JP2007148386A - 配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版およびそれを用いた配線パターン - Google Patents

配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版およびそれを用いた配線パターン Download PDF

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Abstract

【課題】配線パターンの印刷において、均一な線幅のパターンを形成することができ、配線パターン再現性が良好な水なし平版印刷版原版を提供すること
【解決手段】基板上に、少なくとも感熱層あるいは感光層と、シリコーンゴム層とを有する配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版であって、該シリコーンゴム層の初期弾性率が0.2MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

本発明は、配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に関する。さらに詳しくは、導電性材料やエッチングレジストインキを用いた配線パターン印刷用途に適した水なし平版印刷版原版に関する。
近年、ICカード、携帯電話等の携帯用電子機器や画像機器等の進展に伴い、プリント配線基板やICタグ等、柔軟性のあるフィルム状プリント配線基板に対する大量供給と低コスト化の要求が急速に高まってきている。また、液晶表示用カラーフィルターやプラズマディスプレイパネル用背面版等の電極パターン形成にも同様な要求が高まりつつある。これらの要求を満足しうる配線パターンの作製方法として従来から印刷法が挙げられ、様々な印刷手法が提案されている。
上述した配線パターンの作製に印刷法を用いる場合、水なし平版印刷版を用いることができる。例えば、水なし平版印刷版とインキへの外場の印加を用いた方法(例えば特許文献1参照)、凹版転写印刷法と水なし平版印刷版を応用した方法(例えば特許文献2参照)、シリコーンゴム層を積層した印刷版を用いてエッチングレジストインキを導電材表面に印刷してエッチング処理する方法(例えば特許文献3参照)等が開示されている。
この様な従来公知の印刷方法は、配線パターンの精度が低いという課題を有していた。エッチングレジストインキを印刷する方法においては、印刷部分がエッチング液の保護膜となるため、高いパターン精度が必要となる。また、特に導電性ペーストや導電性インキなどの導電性材料を用いて印刷を行う場合、印刷で得られたパターンがそのまま電極になるため、極めて高いパターン精度が要求される。
上記課題の改良方法として、例えば、刷版のシリコーンゴム層に形成される凹部のエッジ形状を台形にする方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。これは、インキ充填時にシリコーンゴム層とインキの接触機会を減らすことにより、得られたパターンのうねりなどの欠陥を防止しようとする方法である。しかし、この方法においては配線パターンのエッジ形状に一部改良効果が得られるものの、実用上未だ不十分であった。
特開平8−187927号公報(第2−6頁) 特許昭62−275752号公報(第2−4頁) 特開昭59−46089号公報(第1−2頁) 特開2004−191964号公報(第2−3頁)
本発明の目的は、配線パターンの印刷において、均一な線幅のパターンを形成することができ、配線パターン再現性が良好な水なし平版印刷版原版を提供することである。
本発明は、基板上に、少なくとも感熱層あるいは感光層と、シリコーンゴム層とを有する配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版であって、該シリコーンゴム層の初期弾性率が0.2MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版である。
本発明によれば、配線パターンの印刷において、均一な線幅と良好な再現性を有する配線パターンを形成することができる配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版を提供することができる。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版を用いることによって、断線がなく、導電性に優れた配線パターンを容易に提供することが可能となる。
以下に本発明を詳しく説明する。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版は、基板上に、少なくとも感熱層あるいは感光層、およびシリコーンゴム層を有し、配線パターン印刷用途に適したものである。平版印刷版を用いて配線パターンを形成する方法としては、導電性材料を印刷する方法、エッチングレジストインキを用いて配線パターンを導電性材料上に印刷し、インキの付着していない部分の導電性材料をエッチング処理する方法などが挙げられる。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版は、導電性材料やエッチングレジストインキを用いた配線パターン印刷に適したものである。
導電性材料としては、例えば導電性ペーストおよび導電性インキが挙げられる。導電性ペーストおよび導電性インキは金属、金属酸化物、磁性材料、高誘電体材料、導電性ポリマーなどの導電性材料を少なくとも1つ以上含有し、導電性材料と揮発性材料(例えば、有機溶剤、水など)からなる、溶液、ペースト、インキ(インク)、分散液などの流動性の材料が好ましく用いられる。特に平版印刷に用いる場合、取り扱いの面で導電性インキがより好ましい。
一般的に導電性インキとは、金属粉末(例えば、金・銀・銅・アルミなど)、カーボン、カーボンナノチューブ、金属酸化物、磁性材料粉末(例えば、フェライト粉末など)、高誘電体材料粉末(例えば、セラミック粉末など)などをペースト状としたものとビヒクルなどのバインダーからなる組成物である。最近では導電性ポリマー(例えば、ドーピング等で導電率を向上させた公知のπ共役系ポリマー、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸)の錯体など)とビヒクルなどのバインダーからなる導電性インキも開発されつつある。
本発明において導電性ペーストおよび導電性インキは、従来公知のものであれば特に問題なく使用できる。例えば、導電性ペーストとしては特開平5−1120公報、特開平5−20920公報などに開示されているものが挙げられる。導電性インキとしては特開2004−87183公報、特開2004−241494公報などに開示されている金属粉末を用いた導電性インキや特開2000−191971公報、特開2001−49170公報などに開示されている導電性ポリマーを用いたものが挙げられる。
本発明においてエッチングレジストは、従来公知のものであれば特に問題なく使用できる。例えば、特開昭57−60394公報、特開平1−311179公報などに開示されているものが挙げられる。
本発明者らは、水なし平版印刷版原版と、導電性材料やエッチングレジストインキを用いた配線パターン印刷を行い、配線パターン再現性について様々な解析を進めた。解析の結果、印刷前の水なし平版印刷版(刷版)において、線幅が部分的に太くなったり細くなったりする線幅のバラツキが、断線の原因であることが判明した。
そこで、本発明者らは、線幅30μm(画線部)、スペース150μm(非画線部)のストライプパターンを作製し、光学顕微鏡で評価する評価方法により、均一な線幅のパターンを得るべく検討を行った。詳細な検討を進めた結果、線幅の均一性は水なし平版印刷版原版のシリコーンゴム層の初期弾性率に相関があることを見いだした。
本発明の最大の特徴は、シリコーンゴム層の初期弾性率が0.2MPa以上0.8MPa以下であることである。初期弾性率が0.2MPa未満の場合、現像時にシリコーンゴム層が伸びてしまうためシリコーンゴム層が引きちぎれにくく、均一な線幅が得られない。一方、初期弾性率が0.8MPaを超えるとシリコーンゴム層はひきちぎれ易くなり、線幅は均一になるものの、シリコーンゴム層に傷が入りやすくなり、結果として配線パターンの再現性が低下することを発見した。すなわち、シリコーンゴム層の初期弾性率を0.2MPa〜0.8MPaの間に調整することで配線パターン印刷に有効な水なし平版印刷版原版を得ることができる。線幅の均一性の点から、好ましくは0.35MPa以上0.8MPa以下であり、更に好ましくは0.6MPa以上0.8MPa以下である。
ここで、初期弾性率について説明する。シリコーンゴム層の初期弾性率は、JISK7113(1995)の引張弾性率試験方法にしたがって測定することができる。例えばテフロン(登録商標)板にシリコーンゴム液を塗布し、乾燥した後、テフロン(登録商標)板よりシートを剥がし、得られた約300μmの厚さのシートから4号ダンベルでテストピースを作製し、室温23±2℃において、例えばテンシロンRTM−100(オリエンテック(株)製)を用い、引張速度20cm/分で、JISK7113(1995)の引張弾性率試験方法にしたがって初期弾性率を測定すればよい。あるいは水なし平版印刷版原版からシリコーンゴム層を剥がし、上述の条件で初期弾性率を測定することも可能である。
シリコーンゴム層の初期弾性率は、シリコーンゴム層を緻密な架橋構造にすることで0.2MPa以上0.8MPa以下にすることができる。具体的には、ポリシロキサンと架橋剤、場合によっては触媒の組合せによって実現が可能である。特に低分子量ポリシロキサンや多官能架橋剤を使用することで初期弾性率を0.6MPa以上0.8MPa以下にすることができる。また、上述した材料を組み合わせることで、他の版性能を考慮しバランスのとれた水なし平版印刷版原版が得られる。以下に本発明の水なし平版印刷版原版に用いられるシリコーンゴム層について説明する。シリコーンゴム層は、付加反応型のもの、縮合反応型のものいずれでも用いられる。
付加反応型のシリコーンゴム層を構成する成分としては、ビニル基含有ポリシロキサン、SiH基含有ポリシロキサン、硬化触媒が挙げられる。また、硬化速度を制御する目的で反応抑制剤や他の硬化触媒を用いても良い。
ビニル基含有ポリシロキサンは、下記一般式(I)で表される構造を有し、かつ、分子末端および/または主鎖中にビニル基を有するものである。
Figure 2007148386
式中、nは2以上の整数を示し、RおよびRは炭素数1〜50の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜50の置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜50の置換あるいは非置換のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のR、Rの合計の50%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、ビニル基含有ポリシロキサンの分子量としては数千〜数十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られる印刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜100万、さらには4万〜80万のものを用いることが好ましい。また、分子量の異なる2種のビニル基含有ポリシロキサンを用いることも可能である。
ビニル基含有ポリシロキサンの含有量としては、シリコーンゴム層中の50〜99.9重量%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜98重量%である。
SiH基含有ポリシロキサンとしては、分子鎖中または末端にSiH基を有する、例えば下記一般式(II)〜(V)で表されるような化合物を挙げることができる。
Figure 2007148386
上記一般式(II)〜(V)中、nは2以上の整数、mは1以上の整数を示す。
SiH基含有ポリシロキサン中におけるSiH基の量は、2個以上、さらには3個以上であることが好ましい。SiH基含有ポリシロキサンの含有量は、シリコーンゴム層中の0.1〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜15重量%である。ビニル基含有ポリシロキサンとの量比ということで言えば、SiH基/ビニル基含有ポリシロキサンのビニル基のモル比が1.5〜30であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20である。このモル比が1.5以上であれば、良好な硬化性が得られ、30以下の場合には印刷版の耐傷性などに悪影響を及ぼさない。
反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられるが、アセチレン基含有のアルコールなどが好ましく用いられる。反応抑制剤の好ましい含有量は、シリコーンゴム層中の0.01〜10重量%、さらには0.1〜5重量%である。
硬化触媒としては、例えば、VIII族遷移金属化合物が用いられるが、好ましくは、白金化合物である。具体的には、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキサン錯体などを一例として挙げることができる。このような硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中に固形分として好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%であることが好ましい。0.01〜20重量%であれば、良好な硬化性が得られ、印刷版としての耐傷性などに悪影響を及ぼさない。シリコーンゴム層中における白金などの金属の量で言えば、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは100〜500ppmであることが好ましい。
また、シリコーンゴム層には上記した化合物の他に、水酸基含有オルガノポリシロキサンや加水分解性官能基含有シランもしくはシロキサン、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを含有してもよい。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類等が好ましく、特にビニル基を有するものや、ケトキシミンシラン類が好ましい。
縮合反応型のシリコーンゴム層を構成する成分としては、両末端シラノールポリシロキサン、架橋剤が挙げられる。また硬化性を向上させるため任意で硬化触媒を用いても良い。
ここで、水酸基含有ポリシロキサンは、下記一般式(I)で表される構造を有し、かつ、分子末端および/または主鎖中に水酸基を有するものである。
Figure 2007148386
式中、nは2以上の整数を示し、RおよびRは炭素数1〜50の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜50の置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜50の置換あるいは非置換のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(I)において、RおよびRの合計の50%以上がメチル基であることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、分子量としては数千〜数十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜100万、さらには4万〜80万のものを用いることが好ましい。水酸基含有ポリシロキサンの含有量としては、全シリコーンゴム層中の50〜99.9重量%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜99重量%である。また、分子量の異なる2種の水酸基含有ポリシロキサンを混合して用いることも可能である。
本発明において、架橋剤は脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アミン型、脱アセトン型、脱アミド型、脱アミノキシ型などが挙げられるが、好ましくは下記一般式(VI)で表される、アセトキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミンシラン類、アリロキシシラン類などを挙げることができる。
(R4−kSiX (VI)
式中、kは2〜4の整数を示し、Rは炭素数1以上の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシミン基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基からなる群から選ばれる基を示す。上記式において、加水分解性基の数kは3または4であることが好ましい。
一般式(VI)で表される具体的な化合物としては、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニルメチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ジイソプロペノキシジメチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン、テトラアリロキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、インキ反発層の硬化速度、取扱い性などの観点から、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類が好ましい。また、これらの架橋剤を2種以上用いても良い。
一般式(VI)で表される架橋剤の含有量は、シリコーンゴム層中の1.5〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重量%である。水酸基含有ポリシロキサンとの量比ということで言えば、官能基X/水酸基含有ポリシロキサンの水酸基のモル比が1.5〜10.0であることが好ましい。このモル比が1.5以上であれば、良好な硬化性が得られ、10.0以下の場合には印刷版の耐傷性などに悪影響を及ぼさない。
硬化触媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、トルエンスルホン酸、ホウ酸等の酸類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ、アミン、およびチタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどの金属アルコキシド、鉄アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナートジプロポキシドなどの金属ジケテネート、金属の有機酸塩などを挙げることができる。これらの中では、金属の有機酸塩が好ましく、特に、錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マンガンから選ばれる金属の有機酸塩であることが好ましい。このような化合物の具体例の一部としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを挙げることができる。このような硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。硬化触媒量が0.01重量%以上である場合には十分なシリコーンゴム層の硬化が得られ、20重量%以下であればシリコーンゴム層溶液のポットライフに悪影響を及ぼさない。
また、シリコーンゴム層には、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを含有してもよい。
また、検討の結果、配線パターン用水なし平版印刷版原版の耐久性は、シリコーンゴム層の膜厚に相関があり、膜厚を厚膜化すればシリコーンゴム層に微少なハガレが生じにくくなることを発見した。これは、導電性ペーストあるいはインキ中の金属粒子による繰り返しの変形に対して耐久性が向上したものと考えている。本発明において、シリコーンゴム層の膜厚は重量換算で0.5〜20g/mが好ましく、2.4〜20g/mであることがより好ましい。膜厚が0.5g/m以上であれば、導電性ペーストあるいはインキの耐久性が得られ、20g/m以下であれば配線パターン再現性にも悪影響を及ぼさない。
本発明に用いられる基板としては、寸法的に安定な板状物が好ましい。寸法的に安定な板状物としては、従来印刷版の基板として使用されたものが含まれる。かかる基板としては、紙、ステンレス、アルミニウムなどのような金属板、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなプラスチックフィルム、アルミニウムなどの金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが好ましく使用される。これらの基板のうち、アルミニウム板は寸法安定性に優れており、しかも安価であるので特に好ましい。
本発明に用いられる感光層、感熱層について説明する。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版は、レーザーに感応する感熱層有する感熱タイプであっても、g線やi線、UVランプなどの光に感応する感光層を有する感光タイプであってもよいが、感熱タイプの場合、露光強度の版面バラツキや露光時の温度影響等がないため、感光タイプに比較してより均一な線幅のパターンが得られやすい。よって、配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版としては、感熱層を有する感熱タイプ、いわゆる直描型水なし平版印刷版原版がより好ましい。
まず、感光層について説明する。本発明に用いられる感光層としては、露光の前後で現像液に対する溶解性に変化を生じるものであればいかなるものであっても良い。具体的にはエチレン性不飽和化合物、ジアゾ化合物、キノンジアジド化合物、アジド化合物、o−ニトロベンジルカルビノールエステル化合物等を有する層が挙げられる。これらの化合物の光硬化反応を利用することにより感光性ポジ型水なし平版印刷版原版が、光分解反応を利用することにより感光性ネガ型水なし平版印刷版原版が得られる。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版の感光層としては、従来から水なし平版印刷版原版の感光層として提案されているものであれば、特に好ましく用いることができる。
代表的な感光性ポジ型水なし平版印刷版原版としては、特公昭54−26923号公報、特公昭56−23150号公報などに提案された基板上に光重合性接着層とシリコーンゴム層とが積層された水なし平版印刷版原版、特公平3−56622号公報、特開昭61−153655号公報などに提案された基板上に光二量化型感光層とシリコーンゴム層とが積層された水なし平版印刷版原版、あるいは特公昭61−54222号公報などに提案された光剥離性感光層上にシリコーンゴム層を設けた水なし平版印刷版原版が挙げられる。また、特開平7−281424公報に提案された特定の構造を有するアミノ基含有モノマーを使用した水なし平版印刷版原版を挙げることができる。
また、代表的な感光性ネガ型水なし平版印刷版原版としては、特公昭61−616号公報、特公昭61−54218号公報などに支持体上にキノンジアジド化合物を含む感光層とその上に接着層を介してシリコーンゴム層を設けた水なし平版印刷版が提案されている。
本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に用いられる感光層としては、感光性ポジ型水なし平版印刷版原版は特に特開平7−281424号公報、感光性ネガ型水なし平版印刷版原版は特公昭61−54218号公報が好ましく用いることができる。
また、感光層の厚さは、被覆層にして0.1〜10g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7g/mである。膜厚が0.1g/m以上であれば充分な耐刷性が得られ、10g/m以下であれば、希釈溶剤の揮散に対する問題も生じないため生産性に優れた印刷版が得られる。
次に感熱層について説明する。本発明に用いられる感熱層とは、描き込みに使用されるレーザー光に感応する層であり、レーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する。感熱層にはアブレーション型と光熱剥離型があるが、本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版はどちらでも用いることができる。ここで言うアブレーションとは、レーザー照射によって物理的或いは化学的変化により感熱層が完全に飛散する、一部が破壊されるあるいは飛散する現象を示す。アブレーション型の感熱層としては、公知の材料を用いることができる。例えば特開平6−199064公報、特開平6−1886750公報、特開平9−104182公報などが挙げられる。アブレーション型はレーザー照射によってゴミが生じ、版上に飛び散ったゴミの処理が必要となることから、本発明においては光熱剥離型の感熱層が好ましい。
光熱剥離型の感熱層は特開平11−221977公報、特開2002−72262公報などに開示されており、好ましく用いることができる。
本発明に用いられる光熱剥離型の感熱層は、少なくとも(A)光熱変換物質および(B)金属含有有機化合物を含む。さらに、活性水素基含有化合物やバインダー樹脂を含んでもよく、(C)ノボラック樹脂および(D)ポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。かかる直描型水なし平版印刷版原版からは、ネガ型の印刷版が得られる。すなわち、レーザー光照射部の感熱層とシリコーンゴム層間の接着力が低下し、その後の現像処理によって、レーザー光を照射した部分のシリコーンゴム層が除去される。その詳細なメカニズムは未解明であるが、おそらく原版作製時に(B)金属含有有機化合物と(C)ノボラック樹脂との反応により形成された架橋構造が、レーザー照射により(A)光熱変換物質の作用によって生じた熱で一部分解したものと考えられる。その結果、シリコーンゴム層と感熱層の界面の耐溶剤性が低下し、現像処理によりレーザー照射部のシリコーンゴム層が除去されるものと考えられる。現像によって除去されるのは、シリコーンゴム層だけでも、シリコーンゴム層と感熱層の双方であっても良いが、感熱層は残存した方がインキマイレージが良好になるため好ましい。以下に、各成分について説明する。
(A)光熱変換物質
光熱変換物質としてはレーザー光を吸収するものであれば特に限定されるものではなく、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステンなどの金属酸化物、更にはこれらの金属の水酸化物、硫酸塩が挙げられる。また、ビスマス、鉄、マグネシウム、アルミニウムの金属粉などの添加剤も好ましく用いられる。これらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性の面から、カーボンブラックが好ましい。
また上記の物質以外に、赤外線または近赤外線を吸収する染料も、光熱変換物質として好ましく使用される。
これら染料としては400nm〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する全ての染料が使用できるが、好ましい染料としては、エレクトロニクス用、記録用色素であるシアニン系、フタロシアニン系、フタロシアニン金属錯体系、ナフタロシアニン系、ナフタロシアニン金属錯体系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、アントラキノン系、インドフェノール系、インドアニリン系、ピリリウム系、チオピリリウム系、スクワリリウム系、クロコニウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フェノチアジン系、フェノキサジン系、フルオラン系、チオフルオラン系、キサンテン系、インドリルフタリド系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系、フルオレノン系、モノアゾ系、ケトンイミン系、ジズアゾ系、ポリメチン系、オキサジン系、ニグロシン系、ビスアゾ系、ビスアゾスチルベン系、ビスアゾオキサジアゾール系、ビスアゾフルオレノン系、ビスアゾヒドロキシペリノン系、アゾクロム錯塩系、トリスアゾトリフェニルアミン系、チオインジゴ系、ペリレン系、ニトロソ系、1:2型金属錯塩系、分子間型CT系、キノリン系、キノフタロン系、フルギド系の酸性染料、塩基性染料、色素、油溶性染料や、トリフェニルメタン系ロイコ色素、カチオン染料、アゾ系分散染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、3,9−ジブロモアントアントロン、インダンスロン、フェノールフタレイン、スルホフタレイン、エチルバイオレット、メチルオレンジ、フルオレセイン、メチルビオロゲン、メチレンブルー、ジムロスベタインなどが挙げられる。
これらのなかでも、エレクトロニクス用や記録用の染料で、最大吸収波長が700nm〜900nmの範囲にある、シアニン系染料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ系分散染料、ビスアゾスチルベン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ましく使用される。
さらにこれらの染料のなかでも、感度向上効果の観点からモル吸光度係数の大きなものが好ましく使用される。具体的にはε≦1×10であることが好ましく、より好ましくは1×10以上である。
これらの光熱変換物質は単独でも感度の向上効果はあるが、2種以上を併用することによって、さらに感度を向上させることも可能である。また、吸収波長の異なる2種以上の光熱変換物質を併用することにより、2種以上の発信波長の異なるレーザーに対応出来るようにすることも可能である。
これら光熱変換物質の含有量は、感熱層中0.1〜70重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜40重量%である。0.1重量%以上とすれば、レーザー光に対する感度の向上効果が得られ、70重量%以下とすれば印刷版の耐刷性が低下することもない。
(B)金属含有有機化合物
本発明でいう金属含有有機化合物は、中心金属と有機置換基からなり、中心金属に対して有機置換基が配位結合している錯体化合物、または、中心金属が有機置換基と共有結合している有機金属化合物のことをいう。金属酸化物のような無機化合物はその範疇ではない。これらの金属含有有機化合物は、後述するノボラック樹脂、活性水素基含有化合物と置換反応をおこすことが特徴である。
中心金属としては周期表の第2周期から第6周期の金属および半導体原子が挙げられ、なかでも第3周期から第5周期の金属および半導体原子が好ましく、第3周期金属のAl、Si、第4周期金属のTi、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、第5周期金属のIn、Snが特に好ましい。
以上のような金属を中心にして有機置換基との間で金属含有有機化合物が形成されるが、それらの形態としては例えば以下の様な具体例が挙げられる。
(1)金属ジケテネート
ジケトンのエノール水酸基の水素原子が金属原子と置換したもので、中心金属は酸素原子を介して結合している。ジケトンのカルボニルがさらに金属に対して配位結合することができるため、比較的に安定な化合物である。
具体的には、有機置換基が、2,4−ペンタジオネート(アセチルアセトネート)、フルオロペンタジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート、テノイルトリフルオロアセトネートや1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネートなどである金属ペンタンジオネート(金属アセトネート)類や、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、メタクリルオキシエチルアセトアセテートやアリルアセトアセテートなどである金属アセトアセテート類、サリチルアルデヒド錯塩が挙げられる。
(2)金属アルコキサイド
中心金属に対して、酸素原子を介して有機置換基が結合している化合物である。有機置換基が、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、ブトキサイド、フェノキサイド、アリルオキサイド、メトキシエトキサイド、アミノエトキサイドなどである金属アルコキサイドが挙げられる。
(3)アルキル金属
中心金属に直接有機置換基が結合しているものであり、この場合金属は炭素原子と結合している。有機置換基がジケトンであっても、金属が炭素原子で結合していればこちらに分類される。なかでもアセチルアセトン金属が好ましく用いられる。
(4)金属カルボン酸塩類
酢酸金属塩、乳酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。
(5)その他
チタンオキサイドアセトネートのような酸化金属キレート化合物、チタノセンフェノキサイドのような金属錯体や、2種以上の金属原子を1分子中に有するヘテロ金属キレート化合物が挙げられる。
以上のような金属含有有機化合物のうち好ましく用いられる金属含有有機化合物の具体例としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の具体例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、プロピルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ブチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ヘプチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ヘキシルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、オクチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ノニルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、エチルアセテートアルミニウムジエチレート、エチルアセテートアルミニウムジブチレート、エチルアセテートアルミニウムジヘプチレート、エチルアセテートアルミニウムジノニレート、ジエチルアセテートアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(プロピルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ブチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキシルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ノニルアセトアセテート)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムジアセチルアセトネートエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスプロピルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスブチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスヘキシルアセトアセテート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスプロピルアセトセトネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスブチルアセトアセトネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスヘキシルアセトアセトネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスノニルアセトアセトネート、アルミニウムジブトキシドモノアセトアセテート、アルミニウムジプロポキシドモノアセトアセテート、アルミニウムジブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムオキシドアクリレート、アルミニウムオキシドオクテート、アルミニウムオキシドステアレート、トリスアリザリンアルミニウム、アルミニウム−s−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキシド、アルミニウムフェノキシド、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸アルミニウムなど。
チタンキレート化合物の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリn−ステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、イソプロピルジイソステアロイルクミルフェニルチタネート、イソプロピルジステアロイルメタクリルチタネート、イソプロピルジイソステアロイルアクリルチタネート、イソプロピル4−アミノベンゼンスルホニルジ(ドデシルベンゼンスルホニル)チタネート、イソプロピルトリメタクリルチタネート、イソプロピルジ(4−アミノベンゾイル)イソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリアクリルチタネート、イソプロピルトリ(N,N−ジメチルエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリアントラニルチタネート、イソプロピルオクチル,ブチルパイロホスフェートチタネート、イソプロピルジ(ブチル,メチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルジ(ジラウロイルホスファイト)チタネート、ジイソプロピルオキシアセテートチタネート、イソステアロイルメタクリルオキシアセテートチタネート、イソステアロイルアクリルオキシアセテートチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)オキシアセテートチタネート、4−アミノベンゼンスルホニルドデシルベンゼンスルホニルオキシアセテートチタネート、ジメタクリルオキシアセテートチタネート、ジクミルフェノレートオキシアセテートチタネート、4−アミノベンゾイルイソステアロイルオキシアセテートチタネート、ジアクリルオキシアセテートチタネート、ジ(オクチル,ブチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソステアロイルメタクリルエチレンチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)エチレンチタネート、4−アミノベンゼンスルホニルドデシルベンゼンスルホニルエチレンチタネート、ジメタクリルエチレンチタネート、4−アミノベンゾイルイソステアロイルエチレンチタネート、ジアクリルエチレンチタネート、ジアントラニルエチレンチタネート、ジ(ブチル,メチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、チタンアリルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタンメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンメチルフェノキサイド、チタンオキシドビス(ペンタンジオネート)など。
鉄(III)アセチルアセトネート、ジベンゾイルメタン鉄(II)、トロポロン鉄、トリストロポロノ鉄(III)、ヒノキチオール鉄、トリスヒノキチオロ鉄(III)、アセト酢酸エステル鉄(III)、鉄(III)ベンゾイルアセトネート、鉄(III)トリフルオロペンタンジオネート、サリチルアルデヒド銅(II)、銅(II)アセチルアセトネート、サリチルアルデヒドイミン銅、コウジ酸銅、ビスコウジャト銅(II)、トロポロン銅、ビストロポロノ銅(II)、ビス(5−オキシナフトキノン−1,4)銅、ビス(1−オキシアントラキノン)ニッケル、アセト酢酸エステル銅、サリチルアミン銅、o−オキシアゾベンゼン銅、銅(II)ベンゾイルアセテート、銅(II)エチルアセトアセテート、銅(II)メタクリルオキシエチルアセトアセテート、銅(II)メトキシエトキシエトキサイド、銅(II)2,4−ペンタンジオネート、銅(II)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、亜鉛N,N−ジメチルアミノエトキサイド、亜鉛2,4−ペンタンジオネート、亜鉛2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなども本発明に好ましく用いられる。
その他、サリチルアルデヒドコバルト、o−オキシアセトフェノンニッケル、ビス(1−オキシキサントン)ニッケル、ピロメコン酸ニッケル、サリチルアルデヒドニッケル、アリルトリエチルゲルマン、アリルトリメチルゲルマン、アンモニウムトリス(オキザレート)ゲルマネート、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ゲルマニウム(II)、カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキサイド、シクロペンタジエニルトリメチルゲルマン、ジ−n−ブチルジアセトキシゲルマン、ジ−n−ブチルジクロロゲルマン、ジメチルアミノトリメチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、ヘキサアリルジゲルマノキサン、ヘキサエチルジゲルマノキサン、ヘキサメチルジゲルマン、ヒドロキシゲルマトラン1水和物、メタクリルオキシメチルトリメチルゲルマン、メタクリルオキシトリエチルゲルマン、テトラアリルゲルマン、テトラ−n−ブチルゲルマン、テトライソプロポキシゲルマン、トリ−n−ブチルゲルマン、トリメチルクロロゲルマン、トリフェニルゲルマン、ビニルトリエチルゲルマン、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ジクロロスズ、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、カルシウム2,4−ペンタンジオネート、セリウム(III)2,4−ペンタンジオネート、コバルト(II)2,4−ペンタンジオネート、コバルト(III)2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウム2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトネート、インジウム2、4−ペンタンジオネート、マンガン(II)2,4−ペンタンジオネート、マンガン(III)2,4−ペンタンジオネートなども本発明に用いられる。
これらの具体例のうち、特に好ましく用いられる金属含有有機化合物としては、アルミニウム、鉄(III)、チタンのアセチルアセトネート(ペンタンジオネート)、ヘキサンジオネート、ヘプタンジオネート、エチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネートなどが挙げられる。
これら金属含有有機化合物はそれぞれ単独でも使用できるし、2種以上使用することもでき、その含有量は後述するノボラック樹脂100重量部に対して5〜300重量部が好ましく、10〜150重量部がさらに好ましい。含有量が5重量部以上であれば画像形成がしやすく、300重量部以下であれば耐刷性が低下することもない。
(C)ノボラック樹脂
本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に好ましく用いられるノボラック樹脂としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等が挙げられる。本発明に用いられるノボラック樹脂のGPC法による重量平均分子量(ポリスチレン換算)は特に限定されないが、好ましくは重量平均分子量6000以下のものが挙げられる。重量平均分子量が6000以下であれば高い溶解性が得られ、良好な画像再現性が得られる。
本発明において、感熱層には、上述のノボラック樹脂を単独、あるいは2種以上使用することができる。その含有量は、感熱層中5〜95.2重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%である。含有量が5重量%以上であれば耐刷性、塗工性に問題を生じることがなく、99重量%以下であれば画像再現性に悪影響を及ぼさない。また、後述する(D)ポリウレタン樹脂の含有量との重量比も特に限定されないが、好ましい重量比としてはノボラック樹脂/ポリウレタン樹脂≦2.4が挙げられる。これにより、印刷版の画像再現性と耐刷性が向上する。特に好ましくは1〜2.4の比率である。1以上であれば良好な画像再現性が得られ、2.4以下であれば耐刷性への悪影響も及ぼさない。
また上記ノボラック樹脂と他の活性水素基含有化合物を併用することもできる。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。
さらに、水酸基含有化合物としてはフェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物のいずれも本発明に使用できる。
フェノール性水酸基含有化合物としては、例えば以下のような化合物を挙げることができる。ヒドロキノン、カテコール、グアヤコール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾール樹脂、レゾルシンベンズアルデヒド樹脂、ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合体、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、リグニン変性フェノール樹脂、アニリン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ビスフェノール類などが挙げられる。
また、アルコール性水酸基含有化合物としては、例えば以下のような化合物を挙げることができる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1,2−ジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリビニルアルコール、セルロースおよびその誘導体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの重合体および共重合体など。
また、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、および公知の方法によって水酸基を導入したポリマーなども本発明に使用可能である。
(D)ポリウレタン樹脂
本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版の感熱層はバインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂を含有することによって、感熱層組成物を含む溶液を塗布する際の塗工性改良(ハジキの減少)、耐刷性などの版性能向上が可能となる。
本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に用いられるポリウレタン樹脂としては、以下に示すようなポリイソシアネート類と多価アルコールより得られるポリウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリイソシアネート類としては、パラフェニレンジイソシアネ−ト、2,4−または2,6−トルイレンジイソシアネ−ト(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIあるいはHMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)(別名2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート)、水素化MDI(H12MDI)(別名4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))、水素化TDI(HTDI)(別名メチルシクロヘキサン2,4(2,6)ジイソシアネート)、水素化XDI(H6XDI)(別名1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルエーテルイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4ーイソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
さらには、上記ポリイソシアネート類の変性体、誘導体も好ましく用いられる。このような変性体、誘導体としては、ポリイソシアネートとアルコールとの反応物であるウレタン変性体、2個あるいは3個のポリイソシアネートの反応物としてのニ量体(別名ウレチジオン)、三量体(別名イソシアヌレート)、脱炭酸ガスにより生成するポリカルボジイミド、あるいはポリイソシアネート、アルコール、アミン化合物などとの反応物であるアロハネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体など、さらにはブロックドイソシアネートなどが挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびその他に大きく分類することができる。
ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスルトール、ジペンタエリスルトール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイドープロピレンオキサイド共重合体、テトラヒドロフランーエチレンオキサイド共重合体、テトラヒドロフランープロピレンオキサイド共重合体、テトラヒドロフランカチオン重合体、エポキシ樹脂変性ポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどにさらに分類することができる。
縮合系ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸およびその無水物とグリコール、トリオールとの脱水縮合により得られる。
多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸等が使用できる。
具体的には、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリヘキサメチレンネオペンチルアジペート、ポリエチレンヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート等を一例として挙げることができる。
ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、βープロピオラクトン、γーブチロラクトン、δーバレロラクトン、εーカプロラクトン等のラクトン類の開環重合より得られるものが挙げられる。
さらに、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール以外のポリオールとしては、β−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル(あるいはメタクリル)単量体とアクリル(あるいはメタクリル)酸エステルとの共重合体であるアクリルポリオール、末端に水酸基を含有するブタンジエン及びそれらの共重合体であるポリブタジエンポリオール、部分ケン化EVAなど、さらには種々の含燐ポリオール、ハロゲン含有ポリオール、フェノール系ポリオールなどもポリオールとして使用できる。
また、分岐したポリウレタン樹脂や水酸基等の種々の官能基を有するポリウレタン樹脂も利用可能である。
本発明において、これらのポリウレタン樹脂の含有量は、特に限定されないが、ノボラック樹脂とポリウレタン樹脂との重量比がノボラック樹脂/ポリウレタン樹脂≦2.4となることが好ましい。さらに感熱層中5〜80重量%が好ましく、より好ましくは10〜60重量%である。5重量%以上であれば、耐刷性、塗工性に問題を生じることもなく、80重量%以下とすれば画像再現性にも悪影響を及ぼさない。
本発明において、感熱層には上述のポリウレタン樹脂を単独、あるいは2種以上使用することができる。また他のバインダー樹脂を含有してもよい。
他のバインダー樹脂としては、有機溶剤に可溶でかつフィルム形成能のあるものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のものが好ましく、さらに好ましくはガラス転移温度が0℃以下のものがより好ましい。
有機溶剤に可溶でかつフィルム形成能があり、さらに形態保持の機能をも果たすバインダー樹脂の具体例としては、ビニルポリマー類、未加硫ゴム、ポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエステル類、ポリアミド類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、本発明において、感熱層には、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、可塑剤等を必要に応じて添加してもよい。また、断熱層あるいはシリコーンゴム層との接着性を高めるためにシランカップリング剤などの各種カップリング剤を添加することは極めて好ましく行われる。
感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜10g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7g/mである。膜厚が0.1g/m以上であれば充分な耐刷性が得られ、10g/m以下であれば、希釈溶剤の揮散に対する問題も生じないため生産性に優れた印刷版が得られる。
本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版は、基板上にプライマー層あるいは断熱層を有してもよい。
まず、プライマー層について説明する。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に用いられるプライマー層の好ましい特性は、基板材の保護はもとより、基板及び感光層への接着性を有していること、耐溶剤性を有していること、プライマー層組成自身が版性能に悪影響を及ばさないこと、基板表面の物理的凹凸を除去すること、基板からの感光層への化学的悪影響を遮断することなどであり、これらを満足するプライマー層であれば用いることができる。また、従来から水なし平版印刷版原版のプライマー層として提案されているものであれば、特に好ましく用いることができる。
代表的なプライマー層としては特開昭63−133153号公報、特開昭63−305360号公報、特開平1−172834号公報、特開平2−242255号公報、特開平2−34857号公報、特開平2−34857号公報、特開平3−180848号公報等のゼラチン、カゼイン等の天然タンパク質を用いるものが挙げられる。また、特公平4−2941号公報、特開平5−127368号公報等のようなプライマー層にポリウレタンを用いる方法も実用的である。
特に好ましいプライマー層としては、特公平3−36208号公報、特公平6−82214号公報、特開平10−239833号公報といったブロック型イソシアネートとエポキシ樹脂を熱架橋するプライマー層が挙げられ、プライマー層として具備すべき性能をすべて満足している。本発明に用いられるプライマー層の厚みは0.1〜20g/mが好ましく、より好ましくは1〜10g/mである。1g/m以上であれば、基板からの影響を除去することができ、20g/m以下であれば、経済的にも有利となる。
次に断熱層について説明する。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に用いられる断熱層の好ましい特性は、基板あるいは感熱層と良好な接着性を有し、経時において安定であり、さらに現像液あるいは印刷時に使用する溶剤に対する耐性が高いことであり、これらを満足する断熱層であれば用いることができる。また、従来から水なし平版印刷版原版の断熱層として提案されているものであれば、好ましく用いることができる。
特に、本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版に用いる断熱層としては、特開2004−199016公報、特開2004−334025公報などに開示されている金属キレート化合物を含有する断熱層が好ましく用いられる。
本発明で言う金属キレート化合物としては、例えば、金属に有機配位子が配位した有機錯塩、金属に有機配位子および無機配位子が配位した有機無機錯塩、および金属と有機分子が酸素を介して共有結合している金属アルコキシド類などの有機錯化合物を挙げることができる。
有機錯化合物を形成する主な金属としては、Al、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Zr、Hfが好ましい。着色性の少ない点でAl、Zrが好ましく、さらに反応性の点でAlがより好ましい。
配位子としては、O(酸素原子)、N(窒素原子)、S(硫黄原子)等をドナー原子として有する以下のような配位基を有する化合物が挙げられる。
配位基の具体例としては、酸素原子をドナー原子とするものとしては、−OH(アルコール、エノールおよびフェノール)、−COOH(カルボン酸)、>C=O(アルデヒド、ケトン、キノン)、−O−(エーテル)、−COOR(エステル)、−N=O(ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物)、−NO(ニトロ化合物)、>N−O(N−オキシド)、−SOH(スルホン酸)、−PO(亜リン酸)等、窒素原子をドナー原子とするものとしては、−NH(1級アミン、アミド、ヒドラジン)、>NH(2級アミン、ヒドラジン)、>N−(3級アミン)、−N=N−(アゾ化合物、複素環化合物)、=N−OH(オキシム)、−NO(ニトロ化合物)、−N=O(ニトロソ化合物)、>C=N−(シッフ塩基、複素環化合物)、>C=NH(イミン)等、硫黄原子をドナー原子とするものとしては、−SH(チオール)、−S−(チオエーテル)、>C=S(チオケトン、チオアルデヒド)、=S−(複素環化合物)、−C(=O)−SHあるいは−C(=S)−OHおよび−C(=S)−SH(チオカルボン酸)、−SCN(チオシアナート、イソチオシアナート)等が挙げられる。
また、金属との間で1個またはそれ以上配位を形成しうる環状構造の配位子がより好ましい。具体的には、β−ジケトン類、ケトエステル類、ジエステル類、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステルや塩類、ケトアルコール類、アミノアルコール類、エノール性活性水素化合物などが挙げられる。特に本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版にはアルコール類、エノール類、ジエステル類およびケトエステル類から選ばれる配位子が1つ以上配位したアルミキレート化合物が好ましく用いられる。これらのアルミキレート化合物は、後述する活性水素含有化合物との間で容易に交換反応を起こすため、加熱時にアルミキレート化合物そのものが昇華、または蒸発することが抑えられる。
また、ケトエステル類が2つ以上配位したアルミキレート化合物を用いることが特に好ましい。このようなアルミキレート化合物を用いることで、湿気の影響を受けにくくなり、また断熱層溶液の貯蔵安定性が飛躍的に改善される。
金属キレート化合物の含有量は、断熱層中1〜30重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましい。金属キレート化合物が1重量%以上であれば、基板あるいは感熱層と良好な接着性が得られ、溶剤に対する耐性も高い。一方、金属キレート化合物が30重量%以下であれば、金属キレート化合物が未反応のまま残存し、感熱層溶液を塗布する際に感熱層溶液中に抽出され、印刷版の性能に悪影響を与えることがない。
断熱層は顔料を含むことが好ましい。顔料を含むことにより、断熱層の光透過率を400〜650nmの全ての波長に対して15%以下とすることが可能となり、これにより、機械読み取りによる検版性が向上する。顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、リトポン等の無機白色顔料や、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、オーカー、チタンイエロー等の無機黄色顔料を用いることが好ましい。これらの顔料の中で、隠蔽力、着色力の点から酸化チタンが特に好ましく用いられる。また、酸化チタン粒子表面をチタネート系カップリング剤で処理しても良い。酸化チタン粒子表面をチタネート系カップリング剤で処理することによって、酸化チタン粒子の分散性を向上させ、酸化チタン粒子量を多量に添加することが可能となる。さらには酸化チタン粒子を添加した塗液の分散安定性が良好になる。
酸化チタンの含有量は、断熱層中に2体積%以上、30体積%以下が好ましい。2体積%以上であれば良好な隠蔽性能が得られ、30体積%以下であれば、良好な塗工性能を示す。
断熱層には活性水素基含有化合物を含有することが望ましい。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。
さらに、水酸基含有化合物としてはフェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物のいずれも本発明に使用できる。
また、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、および公知の方法によって水酸基を導入したポリマーなども本発明に使用可能である。
断熱層には、成膜性を付与する目的から樹脂を含むことが好ましい。例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂を単独、あるいは2種以上を混合して用いることが好ましい。
断熱層には、塗工性を改良する目的で、アルキルエーテル類(例えばエチルセルロース、メチルセルロースなど)、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、または、ノニオン系界面活性剤を含有することもできる。
さらに、断熱層の柔軟性を向上させる目的で、天然ゴムや合成ゴム、およびポリウレタン樹脂等の柔軟性付与剤を含有しても良い。これら柔軟性付与剤の含有量としては、断熱層中10〜80重量%が好ましく、30〜80重量%がより好ましい。10重量%以上であれば断熱層の柔軟性が向上し、80重量%以下であれば活性水素基含有化合物と金属キレート化合物の硬化反応の阻害は僅かであり、実質的に無視できる。
断熱層を構成する成分は、好ましくは溶剤を用いて溶解される。断熱層溶液に用いられる溶剤には、樹脂、金属キレート化合物、その他の添加物を良く溶かす性質を有することが好ましい。溶剤は単独で用いることもできるし、二種以上用いることもできる。また、顔料を添加する場合には、顔料表面を良く濡らし、良好な顔料分散性が得られる溶剤を選択することが好ましい。
断熱層溶液の作製方法としては、例えば、容器に酸化チタン分散液を入れ、撹拌を開始し、そこに順次樹脂、金属キレート化合物、その他の添加剤を添加し、高濃度の断熱層溶液を得た後、さらに溶剤で任意の濃度まで希釈することで断熱層溶液を得ることができる。
酸化チタン分散液は、例えば、溶剤中に酸化チタンを添加し、ペイントシェイカー、ボールミル等で分散することにより得られる。
本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版は、例えば次のようにして製造される。まず基板上に必要によりプライマー層溶液あるいは断熱層溶液を塗布し加熱乾燥する。その後、感光層あるいは感熱層を塗布、加熱乾燥し、次にシリコーンゴム溶液を塗布し、充分に加熱硬化させてシリコーンゴム層を形成する。この上に必要に応じて保護フィルムをラミネートするか、あるいは保護層を形成する。保護フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、また各種金属を蒸着したフィルムなどが挙げられる。これら保護フィルムの表面は露光工程においてポジフィルム、ネガフィルムとの密着性を更に改良するために凹凸加工を施しておくことができる。また保護フィルムの代わりにコーテイング等の手法で保護層を形成させておいても良い。
このようにして製造された水なし平版印刷版原版の製版方法は、通常、少なくとも(1)露光工程、(2)露光部あるいは未露光部のシリコーンゴム層と感熱層あるいは感光層間の接着力を低下させる「前処理工程」、および(3)露光部あるいは未露光部のシリコーンゴム層を剥離させる「現像工程」からなる。また、(4)画線部の感熱層あるいは感光層を染色液で染色する「後処理工程」、および(5)処理液や染色液を水で完全に洗い落とす「水洗工程」を行うことも一般的である。
感光性ポジ型またはネガ型水なし平版印刷版原版の場合、真空密着されたポジフィルム、あるいはネガフィルムを通して活性光線で露光される。この露光工程で用いられる光源としては通常、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、蛍光灯などを使うことができる。露光の終わった印刷版は必要に応じて保護フィルムを剥がし、前処理液に浸漬し、水の存在下で現像用パッドまたは現像用ブラシを用いて現像する。必要に応じて、後処理液で画線部を染色し、水洗を行い、水なし平版印刷版となる。
また、直描型水なし平版印刷版原版の場合、保護フィルムを剥離してから、あるいは保護フィルム上からレーザー光で所望の画像状に露光する。露光工程で用いられるレーザー光源としては、通常、発光波長領域が300nm〜1500nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的には、明室での版材の取扱い性などの観点から、780nm、830nm、1064nmの波長のレーザー光が製版に好ましく用いられる。レーザー照射の終わった印刷版は必要に応じて保護フィルムを剥がし、前処理液に浸漬し、水の存在下で現像用パッドまたは現像用ブラシを用いて現像する。必要に応じて、後処理液で画線部を染色し、水洗を行い、水なし平版印刷版となる。
本発明の配線パターン用水なし平版印刷版原版を現像する際には、例えば東レ(株)にて市販されているような自動現像機を用い、前処理液で版面を前処理した後に水道水などでシャワーしながら回転ブラシで版面を擦ることによって、好適に現像することができる。更に染色液で処理することで画線部の染色を行い、水道水で洗浄を行うことで水なし平版印刷版が得られる。前処理液としては、公知のものが使用できる。例えば感光性ポジ型水なし平版印刷版原版であれば特開平4−163557公報、特開平4−343361公報、特開平6−3829公報、感光性ネガ型水なし平版印刷版原版であれば特開昭62−288848公報、特開昭63−179361公報、特開昭63−201657公報などに開示されており好ましく用いることができる。また、直描型水なし平版印刷版原版であれば特開2000−275824号公報、特開2001−201849号公報などに開示されており好ましく用いられる。染色液としては、公知のものが使用できる。例えば、特開平3−129350号公報、特開平4−333851号公報、特開平9−34132公報などに開示されており好ましく用いることができる。水なし平版印刷版原版の現像に自動現像装置を用いる場合には、前処理部、現像部および後処理部がこの順に設けられているものが好ましい。場合によっては後処理部の後方にさらに水洗部が設けられていてもよい。このような自動現像機としては東レ(株)製の“TWL−1160”、“TWL−650”、あるいは特開平4−2265号公報、特開平5−2272号公報、特開平5−6000号公報などに開示されている現像装置が挙げられる。
このようにして得られた水なし平版印刷版を用いて、断線がなく、導電性に優れた配線パターンを容易に提供することができる。配線パターンの作製方法としては様々な公知の方法を用いることができる。
まず、導電性インキを用いた配線パターンの作製方法について説明する。本発明の配線パターン印刷用水なし平版版原版を上記方法で製版して得られた水なし平版印刷版を用いて、フィルムやガラス等の非導電性の基板上に導電性材料を印刷することにより配線パターンを作製することができる。印刷方式には制限はなく、オフセット印刷でも直刷りでもよい。印刷機は特に制限はないが、例えば、特開昭62−27552に開示された印刷機等を使用することができる。場合によっては、オーブンや電気炉を使って印刷後に導電性材料中の樹脂成分を除去するため焼成を行ってもよい。また、導電性を向上させる目的で配線パターン上にメッキ等によって金属層を積層することも可能である。
次に、エッチングレジストインキを用いた配線パターンの作製方法を説明する。本発明の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版を上記方法で製版して得られた水なし平版印刷版を用いて、銅、酸化スズ等の導電性の基板上にエッチングレジストインキを印刷する。ここで印刷方式には制限はなく、オフセット印刷でも直刷りでもよい。印刷機は特に制限はないが、例えば、特開昭62−27552に開示された印刷機等を使用することができる。次に、基板上に印刷したエッチングレジストインキを硬化させ、レジスト膜を作製する。エッチングレジストインキの硬化は、例えば紫外線照射等により行うことができる。紫外線照射には、例えば数キロワットの高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を使用することができる。次に、レジスト膜で覆われていない部分を、エッチング液により除去するエッチング処理を行う。エッチング液としては酸性水溶液が一般的であり、具体例としては、塩化第二鉄、塩化第二銅等の塩酸水溶液が挙げられる。エッチング処理はエッチング液をシャワー状に吹きつける方法が一般的であり、エッチング装置としてバッチタイプのもの、コンベアタイプのものが市販されている。次に、不要となったエッチングレジストインキを除去し、配線パターンを得る。エッチングレジストインキの除去には、一般的にアルカリ水溶液が使用され、、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムの水溶液等が多用されている。エッチングレジストインキの除去には、エッチング装置を使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。以下に示すシリコーンゴム層溶液1〜9をそれぞれテフロン(登録商標)シャーレに塗布した後、乾燥させ、厚さ300μmのシートを作製した。得られたシートから4号ダンベルでテストピースを作製し、JISK7113(1995)に基づきテンシロンRTM−100(オリエンテック(株)(製))を用いて引張速度20cm/分の条件で初期弾性率を測定した。測定結果を表1〜5に示す。
<配線パターン再現性の評価方法>
水なし平版印刷版原版をレーザー照射、あるいは高圧水銀灯で露光した後、現像して、線幅30μm(画線部)、スペース150μm(非画線部)のストライプパターンが設けられた印刷版を作製した。得られた印刷版を光学顕微鏡で観察し、配線パターンの再現性を調べた。配線パターンが100%再現されているものは◎、90%以上100%未満のものは○、80%以上90%未満のものは△、80%未満のものは×とした。これまでの知見から80%以上のパターン再現性があれば実用上問題ない。
<配線パターン線幅バラツキの評価方法>
水なし平版印刷版原版をレーザー照射、あるいは高圧水銀灯で露光した後、現像して、線幅30μm(画線部)、スペース150μm(非画線部)のストライプパターンが設けられた印刷版を作製した。得られた印刷版を光学顕微鏡で観察し配線の線幅バラツキを調べた。設計図上の線幅に対して実際の線幅が±0.5%以下であれば◎◎、±1%以下であれば◎、±5%以下であれば○、±10%以下であれば△、±10%を超えれば×とした。これまでの知見から設計図上の線幅に対して実際の線幅が±10%以下であれば実用上問題ない。
<配線パターンの断線評価−1>
水なし平版印刷版原版をレーザー照射、あるいは高圧水銀灯で露光した後、現像して印刷版を作製した。得られた印刷版を、オフセット印刷機に取り付け、後述する導電性インキを用いて、印刷版の版面温度20℃で20インチサイズの厚み3mmのガラスに対して、印刷を行った。このガラス基板をオーブンで200℃で10分乾燥し、その後1時間の焼成を行うことで配線パターンを形成した。ガラス基板上に作製した配線について、光学顕微鏡で形状を観察し、断線の有無を評価した。
<配線パターンの断線評価−2>
水なし平版印刷版原版をレーザー照射、あるいは高圧水銀灯で露光した後、現像して印刷版を作製した。得られた印刷版を、オフセット印刷機に取り付け、エッチングレジストインキPER−20 K27(太陽インキ製造(株)製)を用いて、印刷版の版面温度が28℃でフレキシブル銅板に対して印刷を行った。得られたサンプルを、高圧水銀灯を用いて露光しインキを硬化させた後、エッチング液としてCu−01(関東化学(株)製)を用いて40℃、2分間エッチング処理した。エッチング後のサンプルを1%水酸化ナトリウム水溶液で40℃、1分間処理し、インキ硬化膜を除去して配線パターンを得た。銅板上に作製したパターンについて、光学顕微鏡で形状を観察し、断線の有無を評価した。
<耐久性の評価方法>
水なし平版印刷版原版をレーザー照射、あるいは高圧水銀灯で露光した後、現像して印刷版を作製した。得られた印刷版を、オフセット印刷機に取り付け、後述する導電性インキを用いて、印刷版の版面温度20℃で20インチサイズの厚み3mmのガラスに対して、印刷を行った。非画線部のシリコーンゴム層のピンホール状の剥離の有無をルーペで観察した。剥離もなく、剥離の兆しもまったくない場合は「極めて良好」、剥離がない場合は「良好」と判断した。1箇所以上の剥離がある場合は不良とした。
<酸化チタン分散液の作製>
N,N−ジメチルホルムアミド10重量部中に、酸化チタン“CR−50”(石原産業(株)製)10重量部を添加して5分間撹拌した。さらに、ガラスビーズ(No.08)を15重量部添加し、20分間激しく撹拌し、その後ガラスビーズを取り去ることで酸化チタン分散液を得た。
<断熱層溶液の組成>
(1)エポキシ樹脂:エピコート(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):49重量部
(2)ポリウレタン樹脂:サンプレン(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、濃度20%、N,N−ジメチルホルムアミド/2−エトキシエタノール溶液):98重量部
(3)アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート):“アルミキレート”ALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):11.2重量部
(4)ビニル系重合物:ディスパロン(登録商標)LC951(楠本化成(株)製):0.2重量部
(5)酸化チタン分散液(濃度50%):84重量部(酸化チタン:42重量部)
(6)N,N−ジメチルホルムアミド:302.5重量部
(7)メチルエチルケトン:315.6重量部。
<感熱層溶液の組成>
(1)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI((株)Avecia製):16重量部
(2)チタンジ−n−ブトキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート):ナーセム(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、チタン濃度約8.8%、n−ブタノール溶液):37.5重量部
(3)フェノールノボラック樹脂:スミライトレジン(登録商標)PR53195(住友デュレズ(株)製):60重量部
(4)ポリウレタン樹脂:サンプレン(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、濃度20%、N,N−ジメチルホルムアミド/2−エトキシエタノール溶液):125重量部(ポリウレタン樹脂:25重量部)
(5)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:15重量部
(6)テトラヒドロフラン:993重量部
(7)エタノール:64重量部。
<シリコーンゴム層溶液1の組成>
(1)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量400,000):60重量部
(2)両末端シラノールポリジメチルシロキサンDMS−S51(重量平均分子量139,000、GELEST Inc.製):40重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:13重量部
(4)テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン:4重量部
(5)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(6)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2147.57重量部。
<シリコーンゴム層溶液2の組成>
(1)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量400,000):48重量部
(2)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量90,000):52重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:13重量部
(4)テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン:1重量部
(5)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(6)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2147.57重量部。
<シリコーンゴム層溶液3の組成>
(1)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量150,000):100重量部
(2)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:13重量部
(3)テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン:4重量部
(4)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2147.57重量部。
<シリコーンゴム層溶液4の組成>
(1)両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100,000):100重量部
(2)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:13重量部
(3)テトラ(メチルエチルケトキシミン)シラン:4重量部
(4)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2147.57重量部。
<シリコーンゴム層溶液5の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V52(重量平均分子量155,000、GELEST Inc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−071(GELEST Inc.製):4重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液6の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V35(重量平均分子量495,00、GELEST Inc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−064(GELEST Inc.製):6重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液7の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重量平均分子量800,000):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−031(GELEST Inc.製):6重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液8の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重量平均分子量600,000):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサンHMS−031(GELEST Inc.製):6重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):10重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):2223重量部。
<シリコーンゴム層溶液9の組成>
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサンDMS−V31(重量平均分子量23,000、GELEST Inc.製):100重量部
(2)SiH基含有シリコーンレジンHQM−105(GELEST Inc.製):
3.3重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒:“SRX−212”(東レダウコーニングシリコーン(株)製):5重量部
(5)アイソパー(登録商標)E(エッソ化学(株)製):770重量部
(6)トルエン:260重量部。
<導電性インキの組成>
(1)銀粉体(球形状、平均粒径0.8μm):80重量部
(2)ガラスフリット(ビスマス系、軟化点500℃、平均粒径0.9μm):3重量部
(3)バインダー樹脂(アリルエーテルと無水マレイン酸の共重合体物、粘度2,000P):16重量部
(4)石油系溶剤:1重量部。
(実施例1)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に断熱層溶液を塗布し、200℃で1分間乾燥し、膜厚8g/mの断熱層を設けた。この断熱層の上に前記の感熱層溶液を塗布し、150℃で80秒間乾燥し、膜厚1.5g/mの感熱層を設けた。この感熱層上に、前記のシリコーンゴム層溶液1を塗布し、125℃で80秒間乾燥し、膜厚0.5g/mのシリコーンゴム層を設け、直描型水なし平版印刷版原版を得た。さらに、シリコーンゴム層表面に6μmのポリプロピレンフィルムをラミネートした。
得られた直描型水なし平版印刷版原版を、製版機“TDL−4400”(東レ(株)製)に装着し、半導体レーザー(波長830nm)を用いて照射エネルギー150mJ/cmで画像露光を行った。ポリプロピレンフィルムを剥離した後、自動現像機“TWL−860KII”(東レ(株)製)を使用し、前処理液“NP−1”(東レ(株)製)、後処理液“PAF−2”(東レ(株)製)を用いて前処理温度35℃、搬送速度80cm/分で現像を行い、水なし平版印刷版を得た。印刷版上での配線パターン再現性を評価した結果、30μmの配線パターンを再現しており、良好な再現性を有していた。また、線幅バラツキを確認したが、すべて5%以内であり均一な線幅が得られた。
この水なし平版印刷版をオフセット印刷機に取り付け、上記導電性インキを用いて、20インチサイズのガラス基板(厚さ3mm)に印刷を行った。1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層のピンホール状の剥離などの損傷もなく良好な耐久性であった。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例2〜6)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液2〜6を使用した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。いずれも良好なパターン再現性と均一な線幅が得られた。また耐久性も良好な印刷版が得られた。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例7〜42)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1を各々シリコーンゴム層溶液1〜6とし、表1記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、直描型水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。いずれも良好なパターン再現性と均一な線幅が得られた。また耐久性も良好な印刷版が得られた。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例43〜48)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1を各々シリコーンゴム層溶液1〜3とし、表1記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。シリコーンゴム層膜厚が0.4g/mのものは一部非画線部に傷が生じたため、95%のパターン再現性しか得られなかったが、均一な線幅が得られた。また1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層に若干のピンホール状の剥離が確認された。シリコーンゴム層膜厚が21g/mのものは一部現像不良のため95%のパターン再現性が得られなかったが、均一な線幅が得られた。また、1000枚の印刷終了後の印刷版を検査した結果、耐久性は問題なかった。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例49)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に下記に示すプライマー層溶液1を塗布し、230℃で1分間乾燥し、膜厚6g/mのプライマー層を設けた。このプライマー層の上に下記に示す感光層溶液1を塗布し、150℃で80秒間乾燥し、膜厚1.0g/mの感光層を設けた。この感光層上に、前記のシリコーンゴム層溶液1を塗布し、125℃で80秒間乾燥し、膜厚0.5g/mのシリコーンゴム層を設け、さらに、シリコーンゴム層表面に6μmのポリプロピレンフィルムをラミネートした。メタルハライドランプ(岩崎電気(株)製アイドルフィン2000)を用い、UVメーター(オーク製作所製、ライトメジャータイプUV−402A)で11mW/cmの照度で6秒間全面露光を施し感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を得た。
<プライマー層溶液1の組成>
基体樹脂(担体樹脂)
(1)ポリウレタン樹脂(“サンプレン”LQ−SZ18、三洋化成工業(株)
製):115重量部
(2)エポキシ樹脂(“エピコート”827(エポキシ当量約200)、油化シェル(株)製):10重量部
(3)ディスモジュールCTステープル(住友バイエルン製):10重量部
(4)DMS6X(明成化学工業(株)製):10重量部
(5)ブチル化尿素樹脂 :20重量部
酸化チタン:10重量部
ジメチルホルムアミド:750重量部。
<感光層溶液1の組成>
(1)1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノ−ルホルムアルデヒドノボラック樹脂(スミライトレジンPR50622、住友デュレズ社(株)製)の部分エステル化物(元素分析法によるエステル化度36%):70重量部
(2)4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート:21重量部
(3)ポリウレタン樹脂(ミラクトランP22S 日本ミラクトラン(株)製):30重量部
(4)ジブチル錫ジアセテ−ト:0.2重量部
(5)p−トルエンスルホン酸:0.8重量部
(6)テトラヒドロフラン:800重量部。
得られた感光性ネガ型水なし平版印刷版原版に、線幅30μm(画線部)、スペース150μm(非画線部)のストライプパターンを持つネガフィルムを真空密着し、上記のメタルハライドランプを用い、1mの距離から60秒間画像露光を行った。ポリプロピレンフィルムを剥離した後、自動現像機“TWL−860KII”(東レ(株)製)を使用し、前処理液“NP−1”(東レ(株)製)、後処理液“PAF−2”(東レ(株)製)を用いて前処理温度45℃、搬送速度40cm/分で現像を行い水なし平版印刷版を得た。
印刷版上での配線パターン再現性を評価した結果、30μmの配線パターンを再現しており、良好な再現性を有していた。また、線幅バラツキを評価したところ、すべて10%以内であり、ほぼ均一であった。
この印刷版をオフセット印刷機に取り付け、上記導電性インキを用いて、20インチサイズのガラス基板(厚さ3mm)に印刷を行った。1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層のピンホール状の剥離などの損傷もなく良好な耐久性であった。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例50〜54)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液2〜6を使用した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表2に示す。いずれも良好なパターン再現性と均一な線幅が得られた。また耐久性も良好な印刷版が得られた。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例55〜90)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1を各々シリコーンゴム層溶液1〜6とし、表2記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表2に示す。いずれも良好なパターン再現性と均一な線幅が得られた。また耐久性も良好な印刷版が得られた。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例91〜96)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1を各々シリコーンゴム層溶液1〜3とし、表2記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表2に示す。シリコーンゴム層膜厚が0.4g/mのものは一部非画線部に傷が生じたため、95%のパターン再現性しか得られなかったが、均一な線幅が得られた。また1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層に若干のピンホール状の剥離が確認された。シリコーンゴム層膜厚が21g/mのものは一部現像不良のため95%のパターン再現性が得られなかったが、均一な線幅が得られた。また、1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、耐久性は問題なかった。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例97)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に下記に示すプライマー層溶液2を塗布し、230℃で1分間乾燥し、膜厚3g/mのプライマー層を設けた。このプライマー層の上に下記に示す感光層溶液2を塗布し、100℃で60秒間乾燥し、膜厚4.0g/mの感光層を設けた。この感光層上に、前記のシリコーンゴム層溶液1を塗布し、125℃で80秒間乾燥し、膜厚0.5g/mのシリコーンゴム層を設けた。さらに、シリコーンゴム層表面に6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートし、感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を得た。
<プライマー層溶液2の組成>
(1)カンコート 90T−25−3094(関西ペイント(株)製、エポキシ・フエノール樹脂):15重量部
(2)ジメチルホルムアミド: 85重量部。
<感光層溶液2の組成>
(1)アジピン酸とポリエチレングリコールからなるポリエステルポリオールとイソホロンジイソシアネートとのポリウレタン:56重量部
(2)ペンタオキシプロピレンジアミン/グリシジルメタクリレート=1/4モル比付加反応物:15重量部
(3)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/メチルグリシジルエーテル=1/2/2モル比付加反応物:14重量部
(4)1,9−ノナンジオールジアクリレート:8重量部
(5)4,4´−ビス(ジエチルアミノ)べンゾフェノン:3重量部
(6)2,4−ジエチルチオキサントン:5重量部
(7)ビクトリアピュアーブルーBOH:0.3重量部
(8)エチルセロソルブ:580重量部。
得られた感光性ポジタイプ水なし平版印刷版原版に、線幅30μm(画線部)、スペース150μm(非画線部)のストライプパターンを持つポジフィルムを真空密着し、メタルハライドランプ(岩崎電気(株)製アイドルフィン2000)を用い、1mの距離から90秒間画像露光を行った。ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、自動現像機“TWL−1160KII”(東レ(株)製)を使用し、前処理液“PP−F”(東レ(株)製)、後処理液“PAF−2”(東レ(株)製)を用いて前処理温度40℃、搬送速度110cm/分で現像を行い水なし平版印刷版を得た。
印刷版上での配線パターン再現性を評価した結果、30μmの配線パターンを再現しており、良好な再現性を有していた。また、線幅バラツキを確認したが、すべて10%以内であり、ほぼ均一であった。この印刷版をオフセット印刷機に取り付け、上記導電性インキを用いて、20インチサイズのガラス基板(厚さ3mm)に印刷を行った。1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層のピンホール状の剥離などの損傷もなく良好な耐久性であった。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施98〜102)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液2〜6を使用した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表3に示す。いずれも良好なパターン再現性と均一な線幅が得られた。また耐久性も良好な印刷版が得られた。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例103〜138)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1を各々シリコーンゴム層溶液1〜6とし、表3記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表3に示す。いずれも良好なパターン再現性と均一な線幅が得られた。また耐久性も良好な印刷版が得られた。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(実施例139〜144)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1を各々シリコーンゴム層溶液1〜3とし、表3記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表3に示す。シリコーンゴム層膜厚が0.4g/mのものは一部非画線部に傷が生じたため、95%のパターン再現性しか得られなかったが、均一な線幅が得られた。また1000枚の印刷終了後の印刷版を検査した結果、非画線部のシリコーンゴム層に若干のピンホール状の剥離が確認できた。シリコーンゴム層膜厚が21g/mのものは一部現像不良のため95%のパターン再現性が得られなかったが、均一な線幅が得られた。また、1000枚の印刷終了後の印刷版を観察した結果、耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、断線もなく良好であった。
(比較例1〜3)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは±10%を超え不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を検査した結果、すべての版においてシリコーンゴム層剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例1、2において断線箇所があった。
(比較例4〜6)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表4記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版においてシリコーンゴム層剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例4、5において断線箇所があった。
(比較例7〜9)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表4記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版において非画線部のシリコーンゴム層にピンホール状の剥離が確認された。また、得られた配線を観察した結果、比較例7、8において断線箇所があった。
(比較例10〜12)
実施例1においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表4記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例1と全く同様にして直描型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは一部現像不良が生じたため、95%のパターン再現性しか得られなかった。また線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは現像不良が酷く評価ができなかった。1000枚の印刷終了後、すべての印刷版を検査した結果、非画線部のシリコーンゴム層の剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例10、11において断線箇所があった。
(比較例13〜15)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版においてシリコーンゴム層剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例13、14において断線箇所があった。
(比較例16〜18)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表5記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版においてシリコーンゴム層剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例16、17において断線箇所があった。
(比較例19〜21)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表5記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版において非画線部のシリコーンゴム層にピンホール状の剥離が確認された。また、得られた配線を観察した結果、比較例19、20において断線箇所があった
(比較例22〜24)
実施例49においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表5記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例49と全く同様にして感光性ネガ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例49と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは一部現像不良が生じたため、95%のパターン再現性しか得られなかった。また線幅バラツキは±10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは現像不良が酷く評価ができなかった。1000枚の印刷終了後、すべての印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層の剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例22、23において断線箇所があった。
(比較例25〜27)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版においてシリコーンゴム層剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例25、26において断線箇所があった。
(比較例28〜30)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表5記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版においてシリコーンゴム層剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例28、29において断線箇所があった。
(比較例31〜33)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表5記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは良好なパターン再現性が得られたが、線幅バラツキは10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは非画線部の傷が酷いためパターン再現性の評価ができなかった。印刷終了後の版を観察した結果、すべての版において非画線部のシリコーンゴム層にピンホール状の剥離が確認された。また、得られた配線を観察した結果、比較例31、32において断線箇所があった。
(比較例34〜36)
実施例97においてシリコーンゴム層溶液1のかわりに各々シリコーンゴム層溶液7〜9を使用し、表5記載のシリコーンゴム層膜厚に変更した以外は実施例97と全く同様にして感光性ポジ型水なし平版印刷版原版を作製し、水なし平版印刷版を得た。実施例97と同様の評価を行った結果を表5に示す。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.1MPa、0.15MPaのものは一部現像不良が生じたため、95%のパターン再現性しか得られなかった。また線幅バラツキ10%を超え、不均一であった。シリコーンゴム層の初期弾性率が0.85MPaのものは現像不良が酷く評価ができなかった。1000枚の印刷終了後、すべての印刷版を観察した結果、非画線部のシリコーンゴム層の剥離はなく耐久性は良好であった。また、得られた配線を観察した結果、比較例34、35において断線箇所があった。
Figure 2007148386
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Claims (9)

  1. 基板上に、少なくとも感熱層あるいは感光層と、シリコーンゴム層とを有する配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版であって、該シリコーンゴム層の初期弾性率が0.2MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
  2. 前記シリコーンゴム層の初期弾性率が0.35MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
  3. 前記シリコーンゴム層の初期弾性率が0.6MPa以上0.8MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
  4. 前記シリコーンゴム層の膜厚が0.5g/m以上20g/m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
  5. 前記シリコーンゴム層の膜厚が2.4g/m以上20g/m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
  6. 感熱層を有する請求項1〜5のいずれか記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版を用いて、導電性材料を印刷することを特徴とする配線パターンの作製方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか記載の配線パターン印刷用水なし平版印刷版原版を用いて、導電材表面にエッチングレジストインキを印刷する工程、エッチングレジストインキを硬化させる工程、エッチング処理する工程、エッチングレジストインキを除去する工程をこの順に有することを特徴とする配線パターン作製方法。
  9. 請求項7または8記載の方法により得られる配線パターン。
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