結されたままである部分とが同時に存在する状態になり、この状態でプレスカットが行われることが特に好ましい。そして、上記プレス部品の製造方法により製造された歯車は、時計に用いることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明に係るプレス部品の製造方法の第1実施形態を示す工程拡大断面図及びプレス部品の拡大平面図である。この実施形態は、図5に示す腕時計の4番車の歯車部を製造するものであるが、歯車に限らず、種々のプレス部品に対しても適用できるものである。
【0026】
図1(a)に示す金属テープ30は、プレス加工用のスズ入り黄銅、リン青銅、ベリリウム銅等の種々の金属で構成される。この金属テープ30は、プレス装置の所定経路に沿って移動するようにセットされ、この経路上に複数のプレス工程に対応する金型が配置され、複数のプレス工程に対応する複数のプレス位置が予め設定されている。
【0027】
これらのうちの最初のプレス位置では、図1(b)に示すように、歯車型の断面形状を持つパンチ40aと、歯車を抜いた形の断面形状を持つダイ40bとにより金属テープ30を挟み込むことによって、図示のように金属テープ30に段差面31a,32aを有する平面視歯車型の段差を形成する。この段差によって、金属テープ30の中央部の歯車型の成形部31と、その周りに形成された周囲部32とが区画される。以下、この工程を第1プレス工程という。
【0028】
この第1プレス工程において形成される成形部31の外縁及び周囲部32の内縁の平面形状は、図2の加工形状線Ia及びIbに示されている。図2の加工形状線Iaは、パンチ40aの外周面によって形成された周囲部32の段差面32aの平面形状を示すものであり、図2の加工形状線Ibは、ダイ40bの内周面によって形成された成形部31の段差面31aの平面形状を示すものである。図示のように、パンチ40aの外縁部はダイ40bの内縁部よりも平面的に見て外側にあるため、段差面32aも段差面31aよりも外側に形成される。これらの加工形状線Ia,Ibは、図1において一点鎖線で示すプレスカット予定形状線35よりも周囲部32側にずらして設定されている。
【0029】
ここで、段差面31aと段差面32aとの間には、各段差面の延長方向に伸びる破断面33aが形成される。この破断面33aは、パンチ40aとダイ40bとによって押圧されることにより各段差面31a,32aの形成時に受ける応力に起因して形成されるものである。破断面33aの形成は、本発明においては当然のことながら、本実施形態においても必ずしも必要なものではなく、また、成形部31と周囲部32とが完全に分割されない程度に、金属テープ30の平面方向若しくは厚さ方向に部分的に形成されていてもよい。しかし、後述するように、本発明の効果を高めるには成形部31の厚さに対して段差面31aがなるべく図1の上下方向に深くなるように形成する必要があり、段差面31aをある程度以上深く形成すると必然的に破断面が形成される。また、破断面33aが形成された場合には、以後のプレス加工が容易になるとともに、本実施形態の効果もより高くなる。
【0030】
第1プレス工程では、図1(b)に示す状態でプレス加工が終了し、その後、金属テープ30を挟み込んでいたパンチ40a及びダイ40bは相対的に引き離される。このとき、成形部31と周囲部32とは破断面33aが形成されたことによって互いに分割されているが、成形部31は周囲部32の内側に破断面33aを介して接触保持された状態(以下、単に「半抜状態」という。)となっている。
【0031】
次に、図1(c)に示すように、金属テープ30をプレス装置の経路に沿って送ることにより、第1プレス工程の終了した部位を第2のプレス位置に配置する。そして、歯車型の断面形状を備えたパンチ41aと、歯車を抜いた形状の断面形状を持つダイ41bとによって、再び金属テープ30を挟み込む。このとき、パンチ41aの外縁及びダイ41bの内縁の平面形状は、図2の一点鎖線で示す加工形状線IIで示される。この加工形状線IIは、上記段差面31aを形成した加工形状線Ibよりもプレスカット予定形状線35寄りに設定されている。
【0032】
上記パンチ41aとダイ41bとによってプレス加工を行うと、成形部31の外縁部は、ダイ41bの内周面が段差面31aよりも内側にあることによって、薄く削り取られるように加工され、新たな段差面31a’を有する成形部31’が形成される。この工程においても成形部31’は完全に抜き落とされることなく、パンチ41aとダイ41bは図1(c)に示す状態で停止する。このシェービングと類似の加工により成形部31から剥ぎ取られた破片部34aは、パンチ41a及びダイ41bの最終動作位置を設定することによって確保された周囲部32とダイ41bとの間の隙間に収容される。以下、この工程を第2プレス工程という。
【0033】
この第2プレス工程においては、成形部31’の外縁に新たな段差面31a’が形成されるとともに、上記第1プレス工程と同様に、この工程においても段差面31a’の延長方向に伸びる破断面33bが形成される。この破断面33bによって、成形部31a’は上記と同様に周囲部32の内側に半抜状態に保持される。この破断面33bについても、上記破断面33aと同様に、成形部31’と破片部34aとが完全に分割されるように形成されていても、或いは完全に分割されない程度に一部に形成されていてもよく、また、破断面33bが全く形成されていなくてもよい。ただし、上記と同様に、成形品の形状精度を高めるために段差面31a’の深さを成形部31’の厚さに対して大きな割合で形成しようとすると破断面33bは形成され易くなり、さらに、破断面33bが形成された方が成形品の加工精度は向上する。
【0034】
最後に、金属テープ30を再びプレス装置の経路に沿って送り、上記の第2プレス工程で加工された部位を第3のプレス位置に配置する。この第3のプレス位置には、図1(d)に示すように、上記のプレスカット予定形状線35に沿った形状の外周面及び内周面を備えたパンチ42a及びダイ42bが設けられている。すなわち、パンチ42aの外縁とダイ42bの内縁とは、共に平面的に図2に示すプレスカット予定形状線35と一致する。このような形状のパンチ42a及びダイ42bにより、第2プレス工程により形成された成形部31’の外縁部の段差面31a’が薄く削られながら、最終的に成形部31”が抜き落とされる。この工程を以下、第3プレス工程という。破片部34bはこのときに形成されるが、この破片部34bは、上記第2プレス工程と同様に設定された周囲部32とダイ42bとの間の間隙内に収容される。
【0035】
第3プレス工程では、第2プレス工程において予め段差面31a’が形成されているとともに、その延長方向に伸びる破断面33bが形成されているため、成形部31a’が周囲と完全に分割されており、その結果、段差面31a’と破断面33bとからなる外周面を備えた成形部31’を通常のシェービング加工とほとんど同じ状態で加工して、成形部31”を形成することができる。このようにして成形された成形部31”は、4番車の歯車部として形成されたこととなる。
【0036】
なお、上記第1プレス工程及び第2プレス工程においては、段差面31a,31a’を形成するだけであり、プレスカットを行うことはないので、パンチの外縁とダイの内縁とを、上記第1プレス工程の加工形状線IaとIbにより示されるように互いに平面的にずらしてもよく、また、上記第2プレス工程のように平面的に一致させてもよい。パンチの外縁とダイの内縁とをずらす場合にはいずれか一方を他方に対して内側、外側のどちら側にずらしてもよいが、上記第1実施形態のように、パンチの外縁をダイの内縁よりも外側(周囲部32の側)にずらすことによって、破断面が傾斜面として形成され、成形部31が落下し難くなるという利点がある。
【0037】
本実施形態においては、従来のように一度のプレス加工で歯車を抜き落とすのではなく、予め成形品側に段差面31b’を形成してから、この段差面31b’の形成された外縁部を薄く引き剥がすようにシェービングと類似の加工を施して歯を成形するので、歯車の歯形状の成形精度を高めることができる。つまり、歯端面は、シェービング加工と同様の加工を受けるため、歯端面にはほとんど剪断面のみが形成され、若しくは、歯端面に破断面が形成されてもその面積乃至は比率を従来よりも少なくすることができる。したがって、歯端面の面精度を向上させることができ、その結果、歯形状の精度を向上させることができるので、歯車の噛み合わせの引っ掛かりや外れを防止することができる。
【0038】
また、最終的に歯車部をプレスカットにより抜き落とす工程(本実施形態では第3プレス工程)の前の工程(本実施形態では第2プレス工程)にて予め段差面31b’を形成することによって、各プレス工程において受けるプレス方向の応力を少なくすることができるので、各プレス工程において多少なりとも発生する外縁部の面ダレ31b,31b’をそれぞれ小さくすることができ、最終的に成形された歯車の歯先ダレ31b”を実質的になくすことができる。
【0039】
上記効果は、最終的に歯車部を抜き落とす前の第2プレス工程において、段差面31a’と連続した破断面33bを形成することによってより高められる。すなわち、段差面31a’と破断面33bとによって成形部31’が周囲部32や破片部34aから完全に分割されているので、最終工程においてシェービング加工と実質的に同じ状態で加工を行うことができるため、歯車部の歯形状の精度をさらに向上させることが可能となっている。
【0040】
さらに、本実施形態では、最終工程である第3プレス工程の前に、第1プレス工程及び第2プレス工程の2工程を設け、第1プレス工程において段差面31aを形成してから、第2プレス工程において段差面31aにシェービング加工と類似の加工を行い、その後にプレスカットを行っている。このため、例えば、第1プレス工程の際に発生した面ダレ31b(この面ダレ31bは、第1プレス工程のプレス変形が大きいために後の工程における面ダレ31b’や31b”よりも大きくなる場合がある。)が大きく形成されても、加工形状線Ibがプレスカット予定形状線35から大きく離れるように設定できるため、成形部31”の外縁形状に対する面ダレ31bの影響を低減することができる。
【0041】
また、第2プレス工程を設けたことにより、最終工程の直前の第2プレス工程において、成形部31’の外周側に対向配置される周縁部32との重なり部分の厚さが少なくなり、より通常のシェービング加工に近い条件で加工することができる。ここで、成形部31’と周縁部32との重なり部分の厚さは、成形部31’の上面位置と、周囲部32の下面位置とによって決定されるから、成形部31の上面位置が周囲部32の下面位置よりも下方に来る形状に金属テープ30をプレス加工することにより、成形部31’と周囲部32との厚さ方向の重なりが全くなくなり、さらに成形精度を向上させることができる。
【0042】
さらに、第2プレス工程を設けたことにより、成形部31’が破断面33bを介して接触している相手は、変形しにくい周囲部32ではなく、周囲部32に対して分離されている破片部34aとなる。したがって、第3プレス工程においては、通常のシェービング加工とは異なり、成形部31’の外周面が完全に露出してはいないものの、形成部31’の外周面の上部を覆う破片部34aを容易に変形させることができるとともに、この変形し易い破片部34を周囲部32とパンチ32a又はダイ42bとの間に設けられた間隙に逃がすことができるので、さらに通常のシェービング加工と同様の状況で加工を行うことができ、加工精度をより高めることができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。この実施形態において、基本的な加工手順は、上記第1実施形態と同様の第1プレス工程、第2プレス工程及び第3プレス工程によって実行され、歯車の歯先部分の加工は、図1と全く同様にして行われる。
【0044】
本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図3及び図4に示すように、第1プレス工程及び第2プレス工程において、ダイ40b及び41bの内縁角部に面取部40b−1及び41b−1を設けている点にある。この実施形態では、これらの面取部40b−1,41b−1の存在によって、歯車の歯底部分における成形部31又は31’と周囲部32との間に破断面が形成されないようになっている。この状況は、図3(b)に示す第1プレス工程と、図3(c)に示す第2プレス工程のいずれにおいても同様である。本実施形態の面取部40b−1,41b−1の平面形状は、図4に示されている。
【0045】
このため、第1プレス工程及び第2プレス工程では、図3に示すように、成形部31,31’と周囲部32とが歯車の歯底に相当する部分において連結されていることとなり、成形部31,31’と周囲部32との間の位置ズレ(特に上下方向の位置ズレ)や、成形部31,31’が周囲部32から離反して脱落したりすることが防止される。このため、図3(d)に示す最終のプレスカットを行う第3プレス工程において、成形部31’を正確に成形することができる。
【0046】
なお、第3プレス工程においてパンチ42aとダイ42bとにより成形部31”が抜き落とされる点は上記第1実施形態と全く同様である。
【0047】
第1実施形態では、成形部31,31’の段差面31a,31a’を深く形成し、成形部31,31’と周囲部32との接続部の厚さを薄く形成すると、これらの接続部に自然に破断面が形成されることから、半抜状態に保持する破断面の厚さも薄くなるので、成形部31,31’を周囲部32の内側に精度よく保持することができず、破断面を介して成形部が下方にズレたり、極端な場合には脱落する恐れがある。
【0048】
これに対して、この実施形態では、成形部31,31’における歯車の歯底に対応する周縁部において破断面が形成されないことによって、成形部31の段差面31a,31a’の深さを大きく取り、成形部31又は31’と周囲部32との接続部の厚さを小さくしても支障がなく、このため、段差面31a,31a’の深さを大きくとり、周囲部32との重なり部分の厚さを低減できるため、シェービング加工により近い状態で第3プレス工程の抜き落としを行うことができるから、歯車部の外縁部の歯の形状精度を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、図4に示すように、上記面取部40b−1,41b−1をダイ40b,41bにおける成形部31,31’の歯底に相当する内縁角部にのみ設けている。これは、破断面の形成されない部位は、成形部31,31’と周囲部32との対向部分の全部でなくとも一部であればよく(一部がつながっていれば成形部の位置ずれや脱落は起こらない。)、しかも、ダイ40b,41bの歯底に相当する内縁角部は内側に突出しているため、ダイの加工(切削加工等)が容易となるからである。逆に、パンチ40a,41aに面取部を形成する場合には、同様の理由により成形部31,31’の歯先に相当する外縁角部にのみ設けることが好ましい。
【0050】
上記面取部はパンチとダイのいずれか少なくとも一方に形成されていれば上記と同様の効果を得ることができる。パンチの外縁角部又はダイの内縁角部には、面取部ではなく、角部を曲面状に形成した曲面部を設けてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば以下の効果を奏する。
【0052】
本発明によれば、基材に一側を向く段差面を備えた段差を形成した後に、この段差面に沿って他側においてプレスカットを行うことにより、段差面がシェービングと同様の状態で加工されるとともに、段差を形成する工程及びプレスカットを行う工程の双方においてプレス時の加工応力を低減することができるため、カット面における剪断面積を増加させ、破断面積を低減させることができるとともに、カット面に近い表面若しくは裏面の面ダレを抑制することができるから、カット面の他側に形成されるプレス部品の外縁部の加工精度を高めることができる。そして、プレス型の少なくとも一方について、周縁角部を部分的に鈍角状若しくは曲面状に形成することにより、鈍角状若しくは曲面状に形成された周縁角部が当接する部分では破断面が形成されない周縁部が形成される。このため、段差を挟んで破断面が形成される周縁部と形成されない周縁部とが発生することとなり、段差を形成した後に、破断面が形成されない周縁部によって段差を挟んだ両側の部分が互いに連結されているため、両者が相対的に位置ズレを起こしたり、落下したりすることを防止できるため、この状態でプレスカットを行うことによって破断面が形成された周縁部の加工精度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレス部品の製造方法の第1実施形態の各工程を示す工程拡大断面図(a)〜(d)である。
【図2】第1実施形態における加工位置の平面形状を示す拡大平面図である。
【図3】本発明に係るプレス部品の製造方法の第2実施形態の各工程を示す工程拡大断面図(a)〜(d)である。
【図4】第2実施形態における加工位置の平面形状を示す拡大平面図である。
【図5】腕時計用の4番車の形状を示す正面図である。
【符号の説明】
30 金属テープ
31,31’,31” 成形部
31a,31a’,31a”,32a 段差面
32 周囲部
33a,33b 破断面
40a,41a,42a パンチ
40b,41b,41b ダイ
40b−1,41b−1 面取部

Claims (5)

  1. 板状の基材に対して該基材の厚さ方向にプレス加工を行うことによって、前記基材の平面方向の一側に向くとともにプレス方向に伸びる段差面を有する形状の段差を形成する工程と、前記段差面よりも他側において、前記段差面に沿ってプレスカットを行う工程とを備え、前記プレスカットを行ったカット面の他側部分をプレス部品として成形するプレス部品の製造方法において、
    前記段差を形成する工程においては、対向する一対のプレス型の少なくともいずれか一方について、前記段差を形成するための周縁角部を部分的に鈍角状若しくは曲面状に形成して用いられることを特徴とするプレス部品の製造方法。
  2. 請求項1において、前記段差を形成する工程を複数回行い、当該複数回の工程のうち、後工程においては、前工程において形成した段差面よりも前記他側に新たな段差面を形成するように行うことを特徴とするプレス部品の製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記プレス部品は歯車であり、前記プレスカットによって前記歯車の歯形状を成形することを特徴とするプレス部品の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記プレス部品は歯車であり、前記プレスカットによって前記歯車の歯形状を成形する方法であって、前記周縁角部のうち鈍角状若しくは曲面状に形成する部分は、前記歯車の歯底に対応する部分であることを特徴とするプレス部品の製造方法。
  5. 請求項3または4に記載のプレス部品の製造方法により製造された歯車を用いたことを特徴とする時計
JP05341697A 1997-03-07 1997-03-07 プレス部品の製造方法および時計 Expired - Fee Related JP3577877B2 (ja)

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