JP4117034B2 - 浄水器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は有機物、赤錆等を含む被処理水を濾過体で濾過する浄水器に係り、より詳しくは、濾過体を収納してなる濾過容器を作動させて原水吐出/浄水吐出を切り換えることができるようにした浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、中空糸膜等の濾過膜や活性炭等の吸着剤を用いてなる濾過体によって、水道水を浄水濾過する浄水器が、消費者の飲料水に対する質向上の要求を満たすものとして、急速にその需要を拡大しつつある。
このような浄水器は、水道水を飲料水として用いるために濾過体を通して浄水処理を行なう他、例えば食器洗いに用いる場合など浄水濾過を必要としない場合には、水道水を濾過体を通さず、そのまま原水として吐出することができるように、流路を選択的に切り換えるための切換弁を備えている。
浄水器の形態としては、主として据置型浄水器と蛇口直結型浄水器とがある。据置型浄水器は切換弁と濾過体とが別体となっており、蛇口に切換弁を取り付けるとともに、これとホース等で連結されている濾過体を流し台上に置いて使用するようになっている。また蛇口直結型浄水器は切換弁と濾過体とが一体化された構造となっており、この一体化された浄水器本体が水道の蛇口に直接取り付けられるようになっている。
【0003】
図7は従来の切換弁の一例を示す図である。図7において符号1は弁本体、2は弁本体1中央に垂直に形成された水路を示す。符号3は筒部であり、水路2に対してパッキン4で押圧された状態で、水平方向の軸線を中心として回動可能に設けられ、内部に水路が形成されるとともにその外周部に複数の開口部5,6,12が軸線に対して非対称となる位置に形成されいる。符号7は筒部3を回動させるためのコック、8は前記弁本体1を蛇口に装着するための回転リング、9は弁本体1の下部中央に形成され前記開口部5と連通するストレート用流出口、10は弁本体1の下部にストレート用流出口に近接して形成され前記開口部6と連通するシャワー用流出口である。また、前記弁本体1の下端部には環状のシャワーキャップ(図示せず)を螺合するためのネジ部11が形成されている。
また、弁本体1の側壁には開口部12と連通する濾過用流出口が形成されており、この濾過用流出口は濾過体を収納した濾過容器と、直接にあるいは給水ホースを介して連通している。
【0004】
この切換弁では、コック7により前記筒部3を水平方向の軸線を中心として所定の方向に回動させ、該筒部3の開口部5をストレート用流出口9と連通させると、蛇口から流出する原水は、水路2、筒部3内の水路および開口部5を経由してストレート用流出口9から下方に流出する。
また、コック7により前記筒部3をさらに所定の方向に回動させ、該筒部3の開口部6をシャワー用流出口10と連通させると、蛇口から流出する原水は、水路2、筒部3内の水路および開口部6を経由してシャワー用流出口10から下方に流出し図示しないシャワーキャップよりシャワー状に流出する。
同様にコック7を所定の方向に回動させて、前記筒部3の開口部12を濾過用流出口(図示せず)に連通させると、蛇口から流出する原水は、水路2、筒部3内の水路および開口部12を経由して濾過用流出口から濾過容器へ供給され、そこで浄水処理される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような構造を有する従来の浄水器にあっては、切換弁による流路切換はコックを操作して行われるが、コックは比較的小さい形状に作られており、手指に石鹸が付着している場合やゴム手袋を装着している場合には、コックを操作しづらいという不具合があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、流路切換の操作を容易に行なうことができるようにし、使い勝手を向上させた浄水器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1の浄水器は、濾過体を収容してなり、浄水流出口を有する濾過容器と、上記濾過体により浄水濾過された浄水の吐水と上記濾過体を経由しない原水の吐水とを切り換える切換弁とからなり、
上記濾過容器が上記切換弁に対して着脱自在に設けられ、
上記切換弁には、円柱状の回転体が回動可能に設けられ、
上記回転体の内部には、回転体の回転軸に沿っては、上記濾過容器に原水を導入する濾過用水路のみが一本設けられており、
上記切換弁の切換操作を、上記濾過容器の回動で行なうようにしたものである。
【0007】
【作用】
本発明の浄水器によれば、流路の切換を行なう際には、従来のコックに比べて大きい形状の濾過容器を作動させればよいので、操作が容易である。
また濾過容器を切換弁に着脱自在に取り付けると、長時間の使用により濾過体の濾過性能が低下した場合には、濾過容器を新しいものに容易に交換できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明を詳しく説明する。図1は本発明の浄水器の一実施例を示す縦断面図であり、図2は底面図である。この浄水器は切換弁24に濾過容器37が着脱自在かつ摺動しながら回動可能に取り付けられてなるものである。
切換弁24上部中央には垂直方向に水路25が形成されている。この切換弁24の上部には水路25と流通するように蛇口が取り付けられるようになっており、そのために蛇口シール用パッキン23、蛇口取付用アダプター21、および回転リング22が設けられている。切換弁24の下部中央には原水流出口29が設けられており、下端部にはシャワーキャップ30が螺合されている。また切換弁24側部には拡径部24aが形成され、拡径部24aの端部は開口されている。
【0009】
切換弁24内には、円柱状の回転体26が水平方向の軸線を中心として回動可能に設けられている。回転体26の側面には、水路25と連通する開口部27a、水路25と開口部27aとが連通した状態で原水流出口29と連通する開口部27b、および水路25と開口部27aとが連通していない状態で水路25と連通する濾過用開口部28aが形成されている。また回転体26の一端には濾過用流出口28bが形成されており、回転体26内に上記濾過用開口部28aと濾過用流出口28bとを連通させる濾過用水路32が設けられている。この濾過用水路32が形成された回転体26端部は上記切換弁24の拡径部24a内に同軸的に配されている。
また拡径部24a内に配された回転体26端部の外周面には、該回転体26の長手方向に沿う複数の係合溝26aが形成されている。
【0010】
一方濾過容器37は、その内部中央部に、固定材45によって固定され、筒状の仕切壁内に収納された濾過膜層44が設けられており、該仕切壁の外側に焼結フィルター40および吸着剤層41が配されている。濾過容器37の底面には浄水流出口47が設けられ、濾過容器37の側面下部には流入口38が開口されている。また濾過容器37の側面であって上記流入口38の周囲には、濾過容器37の側面から突出する筒状のガイド36が設けられている。そしてガイド36の端縁部周上には、濾過容器37の長手方向を垂直方向とした場合の上部および下部に、外方に突出する2つの突起36aが設けられている。
またガイド36の内周面には上記回転体26外周面の係合溝26aに係合する突条36bが設けられている。
【0011】
濾過容器37は切換弁24の拡径部24a内にガイド36を挿入した状態で、この切換弁24と着脱自在かつ摺動しながら回動可能に取り付けられている。
拡径部24aの開口部の内側には図3に示すような環状のガイド押え板35が取り付けられている。ガイド押え板35は貫通孔48を有し、この貫通孔48はガイド36の端面の外形と同じ形状に形成されている。そして貫通孔48には、ガイド36の端縁部に設けられている突起36aが挿通されるキー溝48aが左右両側に設けられている。また拡径部24a内において、回転体26の周上には、中心に回転体26の外径と同じ径の貫通孔を有する円板状の押え板33が固定されている。また回転体26には上記押え板33に隣接して、図4に示すような板ばね板34が環装されている。この板ばね板34の上記押え板33と接する面には図5に示すような複数の板ばね突起部49が設けられている。
【0012】
そして、濾過容器37のガイド36の突起36aがガイド押え板35のキー溝48aに位置合わせされた状態で、ガイド36を水平方向に押し込むことによってガイド36の端部が拡径部24a内に挿入される。このとき、ガイド36の端面によって板ばね板34が押え板33の方へ押し付けられ、板ばね突起部49が強制的に弾性変形される。このように板ばね突起部49が付勢された状態で濾過容器37をガイド押え板35表面と平行な面内において90度回動させることによって濾過容器37を切換弁24に取り付けることができる。
このように濾過容器37が切換弁24に取り付けられた状態で、ガイド36内周面の突条36bと、回転体26外周面の係合溝26aとが係止されている。したがって、濾過容器37を上記取付時と同じ方向へさらに摺動しながら回動させると、この濾過容器37の回動に伴って回転体26がその水平軸を回転軸として回動するようになっている。
【0013】
このような浄水器は、切換弁24の上部を上水道の蛇口(図示せず)に直結させて用いられる。まず蛇口を蛇口取付用アダプター21に挿通させた状態で、該蛇口の先端面をパッキン23に同軸的に当接させ、この状態で回転リング22をその周方向へ回転させて締結することにより、蛇口に浄水器を取り付けることができる。また回転リング22を前記締結時と逆方向に回転させると、浄水器を蛇口から容易に取り外すことができる。
図6(a)は浄水吐水時の浄水器を示した側面図である。図6(a)に示されるように、濾過容器37の長手方向が垂直となっており、濾過容器37の底面に形成された浄水流出口47が下向きとなっている状態で、蛇口から吐出された水道水(原水)は、水路25から切換弁24内に導入され、水路25に連通する回転体26の濾過用開口部28aから濾過用水路32を通って濾過容器37の流入口38に送られる。濾過容器37内に流入した原水は、原水室39から焼結フィルター40を通過し、ここで粗ゴミ等が取り除かれる。焼結フィルター40を通過した水は吸着剤層41を通過することによってカルキ臭やカビ臭等が吸着除去される。そして、水は仕切り板42を通過して仕切り室43に流入した後、濾過膜層44を通過することによって微粒子、鉄錆、細菌等が除去されて、浄水集水室46に浄水が集められる。そして浄水は濾過容器37の底面に形成されている浄水流出口47から吐出される。
【0014】
一方、原水を吐水させる場合には、図6(b)に示すように濾過容器37を回転体26の水平軸を回転軸として、回転体26の径方向に平行な面内において摺動しながら回動させて、濾過容器37の長手方向が切換弁24の垂直軸に対して任意の角度(例えば45度)となるように傾ける。この濾過容器37の回動に伴って切換弁24の回転体26がその水平軸を中心に回動して、開口部27aと水路25とが連通し、開口部27bと原水流出口29とが連通した状態となる。また回転体26が上記のように回動したとき、濾過用開口部28aは該回転体26の外周面と接するシール材(図示せず)により封止され、原水は濾過用水路32へ流れないようになっている。
この状態で蛇口から吐出された原水は、水路25から切換弁24内に導入され、水路25に連通する開口部27aから回転体26内を通過し、開口部27bおよびこれに連通する原水流出口29へ送られ、シャワーキャップ30のシャワー流出孔31からシャワー状に吐出される。
【0015】
尚、本実施例において原水はシャワー流出孔31から流出されるようになっており、ストレート用流出口についてはその説明を省略しているが、図1の構成に、さらに図7に示したようなストレート用流出口およびこれに原水を送るための流路切換機構を付加できるのは言うまでもない。
また、本発明の浄水器における切換機構は上記実施例に限られるものではない。例えば図示はしないが、瀘過容器37を切換弁24の垂直軸を中心とした円周方向に回動させることによって流路を切り換える切換機構とすることもできる。
【0016】
本実施例の浄水器にあっては、濾過容器37を手にとりそれを45度傾けることによって、原水吐出および浄水吐出の切換を容易に行なうことができる。したがって、従来は流路を切り換えるためのコックが切換弁の外側に設けられていたが、これを設ける必要がなく、浄水器の構成部品点数の削減、コストダウン、コンパクト化を実現することができる。
ここで、濾過容器37を回動させることによって2つ以上の流路の切換を行なう場合、濾過容器37の回動は、1回の切換について30〜80度の範囲で行なうようにするのが望ましい。
【0017】
また濾過容器37は切換弁24に着脱自在に取り付けられており、濾過容器37内の焼結フィルター40、吸着剤層41および濾過膜層44からなる濾過体を交換する際に、濾過容器37を交換単位として着脱交換することができる。
濾過容器37を切換弁24に取り付ける際には、濾過容器37のガイド36の突起36aをガイド押え板35のキー溝48aに位置合わせした状態で、ガイド36を水平方向に押し込み、濾過容器37をガイド押え板35表面と平行な方向に90度回動させる。取り付けられた状態で濾過容器37に当接する板ばね板34の板ばね突起部49は、濾過容器37の回転止め、脱落防止の機能を果たす。また濾過容器37を切換弁24からとりはずす際には、ガイド36を水平方向に押し込んで板ばね突起部49を強制的に弾性変形させた状態で、濾過容器37を取付時と逆方向へ90度回動させて、ガイド押え板35のキー溝48aからガイド36の突起36aをはずせばよい。
【0018】
あるいは濾過容器37は交換せずに、濾過容器37内の濾過体のみをカートリッジ式に形成しておき、このカートリッジを交換単位とすることもできる。この場合は例えば濾過容器37を本体と着脱自在な蓋部とで構成し、蓋部を開けて濾過容器37内部のカートリッジを入れ換えるようにしておけばよい。
尚、濾過容器37の切換弁24への取付は、着脱自在な取付方法であれば、ジョイント方式、カプラ方式、バイオネット方式、ネジ固定方式、カギ穴方式等、各種の周知の手法を用いることができる。
また本実施例において、濾過容器37のガイド36と切換弁24の回転体26とは、突条36bと係合溝26aとによって係止されているが、これらの係止手段は本実施例に限らず、濾過容器37と回転体26とが連動して回動する係止手段であれば各種の手法を用いることができる。
また濾過容器37を切換弁24に着脱自在とせずに、濾過容器37と回転体26とを固着してもよい。この場合は、濾過容器37を本体と蓋部とで構成し、蓋部を開けて濾過容器37内部の濾過体を交換できるようにする必要がある。
【0019】
また上記実施例において、浄水器の濾過体として、焼結フィルター40、吸着剤層41および濾過膜層44が用いられているが、本発明の浄水器はこれに限られるものではない。
焼結フィルター40は原水中の粗いごみや鉄錆などを濾過除去するためのもので、これ以外にも不織布、金属またはプラスチックのネット等、適宜の濾材を使用することができる。
また吸着剤層41は、ここを通過する原水のカルキ臭、カビ臭、有機物質、金属イオン等を除去するもので、このような吸着剤としては、例えば、粒状活性炭、粉状活性炭、繊維状活性炭、イオン交換樹脂、亜硫酸カルシウム、あるいは前記吸着剤の混合物、または組み合わせたものを使用することができる。
濾過膜層44としては、平膜、中空糸膜等の濾過膜を有するものであれば、従来公知の各種構造のものが使用できる。また濾過膜としては、細菌類等の通過を阻止することができ、1kg/cm2の水圧で1リットル/m2・min以上の透過率を有するものが好ましい。この濾過膜としては、例えば、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリスルフォン系、ポリビニルアルコール系等の各種材料を挙げることができる。
また濾過体としては、吸着剤層のみからなるもの、吸着剤層と濾過膜層を組み合わせたもの、濾過膜層のみからなるもの、上記の濾材と他の濾材を組み合わせたものなど使用することができる。
【0020】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、各種の切換機構を有する切換弁を用い、該切換弁の切換操作を瀘過容器の作動で行えるようにして、本発明の浄水器を構成することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の浄水器によれば、流路の切換を行なう際には、従来のコックに比べて大きい形状の濾過容器を作動させればよいので、操作が容易である。したがって、手指に石鹸が付着している場合やゴム手袋を装着している場合にも切換が容易であり、手指に限らず腕の一部で操作することも可能となる。また従来のコックを設ける必要がなくコンパクト化を測ることができるとともに、浄水器を構成する部品点数が減少しコストダウンにつながる。
また濾過容器を切換弁に着脱自在に取り付けると、長時間の使用により濾過体の濾過性能が低下した場合には、濾過容器を新しいものに容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浄水器の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】 図1の浄水器の底面図である。
【図3】 図1の浄水器に用いられるガイド押え板を示す平面図である。
【図4】 図1の浄水器に用いられる板ばね板を示す平面図である。
【図5】 図4の板ばね板の断面図である。
【図6】 図1の浄水器の使用状態を示す側面図であり、(a)は浄水吐水時、(b)は原水吐水時をそれぞれ示したものである。
【図7】 従来の浄水器に用いられる切換弁の例を示した一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
24 切換弁
29 原水流出口
37 濾過容器
47 浄水流出口
Claims (1)
- 濾過体を収容してなり、浄水流出口を有する濾過容器と、上記濾過体により浄水濾過された浄水の吐水と上記濾過体を経由しない原水の吐水とを切り換える切換弁とからなり、
上記濾過容器が上記切換弁に対して着脱自在に設けられ、
上記切換弁には、円柱状の回転体が回動可能に設けられ、
上記回転体の内部には、回転体の回転軸に沿っては、上記濾過容器に原水を導入する濾過用水路のみが一本設けられており、
上記切換弁の切換操作を、上記濾過容器の回動で行なうようにしたことを特徴とする浄水器。
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