JP4114459B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却水を循環させて燃料電池本体の温度調整を行う燃料電池システムに関するものであり、特に、低温時の冷却水の粘度上昇を考慮した新規な制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池スタック(燃料電池本体)の燃料極(水素極)に水素ガス、空気極に空気をそれぞれ供給し、電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池システムに用いられる燃料電池スタックとしては、例えば自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプのものが知られている。固体高分子タイプの燃料電池スタックは、水素極と空気極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられたものである。前記固体高分子タイプの燃料電池スタックでは、水素極で水素ガスが水素イオンと電子とに分離される反応が起き、空気極で酸素ガスと水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。このとき、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、水素イオンは固体高分子膜を空気極に向かって移動することになる。
【0004】
前記燃料電池システムにおいては、発電の際に燃料電池スタックが発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。前記冷却機構としては、冷却水を循環させて燃料電池スタックを冷却する冷却システムが一般的である。
【0005】
一方で、特に寒冷地における起動を考えた場合、燃料電池スタックの温度が低いと、水素と酸素の反応が十分に行われず、未使用の水素が排出されてしまったり、十分な発電が可能になるまでに長時間を要する等の不都合がある。寒冷地等での起動を円滑に行うためには、ヒータを別途設置したり、燃焼器を設置すること等が必要になるが、前者ではヒータ電力を要し、後者では複雑な構造を採用する必要が生ずる。
【0006】
そこで、前記冷却機構の冷却水を利用して、燃料電池スタックの始動冷機時における発電効率を向上させるようにした燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載される発明では、低温起動時において、燃料電池スタックの内部温度を所定温度以上に上昇させるため、熱交換器(ラジエタ)からの冷却水の供給を停止し、蓄熱装置内の保温された冷却水を燃料電池スタックに供給するように冷却水の流路を切り替えるようにしている。そして、燃料電池スタックの内部温度が所定温度以上になったら、熱交換器で冷却された冷却水が燃料電池に供給されるように冷却水の流路を切り替えて、燃料電池内部の温度上昇を抑えるようにしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−42846号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、特許文献1に記載される従来の燃料電池システムでは、低温起動時において、燃料電池スタックの内部温度を上昇させるために、蓄熱装置内の保温された冷却水を燃料電池に供給している。しかしながら、極低温時になると冷却水の粘度が高くなっているため、その状態で燃料電池スタックに冷却水を供給すると圧力損失分が大きくなり、燃料電池スタックの耐圧上限を上回ってしまう可能性があり、燃料電池本体の性能を劣化させてしまう虞れがある。
【0010】
本発明は、このような従来技術が抱える問題を解決するために提案されたものであり、通常運転時には燃料電池本体を適正な運転温度に維持することができ、低温での起動時には、燃料電池本体の性能を劣化させることなくその内部温度を素速く最適な運転温度まで上昇させることが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、循環する冷却水の熱で燃料電池本体の温度調整を行う燃料電池システムであり、燃料電池本体内部における冷却水圧力を検出する燃料電池内冷却水圧力検出手段と、冷却水の流量を制御する冷却水流量制御手段と、冷却水を加熱する冷却水加熱手段とを備えて構成される。この燃料電池システムでは、燃料電池発電量もしくは燃料電池冷却要求分に応じて冷却水の目標流量が設定される。そして、例えば外気温が0℃を下回るような低温での起動時には、冷却水流量制御手段が、燃料電池内冷却水圧力検出手段により検出された当該温度における燃料電池内冷却水圧力が燃料電池本体の要求耐圧以下となるように冷却水の流量を制御すると共に、冷却水加熱手段が、冷却水流量制御手段によって流量制御された冷却水を加熱するようにしている。
【0012】
この燃料電池システムでは、起動時における冷却水の温度に応じた粘度も考慮して、冷却水の粘度が高いことが予想される低温起動時においては、燃料電池内冷却水圧力が燃料電池本体の要求耐圧以下となるように冷却水の流量を制御するようにしている。したがって、燃料電池本体の性能を劣化させることのない最大限の流量で冷却水が循環され、燃料電池本体に供給されることになる。
【0013】
【発明の効果】
本発明においては、低温起動時に燃料電池本体の要求耐圧を上限として冷却水流量を制御しているので、例えば冷却水加熱手段に対して燃料電池の性能を劣化させることのない最大限の冷却水流量で冷却水を供給して、加熱された冷却水の熱で燃料電池本体の温度を迅速に最適な運転温度まで上昇させることができる。また、通常運転時には、燃料電池発電量もしくは燃料電池冷却要求分に応じた目標流量となるように冷却水の流量が制御されるので、燃料電池本体を適正な運転温度に安定的に維持することが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の燃料電池システムにおける冷却水循環制御系の基本概念を示すブロック図である。この冷却水循環制御系は、燃料電池システム全体の制御を司るコントローラにて実現されるものであり、燃料電池スタック内部における冷却水圧力を検出する燃料電池内冷却水圧力検出手段1と、燃料電池スタックの発電量もしくは燃料電池スタックに対する冷却要求分を演算する燃料電池発電量・冷却要求分演算手段2と、燃料電池内冷却水圧力検出手段1からの出力と燃料電池発電量・冷却要求分演算手段2からの出力とに基づき、燃料電池スタックを冷却するための冷却水の流量を制御する冷却水流量制御手段3と、燃料電池スタックに供給される冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段4と、冷却水流量制御手段3からの出力と冷却水温度検出手段4からの出力とに基づき、冷却水加熱装置の要求発熱量を演算する加熱装置要求発熱量演算手段5と、加熱装置要求発熱量演算手段5からの出力に基づき、冷却水加熱装置の発熱量を制御する発熱量制御手段6とを備える。
【0016】
以上のような構成を有する冷却水循環制御系は、燃料電池発電量・冷却要求分演算手段2で燃料電池スタックの発電量もしくは燃料電池スタックに対する冷却要求分が演算され、その出力に基づいて冷却水の目標流量が設定される。そして、通常運転時においては、目標流量の冷却水が燃料電池スタックに供給されるように、冷却水流量制御手段3が冷却水の流量を制御するようになっている。また、例えば外気温が0℃を下回るような低温での起動時には、燃料電池内冷却水圧力検出手段1により検出される燃料電池スタック内部における冷却水圧力が、燃料電池スタックの要求耐圧を上回らないように、冷却水流量制御手段3が冷却水の流量を制御する。そして、この冷却水流量制御手段3によって制御される冷却水流量と冷却水温度検出手段4により検出される冷却水温度とに基づいて、加熱装置要求発熱量演算手段5が冷却水加熱装置の要求発熱量を演算し、その演算結果に基づいて、発熱量制御手段6が冷却水加熱装置の発熱量を制御する。これにより、所望の温度に加熱された所望の流量の冷却水が燃料電池スタックに供給されて、この冷却水の熱で燃料電池スタックが適切に加熱されることになる。
【0017】
この冷却水循環制御系の主な特徴は、低温起動時に、冷却水流量制御手段3がその温度に応じて冷却水の流量を制限していることにある。すなわち、極低温になると、冷却水の粘度が上昇するために、同じ流量の冷却水を循環させても燃料電池スタック内部における冷却水圧力が温度低下に伴って上昇することになる。したがって、通常時と同じ流量で冷却水を循環させると、燃料電池スタックの内部に過剰な圧力が加わって、燃料電池スタックの性能を劣化させる虞がある。そこで、この冷却水循環制御系では、燃料電池内冷却水圧力検出手段1により燃料電池本体内部における冷却水圧力をモニタリングして、この冷却水圧力が燃料電池本体の要求耐圧を上回らないように、冷却水流量制御手段3が冷却水の流量を制御するようにしている。
【0018】
以上が本発明の燃料電池システムにおける冷却水循環制御系の基本概念であるが、次に、以上のような冷却水循環制御系によって冷却水の循環制御が行われる本実施形態の燃料電池システムの具体的構成について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を具体的に示す概略構成図である。この燃料電池システムは、例えば電気自動車の動力源となる燃料電池スタック11と、冷却水を循環させて燃料電池スタック11に供給し、この冷却水の熱で燃料電池スタック11の温度を調整する冷却水循環系12と、純水を循環させて燃料電池スタック11に供給し、燃料電池スタック11の電解質を加湿する純水循環系13とを有する。なお、この燃料電池システムは、その他、燃料電池スタック11に燃料である水素を供給するための水素供給系や、燃料電池スタック11に酸化剤である空気を供給する空気供給系等を備えるが、これらは通常の構成であればよく、本発明に特徴的な部分ではないので、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0020】
燃料電池スタック11は、水素が供給される燃料極と酸素(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と前記水素イオン及び電子が反応して水が生成し、外部に排出される。
【0021】
燃料電池スタック11の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能することから、この燃料電池スタック11においては水を供給して加湿することが必要となる。そこで、この燃料電池システムでは、純水循環系13によって純水を循環させながら燃料電池スタック11に供給して、この純水によって燃料電池スタック11の固体高分子電解質を加湿するようにしている。
【0022】
また、燃料電池スタック11は、発電の際には化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要となる。そこで、この燃料電池システムでは、冷却水循環系12によって冷却水を循環させながら燃料電池スタック11に供給して、この冷却水によって燃料電池スタック11を冷却するようにしている。
【0023】
冷却水循環系12は、冷却水を循環させるための冷却水循環流路14を有し、冷却水ポンプ15によって運動エネルギーが与えられた冷却水が、冷却水循環流路14を循環するようになっている。この冷却水循環流路14の燃料電池スタック11後段には、当該冷却水循環流路14を流れる冷却水と純水循環系13により循環される加湿用の純水との間で熱交換を行うための熱交換器16が設けられており、燃料電池スタック11の冷却により温度が上昇した冷却水は、ここで冷却されるようになっている。また、この熱交換器16の後段には、電気ヒータ等よりなる冷却水加熱装置17が設けられており、冷却水循環流路14を流れる冷却水の温度が低すぎる場合には、ここで加熱されるようになっている。電気ヒータはその発熱量を容易に制御できるので、この電気ヒータを冷却水加熱装置17として用いることで、冷却水の温度を迅速に所望の温度にまで上昇させることができる。
【0024】
また、冷却水循環系12には、冷却水循環流路14に加えて、燃料電池スタック11をバイパスするバイパス流路18が設けられており、必要に応じて冷却水をバイパス流路18に導入するように構成されている。バイパス流路18の冷却水循環流路14との接続部には、三方弁19が設けられており、これによって冷却水循環流路14とバイパス流路18との流路切り替えが行われる。
【0025】
純水循環系13は、加湿用の純水を循環させるための純水循環流路20を有し、純水ポンプ21によって運動エネルギーが与えられた加湿用の純水が、純水循環流路20を循環するようになっている。そして、純水循環流路20を循環する純水が、熱交換器16にて冷却水循環流路14を循環する冷却水との間で熱交換され、高温の状態で燃料電池スタック11に供給されるようになっている。
【0026】
以上の構成を有する燃料電池システムにおいて、冷却水ポンプ15の駆動により循環される冷却水は、三方弁19の切り替えにより燃料電池スタック11へ送られるか、もしくは燃料電池スタック11をバイパスするようにバイパス流路18へ送られる。そして、この冷却水はさらに熱交換器16へと送られて、純水ポンプ21の駆動により循環される純水との間で熱交換され、最後に冷却水加熱装置17へと送られて、ここで加熱される。
【0027】
ここで、本実施形態の燃料電池システムでは、上述したコントローラにて実現される冷却水循環制御系によって冷却水の循環制御が行われ、特に、燃料電池スタック11内における冷却水圧力が検出され、燃料電池スタック11の要求耐圧を上限とした冷却水流量が冷却水ポンプ16により実現され、必要に応じて冷却水加熱装置17により冷却水が加熱されるようになっている。このような本実施形態の燃料電池システムにおける処理の概略について、図3のフローチャートを参照して説明する。本処理内容は、燃料電池スタック11の運転開始時より所定時間毎(例えば10ms毎)に実行されるものである。
【0028】
本実施形態の燃料電池システムにおいて冷却水の循環制御を行う場合、まず、冷却水温度検出手段4によって、燃料電池スタック11に供給される冷却水の温度が検出される(ステップS1)。次に、燃料電池発電量・冷却要求分演算手段2によって、燃料電池スタック11の発電量もしくは燃料電池スタックに対する冷却要求分が演算され(ステップS2)、その演算結果に基づいて、冷却水の目標流量が設定される(ステップS3)。そして、この目標流量に加えて、燃料電池スタック11の要求耐圧も考慮した上で、冷却水流量制御手段3によって、冷却水の流量が制御される(ステップS4)。
【0029】
ここで、ステップS4の冷却水流量の制御方法について、図4を用いて説明する。図4に示すように、冷却水温度が低下すると、冷却水の粘度が上昇することに起因して、燃料電池スタック11内部における冷却水圧力が高くなる傾向にある。特に、低温環境下で冷却水温度が極めて低い状態では、冷却水の温度低下に伴って冷却水の圧力が急激に上昇している。ここで、例えば、燃料電池スタック11の要求耐圧がA[kPa]で、冷却水温度がB[degC]であるとき、燃料電池発電量もしくは冷却要求分から演算した冷却水の目標流量が、図4中の流量▲3▼もしくは流量▲4▼であるとすると、これら目標流量の冷却水を循環させて燃料電池スタック11に供給させても、燃料電池スタック11内部における冷却水圧力は燃料電池スタック11の要求耐圧A[kPa]を下回るので、燃料電池スタック11の性能低下を招くことはない。したがって、このような場合には、冷却水の流量が目標流量となるように冷却水ポンプ15の回転数を制御して、流量▲3▼や流量▲4▼を実現させる。
【0030】
一方、同様の条件下で燃料電池発電量もしくは冷却要求分から演算した冷却水の目標流量が、図4中の流量▲1▼もしくは流量▲2▼であるとすると、これら目標流量の冷却水を循環させて燃料電池スタック11に供給させると、燃料電池スタック11内部における冷却水圧力が燃料電池スタック11の要求耐圧A[kPa]を上回ってしまい、燃料電池スタック11の性能低下を招く虞がある。したがって、このような場合には、冷却水温度がB[degC]のときに燃料電池スタック11内部における冷却水圧力が燃料電池スタック11の要求耐圧A[kPa]を越えない最大の流量、すなわち図4中の流量▲5▼を上限として、この流量▲5▼が実現されるように冷却水ポンプ15の回転数を制御する。
【0031】
なお、燃料電池スタック11内部における冷却水圧力は、燃料電池スタック11の冷却水配管入口に圧力センサを取り付けることによって検出することができ、その他、冷却水ポンプ15の出口に設けた圧力センサの検出値を基に、冷却水ポンプ15出口から燃料電池スタック11の冷却水配管入口までの配管での圧力損失分を考慮した演算処理を行う方法等によっても検出することができる。
【0032】
また、冷却水ポンプ15の回転数の制御は、次のようにして行う。例えば燃料電池システムが備える冷却水循環系12において、予め実験などにより所望とする燃料電池スタック11内の冷却水流量及び圧力と、それを実現する冷却水ポンプ15回転数との関係を求めておく。そして、図3に示すフローチャートのステップS3にて設定した冷却水目標流量及び圧力から、上記関係を用いて冷却水ポンプ15の回転数を制御する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムでは、冷却水循環系12における冷却水の循環制御を行う際に、低温起動時には、燃料電池発電量もしくは燃料電池冷却要求分に応じて設定される冷却水の目標流量に加え、冷却水の温度に応じて変化する燃料電池スタック11内部における冷却水圧力も考慮されて、燃料電池スタック11内部における冷却水圧力が燃料電池スタック11の要求耐圧以下となるように、冷却水の流量が制御されるようになっているので、燃料電池スタック11の性能低下を招くことなく、燃料電池スタック11の温度を迅速に最適な運転温度にまで上昇させることができる。また、通常運転時には、燃料電池発電量もしくは燃料電池冷却要求分に応じた目標流量となるように冷却水の流量が制御されるので、燃料電池スタック11を適正な運転温度に安定的に維持することが可能である。
【0034】
(第2の実施形態)
本実施形態は、燃料電池スタック11内部のガス圧と燃料電池スタック11内部の冷却水圧力との差圧が所定範囲内に入るように、冷却水の流量を制御するようにしたものである。すなわち、本実施形態では、コントローラにて実現される冷却水循環制御系が、図1に示した第1の実施形態における各部に加え、燃料電池スタック11内部に流入する水素及び空気の圧力を検出する燃料電池内ガス圧検出手段と、燃料電池スタック11内部におけるガス圧と冷却水圧力との差圧を演算する差圧演算手段とを備えており、冷却水流量制御手段3が、前記差圧演算手段からの出力が適正な範囲内に入るように冷却水の流量を制御するようにしている。なお、本実施形態における燃料電池システムの具体的な構成は、図2に示した第1の実施形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0035】
本実施形態の燃料電池システムにおいて冷却水の循環制御を行う処理は、基本的には図3に示した第1の実施形態の処理と同様であり、冷却水の目標流量を設定するステップS3の処理が本実施形態において特徴的な部分である。以下、本実施形態の特徴的な部分である図3のステップS3における処理について、図5を用いて説明する。
【0036】
図5は、燃料電池内ガス圧検出手段からの出力に基づき判定される燃料電池スタック11内部のガス圧(水素・空気圧力)と、燃料電池内冷却水圧力検出手段1によって検出される燃料電池スタック11内部の冷却水圧力との関係を示すものである。本実施形態では、差圧演算手段からの出力(燃料電池スタック11内部におけるガス圧と冷却水圧力との差圧)が、燃料電池スタック11の要求差圧C[kPa]を越えないように、冷却水の目標流量を設定するようにしている。すなわち、燃料電池スタック11内部のガス圧から、燃料電池スタック11の要求差圧C[kPa]を差し引いた値である冷却水圧力下限値をD[kPa]としたときに、燃料電池スタック11内部の冷却水の圧力がこの下限値D[kPa]を下回らないように、冷却水の目標流量が設定される。そして、この目標流量を用いて、第1の実施形態と同様の方法により冷却水の流量が制御される。
【0037】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のように、燃料電池スタック11内部におけるガス圧と冷却水圧力との差圧が、燃料電池スタック11の要求差圧を越えないように、冷却水の流量が制御されるようになっているので、燃料電池スタック11内部における冷却水圧力が燃料電池スタック11の要求耐圧を越えた場合に生じる燃料電池スタック11の性能低下に加えて、燃料電池スタック11内部におけるガス圧と冷却水圧力との差圧が燃料電池スタック11の要求差圧を越えた場合に生じる燃料電池スタック11の性能低下をも有効に抑制することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
本実施形態は、冷却水循環系の冷却水加熱装置として水素燃焼器を用いた例である。本実施形態の燃料電池システムの具体的な構成を図6に示す。この図6に示すように、本実施形態の燃料電池システムでは、冷却水循環流路14における熱交換器16の後段に、冷却水加熱装置としての水素燃焼器22が設けられている。
【0039】
この水素燃焼器22には、燃料電池スタック11からの排水素を当該水素燃焼器22に供給するための水素供給配管23が接続されており、この水素供給配管23の中途部に可変バルブ24が設けられている。そして、可変バルブ24の開度を制御することによって、水素燃焼器22に対する水素供給量が制御されるようになっている。
【0040】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のように、冷却水循環系の冷却水加熱装置として水素燃焼器22が用いられているので、循環する冷却水の温度が低い場合には、この水素燃焼器22によって冷却水の温度を所望の温度にまで上昇させることができる。また、水素燃焼器22の発熱量は、可変バルブ24の開度を制御することで容易に変更できるので、冷却水の温度制御が容易である。
【0041】
(第4の実施形態)
本実施形態は、低温起動時等のように冷却水の温度が低下している場合に、バイパス流路18を利用して冷却水を燃料電池スタック11からバイパスさせ、燃料電池スタック11の内部に過剰な圧力が加わることを防止するようにしたものである。なお、本実施形態における燃料電池システムの具体的な構成は、図2に示した第1の実施形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムにおいて冷却水の循環制御を行う処理の概略について、図7のフローチャートを参照して説明する。本処理内容は、燃料電池スタック11の運転開始時より所定時間毎(例えば10ms毎)に実行されるものである。
【0043】
本実施形態では、冷却水温度が低下していることが判定された場合に、まず、三方弁19を作動させて、燃料電池スタック11側の流路を遮断すると共に、バイパス流路18側を開通させる(ステップS11)。これにより、冷却水は燃料電池スタック11に流入することなくバイパス流路18を通過して循環することになる。そして、ステップS11における三方弁19の作動が完了して、冷却水が燃料電池スタック11内に流入しなくなった段階で、冷却水ポンプ15を最大許容回転数まで回転させることを許可し、冷却水の流量制御を行う(ステップS12)。
【0044】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のように、低温起動時等のように冷却水の温度が低下している場合に、バイパス流路18を利用して燃料電池スタック11に冷却水を流入させないようにしているので、冷却水ポンプ15の回転数を最大許容回転数まで回転させることを許可しても、燃料電池スタック11の内部に過剰な圧力が加わることがない。したがって、冷却水加熱装置17に対して最大限の流量の冷却水を供給することができ、その結果、低温起動時における暖機促進をより迅速に行うことが可能となる。
【0045】
(第5の実施形態)
本実施形態は、燃料電池スタック11の固体高分子電解質膜が適切に機能する上限温度(燃料電池スタック11の要求上限温度)を考慮して、冷却水加熱装置としての水素燃焼器22に要求される発熱量を演算によって求め、その演算結果に基づいて水素燃焼器22の発熱量を制御するようにしたものである。すなわち、本実施形態では、図1に示した冷却水循環制御系における加熱装置要求発熱量演算手段5が、冷却水流量制御手段3によって制御される冷却水の流量と燃料電池スタック11の要求上限温度とに基づいて、水素燃焼器22に要求される要求発熱量を演算し、この加熱装置要求発熱量演算手段5からの出力に基づいて、発熱量制御手段6が、水素燃焼器22に供給する水素量を制御することでその発熱量を制御するようにしている。なお、本実施形態における燃料電池システムの具体的な構成は、図6に示した第3の実施形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0046】
本実施形態における加熱装置要求発熱量演算手段5が水素燃焼器22に要求される発熱量を演算する具体的な方法について、図8を用いて説明する。加熱装置要求発熱量演算手段5は、図3のフローチャートのステップS4において冷却水流量制御手段3により冷却水の流量が制御されると、この冷却水流量制御手段3によって制御される冷却水の流量と、燃料電池スタック11の要求上限温度Tg[degC]と、さらには水素燃焼器22の出口から燃料電池スタック11の入口までの配管での熱交換分をも考慮して、燃料電池スタック11の入口冷却水温度Th[degC]が燃料電池スタック11の要求上限温度Tg[degC]以下となるように、水素燃焼器22での要求発熱量を演算する。そして、この加熱装置要求発熱量演算手段5により演算された要求発熱量を実現するように、発熱量制御手段6が水素燃焼器22に対する水素供給量を制御する。
【0047】
具体的には、加熱装置要求発熱量演算手段5は、燃料電池スタック11の入口冷却水目標温度Th[degC]及び冷却水流量、さらには冷却水比重、冷却水比熱、水素燃焼器22出口から燃料電池スタック11入口までの冷却水循環流路14の長さ、冷却水循環流路14の配管の内・外径、熱伝導率、雰囲気温度等から燃料電池スタック11入口冷却水目標温度を実現するための水素燃焼器22出口冷却水温度Tf[degC]を演算する。
【0048】
次に、水素燃焼器22入口冷却水温度Te[degC]及び冷却水流量から、上記のようにして演算した水素燃焼器22出口冷却水温度Tf[degC]を実現するための水素冷燃焼器22での要求発熱量を逆算する。そして、発熱量制御手段6が、加熱装置要求発熱量演算手段5によって演算された要求発熱量に基づいて、水素燃焼器22に供給する水素量を制御する。このとき、水素燃焼器22出口冷却水温度が、燃料電池スタック11の要求上限温度Tg[degC]から導かれる冷却水要求上限温度Ti[degC]に達するような場合には、水素燃焼器22の発熱量を制限して、水素燃焼器22出口冷却水温度の上昇を抑制する。なお、水素燃焼器22における水素供給量と発熱量の関係については、予め実験等により求めておく。
【0049】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のように、燃料電池スタック11に流入する冷却水温度が燃料電池スタック11の要求上限温度以下となるように、水素燃焼器22での発熱量を制御するようにしているので、燃料電池スタック11の要求上限温度を越える温度の冷却水が燃料電池スタック11に流入することに起因して燃料電池スタック11の性能が劣化するといった不都合を回避しながら、燃料電池スタック11の温度を迅速に最適な運転温度にまで上昇させることができる。
【0050】
なお、以上は、冷却水を加熱するための冷却水加熱装置として水素燃焼器22を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えば電気ヒータ等の他の加熱装置を用いた場合でも、上述した方法で冷却水加熱装置の発熱量を制御することによって、同様の効果が得られる。
【0051】
(第6の実施形態)
本実施形態は、上述した第5の実施形態の変形例に相当するものであり、水素燃焼器22と熱交換器16の設置順序が第5の実施形態と異なるものである。すなわち、本実施形態の燃料電池システムでは、図9に示すように、冷却水循環流路14における水素燃焼器22の下流位置に熱交換器16が配設されている。水素燃焼器22と熱交換器16とがこのように配置されている場合、水素燃焼器22によって温度上昇された冷却水は、その後、熱交換器16において純水循環流路20を流れる純水との間で熱交換された上で、燃料電池スタック11へと供給されることになる。そこで、本実施形態では、図1に示した冷却水循環制御系における加熱装置要求発熱量演算手段5が、熱交換器16での熱交換分も考慮して、水素燃焼器22に要求される要求発熱量を演算するようにしている。
【0052】
本実施形態における加熱装置要求発熱量演算手段5が水素燃焼器22に要求される発熱量を演算する具体的な方法について、図10を用いて説明する。加熱装置要求発熱量演算手段5は、図3のフローチャートのステップS4において冷却水流量制御手段3により冷却水の流量が制御されると、この冷却水流量制御手段3によって制御される冷却水の流量と、熱交換器16での純水との熱交換分と、燃料電池スタック11の要求上限温度Tg[degC]と、さらには水素燃焼器22の出口から熱交換器16の入口までの配管での熱交換分と、熱交換器16の出口から燃料電池スタック11の入口までの配管での熱交換分をも考慮して、燃料電池スタック11の入口冷却水温度Tn[degC]が燃料電池スタック11の要求上限温度Tg[degC]以下となるように、水素燃焼器22での要求発熱量を演算する。そして、この加熱装置要求発熱量演算手段5により演算された要求発熱量を実現するように、発熱量制御手段6が水素燃焼器22に対する水素供給量を制御する。
【0053】
具体的には、予め実験などにより熱交換器16における熱交換器16入口純水温度・純水流量と熱交換器16入口冷却水温度・冷却水流量における熱交換分の特性を求めておく。そして、加熱装置要求発熱量演算手段5は、燃料電池スタック11の入口冷却水目標温度Tn[degC]及び冷却水流量、さらには冷却水比重、冷却水比熱、熱交換器16出口から燃料電池スタック11入口までの冷却水循環流路14の長さ、冷却水循環流路14の配管の内・外径、熱伝導率、雰囲気温度等から熱交換器16出口冷却水目標温度Tm[degC]を逆算する。
【0054】
さらに、演算した熱交換器16出口冷却水目標温度Tm[degC]と冷却水流量と熱交換器16入口純水温度と純水流量から、上記した熱交換器16での熱交換分の特性を基にして、熱交換器16入口冷却水目標温度Tl[degC]を逆算する。最後に、演算した熱交換器16入口冷却水目標温度Tl[degC]及び冷却水流量、さらには冷却水比重・比熱、水素燃焼器22出口から熱交換器16入口までの冷却水循環流路14の長さ、冷却水循環流路14の配管の内・外径、熱伝導率、雰囲気温度等から水素燃焼器22出口冷却水目標温度Tk[degC]を逆算する。
【0055】
以上のようにして水素燃焼器22出口冷却水目標温度Tk[degC]を求めたら、加熱装置要求発熱量演算手段5は、これを実現するための水素冷燃焼器22での要求発熱量を逆算する。そして、発熱量制御手段6が、加熱装置要求発熱量演算手段5によって演算された要求発熱量に基づいて、水素燃焼器22に供給する水素量を制御する。なお、水素燃焼器22における水素供給量と発熱量の関係については、予め実験等により求めておく。
【0056】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のように、熱交換器16における冷却水と純水との間での熱交換分も考慮した上で、燃料電池スタック11に流入する冷却水温度が燃料電池スタック11の要求上限温度以下となるように、水素燃焼器22での発熱量を制御するようにしているので、燃料電池スタック11の要求上限温度を越える温度の冷却水が燃料電池スタック11に流入することに起因して燃料電池スタック11の性能が劣化するといった不都合を回避しながら、燃料電池スタック11の温度を迅速に最適な運転温度にまで上昇させることができる。
【0057】
なお、以上は、冷却水を加熱するための冷却水加熱装置として水素燃焼器22を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えば電気ヒータ等の他の加熱装置を用いた場合でも、上述した方法で冷却水加熱装置の発熱量を制御することによって、同様の効果が得られる。
【0058】
(第7の実施形態)
本実施形態は、燃料電池スタック11入口に温度検出手段を設け、この温度検出手段によって燃料電池スタック11入口での冷却水温度を検出して、燃料電池スタック11入口での冷却水温度が所定の条件を満たした場合にのみ、燃料電池本体11に冷却水を流入させることを許可し、それ以外の場合にはバイパス流路18を利用して冷却水を燃料電池スタック11からバイパスさせるようにしたものである。なお、本実施形態における燃料電池システムの具体的な構成は、図2に示した第1の実施形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0059】
本実施形態では、冷却水をバイパスさせるかどうかを決定する際に、まず、温度検出手段によって燃料電池スタック11入口での冷却水温度を検出する。そして、温度検出手段によって検出された燃料電池スタック11入口での冷却水温度が、以下の条件(A)及び(B)の双方を満たしている場合にのみ、燃料電池本体11に冷却水を流入させることを許可して、上述した第1の実施形態と同様の方法で流量制御された冷却水を燃料電池スタック11に流入させる。
【0060】
条件(A):冷却水の粘度が所定値を下回っていると推測される冷却水温度以上であること。
【0061】
条件(B):燃料電池スタック11の固体高分子電解質膜の要求上限温度以下であること。
【0062】
ここで、条件(A)の所定値は、燃料電池スタック11内での冷却水圧力が燃料電池スタック11の要求耐圧以上とならない値に設定される。また、冷却水の粘度と温度との関係は予め実験等により求めておき、その関係に基づいて上記条件(A)の冷却水温度を決定する。
【0063】
一方、温度検出手段によって検出された燃料電池スタック11入口での冷却水温度が、条件(A)や条件(B)を満たしていない場合には、上述した第4の実施形態と同様に、三方弁19を作動させてバイパス流路18側を開通させ、冷却水をバイパス流路18側に流入させる。そして、冷却水ポンプ15を最大許容回転数まで回転させることを許可して、冷却水の流量制御を行う。
【0064】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のように、燃料電池スタック11入口での冷却水温度が上記条件(A)及び(B)の双方を満たしている場合にのみ、燃料電池本体11に冷却水を流入させることを許可し、それ以外の場合には冷却水を燃料電池スタック11からバイパスさせるようにしているので、燃料電池スタック11の性能低下を招くことなく、燃料電池スタック11の温度を迅速に最適な運転温度にまで上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池システムにおける冷却水循環制御系の基本概念を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態の燃料電池システムにおける冷却水の循環制御処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】冷却水温度と、圧力、流量との関係を示す特性図である。
【図5】ガス圧と冷却水圧力との関係を示す特性図である。
【図6】第3の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図7】第4の実施形態の燃料電池システムにおける冷却水の循環制御処理の概略を示すフローチャートである。
【図8】冷却水循環流路中での位置と、そこでの冷却水温度との関係を示す特性図である。
【図9】第6の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図10】水素燃焼器の後段に熱交換器が配設された場合における冷却水循環流路中での位置と、そこでの冷却水温度との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 燃料電池内冷却水圧力検出手段
2 燃料電池発電量・冷却要求分演算手段
3 冷却水流量制御手段
4 冷却水温度検出手段
5 加熱装置要求発熱量演算手段
6 発熱量制御手段
11 燃料電池スタック
12 冷却水循環系
13 純水循環系
14 冷却水循環流路
15 冷却水ポンプ
16 熱交換器
17 冷却水加熱装置
18 バイパス流路
19 三方弁
22 水素燃焼器
23 水素供給配管
24 可変バルブ

Claims (12)

  1. 循環する冷却水の熱で燃料電池本体の温度調整を行う燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池本体内部における冷却水圧力を検出する燃料電池内冷却水圧力検出手段と、
    冷却水の流量を制御する冷却水流量制御手段と、
    冷却水を加熱する冷却水加熱手段とを備え、
    燃料電池発電量もしくは燃料電池冷却要求分に応じて冷却水の目標流量が設定されると共に、
    低温起動時には、前記冷却水流量制御手段が、前記燃料電池内冷却水圧力検出手段により検出される当該温度における燃料電池内冷却水圧力が前記燃料電池本体の要求耐圧以下となるように冷却水の流量を制御し、前記冷却水加熱手段が、前記冷却水流量制御手段によって流量制御された冷却水を加熱することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池本体内部に流入する水素及び空気の圧力を検出する燃料電池内ガス圧検出手段と
    前記燃料電池内ガス圧検出手段からの出力と前記燃料電池内冷却水圧力検出手段からの出力とに基づいて、前記燃料電池本体内部におけるガス圧と冷却水圧力との差圧を演算する差圧演算手段を備え、
    前記冷却水流量制御手段は、前記差圧演算手段からの出力が所定範囲内に入るように冷却水の流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 冷却水を循環させる冷却水用ポンプを備え、
    前記冷却水流量制御手段は、前記冷却水用ポンプの回転数を制御することにより冷却水の流量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記冷却水加熱手段は、水素燃焼器であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池システム。
  5. 前記冷却水加熱手段は、電気ヒータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池システム。
  6. 循環する冷却水を前記燃料電池本体からバイパスさせるバイパス手段を有し、
    低温起動時には、前記バイパス手段により前記燃料電池本体への冷却水の流入を遮断すると共に、前記冷却水用ポンプの最大許容回転数までの回転を許可することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  7. 前記冷却水流量制御手段によって制御される冷却水の流量と前記燃料電池本体の要求上限温度とに基づいて、前記冷却水加熱手段に要求される要求発熱量を演算する要求発熱量演算手段を備え、
    前記要求発熱量演算手段からの出力に基づいて前記冷却水加熱手段の発熱量が制御されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の燃料電池システム。
  8. 前記冷却水加熱手段における冷却水出口温度が前記燃料電池本体の要求上限温度から導かれる上限温度に達した場合には、前記冷却水加熱手段の発熱量を制限することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記冷却水加熱手段が水素燃焼器であり、この水素燃焼器に対する水素供給量を制限することにより発熱量を制限することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記冷却水加熱手段の下流位置に、冷却水と加湿用純水との間で熱交換を行うための熱交換器を備えており、
    前記要求発熱量演算手段は、前記熱交換器において冷却水と熱交換する純水温度を演算データに加えて前記要求発熱量を演算することを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の燃料電池システム。
  11. 前記燃料電池本体入口での冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段を有し、
    前記冷却水温度検出手段から出力される検出温度が、冷却水の粘度が所定値を下回っていると推測される温度以上で、且つ前記燃料電池本体の要求上限温度以下である場合に、冷却水を前記燃料電池本体に流入させることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載の燃料電池システム。
  12. 循環する冷却水の熱で燃料電池本体の温度調整を行う燃料電池システムにおいて、
    燃料電池発電量もしくは燃料電池冷却要求分に応じて前記冷却水の目標流量を設定すると共に、
    低温起動時には、前記燃料電池本体内部における冷却水圧力が前記燃料電池本体の要求耐圧以下となるように前記冷却水の流量を制御して、流量制御された冷却水を加熱して前記燃料電池本体に供給することを特徴とする燃料電池システム。
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