JP2007219358A - 高精細印刷用水なし平版印刷版原版 - Google Patents

高精細印刷用水なし平版印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】スクリーン線数200線以上の高精細AMスクリーン印刷やFMスクリーン印刷に適した、現像ラチチュードが広く、微小網点再現性に優れた水なし平版印刷版原版を提供すること。
【解決手段】基板上に、少なくとも感光層もしくは感熱層と、シリコーンゴム層とをこの順に有する高精細印刷用水なし平版印刷版原版であって、該シリコーンゴム層の初期弾性率が0.6MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする高精細印刷用水なし平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

本発明は、高精細印刷用水なし平版印刷版原版に関するものである。
従来から、シリコーンゴム層をインキ反発層として使用し、湿し水を用いずに平版印刷を行うための印刷版が種々提案されている。例えば、ポジ型感光性平版印刷版としては、基板上に光重合性接着層とシリコ−ンゴム層とが積層された水なし平版印刷版(例えば、特許文献1、2参照)や、基板上に光二量化型感光層とシリコ−ンゴム層とが積層された水なし平版印刷版(例えば、特許文献3、4参照)などが提案されている。また、ネガ型感光性平版印刷版としては支持体上にオルトキノンジアジド化合物を含む感光層とその上に接着層を介してシリコ−ンゴム層を設けた水なし平版印刷版(例えば、特許文献5、6参照)や、光剥離性感光層上にシリコ−ンゴム層を設けた水なし平版印刷版(例えば、特許文献7参照)などが提案されており、実用上優れた性能を有するものとして知られている。
近年のデジタル化技術により、レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報にしたがって版面に走査することで、リスフィルムを介することなく直接版面に露光処理を行うコンピュータートゥプレート(CTP)技術が開発され、製版に用いられている。レーザー光を用いた方式は光反応によるフォトンモードと、光熱変換を行って熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプに分けられる。特にヒートモード方式は、明室で版材を取り扱えるといった利点がある。また光源となる半導体レーザーの急激な進歩によって、その有用性が見直されてきている。
ヒートモード方式の直描型水なし平版印刷版としては、これまで以下のような提案がなされている。
例えば、レーザー光を光源として用いる、熱破壊方式の直描型水なし平版印刷版(例えば、特許文献8、9参照)が開示されている。この印刷版原版の感熱層は、レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラックを用い、熱分解化合物としてニトロセルロースを使用している。そしてこのカーボンブラックがレーザー光を吸収することによって熱エネルギーに変換され、その熱で感熱層が破壊される。そして最終的に、現像によってこの部分を除去することによって、表面のシリコーンゴム層が同時に剥離され、画線部となる。しかしながらこの熱破壊方式の印刷版は、感熱層を破壊して画像を形成することから画線部のセルの深さが深くなり、微小網点でのインキ着肉性が悪く、また、インキマイレージが悪いという問題点があった。さらに、感熱層を熱破壊させ易くするために、架橋構造を形成しており、印刷版の耐刷性が悪いという問題もあった。さらに、この印刷版は感度が低く、感熱層を破壊させるために高いレーザー光の強度が必要という問題点もあった。
このような問題を改良する方法として、基板上に、感熱層およびシリコーンゴム層を有し、レーザー光を熱に変換することにより感熱層とシリコーンゴム層との密着性が低下することによって画像が形成できる直描型水なし平版印刷原版や、基板と感熱層の間に断熱層を設ける方法が開示されている(例えば、特許文献10、11参照)。
近年、特にCTP技術に於いて、高精細AM(Amplitude Modulation)スクリーン印刷やFM(Frequency Modulation)スクリーン印刷の要求が高まってきており、平版印刷原版の解像度が重要な性能となってきた。AMスクリーンとは、ある角度をなして規則的に網点を配列し、単位面積辺りの網点の大きさで濃度諧調を表現するスクリーン方法である。通常、日本におけるAMスクリーンの線数は1インチあたり175線であり、200線以上のスクリーン線数のものが高精細AMスクリーンといわれている。高精細AMスクリーン印刷物は通常の印刷物に比較して画像の質感の向上、実存感および細部の再現性が向上する等の利点がある。FMスクリーンは、10〜20μm程度の微小な網点を、スクリーン角度や線数に関係なく、ランダムに配置し、単位面積あたりの網点密度で濃度諧調を表現するものである。印刷物の特徴としては、干渉モアレやロゼッタパターンが発生しない、50%近傍の中間調部でのトーンジャンプが発生しない、微小網点のため、網点同士の重なりが少なく、再現される色が鮮やかに見えるなどの利点がある。
しかし、高精細AMスクリーン印刷やFMスクリーン印刷は、微小網点を用いるため、印刷版の作製条件が厳しくなり、印刷物においても高い網点再現性が求められる。従来公知の水なし平版印刷版原版は、このような高精細用途において現像ラチチュードが狭くなる、微小網点再現性が不十分であるといった課題を有していた。
特公昭54−26923号公報(第2−5頁) 特公昭56−23150号公報(第3−6頁) 特公平3−56622号公報(第2−8頁) 特開昭61−153655号公報(第3−5頁) 特公昭61−616号公報(第1−5頁) 特公昭61−54218号公報(第2−7頁) 特公昭61−54222号公報(第2−6頁) 特開平6−55723号公報(第2−4頁) 特開平7−164773号公報(第4−5頁) 特開2000−330266号公報(第3−8頁) 特開平11−268436号公報(第3−15頁)
本発明は、スクリーン線数200線以上の高精細AMスクリーン印刷やFMスクリーン印刷に適した、現像ラチチュードが広く、微小網点再現性に優れた水なし平版印刷版原版を提供することを目的とする。
本発明の水なし平版印刷版原版は、上記課題を解決するために次の特徴を有する。すなわち、「基板上に、少なくとも感光層もしくは感熱層と、シリコーンゴム層とをこの順に有する高精細印刷用水なし平版印刷版原版であって、該シリコーンゴム層の初期弾性率が0.6MPa以上0.80MPa以下であることを特徴とする高精細印刷用水なし平版印刷版原版。」である。
本発明によれば、スクリーン線数200線以上の高精細AMスクリーン印刷やFMスクリーン印刷に適した、微小網点再現性が良好で広い現像ラチチュードを有する水なし平版印刷版原版が得られる。
以下に本発明を詳しく説明する。本発明者らは、水なし平版印刷版原版を用いてスクリーン線数200線以上の高精細AMスクリーン印刷やFMスクリーン印刷を行い、微小網点再現性の現像ラチチュードについて様々な検討、解析を行った。詳細な検討を進めた結果、微小網点再現性は水なし平版印刷版原版のシリコーンゴム層の初期弾性率に関係があることを見いだした。ここで、本発明において高精細印刷とは、スクリーン線数200線以上のAMスクリーン印刷、及び20μm以下の網点を用いたFMスクリーン印刷を指す。
本発明の最大の特徴は、シリコーンゴム層の初期弾性率が0.6MPa以上0.8MPa以下であることである。初期弾性率が0.6MPa未満の場合、現像時にシリコーンゴム層が伸びてしまうためシリコーンゴム層が引きちぎれにくく良好な微小網点再現性が得られない。一方、初期弾性率が0.8MPaを超えるとシリコーンゴム層はひきちぎれ易くなる反面、シリコーンゴム層に傷が入りやすくなり、結果として印刷物における微小網点再現性が低下する。すなわち、シリコーンゴム層の初期弾性率を0.6MPa〜0.8MPaの間に調整することで、スクリーン線数200線以上の高精細AMスクリーン印刷や20μm以下の網点を用いたFMスクリーン印刷に有効な水なし平版印刷版原版を得ることができる。
ここで、初期弾性率の測定方法について説明する。シリコーンゴム層の初期弾性率は、JIS K7113(1995)にしたがって測定することができる。例えば、テフロン(登録商標)板にシリコーンゴム液を塗布し、乾燥した後、テフロン(登録商標)板よりシートを剥がし、得られた約300μmの厚さのシートから4号ダンベルでテストピースを作製し、室温25℃において、例えばテンシロンRTM−100(オリエンテック(株)製)を用い、引張速度20cm/分で、JIS K7113にしたがって初期弾性率を測定すればよい。あるいは水なし平版印刷版原版からシリコーンゴム層を剥がし、上述の条件で初期弾性率を測定することも可能である。また、膜自体の弾性率を測定する方法ではなく、水なし平版印刷版原版のままの状態でシリコーンゴム層の弾性率を測定する方法もある。例えば、Nano Indenter XP(MTSシステムズ(株)製)による測定を行えば、薄膜や微細部の弾性率・硬さ等の特性評価が可能である。また、精密切削機サイカス装置(SAICAS)(ダイプラ・ウィンテス(株)製)を用いてシリコーンゴム層を切削することでも同様の特性評価が可能である。
シリコーンゴム層の初期弾性率は、シリコーンゴム層を緻密な架橋構造にすることで0.6MPa以上0.8MPa以下にすることができる。具体的には、ポリシロキサンと架橋剤、場合によっては触媒の組合せによって実現が可能である。特に低分子量ポリシロキサンや多官能架橋剤を使用することで初期弾性率を0.6MPa以上0.8MPa以下にすることができる。以下に本発明の水なし平版印刷版原版に用いられるシリコーンゴム層について説明する。シリコーンゴム層は、付加反応型のもの、縮合反応型のものいずれでも用いられるが、初期弾性率を0.6〜0.8MPaの範囲に容易に調整することができる点で、付加反応型のシリコーンゴム層がより好ましい。
付加反応型のシリコーンゴム層を構成する成分としては、ビニル基含有ポリシロキサン、架橋剤としてSiH基含有ポリシロキサン、及び硬化触媒が挙げられる。また、硬化速度を制御する目的で反応抑制剤や他の硬化触媒を用いても良い。
ビニル基含有ポリシロキサンは、下記一般式(I)で表される構造を有し、かつ、分子末端および/もしくは主鎖中にビニル基を有するものである。
Figure 2007219358
式中、nは2以上の整数を示し、RおよびRは炭素数1〜50の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜50の置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜50の置換あるいは非置換のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のR、Rの合計の50%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、ビニル基含有ポリシロキサンの分子量としては数千〜数十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られる印刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜100万、さらには4万〜80万のものを用いることが好ましい。また、分子量の異なる2種のビニル基含有ポリシロキサンを混合して用いることも可能である。特に、重量平均分子量が3万〜10万のビニル基含有ポリシロキサンを用いると、シリコーンゴム層の初期弾性率を0.6〜0.8MPaの範囲に容易に調整することができるため好ましい。
ビニル基含有ポリシロキサンの含有量は、シリコーンゴム層組成中の50〜99.89重量%が好ましく、さらに好ましくは70〜98重量%である。
SiH基含有ポリシロキサンとしては、分子鎖中または末端にSiH基を有する、例えば下記一般式(II)〜(V)で表されるような化合物を挙げることができる。
Figure 2007219358
上記一般式(II)〜(V)中、nは2以上の整数、mは1以上の整数を示す。SiH基含有ポリシロキサン中におけるSiH基の量は、2個以上、さらには3個以上であることが好ましい。特にSiH基が3個以上のものを用いると、シリコーンゴム層の初期弾性率を0.6〜0.8MPaの範囲に容易に調整することができるため好ましい。
SiH基含有ポリシロキサンの含有量は、シリコーンゴム層組成中の0.1〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜15重量%である。ビニル基含有ポリシロキサンとの量比ということで言えば、SiH基/ビニル基含有ポリシロキサンのビニル基のモル比が1.5〜30であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20である。このモル比が1.5以上であれば、良好な硬化性が得られ、30以下の場合には印刷版の耐傷性などに悪影響を及ぼさない。
硬化触媒としては、例えば、VIII族遷移金属化合物が用いられるが、好ましくは、白金化合物である。具体的には、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキサン錯体などを一例として挙げることができる。このような硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中に固形分として好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。0.01〜20重量%であれば、良好な硬化性が得られ、印刷版としての耐傷性などに悪影響を及ぼさない。全シリコーンゴム層組成物中における白金などの金属の量で言えば、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは100〜500ppmである。
反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられるが、アセチレン基含有のアルコールなどが好ましく用いられる。反応抑制剤の好ましい含有量は、全シリコーンゴム層中の0.01〜10重量%、さらには0.1〜5重量%である。
また、シリコーンゴム層には上記した化合物の他に、水酸基含有オルガノポリシロキサンや加水分解性官能基含有シランもしくはシロキサン、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを含有してもよい。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類等が好ましく、特にビニル基を有するものや、ケトキシミンシラン類が好ましい。
縮合反応型のシリコーンゴム層を構成する成分としては、両末端シラノールポリシロキサン、架橋剤が挙げられる。また硬化性を向上させるため任意で硬化触媒を用いても良い。
ここで、水酸基含有ポリシロキサンは、下記一般式(VI)で表される構造を有し、かつ、分子末端および/または主鎖中に水酸基を有するものである。
Figure 2007219358
式中、nは2以上の整数を示し、RおよびRは炭素数1〜50の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜50の置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜50の置換あるいは非置換のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(VI)において、RおよびRの合計の50%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、分子量としては数千〜数十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜100万、さらには3万〜80万のものを用いることが好ましい。特に、重量平均分子量が3万〜10万の水酸基含有ポリシロキサンを用いると、シリコーンゴム層の初期弾性率を0.6〜0.8MPaの範囲に容易に調整することができるため好ましい。水酸基含有ポリシロキサンの含有量は、全シリコーンゴム層組成物中の50〜99.89重量%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜99重量%である。また、分子量の異なる2種の水酸基含有ポリシロキサンを混合して用いることも可能である。
本発明において、架橋剤は脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アミン型、脱アセトン型、脱アミド型、脱アミノキシ型などが挙げられるが、好ましくは下記一般式(VII)で表される、アセトキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミンシラン類、アリロキシシラン類などを挙げることができる。
(R4−kSiX (VII)
式中、kは2〜4の整数を示し、Rは炭素数1以上の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシミン基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基からなる群から選ばれる基を示す。上記式において、加水分解性基の数kは3または4であることが好ましい。
一般式(VII)で表される具体的な化合物としては、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニルメチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ジイソプロペノキシジメチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン、テトラアリロキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、インキ反発層の硬化速度、取扱い性などの観点から、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類が好ましい。また、これらの架橋剤を2種以上混合しても良い。
一般式(VII)で表される架橋剤の含有量は、シリコーンゴム層組成中の1.5〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重量%である。水酸基含有ポリシロキサンとの量比ということで言えば、官能基X/水酸基含有ポリシロキサンの水酸基のモル比が1.5〜10.0であることが好ましい。このモル比が1.5以上であれば、良好な硬化性が得られ、10.0以下の場合には印刷版の耐傷性などに悪影響を及ぼさない。
硬化触媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、トルエンスルホン酸、ホウ酸等の酸類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ、アミン、およびチタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどの金属アルコキシド、鉄アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナートジプロポキシドなどの金属ジケテネート、金属の有機酸塩などを挙げることができる。これらの中では、金属の有機酸塩が好ましく、特に、錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マンガンから選ばれる金属の有機酸塩であることが好ましい。このような化合物の具体例の一部としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを挙げることができる。このような硬化触媒の量は、シリコーンゴム組成中の好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%であることが好ましい。硬化触媒量が0.01重量%以上である場合には十分なシリコーンゴム層の硬化が得られ、20重量%以下であればシリコーンゴム層溶液のポットライフに悪影響を及ぼさない。
また、シリコーンゴム層には、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを含有してもよい。
また、シリコーンゴム層の膜厚は、重量換算で0.5〜1.8g/mが好ましい。膜厚が0.5g/m以上であれば、良好なインキ反発性が得られる。一方、1.8g/m以下であれば、製版工程において前処理液が感熱層または感光層に均一に浸透しやすいため、微小網点再現性がより向上する。
本発明に用いられる基板としては、寸法的に安定な板状物が好ましく用いられる。寸法的に安定な板状物としては、従来印刷版の基板として使用されたものが含まれる。かかる基板としては、紙、ステンレス、アルミニウムなどのような金属板、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなプラスチックフィルム、アルミニウムなどの金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが好ましく使用される。これらの基板のうち、アルミニウム板は寸法安定性に優れており、しかも安価であるので特に好ましい。
本発明に用いられる感光層、感熱層について説明する。本発明の水なし平版印刷版原版は、レーザーに感応する感熱層を有する感熱タイプであっても、g線やi線、UVランプなどの光に感応する感光層を有する感光タイプであってもよい。特に感熱タイプの場合、露光強度の版面バラツキや露光時の温度影響等がないため、感光タイプに比較してより安定したパターンが得られやすい。よって、本発明の高精細印刷用水なし平版印刷版原版としては、感熱層を有する感熱タイプ、いわゆる直描型水なし平版印刷版原版がより好ましい。
まず、感光層について説明する。本発明に用いられる感光層としては、露光の前後で現像液に対する溶解性に変化を生じるものであればいかなるものであっても良い。具体的にはエチレン性不飽和化合物、ジアゾ化合物、キノンジアジド化合物、アジド化合物、o−ニトロベンジルカルビノールエステル化合物等を有する層が挙げられる。これらの化合物の光硬化反応を利用することにより感光性ポジ型水なし平版印刷版原版が、光分解反応を利用することにより感光性ネガ型水なし平版印刷版原版が得られる。本発明の高精細印刷用水なし平版印刷版原版の感光層としては、従来から水なし平版印刷版原版の感光層として提案されているものであれば、特に好ましく用いることができる。
代表的な感光性ポジ型水なし平版印刷版原版としては、特公昭54−26923号公報、特公昭56−23150号公報などに提案された基板上に光重合性接着層とシリコーンゴム層とが積層された水なし平版印刷版原版、また特公平3−56622号公報、特開昭61−153655号公報などに提案された基板上に光二量化型感光層とシリコーンゴム層とが積層された水なし平版印刷版原版、あるいは特公昭61−54222号公報などに提案された光剥離性感光層上にシリコーンゴム層を設けた水なし平版印刷版原版が挙げられる。また、特開平7−281424公報に提案された特定の構造を有するアミノ基含有モノマーを使用した水なし平版印刷版原版を挙げることができる。
また、代表的な感光性ネガ型水なし平版印刷版原版としては、特公昭61−616号公報、特公昭61−54218号公報などに支持体上にキノンジアジド化合物を含む感光層とその上に接着層を介してシリコーンゴム層を設けた水なし平版印刷版が提案されている。
本発明の高精細印刷用水なし平版印刷版原版に用いられる感光層としては、感光性ポジ型水なし平版印刷版原版の場合は特に特開平7−281424号公報に記載された感光層、感光性ネガ型水なし平版印刷版原版の場合は特公昭61−54218号公報に記載された感光層を好ましく用いることができる。
また、感光層の厚さは、被覆層にして0.1〜10g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7g/mである。膜厚が0.1g/m以上であれば充分な耐刷性が得られ、10g/m以下であれば、希釈溶剤の揮散に対する問題も生じないため生産性に優れた印刷版が得られる。
本発明に用いられる感熱層について説明する。本発明に用いられる感熱層とは、描き込みに使用されるレーザー光に感応する層であり、レーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する。感熱層にはアブレーション型と光熱剥離型があるが、アブレーション型はレーザー照射によってゴミが生じ、版上に飛び散ったゴミの処理が必要となることから、本発明においては光熱剥離型の感熱層が好ましい。
光熱剥離型の感熱層は、例えば特開平11−221977号公報、特開2000−272262号公報などに開示されており、好ましく用いることができる。
本発明に用いられる光熱剥離型の感熱層は、少なくとも(A)光熱変換物質および(B)金属含有有機化合物を含む。さらに、活性水素基含有化合物やバインダー樹脂を含んでもよく、(C)ノボラック樹脂および(D)ポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。
かかる直描型水なし平版印刷版原版からは、ネガ型の印刷版が得られる。すなわち、レーザー光照射部の感熱層とシリコーンゴム層間の接着力が低下し、その後の現像処理によって、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が除去される。その詳細なメカニズムは未解明であるが、おそらく原版作製時に(B)金属含有有機化合物と(C)ノボラック樹脂との反応により形成された架橋構造が、レーザー照射により(A)光熱変換物質の作用によって生じた熱で一部分解したものと考えられる。その結果、シリコーンゴム層と感熱層の界面の耐溶剤性が低下し、現像処理によりレーザー照射部のシリコーンゴム層が除去されるものと考えられる。現像によって除去されるのは、シリコーンゴム層だけでも、シリコーンゴム層と感熱層の双方であっても良いが、感熱層は残存した方がインキマイレージが良好になるため好ましい。以下、各成分について説明する。
(A)光熱変換物質
光熱変換物質としてはレーザー光を吸収するものであれば特に限定されるものではなく、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステンなどの金属酸化物、更にはこれらの金属の水酸化物、硫酸塩が挙げられる。また、ビスマス、鉄、マグネシウム、アルミニウムの金属粉などの添加剤も好ましく用いられる。これらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性の面から、カーボンブラックが好ましい。
また上記の物質以外に、赤外線または近赤外線を吸収する染料も、光熱変換物質として好ましく使用される。これら染料としては400nm〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する全ての染料が使用できるが、好ましい染料としては、エレクトロニクス用や記録用の染料で、最大吸収波長が700nm〜900nmの範囲にある、シアニン系染料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ系分散染料、ビスアゾスチルベン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ましく使用される。さらにこれらの染料のなかでも、感度向上効果の観点からモル吸光度係数の大きなものが好ましく使用される。具体的にはε≦1×10であることが好ましく、より好ましくは1×10以上である。
これらの光熱変換物質は単独でも感度の向上効果はあるが、2種以上を併用して用いることによって、さらに感度を向上させることも可能である。また、吸収波長の異なる2種以上の光熱変換物質を併用することにより、2種以上の発信波長の異なるレーザーに対応できるようにすることも可能である。
これら光熱変換物質の含有量は、感熱層全組成物に対して0.1〜70重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜40重量%である。0.1重量%以上とすれば、レーザー光に対する感度の向上効果が得られ、70重量%以下とすれば印刷版の耐刷性が低下することもない。
(B)金属含有有機化合物
本発明でいう金属含有有機化合物は、中心金属と有機置換基からなり、中心金属に対して有機置換基が配位結合している錯体化合物、または、中心金属が有機置換基と共有結合している有機金属化合物のことをいう。金属酸化物のような無機化合物はその範疇ではない。これらの金属含有有機化合物は、後述するノボラック樹脂、活性水素基含有化合物と置換反応をおこすことが特徴である。
中心金属としては周期表の第2周期から第6周期の金属および半導体原子が挙げられ、なかでも第3周期から第5周期の金属および半導体原子が好ましく、第3周期金属のAl、Si、第4周期金属のTi、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、第5周期金属のIn、Snが特に好ましい。
以上のような金属を中心にして有機置換基との間で金属含有有機化合物が形成されるが、それらの形態としては例えば以下の様な具体例が挙げられる。
(1)金属ジケテネート
ジケトンのエノール水酸基の水素原子が金属原子と置換したもので、中心金属は酸素原子を介して結合している。ジケトンのカルボニルがさらに金属に対して配位結合することができるため、比較的に安定な化合物である。
具体的には、有機置換基が、2,4−ペンタジオネート(アセチルアセトネート)、フルオロペンタジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート、テノイルトリフルオロアセトネートや1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネートなどである金属ペンタンジオネート(金属アセトネート)類や、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、メタクリルオキシエチルアセトアセテートやアリルアセトアセテートなどである金属アセトアセテート類、サリチルアルデヒド錯塩が挙げられる。
(2)金属アルコキサイド
中心金属に対して、酸素原子を介して有機置換基が結合している化合物である。有機置換基が、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、ブトキサイド、フェノキサイド、アリルオキサイド、メトキシエトキサイド、アミノエトキサイドなどである金属アルコキサイドが挙げられる。
(3)アルキル金属
中心金属に直接有機置換基が結合しているものであり、この場合金属は炭素原子と結合している。有機置換基がジケトンであっても、金属が炭素原子で結合していればこちらに分類される。なかでもアセチルアセトン金属が好ましく用いられる。
(4)金属カルボン酸塩類
酢酸金属塩、乳酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。
(5)その他
チタンオキサイドアセトネートのような酸化金属キレート化合物、チタノセンフェノキサイドのような金属錯体や、2種以上の金属原子を1分子中に有するヘテロ金属キレート化合物が挙げられる。
以上のような金属含有有機化合物のうち好ましく用いられる金属含有有機化合物の具体例としては、アルミニウム、鉄(III)、チタンのアセチルアセトネート(ペンタンジオネート)、ヘキサンジオネート、ヘプタンジオネート、エチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネートなどが挙げられる。
これら金属含有有機化合物はそれぞれ単独でも使用できるし、2種以上を混合して使用することもでき、その含有量は後述するノボラック樹脂100重量部に対して5〜300重量部が好ましく、10〜150重量部がさらに好ましい。含有量が5重量部以上であれば画像形成がしやすく、300重量部以下であれば耐刷性が低下することもない。
(C)ノボラック樹脂
本発明の印刷版原版に好ましく用いられるノボラック樹脂としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等が挙げられる。本発明に用いられるノボラック樹脂のGPC法による重量平均分子量(ポリスチレン換算)は特に限定されないが、好ましくは重量平均分子量6000以下のものが挙げられる。重量平均分子量が6000以下であれば高い溶解性が得られ、良好な画像再現性が得られる。
本発明において、感熱層には、上述のノボラック樹脂を単独、あるいは2種以上混合して使用することができる。その含有量は、感熱層全組成物に対して5〜99重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%である。含有量が5重量%以上であれば耐刷性、塗工性に問題を生じることがなく、99重量%以下であれば画像再現性に悪影響を及ぼさない。また、後述する(D)ポリウレタン樹脂の含有量との重量比も特に限定されないが、好ましい重量比としてはノボラック樹脂/ポリウレタン樹脂≦2.4が挙げられる。これにより、印刷版の画像再現性と耐刷性が向上する。特に好ましくは1〜2.4の比率である。1以上であれば良好な画像再現性が得られ、2.4以下であれば耐刷性への悪影響も及ぼさない。
また上記ノボラック樹脂と他の活性水素基含有化合物を混合して使用することもできる。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。
さらに、水酸基含有化合物としてはフェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物のいずれも本発明に使用できる。
フェノール性水酸基含有化合物としては、例えば以下のような化合物を挙げることができる。ヒドロキノン、カテコール、グアヤコール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾール樹脂、レゾルシンベンズアルデヒド樹脂、ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合体、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、リグニン変性フェノール樹脂、アニリン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ビスフェノール類などが挙げられる。
また、アルコール性水酸基含有化合物としては、例えば以下のような化合物を挙げることができる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1,2−ジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリビニルアルコール、セルロースおよびその誘導体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの重合体および共重合体など。
また、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、および公知の方法によって水酸基を導入したポリマーなども本発明に使用可能である。
(D)ポリウレタン樹脂
本発明の水なし平版印刷版原版の感熱層はバインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂を含有することによって、感熱層組成物を含む溶液を塗布する際の塗工性改良(ハジキの減少)、耐刷性などの版性能向上が可能となる。
本発明の印刷版原版に用いられるポリウレタン樹脂としては、以下に示すようなポリイソシアネート類と多価アルコールより得られるポリウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリイソシアネート類としては、パラフェニレンジイソシアネ−ト、2,4−または2,6−トルイレンジイソシアネ−ト(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
さらには、上記ポリイソシアネート類の変性体、誘導体も好ましく用いられる。このような変性体、誘導体としては、ポリイソシアネートとアルコールとの反応物であるウレタン変性体、2個あるいは3個のポリイソシアネートの反応物としてのニ量体(別名ウレチジオン)、三量体(別名イソシアヌレート)、脱炭酸ガスにより生成するポリカルボジイミド、あるいはポリイソシアネート、アルコール、アミン化合物などとの反応物であるアロハネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体など、さらにはブロックドイソシアネートなどが挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびその他に大きく分類することができる。
ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどにさらに分類することができる。
縮合系ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸およびその無水物とグリコール、トリオールとの脱水縮合により得られる。
多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸等が使用できる。
具体的には、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリヘキサメチレンネオペンチルアジペート、ポリエチレンヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート等を一例として挙げることができる。
ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類の開環重合より得られるものが挙げられる。
さらに、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール以外のポリオールとしては、β−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル(あるいはメタクリル)単量体とアクリル(あるいはメタクリル)酸エステルとの共重合体であるアクリルポリオール、末端に水酸基を含有するブタンジエン及びそれらの共重合体であるポリブタジエンポリオール、部分ケン化EVAなど、さらには種々の含燐ポリオール、ハロゲン含有ポリオール、フェノール系ポリオールなどもポリオールとして使用できる。
また、分岐したポリウレタン樹脂や水酸基等の種々の官能基を有するポリウレタン樹脂も利用可能である。
本発明において、これらのポリウレタン樹脂の含有量は、特に限定されないが、ノボラック樹脂とポリウレタン樹脂との重量比がノボラック樹脂/ポリウレタン樹脂≦2.4となることが好ましい。さらに感熱層全組成物に対して5〜80重量%が好ましく、より好ましくは10〜60重量%である。5重量%以上であれば、耐刷性、塗工性に問題を生じることもなく、80重量%以下とすれば画像再現性にも悪影響を及ぼさない。
本発明において、感熱層には上述のポリウレタン樹脂を単独、あるいは2種以上混合して使用することができる。また他のバインダー樹脂を混合して使用してもよい。
他のバインダー樹脂としては、有機溶剤に可溶でかつフィルム形成能のあるものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のものが好ましく、さらに好ましくはガラス転移温度が0℃以下のものがより好ましい。
有機溶剤に可溶でかつフィルム形成能があり、さらに形態保持の機能をも果たすバインダー樹脂の具体例としては、ビニルポリマー類、未加硫ゴム、ポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエステル類、ポリアミド類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、本発明において、感熱層には、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、可塑剤等を必要に応じて添加してもよい。また、断熱層あるいはシリコーンゴム層との接着性を高めるためにシランカップリング剤などの各種カップリング剤を添加することは極めて好ましく行われる。
感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜10g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7g/mである。膜厚が0.1g/m以上であれば充分な耐刷性が得られ、10g/m以下であれば、希釈溶剤の揮散に対する問題も生じないため生産性に優れた印刷版が得られる。
本発明の水なし平版印刷版原版は、基板上に断熱層を有してもよい。本発明の水なし平版印刷版原版に用いられる断熱層の好ましい特性は、基板あるいは感熱層と良好な接着性を有し、経時において安定であり、さらに現像液あるいは印刷時に使用する溶剤に対する耐性が高いことであり、これらを満足する断熱層であれば用いることができる。また、従来から水なし平版印刷版原版の断熱層として提案されているものであれば、好ましく用いることができる。
特に、本発明の水なし平版印刷版原版に用いる断熱層としては、特開2004−199016号公報、特開2004−334025号公報などに開示されている金属キレート化合物を含有する断熱層が好ましく用いられる。
本発明で言う金属キレート化合物としては、例えば、金属に有機配位子が配位した有機錯塩、金属に有機配位子および無機配位子が配位した有機無機錯塩、および金属と有機分子が酸素を介して共有結合している金属アルコキシド類などの有機錯化合物を挙げることができる。
有機錯化合物を形成する主な金属としては、Al、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Zr、Hfが好ましい。着色性の少ない点でAl、Zrが好ましく、さらに反応性の点でAlがより好ましい。
配位子としては、O(酸素原子)、N(窒素原子)、S(硫黄原子)等をドナー原子として有する以下のような配位基を有する化合物が挙げられる。
配位基の具体例としては、酸素原子をドナー原子とするものとしては、−OH(アルコール、エノールおよびフェノール)、−COOH(カルボン酸)、>C=O(アルデヒド、ケトン、キノン)、−O−(エーテル)、−COOR(エステル)、−N=O(ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物)、−NO(ニトロ化合物)、>N−O(N−オキシド)、−SOH(スルホン酸)、−PO(亜リン酸)等、窒素原子をドナー原子とするものとしては、−NH(1級アミン、アミド、ヒドラジン)、>NH(2級アミン、ヒドラジン)、>N−(3級アミン)、−N=N−(アゾ化合物、複素環化合物)、=N−OH(オキシム)、−NO(ニトロ化合物)、−N=O(ニトロソ化合物)、>C=N−(シッフ塩基、複素環化合物)、>C=NH(イミン)等、硫黄原子をドナー原子とするものとしては、−SH(チオール)、−S−(チオエーテル)、>C=S(チオケトン、チオアルデヒド)、=S−(複素環化合物)、−C(=O)−SHあるいは−C(=S)−OHおよび−C(=S)−SH(チオカルボン酸)、−SCN(チオシアナート、イソチオシアナート)等が挙げられる。
また、金属との間で1個またはそれ以上配位を形成しうる環状構造の配位子がより好ましい。具体的には、β−ジケトン類、ケトエステル類、ジエステル類、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステルや塩類、ケトアルコール類、アミノアルコール類、エノール性活性水素化合物などが挙げられる。特に本発明の水なし平版印刷版原版にはアルコール類、エノール類、ジエステル類およびケトエステル類から選ばれる配位子が1つ以上配位したアルミキレート化合物が好ましく用いられる。これらのアルミキレート化合物は、後述する活性水素含有化合物との間で容易に交換反応を起こすため、加熱時にアルミキレート化合物そのものが昇華、または蒸発することが抑えられる。
また、ケトエステル類が2つ以上配位したアルミキレート化合物を用いることが特に好ましい。このようなアルミキレート化合物を用いることで、湿気の影響を受けにくくなり、また断熱層溶液の貯蔵安定性が飛躍的に改善される。
金属キレート化合物の含有量は、断熱層組成物に対して1〜30重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましい。金属キレート化合物が1重量%以上であれば、基板あるいは感熱層と良好な接着性が得られ、溶剤に対する耐性も高い。一方、金属キレート化合物が30重量%以下であれば、金属キレート化合物が未反応のまま残存し、感熱層溶液を塗布する際に感熱層溶液中に抽出され、印刷版の性能に悪影響を与えることがない。
断熱層は顔料を含むことが好ましい。顔料を含むことにより、断熱層の光透過率を400〜650nmの全ての波長に対して15%以下とすることが可能となり、これにより、機械読み取りによる検版性が向上する。顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、リトポン等の無機白色顔料や、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、オーカー、チタンイエロー等の無機黄色顔料を用いることが好ましい。これらの顔料の中で、隠蔽力、着色力の点から酸化チタンが特に好ましく用いられる。また、酸化チタン粒子表面をチタネート系カップリング剤で処理しても良い。酸化チタン粒子表面をチタネート系カップリング剤で処理することによって、酸化チタン粒子の分散性を向上させ、酸化チタン粒子量を多量に添加することが可能となる。さらには酸化チタン粒子を添加した塗液の分散安定性が良好になる。
酸化チタンの含有量は、断熱層組成物中に2体積%以上、30体積%以下が好ましい。2体積%以上であれば良好な隠蔽性能が得られ、30体積%以下であれば、良好な塗工性能を示す。
断熱層には活性水素基含有化合物を含有することが望ましい。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。
さらに、水酸基含有化合物としてはフェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物のいずれも本発明に使用できる。
また、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、および公知の方法によって水酸基を導入したポリマーなども本発明に使用可能である。
断熱層には、成膜性を付与する目的から樹脂を含むことが好ましい。例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂を単独、あるいは2種以上を混合して用いることが好ましい。
断熱層には、塗工性を改良する目的で、アルキルエーテル類(例えばエチルセルロース、メチルセルロースなど)、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、または、ノニオン系界面活性剤を含有することもできる。
さらに、断熱層の柔軟性を向上させる目的で、天然ゴムや合成ゴム、およびポリウレタン樹脂等の柔軟性付与剤を添加しても良い。これら柔軟性付与剤の含有量としては、断熱層全組成物に対して10〜80重量%が好ましく、30〜80重量%がより好ましい。10重量%以上であれば断熱層の柔軟性が向上し、80重量%以下であれば活性水素基含有化合物と金属キレート化合物の硬化反応の阻害は僅かであり、実質的に無視できる。
断熱層を構成する成分は、好ましくは溶剤を用いて溶解される。断熱層溶液に用いられる溶剤には、樹脂、金属キレート化合物、その他の添加物を良く溶かす性質を有することが好ましい。溶剤は単独で用いることもできるし、二種以上を混合して用いることもできる。また、顔料を添加する場合には、顔料表面を良く濡らし、良好な顔料分散性が得られる溶剤を選択することが好ましい。
断熱層溶液の作製方法としては、例えば、容器に酸化チタン分散液を入れ、撹拌を開始し、そこに順次樹脂、金属キレート化合物、その他の添加剤を添加し、高濃度の断熱層溶液を得た後、さらに溶剤で任意の濃度まで希釈することで断熱層溶液を得ることができる。
酸化チタン分散液は、例えば、溶剤中に酸化チタンを添加し、ペイントシェイカー、ボールミル等で分散することにより得られる。
本発明の水なし平版印刷版原版は、直描型を例にとると、例えば次のようにして製造される。まず基板上に必要により断熱層溶液を塗布し加熱乾燥する。その後、感熱層を塗布、加熱乾燥し、次にシリコーンゴム溶液を塗布し、充分に加熱硬化させてシリコーンゴム層を形成する。この上に必要に応じて保護フィルムをラミネートするか、あるいは保護層を形成する。保護フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、また各種金属を蒸着したフィルムなどが挙げられる。また保護フィルムの代わりにコーテイング等の手法で保護層を形成させておいても良い。
このようにして製造された水なし平版印刷版原版の製版方法は、通常、少なくとも(1)露光工程、(2)露光部あるいは未露光部のシリコーンゴム層と感熱層あるいは感光層間の接着力を低下させる「前処理工程」、および(3)露光部あるいは未露光部のシリコーンゴム層を剥離させる「現像工程」からなる。また、(4)画線部の感熱層あるいは感光層を染色液で染色する「後処理工程」、および(5)処理液や染色液を水で完全に洗い落とす「水洗工程」を行うことも一般的である。
以下、直描型水なし平版印刷版原版を例に詳述する。まず、保護フィルムを剥離してから、あるいは保護フィルム上からレーザー光で所望の画像状に露光する。露光工程で用いられるレーザー光源としては、通常、発光波長領域が300nm〜1500nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的には、明室での版材の取扱い性などの観点から、780nm、830nm、1064nmの波長のレーザー光が製版に好ましく用いられる。レーザー照射の終わった印刷版は必要に応じて保護フィルムを剥がし、前処理液に浸漬し、水の存在下で現像用パッドまたは現像用ブラシを用いて現像する。必要に応じて、後処理液で画線部を染色し、水洗を行い、水なし平版印刷版となる。
本発明に用いられる直描型水なし平版印刷版原版を現像する際には、例えば東レ(株)にて市販されているような自動現像機を用い、前処理液で版面を前処理した後に水道水などでシャワーしながら回転ブラシで版面を擦ることによって、好適に現像することができる。更に染色液で処理することで画線部の染色を行い、水道水で洗浄を行うことで水なし平版印刷版が得られる。前処理液としては、公知のものが使用できる。例えば特開2000−275824号公報、特開2001−201849号公報などに開示されており、好ましく用いられる。染色液としては、公知のものが使用できる。例えば、特開平3−129350号公報、特開平4−333851号公報、特開平9−34132公報などに開示されており好ましく用いることができる。水なし平版印刷版原版の現像に自動現像装置を用いる場合には、前処理部、現像部および後処理部がこの順に設けられているものが好ましい。場合によっては後処理部の後方にさらに水洗部が設けられていてもよい。このような自動現像機としては東レ(株)製の“TWL−1160”、“TWL−650”、あるいは特開平4−2265号公報、特開平5−2272号公報、特開平5−6000号公報などに開示されている現像装置が挙げられる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
以下に示すシリコーンゴム層溶液1〜7をそれぞれテフロン(登録商標)シャーレに塗布した後、乾燥させ、厚さ300μmのシートを作製した。得られたシートから4号ダンベルでテストピースを作製し、JIS K7113(1995)に基づきテンシロンRTM−100(オリエンテック(株)(製))を用いて、室温25℃において引張速度20cm/分の条件で初期弾性率を測定した。測定結果を表1に示す。
<現像ラチチュードの評価基準>
自動現像機の現像条件を変更し、前処理液による浸漬時間を20秒、24秒、30秒、45秒、60秒とした時の微小網点再現性を確認し、再現する範囲が広ければ良好とした。
<微小網点再現性評価>
水なし平版印刷版原版に2400dpiでレーザー照射し、線幅10μm(画線部)、スペース10μm(非画線部)の格子パターンを描画後、現像し、印刷版を作製した。得られた印刷版を、オフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取り付け、“ドライオカラー”(大日本インキ化学工業(株)製)墨を用いて上質紙に印刷を行った。得られた印刷物をルーペで観察し、印刷ムラもなく格子パターンが完全に再現できていれば良好な画像再現性として○とした。印刷ムラや現像不良によりパターンが再現できていないものは×とした。また、得られた印刷物の非画線部分の傷の有無を、目視により評価した。
<酸化チタン分散液の作製>
N,N−ジメチルホルムアミド10重量部中に、酸化チタン“CR−50”(石原産業(株)製)10重量部を添加して5分間撹拌した。さらに、ガラスビーズ(No.08)を15重量部添加し、20分間激しく撹拌し、その後ガラスビーズを取り去ることで酸化チタン分散液を得た。
<断熱層溶液の組成>
(1)エポキシ樹脂:エピコート(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):49重量部
(2)ポリウレタン樹脂:サンプレン(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、濃度20%、N,N−ジメチルホルムアミド/2−エトキシエタノール溶液):98重量部
(3)アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート):“アルミキレート”ALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):11.2重量部
(4)ビニル系重合物:ディスパロン(登録商標)LC951(楠本化成(株)製):0.2重量部
(5)酸化チタン分散液(濃度50%):84重量部(酸化チタン:42重量部)
(6)N,N−ジメチルホルムアミド:302.5重量部
(7)メチルエチルケトン:315.6重量部。
<感熱層溶液の組成>
(1)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI((株)Avecia製):16重量部
(2)チタンジ−n−ブトキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート):ナーセム(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、チタン濃度約8.8%、n−ブタノール溶液):37.5重量部
(3)フェノールノボラック樹脂:スミライトレジン(登録商標)PR53195(住友デュレズ(株)製):60重量部
(4)ポリウレタン樹脂:サンプレン(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、濃度20%、N,N−ジメチルホルムアミド/2−エトキシエタノール溶液):125重量部(ポリウレタン樹脂:25重量部)
(5)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:15重量部
(6)テトラヒドロフラン:993重量部
(7)エタノール:64重量部。
<シリコーンゴム層溶液1の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V42(重量平均分子量72,000、GELEST Inc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−071(GELEST Inc.製):4重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液2の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V35(重量平均分子量49,500、GELEST Inc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−301(GELEST Inc.製):4重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液3の組成>
(1)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100,000):100重量部
(2)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:13重量部
(3)テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン:4重量部
(4)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2147.57重量部。
<シリコーンゴム層溶液4の組成>
(1)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量150,000):100重量部
(2)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:13重量部
(3)テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン:4重量部
(4)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2147.57重量部。
<シリコーンゴム層溶液5の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V46(重量平均分子量117,000、GELEST Inc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−301(GELEST Inc.製):4重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液6の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V31(重量平均分子量23,000、GELEST Inc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−301:4重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):5重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):770重量部
(6)トルエン:260重量部。
<シリコーンゴム層溶液7の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V31(重量平均分子量23,000、GELEST Inc.製):100重量部
(2)SiH基含有シリコーンレジンHQM−105(GELEST Inc.製):
3.3重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):5重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):770重量部
(6)トルエン:260重量部。
(実施例1)
厚さ0.225mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に前記断熱層溶液を塗布し、200℃で1分間乾燥し、膜厚10g/mの断熱層を設けた。この断熱層の上に前記感熱層溶液を塗布し、150℃で80秒間乾燥し、膜厚1.5g/mの感熱層を設けた。この感熱層上に、前記シリコーンゴム溶液1を塗布し、125℃で80秒間乾燥し、膜厚2.0g/mのシリコーンゴム層を設け、直描型水なし平版印刷版原版を得た。さらに、シリコーンゴム層表面に6μmのポリプロピレンフィルムをラミネートした。
得られた直描型水なし平版印刷版原版を、製版機“TDL−4400”(東レ(株)製)に装着し、半導体レーザー(波長830nm)を用いて、微小網点再現性評価の条件にしたがって、照射エネルギー150mJ/cmで画像露光を行った。ポリプロピレンフィルムを剥離した後、自動現像機“TWL−860KII”(東レ(株)製)を使用し、前処理液“NP−1”(東レ(株)製)を用い表1に示す条件で浸漬処理後、水洗浄下でブラシ現像し、後処理液“PA−FII”(東レ(株)製)で染色した。この一連の操作によって、レーザー照射部のシリコーンゴム層が剥離し、その部分の露出した感熱層表面が染色された水なし平版印刷版を得た。
この水なし平版印刷版をオフセット印刷機に取り付け、“ドライオカラー”(大日本インキ化学工業(株)製)墨を用いて上質紙に印刷を行った。微小網点再現性評価で得られた印刷物をルーペで観察した結果、前処理液の浸積時間24〜60秒において印刷ムラもなく格子パターンが完全に再現でき、広い現像条件において良好な微小網点再現性を得ることができた。
(実施例2、3)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりにシリコーンゴム層溶液2、3を使用した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果、いずれも広い現像条件で良好な微小網点再現性が得られた。
(実施例4〜6)
実施例1において、シリコーンゴム層膜厚を表1記載のとおりに変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果、いずれも広い現像条件で良好な微小網点再現性が得られた。特に、シリコーンゴム層膜厚が0.5g/m、1.0g/m、1.8g/mのものは、前処理液の浸積時間20〜60秒において印刷ムラもなく格子パターンが完全に再現でき、広い現像条件において良好な微小網点再現性を得ることができた。
(比較例1〜4)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液4〜7を使用した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1示す。比較例1、2は、まったく画像が得られなかった。比較例3、4は、広い現像条件で微小網点再現性が得られたが、シリコーンゴム層に傷が生じてしまい、良好な印刷物が得られなかった。
(比較例5〜7)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液4を使用し、表1記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果、前処理液の浸漬時間が60秒でしか微小網点が再現しなかった。
Figure 2007219358

Claims (2)

  1. 基板上に、少なくとも感熱層もしくは感光層と、シリコーンゴム層とをこの順に有する高精細印刷用水なし平版印刷版原版であって、該シリコーンゴム層の初期弾性率が0.6MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする高精細印刷用水なし平版印刷版原版。
  2. 前記シリコーンゴム層の膜厚が0.5g/m以上1.8g/m以下であることを特徴とする請求項1記載の高精細印刷用水なし平版印刷版原版。
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