JP4121009B2 - ワークの移載装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳造品(ワーク)の仕上げ処理加工の際、ワークを昇降駆動バー先端のワーククランプに挟持し、処理済のワークを取り出したり、未処理のワークを配置したり等の入れ替え作業を行うワーク移載装置に係り、特に一台の昇降駆動部材で二台の昇降駆動バーを操作し、加工完了ワークの取り出しと、未加工ワークのセットを一度に行うワークの移載装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の各種部品、例えば、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、インテークマニホールド等はアルミや鉄を鋳造加工して製造される。この鋳造によって得られる鋳造品(ワーク)は通常、堰、押湯、湯口等の不用物が付着しているため、この不用物を除去する必要がある。
【0003】
このような不用物除去に際し、通常、自動機械が用いられ、このため、未加工ワークを処理個所にセットしたり、加工完了ワークを処理個所から取り出したり等の入れ替え操作も自動操作によるワーク移載装置が必要となる。
【0004】
この種のワーク移載装置として、従来、図3に示される装置が知られている。図3において、100はガイドレールである。このガイドレール100には、走行台車102がレール100上を鉄製の走行ガイドローラ101によって走行自在に取りつけられる。さらに、走行台車102には、下端にワーククランプ103の装着された昇降駆動バー104、104が昇降ガイドローラ105を保持した支持体(ガイド部材)106、106に支持され、設置される。
【0005】
昇降駆動バー104 、104 はそれぞれ上端で連結バー107、107を介して昇降駆動レバー108、108 と連結され、モータ等の駆動部材109、109の駆動力により、かつ昇降ガイドローラ105、105の滑動により、昇降駆動レバー108、108の回転とともに、連結バー107、107を介して昇降駆動バー104、104を上昇ないしは降下させる。
【0006】
そして、昇降駆動バー104、104下端のワーククランプ103、103にはワーク110、110が挟持され、一方のワーククランプ103には処理済のワーク110が、他方のワーククランプ103には未処理のワーク110がそれぞれ挟持され、ワーク110 の入れ替えが行われる。図3中、111は走行用モータ、112は走行駆動減速機、113は走行駆動ピニオンである。
【0007】
【発明が解決すべき課題】
図3の公知装置では、二台の昇降駆動バー104、104はそれぞれ別々の駆動部材109、109により間隔のあいた位置で独立して操作され、このため、駆動部材109は昇降駆動バー104の数だけ必要になる。さらに、図3の装置では走行台車102を図示しないラックとピニオン113の組み合わせで駆動するため、バックラッシュが生じ、高速加減速が困難であるのみならず、バックラッシュのためにワークセットが不安定になる。さらにまた、走行ガイドローラ101が鉄製であって、鉄レール上を鉄ローラで走行することになり、騒音が大きく、かつ、ローラやレールの摩耗も大きい。
【0008】
そこで、本発明の目的は一台の昇降駆動部材で二本の昇降駆動バーを操作し、加工完了ワークの取り出しと、未加工ワークのセットを一台の昇降駆動部材の作動で一度に行い得、上述の公知技術に存する欠点を改良したワークの移載装置を提供することにある。
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明によれば、ガイドレールと、このガイドレール上に走行自在に取り付けられた走行台車と、この走行台車に昇降駆動自在に取りつけられ、かつ下端にそれぞれワーククランプが装着され、側面の任意の個所にガイドローラが突設された二本の昇降駆動バーとを備えたワークの移載装置において、前記走行台車には、二本の昇降駆動レバーを有する昇降駆動部材が備えられ、前記レバーは末端で走行台車にそれぞれ回動自在に連結され、先端で別々の昇降駆動バーにそれぞれ結合され、この昇降駆動部材を作動することにより、二本の昇降駆動バーが昇降自在に稼動されてなり、さらに前記走行台車には、略「く」の字状および略逆「く」の字状のガイド溝が互いに向き合うように形成されたガイド部材を備え、このガイド溝に前記ガイドローラが滑動自在に嵌着されてなり、一方の処理済のワークをクランプした昇降駆動バーが上昇すると同時に、他方の未処理ワークを挟持した昇降駆動バーが下降し、同じ場所に上方から垂直にワークを配置することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を添付図面を用いて詳述する。
図1は本発明にかかるワークの移載装置の一具体例の断面図であって、ガイドレール1と、このガイドレール1上に走行ローラ2によって走行自在に取りつけられた走行台車3とを備え、この走行台車3には下端にワーククランプ4、4がそれぞれ装着された二本の昇降駆動バー5、5が備えられる。なお、走行ローラ2は外側にウレタン樹脂が焼きつけられ、これにより走行台車3の走行時にローラ転動音が防止される。
【0011】
さらに、走行台車3には、昇降駆動バー5、5のガイド部材19を起立して取りつけ、かつ、このガイド部材19に昇降駆動バー5、5を、ガイド部材19に沿って上下に滑動自在に取りつける。ガイド部材19の具体例としては、例えば、図1に示されるガイド溝7の形成されたガイド溝板6、および図2に示される、昇降ガイドローラ18を保持した支持体17が挙げられる。
【0012】
図1のガイド部材19を詳述すると、これはガイド溝板6と、ガイド溝7とから構成される。走行台車3にはガイド溝板6が垂直に、起立して取りつけられ、このガイド溝板6の両側には溝7、7が形成される。溝7、7は好ましくは図1に示されるように、先端が近接し、かつ、垂直に形成される。換言すると、ガイド溝板6の両側には略「く」の字状および略逆「く」の字状ガイド溝7、7が互いに向き合うように形成される。
【0013】
さらに、二本の昇降駆動バー5、5には、それぞれの側面の任意の個所にガイドローラ8、8が突設され、このガイドローラ8、8をガイド溝7、7に滑動自在に嵌着することにより、二本の昇降駆動バー5、5はガイド溝8、8に沿って上下に駆動する。
【0014】
さらにまた、走行台車3には昇降駆動レバー9が備えられる。この昇降駆動レバー9は二本のレバー10、10を有し、これら二本のレバー10、10の先端11、11を昇降駆動バー5、5のそれぞれの上端(先端11と同じ個所)に連結するとともに、末端でレバー10、10同志を互いに連結し、(レバー10、10が連続したものであってもよい。)この末端連結部分12を中心としてモータ等の昇降駆動部材13で回動自在とする。この結果、一台の昇降駆動部材13で昇降駆動レバー9を介し、二本の昇降駆動バー5、5を操作する。
【0015】
上述図1の本発明装置では、昇降駆動部材13を駆動して昇降駆動レバー9の末端連結部分12を回動させると、一方の昇降駆動バー5が降下してワーククランプ4により処理済のワーク14をクランプする。次いで、走行台車3を走行させずに、そのままの位置で、昇降駆動部材13を駆動させて末端連結部分を逆に駆動させる。すると、一方の処理済のワーク14をクランプした昇降駆動バー5は上昇すると同時に、他方の未処理ワーク14を挟持した昇降駆動バー5が下降し、「く」の字のガイド溝7、7(末端から100mm位が垂直になっている)によって案内されるため、同じ場所に、かつ上方から垂直にワーク14を配置する。図1の太線はワーククランプ4、4の軌跡である。
【0016】
すなわち、二本の昇降駆動バー5、5をそれぞれガイドローラ8、8を介してガイド溝7、7に滑動自在に取りつけ、昇降駆動バー5、5を下方に降下してワーク14の入替作業の際、走行台車3を移動せずにワーク14の入替を行うことができる。
【0017】
図2はガイド部材19として昇降ガイドローラ18が複数個装着された支持体17を用いた具体例の断面図を示す。支持体17は昇降駆動バー5、5と同じ数、すなわち2個、走行台車3に起立して、すなわち縦方向に取りつけられる。そして、この支持体17には、対向する一対の昇降ガイドローラ18、18に挟まれるように昇降駆動バー5、5が滑動自在に取りつけられる。
【0018】
さらに、走行台車3には、図1と同様、昇降駆動レバー9が備えられる。この昇降駆動レバー9は図1と同様、二本のレバー10、10を有するが、連結バー20を介して昇降駆動バー5、5のそれぞれの上端に連結する点、図1と異なる。その他は図1の構造と同様であり、一台の昇降駆動部材13で昇降駆動レバー9を介し、二本の昇降駆動バー5、5を図1と同様に操作する。
【0019】
15aはブレーキ用ピニオンおよび15bは駆動ピニオンであって、それぞれ走行台車3に装着される。走行台車3は走行駆動モータ16および駆動ピニオン15bの駆動により走行する。このとき、駆動ピニオン15bとは別に備えられたブレーキ用ピニオン15aの作動により、走行台車3の減速停止時にブレーキトルクを掛け、駆動ピニオン15bのバックラッシュを除去する。
【0020】
【発明の効果】
上述の構成からなる本発明装置は次の効果を奏する。
(1)昇降駆動レバー9を有するため、一台の昇降駆動部材13で二本の昇降駆動バー5、5を駆動し得る。
(2)ガイド部材19としてガイド溝7を有するガイド溝板6を用いた場合、加工完了ワーク14の取り出しと未加工ワーク14のセットを走行台車を移動せずに行うことができる。
(3)走行台車3にブレーキ用ピニオン15aを設け、このブレーキ用ピニオン15aに走行減速停止時にブレーキトルクを掛け、駆動ピニオン15bのバックラッシュを除去する。
(4)走行台車3の走行ローラ2にウレタン樹脂を焼きつけたから、騒音が防止されるとともにローラおよびレールの摩耗が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一具体例の断面図である。
【図2】本発明装置の他の具体例の断面図である。
【図3】公知の装置の断面図である。
【符号の説明】
1 ガイドレール
2 走行ローラ
3 走行台車
4 ワーククランプ
5 昇降駆動バー
6 ガイド溝板
7 ガイド溝
8 ガイドローラ
9 昇降駆動レバー
10 レバー
11 先端
12 末端連結部分
13 昇降駆動部材
14 ワーク
15a ブレーキ用ピニオン
15b 駆動ピニオン
16 走行駆動モータ
17 支持体
18 昇降ガイドローラ
19 ガイド部材
20 連結バー

Claims (3)

  1. ガイドレールと、このガイドレール上に走行自在に取り付けられた走行台車と、この走行台車に昇降駆動自在に取りつけられ、かつ下端にそれぞれワーククランプが装着され、側面の任意の個所にガイドローラが突設された二本の昇降駆動バーとを備えたワークの移載装置において、前記走行台車には、二本の昇降駆動レバーを有する昇降駆動部材が備えられ、前記レバーは末端で走行台車にそれぞれ回動自在に連結され、先端で別々の昇降駆動バーにそれぞれ結合され、この昇降駆動部材を作動することにより、二本の昇降駆動バーが昇降自在に稼動されてなり、さらに前記走行台車には、略「く」の字状および略逆「く」の字状のガイド溝が互いに向き合うように形成されたガイド部材を備え、このガイド溝に前記ガイドローラが滑動自在に嵌着されてなり、一方の処理済のワークをクランプした昇降駆動バーが上昇すると同時に、他方の未処理ワークを挟持した昇降駆動バーが下降し、同じ場所に上方から垂直にワークを配置することを特徴とするワークの移載装置。
  2. 請求項1において、前記ガイド部材が昇降ガイドローラを保持した支持体であり、この支持体に昇降駆動バーを滑動自在に支持してなる請求項1に記載のワークの移載装置。
  3. 請求項1において、前記走行台車にブレーキ用ピニオンを設けてなる請求項1のワークの移載装置。
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