JP2004303446A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池システムの暖機時の発電効率を向上する。
【解決手段】燃料電池1と、燃料電池に流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出手段9と、燃料電池に流入する冷媒の温度を検出する第一温度検出手段8と、燃料電池に流出する冷媒の温度を検出する第二温度検出手段10と、循環手段と流量制御手段を制御するコントローラ11を備え、コントローラは、圧力検出手段の検出値、もしくは第一、第二温度検出手段の検出温度に基づき算出した冷媒の温度差が所定値を越えているかどうかを判定する。燃料電池暖機時に冷媒の圧力もしくは温度差が所定値を超えている場合、冷媒の圧力もしくは温度差が所定値以下になるように流量制御手段と循環手段とを制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池1と、燃料電池に流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出手段9と、燃料電池に流入する冷媒の温度を検出する第一温度検出手段8と、燃料電池に流出する冷媒の温度を検出する第二温度検出手段10と、循環手段と流量制御手段を制御するコントローラ11を備え、コントローラは、圧力検出手段の検出値、もしくは第一、第二温度検出手段の検出温度に基づき算出した冷媒の温度差が所定値を越えているかどうかを判定する。燃料電池暖機時に冷媒の圧力もしくは温度差が所定値を超えている場合、冷媒の圧力もしくは温度差が所定値以下になるように流量制御手段と循環手段とを制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素などの燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとを電解質膜を介して電気化学反応させて電気エネルギを取り出す燃料電池を駆動源とする燃料電池車両が有害物質を排出しない低公害車両として注目されている。
【0003】
燃料電池車両に搭載される燃料電池としては、燃料電池システムの搭載性や作動温度の観点から、一般に固体高分子電解質型燃料電池が適しているといわれる。この固体高分子電解質型燃料電池の作動温度は、70〜90℃が最適であり、燃料電池システムの構成として、この適正温度に燃料電池を維持するための冷却システム(ラジエータ等)が備えられる。
【0004】
しかしながら、冷間始動時には、燃料電池が適正温度になるまでの暖機運転が必要であり、暖機時には燃料電池を冷却する冷媒をラジエータに流通させず、バイパスさせるほうが暖機時間を短縮できる。さらにはこのバイパス流路に冷媒を加熱する加熱手段を備え、冷媒を加熱し、燃料電池の暖機を促進することが知られる(例えば、特許文献1と2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−117876号公報
【特許文献2】
特開2002−233044号公報
従来技術では、暖機時に冷媒はラジエータへの流路には流通されず、加熱手段を設けたバイパス流路にのみ流通する。一般に、バイパス流路の流路径が、レイアウト要件等により制限されるとラジエータが設置されたラジエータ流路に比して圧力損失が大きくなる。このような場合には、所定流量を確保するために循環ポンプの回転速度を上昇させて対応する必要があるが、循環ポンプの回転速度は燃料電池の許容圧力により制限される。このため、燃料電池の許容圧力を越えないように燃料電池の出力制限を行い、燃料電池の発熱量を抑制して必要な冷媒流量を低減し、循環ポンプの回転速度を低回転化する技術がある(特許文献3参照。)。
【特許文献3】
特開2002−184435号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、燃料電池の許容圧力に応じて燃料電池の発電量が制限されるため、目標発電量を発電するために必要な圧力が許容圧力を超える場合には発電量を制限して許容圧力となるように制御するため、目標発電量を発生することができないという問題がある。
【0007】
したがって、本発明においては、上記の技術的課題を鑑みて、暖機時における冷却システムを最適化する燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料電池システムにおいて、燃料電池暖機時に冷媒の圧力が所定圧力を超えている場合、もしくは燃料電池暖機時に冷媒の温度差が所定温度差を超えている場合に冷媒圧力検出手段の検出値もしくは冷媒温度差算出手段の算出値に応じて流量制御手段と循環手段とを制御する。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池暖機時に冷媒圧力(または冷媒の燃料電池流入温度と流出温度の差)が所定値を超えている場合、冷媒の圧力または温度差に応じて流量制御手段と循環手段とを制御するため、冷媒を循環流路とバイパス流路の双方に流通させることにより循環流路とバイパス流路の圧力損失を低減し、燃料電池の許容冷媒圧力を越えることなく、冷媒流量を増量し、燃料電池の発電量の制限を抑制できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用する燃料電池システムの冷却システムの概略図である。冷却システムは、燃料電池1に冷媒を循環させる循環流路2と、循環流路2に設置された熱交換器、例えばラジエータ(放熱手段)3と、ラジエータ3をバイパスして冷媒を循環させるためのバイパス流路4と、循環流路2とバイパス流路4との分岐点に設置され、循環流路2に流通する冷媒の流量とバイパス流路4に流通する冷媒の流量との分配割合を制御する三方弁(流量制御手段)5と、冷媒を循環させるための循環ポンプ(循環手段)6とからなる。さらにバイパス流路4には冷媒を加熱するためのヒータ(加熱手段)7が設置される。なお、ここでバイパス流路4の内径は、循環流路2の内径より小さく、したがって圧力損失は、バイパス流路4のほうが循環流路2より大きい。またヒータ7により加熱される冷媒は、燃料電池1の暖機のために用いられる。
【0011】
循環流路2には燃料電池1に流入する冷媒の温度を検出する上流側温度センサ(第一温度検出手段)8および冷媒の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)9とが設置されるとともに、燃料電池1から流出する冷媒の温度を検出する下流側温度センサ10(第二温度検出手段)が設置される。これら3つのセンサの出力は、コントローラ11に送られ、コントローラ11には、これら入力値と温度センサ12により検出される外気温、及び車速センサ13により検出される車速が入力され、さらに目標発電量とヒータ7の運転状態が入力される。コントローラ11は、これら入力値に基づいて循環ポンプ6、三方弁5及びヒータ7を制御する。
【0012】
図2はコントローラ11を構成する制御ブロック図である。
【0013】
燃料電池発熱量推定手段21は、燃料電池が搭載される車両の運転状態等に基づき演算された目標発電量から燃料電池1の発熱量を推定し、推定した発熱量を冷媒熱収支演算部24に出力する。また、ヒータ発熱量推定手段22は、ヒータ7のオンオフ情報が入力され、この情報に基づいて冷媒を加熱するヒータ7の発熱量が推定される。なお、ヒータ7の発熱量は、予め実験等により測定しておいてもよい。また、ラジエータ放熱量推定手段23には、温度センサ12、車速センサ13により検出された車速と外気温とが入力され、ラジエータ3の放熱量が推定される。推定されたヒータ発熱量とラジエータ放熱量は冷媒熱収支演算部24に出力され、冷媒熱収支演算部24では入力された燃料電池1の発熱量とヒータ7の発熱量とラジエータ3の放熱量とに基づき冷却システムの熱収支を演算する。
【0014】
演算された冷媒の熱収支は、三方弁目標開度演算部25に出力される。また、三方弁目標開度演算部25には温度センサ8、10により検出された燃料電池1の上下流での冷媒温度が入力される。三方弁目標開度演算部25では、これら入力値に基づいてラジエータ3とバイパス流路4とへの冷媒の分配割合を制御する三方弁5の目標開度を演算し、この演算された三方弁の目標開度に基づいて三方弁作動手段26が三方弁5の開度を制御する。
【0015】
循環ポンプ回転速度演算部31は、三方弁目標開度演算部25で演算された三方弁目標開度のほか、目標発電量、燃料電池1の上下流冷媒温度及び圧力センサ9で検出される燃料電池上流での冷媒圧力とが入力されて、これら入力値に基づいて循環ポンプ6の目標回転速度が演算される。この目標回転速度に応じて循環ポンプ6の回転速度が循環ポンプ作動手段32により制御される。
【0016】
目標発電量制限判定部41には、目標発電量と燃料電池1の上下流の冷媒温度とが入力され、これら入力値に基づいて目標発電量を制限する必要があるかどうかを判定し、制限する必要がある場合には新たな目標発電量を設定し、この判定結果に応じて電力取り出し手段42を制御する。
【0017】
図3は、コントローラ11が燃料電池システム暖機時に実施する制御内容を説明するためのフローチャートである。この制御処理は、たとえば10msec毎に実施される。
【0018】
まず、ステップ1で目標発電量を読み込み、ステップ2とステップ3で温度センサ8、10が検出した燃料電池1の上流側冷媒温度Tinと下流側冷媒温度Toutを読み込む。続くステップ4で読み込んだ上流側と下流側の冷媒の温度差ΔT(=Tout−Tin)を算出する(冷媒温度差算出手段)。
【0019】
ステップ5では圧力センサ9が検出する冷媒圧力Pを読み込み、ステップ6でこれら温度データ、圧力データ、目標発電量等を用いて循環ポンプ6の目標回転速度Rを演算する。この目標回転速度Rの演算方法については図5を用いて詳しく後述する。
【0020】
循環ポンプ6の目標回転速度Rを演算したら、ステップ7で燃料電池の目標発電量から燃料電池の発熱量QCSAを演算する。燃料電池の発熱量QCSAは、図4に示すように燃料電池1の発熱量QCSAと目標発電量とは略比例関係にあり、この関係を予め実験等により測定し、測定結果をマップとして記憶しておき、記憶したマップを用いて目標発電量から算出する(発熱量推定手段)。
【0021】
続くステップ8では、車速や外気温等に基づいてラジエータ3の放熱量QRADを演算する(放熱量推定手段)。このラジエータ3の放熱量QRADの演算方法については、図8を用いて説明する。続くステップ9では、これまで演算した燃料電池の発熱量QCSA、ラジエータ3の放熱量QRAD及び予め実験等により求め記憶しておいたヒータ7の発熱量QBPから冷媒の熱収支QTを下式により演算する。
【0022】
QT=QCSA+QBP−QRAD
ステップ10では、ステップ9で演算した冷媒の熱収支と燃料電池1の上流側と下流側の冷媒温度とに基づいて三方弁5の目標開度Sを演算する。この目標開度Sの演算方法については、図10を用いて説明する。
【0023】
三方弁5の目標開度Sを演算後、ステップ11で、ステップ4で算出した冷媒温度差ΔTが所定温度差T3を越えているか判定する(冷媒温度差判定手段)。所定温度差T3以下であれば、制御を終えて演算された循環ポンプ目標回転速度R、三方弁目標開度Sとなるように循環ポンプ6と三方弁5を制御する。
【0024】
一方、冷媒温度差ΔTが所定温度差T3より大きい場合には、ステップ12で、目標発電量を制限する必要があると判定し、目標発電量の前回値から一定値TPmを差し引いた値を新たな目標発電量として設定し、この新たな目標発電量で燃料電池1の発電量を抑制し、制御を終える。一定値TPmは、実験等により予め決定し、記憶しておく。
【0025】
図5に示すフローチャートは、図3のフローチャートのステップ6で演算する循環ポンプ6の目標回転速度Rの演算方法を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まずステップ21で、例えば燃料電池システムが搭載される車両の運転状態等に応じて設定される燃料電池1の目標発電量と三方弁5の前回値とから、図6に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第1目標回転速度R1を算出する。図6のマップは予め実験等により算出し、マップとして記憶しておく。
【0027】
続くステップ22で、燃料電池1の入口側冷媒温度と出口側冷媒温度との温度差ΔTから図7に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第2目標回転速度R2を算出する。そして第1目標回転速度R1と第2目標回転速度R2を比較し、大きい方を目標回転速度Rと設定する。なお、図7のマップと図7中の循環ポンプ6が運転を開始する温度差T1は、予め実験等により求め、記憶しておく。
【0028】
ステップ23では、燃料電池1に流入する冷媒の上限圧力Pmaxを発生する循環ポンプの上限回転速度Rmaxを目標回転速度Rの上限とし、目標回転速度RがRmaxを越えている場合には、R=Rmaxとする制御を行う。
【0029】
なお、冷媒の上限圧力Pmax、循環ポンプの上限回転速度Rmaxは、予め実験等により求めておく。
【0030】
図8のフローチャートは、図3のステップ8のラジエータ放熱量QRADの演算方法を説明するものである。
【0031】
まずステップ31とステップ32でセンサ12、13により検出される外気温Toと車速Vとを読み込む。続くステップ33では、読み込んだ車速Vから下式よりラジエータ3の通過風量Fを求める。
【0032】
F=K×V
ここでKは、ラジエータ3の特性を示す係数であり、ラジエータの容積や開口面積により定まり、予め実験等により求めておく。
【0033】
ステップ34では、図9に示すようなラジエータ通過風量とラジエータ放熱率との関係を示すマップを用い、算出したラジエータ通過風量Fから放熱率HRADを算出する。そしてこの放熱率HRADから放熱量QRADを下式から算出する。
【0034】
QRAD=HRAD(Tout−To)
図10のフローチャートは、ステップ10の三方弁5の目標開度Sの演算方法を説明するフローチャートである。
【0035】
ステップ41で、燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutとの温度差ΔTを算出し、図11に示すようなマップから温度差ΔTに対応する目標開度Sを算出する(請求項11の目標値設定手段)。なお図11の特性及び図中Sminは、循環流路2とバイパス流路4の総圧力損失が最も小さくなる三方弁5の開度であり、予め実験等により求めておく。また三方弁5の開度の調整を開始する所定温度差T2についても予め実験等により求めておく。
【0036】
ステップ42でステップ9で演算した冷媒の熱収支QTを読み込んで、熱収支QTが正の値であれば燃料電池1が暖機できるとして制御を終了し、負の値であれば燃料電池1から熱が奪われ暖機ができないためステップ43に進み、目標開度Sを補正する。ステップ43での目標開度Sの補正は、目標開度の前回値に対して所定開度STだけ補正してより多くヒータ7に冷媒が流れるように目標開度Sを補正する。ヒータ7に冷媒を多く流すことで燃料電池1に流入する冷媒温度が上昇し、熱収支が改善される。所定開度STは予め実験等により求めておく。
【0037】
なお、本実施形態中に用いられるステップ22の所定温度差T1と、ステップ41の所定温度差T2と、さらにステップ11の所定温度差T3の関係は以下で示される。
【0038】
T1<T2<T3
すなわち、図3に示すフローチャートにおいて、循環ポンプ6の目標回転速度演算(ステップ6)、三方弁5の目標開度演算(ステップ10)、燃料電池1の入口と出口での冷媒温度差ΔT(ステップ11)判定の順で、基準となる燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutの所定温度差は大きくなる。
【0039】
したがって、本実施形態では、図3のステップ6で循環ポンプ6の目標回転速度Rを演算し、冷媒は燃料電池1の発熱量QCSAに応じて流量が設定される。燃料電池1の発電状況に応じて燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutの温度差ΔTが所定温度差T1より大きい場合には、循環ポンプ6の目標回転速度Rを上昇補正して冷媒流量を増加させ、温度差ΔTが所定温度差T3以下となるように循環ポンプ6を制御する。これは、温度差ΔTが所定温度差T3より大きい場合には、燃料電池1内で温度分布に不均一が生じている可能性があり、部分的に高温部が生じ、この高温部でセルが耐熱限界を超えて劣化する恐れが生じることを防止するためである。
【0040】
一般に、冷媒として用いられるエチレングリコールは低温時において粘性が高いため、燃料電池1の入口側の冷媒圧力の上限値によって冷媒流量が制限されて燃料電池1を適正温度に維持するために必要な流量を供給できない場合がありうる。このような場合には、三方弁の開度をラジエータ3側に冷媒が流れるように制御すると流路の総圧力損失が減少して必要流量を確保することが可能となる。しかしこの場合には、冷媒温度がラジエータ3を通過することにより低下し、燃料電池1の暖機が遅れることになる。
【0041】
そこで本発明では、燃料電池システムの暖機時に、循環ポンプ6と三方弁5とを制御して前述の燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutの温度差ΔTが所定温度差T3以下とする制御を実施するため、流路系の圧力損失を調整して、燃料電池1の入口側での冷媒圧力の上限を守りつつ、燃料電池1へより多くの冷媒を供給することができ、かつ燃料電池1での入口側と出口側との冷媒温度差を所定温度に抑制できる。
【0042】
また、ステップ9に示したように演算した冷媒の熱収支QTが正の値を維持する範囲となるように三方弁5の開度を制御する。このような制御とすることにより、燃料電池1の暖機時間を維持できるとともに、燃料電池の発電量の低減を抑制することができる。なお、本実施形態のように冷媒を加熱するヒータ7を用い、ヒータ7の熱量を考慮して、制御するようにしてもよい。。
【0043】
また暖機時においてもラジエータ3を配置した循環流路2とバイパス流路4との双方に冷媒を流すので、流路の総圧力損失を低減し、結果として循環ポンプ6の上限回転速度を上昇することができる。
【0044】
本実施形態においては、バイパス流路4にヒータ7を設置して冷媒を加熱し、冷媒の温度を速やかに所定温度まで加熱したが、これに限らず燃料電池に供給する水素と酸素とを用いて発熱する燃焼器を用いて冷媒を加熱する構成としても良い。
【0045】
また、ラジエータ3の入口側と出口側にそれぞれ冷媒温度を検出する温度センサを設けて、検出された冷媒温度差に基づいてラジエ−タ3の放熱量の演算を行っても良く、このときラジエータ入口側の冷媒温度として燃料電池1の出口側温度を用いてもよい。
【0046】
図10の三方弁目標開度を演算するフローチャートのステップ41で、燃料電池1の入口側と出口側との冷媒の温度差ΔTに基づいて三方弁目標開度を演算したが、燃料電池1に流入する冷媒の圧力に基づいて演算してもよい。
【0047】
さらに、ラジエータ3に流入する冷媒とヒータ7に流入する冷媒の流量の分配を行う三方弁5を設置したが、これに限らずそれぞれの流路の制御弁を設けて、コントローラ11により、これら制御弁の開度を制御するようにしてもよい。
【0048】
図12は、第2の実施形態の冷却システムの概要図である。この実施形態は、第1の実施形態に対して燃料電池1に水素を供給する水素流路14と酸素(空気等酸化ガス)を供給する酸素流路15とを追加した構成である。さらに水素流路14には燃料電池1に供給される水素の圧力を制御する制御弁(燃料ガス圧力制御手段)16と、圧力を検出する水素圧力センサ(燃料ガス圧力検出手段)17が、酸素流路15には燃料電池1に供給される酸素の圧力を制御する制御弁(酸化ガス圧力制御手段)18と酸素圧力を検出する酸素圧力センサ(酸化ガス圧力検出手段)19が設置され、これらのセンサの検出信号はコントローラ20に送信される。さらにコントローラ20にはコントローラ11に入力される信号が入力される。
【0049】
この実施形態では、冷媒の圧力の上昇に応じて水素と酸素の目標圧力を上昇補正することに特徴を有し、循環ポンプ6の上限回転速度を上昇して冷媒の流量を増加することができる。
【0050】
図13は、コントローラ20を構成する制御ブロック図である。図2に示すコントローラ11の制御ブロックに対して異なる点は、ガス目標圧力補正演算部51とガス調圧手段52とを備えた点である。相違点について以下に説明する。
【0051】
ガス目標圧力補正演算部51には、図示しないガス目標圧力演算部により演算された水素圧力目標値と酸素圧力目標値とが入力され、さらに水素圧力検出センサ17の検出値、酸素圧力検出センサ19の検出値、燃料電池1の上下流での冷媒温度検出値、目標発電量が入力される。ガス目標圧力補正演算部51はこれら入力値に基づいて水素圧力目標値と酸素圧力目標値とを補正し、この補正値をガス調圧手段52に出力し、この補正値に基づいてガス調圧手段52が水素圧力と酸素圧力とを調圧する。なお、ガス調圧手段52は、制御弁16、18に相当する。
【0052】
図14は本実施形態の制御内容を説明するフローチャートであり、図3に示す第1の実施形態のフローチャートに比較して、ステップ5の次にステップ51としてガス圧力補正演算のステップが追加され、またステップ6の循環ポンプ回転速度演算の制御内容が変更されてステップ52となっている。他の制御内容については図3のフローチャートと同じである。ステップ51で実施されるガス圧力補正とは、燃料電池1に供給される水素あるいは酸化ガス(例えば、酸素や空気)の供給圧力が燃料電池1に流入する冷媒の圧力に対して所定の圧力差を維持するように、供給圧力を補正制御するものである。以下、図15のフローチャートを用いて、ステップ51で実施されるガス圧力補正演算の詳細を説明する。
【0053】
まず、ステップ61で水素目標圧力PTH2を、ステップ62で酸素目標圧力PTO2を読み込む。次にステップ63とステップ64で、水素圧力センサ17と酸素圧力センサ19の検出値PH2、PO2を読み込む。ステップ65では、燃料電池1に流入する冷媒の圧力Pを圧力センサ9から読み込む。
【0054】
ステップ66では、読み込んだ水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2(=PH2−P)を検出し、ステップ67では、読み込んだ酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2(=PO2−P)を検出する(差圧算出手段)。
【0055】
そしてステップ68で、水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2が所定圧力PDH2Tより小さい場合にはステップ69に進み水素目標補正圧力PTH2´を演算し、それ以外の場合には水素目標補正圧力PTH2´=水素目標圧力PTH2としてステップ70に進む。ここで所定圧力PDH2Tは、水素圧力を上昇させる閾値であり、予め実験等により求めた値である。
【0056】
ステップ69では、水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2が、目標差圧PTDH2となるように下式を用いて水素目標補正圧力PTH2´を演算する。
【0057】
PTH2´=P+PTDH2
ここでPTH2´は、燃料電池システムの制約による水素圧力上限値を越えないように制御される。なお目標差圧PTDH2は、水素が冷却水内に入り込まない限界差圧であり、予め実験等により求めた値である。
【0058】
ステップ70では、酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2が所定圧力PDO2Tより小さい場合にはステップ71に進み酸素目標補正圧力PTO2´を演算し、それ以外の場合には酸素目標補正圧力PTO2´=水素目標圧力PTO2として制御を終了する。
【0059】
ステップ71では、酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2が、目標差圧PT DO2となるように下式を用いて酸素目標補正圧力PTO2´を演算し、制御を終了する。
【0060】
PTO2´=P+PTDO2
ここでPTO2´は、燃料電池システムの制約による酸素圧力上限値を越えないように制御される。なお目標差圧PTDO2は、酸素が冷媒内に入り込まない限界差圧であり、予め実験等により求めた値である。
【0061】
図16は、この制御内容を説明するためのタイミングチャートである。図中のガスを水素として以下説明する。この場合、水素圧力が冷媒圧力よりも高い状態である。
【0062】
時刻t1までは水素圧力、冷媒圧力ともに一定で推移し、その水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2も一定である。時刻t1で燃料電池の運転状態等に応じて冷媒圧力Pが上昇を開始する。そして時刻t2で水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2が所定圧力PDH2Tより小さくなった時、水素圧力PH2の上昇を開始する。この時、水素圧力PH2は、目標差圧PTDH2以上を維持するように補正、制御される。したがって、この実施形態では、水素や酸素などのガスが冷媒中に入り、ガスの循環が困難になるという問題が生じることはない。
【0063】
また、このフローチャートの制御においては、水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2または酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2が目標差圧PTDH2、PTDO2以上となるように補正制御したが、燃料電池システムの要求から目標差圧PTDH2、PTDO2以下となるように補正制御する場合には、上述と同様のロジックを用いて、目標差圧以下となるように制御を実施すれば良い。
【0064】
図17は、目標差圧PTDH2、PTDO2以下となるように補正制御する場合の制御内容を説明するためのタイミングチャートである。図中のガスを水素として以下説明する。この場合、冷媒圧力が水素圧力よりも高い状態となる。
【0065】
時刻t1までは水素圧力、冷媒圧力ともに一定で推移し、その水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2も一定である。時刻t1で燃料電池の運転状態等に応じて冷媒圧力Pが上昇を開始し、水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2が大きくなっていく。そして時刻t2で水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2が所定圧力PDH2Tより大きくなった時、水素圧力PH2の上昇を開始する。この時、水素圧力PH2の上昇は、目標差圧PTDH2以下を維持するように補正、制御される。ここでの目標差圧PTDH2は、冷媒が水素中に入り込まない限界差圧であり、予め実験等により求めた値である。したがって、この場合には、冷媒が水素や酸素などのガス中に入り、冷媒の循環が困難になるという問題が生じることがない。
【0066】
図18は、ステップ52で演算する循環ポンプ6の目標回転速度Rの算出方法の詳細を説明するフローチャートである。図18のフローチャートは図5に示すフローチャートに比較してステップ21とステップ22は同一であり、それ以降のステップが相違する。
【0067】
まずステップ21で、例えば燃料電池システムが搭載される車両の運転状態等に応じて設定される燃料電池1の目標発電量と三方弁5の前回値とから、図6に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第1目標回転速度R1を算出する。続くステップ22で、燃料電池1の入口側冷媒温度と出口側冷媒温度との温度差ΔTから図7に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第2目標回転速度R2を算出する。そして第1目標回転速度R1と第2目標回転速度R2を比較し、大きい方を目標回転速度Rと設定する。なお、図7中の温度差T1は、予め実験等により設定しておく。
【0068】
続くステップ81では、水素と冷媒との差圧下限値から冷媒の圧力上限値PDH2maxを下式より算出する。
【0069】
PDH2max=PH2−PRH2
ここで、PRH2は水素と冷媒との差圧下限値であり、燃料電池1の仕様により定まる。したがって、水素圧力を大きくすれば、冷媒の圧力上限値PDH2maxを大きくすることができる。
【0070】
次に、酸素と冷媒との差圧下限値から冷媒の圧力上限値PDO2maxを下式より算出する。
【0071】
PDO2max=PO2−PRO2
ここで、PRO2は酸素と冷媒との差圧下限値であり、燃料電池1の仕様により定まる。したがって、酸素圧力を大きくすれば、冷媒の圧力上限値PDO2maxを大きくすることができる。
【0072】
ステップ82で、冷媒の圧力上限値PDH2maxとPDO2maxを比較して小さい方を代表値として、図19に示すようなマップから循環ポンプ上限回転速度RPmaxを算出する。図19のマップは、予め実験等により求めてコントローラ11に記憶しておく。
【0073】
続くステップ83で、燃料電池1に流入する冷媒の上限圧力であるPmax時の循環ポンプ回転速度Rmaxと、水素と冷媒または酸素と冷媒との差圧から決定される循環ポンプの上限回転速度RPmaxとの小さい方を循環ポンプ6の回転速度Rの上限回転速度とする。なお、循環ポンプ回転速度Rmaxは、予め実験等により求めておく。
【0074】
この制御においては、水素圧力PH2、酸素圧力PO2を冷媒の圧力に応じて補正制御することで、冷媒の圧力上限値を増加でき、結果として循環ポンプ6の回転速度制限を上昇させることができる。
【0075】
本実施形態においては、燃料電池1に供給される水素の圧力を検出する水素圧力センサ23を設置したが、燃料電池1の目標発電量から推定しても良い。酸素圧力についても同様に燃料電池1の目標発電量から推定しても良い。
【0076】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される燃料電池システムの冷却システムの構成図である。
【図2】コントローラの制御内容を説明するブロック図である。
【図3】コントローラの制御内容を説明するためのフローチャートである。
【図4】目標発電量と発熱量の関係を示す図である。
【図5】循環ポンプの目標回転速度を演算するためのフローチャートである。
【図6】目標発電量と三方弁開度と循環ポンプ目標回転速度との関係を示す図である。
【図7】燃料電池の上流の冷媒温度と下流の冷媒温度との温度差と循環ポンプの目標回転速度との関係を示す図である。
【図8】ラジエータ放熱量を演算するためのフローチャートである。
【図9】ラジエータ通過風量と放熱率との関係を示す図である。
【図10】三方弁の目標開度を演算するためのフローチャートである。
【図11】燃料電池の上流の冷媒温度と下流の冷媒温度との温度差と三方弁目標開度との関係を示す図である。
【図12】第2の実施形態の冷却システムの構成図である。
【図13】第2の実施形態のコントローラの制御内容を説明するブロック図である。
【図14】第2の実施形態のコントローラの制御内容を説明するためのフローチャートである。
【図15】ガス目標補正圧力の演算のためのフローチャートである。
【図16】図15のフローチャートの制御内容を説明するタイミングチャートである。
【図17】目標差圧以下となるように補正制御する場合の制御内容を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】循環ポンプの目標回転速度の演算のためのフローチャートである。
【図19】冷媒圧力と三方弁開度と循環ポンプ回転速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 循環流路
3 ラジエータ
4 バイパス流路
5 三方弁
6 循環ポンプ
7 ヒータ
8 温度センサ
9 圧力センサ
10 温度センサ
11 コントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素などの燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとを電解質膜を介して電気化学反応させて電気エネルギを取り出す燃料電池を駆動源とする燃料電池車両が有害物質を排出しない低公害車両として注目されている。
【0003】
燃料電池車両に搭載される燃料電池としては、燃料電池システムの搭載性や作動温度の観点から、一般に固体高分子電解質型燃料電池が適しているといわれる。この固体高分子電解質型燃料電池の作動温度は、70〜90℃が最適であり、燃料電池システムの構成として、この適正温度に燃料電池を維持するための冷却システム(ラジエータ等)が備えられる。
【0004】
しかしながら、冷間始動時には、燃料電池が適正温度になるまでの暖機運転が必要であり、暖機時には燃料電池を冷却する冷媒をラジエータに流通させず、バイパスさせるほうが暖機時間を短縮できる。さらにはこのバイパス流路に冷媒を加熱する加熱手段を備え、冷媒を加熱し、燃料電池の暖機を促進することが知られる(例えば、特許文献1と2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−117876号公報
【特許文献2】
特開2002−233044号公報
従来技術では、暖機時に冷媒はラジエータへの流路には流通されず、加熱手段を設けたバイパス流路にのみ流通する。一般に、バイパス流路の流路径が、レイアウト要件等により制限されるとラジエータが設置されたラジエータ流路に比して圧力損失が大きくなる。このような場合には、所定流量を確保するために循環ポンプの回転速度を上昇させて対応する必要があるが、循環ポンプの回転速度は燃料電池の許容圧力により制限される。このため、燃料電池の許容圧力を越えないように燃料電池の出力制限を行い、燃料電池の発熱量を抑制して必要な冷媒流量を低減し、循環ポンプの回転速度を低回転化する技術がある(特許文献3参照。)。
【特許文献3】
特開2002−184435号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、燃料電池の許容圧力に応じて燃料電池の発電量が制限されるため、目標発電量を発電するために必要な圧力が許容圧力を超える場合には発電量を制限して許容圧力となるように制御するため、目標発電量を発生することができないという問題がある。
【0007】
したがって、本発明においては、上記の技術的課題を鑑みて、暖機時における冷却システムを最適化する燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料電池システムにおいて、燃料電池暖機時に冷媒の圧力が所定圧力を超えている場合、もしくは燃料電池暖機時に冷媒の温度差が所定温度差を超えている場合に冷媒圧力検出手段の検出値もしくは冷媒温度差算出手段の算出値に応じて流量制御手段と循環手段とを制御する。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池暖機時に冷媒圧力(または冷媒の燃料電池流入温度と流出温度の差)が所定値を超えている場合、冷媒の圧力または温度差に応じて流量制御手段と循環手段とを制御するため、冷媒を循環流路とバイパス流路の双方に流通させることにより循環流路とバイパス流路の圧力損失を低減し、燃料電池の許容冷媒圧力を越えることなく、冷媒流量を増量し、燃料電池の発電量の制限を抑制できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用する燃料電池システムの冷却システムの概略図である。冷却システムは、燃料電池1に冷媒を循環させる循環流路2と、循環流路2に設置された熱交換器、例えばラジエータ(放熱手段)3と、ラジエータ3をバイパスして冷媒を循環させるためのバイパス流路4と、循環流路2とバイパス流路4との分岐点に設置され、循環流路2に流通する冷媒の流量とバイパス流路4に流通する冷媒の流量との分配割合を制御する三方弁(流量制御手段)5と、冷媒を循環させるための循環ポンプ(循環手段)6とからなる。さらにバイパス流路4には冷媒を加熱するためのヒータ(加熱手段)7が設置される。なお、ここでバイパス流路4の内径は、循環流路2の内径より小さく、したがって圧力損失は、バイパス流路4のほうが循環流路2より大きい。またヒータ7により加熱される冷媒は、燃料電池1の暖機のために用いられる。
【0011】
循環流路2には燃料電池1に流入する冷媒の温度を検出する上流側温度センサ(第一温度検出手段)8および冷媒の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)9とが設置されるとともに、燃料電池1から流出する冷媒の温度を検出する下流側温度センサ10(第二温度検出手段)が設置される。これら3つのセンサの出力は、コントローラ11に送られ、コントローラ11には、これら入力値と温度センサ12により検出される外気温、及び車速センサ13により検出される車速が入力され、さらに目標発電量とヒータ7の運転状態が入力される。コントローラ11は、これら入力値に基づいて循環ポンプ6、三方弁5及びヒータ7を制御する。
【0012】
図2はコントローラ11を構成する制御ブロック図である。
【0013】
燃料電池発熱量推定手段21は、燃料電池が搭載される車両の運転状態等に基づき演算された目標発電量から燃料電池1の発熱量を推定し、推定した発熱量を冷媒熱収支演算部24に出力する。また、ヒータ発熱量推定手段22は、ヒータ7のオンオフ情報が入力され、この情報に基づいて冷媒を加熱するヒータ7の発熱量が推定される。なお、ヒータ7の発熱量は、予め実験等により測定しておいてもよい。また、ラジエータ放熱量推定手段23には、温度センサ12、車速センサ13により検出された車速と外気温とが入力され、ラジエータ3の放熱量が推定される。推定されたヒータ発熱量とラジエータ放熱量は冷媒熱収支演算部24に出力され、冷媒熱収支演算部24では入力された燃料電池1の発熱量とヒータ7の発熱量とラジエータ3の放熱量とに基づき冷却システムの熱収支を演算する。
【0014】
演算された冷媒の熱収支は、三方弁目標開度演算部25に出力される。また、三方弁目標開度演算部25には温度センサ8、10により検出された燃料電池1の上下流での冷媒温度が入力される。三方弁目標開度演算部25では、これら入力値に基づいてラジエータ3とバイパス流路4とへの冷媒の分配割合を制御する三方弁5の目標開度を演算し、この演算された三方弁の目標開度に基づいて三方弁作動手段26が三方弁5の開度を制御する。
【0015】
循環ポンプ回転速度演算部31は、三方弁目標開度演算部25で演算された三方弁目標開度のほか、目標発電量、燃料電池1の上下流冷媒温度及び圧力センサ9で検出される燃料電池上流での冷媒圧力とが入力されて、これら入力値に基づいて循環ポンプ6の目標回転速度が演算される。この目標回転速度に応じて循環ポンプ6の回転速度が循環ポンプ作動手段32により制御される。
【0016】
目標発電量制限判定部41には、目標発電量と燃料電池1の上下流の冷媒温度とが入力され、これら入力値に基づいて目標発電量を制限する必要があるかどうかを判定し、制限する必要がある場合には新たな目標発電量を設定し、この判定結果に応じて電力取り出し手段42を制御する。
【0017】
図3は、コントローラ11が燃料電池システム暖機時に実施する制御内容を説明するためのフローチャートである。この制御処理は、たとえば10msec毎に実施される。
【0018】
まず、ステップ1で目標発電量を読み込み、ステップ2とステップ3で温度センサ8、10が検出した燃料電池1の上流側冷媒温度Tinと下流側冷媒温度Toutを読み込む。続くステップ4で読み込んだ上流側と下流側の冷媒の温度差ΔT(=Tout−Tin)を算出する(冷媒温度差算出手段)。
【0019】
ステップ5では圧力センサ9が検出する冷媒圧力Pを読み込み、ステップ6でこれら温度データ、圧力データ、目標発電量等を用いて循環ポンプ6の目標回転速度Rを演算する。この目標回転速度Rの演算方法については図5を用いて詳しく後述する。
【0020】
循環ポンプ6の目標回転速度Rを演算したら、ステップ7で燃料電池の目標発電量から燃料電池の発熱量QCSAを演算する。燃料電池の発熱量QCSAは、図4に示すように燃料電池1の発熱量QCSAと目標発電量とは略比例関係にあり、この関係を予め実験等により測定し、測定結果をマップとして記憶しておき、記憶したマップを用いて目標発電量から算出する(発熱量推定手段)。
【0021】
続くステップ8では、車速や外気温等に基づいてラジエータ3の放熱量QRADを演算する(放熱量推定手段)。このラジエータ3の放熱量QRADの演算方法については、図8を用いて説明する。続くステップ9では、これまで演算した燃料電池の発熱量QCSA、ラジエータ3の放熱量QRAD及び予め実験等により求め記憶しておいたヒータ7の発熱量QBPから冷媒の熱収支QTを下式により演算する。
【0022】
QT=QCSA+QBP−QRAD
ステップ10では、ステップ9で演算した冷媒の熱収支と燃料電池1の上流側と下流側の冷媒温度とに基づいて三方弁5の目標開度Sを演算する。この目標開度Sの演算方法については、図10を用いて説明する。
【0023】
三方弁5の目標開度Sを演算後、ステップ11で、ステップ4で算出した冷媒温度差ΔTが所定温度差T3を越えているか判定する(冷媒温度差判定手段)。所定温度差T3以下であれば、制御を終えて演算された循環ポンプ目標回転速度R、三方弁目標開度Sとなるように循環ポンプ6と三方弁5を制御する。
【0024】
一方、冷媒温度差ΔTが所定温度差T3より大きい場合には、ステップ12で、目標発電量を制限する必要があると判定し、目標発電量の前回値から一定値TPmを差し引いた値を新たな目標発電量として設定し、この新たな目標発電量で燃料電池1の発電量を抑制し、制御を終える。一定値TPmは、実験等により予め決定し、記憶しておく。
【0025】
図5に示すフローチャートは、図3のフローチャートのステップ6で演算する循環ポンプ6の目標回転速度Rの演算方法を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まずステップ21で、例えば燃料電池システムが搭載される車両の運転状態等に応じて設定される燃料電池1の目標発電量と三方弁5の前回値とから、図6に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第1目標回転速度R1を算出する。図6のマップは予め実験等により算出し、マップとして記憶しておく。
【0027】
続くステップ22で、燃料電池1の入口側冷媒温度と出口側冷媒温度との温度差ΔTから図7に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第2目標回転速度R2を算出する。そして第1目標回転速度R1と第2目標回転速度R2を比較し、大きい方を目標回転速度Rと設定する。なお、図7のマップと図7中の循環ポンプ6が運転を開始する温度差T1は、予め実験等により求め、記憶しておく。
【0028】
ステップ23では、燃料電池1に流入する冷媒の上限圧力Pmaxを発生する循環ポンプの上限回転速度Rmaxを目標回転速度Rの上限とし、目標回転速度RがRmaxを越えている場合には、R=Rmaxとする制御を行う。
【0029】
なお、冷媒の上限圧力Pmax、循環ポンプの上限回転速度Rmaxは、予め実験等により求めておく。
【0030】
図8のフローチャートは、図3のステップ8のラジエータ放熱量QRADの演算方法を説明するものである。
【0031】
まずステップ31とステップ32でセンサ12、13により検出される外気温Toと車速Vとを読み込む。続くステップ33では、読み込んだ車速Vから下式よりラジエータ3の通過風量Fを求める。
【0032】
F=K×V
ここでKは、ラジエータ3の特性を示す係数であり、ラジエータの容積や開口面積により定まり、予め実験等により求めておく。
【0033】
ステップ34では、図9に示すようなラジエータ通過風量とラジエータ放熱率との関係を示すマップを用い、算出したラジエータ通過風量Fから放熱率HRADを算出する。そしてこの放熱率HRADから放熱量QRADを下式から算出する。
【0034】
QRAD=HRAD(Tout−To)
図10のフローチャートは、ステップ10の三方弁5の目標開度Sの演算方法を説明するフローチャートである。
【0035】
ステップ41で、燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutとの温度差ΔTを算出し、図11に示すようなマップから温度差ΔTに対応する目標開度Sを算出する(請求項11の目標値設定手段)。なお図11の特性及び図中Sminは、循環流路2とバイパス流路4の総圧力損失が最も小さくなる三方弁5の開度であり、予め実験等により求めておく。また三方弁5の開度の調整を開始する所定温度差T2についても予め実験等により求めておく。
【0036】
ステップ42でステップ9で演算した冷媒の熱収支QTを読み込んで、熱収支QTが正の値であれば燃料電池1が暖機できるとして制御を終了し、負の値であれば燃料電池1から熱が奪われ暖機ができないためステップ43に進み、目標開度Sを補正する。ステップ43での目標開度Sの補正は、目標開度の前回値に対して所定開度STだけ補正してより多くヒータ7に冷媒が流れるように目標開度Sを補正する。ヒータ7に冷媒を多く流すことで燃料電池1に流入する冷媒温度が上昇し、熱収支が改善される。所定開度STは予め実験等により求めておく。
【0037】
なお、本実施形態中に用いられるステップ22の所定温度差T1と、ステップ41の所定温度差T2と、さらにステップ11の所定温度差T3の関係は以下で示される。
【0038】
T1<T2<T3
すなわち、図3に示すフローチャートにおいて、循環ポンプ6の目標回転速度演算(ステップ6)、三方弁5の目標開度演算(ステップ10)、燃料電池1の入口と出口での冷媒温度差ΔT(ステップ11)判定の順で、基準となる燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutの所定温度差は大きくなる。
【0039】
したがって、本実施形態では、図3のステップ6で循環ポンプ6の目標回転速度Rを演算し、冷媒は燃料電池1の発熱量QCSAに応じて流量が設定される。燃料電池1の発電状況に応じて燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutの温度差ΔTが所定温度差T1より大きい場合には、循環ポンプ6の目標回転速度Rを上昇補正して冷媒流量を増加させ、温度差ΔTが所定温度差T3以下となるように循環ポンプ6を制御する。これは、温度差ΔTが所定温度差T3より大きい場合には、燃料電池1内で温度分布に不均一が生じている可能性があり、部分的に高温部が生じ、この高温部でセルが耐熱限界を超えて劣化する恐れが生じることを防止するためである。
【0040】
一般に、冷媒として用いられるエチレングリコールは低温時において粘性が高いため、燃料電池1の入口側の冷媒圧力の上限値によって冷媒流量が制限されて燃料電池1を適正温度に維持するために必要な流量を供給できない場合がありうる。このような場合には、三方弁の開度をラジエータ3側に冷媒が流れるように制御すると流路の総圧力損失が減少して必要流量を確保することが可能となる。しかしこの場合には、冷媒温度がラジエータ3を通過することにより低下し、燃料電池1の暖機が遅れることになる。
【0041】
そこで本発明では、燃料電池システムの暖機時に、循環ポンプ6と三方弁5とを制御して前述の燃料電池1の入口側冷媒温度Tinと出口側冷媒温度Toutの温度差ΔTが所定温度差T3以下とする制御を実施するため、流路系の圧力損失を調整して、燃料電池1の入口側での冷媒圧力の上限を守りつつ、燃料電池1へより多くの冷媒を供給することができ、かつ燃料電池1での入口側と出口側との冷媒温度差を所定温度に抑制できる。
【0042】
また、ステップ9に示したように演算した冷媒の熱収支QTが正の値を維持する範囲となるように三方弁5の開度を制御する。このような制御とすることにより、燃料電池1の暖機時間を維持できるとともに、燃料電池の発電量の低減を抑制することができる。なお、本実施形態のように冷媒を加熱するヒータ7を用い、ヒータ7の熱量を考慮して、制御するようにしてもよい。。
【0043】
また暖機時においてもラジエータ3を配置した循環流路2とバイパス流路4との双方に冷媒を流すので、流路の総圧力損失を低減し、結果として循環ポンプ6の上限回転速度を上昇することができる。
【0044】
本実施形態においては、バイパス流路4にヒータ7を設置して冷媒を加熱し、冷媒の温度を速やかに所定温度まで加熱したが、これに限らず燃料電池に供給する水素と酸素とを用いて発熱する燃焼器を用いて冷媒を加熱する構成としても良い。
【0045】
また、ラジエータ3の入口側と出口側にそれぞれ冷媒温度を検出する温度センサを設けて、検出された冷媒温度差に基づいてラジエ−タ3の放熱量の演算を行っても良く、このときラジエータ入口側の冷媒温度として燃料電池1の出口側温度を用いてもよい。
【0046】
図10の三方弁目標開度を演算するフローチャートのステップ41で、燃料電池1の入口側と出口側との冷媒の温度差ΔTに基づいて三方弁目標開度を演算したが、燃料電池1に流入する冷媒の圧力に基づいて演算してもよい。
【0047】
さらに、ラジエータ3に流入する冷媒とヒータ7に流入する冷媒の流量の分配を行う三方弁5を設置したが、これに限らずそれぞれの流路の制御弁を設けて、コントローラ11により、これら制御弁の開度を制御するようにしてもよい。
【0048】
図12は、第2の実施形態の冷却システムの概要図である。この実施形態は、第1の実施形態に対して燃料電池1に水素を供給する水素流路14と酸素(空気等酸化ガス)を供給する酸素流路15とを追加した構成である。さらに水素流路14には燃料電池1に供給される水素の圧力を制御する制御弁(燃料ガス圧力制御手段)16と、圧力を検出する水素圧力センサ(燃料ガス圧力検出手段)17が、酸素流路15には燃料電池1に供給される酸素の圧力を制御する制御弁(酸化ガス圧力制御手段)18と酸素圧力を検出する酸素圧力センサ(酸化ガス圧力検出手段)19が設置され、これらのセンサの検出信号はコントローラ20に送信される。さらにコントローラ20にはコントローラ11に入力される信号が入力される。
【0049】
この実施形態では、冷媒の圧力の上昇に応じて水素と酸素の目標圧力を上昇補正することに特徴を有し、循環ポンプ6の上限回転速度を上昇して冷媒の流量を増加することができる。
【0050】
図13は、コントローラ20を構成する制御ブロック図である。図2に示すコントローラ11の制御ブロックに対して異なる点は、ガス目標圧力補正演算部51とガス調圧手段52とを備えた点である。相違点について以下に説明する。
【0051】
ガス目標圧力補正演算部51には、図示しないガス目標圧力演算部により演算された水素圧力目標値と酸素圧力目標値とが入力され、さらに水素圧力検出センサ17の検出値、酸素圧力検出センサ19の検出値、燃料電池1の上下流での冷媒温度検出値、目標発電量が入力される。ガス目標圧力補正演算部51はこれら入力値に基づいて水素圧力目標値と酸素圧力目標値とを補正し、この補正値をガス調圧手段52に出力し、この補正値に基づいてガス調圧手段52が水素圧力と酸素圧力とを調圧する。なお、ガス調圧手段52は、制御弁16、18に相当する。
【0052】
図14は本実施形態の制御内容を説明するフローチャートであり、図3に示す第1の実施形態のフローチャートに比較して、ステップ5の次にステップ51としてガス圧力補正演算のステップが追加され、またステップ6の循環ポンプ回転速度演算の制御内容が変更されてステップ52となっている。他の制御内容については図3のフローチャートと同じである。ステップ51で実施されるガス圧力補正とは、燃料電池1に供給される水素あるいは酸化ガス(例えば、酸素や空気)の供給圧力が燃料電池1に流入する冷媒の圧力に対して所定の圧力差を維持するように、供給圧力を補正制御するものである。以下、図15のフローチャートを用いて、ステップ51で実施されるガス圧力補正演算の詳細を説明する。
【0053】
まず、ステップ61で水素目標圧力PTH2を、ステップ62で酸素目標圧力PTO2を読み込む。次にステップ63とステップ64で、水素圧力センサ17と酸素圧力センサ19の検出値PH2、PO2を読み込む。ステップ65では、燃料電池1に流入する冷媒の圧力Pを圧力センサ9から読み込む。
【0054】
ステップ66では、読み込んだ水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2(=PH2−P)を検出し、ステップ67では、読み込んだ酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2(=PO2−P)を検出する(差圧算出手段)。
【0055】
そしてステップ68で、水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2が所定圧力PDH2Tより小さい場合にはステップ69に進み水素目標補正圧力PTH2´を演算し、それ以外の場合には水素目標補正圧力PTH2´=水素目標圧力PTH2としてステップ70に進む。ここで所定圧力PDH2Tは、水素圧力を上昇させる閾値であり、予め実験等により求めた値である。
【0056】
ステップ69では、水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2が、目標差圧PTDH2となるように下式を用いて水素目標補正圧力PTH2´を演算する。
【0057】
PTH2´=P+PTDH2
ここでPTH2´は、燃料電池システムの制約による水素圧力上限値を越えないように制御される。なお目標差圧PTDH2は、水素が冷却水内に入り込まない限界差圧であり、予め実験等により求めた値である。
【0058】
ステップ70では、酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2が所定圧力PDO2Tより小さい場合にはステップ71に進み酸素目標補正圧力PTO2´を演算し、それ以外の場合には酸素目標補正圧力PTO2´=水素目標圧力PTO2として制御を終了する。
【0059】
ステップ71では、酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2が、目標差圧PT DO2となるように下式を用いて酸素目標補正圧力PTO2´を演算し、制御を終了する。
【0060】
PTO2´=P+PTDO2
ここでPTO2´は、燃料電池システムの制約による酸素圧力上限値を越えないように制御される。なお目標差圧PTDO2は、酸素が冷媒内に入り込まない限界差圧であり、予め実験等により求めた値である。
【0061】
図16は、この制御内容を説明するためのタイミングチャートである。図中のガスを水素として以下説明する。この場合、水素圧力が冷媒圧力よりも高い状態である。
【0062】
時刻t1までは水素圧力、冷媒圧力ともに一定で推移し、その水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2も一定である。時刻t1で燃料電池の運転状態等に応じて冷媒圧力Pが上昇を開始する。そして時刻t2で水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2が所定圧力PDH2Tより小さくなった時、水素圧力PH2の上昇を開始する。この時、水素圧力PH2は、目標差圧PTDH2以上を維持するように補正、制御される。したがって、この実施形態では、水素や酸素などのガスが冷媒中に入り、ガスの循環が困難になるという問題が生じることはない。
【0063】
また、このフローチャートの制御においては、水素圧力PH2と冷媒圧力Pとの差圧PDH2または酸素圧力PO2と冷媒圧力Pとの差圧PDO2が目標差圧PTDH2、PTDO2以上となるように補正制御したが、燃料電池システムの要求から目標差圧PTDH2、PTDO2以下となるように補正制御する場合には、上述と同様のロジックを用いて、目標差圧以下となるように制御を実施すれば良い。
【0064】
図17は、目標差圧PTDH2、PTDO2以下となるように補正制御する場合の制御内容を説明するためのタイミングチャートである。図中のガスを水素として以下説明する。この場合、冷媒圧力が水素圧力よりも高い状態となる。
【0065】
時刻t1までは水素圧力、冷媒圧力ともに一定で推移し、その水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2も一定である。時刻t1で燃料電池の運転状態等に応じて冷媒圧力Pが上昇を開始し、水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2が大きくなっていく。そして時刻t2で水素圧力PH2と冷媒圧力Pの差圧PDH2が所定圧力PDH2Tより大きくなった時、水素圧力PH2の上昇を開始する。この時、水素圧力PH2の上昇は、目標差圧PTDH2以下を維持するように補正、制御される。ここでの目標差圧PTDH2は、冷媒が水素中に入り込まない限界差圧であり、予め実験等により求めた値である。したがって、この場合には、冷媒が水素や酸素などのガス中に入り、冷媒の循環が困難になるという問題が生じることがない。
【0066】
図18は、ステップ52で演算する循環ポンプ6の目標回転速度Rの算出方法の詳細を説明するフローチャートである。図18のフローチャートは図5に示すフローチャートに比較してステップ21とステップ22は同一であり、それ以降のステップが相違する。
【0067】
まずステップ21で、例えば燃料電池システムが搭載される車両の運転状態等に応じて設定される燃料電池1の目標発電量と三方弁5の前回値とから、図6に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第1目標回転速度R1を算出する。続くステップ22で、燃料電池1の入口側冷媒温度と出口側冷媒温度との温度差ΔTから図7に示すようなマップを用いて循環ポンプ6の第2目標回転速度R2を算出する。そして第1目標回転速度R1と第2目標回転速度R2を比較し、大きい方を目標回転速度Rと設定する。なお、図7中の温度差T1は、予め実験等により設定しておく。
【0068】
続くステップ81では、水素と冷媒との差圧下限値から冷媒の圧力上限値PDH2maxを下式より算出する。
【0069】
PDH2max=PH2−PRH2
ここで、PRH2は水素と冷媒との差圧下限値であり、燃料電池1の仕様により定まる。したがって、水素圧力を大きくすれば、冷媒の圧力上限値PDH2maxを大きくすることができる。
【0070】
次に、酸素と冷媒との差圧下限値から冷媒の圧力上限値PDO2maxを下式より算出する。
【0071】
PDO2max=PO2−PRO2
ここで、PRO2は酸素と冷媒との差圧下限値であり、燃料電池1の仕様により定まる。したがって、酸素圧力を大きくすれば、冷媒の圧力上限値PDO2maxを大きくすることができる。
【0072】
ステップ82で、冷媒の圧力上限値PDH2maxとPDO2maxを比較して小さい方を代表値として、図19に示すようなマップから循環ポンプ上限回転速度RPmaxを算出する。図19のマップは、予め実験等により求めてコントローラ11に記憶しておく。
【0073】
続くステップ83で、燃料電池1に流入する冷媒の上限圧力であるPmax時の循環ポンプ回転速度Rmaxと、水素と冷媒または酸素と冷媒との差圧から決定される循環ポンプの上限回転速度RPmaxとの小さい方を循環ポンプ6の回転速度Rの上限回転速度とする。なお、循環ポンプ回転速度Rmaxは、予め実験等により求めておく。
【0074】
この制御においては、水素圧力PH2、酸素圧力PO2を冷媒の圧力に応じて補正制御することで、冷媒の圧力上限値を増加でき、結果として循環ポンプ6の回転速度制限を上昇させることができる。
【0075】
本実施形態においては、燃料電池1に供給される水素の圧力を検出する水素圧力センサ23を設置したが、燃料電池1の目標発電量から推定しても良い。酸素圧力についても同様に燃料電池1の目標発電量から推定しても良い。
【0076】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される燃料電池システムの冷却システムの構成図である。
【図2】コントローラの制御内容を説明するブロック図である。
【図3】コントローラの制御内容を説明するためのフローチャートである。
【図4】目標発電量と発熱量の関係を示す図である。
【図5】循環ポンプの目標回転速度を演算するためのフローチャートである。
【図6】目標発電量と三方弁開度と循環ポンプ目標回転速度との関係を示す図である。
【図7】燃料電池の上流の冷媒温度と下流の冷媒温度との温度差と循環ポンプの目標回転速度との関係を示す図である。
【図8】ラジエータ放熱量を演算するためのフローチャートである。
【図9】ラジエータ通過風量と放熱率との関係を示す図である。
【図10】三方弁の目標開度を演算するためのフローチャートである。
【図11】燃料電池の上流の冷媒温度と下流の冷媒温度との温度差と三方弁目標開度との関係を示す図である。
【図12】第2の実施形態の冷却システムの構成図である。
【図13】第2の実施形態のコントローラの制御内容を説明するブロック図である。
【図14】第2の実施形態のコントローラの制御内容を説明するためのフローチャートである。
【図15】ガス目標補正圧力の演算のためのフローチャートである。
【図16】図15のフローチャートの制御内容を説明するタイミングチャートである。
【図17】目標差圧以下となるように補正制御する場合の制御内容を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】循環ポンプの目標回転速度の演算のためのフローチャートである。
【図19】冷媒圧力と三方弁開度と循環ポンプ回転速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 循環流路
3 ラジエータ
4 バイパス流路
5 三方弁
6 循環ポンプ
7 ヒータ
8 温度センサ
9 圧力センサ
10 温度センサ
11 コントローラ
Claims (12)
- 燃料ガスと酸化ガスから発電する燃料電池と、
この燃料電池に冷媒を循環させる循環流路と、
冷媒を前記循環流路に循環させる循環手段と、
冷媒の熱を放熱する放熱手段と、
冷媒がこの放熱手段を迂回して前記循環流路を流通するためのバイパス流路と、
前記放熱手段へ流通する冷媒流量と前記バイパス流路へ流通する冷媒流量との分配流量を制御する流量制御手段と、
前記燃料電池に流入する冷媒の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記燃料電池に流入する冷媒の温度を検出する第一温度検出手段と、
前記燃料電池から流出する冷媒の温度を検出する第二温度検出手段と、
前記循環手段と流量制御手段を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記圧力検出手段の検出圧力に基づき、燃料電池に流入する冷媒圧力が所定圧力を越えているかどうかを判定する冷媒圧力判定手段と、
前記第一、第二温度検出手段の検出温度に基づき、燃料電池に流入する冷媒温度と流出する冷媒の温度の差を算出する冷媒温度差算出手段と、
この算出した冷媒の温度差が所定温度を越えているかどうかを判定する冷媒温度差判定手段とを備え、
前記燃料電池暖機時に冷媒の圧力が所定圧力を超えている場合、もしくは前記燃料電池暖機時に冷媒の温度差が所定温度差を超えている場合に前記冷媒圧力検出手段の検出値もしくは前記冷媒温度差算出手段の算出値に応じて前記流量制御手段と前記循環手段とを制御することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記コントローラは、
前記燃料電池の発熱量を推定する発熱量推定手段と、
前記放熱手段の放熱量を推定する放熱量推定手段と、
推定された発熱量と放熱量とに基づいて熱収支を演算する熱収支演算手段とを備え、
前記コントローラは、燃料電池システムの熱収支が正値となるように前記流量制御手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記発熱量推定手段は、前記燃料電池の運転状態に基づいて発熱量を推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記発熱量推定手段は、前記燃料電池の目標発電量に基づいて発熱量を推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記放熱量推定手段は、前記放熱手段の放熱特性と車速とから放熱量を推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記バイパス流路に冷媒を加熱する加熱手段を設け、
前記発熱量推定手段は、前記燃料電池の目標発電量と前記加熱手段の運転状態に基づいて発熱量を推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記加熱手段は、前記燃料電池に供給される燃料ガスと酸化ガスを用いて冷媒を加熱することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池に流入する燃料ガスの圧力を制御する燃料ガス圧力制御手段と、
前記燃料電池に流入する酸化ガスの圧力を制御する酸化ガス圧力制御手段と、
前記燃料電池に流入する燃料ガスの圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、
前記燃料電池に流入する酸化ガスの圧力を検出する酸化ガス圧力検出手段と、
検出した燃料ガス圧力と前記燃料電池に流入する冷媒圧力との差、及び検出した酸化ガス圧力と前記燃料電池に流入する冷媒圧力との差を算出する差圧算出手段とを備え、
前記燃料電池に流入する冷媒圧力が燃料ガス圧力または酸化ガス圧力より高い場合に、算出した前記燃料電池に流入する冷媒圧力と冷媒圧力より低い燃料ガス圧力または酸化ガス圧力との差が所定圧力以上の場合、前記冷媒圧力より低い燃料ガスまたは酸化ガスの圧力を増圧制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池に流入する燃料ガスの圧力を制御する第一圧力制御手段と、
前記燃料電池に流入する酸化ガスの圧力を制御する第二圧力制御手段と、
前記燃料電池に流入する燃料ガスの圧力を検出する第一圧力検出手段と、
前記燃料電池に流入する酸化ガスの圧力を検出する第二圧力検出手段と、
検出した燃料ガス圧力と前記燃料電池に流入する冷媒圧力との差、及び検出した酸化ガス圧力と前記燃料電池に流入する冷媒圧力との差を算出する差圧算出手段とを備え、
前記燃料電池に流入する冷媒圧力が燃料ガス圧力または酸化ガス圧力より低い場合に、算出した前記燃料電池に流入する冷媒圧力と冷媒圧力より高い燃料ガス圧力または酸化ガス圧力との差が所定圧力以下の場合、前記冷媒圧力より高い燃料ガスまたは酸化ガスの圧力を増圧制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記コントローラは、前記冷媒の温度差が所定温度を越えている場合に、前記燃料電池の発電量を低下する発電量低下手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記コントローラは、前記循環手段の目標回転速度を前記冷媒の温度差または前記燃料電池の目標発電量に基づき設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記コントローラは、前記流量制御手段の目標開度を前記冷媒の温度差または前記燃料電池に流入する冷媒の圧力に基づき設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
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