JP4114254B2 - 輝尽性蛍光体プレート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体が支持体上に形成されたシートと、少なくとも前記シートの輝尽性発光体の発光面を覆う保護層とを有する輝尽性蛍光体プレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を蛍光体(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真をとるときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし、近年、銀塩を塗布したフィルムを使用しないで蛍光体から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0004】
具体的には、例えば米国特許3,859,527号及び特開昭55-12144号などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
この方法は支持体としてのプレート上に輝尽性蛍光体を形成した輝尽性蛍光体プレートを使用するもので、この輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体に被写体を透過した放射線を当てて被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後に輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号をたとえば光電変換し、電気信号を得て、この信号を感光フィルムなどの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0005】
この放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0006】
このような輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す輝尽性蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が一般的に利用される。
【0007】
ところで、輝尽性蛍光体を保護するために、輝尽性蛍光体上に保護層を設け、輝尽性蛍光体を保護することがなされている。
保護層の厚さが、例えば30μm以下と薄い場合には、輝尽性蛍光体表面へ保護層を接着しても、画像の低下は比較的抑えることができる。
【0008】
しかし、保護層の厚さが、例えば30μm以上と厚い場合、輝尽性蛍光体表面に保護層が接着して形成されていると、画質の低下が起こる。
このため、輝尽性蛍光体と保護層とを接着しない構成として、図7(a)に示すように、輝尽性蛍光体3が形成された支持体としてのプラスチックフィルム2を保護層としての積層された二枚のフィルム(封止材)5,5′の三辺をヒートシール等の手法で接着してなる袋内に挿入し、内部を脱気しながら開口部をヒートシール等の手法で封止(真空封止)して、輝尽性蛍光体プレート1とする構成や、図7(b)に示すように、保護層としてのフィルム5の輝尽性蛍光体3側の表面を粗して微小突起5aを形成し、フィルム5と輝尽性蛍光体3との間に積極的に空隙を設ける構成が用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、保護層と輝尽性蛍光体とが接着した構成の輝尽性蛍光体プレートに用いられるフィルムは、曇りの度合いを表すヘイズ率(数値が大きくなると、曇りの度合いも大きくなる)で説明を行なうと、ヘイズ率が5〜40%のフィルム5が用いられている。
【0010】
これは、ヘイズ率が5%未満であるとレーザ光のように位相がそろった光源を用いて画像の読み取りを行なった場合に干渉縞が発生し、画像ムラとして画質が低下し、又、ヘイズ率が40%を超えると、画像の鮮鋭度が低下するからである。
【0011】
一方、図7(a),(b)に示す構成、すなわち、輝尽性蛍光体3とフィルム5とが非接着状態にある輝尽性蛍光体プレート1においては特願昭62-206017号などによりフィルムに関連してその光学的設計要因が異なっていることが知られているにもかかわらず、特に明確には規定されていない。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、輝尽性蛍光体と保護層とが非接着状態にある輝尽性蛍光体プレートのヘイズ率を規定し、保護層による画像低下の少ない輝尽性蛍光体プレートを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、輝尽性蛍光体が支持体上に形成されたシートと、少なくとも前記シートの輝尽性発光体の発光面を覆う保護層と、を有する輝尽性蛍光体プレートであって、前記輝尽性蛍光体表面と前記保護層とが非接着で、前記保護層の全ヘイズ率が5〜80%で、前記保護層は、多層構造であり、前記保護層の前記輝尽性蛍光体へ接触する層以外の層のうちの少なくとも一層はアルミナ及び又はシリカを蒸着した水蒸気バリア性のフィルムであることを特徴とする輝尽性蛍光体プレートである。
【0014】
本願発明者の実験によると、輝尽性蛍光体と保護層とが非接着の状態で、読み取り画像の画質の低下及び干渉縞の発生がないのは、保護層の全ヘイズ率が5〜80%であった。
【0015】
従って、ヘイズ率が5〜40%である保護層を輝尽性蛍光体へ接着した場合に比べ、保護層の設計の自由度が大幅に向上している。
又、輝尽性蛍光体と保護層とが非接着であるので、両者は、密着せずに、不連続となり、輝尽性蛍光体の表面で反射した輝尽励起光の多くは保護層に向かい、保護層の外に出る。
【0016】
従って、輝尽性蛍光体で反射した輝尽励起光のうち、輝尽性蛍光体に再入射する輝尽励起光は少なくなり、読取画像の画質が低下しない。
尚、本発明の輝尽性蛍光体と保護層とが非接着状態にあるとは、透明な高分子物質を蛍光体上に塗布する、あるいは、透明な薄膜を蛍光体上に接着剤を用いて接着するなどして保護層と蛍光体とが光学的に一体となっている以外の状態をいう。
【0017】
また、ヘイズ率とは、JIS規格(JIS K6714)に規定されている値であり、全光線透過率に対する散乱光透過率の割合(%)で表された値である。
【0018】
保護層を多層構造とすることで、保護層の特性を様々に設定できる。保護層内にアルミナ及び又はシリカを蒸着した水蒸気バリア性のフィルムを設けたことで、輝尽性蛍光体の吸湿を防止できる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の保護層の前記輝尽性蛍光体へ接触する層のヘイズ率が5〜80%であることを特徴とする輝尽性蛍光体プレートである。
【0019】
保護層の輝尽性蛍光体へ接触する層のヘイズ率を5〜80%とし、他の層のヘイズ率を低く押さえることで、画像の劣化を防止することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の前記保護層の前記輝尽性蛍光体へ接触する層以外の層のヘイズ率が10%以下であることを特徴とする輝尽性蛍光体プレートである。
【0020】
輝尽性蛍光体へ接触する層以外の層のヘイズ率が10%以下とすることで、画像の劣化を防止することができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の前記保護層内に、光散乱性の粒子を分散したことを特徴とする輝尽性蛍光体プレートである。
【0022】
保護層内に光散乱性の粒子を分散させたことで、保護層のヘイズ率を変化させることができる。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明で、前記光散乱性の粒子を前記保護層の前記輝尽性蛍光体側に分散させたことを特徴とする輝尽性蛍光体プレートである。
【0023】
保護層内に光散乱性の粒子を分散させたことで、保護層のヘイズ率を変化させることができる。
更に、光散乱性の粒子を保護層の輝尽性蛍光体側に分散させることで、保護層の輝尽性蛍光体へ接触する層のヘイズ率を高くし、他の層のヘイズ率を低く押さえることで、画像の劣化を防止することができる。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面を粗したことを特徴とする輝尽性蛍光体プレートである。
【0025】
保護層の前記輝尽性蛍光体側の面を粗し、保護層の前記輝尽性蛍光体側の面に光散乱性を持たせることにより、保護層の輝尽性蛍光体へ接触する面側のヘイズ率が、他の部分より高くなり、画像の劣化を防止することができる。
【0026】
粗しの程度としては、請求項7記載の発明のように、前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面の平均粗さ(Ra)を0.01〜5.0μmとすることが好ましく、更に、請求項8記載の発明のように、前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面の平均粗さ(Ra)を0.05〜0.5μmとすることがより好ましい。
【0027】
平均表面粗さを調整する方法としては、保護層へエンボス加工を行なう方法、保護層へPTFE(四弗化エチレン樹脂)、PMMA(メチルメタクリレート樹脂)、シリカ(無水けい酸)等の粒子を散布する方法、PTFE、PMMA、シリカ等の粒子を含む層を塗布する方法、PTFE、PMMA、シリカ等の粒子を含むアンチブロッキング性のフィルムを貼る方法、保護層にその材質と相溶性の異なる材料を添加し、保護層中で凝集させることにより表面を粗す等があるが限定するものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
<第1の実施の形態例>
(全体構成)
先ず、図1を用いて、輝尽性蛍光体プレート111の全体構成を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態例の輝尽性蛍光体プレートの断面構成図である。
【0029】
輝尽性蛍光体プレート51は、輝尽性蛍光体シート56と、2枚の保護層フィルム57,59からなっている。
尚、保護層フィルム57は複数の層からなっており、本実施の形態例では、第1の層57bと第2の層57cとからなる二層構造とした。
【0030】
輝尽性蛍光体シート56は、2枚の保護層フィルム57,59を積層し、三辺をヒートシール等の手法で接着してなる袋内に挿入され、内部を脱気しながら開口部をヒートシール等の手法で封止(真空封止)されている。
【0031】
輝尽性蛍光体プレート51は、支持体としてのPET等の材質でなるプラスチックフィルム55と、プラスチックフィルム55上に形成された輝尽性蛍光体層53とからなっている。
【0032】
そして、保護層フィルム57の輝尽性蛍光体層53に面する側の面に微小突起57aを形成して所定の表面粗さに設定することにより、輝尽性蛍光体層53と、保護層フォルム57とを非接着構造とした。
【0033】
(輝尽性蛍光体)
輝尽性蛍光体層53は、バインダーと輝尽性蛍光体粒子とから構成される。
「輝尽性蛍光体」とは、最初の光または高エネルギー放射線が照射された後に、光的、熱的,機械的、科学的または電気的等の刺激(輝尽励起)により、最初の光または高エネルギー放射線の照射量に対応した輝尽発光を示す蛍光体をいうが、実用的な面からは、光刺激(輝尽励起)により輝尽発光を示す蛍光体が好ましく、波長が500nm以上、1μm以下の輝尽励起光によって輝尽発光を示す蛍光体が好ましい。
【0034】
輝尽性蛍光体の具体例としては、以下のようなものがある。
1. 特開平2-58593号公報に記載の一般式
aBaX2・(1-a)BaY2 : bEu2+
(式中、X,Yは、それぞれ、F,Cl,Br,Iの少なくとも1種を表し、X≠Yであり、a,bは、0<a<1、10-5<b<10-1 を満たす数を表す。)で表される輝尽性蛍光体。
【0035】
2. 特開昭61-72087号公報に記載の一般式
MIX・aMIIX′2・bMIIIX″3:cA
(但し、MIは、Li,Na,K,Rb,Csの少なくとも1種のアルカリ金属を表し、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu,Niの少なくとも1種の2価の金属を表し、MIIIは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,Inの少なくとも1種の3価の金属を表し、X,X′,X″は、F,Cl,Br,Iの少なくとも1種のハロゲンを表し、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,Mgの少なくとも1種の金属を表し、a,b,cは、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0≦c<0.2を満たす数を表す。)で表されるアルカリハイドロイド輝尽性蛍光体。
【0036】
3. 特開昭55-12145号公報に記載の一般式
(Ba1-x(MI)x)FX:yA
(但し、MIは、Mg,Ca,Sr,Zn,Cdの少なくとも1種を表し、Xは、Cl,Br,Iの少なくとも1種を表し、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Erの少なくとも1種を表し、x,yは、0≦x<0.6、0≦y<0.2を満たす数を表す。)で表される輝尽性蛍光体。
【0037】
4. 特開昭55-160078号公報に記載の一般式
MIFX・xA:yLn
(但し、MIは、Mg,Ca,Ba,Sr,Zn,Cdの少なくとも1種を表し、AはBeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al2O3,Y2O3,La2O3,In2O3,SiO2,TiO2,ZrO2,GeO2,SnO2,Nb2O5,Ta2O5,ThO2の少なくとも1種を表し、Lnは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Sm,Gdの少なくとも1種を表し、XはCl,Br,Iの少なくとも1種を表し、x,yは、5×10-5≦x≦0.5、0<y≦0.2を満たす数を表す。)で表される輝尽性蛍光体。
【0038】
(保護層フィルム)
保護層フィルム57,59の材質は、画像性能を低下させず、水蒸気と酸素とを透過しにくい材質、例えば、アルミナ、あるいはシリカを蒸着した多層フィルムとした。
【0039】
水蒸気透過率は、2.0g/m2・day以下であることが好ましく、吸湿等による輝尽性蛍光体層53の性能劣化を防止する点で、0.5 g/m2・dayであることが特に好ましい。
【0040】
酸素透過率は、4.0 cc/m2・day以下であることが好ましく、輝尽性蛍光体13の着色等の品質劣化を防止する点で、0.5 cc/m2・dayであることが好ましい。
水蒸気透過率は、モコン法にて、40℃,90%RH環境下で求めた値、又、酸素透過率はモコン法にて、30℃,70%RH環境下で求めた値をそれぞれ用いた。
【0041】
更に、微小突起57aが形成される保護層フィルム57の輝尽性蛍光体層53に接触する面の平均粗さ(Ra)を0.01μm以上とし、保護層フィルム57の全体のヘイズ率を5〜80%とし、更に、輝尽性蛍光体層53に接触する層、すなわち第1の層57bのヘイズ率を5〜80%とし、他の層、すなわち第2の層57cのヘイズ率を低く押さえた。
【0042】
(微小突起)
保護層フィルム57へ微小突起57aを形成する手法としては、以下のような手法がある。
【0043】
▲1▼ エンボス加工を施す。
▲2▼ 保護層フィルム57にPTFE、PMMA、シリカ等の粒子を散布する。
▲3▼ 保護層フィルム57にPTFE、PMMA、シリカ等の粒子を含む層を塗布する。
【0044】
▲4▼ 保護層フィルム57にPTFE、PMMA、シリカ等の粒子を含むアンチブロッキング性のフィルムを貼る。
▲5▼ 保護層フィルム57に、その材料と相溶性の異なる材料を添加し、保護層フィルム57中で凝集させることにより表面を粗す。
【0045】
このような構成の輝尽性蛍光体プレート51では、下記のような効果を得ることができる。
(1) 図2に示すように、保護層フィルム57と輝尽性蛍光体53との間に間隙Sがある場合、輝尽性蛍光体層53と保護層フィルム57とが、接着せず、不連続となり、そのため輝尽性蛍光体層53の表面で反射した輝尽励起光Bの多くはフィルム57に向かい、保護層フィルム57の外に出る。
【0046】
従って、輝尽性蛍光体層13で反射した輝尽励起光Bのうち、輝尽性蛍光体層13に再入射する輝尽励起光Bは少なくなり、読取画像の画質が低下しない。
(2) 保護層フィルム57の全ヘイズ率を5〜80%としたことにより、保護層フィルム57の材質、厚さ等の設計の自由度が向上する。
【0047】
又、保護層フィルム57の輝尽性蛍光体層53へ接触する層、すなわち、第1の層57bのヘイズ率を5〜80%とし、他の層、すなわち第2の層57bのヘイズ率を低く押さえることで、画像の劣化を防止することができる。
【0048】
(3) 保護層フィルム57,59を水蒸気が透過しにくい材質とすることにより、輝尽性蛍光体層53と保護層フィルム57とがぬれて、密着するのを防止し、密着による画像劣化を防止する。
【0049】
又、水蒸気により輝尽性蛍光体層53の輝尽性蛍光体が分解し、画像が劣化するのを防止できる。
更に、酸素を透過しにくい材質の保護層フィルム57,59を用いることで、輝尽性蛍光体層53の酸化を防止し、着色等の変質劣化を防止できる。
【0050】
(4) 輝尽性蛍光体層53のフィルム57との対向面、保護層フィルム57の輝尽性蛍光体53との対向面のうち、少なくともどちらか一方の面に、疎水化処理を施すことにより、輝尽性蛍光体層53と保護層フィルム57とが密着せず、画質が向上する。
【0051】
<第2の実施の形態例>
図3を用いて、第2の実施の形態例を説明する。
本実施の形態例の輝尽性蛍光体プレート211と、第1の実施の形態例の輝尽性蛍光体プレート111との相違点は、本実施の形態例の輝尽性蛍光体が低吸湿性であるので、輝尽性蛍光体層153と、プラスチックフィルム155とからなる輝尽性蛍光体シート156が保護層により封止されていない点である。
【0052】
従って、輝尽性蛍光体153上にのみ第1及び第2の層157c,157cからなる二層の保護層フィルム157が積層されている。
そして、保護層フィルム157の輝尽性蛍光体153側の面に微小突起157aを設け、輝尽性蛍光体153と保護層フィルム157との間に間隙Sを形成した。
【0053】
保護層フィルム157の微小突起157aが形成される面の平均粗さ(Ra)を0.05μm以上とし、5μm以下とした。
又、保護層フィルム157の全体のヘイズ率を5〜80%とし、更に、輝尽性蛍光体層153に接触する層、すなわち第1の層157bのヘイズ率を5〜80%とし、他の層、すなわち、第2の層157bのヘイズ率を低く押さえた。
【0054】
このような構成でも、第1の実施の形態例と同様な効果を得ることができる。
【0055】
【実施例】
本発明者は、本願発明の効果を確認するために、以下のような実験を行なった。
【0056】
図4に示す構成の輝尽性蛍光体プレート201を用いた。輝尽性蛍光体シート206は、プラスチックフィルム205と、このプラスチックフィルム205上に形成された輝尽性蛍光体層203とからなっている。
【0057】
保護層としての保護層フィルム207は、複数の層(保護層aと保護層b)からなるフィルムと、参考として単層のフィルムとを用いた。
次に、図6に示す構成の保護層フィルム207を用いて、平均粗さと画像の鮮鋭度の指標である空間周波数(MTF)及び画像ムラとの関係を調べた。
【0058】
(1) 保護層フィルムのヘイズ率と、画像の鮮鋭度との関係(図6参照)
画像の鮮鋭度の許容できる範囲は、空間周波数(MTF)が25%/2.0lp/mm以上の場合であるので、両者が密着している場合はヘイズ率が12.3〜37%であるのに対し、両者の間に間隙を設けると、ヘイズ率が5.8〜73%の範囲で許容できることが確認できた。
【0059】
(2) 保護層フィルムの表面粗さと、画像のムラとの関係(図5参照)
実施例1〜7に示すように、保護層フィルムの平均表面粗さがRa=0.08〜4.1の場合は、画像ムラの発生がないことが確認された。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、輝尽性蛍光体と保護層とが非接着の状態で、読み取り画像の画質の低下及び干渉縞の発生がないのは、保護層の全ヘイズ率が5〜80%であった。
【0061】
従って、ヘイズ率が5〜40%である保護層を輝尽性蛍光体へ接着した場合に比べ、保護層の設計の自由度が大幅に向上している。
又、輝尽性蛍光体と保護層とが非接着であるので、両者は、密着せずに、不連続となり、輝尽性蛍光体の表面で反射した輝尽励起光の多くは保護層に向かい、保護層の外に出る。
【0062】
従って、輝尽性蛍光体で反射した輝尽励起光のうち、輝尽性蛍光体に再入射する輝尽励起光は少なくなり、読取画像の画質が低下しない。保護層を多層構造とすることで、保護層の特性を様々に設定できる。保護層内にアルミナ及び又はシリカを蒸着した水蒸気バリア性のフィルムを設けたことで、輝尽性蛍光体の吸湿を防止できる。
【0063】
請求項2記載の発明によれば、保護層の輝尽性蛍光体へ接触する層のヘイズ率を5〜80%とし、他の層のヘイズ率を低く押さえることで、画像の劣化を防止することができる。
【0064】
請求項3記載の発明によれば、輝尽性蛍光体へ接触する層以外の層のヘイズ率が10%以下とすることで、画像の劣化を防止することができる。
【0065】
請求項4記載の発明によれば、保護層内に光散乱性の粒子を分散させたことで、保護層のヘイズ率を変化させることができる。請求項5記載の発明によれば、保護層内に光散乱性の粒子を分散させたことで、保護層のヘイズ率を変化させることができる。
【0066】
更に、光散乱性の粒子を保護層の輝尽性蛍光体側に分散させることで、保護層の輝尽性蛍光体へ接触する層のヘイズ率を高くし、他の層のヘイズ率を低く押さえることで、画像の劣化を防止することができる。
【0067】
請求項6記載の発明によれば、保護層の前記輝尽性蛍光体側の面を粗し、保護層の前記輝尽性蛍光体側の面に光散乱性を持たせることにより、保護層の輝尽性蛍光体へ接触する面側のヘイズ率が、他の部分より高くなり、画像の劣化を防止することができる。
【0068】
粗しの程度としては、請求項7記載の発明のように、前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面の平均粗さ(Ra)を0.01〜5.0μmとすることが好ましく、更に、請求項8記載の発明のように、前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面の平均粗さ(Ra)を0.05〜0.5μmとすることがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態例の輝尽性蛍光体プレートの断面構成図である。
【図2】図1の効果を説明する図である。
【図3】第2の実施の形態例の輝尽性蛍光体プレートの断面構成図である。
【図4】実施例の実験で用いた輝尽性蛍光体プレートの構成を説明する図である。
【図5】実施例の実験結果を示す図である。
【図6】実施例の実験でのヘイズ率と像の鮮鋭度との関係を示す図である。
【図7】従来の輝尽性蛍光体プレートの断面構成図である。
【符号の説明】
53 輝尽性蛍光体層(輝尽性蛍光体)
55 プラスチックフィルム(支持体)
56 輝尽性蛍光体シート
57 保護層フィルム
S 間隙
Claims (8)
- 輝尽性蛍光体が支持体上に形成されたシートと、
少なくとも前記シートの輝尽性発光体の発光面を覆う保護層と、
を有する輝尽性蛍光体プレートであって、
前記輝尽性蛍光体表面と前記保護層とが非接着で、
前記保護層の全ヘイズ率が5〜80%で、
前記保護層は、多層構造であり、
前記保護層の前記輝尽性蛍光体へ接触する層以外の層のうちの少なくとも一層はアルミナ及び又はシリカを蒸着した水蒸気バリア性のフィルムであることを特徴とする輝尽性蛍光体プレート。 - 前記保護層の前記輝尽性蛍光体へ接触する層のヘイズ率が 5 〜 80 %であることを特徴とする請求項1記載の輝尽性蛍光体プレート。
- 前記保護層の前記輝尽性蛍光体へ接触する層以外の層のヘイズ率が10 %以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の輝尽性蛍光体プレート。
- 前記保護層内に、光散乱性の粒子を分散したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の輝尽性蛍光体プレート。
- 前記光散乱性の粒子を前記保護層の前記輝尽性蛍光体側に分散させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の輝尽性蛍光体プレート。
- 前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面を粗したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の輝尽性蛍光体プレート。
- 前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面の平均粗さ (Ra) を 0.01 〜 5.0 μ m としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の輝尽性蛍光体プレート。
- 前記保護層の前記輝尽性蛍光体側の面の平均粗さ (Ra) を 0.05 〜 1.0 μ m としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の輝尽性蛍光体プレート。
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