JP4121047B2 - 樹脂改質剤及び繊維処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、界面活性剤及び単独重合体型又は共重合体型界面活性剤[以下、(共)重合体型界面活性剤。]に関する。
【0002】
【従来の技術】
界面活性剤は乳化、分散、洗浄、湿潤、起泡等の幅広い性能を有している。それらの諸性能を利用して、従来から繊維をはじめとし、紙、ゴム、プラスチック、金属、塗料、顔料、土木建築等あらゆる分野に利用されている。特に最近は界面活性剤を使用した末端商品の高性能化への動きが活発化してきており、それに伴って、界面活性剤が有する副次的な欠点も指摘されている。
例えば、界面活性剤は塗料、印刷インキ、接着剤などではその製品の製造時、あるいは製品の安定化、更には作業性などの点で欠かすことができないものとして製品中に含有される。しかしながら、それら界面活性剤を含む製品が、塗布、印刷あるいは接着、粘着等の作業で現実に使用される場合は、本来界面活性剤は不要であり、むしろ存在している界面活性剤によって、塗膜、印刷面、接着皮膜等の耐水性、耐油性等の性能を悪化させる場合が多い。
【0003】
又、ポリマーを乳化重合によって製造する際、従来乳化重合用乳化剤としてアルキル硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、プルロニック型界面活性剤等の非イオン性界面活性剤が使用されていた。乳化重合用乳化剤は重合の開始反応や生成反応に関与するだけでなく、生成したエマルジョンの機械的安定性、化学的安定性、凍結安定性及び貯蔵安定性等にも関与し、更にエマルジョンの粒子径、粘性及び起泡性等のエマルジョン物性、フィルム化した時の耐水性、耐候性、接着性、耐熱性等のフィルム物性にも大きな影響を及ぼすことが知られている。
しかし、上記の通常の乳化剤を使用して乳化重合したエマルジョンには乳化剤に起因するエマルジョンの泡立ちが多くなること、又、エマルジョンからフィルムを作製した場合に乳化剤が遊離した状態でフィルム中に残るため、接着性、耐水性、耐候性、耐熱性等のフィルム物性の低下などの問題点が指摘されている。
【0004】
又、従来懸濁重合用分散剤としては、工業的にビニル系樹脂を製造する場合、水性媒体中で分散安定剤の存在下に塩化ビニル系モノマーを分散させ、油溶性触媒を用いて重合を行う懸濁重合法が広く実施されている。このような樹脂の品質を支配する因子としては重合率、水/モノマー比、重合温度、触媒の種類及び量、重合槽の型式、攪拌速度あるいは分散安定剤の種類、量等が挙げられるが、中
でも分散安定剤の種類による影響が非常に大きい事が知られている。
従来のビニル系樹脂の懸濁重合用分散剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン或いはポリビニルアルコール等の水溶性高分子等が挙げられる。しかしこの様な分散剤は重合後のビニル樹脂中にフリーで残存してしまい、それに起因してビニル樹脂の耐水性、耐候性、耐久性等の樹脂の物性を下げてしまうという問題があった。
【0005】
又、ビニル系樹脂改質剤としては、従来、ビニル重合体の改質剤として特開平1−174511号公報に記載のもの等があるが、このような改質剤を用いた場合、単量体との相溶性が悪いために均一な共重合体が得られなかった。相溶性を改良する試みとして、特開平1−174512号公報があるが、尚充分な相溶性を得るには至らず、又重合体に対する改質効果も不充分であるという問題点があった。上記の様な欠点を解消するため、近年分子中に界面活性能を有する基と重合性基を有する基を有し、乳化剤として作用するだけでなく、重合中徐々に重合体に化学的な結合で取り込まれていく反応性界面活性剤に関する提案がなされている。
例えば、アクリル酸エステル基又はメタアクリル酸エステル基[(メタ)アクリル酸エステル基。]を有する反応性界面活性剤としては、親水基にポリエーテル鎖を有する化合物(特開昭63−185436号、特開昭63−77530号公報)、親水基にスルホン酸基を有する化合物(特開平1−27627号公報、特開昭63−77531号公報)、親水基にリン酸基を有する化合物(特開平1−27628号公報、特開昭63−84625号公報、特開昭63−72333号公報)、親水基にカルボン酸基を有する化合物(特開平7−18011号公報)等が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、乳化重合、懸濁重合等の条件は様々である。重合されるポリマーの種類、分子量、製造設備の条件、コスト、得られたポリマーの用途などにより重合条件は多種多様であり、それぞれの条件に適した乳化剤、分散剤が必要である。これは樹脂改質剤やポリエステル繊維の防汚加工においても同様である。
界面活性剤の性能は主に親水基と疎水基のバランスにより決定されるが、従来の反応性界面活性剤では疎水性が十分でない場合があり、業界には新たな疎水基を有する反応性界面活性剤に対する要求があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、下記の一般式(1)
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、Rは炭化水素基を表わし、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表わし、Rfは1以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基又は1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアシル基を表わし、Xは水素原子又は親水基を表わし、mは0又は1以上の数を表わす。)
で表わされる界面活性剤を単量体成分とする共重合体からなる樹脂改質剤及び繊維処理剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表す。又、Rfは1以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基又は1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアシル基を表す。炭化水素基としては例えば、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアリール基、フルオロシクロアルキル基、フルオロシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0011】
フルオロアルキル基としては例えば、パーフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロイソブチル、パーフルオロターシャリブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、パーフルオロネオペンチル、パーフルオロターシャリペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2−エチルヘキシル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロウンデシル、パーフルオロドデシル、パーフルオロトリデシル、パーフルオロイソトリデシル、パーフルオロテトラデシル、パーフルオロヘキサデシル、パーフルオロオクタデシル、パーフルオロイコシル、パーフルオロドコシル、パーフルオロテトラコシル、パーフルオロトリアコンチル、パーフルオロ2−オクチルドデシル、パーフルオロ2−ドデシルヘキサデシル、パーフルオロ2−テトラデシルオクタデシル等のCnF2n+1−で表されるパーフルオロアルキル基が挙げられる。
【0012】
この他に、トリフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロブチル、ノナフルオロペンチル、ウンデカフルオロヘキシル、トリデカフルオロヘプチル、ペンタデカフルオロオクチル、ヘプタデカフルオロノニル、ノナデカフルオロデシル、ヘンイコサフルオロウンデシル、トリコサフルオロドデシル、ペンタコサフルオロトリデシル、ヘプタコサフロオロテトラデシル、ノナコサフルオロペンタデシル等のCnF2n-1H2−又はF(CF2)n-1CH2−で表わされるフルオロアルキル基;ジフルオロエチル、テトラフルオロプロピル、ヘキサフルオロブチル、オクタフルオロペンチル、デカフルオロヘキシル、ドデカフルオロヘプチル、テトラデカフルオロオクチル、ヘキサデカフルオロノニル、オクタデカフルオロデシル、イコサフルオロウンデシル、ドコサフルオロドデシル、テトラコサフルオロトリデシル、ヘキサコサフルオロテトラデシル、オクタコサフルオロペンタデシル、トリアコンタフルオロヘキサデシル等のCnF2n-2H3−又はH(CF2)n-1CH2−で表わされるフルオロアルキル基;モノフルオロエチル、トリフルオロプロピル、ペンタフルオロブチル、ヘプタフルオロペンチル、ノナフルオロヘキシル、ウンデカフルオロヘプチル、トリデカフルオロオクチル、ペンタデカフルオロノニル、ヘプタデカフルオロデシル、ノナデカフルオロウンデシル、ヘンイコサフルオロドデシル、トリコサフルオロトリデシル、ペンタコサフルオロテトラデシル、ヘプタコサフルオロペンタデシル、ノナコサフルオロヘキサデシル等のCnF2n-3H4−又はF(CF2)n-2CH2CH2−で表わされるフルオロアルキル基;モノフルオロプロピル、トリフルオロブチル、ペンタフルオロペンチル、ヘプタフルオロヘキシル、ノナフルオロヘプチル、ウンデカフルオロオクチル、トリデカフルオロノニル、ペンタデカフルオロデシル、ヘプタデカフルオロウンデシル、ノナデカフルオロドデシル、ヘンイコサフルオロトリデシル、トリコサフルオロテトラデシル、ペンタコサフルオロペンタデシル、ヘプタコサフルオロヘキサデシル等のCnF2n-5H6−又はF(CF2)n-3CH2CH2CH2−で表わされるフルオロアルキル基;モノフルオロヘキシル、トリフルオロヘプチル、ペンタフルオロオクチル、ヘプタフルオロノニル、ノナフルオロデシル、ウンデカフルオロウンデシル、トリデカフルオロドデシル、ペンタデカフルオロトリデシル、ヘプタデカフルオロテトラデシル、ノナデカフルオロペンタデシル、ヘンイコサフルオロヘキサデシル等のCnF2n-11H12−又はF(CF2)n-6(CH2)6−で表わされるフルオロアルキル基等が挙げられる。
【0013】
フルオロアルケニル基としては例えば、パーフルオロプロペニル、パーフルオロイソプロペニル、パーフルオロブテニル、パーフルオロイソブテニル、パーフルオロペンテニル、パーフルオロイソペンテニル、パーフルオロヘキセニル、パーフルオロヘプテニル、パーフルオロオクテニル、パーフルオロノネニル、パーフルオロデセニル、パーフルオロウンデセニル、パーフルオロドデセニル、パーフルオロテトラデセニル、パーフルオロオレイル等のパーフルオロアルケニル基の他、トリフルオロブテニル、ペンタフルオロペンテニル、ヘプタフルオロヘキセニル、ノナフルオロヘプテニル、ウンデカフルオロオクテニル、トリデカフルオロノネニル、ペンタデカフルオロデセニル、ヘプタデカフルオロウンデセニル、ノナデカフルオロドデセニル、ヘンイコサフルオロテトラデセニル、等のCnF2n-5H4−又はF(CF2)n-3CH=CHCH2−で表わされるフルオロアルケニル基等が挙げられる。
【0014】
フルオロアリール基としては例えば、パーフルオロフェニル、パーフルオロトルイル、パーフルオロキシリル、パーフルオロクメニル、パーフルオロメシチル、パーフルオロベンジル、パーフルオロフェネチル、パーフルオロスチリル、パーフルオロシンナミル、パーフルオロベンズヒドリル、パーフルオロトリチル、パーフルオロエチルフェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、パーフルオロヘプチルフェニル、パーフルオロオクチルフェニル、パーフルオロノニルフェニル、パーフルオロデシルフェニル、パーフルオロウンデシルフェニル、パーフルオロドデシルフェニル、パーフルオロスチレン化フェニル、パーフルオロp−クミルフェニル、パーフルオロフェニルフェニル、パーフルオロベンジルフェニル等のパーフルオロアリール基等の他、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、モノフルオロトルイル、(パーフルオロメチル)フェニル、(トリフルオロメチル)モノフルオロフェニル、(パーフルオロエチル)フェニル、(パーフルオロプロピル)フェニル、(パーフルオロブチル)フェニル、(パーフルオロペンチル)フェニル、(パーフルオロヘキシル)フェニル、(パーフルオロヘプチル)フェニル、(パーフルオロオクチル)フェニル、(パーフルオロノニル)フェニル、(パーフルオロデシル)フェニル、(パーフルオロウンデシル)フェニル、(パーフルオロドデシル)フェニル等が挙げられる。
【0015】
フルオロシクロアルキル基、フルオロシクロアルケニル基としては例えば、パーフルオロシクロペンチル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロシクロヘプチル、パーフルオロメチルシクロペンチル、パーフルオロメチルシクロヘキシル、パーフルオロメチルシクロヘプチル、パーフルオロシクロペンテニル、パーフルオロシクロヘキセニル、パーフルオロシクロヘプテニル、パーフルオロメチルシクロペンテニル、パーフルオロメチルシクロヘキセニル、パーフルオロメチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
フルオロアシル基としては、前述のフッ化炭化水素基の結合末端にカルボニル基が結合した基が挙げられる。例えば、パーフルオロアセチル、パーフルオロプロピオニル、パーフルオロブチリル、パーフルオロイソブチリル、パーフルオロバレリル、パーフルオロイソバレリル、パーフルオロピバリル、パーフルオロドデカノイル、パーフルオロテトラデカノイル、パーフルオロヘキサデカノイル、パーフルオロオクタデカノイル、パーフルオロアクリロイル、パーフルオロプロピオロイル、パーフルオロメタクロイル、パーフルオロクロトノイル、パーフルオロオレイロイル、パーフルオロベンゾイル、パーフルオロフタロイル、パーフルオロスクシニル等のパーフルオロアシル基の他、モノフルオロアセチル、ジフルオロアセチル、テトラフルオロプロピオニル、ヘキサフルオロブチリル、オクタフルオロバレリル、ドコサフルオロドデカノイル、オクタコサフルオロテトラデカノイル、トリアコンタフルオロヘキサデカノイル等が挙げられる。
【0016】
以上の1以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基又は1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアシル基を一般式で表わした場合の炭素数を表わす数値nの範囲は1〜36のものが好ましく、4〜18のものが更に好ましい。
又、1以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基又は1以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアシル基のなかでも、F(CF2)n-1CH2−、H(CF2)n-1CH2−又はパーフルオロアシル基が好ましい。
【0017】
一般式(1)において、Rは炭化水素基であるが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基である。Rは2種以上の炭化水素基でもよいが、その場合は1種類はエチレン基であることが好ましい。一般式(1)中の(R−O)mの部分は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド等又はα−オレフィンオキサイド等を付加重合させることにより得ることができる。又、上記の方法により(R−O)mの部分を形成させる場合は、付加させるアルキレンオキサイド等によりRが決定される。付加させるアルキレンオキサイド等の重合形態は特に限定されず、1種類の単独重合、2種類以上のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合等であってよい。重合度mは0又は1以上の数であり、mは好ましくは1〜1,000、より好ましくは1〜500、更に好ましくは5〜200である。
【0018】
一般式(1)において、Xは水素原子(水酸基)又は親水基を表す。親水基としては例えば、−SO3M、−R3−COOM、−PO3M2、−PO3MH、−CO−R4−COOM、−(CH2)r−SO3M、−CH2−CH(OH)−CH2−SO3M等が挙げられる。
上記の親水基を表す式中、Mは水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属原子(但し、アルカリ土類金属原子は通常2価であるから、1/2)、アンモニウムとしては例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン又はイソプロピルアミン、ジプロピルアミン又はジイソプロピルアミン、エタノールアミン、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等のアンモニウムが挙げられる。
【0019】
R3はメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等のアルキレン基を表わす。なかでも原料の都合から、メチレン、エチレン、プロピレン等の炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
R4、二塩基酸又はその無水物の残基である。二塩基酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の飽和脂環族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸(エンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、メチルナジック酸、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸、メチルペンテニルテトラヒドロフタル酸等の不飽和脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。これらは無水物の形で用いられてもよい。
rは1以上の数を表わし、好ましくは2〜8である。
【0020】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤は、消泡剤、乳化剤、洗浄剤、分散剤、離型剤、繊維処理剤、接着剤用添加剤、防曇剤、艶だし剤、ウレタンフォーム等の整泡剤、塗料用添加剤、繊維用防汚加工剤、帯電防止剤、滑剤、樹脂の内部潤滑剤、樹脂改質剤等として使用することができ、特にビニル基等のラジカル重合基と反応性を有する界面活性剤として乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、樹脂用改質剤(撥水性向上、親水性調節、相溶性向上、帯電防止性向上、防曇性向上、耐水性向上、接着性向上、染色性向上、造膜性向上、耐候性向上、耐ブロッキング性向上等を目的とする。)等に使用することができる。
本発明において、上記界面活性剤は、反応性の高い(メタ)アクリロイル基を有しているために重合性が高いので、他の重合性化合物と共重合する共重合体型界面活性剤の単量体成分として利用される。
【0021】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤を単量体成分として、(共)重合体型界面活性剤を得る方法は、例えば、一般式(1)で表わされる界面活性剤及び必要に応じて他の重合性化合物を、塊状重合、溶液重合、乳化重合又は懸濁重合等の方法により(共)重合させればよい。使用することができる重合開始剤は、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスシアノ吉草酸クロライド、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタノール)、2,2’−アゾビス−(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−2−ヒドロキシプロピオン酸アミド)等のアゾ化合物類;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物系等が挙げられる。又、亜硫酸塩とパーオキサイド化合物、過酸化水素とFe2+塩等のレドックス開始剤等も使用できる。又、重合促進剤としては例えば、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄アンモニウム等を使用することができる。
【0022】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤、又はそれを単量体成分とする(共)重合体型界面活性剤を乳化重合用乳化剤として使用する場合は、従来公知の乳化重合用乳化剤の通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、概ね原料モノマーに対して、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%使用することができる。又、本発明の乳化重合用乳化剤と他の反応性又は非反応性乳化剤との併用も可能である。乳化重合する単量体に特に制限はないが、アクリレート系エマルジョン、スチレン系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、SBR(スチレン/ブタジエン)エマルジョン、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)エマルジョン、BR(ブタジエン)エマルジョン、IR(イソプレン)エマルジョン、NBR(アクリロニトリル/ブタジエン)エマルジョン等に好適に使用することができる。
【0023】
アクリレート系エマルジョンとしては例えば、アクリル酸,メタアクリル酸、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステル[以下、これらの4種のモノマーを包括的に(メタ)アクリル酸(エステル)と記載する。]の単独又は任意の組み合わせ、(メタ)アクリル酸(エステル)/スチレン、(メタ)アクリル酸(エステル)/酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸(エステル)/アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸(エステル)/ブタジエン、(メタ)アクリル酸(エステル)/塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸(エステル)/アリルアミン、(メタ)アクリル酸(エステル)/ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸(エステル)/アルキロールアミド、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N―ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0024】
スチレン系エマルジョンとしては、スチレン単独の他例えば、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/ブタジエン、スチレン/フマルニトリル、スチレン/マレインニトリル、スチレン/シアノクリル酸エステル、スチレン/酢酸フェニルビニル、スチレン/クロロメチルスチレン、スチレン/ジクロロスチレン、スチレン/ビニルカルバゾール、スチレン/N,N−ジフェニルアクリルアミド、スチレン/メチルスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、スチレン/アクリロニトリル/メチルスチレン、スチレン/アクリロニトリル/ビニルカルバゾール、スチレン/マレイン酸等が挙げられる。
酢酸ビニル系エマルジョンとしては、酢酸ビニル単独の他例えば、酢酸ビニル/スチレン、酢酸ビニル/塩化ビニル、酢酸ビニル/アクリロニトリル、酢酸ビニル/マレイン酸またそのエステル、酢酸ビニル/フマル酸またはそのエステル、酢酸ビニル/エチレン、酢酸ビニル/プロピレン、酢酸ビニル/イソブチレン、酢酸ビニル/塩化ビニリデン、酢酸ビニル/シクロペンタジエン、酢酸ビニル/クロトン酸、酢酸ビニル/アクロレイン、酢酸ビニル/アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤、又はそれを単量体成分とする(共)重合体型界面活性剤を懸濁重合用分散剤として使用する場合は、従来公知の懸濁重合用分散剤の通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、概ね原料モノマーに対して、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%使用することができる。又、本発明の懸濁重合用分散剤と他の反応性又は非反応性分散剤、例えばポリビニルアルコール等との併用も可能である。又、懸濁重合する単量体に特に制限はないが、ハロゲン化オレフィン系、酢酸ビニル系等の重合に好適に使用することができる。
ハロゲン化オレフィン系の重合としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル/マレイン酸又はそのエステル、塩化ビニル/フマル酸又はそのエステル、塩化ビニル/酢酸ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニリデン/酢酸ビニル、塩化ビニリデン/安息香酸ビニル等が挙げられる。
酢酸ビニル系の重合については上記と同様である。
【0026】
本発明の乳化重合用乳化剤又は懸濁重合用分散剤により乳化重合又は懸濁重合を行う際には、一般的に重合開始剤、重合促進剤、架橋剤、分子量調整剤、連鎖移動剤等を使用する。使用できる重合開始剤としては上記のものが挙げられる。架橋剤として例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどを使用することができる。重合調節剤としては、例えばドデシルメルカプタン等を加えることができる。又、他の添加剤、例えばハルス、コロイダルシリカ、ハイブリッドシリカ等の存在下に重合させてもよい。
又、重合の際に媒体を加えることができる。例えば、水、メタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、塩化亜鉛水溶液、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジオキサン等が挙げられる。
【0027】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤を乳化重合用乳化剤又は懸濁重合用分散剤として使用する場合は重合可能な二重結合基を有するため、従来、非反応型乳化剤を使用した場合に問題となっていたエマルション又はサスペンジョンの泡立ち、エマルション又はサスペンジョンから得られるポリマーの諸物性(耐水性・耐候性・接着性等)の低下、製造工程において出てくる排水中に乳化剤を含有するために起こる排水負荷、環境破壊等の種々の問題点を解決出来る。又、析出操作時に出る排水に該乳化剤又は該分散剤が含まれないため、排水負荷・環境破壊に繋がらないという利点を有する。この点については特にABS樹脂の製造時に顕著である。
本発明の乳化重合用乳化剤又は懸濁重合用分散剤を使用した乳化重合又は懸濁重合により得られた重合体エマルジョンは、塗料、接着剤、粘着剤、インク、フィルム、コーティング剤、紙塗工剤、サイズ剤、シーラー等に使用することができる。
【0028】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤、又はそれを単量体成分とする(共)重合体型界面活性剤を樹脂改質剤として使用する場合、改質することができる樹脂の物性は例えば、親水性の調節、相溶性の向上、帯電防止性の向上、防曇性の向上、耐水性の向上、接着性の向上、染色性の向上、造膜性の向上、耐候性の向上、耐ブロッキング性の向上等である。改質の対象となる樹脂は特に限定されず、前記単量体の重合によって製造されるあらゆる樹脂に使用可能である。又、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリールエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等にも使用することができる。なかでも塩化ビニル、塩化ビニリデン等のポリハロゲン化オレフィン類、エチレン、プロピレン等のポリα―オレフィン類等に使用することが好ましい。
【0029】
本発明の樹脂改質剤は、樹脂表面に塗工したり樹脂を加工する際に練りこむ等によって添加することができる。又、一般式(1)で表わされる界面活性剤を帯電防止剤として使用する場合は、樹脂製造時に単量体成分の一つとして他の単量体と共重合させることにより樹脂の分子中に本発明の樹脂改質剤が組み込まれ、永久帯電防止等の永久改質効果を得ることができる。本発明の樹脂改質剤を樹脂単量体と共重合させて使用する場合、共重合の方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の方法を採ることができるが、本発明の樹脂改質剤は乳化重合又は懸濁重合の際には乳化剤又は分散剤としても機能し得ることから、乳化重合又は懸濁重合により共重合させることが好ましい。
本発明の樹脂改質剤は、構造中にエーテル鎖を含有する化合物を用いることにより、単量体に対して優れた相溶性を示す。又、(R−O)m基を有する場合は、必要に応じて重合度m及びRの種類を改質の目的及び単量体との相溶性に応じて選択することにより親水性を容易に調節することができる。このため本発明の樹脂改質剤は単量体との相溶性と重合体の改質効果を同時に向上させることができるものである。又、本発明の樹脂改質剤を使用する事により、使用された樹脂に永久帯電防止、防曇性を付与する事が可能である。
【0030】
本発明の樹脂改質剤の使用量は、単量体の種類、改質の目的、要求される性能などにより、種々変えることができるが、単量体に対して好ましくは0.1〜30重量%使用する事ができ、特に親水性の不充分な水溶性樹脂を親水性の高い重合体にしようとする場合等では、単量体に対して1〜30重量%使用することがより好ましい。その他の用途、例えば耐水性、接着性、帯電防止性、防曇性、染色性、造膜性、耐候性、耐ブロッキング性等の向上のため、あるいはポリマ−アロイのための重合体に相溶性を付与しようとする場合等には単量体に対して0.1〜30重量%使用することが好ましい。
本発明の樹脂改質剤を使用する場合には樹脂物性の改善のためにジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ジビニル化合物等を通常の使用量の範囲で任意に使用することができる。更に、乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、樹脂改質剤として使用する場合は例えば金属酸化剤の存在によって樹脂ポリマーを架橋させることも可能である。
【0031】
本発明の一般式(1)で表わされる界面活性剤、又はそれを単量体成分とする(共)重合体型界面活性剤は、単独で或いは他の添加成分と共に繊維用防汚加工剤、帯電防止剤等の繊維処理剤として使用できる。繊維用防汚加工剤として使用する場合は、ポリエステル等の繊維にグラフト重合させることにより、防汚性を付与することができる。グラフト重合の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば電離性放射線を照射する方法、イオン放電による方法、熱酸化やオゾン酸化による方法、ラジカル重合開始触媒を使用する方法、或いは無触媒でグラフト重合させる方法等が挙げられる。又、本発明の防汚加工剤の場合には必要に応じて香料、蛍光剤等その他の任意の成分を配合することができる。本発明の防汚加工剤をグラフト重合した繊維は、防汚加工処理をしていない繊維に比べて、著しく防汚性や耐再汚染性が向上する他、静電気の帯電防止等にも効果がある。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無い限り重量基準である。
【0033】
(製造例1)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を備えた5つ口フラスコに、CF3(CF2)3CH2OHを250.1g(1モル)、トリエチルアミン2.5g、及びハイドロキノン0.1gを仕込んだ。これに、60℃で攪拌下、メタクリル酸グリシジル142.1g(1モル)を滴下した。滴下終了後、50℃で8時間反応させた。次いでトリエチルアミンを除去後、BF3エーテル錯体4gを加えてから反応生成物を加圧反応装置に移し、エチレンオキサイド(EO)308g(7モル)を50℃で15時間反応させ本発明の界面活性剤1を得た。以下、フッ素化合物としてCF3(CF2)6CH2OHを400g(1モル)及びエチレンオキサイド440g(10モル)を使用した以外は同様にして、下記の本発明の界面活性剤2を得た。
【0034】
【化4】
【0035】
本発明の界面活性剤1:m=7、z=3
本発明の界面活性剤2:m=10、z=6
又、フッ素化合物としてCHF2(CF2)7CH2OHを432g(1モル)又はCHF2(CF2)10CH2OHを582g(1モル)を、エチレンオキサイドを352g(8モル)又は528g(12モル)それぞれ使用した以外は同様にして、下記の本発明の界面活性剤3及び4を得た。
【0036】
【化5】
【0037】
本発明の界面活性剤3:m=8、z=7
本発明の界面活性剤4:m=12、z=10
【0038】
(製造例2)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を備えた5つ口フラスコに、CF3(CF2)3COOHを264g(1モル)及びハイドロキノン0.1gとトルエン300gを仕込んだ。これに、20℃に冷却しながら攪拌下、アクリル酸グリシジル128.1g(1モル)を滴下した。滴下終了後、50℃で8時間反応させた。脱溶媒後、トリエチルアミン4gを加え、反応生成物を加圧反応装置に移し、エチレンオキサイド440g(10モル)を50℃で15時間反応させ本発明の界面活性剤5を得た。以下、CF3(CF2)8COOHを514g(1モル)使用して、同様にして下記の本発明の界面活性剤6を得た。
【0039】
【化6】
【0040】
本発明の界面活性剤5:m=10、z=3
本発明の界面活性剤6:m=10、z=8
【0041】
(製造例3)
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を備えた4つ口フラスコに、本発明の界面活性剤3を79.4g(0.1モル)、ベンゾキノン0.1g、無水コハク酸10g(0.1モル)及びピリジン0.5gを仕込み、100℃で5時間反応させて本発明の界面活性剤7を得た。
【0042】
【化7】
【0043】
(製造例4)
温度計、窒素導入管、リービッヒ及び攪拌装置を備えた4つ口フラスコに、本発明の界面活性剤1を64.3g(0.1モル)とベンゾキノン0.1g、モノクロロ酢酸10.5g(0.11モル)を仕込んだ。この混合物に、攪拌下48%水酸化ナトリウム9.2g(0.11モル)を2時間で滴下した。この間、60℃、20mmHgに維持し、水を系外に除去した。その後同条件で2時間熟成し、本発明の化合物8を得た。
【0044】
【化8】
【0045】
(製造例5)
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を備えた4つ口フラスコに、本発明の界面活性剤3を174.7g(0.22モル)とベンゾキノン0.1gを仕込み、35〜45℃にて五酸化二リン14.2g(0.1モル)を少しずつ加えた。その後45℃で5時間反応させた。水を2.8g加えて更に反応させ、本発明の界面活性剤9を得た。
【0046】
【化9】
【0047】
又、比較サンプルとして以下の化合物を使用した。
(比較サンプル1)
【0048】
【化10】
【0049】
(比較サンプル2)
【0050】
【化11】
【0051】
(比較サンプル3)
【0052】
【化12】
【0053】
(評価サンプルの合成1)
本発明の界面活性剤1を30部と、オクタデシルアクリレート70部を仕込み、80℃でアゾビスイソブチロニトリル0.5部を加えて反応させ、共重合体1を得た。
同様にして、本発明の界面活性剤2〜6及び比較サンプル1、2のそれぞれをオクタデシルアクリレートと反応させ、共重合体2〜6及び比較の共重合体1、2を得た。
【0054】
(評価サンプルの合成2)
本発明の界面活性剤1を70部とブチルアクリレート30部を仕込み、80℃でアゾビスイソブチロニトリル0.5部を加えて反応させ、共重合体7を得た。同様にして本発明の界面活性剤7〜9及び比較サンプル2、3のそれぞれをブチルアクリレートと反応させ、共重合体8〜10及び比較の共重合体3、4を得た。
【0055】
(実施例1:防曇性試験)
エチレン−アクリル酸共重合体100部と上記共重合体100部のそれぞれとの混合物を190℃で二軸押し出し機により混練押し出しし、ペレットを得た。これをTダイ成型機にて170℃で20μmのフィルムにした。別にフィルム化した80μmのポリエチレンフィルムと上記フィルムを重ね合わせ、ヒートラミネート法により2層構造の透明な試験フィルムを得た。
100ミリリットルのビーカーに70ミリリットルの水を入れ、その上面を試験フィルムの防曇樹脂層を下にして覆い、50℃の恒温槽に漬けた。1週間経過後及び2週間経過後の試験フィルムの内面の曇りを観察した。
<評価基準>
◎:水滴が無く、透明である。
○:透明であるが、わずかに水滴がある。
△:水滴があるが、内部が見える。
×:水滴のために内部が見えない。
【0056】
【表1】
【0057】
(実施例2:防汚加工試験)
上記共重合体の各々20%イソプロピルアルコール溶液を、共重合体の含量が0.1%になるように水に希釈分散させた。これに、ポリエチレンテレフタレート繊維からなるポリエステル布(5×5cm、0.15g)5枚を1時間浸漬させた。その後、ロールで絞り、100℃で5分、160℃で1分熱乾燥させ、防汚加工されたポリエステル布各々5枚組を得た。このうち、2枚を汚れ除去性の試験に、2枚を汚染防止性の試験に、1枚を判定用標準試験布とした。
(汚れ除去性試験の方法)
カーボンブラック1.0g、牛脂1.0g、流動パラフィン5.0g及び四塩化炭素1リットルを混合した汚染液0.3ミリリットルを試験布2枚に滴下し、24時間放置した。次いで、家庭用洗濯機(容量:2.2kg)を使用し、家庭用粉末合成洗剤を40g/30リットルになるように加え、水温40度で5分間洗濯し、その後、常温で5分間の溜めすすぎを2回行った。洗濯後の汚れの残存状態を、JIS−L−0805に規定された染色堅牢度用のグレースケールで等級判別(5:良〜1:不良)した。汚染液の滴下、乾燥、洗濯、乾燥のサイクルを更に19回繰り返し、汚れの残存状態を同様にして判別した。
【0058】
(再汚染防止性試験の方法)
上記汚れ除去性試験で使用した汚染液20g、非イオン界面活性剤10gを水道水で10リットルに希釈したものを再汚染液として使用した。この再汚染液に試験布2枚を入れ、浴比1:50にて90℃で10分攪拌した後、家庭用洗濯機(容量:2.2kg)を使用し、常温で5分間の溜めすすぎを2回行った後、乾燥させ、この汚れをJIS−L−0805に規定された染色堅牢度用のグレースケールで等級判別(5:良〜1:不良)した。再汚染液への浸漬、洗濯、乾燥のサイクルを更に19回繰り返し、同様にして汚れを判別した。
【0059】
【表2】
【0060】
(実施例3:帯電防止性試験)
上記共重合体の各々20%イソプロピルアルコール溶液を、共重合体の含量が0.1%になるように水に希釈分散させた。これに、ポリエチレンテレフタレート繊維からなるポリエステル布(5×5cm、0.15g)を1時間浸漬させた。その後、ロールで絞り、100℃で5分、160℃で1分熱乾燥させ試験布を得た。次いで、汚染液を使用しない点以外は前述の再汚染防止性試験における洗濯条件と同条件で1回又は20回洗濯を行った。試験布を温度25℃、湿度40%RHの恒温槽に24時間放置した後、以下の機器で表面固有抵抗値、半減期及び摩擦帯電圧を測定した。
<測定機器>
表面固有抵抗値:アドバンテスト社製デジタルマルチメーターR8340
半減期:東亜電波工業社製スタチックオネストメーター(印加電圧1,000V)
摩擦帯電圧:興亜商会社製ロータリースタチックテスター
【0061】
【表3】
【0062】
(実施例4:分散性試験)
100mlの共栓付メスシリンダーのそれぞれに共重合体7〜10及び比較の共重合体3、4をそれぞれ1g、カ−ボンブラックをそれぞれ10gを入れ、水にて溶解分散させ100mlに調整した。次に、そのメスシリンダ−を1分間に100回振とうした後、1時間25℃にて静置した。その後、液上面から30ml抜き取り、グラスフィルターにて濾過した後、105℃にて、乾燥させ、グラスフィルター上の残査の重量よりカーボンブラック分散性を次式によって測定した。
分散性能(%)={グラスフィルタ−の残査重量(g)/3}×100
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】
本発明の効果は、新規な界面活性剤を提供したことにある。本発明の界面活性剤は、疎水基としてフッ素原子を含む基を有し、自己重合性が高くかつ疎水性が高いため油性の単量体との相溶性が良好で、樹脂の改質に優れた性能を示すという特有の効果を有する。
Claims (6)
- 一般式(1)において、Xが−SO3M、−R3−COOM、−PO3M2、−PO3MH、−CO−R4−COOM、−(CH2)r−SO3M、又は−CH2−CH(OH)−CH2−SO3M
(R3はアルキレン基を表わし、R4は2塩基酸残基又は2塩基酸無水物の残基を表わし、rは1以上の数を表わす。)
で表わされる親水基である請求項1に記載の樹脂改質剤。 - 一般式(1)において、Rfが−CH2(CF2)n−1F、−CH2(CF2)n−1H、−CO−(CF2)nFからなる群から選ばれる置換基のいずれかである請求項1又は2に記載の樹脂改質剤。
- 一般式(1)において、Xが−SO 3 M、−R 3 −COOM、−PO 3 M 2 、−PO 3 MH、−CO−R 4 −COOM、−(CH 2 ) r −SO 3 M、又は−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −SO 3 M
(R 3 はアルキレン基を表わし、R 4 は2塩基酸残基又は2塩基酸無水物の残基を表わし、rは1以上の数を表わす。)
で表わされる親水基である請求項4に記載の繊維処理剤。 - 一般式(1)において、Rfが−CH 2 (CF 2 ) n−1 F、−CH 2 (CF 2 ) n−1 H、−CO−(CF 2 ) n Fからなる群から選ばれる置換基のいずれかである請求項4又は5に記載の繊維処理剤。
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