JP2590724Y2 - 浄水器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は水道水を濾過するための
浄水器、特に家庭用の浄水器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、水栓の蛇口に直接取り付け、水道
水を簡便に濾過できる浄水器が一般家庭で使用されてい
る。この方式の浄水器の場合、浄水器本体と浄水器本体
に対して着脱可能な濾過部とを備え、原水を浄水器本体
を介して濾過部の流入口へ供給し、濾過部で濾過した
後、濾過水を濾過部の吐出口から浄水器本体を介して吐
出するようになっている。ところで、従来の濾過部の構
造は、外装ケース内にフィルタユニットを収容するとと
もに、外装ケースの開口部に蓋部材を固着し、この蓋部
材の中央部に吐出口を設けるとともに、吐出口の外周部
に複数個の流入口を設けた構造となっている。したがっ
て、流入口から入った原水は濾過部の外周部から流入
し、濾過された後の浄水は中心部の吐出口から吐出され
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記のように外装ケー
スに吐出口を有する蓋部材を固着した場合、吐出口の位
置が外装ケースに対して一定しているため、外装ケース
を浄水器本体に装着する際に水漏れ等の不具合が発生す
る場合がある。即ち、浄水器本体には外装ケースと螺合
するねじ嵌合部と、吐出口と嵌合する受け口とが設けら
れているが、外装ケースと浄水器本体との間の水漏れを
防止するため、吐出口と受け口との間、および外装ケー
スと浄水器本体のねじ嵌合部との間が確実にシールされ
なければならない。しかしながら、浄水器本体の受け口
とねじ嵌合部との位置関係やねじ嵌合の寸法には多少の
バラツキが発生することがあり、少しでもバラツキがあ
れば、外装ケースと吐出口との位置関係が一定している
ため、シール不良となる可能性がある。特に、浄水器は
比較的高い水圧のもとで使用されるため、僅かなシール
不良でも水漏れが生じやすい。従来ではこのようなシー
ル不良に対応するため、寸法吸収代の大きいＶ型パッキ
ンのような特殊なパッキンを使用しているが、この種の
パッキンは高価である。

【０００４】また、従来の濾過部には、濾材として外周
部に活性炭を設け、中心部に中空糸膜を収納したものが
知られており、外周部の流入口から流入した原水は活性
炭で塩素やカビ臭などが除去された後、中空糸膜で濁り
や赤サビ等が除去され、濾過水は中心部の吐出口から吐
出される。この場合、流入口から流入した原水ができる
だけ均等に活性炭や中空糸膜に接触することが望ましい
が、従来の濾過部では活性炭が外装ケースの内面まで一
杯に充填されているため、水圧のアンバランス等によっ
て原水が局部的に偏在して流れることになり、十分な濾
過効果を発揮できなかった。特に、外装ケースの入口付
近に原水が集中して流れるため、外装ケースの奥部の活
性炭や中空糸膜が有効に利用されない欠点があった。

【０００５】そこで、本考案の第１の目的は、浄水器本
体側の吐出口嵌合部と外装ケース嵌合部との位置関係に
多少のバラツキがあっても、このバラツキを吸収して水
漏れを防止できる浄水器を提供することにある。第２の
目的は、原水と濾材との接触面積を大きく取り、濾過効
果を向上させるとともに、濾材を有効利用できる浄水器
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案は、浄水器本体と、浄水器本体に対して着脱
可能な濾過部とを備え、原水を浄水器本体を介して濾過
部の流入口へ供給し、濾過部で濾過した後、濾過水を濾
過部の吐出口から浄水器本体を介して吐出するようにし
た浄水器において、上記濾過部は有底筒形の外装ケース
と、外装ケース内に収納され、濾材を取り付けたフィル
タユニットとを有し、上記吐出口はフィルタユニットの
一端側の中央部に設けられ、この吐出口が上記外装ケー
スの開口端側の中央部に位置し、かつ外装ケースに対し
て半径方向に揺動可能であり、上記流入口は外装ケース
の開口端側でかつ上記吐出口の外周に設けられ、浄水器
本体には、上記吐出口とシール状態で連結される吐出口
連結部と、上記外装ケースとシール状態で連結される外
装ケース連結部とが設けられていることを特徴とする。

【０００７】

【作用】濾過部を浄水器本体に装着するには、濾過部の
吐出口を浄水器本体の吐出口連結部に嵌入し、外装ケー
スを外装ケース連結部に嵌合させる。この時、濾過部の
吐出口は外装ケースに対して半径方向に揺動可能である
から、浄水器本体の吐出口連結部と外装ケース連結部と
の位置関係や寸法に多少のバラツキがあっても、このバ
ラツキを吐出口の揺動によって吸収し、吐出口と吐出口
連結部との間、および外装ケースと外装ケース連結部と
の間をＯリング等の簡単なパッキンで確実にシールでき
る。そのため、Ｖ型パッキンのような高価なパッキンを
使用する必要もない。

【０００８】本考案において、フィルタユニットの他端
部に嵌合部を設け、外装ケースの底部にはフィルタユニ
ットの嵌合部を中心位置に位置決めする位置決め嵌合部
を形成し、フィルタユニットの外周面と外装ケースの内
周面との間に流入口から原水が導入される環状空間を設
けるのが望ましい。この場合、流入口から流入した原水
は環状空間に入り、フィルタユニットの外周面に原水が
均等に接触する。そのため、原水と濾材との接触面積が
従来に比べて格段に広くなり、濾過効果が向上するとと
もに、全ての濾材を有効利用できる。フィルタユニット
を中心方向に通過した濾過水は中央部の吐出口から吐出
される。

【０００９】

【実施例】図１〜図４は本考案にかかる浄水器の一例を
示す。この浄水器は、大略、浄水器本体１と、浄水器本
体１に対して着脱可能な濾過部２とで構成されている。
浄水器本体１の上部には、水栓の蛇口と接続される接続
口３が設けられ、この接続口３には蛇口に密着する環状
パッキン４が配置されている。接続口３の下部には弁室
５が一体に形成されている。弁室５の一端側（図３の左
側）は閉じられており、他端側は開放している。弁室５
の上部には図３に示すように接続口３と連通する流入口
６が形成され、最下部には原水をそのまま下方へ吐出さ
せるための第１出口７が形成されている。また、弁室５
には、上記第１出口７を間にして片側には水平方向に開
口する第２出口８が形成され、反対側には斜め下方へ開
口する第３出口（図示せず）が形成されている。上記流
入口６、第１〜第３出口７，８は同一円周上に設けられ
ている。第２出口８は接続パイプ９，１０（図２参照）
を介して上記濾過部２へ連通しており、第３出口は第１
出口７の周囲に形成されたシャワー室１１を介してシャ
ワー穴１２へ連通している。

【００１０】上記弁室５内には弁体１３が回転可能に挿
入され、弁体１３には、広口の開口部１４と、開口部１
４に対して斜め下方の位置に出口穴１５とが形成され、
開口部１４と出口穴１５とは互いに連通している。開口
部１４は弁体１３の全切換位置において流入口６と相対
するように形成され、濾過水使用時には第２出口８とも
相対する。また、出口穴１５は第１出口７または第３出
口に対応する大きさに形成されている。弁体１３の弁室
５から側方へ突出した軸部１６には、切換レバー１７が
嵌着され、弁室５の開放部側は２重のＯリング１８，１
９によってシールされ、弁室５の内部に入った水が外部
に漏れ出るのを防止している。

【００１１】濾過部２は、図５に示すように、有底円筒
形の外装ケース２０と、外装ケース２０内に収納された
フィルタユニット２１とで構成されている。フィルタユ
ニット２１は略円筒状の樹脂製ホルダ２２を有し、この
ホルダ２２の内部に多数本の中空糸膜２３をＵ字形に折
り曲げた状態で収容してある。中空糸膜２３の開口端部
はホルダ２２の開口部に封止材（図示せず）によって固
着され、中空糸膜２３の外周部から内部に浸透した水だ
けが中空糸膜２３の中を通って開口端から流出するよう
になっている。ホルダ２２の両端部にはフランジ２４，
２４が形成され、これらフランジ２４の間のホルダ２２
の外周部に繊維状活性炭２５を層状に巻き付けてあり、
活性炭２５の内外周は不織布２６で覆われている。フィ
ルタユニット２１の外径は外装ケース２０の内径より小
さく、そのため、フィルタユニット２１と外装ケース２
０との間には環状空間２７が形成されている。上記ホル
ダ２２には多数個の連通口２８が設けられ、活性炭２５
を通過した水が連通口２８を通ってホルダ２２の内部に
入り、中空糸膜２３によって濾過される。外装ケース２
０の底部に面するホルダ２２の一端部は閉じられ、この
端部に嵌合部である凸部２９が一体に形成されている。
この凸部２９は外装ケース２０の底部に形成された凹部
３０に嵌合して中心位置に位置決めされている。また、
ホルダ２２の他端部には吐出口カバー３１がＯリング３
２を介して嵌着され、この吐出口カバー３１の中央部に
は円筒状の吐出口３３が突設されている。中空糸膜２３
で濾過された水は、この吐出口３３から吐出される。

【００１２】外装ケース２０の開口部内面には、上記フ
ィルタユニット２１を抜け止めするケースカバー３４が
Ｏリング３５を介して螺着されている。なお、螺着に加
えてまたは螺着に代えて接着してもよく、その他任意の
方法で固定してもよい。ケースカバー３４の中央部には
上記吐出口３３を遊挿する貫通穴３６が形成され、この
貫通穴３６の外周部には複数の流入口３７が形成されて
いる。なお、ケースカバー３４と吐出口カバー３１との
間には、流入口３７から入った原水中に含まれる大型の
浮遊物を除去するストレーナ３８が配置されている。上
記のように吐出口３３は貫通穴３６に対して遊挿されて
おり、かつ吐出口カバー３１の外周面とケースカバー３
４の内周面との間に隙間δ（図５参照）が設けられてい
るので、吐出口３３は外装ケース２０に対して半径方向
に揺動可能である。ケースカバー３４の端部外周には、
浄水器本体１と螺合する雄ねじ３４ａが形成されてい
る。なお、上記隙間δは、フィルタユニット２１が揺動
した際に外装ケース２０に接触せず、かつ後述する連結
部材４０の雌ねじ４３と受け口４５の位置バラツキや雌
ねじ４３と雄ねじ３４ａとの嵌合バラツキを吸収し得る
寸法に設定される。

【００１３】浄水器本体１には、図２に示すように濾過
部２を着脱可能に装着するための連結部材４０が固定さ
れている。この連結部材４０には、接続パイプ１０の一
端部が接続される連通口４１と、上記ケースカバー３４
の雄ねじ３４ａがＯリング４２を介して螺合される雌ね
じ（外装ケース連結部）４３と、上記吐出口３３がＯリ
ング４４を介して嵌合する受け口（吐出口連結部）４５
とが設けられている。上記連結部材４０には、上記受け
口４５と連通するように透明な吐出管４６が接続されて
おり、この吐出管４６の内部には水量表示計４７が収容
されている。この水量表示計４７は、スプリング４８に
よって受け口４５方向に付勢されており、吐出管４６に
一体形成された窓部４９（図４参照）から表示計４７の
位置を目視することによって、吐出水量を確認できる。

【００１４】上記構成の浄水器において、弁室５から接
続パイプ９，１０を介して送られた原水は、連通口４
１、流入口３７、ストレーナ３８を経て、外装ケース２
０とフィルタユニット２１との間の環状空間２７に入
る。そのため、原水はフィルタユニット２１の外周部に
設けられた活性炭２５に対して全周で接触し、活性炭２
５の層の中を中心方向に通過することによって塩素やカ
ビ臭などが除去され、ホルダ２２の連通口２８を通って
内部空間に入り、内部空間に配置された中空糸膜２３に
よって濁りや赤サビ等が除去された後、吐出口３３から
濾過水が吐出される。 上記のように、流入口３７から
流入した原水が環状空間２７に入るようにしたので、水
圧のアンバランス等があっても、従来のように流入口付
近に原水が偏在して流れず、活性炭２５および中空糸膜
２３と広い面積で接触する。そのため、全ての活性炭２
５および中空糸膜２３によって効率よく濾過できる。

【００１５】ここで、上記濾過部２の交換方法を説明す
る。まず、外装ケース２０（ケースカバー３４）を回し
て浄水器本体１（連結部材４０）の雌ねじ４３から取り
外す。この時、外装ケース２０の開口部にはケースカバ
ー３４が固定されているので、外装ケース２０と一体に
フィルタユニット２１およびケースカバー３４が浄水器
本体１から外れる。そして、新品のフィルタユニット２
１を収容した外装ケース２０を浄水器本体１に取り付け
れば、交換を終了する。上記外装ケース２０を浄水器本
体１に対して螺合する時、浄水器本体１の受け口４５と
雌ねじ４３との位置関係あるいは雌ねじ４３と雄ねじ３
４ａのねじ寸法にバラツキがあると、水漏れ等の不具合
が発生する恐れがある。しかし、吐出口３３は外装ケー
ス２０に対して半径方向に揺動可能であるから、上記バ
ラツキを吐出口３３の揺動によって吸収し、吐出口３３
と受け口４５との間、およびケースカバー３４と雌ねじ
４３との間をＯリング４２，４４で確実にシールでき
る。

【００１６】本考案は上記実施例に限定するものではな
く、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であ
る。例えば、上記実施例では外装ケース２０に対してフ
ィルタユニット２１およびケースカバー３４を一体に固
定した例を示したが、外装ケース２０に対してフィルタ
ユニット２１およびケースカバー３４を着脱可能とし、
フィルタユニット２１のみを交換できるようにしてもよ
い。この場合には、外装ケース２０、ケースカバー３
４、吐出口カバー３１などの部品は共用できるので、非
常に経済的である。また、上記実施例では、フィルタユ
ニット２１の凸部２７を外装ケース２０の凹部２８に嵌
合させて位置決めするようにしたが、これに限らず、例
えば凹凸を逆にしたり、フィルタユニット２１の閉塞側
のフランジ２４を外装ケース２０の内面に当てて中心位
置に保持するようにしてもよい。また、本考案におい
て、外装ケース２０とフィルタユニット２１との間に環
状空間２７を形成することは必須ではなく、フィルタユ
ニット２１の外周面を外装ケース２０の内周面に接触状
態とし、原水をフィルタユニット２１の軸方向に流しな
がら濾過するようにしてもよい。さらに、本考案のフィ
ルタユニットの濾過構造は、外周部に活性炭を取り付
け、内部に中空糸膜を取り付けたものに限らず、濾材も
任意に選定することができる。

【００１７】

【考案の効果】以上の説明で明らかなように、本考案に
よれば、濾過部の吐出口を外装ケースに対して半径方向
に揺動可能としたので、浄水器本体の吐出口連結部と外
装ケース連結部との位置関係に多少のバラツキがあって
も、このバラツキを吐出口の揺動によって吸収し、吐出
口と吐出口連結部との間、および外装ケースと外装ケー
ス連結部との間をＯリング等の簡単なパッキンで確実に
シールできるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる浄水器の一例の一部断面正面図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ線部分断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線部分断面図である。

【図４】図２のＣ−Ｃ線部分断面図である。

【図５】濾過部の断面図である。

【符号の説明】

１ 浄水器本体 ２ 濾過部 ２０ 外装ケース ２１ フィルタユニット ２２ ホルダ ２３ 中空糸膜 ２５ 活性炭 ２７ 環状空間 ２９ 凸部（嵌合部） ３０ 凹部（位置決め嵌合部） ３３ 吐出口 ３４ ケースカバー ３７ 流入口 ４６ 吐出管

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−222188（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−79271（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−163490（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C02F 1/28

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】浄水器本体と、浄水器本体に対して着脱可
   能な濾過部とを備え、原水を浄水器本体を介して濾過部
   の流入口へ供給し、濾過部で濾過した後、濾過水を濾過
   部の吐出口から浄水器本体を介して吐出するようにした
   浄水器において、 上記濾過部は有底筒形の外装ケースと、外装ケース内に
   収納され、濾材を取り付けたフィルタユニットとを有
   し、 上記吐出口はフィルタユニットの一端側の中央部に設け
   られ、この吐出口が上記外装ケースの開口端側の中央部
   に位置し、かつ外装ケースに対して半径方向に揺動可能
   であり、 上記流入口は外装ケースの開口端側でかつ上記吐出口の
   外周に設けられ、 浄水器本体には、上記吐出口とシール状態で連結される
   吐出口連結部と、上記外装ケースとシール状態で連結さ
   れる外装ケース連結部とが設けられていることを特徴と
   する浄水器。
2. 【請求項２】請求項１に記載の浄水器において、 上記フィルタユニットの他端部には嵌合部が設けられ、 外装ケースの底部にはフィルタユニットの嵌合部を中心
   位置に位置決めする位置決め嵌合部が形成され、 上記フィルタユニットの外周面と外装ケースの内周面と
   の間には流入口から原水が導入される環状空間が形成さ
   れていることを特徴とする浄水器。