JP2000275824A - 直描型水なし平版印刷版の製造方法 - Google Patents

直描型水なし平版印刷版の製造方法

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JP2000275824A
JP2000275824A JP8417899A JP8417899A JP2000275824A JP 2000275824 A JP2000275824 A JP 2000275824A JP 8417899 A JP8417899 A JP 8417899A JP 8417899 A JP8417899 A JP 8417899A JP 2000275824 A JP2000275824 A JP 2000275824A
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Shigehiko Ichikawa
成彦 市川
Seigo Miyaguchi
生吾 宮口
Mitsuru Suezawa
満 末沢
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高感度で、現像後も感熱層が残存する直描型水
なし平版印刷版を得る。 【解決手段】基板上に少なくとも感熱層、シリコーンゴ
ム層を順次積層してなる直描型水なし平版印刷版の製版
方法において、レーザーを像様照射した水なし平版印刷
版を、下記一般式(I)で示されるグリコール化合物あ
るいはグリコールエーテル化合物を1種以上含有する処
理液に浸漬した後、現像液であるいは処理液を含有する
現像液で現像する。 R2O(−CHR1−CH2−O)n−R3 ・・・(I) (ここで、R1は水素原子あるいは炭素数1〜5のアル
キル基を示し、R2およびR3は水素原子あるいは炭素数
1〜15のアルキル基を示し、nは1〜12の整数であ
る)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は直描型水なし平版印
刷版の製造方法に関するものであり、特にレーザー照射
部の感熱層が残存する版材を処理液で現像することによ
り印刷版を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製版用フィルムを使用しないで、原稿か
ら直接オフセット印刷版を作製する、いわゆるダイレク
ト製版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷
版が得られる迅速性、多様なシステムから品質とコスト
に応じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、
軽印刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、グラビア
印刷の分野にも進出し始めている。特に最近では、プリ
プレスシステムやイメージセッター、レーザープリンタ
ーなどの出力システムの急激な進歩によって、ダイレク
ト製版用の新しいタイプの各種平版印刷版が開発されて
いる。
【0003】これらの平版印刷版を、製版方法から分類
すると、レーザーを照射する方法、サーマルヘッドで書
き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する方法、
インクジェットでインキ反撥層またはインキ着肉層を形
成する方法などとなる。なかでも、レーザーを用いる方
法は解像度、および製版速度の面で他の方式よりも優れ
ており、その種類も多い。
【0004】このレーザーを用いる平版印刷版には、光
反応によるフォトンモードタイプのものと、光熱変換を
行って熱反応を起こさせるヒートモードタイプの2つが
ある。ヒートモードタイプのものは、明室で取り扱える
利点があり、また光源となる半導体レーザーの出力の急
激な進歩によって、最近その有用性が見直されてきてい
る。
【0005】直描型水なし平版印刷版について種々の提
案がなされてきているが、その画像再現機構は、感熱層
をレーザーによる熱の作用で焼きとばし、その上層のイ
ンキ反撥層であるシリコーンゴム層を機械的に除去する
ものがほとんどである。例えば、特開平7−31493
4号公報には、感熱層として金属薄膜を用いた直描型水
なし平版印刷版が記載されている。このタイプの水なし
平版では、レーザーの照射により感熱層は溶融除去され
る。また、特開平6−199064号公報、特開平6−
55723号公報には、感熱層中に、レーザー光吸収化
合物としてカーボンブラックを、熱分解化合物としてニ
トロセルロースを含有する直描型水なし平版印刷版原版
が例示されている。感熱層中のカーボンブラックがレー
ザー光を吸収して熱エネルギーに変換し、その熱で感熱
層が破壊される。そしてシリコーンゴム層に対する非溶
媒であるイソプロパノールを用いて現像を行い、この部
分を感熱層ごと除去することによって、インキを着肉し
ないシリコーンゴム層が同時に剥離され、インキの着肉
する画線部となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かくの如く感熱層が溶
融除去あるいは破壊されると、画線部セルが深くなるた
め、インキが厚盛りになり印刷物にザラツキ感がでる。
さらに、オフセット印刷ではインキ溶剤を揮発させるた
めにオーブン長を長くするか、印刷速度を落とす必要が
ある。このように画線部セルが深いと、印刷工程で多く
の不利を被る。感熱層の溶融性や燃焼性を低くすること
によって、感熱層の残存をはかることも可能であるが、
この場合、感熱層の熱による小さな機械的強度の低下に
よりシリコーンゴム層を剥離させるため、原版の段階か
らシリコーンゴム層と感熱層との間の接着力(以後これ
を、S/K接着力と呼ぶ)を弱くする必要がある。そう
すると非画線部のシリコーンゴム層まで剥がれやすくな
り、画像を再現させるラチチュードがせまくなり、また
耐刷性の面で大きな不利を被る。そこで、S/K接着力
が強い版材に対して、レーザー照射部とレーザー未照射
部とで感熱層の溶解性が大きく異なり、かつレーザー照
射部の感熱層を除去することのない、少なくとも一部が
残存する水なし平版印刷版の製造が望まれていた。
【0007】本発明はかかる従来技術の欠点を改良する
ため、S/K接着力が強く、感熱層が残存する直描型水
なし平版印刷版の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、基
板上に少なくとも感熱層、シリコーンゴム層を順次有す
る直描型水なし平版印刷版の製造方法において、レーザ
ーを像様照射した水なし平版印刷版を、下記一般式
(I)で示されるグリコール化合物あるいはグリコール
エーテル化合物を1種以上含有する処理液に浸漬した
後、現像液であるいは処理液を含有する現像液で現像す
ることを特徴とする直描型水なし平版印刷版の製造方法
である。 R2O(−CHR1−CH2O)n−R3 ・・・(I) (ここで、R1は水素原子あるいは炭素数1〜5のアル
キル基を示し、R2およびR3は水素原子あるいは炭素数
1〜15のアルキル基を示し、nは1〜12の整数であ
る。)
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、直描型(ダイレ
クトとも言う)とは、露光時にネガあるいはポジのフィ
ルムを用いずに、印刷版上に直接記録ヘッドから、画像
形成を行うことをいう。また製版とは、平版印刷版原版
をレーザーで像様照射する露光工程から、露光済みの平
版印刷版を現像し印刷版のパターン形成を行う現像工程
までを含めた工程のことをいう。
【0010】次に、本発明で使用する直描型水なし平版
印刷版について説明する。本発明で使用する直描型水な
し平版印刷版は、基板上に少なくとも感熱層、シリコー
ンゴム層を順次有する。まず、感熱層について説明す
る。感熱層には(A)光熱変換物質を含有させるのが好
ましい。
【0011】(A)光熱変換物質としては、光を吸収し
て熱に変換しうる物質であれば、特に限定されるもので
はなく、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、
フタロシアニンのような顔料や、シアニン系、フタロシ
アニン系、ピリリウム系、スクワリリウム系、フェノチ
アジン系、ポリメチン系、ニグロシン系、キノリン系な
どの赤外線または近赤外線を吸収する染料が好ましく用
いられる。これらの染料、顔料の中でも、モル吸光度係
数(ε)の大きなものが好ましく使用される。εが1×
104 以上のものが好ましく、εが1×105 以上のも
のがさらに好ましい。εが1×104 未満になると感度
の向上効果が発現しにくいためである。また、吸光度の
高い染料を用いると、感熱層の入射側で効率よくレーザ
ー光が吸収され、感熱層の下部にまではレーザー光が行
き届きにくいので、感熱層上部のみが熱による変性を受
け、結果として感熱層が残存しやすい。
【0012】本発明においては(A)光熱変換物質は単
独でも感度の向上効果はあるが、2種以上を併用して用
いることによって、さらに感度を向上させることも可能
である。これらの(A)光熱変換物質の含有量は、全感
熱層組成物に対して2〜70重量%が好ましく、より好
ましくは3〜60重量%である。2重量%よりも少ない
場合には感度の向上効果が小さく、70重量%よりも多
い場合には印刷版の耐刷性が低下しやすい。
【0013】かくして得られる本発明で使用する印刷版
原版は、熱によってそのS/K接着力に変化が現れ、レ
ーザー照射部が現像が可能となる。本発明では、感熱層
中に「熱によって切れやすい結合を有する化合物」を含
有させることによってこれを行う。ただし、ニトロ化合
物のような化合物は熱によって自己酸化的に破壊される
ので用いない。
【0014】本発明では、感熱層はさらに(B)有機金
属化合物および(C)活性水素含有化合物を含有するこ
とが好ましい。(B)有機金属化合物と(C)活性水素
含有化合物とは通常70℃〜200℃の加熱によって架
橋反応を起こすが、その架橋構造は250℃以上のレー
ザーによる熱によって容易に切断される。従って感熱層
塗工時に80℃〜200℃の温度でキュアし、両者を予
め架橋させておくと、それらはレーザーの熱によって切
れやすい結合を有する化合物となる。本発明では(B)
有機金属化合物および(C)活性水素含有化合物を加熱
するなどして架橋構造を形成させ、感熱層のマトリック
スとなすことができる。
【0015】上記でいう(B)有機金属化合物は、中心
金属と有機置換基からなり、金属に対して有機置換基が
配位結合している錯体化合物か、あるいは有機置換基と
共有結合している有機金属化合物のことをいう。金属酸
化物のような無機化合物はその範疇ではない。これらの
物質は、(C)活性水素含有化合物と架橋構造を形成す
ることが特徴である。中心金属としては周期表の第2周
期から第6周期の金属および半導体原子が挙げられ、な
かでも第3周期から第5周期の金属および半導体原子が
好ましく、第3周期金属のAl、Si、第4周期金属の
Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、第
5周期金属のIn、Snが特に好ましいが、本発明はこ
れらに限定されない。
【0016】上記でいう(B)有機金属化合物としては
以下に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定
されない。 (B−1)金属ジケテネート ジケトンのエノール水酸基の水酸基が金属原子と置換し
たもので、中心金属は酸素原子を介して結合している。
ジケトンのエノールでない方のカルボニル酸素原子がさ
らに金属に対して配位結合することができるため、比較
的安定な化合物である。具体的には、有機置換基が、
2,4−ペンタジオン(アセチルアセトン)、フルオロ
ペンタジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5
−ヘプタンジオン、ベンゾイルアセトン、テノイルトリ
フルオロアセトンや1,3−ジフェニル−1,3−プロ
パンジオンなどである金属ペンタンジオネート(金属ア
セトネート)類や、メチルアセトアセテート、エチルア
セトアセテート、メタクリルオキシエチルアセトアセテ
ートやアリルアセトアセテートなどである金属アセトア
セテート類が挙げられる。
【0017】(B−2)金属アルコキサイド 中心金属に対して、酸素原子を介してアルキル基(ある
いはアリール基)が結合している化合物である。有機置
換基が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブト
キシ基、フェノキシ基、アリルオキシ基、メトキシエト
キシ基、アミノエトキシ基などである金属アルコキサイ
ドが挙げられる。
【0018】(B−3)アルキル金属 中心金属がそのままアルキル基を有するものであり、こ
の場合金属は炭素原子と結合している。有機置換基がジ
ケトンであっても、金属が炭素原子で結合していればこ
ちらに分類される。
【0019】(B−4)金属カルボン酸塩類 酢酸金属塩、乳酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリ
ル酸金属塩、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。
【0020】(B−5)その他 チタンオキサイドアセトネートのような酸化金属キレー
ト化合物、チタノセンフェノキサイドのような金属錯体
や、2種以上の金属原子を1分子中に有するヘテロ金属
キレート化合物が挙げられる。これらの中でも、(B−
1)の金属ジケテネートが最も好ましい。
【0021】以上有機置換基別の分類を記したが、例え
ば、チタニウム(IV)ジアセチルアセトネートジブト
キシドの様に、2種類以上の有機置換基を有する化合物
であってもよく、溶解性や反応性の調節のために、むし
ろ異種の有機置換基を有していた方がよい場合がある。
【0022】以上のような有機金属化合物のうち、好ま
しく用いられる有機金属化合物の具体例を以下に記す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】有機アルミニウム化合物としては、アルミ
ニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミ
ニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチ
レート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレ
ート、プロピルアセテートアルミニウムジイソプロピレ
ート、ブチルアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト、ヘプチルアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト、ヘキシルアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト、オクチルアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト、エチルアセテートアルミニウムジエチレート、エチ
ルアセテートアルミニウムジブチレート、エチルアセテ
ートアルミニウムジヘプチレート、エチルアセテートア
ルミニウムジノニレート、ジエチルアセテートアルミニ
ウムイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルア
セテート)、アルミニウムトリス(プロピルアセトアセ
テート)、アルミニウムトリス(ブチルアセトアセテー
ト)、アルミニウムトリス(ヘキシルアセトアセテー
ト)、アルミニウムトリス(ノニルアセトアセテー
ト)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アル
ミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセ
トネート、アルミニウムジアセチルアセトネートエチル
アセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネ
ートビスブチルアセトアセテート、アルミニウムモノア
セチルアセトネートビスヘキシルアセトアセテート、ア
ルミニウムモノエチルアセトアセテートビスプロピルア
セトアセテート、アルミニウムモノエチルアセトアセテ
ートビスブチルアセトアセテート、アルミニウムモノエ
チルアセトアセテートビスヘキシルアセトアセテート、
アルミニウムモノエチルアセトアセテートビスノニルア
セトアセトアセテート、アルミニウムジブトキシドモノ
アセトアセテート、アルミニウムジプロポキシドモノア
セトアセテート、アルミニウムジブトキシドモノエチル
アセトアセテート、アルミニウムオキシドアクリレー
ト、アルミニウムオキシドオクテート、アルミニウムオ
キシドステアレート、トリスアリザリンアルミニウム、
アルミニウム−s−ブトキシドビスエチルアセトアセテ
ート、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトア
セテート、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトア
セテートジイソプロポキシド、アルミニウムフェノキシ
ド、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸アルミニウ
ム、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0024】有機チタン化合物としては、イソプロピル
トリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリn
−ステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノ
イルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンス
ルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチル
パイロホスファイト)チタネート、テトライソプロピル
ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオ
クチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、
テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)
ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス
(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチ
タネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチ
レンチタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェー
ト)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイ
ソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロ
イルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオク
チルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミ
ルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノ
エチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオ
キシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレ
ンチタネート、イソプロピルジイソステアロイルクミル
フェニルチタネート、イソプロピルジステアロイルメタ
クリルチタネート、イソプロピルジイソステアロイルア
クリルチタネート、イソプロピル4−アミノベンゼンス
ルホニルジ(ドデシルベンゼンスルホニル)チタネー
ト、イソプロピルトリメタクリルチタネート、イソプロ
ピルジ(4−アミノベンゾイル)イソステアロイルチタ
ネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロホスフェ
ート)チタネート、イソプロピルトリアクリルチタネー
ト、イソプロピルトリ(N,N−ジメチルエチルアミ
ノ)チタネート、イソプロピルトリアントラニルチタネ
ート、イソプロピルオクチル,ブチルパイロホスフェー
トチタネート、イソプロピルジ(ブチル,メチルパイロ
ホスフェート)チタネート、テトライソプロピルジ(ジ
ラウロイルホスファイト)チタネート、ジイソプロピル
オキシアセテートチタネート、イソステアロイルメタク
リルオキシアセテートチタネート、イソステアロイルア
クリルオキシアセテートチタネート、ジ(ジオクチルホ
スフェート)オキシアセテートチタネート、4−アミノ
ベンゼンスルホニルドデシルベンゼンスルホニルオキシ
アセテートチタネート、ジメタクリルオキシアセテート
チタネート、ジクミルフェノレートオキシアセテートチ
タネート、4−アミノベンゾイルイソステアロイルオキ
シアセテートチタネート、ジアクリルオキシアセテート
チタネート、ジ(オクチル,ブチルパイロホスフェー
ト)オキシアセテートチタネート、イソステアロイルメ
タクリルエチレンチタネート、ジ(ジオクチルホスフェ
ート)エチレンチタネート、4−アミノベンゼンスルホ
ニルドデシルベンゼンスルホニルエチレンチタネート、
ジメタクリルエチレンチタネート、4−アミノベンゾイ
ルイソステアロイルエチレンチタネート、ジアクリルエ
チレンチタネート、ジアントラニルエチレンチタネー
ト、ジ(ブチル,メチルパイロホスフェート)エチレン
チタネート、チタンアリルアセトアセテートトリイソプ
ロポキシド、チタンビス(トリエタノールアミン)ジイ
ソプロポキシド、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−
2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキ
シドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタン
ジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、
チタンメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリイ
ソプロポキシド、チタンメチルフェノキサイド、チタン
オキシドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラブ
トキシドなどが挙げられる。
【0025】有機鉄化合物としては、ジベンゾイルメタ
ン鉄(II)、トロポロン鉄、トリストロポロノ鉄(III
)、ヒノキチオール鉄、トリスヒノキチオロ鉄(II
I)、アセト酢酸エステル鉄(III )、鉄(III)ベンゾ
イルアセトネート、鉄(III)2,4−ペンタンジオネ
ート、鉄(III)トリフルオロペンタンジオネートなど
が挙げられる。
【0026】有機銅化合物としては、サリチルアルデヒ
ド銅(II)、銅(II)アセチルアセトネート、サリチル
アルデヒドイミン銅、コウジ酸銅、ビスコウジャト銅
(II)、トロポロン銅(II)、ビストロポロノ銅(I
I)、ビス(5−オキシナフトキノン−1,4)銅、ビ
ス(1−オキシアントラキノン)ニッケル、アセト酢酸
エステル銅、サリチルアミン銅、o−オキシアゾベンゼ
ン銅、銅(II)ベンゾイルアセテート、銅(II)エチル
アセトアセテート、銅(II)メタクリルオキシエチルア
セトアセテート、銅(II)メトキシエトキシエトキシ
ド、銅(II)2,4−ペンタンジオネート、銅(II)
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオ
ネートなどが挙げられる。
【0027】有機亜鉛化合物としては、亜鉛N,N−ジ
メチルアミノエトキシド、亜鉛2,4−ペンタンジオネ
ート、亜鉛2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘ
プタンジオネートなどが挙げられる。
【0028】その他の有機金属化合物として、コバルト
(III)2,4−ペンタンジオネート、サリチルアルデ
ヒドコバルト、o−オキシアセトフェノンニッケル、ビ
ス(1−オキシキサントン)ニッケル、ピロメコン酸ニ
ッケル、サリチルアルデヒドニッケル、アリルトリエチ
ルゲルマン、アリルトリメチルゲルマン、アンモニウム
トリス(オキザレート)ゲルマネート、ビス[ビス(ト
リメチルシリル)アミノ]ゲルマニウム(II)、カルボ
キシエチルゲルマニウムセスキオキシド、シクロペンタ
ジエニエルトリメチルゲルマン、ジ−n−ブチルジアセ
トキシゲルマン、ジ−n−ブチルジクロロゲルマン、ジ
メチルアミノトリメチルゲルマン、ジフェニルゲルマ
ン、ヘキサアリルジゲルマノキサン、ヘキサエチルジゲ
ルマノキサン、ヘキサフェニルジゲルマノキサン、ヘキ
サメチルジゲルマン、ヒドロキシゲルマトラン水和物、
メタクリルオキシトリエチルゲルマン、テトラアリルゲ
ルマン、テトラ−n−ブトキシゲルマン、テトライソプ
ロポキシゲルマン、テトラ−n−ブチルゲルマン、トリ
−n−ブチルアセトキシゲルマン、テトラ−n−トリル
ゲルマン、トリエチルゲルマン、トリエチルメトキシゲ
ルマン、トリフェニルゲルマン、ビニルトリエチルゲル
マン、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネー
ト)スズ、アリルトリ−n−ブチルスズ、ビス(2−エ
チルヘキサノエート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキ
シスズ、カルシウム2,4−ペンタンジオネート、セリ
ウム(III)2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウ
ム2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウム(III)
テノイルトリフルオロアセトネート、インジウム2,4
−ペンタンジオネート、マンガン(II)2,4−ペンタ
ンジオネート、マンガン(III)2,4−ペンタンジオ
ネートなどが挙げられる。
【0029】これらの具体例のうち、特に好ましく用い
られる有機金属化合物としては、中心金属がアルミニウ
ム、鉄(III)、またはチタンで、有機置換基がアセチ
ルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)、3,
5−ヘプタンジオネート、2,2,6,6−テトラメチ
ル−3,5−ヘプタンジオネート、エチルアセトアセテ
ート、ベンゾイルアセトネート、イソプロポキシド、n
−ブトキシドからなる化合物などが挙げられる。一つの
金属に対して、有機置換基が1種単独であってもよい
し、異種のものが2種以上配位あるいは結合していても
よい。
【0030】これら(B)有機金属化合物は単独でも使
用できるし、2種以上を混合して使用することもでき、
その含有量は、感熱層の架橋度や版材の感度の面から、
下記に述べる(C)活性水素含有化合物100重量部に
対して1〜200重量部が好ましく、5〜150重量部
がさらに好ましい。
【0031】(C)活性素含有化合物としては水酸基含
有化合物、カルボキシル基含有化合物およびその無水
物、1級および2級アミンなどが挙げられる。これらの
(C)活性水素含有化合物は、有機金属化合物との架橋
結合の数により、感熱層の耐溶剤性や、版材の感度に影
響を与えるので2官能以上のものが好ましい。
【0032】(C−1)水酸基含有化合物 フェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含
有化合物の何れも本発明に用いることができる。フェノ
ール性水酸基含有化合物として、ヒドロキノン、カテコ
ール、グアヤコール、クレゾール、キシレノール、ナフ
トール、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラ
ヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールS、レゾール樹脂、フェノールホルムアルデヒ
ドノボラック樹脂、レゾルシンベンズアルデヒド樹脂、
ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシスチレンの重合
体およびその共重合体、ロジン変性フェノール樹脂、ア
ニリン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹
脂、リグニン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノ
ール樹脂などが挙げられる。アルコール性水酸基含有化
合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘ
キサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、
デカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、5−
ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1,2−
ジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオー
ル、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパ
ン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビ
タン、ポリビニルアルコール、セルロースおよびその誘
導体、エポキシ(メタ)アクリレートおよびその重合体
(あるいは共重合体)、エポキシ樹脂の反応物、ロジン
変性マレイン酸樹脂と多官能水酸基化合物とのエステル
化物、ポリ(メタ)アクリル酸と多官能水酸基含有化合
物とのエステル化物などが挙げられる。
【0033】(C−2)カルボキシル基含有化合物 アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ケイ皮酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、アンジェリカ酸、チグリン
酸、エライジン酸、アトロパ酸等のエチレン性不飽和モ
ノカルボン酸の重合体(あるいは共重合体)、タルトロ
ン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、酒
石酸、リンゴ酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、ピン酸、
ホモピン酸、シクロヘキサン二酢酸、アントラキノンジ
カルボン酸、クエン酸、フタル酸などの飽和ジカルボン
酸およびその無水物、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、ムコン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボ
ン酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無
水物およびその重合体(あるいは共重合体)、ロジン変
性マレイン酸樹脂などが挙げられる。これらの多官能カ
ルボン酸はポリオールと反応させてポリエステルとして
もよい。1官能のものでも水酸基やアミンを有していれ
は用いることができる。このような化合物として、トロ
パ酸、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、サリチル
酸、バニリン酸、マンデル酸、プロトカテク酸、没食子
酸、ベンジル酸などの様なヒドロキシカルボン酸、アン
トラニル酸、アミノ安息香酸、アミノ酪酸、アミノカプ
ロン酸、アミノカプリル酸やなどのようなアミノカルボ
ン酸が挙げられる。これらヒドロキシカルボン酸および
アミノカルボン酸は脱水縮合させて、ポリマー化したも
のを用いてもよい。
【0034】これら(C)活性水素含有化合物は、単独
でも用いることができるし、同種あるいは異種の化合物
を複数併用して用いてもよい。その含有量は全感熱層組
成物に対して5〜80重量%が好ましく、より好ましく
は20〜60重量%である。含有量が5重量%よりも少
ないと印刷版の感度が低下し、80重量%よりも多いと
印刷版の耐溶剤性が低下しやすい。
【0035】さらに本発明では、感熱層中に(D)シリ
ル基含有化合物を含有させる事が好ましい。感熱層中に
(D)シリル基含有化合物を含有させることによって、
感熱層と下層の基板や断熱層との接着性が高められるだ
けでなく、上層のシリコーンゴム層との接着性が安定し
て発現し、高い耐刷性が得られる。本発明で言う(D)
シリル基含有化合物は一般式(II)で表される構造を
有する化合物である。 −SiRn(3-n) ・・・(II) (式中、nは0〜3の整数であり、Rはアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わされ
た基を示し、それらはハロゲン原子、イソシアネート
基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ
基、アリーロキシ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカ
プト基等の官能基を置換基として有していてもよい。X
は水素原子、水酸基 アルコキシ基、アシルオキシ基、
ケトオキシム基、アミド基、アミノオキシ基、アミノ
基、アルケニルオキシ基などの官能基を示している。) 上記式(II)で示される構造の具体例としては、アル
コキシシリル基、アセトキシシリル基、オキシムシリル
基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ト
リフェニルシロキシ基等がある。これらの中ではアルコ
キシシリル基、アセトキシシリル基、オキシムシリル基
が好ましい。
【0036】本発明に用いられる(D)シリル基含有化
合物は、さらに、水酸基、アミノ基、不飽和基、メルカ
プト基、エポキシ基などの官能基を有することが好まし
く、特に水酸基、不飽和基を有することが好ましい。こ
のような官能基は、シリコーンゴム層と感熱層との接着
性発現、感熱層と基板あるいは断熱層との接着性発現、
感熱層中での架橋構造の形成などに利用することができ
るためである。シリコーンゴム層と感熱層との接着性発
現に利用できる反応の具体例としては、例えば、感熱層
中の水酸基と縮合型シリコーンゴム架橋剤の反応、感熱
層中の不飽和基と付加型シリコーンゴムのSiH基の反
応、感熱層中の水酸基と付加型シリコーンゴムのSiH
基の反応などが挙げられる。感熱層中での架橋構造の形
成に利用できる反応の具体例としては、例えば、感熱層
中の水酸基とポリイソシアネート、エポキシ樹脂、ポリ
アミンおよびアミン誘導体、ポリカルボン酸およびカル
ボン酸クロライドなどのカルボン酸誘導体、有機金属化
合物との反応、不飽和基とポリチオール化合物によるエ
ン・チオール付加、不飽和基の熱または光ラジカル重合
などが挙げられる。
【0037】これら(D)シリル基含有化合物は単独あ
るいは数種混合で用いられ、これらの含有量は全感熱層
組成物に対して1〜30重量%が好ましく、より好まし
くは2〜25重量%である。含有量が1%より少ないと
耐刷性向上の効果が小さく、30%よりも多いと版材の
感度が低下しやすい。
【0038】感熱層はさらに、耐刷性や耐溶剤性を向上
させるために、(E)バインダーポリマーを含有するこ
とが推奨される。(E)バインダーポリマーとしては、
有機溶剤に可溶でかつフィルム形成能のあるものであれ
ば特に限定されないが、印刷版の耐刷性の観点から感熱
層の柔軟性付与のため、該ポリマーのガラス転移温度
(Tg)が20℃以下のポリマー、コポリマー、さらに
好ましくはガラス転移温度が0℃以下のポリマー、コポ
リマーを用いることが好ましい。(E)バインダーポリ
マーの具体例としては、公知のビニルポリマー類、未加
硫ゴム、ポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエス
テル類、ポリウレタン類、ポリアミド類などが挙げられ
る。
【0039】これらの(E)バインダーポリマーは単独
あるいは数種混合で用いられ、これらの含有量は、全感
熱層組成物に対して5〜70重量%が好ましく、より好
ましくは10〜50重量%である。含有量が5%よりも
少ないと耐刷性や塗液の塗工性に問題が生じやすく、7
0重量%よりも多いと画像再現性に悪影響を与えやす
い。
【0040】以上の組成物に加えて、感熱層には必要に
応じ、染料、酸、レベリング剤、界面活性剤、発色剤、
可塑剤等を任意に添加してもよい。
【0041】上記の感熱層を形成するための組成物は、
ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、ジオキサン、トルエン、キシレン、酢
酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミ
ル、プロピオン酸メチル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールジエチルエーテル、アセトン、メタノール、エタノ
ール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ジア
セトンアルコール、ベンジルアルコール、酪酸ブチル、
乳酸エチルなどの適当な有機溶剤に溶解させることによ
って組成物溶液として調製される。かかる組成物溶液を
基板上に均一に塗布し必要な温度で必要な時間熱硬化す
ることにより、感熱層が形成される。
【0042】これら感熱層の膜厚は0.1g/m2から
10g/m2が好ましく、より好ましくは0.2g/m2
から5g/m2である。膜厚が0.1g/m2よりも薄い
場合は耐刷性が低下し易く、また10g/m2よりも厚
い場合には、経済的見地から不利となるため、上記の範
囲が特に好ましい。
【0043】次に、シリコーンゴム層について説明す
る。最上層のシリコーンゴム層としては、従来の水なし
平版のシリコーン組成物が全て使用できる。このような
シリコーンゴム層は線状オルガノポリシロキサン(好ま
しくはジメチルポリシロキサン)をまばらに架橋するこ
とにより得られるものであり、代表的なシリコーンゴム
層は、次式(III)に示されるような繰り返し単位を
有するものである。 (−SiR2−O)n− ・・・(III) (ここでnは2以上の整数である。Rは炭素数1〜10
のアルキル、アリール、あるいはシアノアルキル基であ
る。全体のRの40%以下がビニル、フェニル、ハロゲ
ン化ビニル、ハロゲン化フェニルであり、Rの60%以
上がメチル基であるものが好ましい。また鎖末端もしく
は側鎖の形で分子鎖中に少なくとも一つ以上の水酸基を
有する。)。
【0044】本発明の印刷版に適用するシリコーンゴム
層の場合には次に示すような縮合型の架橋を行うシリコ
ーンゴム(RTV、LTVシリコーンゴム)を用いるこ
とができる。このようなシリコーンゴムとしてはオルガ
ノポリシロキサン鎖のRの一部がHに置換されたものが
使用できるが、通常下記式(IV)、(V)および(V
I)で表される末端基どうしの縮合によって架橋され
る。これにさらに過剰の架橋剤を存在させる場合もあ
る。 HO−SiR2−O− ・・・(IV)
【0045】
【化1】
【0046】 (CH3−CO−O)n−SiR(3-n)−O− ・・・(VI) (上記式(IV),(V),(VI)において、Rは式
(III)と同様のものを示し、R4、R5は1価の低級
アルキル基を示す。nは1〜3までの整数である。) このような縮合型の架橋を行うシリコーンゴムを使用す
る際には、スズ、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガンなど
の金属カルボン酸塩、例えばラウリン酸ジブチルスズ、
スズ(II)オクトエート、ナフテン酸塩など、あるい
は塩化白金酸のような触媒を添加するのが好ましい。
【0047】シリコーンゴム層には、これらの組成物の
他に、アルケニルトリアルコキシシランなどの公知の接
着性付与剤を添加することや、縮合型シリコーンゴム層
の組成物である水酸基含有オルガノポリシロキサン、加
水分解性官能基含有シラン(もしくはシロキサン)を添
加することも任意であり、またゴム強度を向上させる目
的で、シリカなどの公知充填剤を添加することも任意で
ある。
【0048】さらに、本発明においては、上述の縮合型
シリコーンゴムの他に、付加型のシリコーンゴムを用い
ることも可能である。付加型のシリコーンゴムとして
は、下記に示すようにSi−H結合を有するハイドロジ
ェンポリシロキサンとCH=CH結合を有するビニルポ
リシロキサンを白金系の触媒で架橋硬化させたものが好
ましく用いられる。 (1)1分子中にケイ素原子に直接結合したアルケニル
基(好ましくはビニル基)を少なくとも2個有するオル
ガノポリシロキサン:100重量部 (2)1分子中に少なくともSiH基を2個有するオル
ガノハイドロジェンポリシロキサン:0.5〜1000
重量部 (3)付加触媒:0.001〜15重量部。
【0049】成分(1)のアルケニル基は分子鎖末端、
中間のいずれにあっても良く、アルケニル基以外の有機
基としては置換もしくは非置換のアルキル基、アリール
基である。成分(1)は水酸基(SiH基)を微量有し
ていてもよい。成分(2)は成分(1)と反応してシリ
コーンゴム層を形成するが、感熱層に対する接着性の付
与の役割も果たす。成分(2)の水素基は分子鎖末端、
中間のいずれにあってもよく、水素以外の有機基として
は成分(1)と同様のものから選ばれる。成分(1)と
成分(2)の有機基はインキ反発性の向上の点で総じて
基数の60%以上がメチル基であることが好ましい。成
分(1)および(2)の分子構造は直鎖状、環状、分枝
状のいずれでもよく、どちらか少なくとも一方の分子量
が1000を超えることがゴム物性の面で好ましく、さ
らに成分(2)の分子量が1000を超えることが好ま
しい。また、成分(2)のハイドロジェンシロキサンは
成分(1)のビニル基との架橋によってシリコーンゴム
を硬化させるだけでなく、感熱層中のビニル基や水酸基
と反応してシリコーンゴム層と感熱層とを接着させる。
そのため、成分(1)のビニル結合の1当量に対して、
成分(2)のSi−Hは過剰に含んでいることが必要
で、具体的には1.5〜30当量含有することが好まし
い。
【0050】成分(1)としては、α,ω−ジビニルポ
リジメチルシロキサン、両末端メチル基の(メチルビニ
ルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体などが
例示され、成分(2)としては、両末端水素基のポリジ
メチルシロキサン、α,ω−ジメチルポリメチルハイド
ロジェンシロキサン、両末端メチル基の(メチルハイド
ロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合
体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサンなどが例
示される。成分(3)の付加触媒は、公知のもののなか
から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が好まし
く、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位
白金などが例示される。
【0051】シリコーンゴム層には、これらの組成物の
硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビニ
ル)シロキサンなどのビニル基含有のオルガノポリシロ
キサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテルなどの架橋抑制
剤を添加することも可能である。これら(1)〜(3)
の成分からなる組成物は、3成分を混合した時点におい
て付加反応が起き、硬化が始まるが、硬化速度は反応温
度が高くなるに従い急激に大きくなる特徴を有する。故
に、組成物の硬化条件は、基板、感熱層の特性が変わら
ない範囲の温度条件で、かつ完全に硬化するまで高温に
保持しておくことが、感熱層との接着力の安定性の面で
好ましい。
【0052】これらの組成物の他に、感熱層との接着性
を向上させる目的で前述の公知のシランカップリング剤
を添加することも有効である。これ以外にも、縮合型シ
リコーンゴム層の組成物である水酸基含有オルガノポリ
シロキサン、加水分解性官能基含有シラン(もしくはシ
ロキサン)を添加することも任意であり、またゴム強度
を向上させる目的で、シリカなどの公知の充填剤を添加
させることも任意である。
【0053】シリコーンゴム層の膜厚は0.5〜50g
/m2が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10g/
2である。膜厚が0.5g/m2よりも小さい場合に
は、印刷版のインキ反撥性が低下しやすく、50g/m
2よりも大きい場合には、経済的見地から不利である。
【0054】さらに、基板について説明する。本発明で
使用する印刷版の基板としては、寸法的に安定な板状物
が用いられる。このような寸法的に安定な板状物として
は、従来印刷版の基板として使用されたものが含まれ、
それらを好適に使用することが出来る。かかる基板とし
ては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレンなど)、亜鉛、銅、アルミニウ
ムなどのような金属板、例えばセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、セルロースアセテート、ポリエチレ
ン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチ
レン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニル
アセテートなどのようなプラスチックフィルム、上記の
如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプ
ラスチックフィルムなどが含まれる。これらの基板のう
ち、アルミニウム板は寸法安定性に優れており、しかも
安価であるので特に好ましい。また、軽印刷用の基板と
して用いられている、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムも好ましく使用される。
【0055】次に、断熱層について説明する。本発明で
使用する直描型水なし平版印刷版は、照射されたレーザ
ーによる熱を基板に逃すことを防ぐため、基板と感熱層
の間に断熱層を設けることが効果的である。基板と感熱
層との接着を強固にするために従来用いられてきたプラ
イマー層をそのまま断熱層として用いても良い。本発明
で使用する直描型水なし平版印刷版原版の断熱層は、次
の条件を満たすことが重要である。すなわち、基板と感
熱層とを良く接着し、経時において安定であること、さ
らに現像液の溶剤に対する耐性がよいことである。
【0056】このような条件を満たすものとして、特公
昭61−54219号公報に示されるようなエポキシ樹
脂を含むものの他、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂、メラニン樹脂、尿素樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、レゾール樹脂、ポリエーテ
ル樹脂、エポキシフェノール尿素樹脂、ポリエーテルス
ルフォン樹脂、ミルクカゼイン、ゼラチンなどを使用す
ることができる。これらの樹脂は単独あるいは二種以上
混合して用いることができる。また感熱層と類似の組成
物を光または熱硬化したものを使用しても良い。これら
のなかでは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ア
クリル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、エポキシフェノ
ール尿素樹脂、レゾール樹脂などを単独で、あるいは二
種以上混合して用いることが好ましい。これらのポリマ
ーの含有量は全断熱層の組成物に対して、20〜98重
量%が好ましく、より好ましくは40〜95重量%であ
る。
【0057】また、断熱層中には溶剤耐性を付与するた
めに架橋剤を含有させることが好ましい。架橋剤として
は、上記の樹脂、例えばエポキシ樹脂とアミノ樹脂(尿
素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)の
組み合わせでも可能であるが、それ以上にイソシアネー
ト化合物と水酸基含有化合物に組み合わせも可能であ
る。
【0058】そのようなイソシアネート化合物として
は、例えばパラフェニレンジイソシアネート、2,4−
または、2,6−トルイレンジイソシアネート(TD
I)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)、トリレンジイソシアネート(TODI)、キシ
リレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシリレン
ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、
メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)、リジン
ジイソシアネート(LDI)(別名2,6−ジイソシア
ネートメチルカプロレート)、水素化MDI(別名4,
4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
ト))、水素化TDI(別名メチルシクロヘキサン2,
4(2,6)−ジイソシアネート)、水素化XDI(別
名1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサ
ン)、イソホロンジイソシアネート(IPI)、ジフェ
ニルエーテルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート(TMDI)、テトラメチルキシ
リレンジイソシアネート、ポリメチレンフェニルイソシ
アネート、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ト
リフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシ
アネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチル
キシリレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソ
シアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネ
ート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネート
メチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソ
シアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなど
や、ポリイソシアネート類の高アルコールアダクト体、
あるいはポリイソシアネート類の重合体が挙げられる。
また上記のイソシアネート化合物をメチルエチルケトオ
キシム、フェノール、ε−カプロラクタムなどでブロッ
クしたブロックドイソシアネートも同様に使用できる。
これらのイソシアネート化合物と反応できる、水酸基を
有する化合物としては例えばエポキシ樹脂、フェノール
樹脂、レゾール樹脂、水酸基含有ポリウレタン、アクリ
ル樹脂、水酸基含有モノマーまたはオリゴマーが挙げら
れる。これらの架橋剤の含有量は全断熱層組成物に対し
て10〜60重量%が好ましく、より好ましくは20〜
50重量%である。
【0059】さらにこれらの反応を促進する触媒として
酸や有機スズ化合物などを添加したり、塗工性を改良す
る目的で、界面活性剤を添加することも任意である。
【0060】また印刷版の露光部は感熱層が一部剥離し
て断熱層の色相が露出することがあるため、この断熱層
中に染料、顔料などの添加剤を含有させて検版性を向上
させることが好ましい。この場合の染料、顔料は感熱層
と異なる色相であれば、どのようなものでも使用できる
が、緑色、青色、紫色系の染料および顔料が好ましい。
【0061】上記の断熱層を形成するための組成物は、
ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、ジオキサンなどの適当な有機溶剤に溶
解させることによって組成物溶液として調達される。か
かる組成物溶液を基板上に均一に塗布し必要な温度で必
要な時間加熱することにより、断熱層は形成される。
【0062】断熱層の厚さは被膜層にして0.5〜50
g/m2が好ましく、より好ましくは1〜10g/m2
ある。厚さが0.5g/m2よりも薄いと基板表面の形
態欠陥および化学的悪影響の遮断効果に劣り、50g/
2よりも厚いと経済的見地から不利となるので上記の
範囲が好ましい。
【0063】さらに、カバーフィルムについて説明す
る。以上説明されたように構成された水なし平版印刷版
原版の表面のシリコーンゴム層を保護するなどの目的
で、シリコーンゴム層の表面にプレーンまたは凹凸処理
した薄い保護フィルムをラミネートしたり、特開平5−
323588号公報に記載の現像溶媒に溶解するよう
な、ポリマー塗膜を形成することも可能である。特に、
保護フィルムをラミネートした場合には、保護フィルム
上からレーザー露光を行い、その後保護フィルムを剥離
することによって印刷版上にパターンを形成する、いわ
ゆる剥離現像を行うことによって印刷版を形成すること
も可能である。
【0064】以下、本発明で使用する水なし平版印刷版
原版の製造方法について説明する。基板上にリバースロ
ールコーター、エアーナイフコーター、メーヤバーコー
ターなどの通常コーターあるいはホエラーのような回転
塗布装置を用い、必要に応じて断熱層組成物を100〜
300℃で数分間熱硬化した後、感熱層組成物塗液を塗
布、50〜180℃で数分間熱硬化し、シリコーンゴム
層組成物塗液を塗布、50〜200℃の温度で数分間処
理してゴム硬化させて形成する。その後、必要に応じて
保護フィルムをラミネートするか、あるいは保護層を形
成する。
【0065】このようにして得られた直描型水なし平版
印刷版原版を、保護フィルムを剥離してから、または保
護フィルム上からレーザーで像様に照射する。
【0066】露光には通常レーザー光が使用されるが、
この時の光源としては発信波長が300nm〜1500
nmの範囲にあるArイオンレーザー、Krイオンレー
ザー、He−Neレーザー、He−Cdレーザー、ルビ
ーレーザー、ガラスレーザー、半導体レーザー、YAG
レーザー、チタンサファイアレーザー、色素レーザー、
窒素レーザー、金属蒸気レーザーなどの種々のレーザー
が使用できる。なかでも半導体レーザーは、近年の技術
的進歩により、小型化し、経済的にも他のレーザー光源
よりも有利であるので好ましい。
【0067】上記の方法でレーザーを照射した直描型水
なし平版印刷版は、下記する現像処理を経て、印刷に適
する水なし平版印刷版となる。
【0068】本発明で使用する現像方法は、(1)レー
ザー照射部のシリコーンゴム層を膨潤させ、感熱層を膨
潤あるいは一部を溶解させる前処理工程、および(2)
レーザー照射部のシリコーンゴム層を剥離させる現像工
程からなる。必要に応じて上記(1)、(2)の後に、
(3)画線部の感熱層を染色液で染色する後処理工程や
(4)処理液や染色液を完全に洗い落とす水洗工程を加
えてもよい。
【0069】(1)前処理工程 前処理工程は、所定温度に保持した処理液中に、一定時
間だけ版を浸漬させる工程である。レーザーを照射する
と、その部位においてなんらかの変性(感熱層の分解物
が生じたり、感熱層の耐溶剤性が変化するなど)を起こ
す。レーザーの照射エネルギーが大きければ、前処理工
程を経ずに、そのまま現像工程に進んでも、レーザー照
射部のシリコーンゴム層を剥離させることは可能であ
る。しかし、照射エネルギーが小さい場合には、感熱層
の変性が小さいため、現像工程のみでレーザー照射のO
N/OFFを感知することは難しく、現像不能となりや
すい。この場合の印刷版のパターン形成に必要なエネル
ギーは大きなものとなり、版の感度は低くなってしま
う。また、あまり大きなエネルギーのレーザーを照射す
ると、感熱層は破壊され、現像後には感熱層が残存しに
くくなり、先に述べた印刷時の不利を被ることになる。
そこで、レーザー照射のON/OFFの差を増幅し、低
エネルギーの照射部の現像を行うためには、処理液で版
を処理する工程が必要となる。
【0070】処理液中に版を浸漬させると、処理液はシ
リコーンゴム層中に浸透し、やがて感熱層表面にまで到
達する。照射部の感熱層はその上部において、熱分解物
が生じていたり、あるいは処理液に対する溶解性が向上
していたりするので、感熱層表面は処理液によって膨潤
するかあるいは一部溶解する。この状態で印刷版面を軽
く擦ると、照射部のシリコーンゴム層は感熱層の表面ご
と剥離し、下層の感熱層は露出してインキ着肉層とな
る。一方、未照射部の感熱層は処理液に対して不溶ある
いは難溶なため、感熱層と強力に接着しているシリコー
ンゴム層は、強く擦っても剥がれない。このようにし
て、未照射部のシリコーンゴム層は現像されることな
く、この部分がインキ反撥層となり、水なし平版印刷版
の画像形成がなされる。
【0071】このような機構によって印刷版の高感度化
が行われるため、処理液の選択は重要である。感熱層の
溶解能が高い処理液を用いると、未照射部のシリコーン
ゴム層が剥離し、その度合いによっては感熱層までもが
現像されてしまう。一方、感熱層の溶解能が低い処理液
を用いると、照射部のシリコーンゴム層さえも現像する
事ができず、印刷版の高感度化は果たされない。
【0072】下記一般式(I)で示されるグリコール化
合物あるいはグリコールエーテル化合物は、本発明の感
熱層に対し、照射部のみに優れた溶解性(以後これを選
択的溶解性とよぶ)を示す。すなわち、本発明の直描型
水なし平版印刷版原版には、下記一般式(I)で表され
るグリコール化合物あるいはグリコールエーテル化合物
を処理液として使用することが重要であり、かかるグリ
コール化合物あるいはグリコールエーテル化合物は処理
液として良好な性能を有している。 R2O(−CHR1−CH2−O)n3 ・・・(I) (ここで、R1は水素原子あるいは炭素数1〜5のアル
キル基を示し、R2およびR3は水素原子あるいは炭素数
1〜15のアルキル基を示し、nは1〜12の整数であ
る。)。
【0073】概して、グリコール化合物に比べると、グ
リコールエーテル化合物の方が感熱層に対する溶解能は
高い。よって、両者の中で適当な化合物を選択するか、
両者を混合することによって、感熱層の硬化具合の異な
る版材に対して、最適な選択的溶解性を有する処理液を
得ることができる。処理液としての効果は、感熱層の選
択的溶解性だけでなく、シリコーンゴム層の膨潤能も加
味される。シリコーンゴム層が膨潤すると、シリコーン
ゴムを剥がしやすくなるため、たとえ感熱層の溶解性が
低い処理液でも現像しやすくなる。ただし、シリコーン
が膨潤しすぎると現像時に擦り傷が付きやすくなるの
で、適当な範囲にとどめる必要がある。具体的には、シ
リコーンゴムの膨潤率が30%以下のものが好ましく、
さらに好ましくは10%以下である。グリコール化合物
によるシリコーンゴム層の膨潤率はほぼ0%であり、ほ
とんどシリコーンゴム層を膨潤させないので、単に感熱
層の選択的溶解性のみが処理液としての適性に影響す
る。一方、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド
などの繰り返し単位が少なく、R2やR3にある程度長い
直鎖の官能基を導入すると、シリコーンゴム層の膨潤能
が高くなる。グリコールモノエーテルとグリコールジエ
ーテルとでは、ジエーテルの方が、シリコーンゴムの膨
潤能が一般的に高い。このような場合には、感熱層の選
択的溶解性とシリコーンゴムの膨潤能の両者を考慮して
処理液の設計を行う。
【0074】グリコール化合物として、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブチレングリコール
(1,2−ブタンジオール)、2,3−ブタンジオー
ル、n=2〜12のポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールが挙げられる。これらのグリコール化
合物は単独あるいは2種以上混合して用いることができ
る。これらの中で、選択的溶解性の面から、n=2〜4
であるジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリ
コールが処理液として好ましく用いられる。
【0075】グリコールエーテル化合物として、上記グ
リコール化合物のモノアルキルエーテルおよびジアルキ
ルエーテルが挙げられる。R2やR3のアルキル基とし
て、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル
基、ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、ヘプチ
ル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチ
ルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル
基、ドデカニル基が挙げられる。好ましく用いられるグ
リコールエーテル化合物としては、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトー
ル)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(プ
ロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ
2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコール
メチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノ2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコー
ルジメチルエーテル(トリグライム)、トリエチレング
リコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコー
ルジエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメ
チルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テ
トラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラ
エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、テト
ラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライ
ム)、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテ
ル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシル
エーテル、ジプロピレングリコールモノ2−エチルヘキ
シルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプ
ロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピ
レングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、テト
ラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピ
レングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレ
ングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレング
リコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリ
コールモノ2−エチルヘキシルエーテルが挙げられる。
【0076】上記一般式(I)で表されるグリコール化
合物あるいはグリコールエーテル化合物の処理液中の含
有量は、50重量%〜100重量%が好ましく、70重
量%〜95重量%がより好ましい。50重量%より少な
いと感熱層の選択的溶解性に劣るため画像を再現するこ
とが困難になる。
【0077】また、本発明で使用する処理液には、アミ
ン化合物を共存させてもよい。アミン化合物は選択的溶
解性には劣るが、感熱層の溶解能が高いため、高感度化
の目的で、処理液中に副成分として加えてもよい。
【0078】アミン化合物として、エチレングリコール
アミン、ジエチレングリコールアミン、トリエチレング
リコールアミン、テトラエチレングリコールアミン、プ
ロピレングリコールアミン、ジプロピレングリコールア
ミン、トリプロピレングリコールアミンのようなグリコ
ールアミン化合物や、メチルアミン、エチルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミ
ルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミ
ルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、メ
チルジエチルアミン、エチレンジアミン、トリメチレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、ポリエチレンイミ
ン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミ
ン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジプロ
リルベンジルアミン、o−、またはm−、p−メトキ
シ、またはメチルベンジルアミン、N,N−ジ(メトキ
シベンジル)アミン、β−フェニルエチルアミン、γ−
フェニルプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、アニ
リン、モノメチルアニリン、ジメチルアニリン、トルイ
ジン、αまたはβナフチルアミン、o−、またはm−、
またはp−フェニレンジアミン、アミノ安息香酸、2−
(2−アミノエチル)エタノール、2−アミノ−2−メ
チル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3
−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチ
ル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0079】アミン化合物の処理液中の含有量は、25
重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好まし
い。25重量%より多いと、感熱層に対する溶解力がか
なり強くなるため、画線部のシリコーンゴム層のみでな
く、非画線部まで剥離しやすくなるため、画像を再現す
ることが困難になる。
【0080】また処理液中には、必要に応じて、水、ア
ルコール類、カルボン酸類、エステル類、脂肪族炭化水
素類(ヘキサン、へプランなど)、脂肪族炭化水素類
(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類
(トリクレンなど)を添加してもよい。また、現像時に
版面を擦るときに、傷が入るのを防止するために、処理
液中に硫酸塩、燐酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩な
どの界面活性剤を加えてもよい。
【0081】処理液の温度により、感熱層に対する溶解
能やシリコーンゴム層に対する膨潤能が変化するので、
液温度は一定に保持する必要がある。液温度は任意でよ
いが、10℃〜50℃が好ましい。
【0082】(2)現像工程 前処理により、レーザー照射部では、感熱層表面が膨潤
あるいは一部溶解しているため、選択的にシリコーンゴ
ム層が剥がれやすくなっている。本発明では、水を用い
て版面を擦ることにより現像を行うことが好ましい。処
理液は親水性のグリコール化合物を主成分としているた
め、印刷版に浸透している処理液を水で洗い落とすこと
ができるためである。水による現像は排液の点からも最
も好ましい。温水や水蒸気を版面に噴射することによっ
ても現像を行ってもよい。現像性を上げるために、水に
処理液を加えたものを現像液として用いてもよい。現像
液の温度は任意でよいが、10℃〜50℃が好ましい。
【0083】(3)後処理工程 現像により画線部が形成され、現像の確認を容易にする
ために染色液で染色する後処理工程を設けてもよい。本
発明の染色液に用いられる染料としては、塩基性染料、
酸性染料、直接染料、分散染料、および反応性染料など
の中から単独で、あるいは2種以上のものを混合して用
いることができる。なかでも、水溶性の塩基性染料およ
び酸性染料が好ましく用いられる。
【0084】塩基性染料としては、”クリスタルバイオ
レット”、”エチルバイオレット”、”ビクトリアピュ
アブルー”、”ビクトリアブルー”、”メチルバイオレ
ット”、”DIABACIS MAGENTA”(三菱化学(株)
製)、”AIZEN BASIC CYANINE 6GH”(保土ヶ谷化学工
業(株)製)、”PRIMOCYANINE BX CONC.”(住友化学
(株)製)、”ASTRAZON BLUE G”(FARBENFARRIKEN BA
YER製)、”DIACRYL SUPRA BRILLIANT 2B”(三菱化学
(株)製)、”AIZEN CATHILON TURQUOISE BLUE LH”
(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”AIZEN DIAMOND GREE
N GH”(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”AIZEN MALACH
ITE GREEN”(保土ヶ谷化学工業(株)製)などが用い
られる。
【0085】酸性染料としては、”ACID VIORET 5B”
(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”KITON BLUE A”(CI
BA製)、”PATENT BLUE AF”(BASF製)、”RAKUTO BRI
LLIANTBLUE FCF”(洛東化学工業(株)製)、”BRILLI
ANT ACID BLUE R”(GEIGY 製)、”KAYANOL CYANINE 6
B”(日本化薬(株)製)、”SUPRANOL CYANINE G”(F
ARBENFARRIKEN BAYER製)、”ORIENT SOLUBLE BLUE OB
B”(オリエント化学工業(株)製)、”ACID BRILLIAN
T BLUE 5G”(中外化成(株)製)、”ACID BRILLIANT
BLUE FFR”(中外化成(株)製)、”ACID GREEN GBH”
(高岡化学工業(株)製)、”ACID BRILLIANT MILLING
GREEN B”(保土ヶ谷化学工業(株)製)などが用いら
れる。
【0086】これら染料の染色液中の含有量は、0.0
1重量%〜10重量%が好ましく、0.1重量%〜5重
量%がより好ましい。
【0087】本発明に用いられる染色液の溶媒として
は、水、アルコール類、グリコール類、グリコールモノ
アルキルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類
が用いられ、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合
して用いられる。グリコール類、グリコールモノアルキ
ルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類は処理
液としての効果を有するので、仮に現像工程でレーザー
照射部のシリコーンゴム層が現像できず付着していて
も、後処理工程で現像させることもできる。
【0088】その他、染色助剤、有機酸、無機酸、消泡
剤、可塑剤、界面活性剤を任意に添加してもよい。
【0089】染色液の温度は任意でよいが、10℃〜5
0℃が好ましい。また、現像液中に上記染料を添加して
おいて、現像と同時に画像部の染色化を行うこともでき
る。
【0090】(4)水洗工程 版面に処理液が浸透したままになっていると、経時によ
り非画線部のシリコーンゴム層が剥離しやすくなる場合
があるため、処理液や染色液を版面から完全に洗い落と
す水洗工程を設けてもよい。水洗水の温度は任意でよい
が、10℃〜50℃が好ましい。
【0091】これまで述べてきた工程による現像方法と
しては、手による現像でも自動現像装置による現像のど
ちらでも良い。手による現像では、これらの処理液およ
び現像液を順次不織布、脱脂綿、布、スポンジなどに含
浸させて版面を拭き取ることによって行うことが出来
る。自動現像装置を用いる場合には、前処理部、現像部
および後処理部がこの順に設けられているものが好まし
い。場合によっては後処理部の後方にさらに水洗部が設
けられていてもよい。このような自動現像機としては東
レ(株)製のTWL−1160、TWL−650、ある
いは特開平4−2265号や特開平5−2272号、特
開平5−6000号などに開示されている現像装置が挙
げられる。
【0092】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 [実施例1]厚さ0.15mmの脱脂したアルミ板上に
下記の断熱層の組成物をバーコーターを用いて塗布し、
200℃で2分間乾燥し、膜厚3g/m2 の断熱層を塗
布した。 断熱層の組成物: (1)“カンコート”90T−25−3094(エポキ
シ・フェノール樹脂、関西ペイント(株)製):90重
量部および(2)“ショウノール”BKS−327(レ
ーゾル樹脂、昭和電工(株)製):10重量部からなる
固形分を固形分濃度14.0wt%で(1)ジメチルホ
ルムアミド単独溶媒に希釈した組成物。
【0093】続いてこの上に下記の感熱層1の組成物を
バーコーターを用いて塗布し、120℃で30秒間乾燥
し、膜厚1.0g/m2 の感熱層を設けた。 感熱層1の組成: (1)“KAYASORB”IR−820B(ポリメチ
ン系色素、日本化薬(株)製):10重量部、(2)
“ナーセム”チタン(チタニウムビスアセチルアセトネ
ートジブトキシド、日本化学産業(株)製):15重量
部、(3)“スミライトレジン”PR50622(フェ
ノールノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):50
重量部、(4)“サンプレン”IB−114B(水酸基
含有ポリウレタン樹脂 三洋化成工業(株)製):22
重量部および(5)γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン:3重量部からなる固形分を固形分濃度14.0w
t%で、(1)テトラヒドロフラン:85重量部および
(2)ジメチルホルムアミド:15重量部の混合溶媒に
希釈した組成物。
【0094】続いてこの上に下記の組成を有するシリコ
ーンゴム層組成物をバーコーターを用いて塗布し、12
5℃で1分間乾燥し、膜厚2g/m2 のシリコーンゴム
層を設けた。 シリコーンゴム層の組成物: (1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(分子
量約60,000):100重量部、(2)HMS−5
01(両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサ
ン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基数/分
子量= 0.69 mol/g、チッソ(株)製):7重量部、
(3)“BY24−808”(反応抑制剤、東レ・ダウ
コーニングシリコーン(株)製):3重量部、(4)
“SRX−212”(白金触媒、東レ・ダウコーニング
シリコーン(株)製、):5重量部および(5)ビニル
トリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン:3重量
部からなる固形分を固形分濃度10.0wt%で(1)
“アイソパー”E(エクソン化学(株)製):単独溶媒
に希釈した組成物。
【0095】上記のようにして得られた積層板に、厚さ
8μmのポリプロピレンフィルム“トレファン”BO
(東レ(株)製)をカレンダーローラーを用いてラミネ
ートし、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0096】「画像再現性の評価」このようにして得ら
れた直描型水なし平版印刷版原版から“トレファン”を
剥離し、FX400−AP(製版機、東レエンジニアリ
ング(株)製)の装着し、半導体レーザー(波長:830
nm、ビーム直径:20μm)を用いて、イメージ照射
を行った。この時、レーザーの出力を、400 mJ/cm2(0
点)から、300 mJ/cm2(1点)、250 mJ/cm2(2点)、
210 mJ/cm2(3点)、180 mJ/cm2(4点)、150 mJ/cm2
(5点)、120 mJ/cm2(6点)まで変化させてレーザー
を照射した。
【0097】続いて、TWL−860KII(水なし平版
印刷版用自動現像装置、東レ(株)製)を用いて上記イ
メージ照射済みの版の現像を行った。この際、自動現像
機の前処理槽には下記の<処理液1>を、現像槽には<
現像液1>を、後処理槽には水を入れた。処理液の温度
は40℃に、現像液の温度は30℃に維持した。処理速
度は120cm/分(処理液浸漬時間は30秒)とし
た。
【0098】なお、実施例で用いる処理液1〜6の組
成、現像液1〜2の組成、および後処理液である染色液
の組成を以下にまとめて記す。
【0099】<処理液1>の組成 (1)トリエチレングリコール:92重量部 (2)“ニューポール”LB−285(ポリプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、分子量約1200、三
洋化成工業(株)製):8重量部 <処理液2>の組成 (1)トリエチレングリコール:85重量部 (2)ジエチレングリコール2−エチルヘキシルエーテ
ル:14重量部 (3)“シノリン”SO−35(2−エチルヘキシル硫
酸ナトリウム、40%水溶液、アニオン性界面活性剤、
新日本理化(株)製):1重量部 <処理液3>の組成 (1)トリエチレングリコール:72重量部 (2)ジエチレングリコール2−エチルヘキシルエーテ
ル:10重量部 (3)ジエチレングリコールジメチルエーテル:10重
量部 (4)純水:8重量部 <処理液4>の組成 (1)ジエチレングリコール:80重量部 (2)ジグリコールアミン:15重量部 (3)“シノリン”SO−35(2−エチルヘキシル硫
酸ナトリウム、40%水溶液、アニオン性界面活性剤、
新日本理化(株)製):1重量部 (4)純水:4重量部 <処理液5>の組成 (1)ポリプロピレングリコール(分子量約200):
85重量部 (2)“ニューポール”LB−285(ポリプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、分子量約1200、三
洋化成工業(株)製):15重量部 <処理液6>の組成 (1)トリエチレングリコール:50重量部 (2)ジエチレングリコールジメチルエーテル:42重
量部 (3)“ニューポール”LB−285(ポリプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、分子量約1200、三
洋化成工業(株)製):8重量部。
【0100】<現像液1>の組成 (1)純水:単独 <現像液2>の組成 (1)トリエチレングリコール:3重量部 (2)純水:97重量部。
【0101】<染色液>の組成 (1)クリスタルバイオレット(塩基性染料、保土谷化
学工業(株)製):0.10重量部 (2)Brilliant Basic Cyanine 6GH(塩基性染料、保
土谷化学工業(株)製):0.40重量部 (3)“シノリン”SO−35(2−エチルヘキシル硫
酸ナトリウム、40%水溶液、アニオン性界面活性剤、
新日本理化(株)製):5.00重量部 (4)“ニューコール”723(ポリエチレングリコー
ルフェニルエーテル、6.60%水溶液、ノニオン性界
面活性剤、日本乳化剤(株)製):0.84重量部 (5)ジエチレングリコールモノブチルエーテル:10
重量部 (6)ジプロピレングリコール:5重量部 (7)KS−502(消泡剤、信越化学工業(株)
製):0.002重量部 (8)純水:78.658重量部。
【0102】次にハンドローラーで水なし平版用インキ
(Waterless S、ザ・インテック(株)製、
赤)を、現像済みの版面全面に展開して、インキ着肉性
を調べた。版面を光学顕微鏡で観察し、イメージの画像
再現性を評価すると共に、インキが完全に着肉している
部分をシリコーン層が剥離した部分と判断し、レーザー
の出力が最低の部分の点数で版の感度を示す。本実施例
では4点と高感度であった。また、この結果を表1に示
す(以下全実施例、比較例の結果も併せて示す)。さら
に、得られた印刷版を枚葉オフセット印刷機「HAMA
DA RS34L」(ハマダ印刷機械(株)製)に取り
付け、水なし平版用インキ(ドライオカラーNSI、
藍、大日本インキ化学工業(株)製)を使用して上質紙
(62.5kg/菊)に印刷したところ、2〜98%画像を忠
実に再現した印刷物が得られた。
【0103】[実施例2〜5]実施例1で得られた直描
型水なし平版印刷版に対して、自動現像機の前処理槽中
に<処理液1>の代わりにそれぞれ上記<処理液2>〜
<処理液5>を入れた以外は実施例1とすべて同様に
「画像再現性」の評価を行った。表1に示すとおり、版
の感度は4〜6点と高感度であった。実施例1と同様
に、それぞれの現像済みの印刷版を用いて印刷したとこ
ろ、それぞれ2〜98%画像を忠実に再現した印刷物が
得られた。
【0104】[実施例6]実施例1で得られた直描型水
なし平版印刷版に対して、自動現像機の現像槽中に<現
像液1>の代わりに上記<現像液2>を入れ、後処理槽
中に水の代わりに上記<染色液>を入れた以外は実施例
1とすべて同様に画像再現性の評価を行った。表1に示
すとおり、版の感度は5点と高感度であった。現像液が
水である実施例1に比べて、処理液の主成分であるトリ
エチレングリコールを少量含有する水を現像液として用
いることにより、より高感度に(4点が5点に)なっ
た。また、実施例1と同様に、この現像済みの印刷版を
用いて印刷したところ、2〜98%画像を忠実に再現し
た印刷物が得られた。
【0105】[比較例1]実施例1で得られた直描型水
なし平版印刷版に対して、自動現像機の前処理槽中に<
処理液1>の代わりに水を入れた以外は実施例1とすべ
て同様に画像再現性の評価を行った。版の感度は1点と
低く、画像を再現するには高エネルギー(300 mJ/cm2
上)を要することになり、製版効率は悪い。
【0106】[比較例2〜4]実施例1で得られた直描
型水なし平版印刷版に対して、自動現像機の前処理槽中
に、<処理液1>の代わりに下記の<処理液7>〜<処
理液9>を入れた以外は実施例1とすべて同様に「画像
再現性」の評価を行った。
【0107】<処理液7> (1)グリコールアミン:95重量部 (2)水:4重量部 (3)“シノリン”SO−35(2−エチルヘキシル硫
酸ナトリウム、40%水溶液、アニオン性界面活性剤、
新日本理化(株)製):1重量部 <処理液8> (1)テトラヒドロフラン:単独 <処理液9> (1)“アイソパー”E(エクソン化学(株)製):単
独。
【0108】<処理液7>を用いた比較例2、および<
処理液8>を用いた比較例3では、レーザー照射/未照
射に関係なく印刷版全面のシリコーンゴム層が剥離して
しまい、画像を再現することができなかった。さらに
は、レーザー照射部の感熱層が完全に剥離し、下層の断
熱層が露出していた。<処理液9>を用いた比較例4で
は、版の感度は3点とある程度の高感度化がはかれた
が、非画線部のシリコーンゴム層表面に擦りキズが多数
付いており、印刷版としては好ましくなかった。
【0109】[実施例7]実施例1において、感熱層の
組成物を以下に示す感熱層2のものに代えた以外は全て
同様に版材を作製した。 感熱層2の組成物: (1)“KAYASORB”IR−820B(ポリメチ
ン系色素、日本化薬(株)製):10重量部、(2)
“ナーセム”チタン(チタニウムビスアセチルアセトネ
ートジブトキシド、日本化学産業(株)製):15重量
部、(3)“テスポール”1150(ロジン変性マレイ
ン酸樹脂、日立化成ポリマー(株)製):45重量部、
(4)“サンプレン”LQ−T1331(ポリウレタン
樹脂、三洋化成工業(株)製):27重量部および
(5)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン:3重量
部からなる固形分を固形分濃度11.0wt%で、
(1)ジメチルホルムアミド:10重量部、(2)エチ
ルセロソルブ:50重量部および(3)メチルエチルケ
トン:40重量部の混合溶媒に希釈した組成物。
【0110】この版に対し、実施例1と同様の「画像再
現性」の評価を行ったのだが、自動現像機の前処理槽に
は上記の<処理液6>を、現像槽には<現像液1>を、
後処理槽には<染色液>を入れた。表1に示すとおり、
版の感度は4点と高感度であった。実施例1と同様に、
この現像済みの印刷版を用いて印刷したところ、2〜9
8%画像を忠実に再現した印刷物が得られた。
【0111】[実施例8]実施例7において、現像槽中
に<現像液1>に代えて<現像液2>を入れて、画像再
現性の評価を行った。表1に示すとおり、版の感度は5
点と高感度であった。現像液が水である実施例7に比べ
て、処理液の主成分であるトリエチレングリコールを少
量含有する水を現像液として用いることにより、より高
感度に(4点が5点に)なった。また、実施例1と同様
に、この現像済みの印刷版を用いて印刷したところ、2
〜98%画像を忠実に再現した印刷物が得られた。
【0112】[比較例5]実施例7において、前処理槽
中に<処理液6>に代えて水を入れて、画像再現性の評
価を行った。版の感度は1点と低く、画像を再現するに
は高エネルギー(300 mJ/cm2以上)を要することにな
り、製版効率は悪かった。
【0113】
【表1】
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、感熱層残存型の直描型
水なし平版印刷版の高感度化が達成された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B41N 1/14 B41N 1/14 Fターム(参考) 2H025 AA01 AA02 AB04 AC08 AD03 CC11 CC20 DA03 FA12 FA17 2H084 AA30 AA32 BB01 CC05 2H096 AA13 BA09 CA20 EA04 FA05 GA08 2H097 AA03 CA17 FA10 HB05 2H114 AA04 AA24 AA28 BA02 DA04 DA38 DA47 DA59 DA62 EA02 GA34 GA38

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも感熱層、シリコーンゴ
    ム層を順次有する直描型水なし平版印刷版の製造方法に
    おいて、レーザーを像様照射した水なし平版印刷版を、
    下記一般式(I)で示されるグリコール化合物あるいは
    グリコールエーテル化合物を1種以上含有する処理液に
    浸漬した後、現像液であるいは処理液を含有する現像液
    で現像することを特徴とする直描型水なし平版印刷版の
    製造方法。 R2O(−CHR1−CH2O)n−R3 ・・・(I) (ここで、R1は水素原子あるいは炭素数1〜5のアル
    キル基を示し、R2およびR3は水素原子あるいは炭素数
    1〜15のアルキル基を示し、nは1〜12の整数であ
    る。)
  2. 【請求項2】感熱層が(A)光熱変換物質、(B)有機
    金属化合物および(C)活性水素含有化合物を含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の直描型水なし平版印刷
    版の製造方法。
  3. 【請求項3】処理液が、さらにアミン化合物を1種以上
    含有することを特徴とする請求項1記載の直描型水なし
    平版印刷版の製造方法。
  4. 【請求項4】現像液が水であることを特徴とする請求項
    1記載の直描型水なし平版印刷版の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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