JP4115827B2 - 洗剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類等の繊維製品の洗浄に好適な、悪臭抑制効果が高い洗剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗濯物を乾燥させる際に、様々な状況によって悪臭が発生するという問題があった。特に、近年、生活環境の変化により、衣類等の洗濯物の乾燥を室内で行ったり、乾燥機を用いたりするようになっているが、このような場合、特に悪臭が発生しやすかった。
【0003】
悪臭の主な発生原因としては、以下のことが考えられる。
1)洗濯後の衣類に、洗濯によって除去しきれなかった汚れが微量に残留しており、これらが雑菌の作用によって分解されていること。
2)衣類に残留している汚れのうち、皮脂等に含まれている不飽和化合物が、自己酸化、あるいは乾燥機等の使用による高温加熱によって酸化し、分解すること。
そこで、洗剤組成物に対し、悪臭を抑制するために漂白剤や抗菌剤、酸化防止剤、酵素等を配合したり、発生した悪臭の消臭のために、香料等のマスキング剤などを配合したりすることが行われている。
しかしながら、これらの成分は、そのまま洗剤組成物中に配合したのでは安定性が悪いという問題があった。例えば抗菌剤は、アルカリ成分を多量に含む洗剤製品中での保存安定性が低く、保存期間中に徐々に劣化が進み、抗菌効果が薄れてくる。
そこで、洗剤組成物中における抗菌剤や香料等の各種成分の保存安定性を向上させるために、これらの成分を粘土鉱物に担持させて配合することが提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−194899号公報
【特許文献2】
特開平10−212489号公報
【特許文献3】
特開平10−60482号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、粘土鉱物に担持させることにより、各種成分の保存安定性は向上するものの、悪臭を抑制する効果は十分なものではなかった。特に、洗濯物を室内で干したり、乾燥機を用いたりして乾燥させる場合に、悪臭防止効果が十分に得られなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、洗濯後の乾燥方法にかかわらず、衣類等の繊維製品の悪臭抑制効果が高い洗剤組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、従来の洗剤組成物の悪臭抑制効果が十分でなかったのは、粘土鉱物に担持させた各種成分が、洗剤組成物に通常含有されている界面活性剤により、粘土鉱物から解離させられ、洗濯中に洗い流されてしまっていたことが原因の1つであることを見出した。すなわち、抗菌剤や香料等の各種成分が洗濯後には繊維上にほとんど残留しないために、洗濯後の衣類の乾燥中に、それらの効果が発揮されないことを見出した。
そして、さらに検討を重ねた結果、悪臭抑制作用を有する少なくとも1種の物質を担持した粘土鉱物を主体とした粒子を表面被覆し、これを洗剤組成物に配合することによって、高い悪臭抑制効果を有する洗剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の洗剤組成物は、抗菌作用を有する物質及び抗酸化作用を有する物質を担持した粘土鉱物とバインダーとからなる造粒物粒子を表面被覆剤で被覆してなる表面被覆粒子を1〜20質量%含有することを特徴とする。
前記本発明の洗剤組成物においては、前記抗菌作用を有する物質及び抗酸化作用を有する物質が、抗菌作用を有する物質成分/粘土鉱物=75/25〜1/100、抗酸化作用を有する物質/粘土鉱物=75/25〜1/100、抗菌作用を有する物質/抗酸化作用を有する物質=1/100〜100/1の比率(質量比)で前記粘土鉱物に担持されることが好ましい。また、前記造粒物粒子に対する前記表面被覆剤の割合(質量比)が、造粒物粒子:表面被覆剤=30:1〜20:1の範囲内であることが好ましい。また、前記抗菌作用を有する物質がトリクロサンまたはユーカリエキスであり、前記抗酸化作用を有する物質がジブチルヒドロキシトルエンまたはローズマリーエキスであることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の洗剤組成物について、より詳細に説明する。
本発明の洗剤組成物は、「抗菌作用を有する物質」(以下、抗菌成分という)、「抗酸化作用を有する物質」(以下、抗酸化成分という)及び「消臭作用を有する物質」(以下、消臭成分という)からなる群から選択される少なくとも1種の成分(以下、特定成分という)を担持した粘土鉱物を含む造粒物粒子を表面被覆剤で被覆してなる表面被覆粒子を含有することを特徴とするものである。
【0008】
<抗菌成分>
本発明において、抗菌成分としては、抗菌作用を有するものであれば特に限定されず、一般的に抗菌剤として用いられている物質のほか、抗菌作用以外の作用を併せもつ物質、例えば抗菌作用を有する香料などが使用可能である。
抗菌成分は、洗濯後の衣類等の繊維上に微量に残留する汚れを分解して悪臭を発生させる原因となる雑菌に対する抗菌効果により、悪臭の発生を抑制することができる。
【0009】
好ましい抗菌剤としては、アニオン系又は非イオン系のもの、カチオン系又は両性イオン系のもの、及び、無機系のものを挙げることができる。
アニオン系又は非イオン系抗菌剤の具体例としては、フェノール系(オルトフェニルフェノール(OPP)など)、カルボン酸系(安息香酸など)、エステル系(グリセリン脂肪酸エステルなど)、エーテル系(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)など)、ニトリル系(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)など)、ハロゲン系(N,N−ジメチル−N’−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド(ジクロフルアニド)など)、ピリジン系(1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−ピリドンモノエタノールアミン塩(ピロクトンオラミン)、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(ジンクピリチオン)など)、イソチアゾロン系(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ケーソン)など)、イミダゾール系(2−(4’−チアゾリル)−ベンツイミダゾール(TBZ)など)、アニリド系(3,4,4’−トリクロロカルバニリドなど)、糖質系(β−1,4−ポリグルコサミン(キトサン)など)、トロポロン系(4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−シクロヘプタ−2,4,6−トリエン−1−オン(ヒノキチオール)など)を挙げることができる。
【0010】
カチオン系又は両性イオン系抗菌剤の具体例としては、界面活性剤系(塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(塩化ベンザルコニウム)、アルキルジ(アミノエチル)グリシンなど)、ビグアニド系(グルコン酸−1,1’−ヘキサメチレンビス[5−(4−クロロフェニル)ビグアニド](グルコン酸クロルヘキシジン)など)を挙げることができる。
【0011】
無機系抗菌剤の具体例としては、金属イオン系(銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンなど)を挙げることができる。
【0012】
これら抗菌剤は全て、皮膚及び粘膜への刺激性が低く、かつ抗菌効果が高い。従って、洗濯によってこれら抗菌剤が衣類に吸着し、人間の皮膚や粘膜に接触しても、人体には何ら問題はない。
【0013】
また、抗菌作用を有する香料としては、アルデヒド類(ベンズアルデヒド、ドデカナール、ウンデカナール、ペリルアルデヒドなど)、アルコール類(ノニルアルコール、オイゲノール、ペリラアルコールなど)、ケトン類(シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノンなど)、エステル類(ベンジルアセテート、オイゲニルアセテートなど)等を挙げることができ、天然香料であっても合成香料であってもよい。
このような成分を配合することにより、抗菌作用と同時に、発生した悪臭に対する消臭効果も得られる。
【0014】
これらの抗菌成分は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
洗剤組成物中における抗菌成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。含有量が0.01質量%未満では抗菌効果が乏しく、一方、1質量%を超えるとコストが高くなる。
また、洗剤組成物中において、粘土鉱物に担持される抗菌成分の比率(質量比)は、好ましくは、抗菌成分/粘土鉱物=75/25〜1/100、より好ましくは70/30〜10/90、さらに好ましくは60/40〜20/80であることが好ましい。この比率が、75/25を超えると、粘土鉱物の結晶層間への担持許容量を越えてしまい、抗菌成分の一部が粘土鉱物に担持されないおそれがある。担持されていない抗菌成分は、洗濯後の衣類等の繊維上に保持されず、悪臭発生の抑制に効果がなく、無駄になるので経済的に好ましくない。一方、この比率が1/100未満の場合、抗菌効果が乏しく、悪臭発生の抑制効果が発揮されないおそれがある。
【0015】
<抗酸化成分>
本発明において、抗酸化成分としては、抗酸化作用を有するものであれば特に限定されず、一般的に抗酸化剤として用いられている物質のほか、抗酸化作用以外の作用を併せもつ物質、例えば抗酸化作用を有する香料などが使用可能である。
【0016】
抗菌成分は、洗濯後の衣類等の繊維上に微量に残留する汚れ、特に皮脂等に含まれる不飽和化合物の自己酸化、或いは乾燥機等により高い温度で乾燥させた際の酸化を抑制し、その分解を抑制することにより、悪臭の発生を抑制することができる。
【0017】
好ましい抗酸化剤としては、以下のものを挙げることができる。
・カロチノイド類:α−カロチン,β−カロチン,γ−カロチン,リコピン,クリプトキサンチン,ゼアキサンチン,イソゼアキサンチン,ロドキサンチン,カプサンチン,クロセチンなど
・フラン類:2,5−ジメチルフラン、2−メチルフラン、2,5−ジフェニルフラン、1,3−ジフェニルイソベンゾフランなど
・ビタミン類:α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,δ−トコフェロール等のビタミンE類、アスコルビン酸など
・アミノ酸類:ヒスチジン,トリプトファン,メチオニン,アラニン,アラニンのアルキルエステルなど
・ヒドロキシ芳香族化合物:1,4−ジアジシクロオクタン、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸エステル類、タンニン類、フラボノイドなど
・生薬/植物抽出物:オウゴン抽出物,カワラヨモギ抽出物,アセンヤク抽出物,セージ抽出物,チャ抽出物,ローズマリー抽出物,ウイキョウ抽出物,タイム抽出物,ナツメグ抽出物,コショウ抽出物,ターメリック抽出物,バニラ抽出物,パプリカ抽出物,ヨクイニン抽出物,サイコ抽出物,木瓜抽出物,スホウ抽出物,キュレン抽出物,ジョンラブ抽出物など
【0018】
これら抗酸化剤は、全て、皮膚及び粘膜への刺激性が低く、かつ抗酸化作用が強い。従って、洗濯によってこれら抗酸化剤が衣類に吸着し、人間の皮膚や粘膜に接触しても、人体には何ら問題はないので、本発明において好ましく用いられる。
【0019】
これらの抗酸化成分は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。洗剤組成物中における抗酸化成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。含有量が0.01質量%未満では抗酸化効果が乏しく、一方、5質量%を超えるとコストが高くなる。
また、洗剤組成物中において、粘土鉱物に担持される抗酸化成分の比率(質量比)は、好ましくは、抗酸化成分/粘土鉱物=75/25〜1/100、より好ましくは70/30〜10/90、さらに好ましくは60/40〜20/80であることが好ましい。この比率が、75/25を超えると、粘土鉱物の結晶層間への担持許容量を越えてしまい、抗酸化成分の一部が粘土鉱物に担持されないおそれがある。担持されていない抗酸化成分は、洗濯後の衣類等の繊維上に保持されず、悪臭発生の抑制に効果がなく、無駄になるので経済的に好ましくない。一方、この比率が1/100未満の場合、抗酸化効果が乏しく、悪臭発生の抑制効果が発揮されないおそれがある。
【0020】
<消臭成分>
本発明において、消臭成分としては、発生した悪臭をマスキングする物質などを挙げることができる。
【0021】
発生した悪臭をマスキングする物質としては、香料などを挙げることができる。
香料としては、特に制限はなく、一般的に洗剤組成物に用いられている香料が使用可能であり、例えば、以下のものを挙げることができる。
合成香料:
炭化水素類(脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素など)、アルコール類(脂肪族アルコール、テルペンアルコール、及び芳香族アルコールなど)、エーテル類(脂肪族エーテル、及び芳香族エーテルなど)、オキサイド類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸アマイド類、脂肪族ラクトン類、エステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、含窒素化合物(キノール、インドールなど)
天然香料:
動物、植物から得られる天然香料(例えば、上述した生薬/植物抽出物)
【0022】
これらの香料は、マスキング作用以外の作用を有するものであってよく、特に、上述したような抗菌作用及び/又は抗酸化作用を有する香料は好ましく用いられる。
【0023】
これら消臭成分は、全て、皮膚及び粘膜への刺激性が低く、かつ消臭作用が強い。従って、洗濯によってこれら消臭成分が衣類に吸着し、人間の皮膚や粘膜に接触しても、人体には何ら問題はないので、本発明において好ましく用いられる。
【0024】
これらの消臭成分は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
洗剤組成物中における消臭成分の含有量は、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.1〜0.25質量%である。含有量が0.01質量%未満では消臭効果が乏しく、一方、1質量%を超えるとコストが高くなる。
また、洗剤組成物中において、粘土鉱物に担持される消臭成分の比率(質量比)は、好ましくは、消臭成分/粘土鉱物=75/25〜1/100、より好ましくは70/30〜10/90、さらに好ましくは60/40〜20/80であることが好ましい。この比率が、75/25を超えると、粘土鉱物の結晶層間への担持許容量を越えてしまい、消臭成分の一部が粘土鉱物に担持されないおそれがある。担持されていない消臭成分は、洗濯後の衣類等の繊維上に保持されず、悪臭発生の抑制に効果がなく、無駄になるので経済的に好ましくない。一方、この比率が1/100未満の場合、悪臭の消臭効果が乏しくなるおそれがある。
【0025】
本発明においては、上述した抗菌成分、抗酸化成分及び消臭成分の3種の成分を併用することが好ましい。特に、悪臭の発生を抑制する成分である抗菌成分及び抗酸化成分を併用することが好ましい。これにより、雑菌により発生する悪臭及び不飽和化合物の酸化分解により生じる悪臭という、発生原因の異なる悪臭を抑制できるので、さらに悪臭抑制効果が高まる。また、悪臭抑制効果が高まるので、抗菌成分及び抗酸化成分のトータルとしての使用量も低減することができる。
抗菌成分と抗酸化成分とを併用する場合、その配合比率(質量比)は、好ましくは、抗菌成分:抗酸化成分=1:100〜100:1、より好ましくは10:1〜1:10とすることが好ましい。配合比率をこの範囲内とすることにより、高い悪臭抑制効果が得られる。
【0026】
<粘土鉱物>
本発明で用いる粘土鉱物は、一般的には主としてアルミニウム、鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどの金属を含む含水ケイ酸塩であって、微細な結晶片の集合体からなっている。その組成や結晶形、結晶片の配列、粒状などによって、異なる呼称の多くの種類があり、その例としては例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト類;セリサイト、イライト、白雲母、金雲母などの雲母類;あるいはバーミキュライト、緑泥石、パイロフィライト、タルク、カオリン鉱物、蛇紋石、セピオライト、アロフェン、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。
【0027】
これらの粘土鉱物は一般に、繊維に対する吸着性に優れ、さらに各種の界面活性剤が共存していても繊維に対する吸着性が維持される性質があるので、いずれも本発明に使用することができる。本発明で用いる粘土鉱物として特に好ましいものの例としては、水膨潤性の粘土鉱物、例えばスメクタイト類や水膨潤性雲母類を挙げることができる。
【0028】
スメクタイト類には天然産出品と合成品とがあり、いずれも本発明に好適に使用できる。天然産のスメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイトを含有するものとして、豊順鉱業(株)からベンゲル、ベンゲルHV、ベンゲルA、ベンゲルFW、ベンゲル31、ベンゲルW−100、クニミネ工業(株)からクニピアG、クニピアF、アメリカンコロイド社からウエスタンボンド、ドレッサーミネラルズ社からイエローストーン、サポナイトを含有するものとして、バンダービルド社からビーガムT、ビーガムHV、ビーガムF、ビーガムK、また、ヘクトライトを含有するものとして、アメリカンコロイド社からヘクタブライトAW、ヘクタブライト200、ベントンEW、ナショナルリード社からマカロイドなどが市販されている。合成スメクタイトとしては、クニミネ工業(株)からスメクトンSA、水澤化学工業(株)からイオナイトH、コープケミカル(株)からSWN、SAN、ラポルテインダストリー社からラポナイトなどが市販されている。また、膨潤性の雲母としては、例えば、コープケミカル(株)から膨潤性合成雲母ME、トピー工業(株)からナトリウム四ケイ素雲母DP−DMなどが市販されている。
【0029】
また、水膨潤性粘土鉱物として、酸性白土のアルカリ処理物も用いることができる。酸性白土は通常、1%水分散液のpHが5〜6以下、膨潤度が10ml/2g 以下、SiO2 とAl2O3の含有量がモル比でSiO2 /Al2O3=6〜10のものであり、例としては、中条、小戸、上赤谷、糸魚川、水澤、川崎、松根、三川、青梅、上砂見産の酸性白土、これらの酸性白土と類似の性質を示す英国産のFuller's earth、米国産のFloride earth 、ドイツ産のWarkel erde などが挙げられる。これらの酸性白土中に存在する交換性の陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオンなどがある。これらの酸性白土は、アルカリ処理することにより、前記の水膨潤性粘土鉱物と同様に本発明の洗剤組成物に使用することができる。
【0030】
また、水膨潤性粘土鉱物の交換性カチオンを1価または多価のカチオンで置換した交換性カチオン置換粘土鉱物も、前記の水膨潤性粘土鉱物と同様に本発明の洗剤組成物に使用することができる。この際に用いられる1価または多価のカチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、チタニウムイオン、鉄イオン、銅イオン、銀イオンなどの遷移金属イオン、または亜鉛イオン、アルミニウムイオンなどが挙げられる。
【0031】
本発明の洗剤組成物に使用する粘土鉱物の粒子径は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.01〜50μm 、特に0.01〜10μm の範囲内の微細な結晶またはコロイド的性質を有する粒子が望ましい。粒子径が50μm を超えると、粘土鉱物の繊維に対する吸着性が低下する。
【0032】
<造粒物粒子>
本発明において、造粒物粒子は、上述の抗菌成分、抗酸化成分、消臭成分等の特定成分を少なくとも1種担持した粘土鉱物(以下、粘土担持物という)を含むものである。
【0033】
粘土担持物は、例えば以下のようにして得ることができる。
まず、水系媒体中で、抗菌成分、抗酸化成分及び消臭成分のいずれか1種又は2種以上を含有する溶液又は分散液を調製する。この溶液又は分散液を、粘土鉱物粉末と混合するか、または粘土鉱物粉末にスプレーすることにより、粘土鉱物に含浸させた後、濃縮または濾過乾燥して、粘土担持物を得る。
なお、2種以上の特定成分を担持する粘土担持物を得ようとする場合、複数の特定成分を含む溶液又は分散液を用いて担持を行ってもよいが、好ましくは、1種の特定成分を含有する溶液又は分散液を用いて担持を行い、1種の特定成分を担持する粘土担持物を得た後、同様にして得たそれ以外の特定成分を担持する担持物とを混合する。この場合、特定成分同士の競合がないので、特定成分を、よりスムーズに粘土鉱物に担持させることができる。
【0034】
造粒物粒子は、例えば以下のようにして得ることができる。
まず、上述の粘土担持物及び後述する任意の添加物を、水、高分子水溶液、高融点物質(ポリエチレングリコール(PEG)等)などのバインダーを用いて所定の粒径に造粒して造粒物粒子を得る。
この造粒は、押出造粒機;回転ドラム式ミキサー、さら型ミキサー等の容器回転型混合機;リボンミキサー、レデーゲミキサー、ハイスピードミキサー等の撹拌翼を備えた容器固定型混合機;流動床造粒機などで行うことができる。
造粒物粒子の粒径としては、特に制限はなく、例えば一般的な粒状洗剤の粒径程度(例えば300〜700μm程度)とすればよい。
【0035】
造粒物粒子は、上述したような特定成分を担持した粘土鉱物とバインダーの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、硫酸塩、好ましくは硫酸マグネシウム等の任意の添加物を含んでいてもよい。
造粒物粒子中に占める添加物の割合は、20質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることが望ましい。20質量%を越えると、溶解性が劣化するおそれがある。
【0036】
<表面被覆粒子>
本発明において、表面被覆粒子は、上述のような造粒物粒子を表面被覆剤で被覆してなるものである。
【0037】
表面被覆剤としては、例えば、以下の(a)〜(d)を挙げることができる。
(a)水不溶性微粒子:粒径10μm以下のゼオライト、シリカ、粘土鉱物など
(b)水溶性高分子:ポリアクリル酸/塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース系高分子、デキストリン、でんぷん誘導体など
(c)水溶性高融点物質:ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加体など
(d)ワックス類、鑞類:パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、カルナウバ鑞など
特に、ワックス類、鑞類は、消泡効果も期待できる。
【0038】
造粒物粒子に対する表面被覆剤の割合(質量比)は、好ましくは造粒物粒子:表面被覆剤=100:1〜10:1、より好ましくは30:1〜20:1の範囲内であることが好ましい。100:1より割合が低いと表面被覆効果に乏しく、10:1より高いと経済的に好ましくない。
【0039】
表面被覆粒子は、例えば以下の(1)〜(4)等の方法により得ることができる。
(1)押出造粒機を用いて造粒する際、ヌードル上の押出品を得た後、表面被覆剤として例えば前記表面被覆剤(a)を添加し、これを粉砕して、表面被覆された造粒物粒子(表面被覆粒子)を得る。
(2)造粒物粒子と前記表面被覆剤(a)とを前記容器回転型混合機などで混合する。
(3)押出造粒機又は流動床造粒機中で、造粒物粒子に前記表面被覆剤(b)の水溶液及び/又は有機溶媒溶液を噴霧し、必要に応じて乾燥する。
(4)押出造粒機又は流動床造粒機中で、造粒物粒子に対し、溶融した前記前記表面被覆剤(c)又は(d)、あるいは前記表面被覆剤(c)又は(d)の有機溶媒溶液を添加又は噴霧する。
【0040】
<洗剤組成物>
本発明の洗剤組成物は、上述の表面被覆粒子を含有することを特徴とするものである。
【0041】
本発明の洗剤組成物中における表面被覆粒子の配合量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜10質量%とすることが望ましい。1質量%未満であると悪臭抑制効果に乏しく、20質量%を越えると経済的に好ましくないと共に、洗浄力を低下させることがある。
【0042】
本発明の洗剤組成物中には、前記表面被覆粒子の他に、通常洗剤原料に配合されている以下のような任意成分を、以下の割合で配合することができる。
(1)無機質洗浄ビルダーとして、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミノケイ酸塩、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等;好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%
(2)有機質洗浄ビルダーとして、クエン酸塩、コハク酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸−マレイン酸共重合体、EDTA等;好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜20質量%
(3)蛍光剤として、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビス(スルホスチリル)ビフェニル塩[チノパールCBS−X]等;好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%
(4)酵素として、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ等;好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%
(5)漂白剤過炭酸塩として、過硼酸塩、過炭酸塩等;好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%
(6)帯電防止剤として、ジアルキル型4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤等;好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%
(7)表面改質剤として、微粉炭酸カルシウム、微粉ゼオライト、ポリエチレングリコール等;好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%
(8)アニオン界面活性剤として、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸石鹸等;好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%
(9)ノニオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル等のポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル;ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル;長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;グリセリン脂肪酸エステル等;好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%
(10)再汚染防止剤として、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体等;好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%
(11)工程剤として、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム等;好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%
(12)還元剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等;好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%
【0043】
本発明の洗剤組成物の形状は、特に制限はなく、例えば、粒状であっても、タブレット状であってもよい。
例えば粒状である場合、洗剤組成物は、嵩密度が0.3〜1.2g/cm3、好ましくは、0.5〜1.2g/cm3、特に、0.6〜1g/cm3の高嵩密度であることが好ましい。また、その粒子径は、特に、規定されないが、平均粒子径が、200〜1500μm、好ましくは、300〜1200μm、特に、350〜1000μmとすると好適である。
一方、タブレット状である場合、表面被覆粒子は、洗剤組成物中に分散した状態で含有される。タブレットの大きさは、特に制限されるものではないが、通常直径20〜50mm、特に25〜45mm程度、厚さ5〜30mm、特に10〜20mm程度であることが好ましい。大きさをこの範囲内とすることにより、保存上の十分な強度と洗濯時の十分な溶解性が得られ、また、1回当たりの洗剤使用量とするために多数のタブレット洗剤組成物を使用する必要がない。
【0044】
本発明の洗剤組成物は、本発明の効果の妨げとならない範囲で、流動特性の改善のために、コーティング処理が施されていてもよい。
コーティング剤としては、一般に洗剤組成物のコーティングに用いられているものが使用可能であり、例えば、上述した表面被覆剤と同様のものが使用可能である。洗剤組成物中のコーティング剤の配合量は、流動特性等を考慮すると、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
【0045】
洗剤組成物の製造には、一般に洗剤組成物の製造に用いられている任意の方法が使用可能であり、特に限定はされない。例えば、上述のような各種任意成分を粒子状に造粒した後、前記表面被覆粒子と混合して粒状洗剤としてもよく、また、各種任意成分を前記表面被覆粒子と混合した後、成形して、タブレット状洗剤としてもよい。
【0046】
より具体的には、例えば粒状の洗剤組成物を製造する場合、例えば以下のような方法により製造することができる。
まず、任意の成分のうち、アニオン界面活性剤等の耐熱性の高い成分を用いて、洗剤水性スラリーを調製する。この洗剤水性スラリーを、200〜300℃程度の温度でスプレー乾燥し、乾燥粉を得る。得られた乾燥粉を、任意の成分のうち、ノニオン界面活性剤等のある程度の耐熱性を有する成分や水と共に、好ましくは20〜70℃程度に保温したニーダー等に入れて捏和物を得る。その後、この捏和物を押出して1〜2cm角程度のサイコロ状に細断し、任意にコーティング剤を添加して、破砕造粒する。
これに、表面被覆粒子や、任意の成分のうち、耐熱性の低い酵素の造粒物等の粒状の成分を混合することにより、粒状洗剤組成物を得る。
【0047】
なお、上記の製法において、各種任意成分を添加する時期は特に限定されない。例えば、洗剤水性スラリー中に添加しても、噴霧乾燥後の造粒時に添加してもよい。また、造粒後に粉体ブレンドしてもよい。ただし、酵素や漂白剤は熱により失活あるいは分解するため、造粒時に添加するか又は造粒後に粉体混合するのが好ましい。中でも、熱による失活を防ぐためには、造粒後に粉体混合するのが好ましい。
【0048】
一方、例えばタブレット状の洗剤組成物を製造する場合、例えば、上記表面被覆粒子と上記任意成分を混合し、圧縮成型することにより製造することができる。
圧縮成型方法としては、特に制限されるものではなく、タブレット洗剤において採用されている公知の打錠機、打錠条件によって行うことができる。打錠圧は、特に制限されるものではないが、4〜10kN、特に4〜8kNとすると、好適である。打錠圧が高すぎると十分な低温崩壊性が得られない場合があり、低すぎると目的とする強度が得られ難い場合がある。また、同様の理由により、成型直後の圧縮成型物の後述する実施例に記載した測定方法によるタブレット強度が30〜70N、特に40〜60Nとなるように打錠すると、好適である。
上記混合粒子を圧縮成型する際の温度は、特に制限されるものではないが、15〜35℃が好ましい。圧縮成型時の温度が低すぎると、圧縮成型を冷却しながら行う必要が生じる場合があり、高すぎると本発明の目的とする良好な崩壊性が得られない場合がある。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明およびその効果を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
なお、表1〜3中の数値は、洗剤組成物中に占める各組成の割合(質量%)を示す。
【0050】
実施例1
<表面被覆粒子の製造>
・粘土担持物の調製
「粘土担持物A−1」
トリクロサン(イルガサンDP−300、チバ・ガイギー社製)4g をエタノール2kgに溶解させた。モンモリロナイト(クニピアF、クニミネ工業製)36gを水2kgに均一に分散させた液に、前記トリクロサン溶液を添加し、室温で3時間撹拌した後、1夜静置した。得られたトリクロサン/モンモリロナイト混合ゲルをエバポレーターで濃縮し、真空乾燥した後に粉末とし、表1の組成の粘土担持物A−1を得た。
「粘土担持物B−1」
トリクロサン4gをユーカリエキス(VEGETOL EUCALYPTUS GR452 HYDRO、池田物産社製)8gに変更し、モンモリロナイト36gをヘクトライト(ヘクタブライト200、アメリカンコロイド社製)32gに変更した以外は粘土担持物A−1の調製と同様にして、表1の組成の粘土担持物B−1を得た。
「粘土担持物C−1」
トリクロサン4gを、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)(アイオノールCP、シェルジャパン社製)4gに変更した以外は粘土担持物A−1の調製と同様にして、表1の組成の粘土担持物C−1を得た。
「粘土担持物D−1」
トリクロサン4gをローズマリーエキス(CREMOGEN ROSEMARY/739014、ハーマンアンドライマー社製)8gに変更し、モンモリロナイト36gを合成スメクタイト(スメクトンSA、クニミネ工業製)32gに変更した以外は粘土担持物A−1の調製と同様にして、表1の組成の粘土担持物D−1を得た。
「粘土担持物E−1」
トリクロサン4gをシソエキス(シソ抽出液、丸善製薬製)8gに変更し、モンモリロナイト36gをヘクトライト(ヘクタブライト200、アメリカンコロイド社製)32gに変更した以外は粘土担持物A−1の調製と同様にして、表1の組成の粘土担持物E−1を得た。
【0051】
【表1】
【0052】
・粘土担持物の表面被覆
次いで、得られた粘土担持物A−1〜E−1と、バインダーとしてポリエチレングリコール(PEG)#6000(ライオン化学製)を、表2に記載の割合で各々混合した後、ホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に投入し、混練押し出しすることにより、径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。
この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型により、混練押し出し造粒品を導入するのと同じ方向から導入し、また表面被覆剤として微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学製)又はタルク(JA−24R、浅田製粉製)5質量%を同様に供給し、これらを粉砕して、平均粒径700μmの造粒物粒子A−2〜F−2(表2参照)を得た。ただし、粘土担持造粒物F−2については、表面被覆剤を無添加とした。
【0053】
【表2】
【0054】
<洗剤組成物の製造>
表1に示す粘土担持物A−1、C−1、E−1、及び表2に示す組成の粘土担持造粒物A−2〜F−2等を用い、表3〜6に示す組成の粒状洗剤組成物を以下のようにして製造した。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
表に示す組成のうち、ノニオン界面活性剤(AE1、AE2、MEE及びAEP)、粘土担持造粒物又は粘土担持物、ゼオライトの一部、PEG、酵素造粒物、過炭酸Na、漂白活性化剤、及び香料を除いた各成分を用いて、固形分40質量%の洗剤水性スラリーを調製した。この洗剤水性スラリーを、向流式乾燥塔を用いて270℃の温度でスプレー乾燥し、水分5質量%の乾燥粉を得た。なお、洗剤水性スラリー用のゼオライトとしては微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学製)を使用した。
得られた乾燥粉を、ノニオン界面活性剤、PEG及び水分調整用の水と共に、40℃に保温した二軸式連続ニーダー(栗本鐵工所製、KRCニーダ#2型)に入れて捏和物を得た。その後、この捏和物を押出して1〜2cm角のサイコロ状に細断し、顆粒A型ゼオライト(平均粒径200μm:コスモ社製)3質量%と共に破砕造粒した。破砕造粒には、破砕機(岡田精工製、スピードミルND−10型)を用い、回転数1500rpmで開口径2mmスクリーンを用いた。
得られた破砕造粒物を2質量%の微粉A型ゼオライト(シルトンB、水沢化学製)で被覆し、平均粒径が550μmになるように調整した。これに、更に、表3に示す組成に応じて、粘土担持造粒物又は粘土担持物、酵素造粒物、香料、過炭酸Na、漂白活性化剤を混合して、粒状洗剤組成物(実施例1,2,7,8,11、参考例3〜6,9,10,12、比較例1〜3)を得た。
【0060】
このようにして得られた各粒状洗剤組成物を使用して、下記評価条件に従って悪臭の発生抑制効果を評価した。結果を表3〜6に併記する。
(評価条件1)
新品の綿100%のタオル3枚及びTシャツ3枚を、通常生活で50回(1年相当)使用・洗濯を繰り返した後、二槽式洗濯機(三菱電機株式会社、CW−C30A1−H)を用いて、温度25℃、水道水30L、洗剤組成物15g、洗浄10分、すすぎ3分+脱水1分×2回の条件で洗濯し、室温25℃、湿度90%RHの室内で24時間干した時の衣類の臭いを、10名のパネラーにより、下記の評価基準で官能評価し、10名の評価を平均した。
評価基準
◎ : 悪臭を感じない
○ : 悪臭をほとんど感じない
△ : 悪臭をやや感じる
× : 悪臭を感じる
【0061】
(評価条件2)
新品の綿100%のタオル3枚及びTシャツ3枚を、通常生活で50回(1年相当)使用・洗濯を繰り返した後、二槽式洗濯機(三菱電機株式会社、CW−C30A1−H)を用いて、温度25℃、水道水30L、洗剤組成物15g、洗浄10分、すすぎ3分+脱水1分×2回の条件で洗濯し、60℃の恒温槽で3時間乾燥した時の衣類の臭いを、前記評価条件1と同様に官能評価した。
【0062】
なお、表1〜6中の略号の意味及び詳細は以下の通りである。
α−SF−Na:炭素数12〜18の脂肪酸のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン製)
LAS−K:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸カリウム(ライオン製)
LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸カリウム(ライオン製)
石けん:炭素数12〜18の脂肪酸(不飽和度60%)のナトリウム塩(ライオン製)
AOS−Na:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン製)
AS−Na:炭素数10〜18のアルキル基をもつアルキル硫酸ナトリウム(三菱化成工業製、サンデットLNM)
AE1:直鎖アルコール(炭素数12〜14)の酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン化学製)
AE2:直鎖アルコール(炭素数12〜14)の酸化エチレン平均8モル付加体(ライオン化学製)
MEE:炭素数12〜18脂肪酸メチルエステルの酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン化学製)
AEP:直鎖アルコール(炭素数12〜14)の酸化エチレン平均15モル及び酸化プロピレン平均3モル付加体(ライオン化学製)
ゼオライト:A型ゼオライト(水澤化学製 シルトンB)
AA/MA共重合体塩:アクリル酸/マレイン酸共重合体のナトリウム塩、商品名ソカランCP7(BASF社製)
ポリアクリル酸Na:ポリアクリル酸ナトリウム(日本純薬製、分子量10000)
炭酸Na:炭酸ナトリウム(旭硝子製)
炭酸K:炭酸カリウム(旭硝子製)
ケイ酸Na:JIS1号ケイ酸ナトリウム(日本化学製)
硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学製)
塩化Na:塩化ナトリウム(試薬)
亜硫酸Na:亜硫酸ナトリウム(試薬)
PEG:ポリエチレングリコール#6000(ライオン化学製)
PTS−Na:パラトルエンスルホン酸ナトリウム(試薬)
蛍光剤CBS:チノパールCBS−X(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
蛍光剤AMS: チノパールAMS−GX(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
プロテアーゼ:商品名 カンナーゼ24TK(ノボザイムズ社製)
リパーゼ:商品名 リポラーゼウルトラ50T(ノボザイムズ社製)
アミラーゼ:商品名 ターマミル60T(ノボザイムズ社製)
セルラーゼ: 商品名 セルザイム0.7T(ノボザイムズ社製)
過炭酸Na:被覆化過炭酸ナトリウム(三菱ガス化学製 SPC−D)
漂白活性化剤OBC:ホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に、漂白活性化剤である4−デカノイルオキシ安息香酸とポリエチレングリコール(PEG)#6000(ライオン(株)製)とC14アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPB−800、ライオン(株)製)を質量比で70/25/5になるように混合した後、投入し、混練押し出しすることにより径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型により、混練押し出し造粒品を導入するのと同じ方向から導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量%を同様に供給し、粉砕して得られた平均粒径700μmの漂白活性化剤造粒物。
漂白活性化剤OBS:漂白活性化剤として、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて、上記と同様にして造粒した漂白活性化剤造粒物。
香料A〜D:特願2000−346626号の表11〜18に記載の香料組成物A〜D。
モンモリロナイト:商品名 クニピアF(クニミネ工業製)
ヘクトライト:ヘクタブライト200(アメリカンコロイド社製)
合成スメクタイト:スメクトンSA(クニミネ工業製)
トリクロサン:イルガサンDP−300(チバ・ガイギー社製)
ユーカリエキス:VEGETOL EUCALYPTUS GR452 HYDRO(池田物産社製)
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン):アイオノールCP(シェルジャパン社製)
ローズマリーエキス:CREMOGEN ROSEMARY/739014(ハーマンアンドライマー社製)
シソエキス:シソ抽出液(丸善製薬製)
タルク:JA−24R(浅田製粉製)
【0063】
表3〜6に示した結果から、粘土担持造粒物A−2〜E−2(特定成分を担持した表面被覆粒子)を含有する実施例1,2,7,8,11、参考例3〜6,9,10,12の洗剤組成物は、評価条件1及び2において、いずれも悪臭を感じないか又はほとんど感じない、悪臭抑制効果の高いものであった。一方、表面被覆されていない粘土担持造粒物F−2を配合した比較例1、表面被覆されていない粘土担持物(A−1、C−1、E−1)を配合した比較例2、及び、特定成分を粘土鉱物に担持させずに配合した比較例3の洗剤組成物は、悪臭抑制効果が低かった。
また、実施例1,2,7,8,11、参考例3〜6,9,10,12のうち、抗菌剤と抗酸化剤の両方を担持した粘土担持造粒物A−2又はB−2を配合した実施例1,2,7,8,11の洗剤組成物は、評価条件1,2の両方において悪臭を感じない、優れた悪臭抑制効果を有するものであった。
【0064】
【発明の効果】
上述のように、本発明の洗剤組成物は、衣類等の繊維製品の悪臭抑制効果が高いものである。
Claims (4)
- 抗菌作用を有する物質及び抗酸化作用を有する物質を担持した粘土鉱物とバインダーとからなる造粒物粒子を表面被覆剤で被覆してなる表面被覆粒子を1〜20質量%含有することを特徴とする洗剤組成物。
- 前記抗菌作用を有する物質及び抗酸化作用を有する物質が、抗菌作用を有する物質成分/粘土鉱物=75/25〜1/100、抗酸化作用を有する物質/粘土鉱物=75/25〜1/100、抗菌作用を有する物質/抗酸化作用を有する物質=1/100〜100/1の比率(質量比)で前記粘土鉱物に担持される請求項1記載の洗剤組成物。
- 前記造粒物粒子に対する前記表面被覆剤の割合(質量比)が、造粒物粒子:表面被覆剤=30:1〜20:1の範囲内である請求項1または2に記載の洗剤組成物。
- 前記抗菌作用を有する物質がトリクロサンまたはユーカリエキスであり、前記抗酸化作用を有する物質がジブチルヒドロキシトルエンまたはローズマリーエキスである請求項1〜3のいずれかに記載の洗剤組成物。
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