JP4119618B2 - 湿し水不要平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いたヒートモード記録により、湿し水を必要としない印刷ができる湿し水不要平版印刷版原版に関する。また、本発明は、保存安定性が良好で、かつ、高感度な湿し水不要平版印刷版原版に関する。なお、湿し水不要平版印刷版原版は、以下、適宜、水なし平版印刷版原版と称することがある。
【0002】
【従来の技術】
従来の湿し水を必要とする平版印刷版による印刷方式は、湿し水とインキの微妙なバランスのコントロールが難しく、インキの乳化を起こしたり、湿し水にインキが混ざったりして、インキ濃度不良や地汚れを発生し、損紙の原因となるなど、大きな問題点を有していた。それに対して、水なし平版は湿し水を必要としないために数多くの利点を有する。このような湿し水を用いないで平版印刷を行うための水なし平版に関しては例えば、特公昭44−23042号、特公昭46−16044号、特公昭54−26923号、特公昭56−14976号、特公昭56−23150号、特公昭61−54222号、特開昭58−215411号、特開平2−16561号、特開平2−236550号等において種々のものが提案されている。
【0003】
一方、近年プリプレスシステムやイメージセッター、レーザープリンターなどの出力システムの急激な進歩によって、印刷画像をデジタルデータ化し、コンピューター・トウ・プレート、コンピューター・トウ・シリンダー等の新しい製版方法により、印刷版を得る方法提案されている。それに伴い、これらの印刷システムのための新しいタイプの印刷材料が望まれ、開発が進められている。
【0004】
レーザー光を利用した書き込みにより水なし平版印刷版を形成できる例としては、特公昭42−21879号、特開昭50−158405号、特開平6−55723号、特開平6−186750号、US5,353,705号及びWO−9401280号等が挙げられる。これらは、支持体上に、カーボンブラック等の光熱変換剤及びニトロセルロース等の自己酸化性のバインダーを含有した光熱変換層、インキ反撥性のシリコーンゴム層を順次設け、レーザー照射によりシリコーンゴム層の一部除去して、その領域をインク付着性となし、水なし印刷することが記載されている。しかし、これらの光熱変換層中には、熱分解化合物としてニトロセルロース、硝酸アンモニウム等の自己酸化性含窒素化合物を使用しており、光熱変換層中のカーボンブラックがレーザー光を吸収して発熱し、光熱変換層が破壊される際に、ニトロセルロースの分解により窒素酸化物等の有害ガスが生じ、環境衛生上好ましくないという問題があった。
【0005】
このニトロセルロース等の熱分解性含窒素化合物による環境上の問題を解決するため、特願平11−373622号には、光熱変換層にポリウレタン樹脂と光熱変換剤とを含む、レーザーによる書き込み可能な水なし平版印刷版原版が提案されている。しかし、この水なし平版印刷版原版では、ポリウレタン樹脂の合成条件により、水なし平版印刷版原版自身の保存安定性が変動し、その合成条件によっては、長期間保存した場合に、光熱変換層とシリコーンゴム層が剥離するという問題があった。
【0006】
また、シリコーンゴム層の剥離を防ぐため、シリコーンゴム層の接着力を高める方法として、特開平9−146265、特開平11−174666にポリマー側鎖に架橋剤と反応しうる基を側鎖に有する付加重合体を含有させ、該重合体をシリコーンゴム層塗布乾燥時にシリコーンゴム層の架橋剤と反応させることにより上記接着性を高める技術が報告されている。しかし、上記技術で使用される付加重合体では十分な感度を達成できず、さらに、ポリマーの分解に伴いエチレン性不飽和モノマーを含む有害ガスが発生し、環境衛生上好ましくないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、長期間保存しても、変質や感度低下のない保存安定性が良好な水なし平版印刷版原版を提供することにある。また、本発明の他の目的は書き込み用レーザーに対して高感度であり、かつ、記録時に有害な物質を発生しない安全性の高い記録層を有する水なし平版印刷版原版を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、光熱変換層に、特定のポリウレタン樹脂を含有させることにより、長期間保存しても、変質や感度低下のない保存安定性が良好な水なし平版印刷版原版が得られることを見出した。より詳細には、
【0009】
<1> 支持体上に、レーザ光を熱に変換する光熱変換層とシリコーンゴム層とをこの順に積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、該光熱変換層が、光熱変換剤と、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、かつ、重合性又は架橋性官能基を有するポリウレタン樹脂と、を含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。
【0010】
<2> 前記重合性又は架橋性官能基が、エチレン性不飽和結合基であることを特徴とする<1>記載の湿し水不要平版印刷版原版。
【0011】
本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、光熱変換層にニトロセルロース等の自己酸化性の化合物を含有しないことから、レーザー照射による激しい燃焼、破壊が起こらず、窒素酸化物等の有害物質が発生しない。従って、本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、産業上、高い安全性を有するという利点を有する。
【0012】
また、本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、重合性又は架橋性官能基、すなわち、エチレン性不飽和結合基を導入されたポリウレタン樹脂からなる光熱変換層を有することにより、シリコーンゴム層に含まれる架橋剤あるいは付加反応性官能基と、光熱変化層に含まれるエチレン性不飽和結合基とが効率よく相互作用を形成し、シリコーンゴム層と光熱変換層の接着力を高め、保存安定性を高めるという利点を有する。
【0013】
更に、本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂を光熱変換層に使用することにより、光熱変換層の分解温度が低く抑えられ、レーザー照射によるシリコーンゴム層と光熱変換層の接着力が効率よく低下し、結果的に、書き込み用レーザーに対して高感度であるという利点をも有する。
【0014】
以上のことから、本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、長期間保存しても、変質や感度低下のない良好な保存安定性を有し、かつ、書き込み用レーザーに対して高感度であり、かつ、記録時に有害な物質を発生しない安全性の高い記録層を有するものと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の湿し水不要平版印刷版原版(水なし平版印刷版原版)について詳細に説明する。
【0016】
本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、支持体上に、光熱変換層、シリコーンゴム層を順次積層してなるが、これら2つの層がこの順に形成されていれば、層構成に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限りにおいて、中間層、オーバーコート層、バックコート層などを目的に応じで設けることができる。
【0017】
〔光熱変換層〕
本発明の水なし平版印刷版原版の特徴は、光熱変換層にある。即ち、光熱変換層は少なくとも1つのカルボキシル基、かつ、重合性又は架橋性官能基を有するポリウレタン樹脂(以下、(A)特定ポリウレタン樹脂と称する)、及び、(B)光熱変換剤を必須成分として含有し、所望によりその他の化合物を併用することができる。ここで、「重合性又は架橋性官能基」とは、少なくとも、1個のエチレン性不飽和二重結合を有する官能基であり、これにより、シリコーンゴム層中の架橋剤あるいは付加型シリコーン中の付加反応性官能基と相互作用を形成する。また、相互作用を良好に形成させ、かつ、シリコーンゴム層と光熱変換層との接着力をより強固にするためには、分子内に2個以上のエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。
まず、この光熱変換層について説明する。
【0018】
(A)特定ポリウレタン樹脂
本発明に使用される(A)特定ポリウレタン樹脂は、(イ)ジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、式(1)、(2)、(3)で示されるジオール化合物(以下、(ロ)カルボキシル基を有するジオール化合物と称する)の少なくとも1種で表される構造単位、及び/又は、(ハ)テトラカルボン酸2無水物を(ニ)ジオール化合物で開環させた化合物から由来される構造単位と、(ホ−1)重合性又は架橋性官能基を有するジオール化合物から由来される構造単位と、の反応生成物である構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂、
【0019】
又は、上記(イ)〜(ニ)からなるポリウレタン樹脂のポリマー末端に、(ホ−2)重合性又は架橋性官能基を有する構造単位、を導入したポリウレタン樹脂である。
本発明においては、(イ)ジイソシアネート化合物と反応する化合物である「(ロ)カルボキシル基を有するジオール化合物」、及び、「(ハ)テトラカルボン酸2無水物を(ニ)ジオール化合物で開環させた化合物」を、ジオール系化合物と総称する。
以下に、本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂を構成する各化合物について述べる。
【0020】
(イ)イソシアネート化合物
本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂を構成する(イ)イソシアネート化合物としては、以下のものが挙げられる。
下記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物。
OCN−L1−NCO (4)
式中、L1は置換基を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示す。必要に応じ、L1中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。
【0021】
前記一般式(4)で示されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0022】
(ロ)カルボキシル基を有するジオール化合物
本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂を構成する(ロ)ジオール化合物としては、式(1)、(2)、(3)のジオール化合物の少なくとも1種で表される構造単位、及び/又は、(ハ)テトラカルボン酸2無水物を(ニ)ジオール化合物で開環させた化合物が挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】
式中、R2は水素原子、置換基(例えば、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH2、−COOR3、−OR3、−NHCONHR3、−NHCOOR3、−NHCOR3、−OCONHR3(ここで、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。
【0025】
L7、L8、L9はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L7、L8、L9中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なおR2、L7、L8、L9のうちの2又は3個が互いに結合して環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
【0026】
式(1)、(2)又は(3)で示される(ロ)カルボキシル基を有するジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0027】
(ハ)テトラカルボン酸2無水物
本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂の合成に用いられる好ましい(ハ)テトラカルボン酸2無水物としては、下記式(5)、(6)、(7)で示されるものが挙げられる。
【0028】
【化2】
【0029】
式中、L10は単結合、置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO2−、−O−又はS−を示し、好ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO2−、−O−又はS−を示す。R4、R5は同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、又はハロゲノ基を示し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール、炭素数1〜8個のアルコキシ又はハロゲノ基を示す。またL10、R4、R5のうちの2つが結合して環を形成してもよい。
【0030】
R6、R7は同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリール又はハロゲノ基をを示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、又は炭素数6〜15個のアリール基を示す。またL10、R6、R7のうちの2つが結合して環を形成してもよい。L11、L12は同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、又は二価の脂肪族炭化水素基を示し、好ましくは単結合、二重結合、又はメチレン基を示す。Aは単核又は多核の芳香環を示す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を示す。
【0031】
式(5)、(6)又は(7)で示される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、
【0032】
ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0033】
これらの(ハ)テトラカルボン酸二無水物は、(ニ)ジオール化合物により開環され、その結果得られた化合物から由来する構造単位と、(イ)イソシアネート化合物との反応生成物が、本発明に係るカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の基本骨格を形成する。このような(ハ)テトラカルボン酸二無水物が(ニ)ジオール化合物により開環された化合物から由来する構造単位をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以下の方法がある。
a)(ハ)テトラカルボン酸二無水物を(ニ)ジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、(イ)ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。
b)(イ)ジイソシアネート化合物を(ニ)ジオール化合物により開環され、その結果得られた化合物が過剰である条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、(ハ)テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
【0034】
また(ハ)テトラカルボン酸二無水物を本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂の合成に用いる際に使用される(ニ)ジオール系化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
【0035】
−その他のジオール化合物−
更に、本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂の合成には、カルボキシル基を有しない、その他のジオール化合物を併用することもできる。
ジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオール化合物としては、式(8)、(9)、(10)、(11)、(12)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体が挙げられる。
【0036】
【化3】
【0037】
式中、a、b、c、d、e、f、gはそれぞれ2以上の整数を示し、好ましくは2〜100の整数である。
また、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは以下の基を表す。
【0038】
【化4】
【0039】
式(8)、(9)で表されるポリエーテルジオール化合物としては具体的には以下に示すものが挙げられる。
すなわち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等。
【0040】
式(10)で示されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
例えば、三洋化成工業(株)製PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
【0041】
式(11)で示されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
例えば、三洋化成工業(株)製ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
【0042】
式(12)で示されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
例えば、三洋化成工業(株)製ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
【0043】
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
例えば、三洋化成工業(株)製ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
【0044】
ポリエステルジオール化合物としては、式(13)、(14)で表される化合物が挙げられる。
【0045】
【化5】
【0046】
式中、L2、L3及びL4はそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、L5は2価の脂肪族炭化水素基を示す。好ましくは、L2、L3、L4はそれぞれアルキレン基、アリーレン基を示し、L5はアルキレン基を示す。またL2、L3、L4、L5中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
【0047】
ポリカーボネートジオール化合物としては、式(15)で表される化合物がある。
【0048】
【化6】
【0049】
式中、L6はそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示す。好ましくは、L6はアルキレン基、アリーレン基を示す。またL6中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
【0050】
式(13)、(14)又は(15)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。具体例中のnは2以上の整数である。
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
さらに、下記式(16)、(17)で表されるアミノ基含有化合物も、ジオール化合物と同様、前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物と反応させ、ウレア構造を形成してポリウレタン樹脂の構造に組み込まれてもよい。
【0056】
【化11】
【0057】
式中、R18、R19はそれぞれ同一でも相違していてもよく、水素原子、置換基(例えばアルコキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、エステル、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール基を示し、好ましくは水素原子、置換基としてカルボキシル基を有していてもよい炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。
L24は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を示す。必要に応じ、L24中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド基などを有していてもよい。なおR18、L24、R19のうちの2個が互いに結合して環を形成してもよい。
【0058】
一般式(16)、(17)で示される化合物の具体例としては、以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、
【0059】
m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、
【0060】
1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコール又はアミノフェノール化合物。
【0061】
(ホ−1)重合性又は架橋性官能基を有するジオール化合物
本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂を構成する(ホ−1)シリコーンゴム層に含まれる重合性又は架橋性官能基を有するジオール化合物において、重合性又は架橋性官能基として、水酸基、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、チオール基、アセチレン基、カルボニル基などが挙げられる。本発明において、重合性又は架橋性官能基として、より好ましいのはエチレン性不飽和結合基である。
エチレン性不飽和結合基を有するジオール化合物としては、式(18−1)、(18−2)、(18−3)のジオール化合物の少なくとも1種で表される構造単位が挙げられる。
【0062】
【化12】
【0063】
式中、Rは水素原子、置換基(例えば、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH2、−COOR3、−OR3、−NHCONHR3、−NHCOOR3、−NHCOR3、−OCONHR3(ここで、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。R’は水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を示す。
【0064】
L25、L26、L27はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L25、L26、L27中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なおR2、L25、L26、L27のうちの2又は3個が互いに結合して環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
【0065】
式(18−1)、(18−2)又は(18−3)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれるが、本発明は以下に限定される物ではない。なお、具体例中のnは1以上の整数である。
【0066】
【化13】
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
本発明に係る(A)特定ポリウレタン樹脂は、上記イソシアネート化合物及びジオール化合物をそれぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。使用するジイソシアネートとジオール化合物とのモル比は、好ましくは0.7:1〜1.3:1である。この際、一般的にジイソシアネートが過剰の場合はポリマー末端にイソシアネート基が多く残存し、ジオール成分が過剰な場合、ポリマー末端にアルコール基が残存したポリウレタン樹脂が形成される。
【0070】
本発明に用いるカルボキシル基を含有するポリウレタン樹脂のジオール系化合物のうち、カルボキシル基を含有するジオール成分は全ジオール成分の50%〜100%であり、好ましくは60%〜95%である。
本発明に用いるカルボキシル基を含有する特定ポリウレタン樹脂の含有量は光熱変換層を構成する全固形物中に30〜90重量%であり、好ましくは、40〜85重量%、より好ましくは50〜80重量%である。
【0071】
このように合成された、(A)特定ポリウレタン樹脂は、エチレン性不飽和結合基を有するため、後述のシリコーンゴム層に含まれる架橋剤あるいは付加反応性官能基と、エチレン性不飽和結合基とが層界面で有効に相互作用を形成し、光熱変換層とシリコーンゴム層の接着力を高める効果により、保存安定性を高めると推定される。
【0072】
(ホ−2)重合性又は架橋性官能基を有する構造単位の導入
以上のようにして合成された(A)特定ポリウレタン樹脂、又は、上記(イ)〜(ニ)から合成されたカルボキシル基のみを有するポリウレタン樹脂に対して、以下に示す方法により、ポリマー末端へ重合性又は架橋性官能基を導入することができる。重合性又は架橋性官能基として、水酸基、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、チオール基、アセチレン基、カルボニル基、などが挙げられる。本発明において、重合性又は架橋性官能基として、より好ましいのはエチレン性不飽和結合基である。以下に、エチレン性不飽和結合基をポリウレタン樹脂末端に導入する方法について説明する。
【0073】
ポリウレタン樹脂の末端に、エチレン性不飽和結合基を導入する方法としては、以下に示す末端イソシアネートポリウレタン樹脂への導入方法(a)、末端アルコールのポリウレタン樹脂への導入方法(b)がある。好ましくは、ジイソシアネート化合物とジオール化合物のモル比を1:1〜1.3:1にし、ポリマー末端がイソシアネート基になるようにポリウレタン樹脂を合成し、末端イソシアネートにエチレン性不飽和結合基を有する化合物を導入する。
【0074】
(a)末端イソシアネートポリウレタン樹脂への導入方法
末端にイソシアネート基が残存したポリウレタン樹脂に導入する場合、下記一般式(19−1)で表されるような化合物を反応させることにより末端にエチレン性不飽和結合基を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0075】
【化16】
【0076】
式中、Xは水酸基、アミノ基、一置換されたアミノ基、チオール基、カルボキシル基、エポキシ基を示し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を示し、Lはアルキレン基、アリーレン基を示す。またL中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。
【0077】
これら化合物は、ジイソシアネート過剰の条件で末端にイソシアネート基が残存する形で重合反応を行った後、反応液にこれら化合物を添加し処理することにより容易にポリウレタン樹脂末端に導入する事ができる。
以下に、式(19−1)で示される化合物の具体例を挙げたが、本発明は以下に限定される物ではない。なお、具体例中のnは1以上の整数である。
【0078】
【化17】
【0079】
(b)末端アルコールポリウレタン樹脂への導入方法
末端にアルコール基が残存したポリウレタン樹脂に導入する場合、下記一般式(19−2)で表されるような化合物を反応させることにより末端にエチレン性不飽和結合基を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0080】
【化18】
【0081】
式中、Yはエポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、を示し、Rは水素原子又は炭素数1から5のアルキル基を示し、Lはアルキレン基、アリーレン基を示す。またL中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。
【0082】
これら化合物は、公知の反応により容易に導入可能である。たとえば、Yがエポキシ基、イソシアネート基の場合、末端アルコールのポリウレタン樹脂に対して、公知の触媒存在下処理することにより容易に末端にエチレン性不飽和結合基を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
以下に、式(19−2)で示される化合物の具体例を挙げたが、本発明は以下に限定される物ではない。なお、具体例中のnは1以上の整数である。
【0083】
【化19】
【0084】
上述されたポリウレタン樹脂の末端にエチレン性不飽和結合基を導入する方法を用いて合成された、ポリマー末端にエチレン性不飽和結合基を有し、かつ、カルボキシル基を有する(A)特定ポリウレタン樹脂は、ポリマー末端という比較的ポリマー分子鎖の運動性が高い部分に不飽和結合を有するため、主鎖に不飽和結合を有するものよりも、後述のシリコーンゴム層に含まれる架橋剤又は付加反応性官能基と層界面で更に有効に相互作用を形成し、光熱変換層とシリコーンゴム層の接着力を高める効果により、保存安定性をより一層高めると推定される。
【0085】
(B)光熱変換剤
本発明に用いられる光熱変換剤としては、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換する機能(光熱変換機能)を有する公知の物質が使用可能であり、レーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線吸収顔料、赤外線吸収色素、赤外線吸収性金属、赤外線吸収金属酸化物等、書込に使用する波長の光を吸収する各種の有機及び無機材料が使用可能であることが従来から知られている。
【0086】
これらの光熱変換剤の例としては、酸性カーボンブラック、塩基性カーボンブラック、中性カーボンブラックなど各種カーボンブラック、分散性改良等のために表面修飾もしくは表面コートされた各種カーボンブラック、ニグロシン類、アニリンブラック、シアニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、アルミニウム、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン、インジウムスズ酸化物等の金属酸化物等、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、更にビスマス、スズ、テルル、鉄、アルミの金属粉等の添加剤を添加することが好ましい。この他にも、有機色素として「赤外増感色素」(松岡著 Plenum Press,New York,NY(1990))、US4833124号公報,EP−321923号公報、US−4772583号公報,US−4942141号公報、US−4948776号公報、US−4948777号公報、US−4948778号公報、US−4950639号公報、US−4912083号公報、US−4952552号公報、US−5023229号公報等の明細書に記載の各種化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0087】
これらの中でも、光熱変換率、経済性、及び取り扱い性の面からカーボンブラックが特に好ましい。
カーボンブラックには、その製造方法から、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等に分類されるが、ファーネスブラックは粒径その他の面で様々なタイプのものが市販されており、商業的にも安価であるため、好ましく使用される。
【0088】
カーボンブラックは、その1次粒子の凝集度合いが版材感度に影響を及ぼす。カーボンブラックの1次粒子の凝集度合いが高い(ハイストラクチャー構造を有する)と、同じ添加量で比較した場合、版材の黒色度が上がらず、そのためにレーザー光の吸収率が低下し結果的に感度が低下してしまう。また、その粒子凝集のために光熱変換層塗布液の粘度が高くなったりチキソトロピー性を帯びてきたりして、塗布液の取り扱いが困難になり、塗布膜が均一にならなくなる。一方、吸油量が低い場合にはカーボンブラックの分散性が低下し、やはり版材感度が低下しやすくなる。このカーボンブラックの1次粒子の凝集度合いは、吸油量という値で比較することができ、吸油量が高いほど凝集の度合いは高くなり、吸油量が低くなるにつれて凝集の度合いは低くなる。即ち、吸油量が20〜200ml/100gの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは40〜120ml/100gである。
【0089】
またカーボンブラックは、様々な粒径のものが市販されており、この1次粒子の粒径も版材感度に影響を及ぼす。1次粒子の平均粒子径が小さすぎる場合には、光熱変換層自体が透明性を帯びてきてレーザー光を効率よく吸収できなくなり版材感度が低下する。また大きすぎる場合には、粒子が高密度に分散されずに光熱変換層の黒色度が上がらずレーザー光を効率よく吸収できなくなり、やはり版材感度が低下する。即ち、1次粒径の平均粒子径で10〜50nmの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは15〜40nmである。
【0090】
また、導電性カーボンブラックを使用することにより、版材感度を向上させることができる。このときの電気伝導度は、0.01Ω-1cm-1〜100Ω-1cm-1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1Ω-1cm-1〜10Ω-1cm-1である。具体的には、“CONDUCTEX”40−220、“CONDUCTEX”975BEADS、“CONDUCTEX”900BEADS、“CONDUCTEX”SC、“BATTERY BLACK”(コロンビヤンカーボン日本(株)製)、#3000(三菱化学(株)製)、“デンカブラック”(電気化学工業(株)製)、“VULCAN XC−72R”(キャボット社製)等がより好ましく使用される。
【0091】
なお、先に述べたように、本発明の光熱変換層には、ニトロセルロース、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等のニトロ化合物や、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ヒドラジン誘導体等の熱分解により窒素酸化物を発生する自己酸化性の含窒素化合物を含まないことが、環境上の観点から好ましい。
本発明に用いられる光熱変換剤の添加量は、光熱変換層を構成する全固形分物に対して5〜70重量%であり、好ましくは、10〜50重量%である。添加量が5重量%以下では感度が低くなり、70重量%以上では光熱変換層の膜強度が低下し、隣接する層との密着性も低下する。
【0092】
本発明に係る光熱変換層には、上記(A)、(B)成分以外に光熱変換材料を溶解もしくは分散する公知のバインダーを用いることもできる。
これらの例としてはポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマーの単独重合体もしくは共重合体。イソプレン、スチレン−ブタジエンなどの各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエステル類の単独重合体及び酢酸ビニル−塩化ビニルなどの共重合体、ポリウレア、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネートなどの縮合系各種ポリマー及び、「J.Imaging Sci.,P59−64,30(2),(1986)(Frechetら)」や「Polymers in Electronics(Symposium Series,P11,242,T.Davidson,Ed.,ACS Washington,DC(1984)(Ito,Willson)」、「Microelectronic Engineering,P3−10,13(1991)(E.Reichmanis,L.F.Thompson)」に記載のいわゆる「化学増幅系」に使用されるバインダー等が使用可能である。その添加量は光熱変換層全固形分に対して1〜30重量%であり、好ましくは、5〜20重量%である。
【0093】
本発明に係る光熱変換層には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、その他の公知の添加剤を併用することができる。これらの添加剤は、光熱変換層の機械的強度を向上させたり、レーザー記録感度を向上させたり、光熱変換層中の分散物の分散性を向上させたり、支持体やプライマー層及びシリコーンゴム層等の隣接する層に対する密着性を向上させるなど種々の目的に応じて添加される。
【0094】
例えば、光熱変換層の機械的強度を向上させるために、光熱変換層を硬化させる各種の架橋剤を添加してもよい。この架橋剤を添加することにより、光熱変換層は架橋構造を有することになるが、本発明の水なし平版印刷版原版においては、光熱変換層を形成するカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂を用いているため、このカルボキシル基が架橋時の反応サイトとなり、緻密な架橋構造が形成される。このため、溶剤を含有する現像液を用いて現像を行った場合でも、非画像部の密着性低下を効果的に防止し得るという利点を有する。
【0095】
なお、このような架橋剤の添加により、シリコーンゴム層と光熱変換層との界面における反応効率はわずかに低下することもあり得るが、本発明の好ましい態様である(光熱変換層を構成するポリウレタン樹脂に導入された)エチレン性不飽和結合基とこれらの架橋剤との反応性は低く、光熱変換層の機械的な強度向上効果が耐刷性に与える影響や、光熱変換層とシリコーンゴム層との接着性向上効果が保存安定性に与える影響を考慮すれば、ほとんど問題にならないと考えられる。
【0096】
使用しうる架橋剤には特に制限はなく、公知の架橋剤を適宜選択して使用しうるが、具体的には、例えば、多官能イソシアネート化合物もしくは多官能エポキシ化合物等と、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物、アミン系化合物、尿素系化合物等との組合せが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に用る架橋剤の添加量は、光熱変換層全固形分に対して1〜30重量%であり、好ましくは、2〜20重量%である。添加量が1重量%未満では架橋剤添加の効果が不充分であり、30重量%を超えて添加すると光熱変換層の膜強度が強くなりすぎて版材感度が低下する。
【0097】
光熱変換剤にカーボンブラック等の顔料を用いた場合には、顔料の分散度の向上のため、各種の顔料分散剤を添加剤として使用することができる。
本発明に用いられる顔料分散剤の添加量は、光熱変換剤に対して1〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%である。添加量が1重量%未満では顔料分散度向上の効果が少なく版材感度が低くなり、70重量%を超えると隣接する層との密着力が低下する。
【0098】
隣接する層に対する密着性を向上させるために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の公知の密着向上剤を添加することができる。
本発明に用いられる前記密着向上剤の添加量は、光熱変換層全固形分に対して5〜30重量%であり、好ましくは、10〜20重量%である。
【0099】
また、光熱変換層塗布液の塗布性を改良するために、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を添加剤として使用することができる。本発明に用いられる界面活性剤の添加量は、光熱変換層全固形分に対して0.01〜3重量%であり、好ましくは、0.05〜1重量%である。この他にも必要に応じて、各種の添加剤を使用することができる。
【0100】
本発明の光熱変換層の膜厚は、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。光熱変換層の膜厚が0.05μm以下では十分な光学濃度が得られずレーザー記録感度が低下し、また均一な膜形成が困難となり画質が劣化し、10μm以上では製造コストの点から好ましくない。
【0101】
〔シリコーンゴム層〕
本発明において用いられるインキ反撥性のシリコーンゴム層は、前記光熱変換層上にシリコーンゴムの皮膜を反応形成させることによって形成される。具体的には、縮合型シリコーンを架橋剤を用いて硬化させるか、付加型シリコーンを触媒により付加重合させて形成することが好ましい。
縮合型シリコーンを用いる場合には、(a)ジオルガノポリシロキサン100重量部に対して、(b)縮合型架橋剤を3〜70重量部、(c)触媒0.01〜40重量部を加えた組成物を用いるのが好適である。
【0102】
前記成分(a)のジオルガノポリシロキサンは、下記一般式で示されるような繰り返し単位を有するポリマーである。R1及びR2は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリール基であり、またその他の適当な置換基を有していてもよい。一般的にはR1及びR2の60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビニル基、ハロゲン化フェニル基等であるものが好ましい。
【0103】
【化20】
【0104】
このようなジオルガノポリシロキサンは両末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。
また、前記成分(a)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。
成分(b)の架橋剤は縮合型のものであればいずれであってもよいが、次の一般式で示されるようなものが好ましい。
【0105】
R1 m・Si・Xn (m+n=4、nは2以上)
【0106】
ここでR1は先に説明したR1と同じ意味であり、Xは、Cl、Br、I等のハロゲン原子、水素原子、水酸基、あるいは、以下に示す如き有機置換基を表す。
【0107】
【化21】
【0108】
式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基を、R4及びR5は炭素数1〜10のアルキル基を示す。
成分(c)としては、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガン等の金属カルボン酸塩、例えば、ラウリン酸ジブチル、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等、あるいは塩化白金酸等のような公知の触媒が挙げられる。
【0109】
付加型シリコーンを用いる場合には、(d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサン100重量部に対して、(e)オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜25重量部、及び(f)付加触媒0.00001〜1重量部を添加した組成物を用いることが好ましい。
【0110】
上記成分(d)の付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原子に直接結合したアルケニル基(より好ましくはビニル基)を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンで、アルケニル基は分子量末端、中間いずれにあってもよく、アルケニル基以外の有機基として、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、アリール基を有していてもよい。また、成分(d)には水酸基を微量有することも任意である。成分(d)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。
【0111】
成分(e)としては、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリシロキサン、両末端メチル基の(メチルシロキサン)−(ジメチルシロキサン)共重合体、環状ポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のジメチルシロキサン)−(メチルシロキサン)共重合体等が例示される。
【0112】
成分(f)としては、公知の重合触媒の中から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が望ましく、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金等が例示される。
【0113】
これらの組成物においてシリコーンゴム層の硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビニル)シロキサン等のビニル基含有のオルガノポリシロキサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコ−ル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノ−ル、エタノ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル等の架橋抑制剤を添加することも可能である。
なお、シリコーンゴム層には必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物の微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤等の接着助剤や光重合開始剤を添加してもよい。
【0114】
本発明におけるインキ反撥性のシリコーンゴム層の膜厚は、乾燥膜厚として0.5〜5g/m2が好ましく、より好ましくは1〜3g/m2である。膜厚が0.5g/m2より小さいとインキ反撥性が低下し、傷が入りやすい等の問題点があり、5g/m2より大きい場合、画像再現性が悪くなる。
【0115】
また、本発明の水なし平版印刷版原版において、シリコーンゴム層の上に、耐刷性、耐傷性、画像再現性及び汚れ性等の向上の目的で、更に種々のシリコーンゴム層を塗工してもよい。
【0116】
本発明の水なし平版印刷版原版のシリコーンゴム層は柔軟で傷が付きやすいため、表面保護の目的で、シリコーンゴム層上に透明なフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、セロファン等をラミネートしたり、ポリマーのコーティングを施してもよい。これらのフィルムは延伸して用いてもよい。また、表面にマット加工を施してもよいが、画像再現性の観点から、マット加工の無いものの方が本発明では好ましい。
【0117】
以上、本発明に使用されるシリコーンゴム層について説明したが、縮合型シリコーンから構成されるシリコーンゴム層では架橋剤と、付加型シリコーンから構成されるシリコーンゴム層ではシリコーン中の付加反応性官能基と、上述した本発明に使用される光熱変換層中の重合性又は架橋性官能基とが、それぞれが層界面において有効に相互作用を形成し、光熱変換層とシリコーンゴム層との接着力を高め、結果的には、保存安定性を高めることができる。
【0118】
〔支持体〕
本発明の水なし平版印刷版原版は通常の印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時にかかる荷重に耐えるものでなければならない。従って、本発明の水なし平版印刷版原版に用い得る代表的な支持体としては、コート紙、アルミニウムのような金属板、ポリエチレンテレフタレートのようなプラスチックフィルム、ゴムあるいはそれらを複合させたものを挙げることができ、より好ましくはコート紙、アルミニウム板、アルミニウム含有(例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とのアルミニウムとの合金)合金板及びプラスチックフィルムである。また、例示したこれらの支持体の2種以上をラミネートしたものや接着剤などにより接着したものを用いてもよい。
【0119】
これらの支持体には、表面の密着性向上、帯電防止性向上などのため、コロナ放電処理、マット化易接着処理、帯電防止処理などの各種表面処理を施してもよい。
支持体の膜厚は25μmから3mm、好ましくは75μmから500μmが適当であるが、用いる支持体の種類と印刷条件により最適な厚さは変動する。一般には100μmから300μmが最も好ましい。
【0120】
〔プライマー層〕
本発明においては、支持体と光熱変換層との間にプライマー層を設けることができる。本発明に用いられるプライマー層としては、基板と光熱変換層間の接着性向上や印刷特性向上のために種々のものを使用することができる。
例えば、特開昭60−22903号公報に開示されているような種々の感光性ポリマーを感光性樹脂層を積層する前に露光して硬化せしめたもの、特開昭62−50760号公報に開示されているエポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、特開昭63−133151号公報に開示されているゼラチンを硬膜せしめたもの、更に特開平3−200965号公報に開示されているウレタン樹脂とシランカップリング剤を用いたものや特開平3−273248号公報に開示されているウレタン樹脂を用いたもの等を挙げることができる。この他、ゼラチン又はカゼインを硬膜させたものも有効である。
【0121】
さらに、プライマー層を柔軟化させる目的で、前記のプライマー層中に、ガラス転移温度が室温以下であるポリウレタン樹脂、ポリアミド、スチレン/ブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル/ブタジエンゴム、ポリイソプレン、アクリレートゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリマーを添加しても良い。その添加割合は任意であり、フィルム層を形成できる範囲内であれば、添加剤だけでプライマー層を形成しても良い。
【0122】
また、これらのプライマー層には前記の目的に沿って、染料、pH指示薬、焼き出し剤、光重合開始剤、接着助剤(例えば、重合性モノマー、ジアゾ樹脂、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤やアルミニウムカップリング剤)、顔料、シリカ粉末や酸化チタン粉末等の添加物を含有させることもできる
また、塗布後、露光によって硬化させることもできる。
一般に、プライマー層の塗布量は乾燥重量で0.1〜10g/m2の範囲が適当であり、好ましくは0.3〜7g/m2であり、より好ましくは0.5〜5g/m2である。
本発明の水なし平版印刷版原版は、前記支持体上に所望によりプライマー層を設けた後、光熱変換層、シリコーンゴム層を形成して得られる。
【0123】
前記本発明の水なし平版印刷版原版を像様に露光し、その後、現像することで、水なし平版印刷版が得られる。
本発明において、水なし平版印刷版原版を露光するのに使用されるレーザーは、シリコーンゴム層が支持体より剥離除去されるのに十分な密着力の低下を生じさせるのに必要な露光量を与えるものであれば特に制限はなく、Arレーザー、炭酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレーザーのような固体レーザー、そして半導体レーザー等が使用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザーが必要となる。保守性、価格等の実用的な面からは、半導体レーザー及び半導体励起の固体レーザー(YAGレーザー等)が好適に使用される。
これらのレーザーの記録波長は赤外線の波長領域であり、800nmから1100nmの発振波長を利用することが多い。
また、特開平6−186750号公報に記載されているイメージング装置を用いて露光することも可能である。
【0124】
前記の如くシリコーンゴム層の表面保護のためのフィルムを設けてある場合には、レーザー露光する際に、光透過性のフィルムであればそのまま露光してもよいし、フィルムを剥がした後に露光してもよい。
このような赤外線レーザで露光することで、露光部における光熱変換層の反応により、支持体とシリコーンゴム層との密着性が低下し、引き続き行われる現像工程で露光部分のインキ反撥層が除去されて、親インク領域として画像部を形成し、未露光部のシリコーンゴム層はインク反撥領域として非画像部となり、湿し水不要平版印刷版が得られる。
【0125】
本発明の水なし平版印刷版原版を製版する際に用いられる現像液としては、水なし平版印刷版原版の現像液として公知のもの、例えば、炭化水素類、極性溶媒、水及びこれらの組合せ等から適宜選択して使用できるが、安全性の観点から、水又は水を主成分とする有機溶剤の水溶液を用いることが好ましく、安全性及び引火性等を考慮すると現像液中の有機溶剤の濃度は40重量%未満が望ましい。
【0126】
現像液に用い得る炭化水素類としては、脂肪族炭化水素類〔具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ガソリン、灯油、市販の溶剤である“アイソパーE、H、G”(エッソ化学社製)等〕、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(トリクレン等)等が挙げられる。また、極性溶媒としては、アルコール類(具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート等)、その他、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等が挙げられる。また、単に水道水、純水、蒸留水等の水そのものを用いることもできる。
これらは単独で用いてもよく、例えば、炭化水素類に水を添加したり、極性溶媒に水を添加したり、炭化水素類と極性溶媒を組み合わせるなどして、2種以上併用することもできる。
【0127】
さらに、現像液を調整するにあたり、上記炭化水素類や極性溶媒のうち水に対する親和性の低いものを用いるについては界面活性剤等を添加して水に対する溶解性を向上させてもよい。また、界面活性剤とともにアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)を添加することもできる。
【0128】
現像は、例えば、上記のような現像液を含む現像用パッドで版面をこすったり、現像液を版面に注いだ後に水中にて現像ブラシでこする等、公知の方法で行うことができる。
現像液温は任意の温度とすることができるが、好ましくは10℃〜50℃である。これにより画像部のインキ反撥層であるシリコーンゴム層が除かれ、その部分がインキ受容部となる。
以上のような現像処理、又はそれに続く水洗、乾燥処理は、自動処理機で行うこともできる。このような自動処理機の好ましいものは、特開平2−220061号公報に記載されている。
【0129】
また、本発明の水なし平版印刷版原版は接着層をシリコーンゴム層表面に張り合わせた後に、接着層を剥離することにより現像することも可能である。接着層は、シリコーンゴム層の表面に密着できる公知のものがいずれも使用できる。これらの接着層を可撓性支持体に設けたものは、例えば、住友スリーエム社の「スコッチテープ#851A」の商品名で市販されている。
また、このように処理された水なし平版印刷版を積み重ねて保管する場合には、水なし平版印刷版を保護するために合紙を挿入し挟んでおくことが好ましい。
【0130】
このようにして得られた本発明に係る水なし平版印刷版は、所定の印刷機にセットされ、湿し水、インクを供給されて印刷が行なわれる。本発明の水なし平版印刷版(原版)は保存安定性が良好であるため、製造後、長期間保存しても、層間剥離などの変質や感度の低下もなく、良好な印刷物を多数枚得ることができる。
【0131】
【実施例】
以下、本発明を合成例、実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0132】
[合成例]
(合成例1:ポリウレタン樹脂1)
コンデンサー、撹拌機を備えた1000mlの3つ口丸底フラスコ中で、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸30.0g(0.224モル)、及び、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量1000)24.9g(0.025モル)をN,N−ジメチルアセトアミド340gに溶解して溶液を調製した。
次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート65.2g(0.260モル)を添加し、60℃にて2時間加熱撹拌した。続いて、エチレングリコールモノアリルエーテル2g加え、さらに60℃で1時間加熱撹拌を続けた。
その後、N,N−ジメチルアセトアミド200ml及びメチルアルコール400mlにて希釈した。反応溶液を水41中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより120gの白色のポリマー(ポリウレタン樹脂1)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で80,000であった。
【0133】
(合成例2:ポリウレタン樹脂2)
実施例1と同じ装置を使用して、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸12.1g(0.09モル)、及び、ポリエステルジオール化合物(サンエスター24620;三洋化成(株)社製)20.0g(0.01モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100gに溶解して溶液を調製した。
次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.8g(0.103モル)を添加し、100℃にて5時間加熱撹拌した。続いて、エチレングリコールモノアリルエーテル1g加え、さらに100℃で1時間加熱撹拌を続けた。
その後、合成例1と同様の後処理を行い、白色のポリマー(ポリウレタン樹脂2)50gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で50,000であった。
【0134】
(比較合成例1:ポリウレタン樹脂3)
コンデンサー、撹拌機を備えた1000mlの3つ口丸底フラスコ中で、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸30.0g(0.224モル)、及び、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量1000)24.9g(0.025モル)をN,N−ジメチルアセトアミド340gに溶解して溶液を調製した。
次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート65.2g(0.260モル)を添加し、60℃にて2時間加熱撹拌した。
その後、N,N−ジメチルアセトアミド200ml及びメチルアルコール400mlにて希釈した。反応溶液を水41中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより120gの白色のポリマー(ポリウレタン樹脂3)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で80,000であった。
【0135】
(実施例1〜2、比較例1)
〔光熱変換層の形成〕
下記の混合液をガラスビーズとともにペイントシェーカーにて30分間撹拌しカーボンブラックを分散させ、ガラスビーズを濾別した後、フッ素系界面活性剤メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製)を0.2重量部添加、撹拌し、光熱変換層塗布液を作成した。この塗布液を、コロナ処理を施した厚さ188μmの透明なポリエチレンテレフタレートフイルム上に乾燥膜厚1μmとなるように塗布し、加熱乾燥して光熱変換層を形成した。
【0136】
・表1中に記載のポリウレタン樹脂 75重量部
・カーボンブラック(♯40 三菱カーボン(株)製) 25重量部
・ソルスパースS27000(ICI社製) 2重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000重量部
【0137】
【表1】
【0138】
〔シリコーンゴム層の形成〕
下記の塗布液を前記光熱交換層上に塗布し、加熱(130℃、1分)、乾燥することにより、乾燥膜厚2μmの付加型シリコーンゴム層を形成した。
・α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重合度500) 9重量部
・(CH3)3SiO(SiH(CH3)O)8−Si(CH3)3 0.2重量部
・オレフィン−塩化白金酸 0.15重量部
・制御剤[HC≡C−C(CH3)2−O−Si(CH3)3] 0.2重量部
・アイソパーG(エッソ化学(株)製) 120重量部
【0139】
上記のようにして得られたシリコーンゴム層の表面に12μmのポリエチレンテレフタレートをラミネートして、実施例1〜2、比較例1のカバーフィルムで被覆した水なし平版印刷版原版を得た。
【0140】
〔感度の測定〕
得られた実施例1〜2、比較例1の各水なし平版印刷版原版のカバーフィルムを剥離した後に、波長830nm、ビーム径32μm(1/e2)、出力300mWの半導体レーザーを用いて、書き込み速度を変えて連続線の書き込みを行った。その後、イソプロパノールを含ませた現像用パッドで版面を拭き、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去し、照射部のシリコーンゴム層が連続線として除去可能な版面エネルギーを求めて感度とした。測定結果を上記表1に併記する。
【0141】
〔保存安定性の評価〕
得られた実施例1〜2、比較例1の各水なし平版印刷版原版を、温度45℃、湿度75%の環境下に7日間さらし、前記感度の測定同様の処理をおこない、目視によりシリコーンゴム層の状態を観察し、未露光部分にシリコーンゴム層の剥離が見られない物を○、剥離が観察された物を×と評価した。評価結果を上記表1に併記する。
【0142】
表1の結果より、カルボキシル基及びエチレン性不飽和結合基(重合性又は架橋性官能基)を有する(A)特定ポリウレタン樹脂を光熱変換層に用いた水なし平版印刷版原版は、保存安定性が高く、高感度であることが明らかとなった。
一方、エチレン性不飽和結合基を有しないポリウレタン樹脂を光熱変換層に用いた水なし平版印刷版原版は、感度は高いものの、保存安定性が低く、実用上、問題となることがわかった。
【0143】
【発明の効果】
本発明の湿し水不要平版印刷版原版(水なし平版印刷版原版)は、保存安定性が良好であり、かつ、ヒートモードレーザでの画像記録に際して、高感度であり、有害物質の発生もないという優れた効果を奏する。また、本発明の湿し水不要平版印刷原版を露光、現像することで、湿し水不要平版印刷版を容易に得ることができる。
Claims (2)
- 支持体上に、レーザ光を熱に変換する光熱変換層とシリコーンゴム層とをこの順に積層してなる湿し水不要平版印刷版原版であって、
該光熱変換層が、光熱変換剤と、
少なくとも1つのカルボキシル基を有し、かつ、重合性又は架橋性官能基を有するポリウレタン樹脂と、
を含有することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版。 - 前記重合性又は架橋性官能基が、エチレン性不飽和結合基であることを特徴とする請求項1に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
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